岡山県や鳥取県で複数の施設を経営している(有)トラベルシリウス(岡山県真庭市湯原温泉387-1、従業員40名)は、4月1日に岡山地裁へ民事再生法の適用を申請した。岡山県初の「新型コロナウイルス」関連倒産となった。
岡山・鳥取で複数施設運営、西日本豪雨で打撃、コロナとどめ
出典:米屋
同社は、1978年4月創業、1989年9月に法人改組された宿泊施設の運営業者。
露天風呂では「西の横綱」と評される混浴大露天風呂「砂湯」で全国的にも名高い湯原温泉街にて、ゆばらの宿「米屋」(27室)、湯原国際観光ホテル「菊之湯」(50室)、旅館「菊乃家」(18室)、湯原の別荘「La Villa di YUBARA」、1棟貸ゲストハウス「4LinesSpace」のほか、鳥取県倉吉市で「国民宿舎グリーンスコーレせきがね」(43室)を運営していた。
また、真庭市から受託した指定管理施設として「ホテル蒜山ヒルズ」(14室)や「蒜山青少年研修センター」などの管理・運営も手がけ、一般個人や企業、団体、学生などの多様な宿泊ニーズに対応し、2015年8月期には年収入高約8億7,000万円を計上していた。
しかし、その後は高速道路網の整備が進んだことにより旅行客の分散が進み、同業他社との宿泊価格の競合激化も伴って主力の「米屋」「菊之湯」の宿泊者数が伸び悩んだ。
また、2018年7月に発生した西日本豪雨災害により宿泊予約のキャンセルが相次いで発生し、2019年8月期の年収入高は6億円を下回るまで低迷、人件費や老朽化した施設の修理・メンテナンス費などが収益を圧迫していた。
このため、金融機関より借入金の返済条件の変更・猶予を受けながら不採算施設の運営撤退など経営再建を図っていたが、今年2月以降は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて宿泊客が大幅に減少したことなどから急速に資金繰りが悪化、自主再建を断念した。
申し立て時点の負債は、約5億6,000万円。
今後は「湯原国際観光ホテル菊之湯」、「ゆばらの宿米屋」の経営に専念して再建を図る方針という。
なお、岡山県内で新型コロナウイルス感染症に関連した倒産は初めて。
出典:菊之湯
メトロエンジンリサーチによると、岡山県真庭市には宿泊施設が78、部屋数にして1,131室が提供されている。
鳥取県倉吉市には宿泊施設が32、部屋数にして616室が提供されている。
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