新型コロナウイルス対策の緩和が進む中、観光庁は国内観光需要喚起策である「全国旅行支援」について、4月29日0時以降、ワクチン接種証明書や陰性証明書の提示が不要となることを発表した。この変更は、新型コロナの感染症法上の位置付けが同日から「5類」に移行することに伴うものである。
現行の全国旅行支援の利用条件では、ワクチン接種証明書または陰性証明書の提示が求められ、1人1泊あたり最大で7,000円の割引が適用される。しかし、4月29日以降はこれらの証明書が不要となり、利用が容易になると期待されている。
観光庁の和田長官は、「地域経済の活性化や観光業界の経営状況の改善が一層期待できる」と語っている。また、当初5月8日予定であった証明書提示取り下げについて、連休中の海外旅行者の帰国を円滑化することを視野に入れ4月29日に前倒しとなった。(*4/28追記)これまで、ホテルや旅館でのチェックイン時に宿泊施設のスタッフが証明書を確認しており、応対時間が長くなることが施設や宿泊客双方の負担となっていた。今回の変更によりチェックイン時の手続きが簡素化されることから、この手間が省かれることになる。また、観光業界における経営状況の改善や地域経済の活性化につながることから、事業者自身も新たなビジネスチャンスを模索することが可能になるだろう。
全国旅行支援は、多くの都道府県で6月30日宿泊(7月1日チェックアウト)分まで実施される予定である。予算が使い切られた地域から終了することになるが、1月の再開後は1人1泊当たり最大7,000円分の割引が適用されている。
全国旅行支援の利用条件緩和は、国内旅行需要の喚起に一役買い、観光業界の回復を後押しするとともに、地域経済の活性化に寄与することが期待されている。今後、ホテル事業は全国旅行支援の利用条件変更に伴う対応をスムーズに行うことが求められる他、感染症対策が変わることを受けて、引き続き安全で快適な宿泊環境を提供することが重要となるだろう。