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ホテル業界用語集

ADR(平均客室単価)

ADR(Average Daily Rate:平均客室単価)とは、観光・旅行・ホテル・レストランを始めとするホスピタリティ業界で広く利用されている、1日当たりの平均宿泊金額を示す指標。

業界における業績評価指標の1つであり、客室稼働率他の指標を組み合わせて部屋毎の収益性を算出することができ、ホテルを始めとする宿泊施設のパフォーマンスを計測するために利用されている。

またADRはホテルの過去の実績、他のホテルとの比較等、部屋の相対的なパフォーマンスを測るための尺度としても利用できる。

ADR = 客室全体の売上高 ÷ 販売客室

例えば、ホテルにおいて500部屋がある場合、売上が500万円であればADRは10,000円となる。尚、従業員が利用する部屋や無料利用できる部屋は計算から除外され、計算に用いられるのは実際に宿泊料を徴収する部屋のみとなる。

マリオットホテルを展開するMarriott International Inc.は、通常の決算数字に加えてADR、客室稼働率、RevPAR(販売可能な客室1室あたりの収益:ADRに客室稼働率を掛けて算出)を公表。これによりアナリスト等は同社のホテル事業の採算性について、より深い分析が可能となっている。

ADRの利用について


ホテルを始めとする宿泊業で事業戦略を考えるポイントは、「顧客を増やす」、「単価を上げる」のいずれを選択するかとの点にある。ADRは「単価を上げる」部分に着目した指標であり、ホテルの運営者は価格戦略に基づいてADRを高めることを目標とすることになる。

ただしADRは部屋の収益率の測定には効果を発揮するものの、ホテル全体の収益率の測定には不向き。ホテル全体の収益率算出のためには、割引料金や代理店等への手数料支払い等を別途加味する必要がある。

また宿泊施設単体のADRのみならず、周辺エリアのADR相場を知ることで、自社物件の相対的な収益率の把握も可能となり、宿泊価格設定の際の参考とすることができる。

宿泊施設全体の収益率算出にはADRは力不足の面があるものの、部屋毎の収益率算出のためには必要不可欠の指標と言える。ADR、客室稼働率、RevPARを組み合わせることで、部屋毎の収益率分析をより深いレベルで行うことが可能となる。

CRS(Computer Reservation System)

CRS(Computer Reservation System)とは、コンピュータによって、ホテルや航空券、鉄道の予約を行うシステムのこと。設置されている端末機によってオンライン上でリアルタイムに予約対応管理を行うことができる。 ホテル向け大手としては、Sabre、TravelClick、Micros(Oracle)、Amadeusなどが知られている。

GDS(Global Distribution System)

GDS(Global Distribution System)とは、世界中の宿泊施設、航空会社、ツアー、レンタカー、クルーズなどの予約・発券ができるコンピュータシステムのこと。世界各国の旅行関連会社の予約システムと接続し販売されている。大手としては、Sabre、Galileo、Worldspan、Amadeusなどが知られている。

MaaS(Mobility as a Service)

MaaSマース(Mobility as a Serviceの略)。出発地から目的地までの電車やバス、タクシー、シェアサイクル、飛行機、船など、あらゆる移動ニーズに対して最適な移動手段をシームレスに一つのアプリで提供するなど、移動を単なる手段としてではなく、利用者にとっての予約・決済・利用などの一元的なサービスとして捉える概念。

OCC(客室稼働率)

Occupancy rate、稼働率とは、ホテルやビル、地域などの利用率を示す数値のこと。

宿泊事業でよく使われるのは客室稼働率で、ホテルなどの客室稼働率は実際に利用された客室数を販売可能なすべての客室数で割って算出する(計算式は次の通り)。

稼働率 = 利用された客室数 ÷ 販売可能な全客室数

客室稼働率の計算方法は?

ではここで、Aホテルのある1日の客室稼働率を計算してみよう。
Aホテルには販売可能な客室が300室があり、この日は275室に宿泊客が滞在したとする。これらの数字を上の計算式に当てはめると、

275 ÷ 300 = 91.67

で、客室稼働率は91.67%となる。

また、客室稼働率からは空室率を導くこともできる。方法は簡単で、全客室が利用される場合の稼働率100%から実際の客室稼働率を引くだけ。Aホテルの場合、

100 - 91.67 =8.33

となって、この日の空き室率は8.33%だったことが分かる。

稼働率にはベッド数ベース、面積ベースのものも

働率は客室数から算出するもののほか、利用されたベッドの数を利用可能な総ベッド数で割り算するベッド数ベース、貸し付けしている面積を貸し出し可能な総面積で割る面積ベースのものなどもある。

また、稼働率はホテルや旅館などに用いられるだけでなく、マンションやオフィスビルなどの不動産投資において、キャッシュフローの予測やその物件の収益性などを知る手掛かりとなり、投資先を見極める基準の1つとなる。

POS(販売時点情報管理)

POS(Point of Sales)とは、販売時点情報管理のこと。

商品を販売したと同時に、商品名や金額、販売時間などがネットワークを通じて自動的にコンピュータに伝えられるシステム。それに基づいて売り上げや在庫を管理するシステムで、多くの小売店やレストラン、ホテルなどで用いられている。ホテル向けPOSでは、tap、POSCO、poscubeなどが知られている。

PMS(Property Management System)

PMS(Property Management System)とは、ホテルや旅館などの宿泊施設全体の管理システムのこと。

狭義には特にホテルや旅館の宿泊予約や価格、料金精算、客室在庫、顧客情報、データ分析など宿泊に関する管理システムを指す。

RevPAR(販売可能な客室1室あたりの収益)

RevPARとは「Revenue per available room」の略語で、「販売可能な客室1室あたりの収益」を意味し、一般的にホテル業界などの財務パフォーマンスを計る指標として使われる専門用語。

客室価格やその稼働率から換算するもので、経営状態を判断するための重要な基準の1つと考えられている。

RevPARの計算方法は?

RevPARには2通りの換算方法がある。1つは、一定期間内の収益を、同じ期間の販売可能客室数で割るという方法。もう1つは、1日当たりの平均客室単価(ADR)と、稼働率(OCC)を掛け合わせて算出する方法だ。

では、ここでAホテルの四半期のRevPARを計算してみよう。

例えば、
客室数:100室
平均客室単価:1万円
平均稼働率:75%
四半期の営業日数:90日

をAホテルの基本情報とすると、この期間の総売り上げは、
(100室 × 1万円 × 75%)× 90日 = 67,500,000円
一日当たりの収益と営業日数を掛け合わせて6,750万円となる。

この結果を踏まえ、収益を販売可能客室数で割る1つ目の計算方法でRevPAR算出すると、
67,500,000円 ÷ 9,000室(100室 × 790室) = 7,500円
となる。

また、平均客室単価と稼働率を掛け合わる2つ目の計算方法では、
1万円 × 75% = 7,500円
という数字になり、いずれの方法でも、AホテルのRevPARは7,500円という結果になった。

RevPARは客室1室ベースの収益性を知る重要指標

RevPARは、ホテル業界においてはほぼ間違いなく最も重要な比率であるとみなされている。というのも、RevPARは客室単価と稼働率から換算するもので、RevPARを見ればホテルにどの程度の収益性があるかを大まかに把握することができるだけでなく、どれほど改善の余地があるかを知る手立てにもなるからだ。

ここで注意すべき点は、RevPARは客室1室ベースで計算するものであるということ。例えば、AホテルのRevPARがBホテルよりも高かったとしても、Bホテルがより多くの客室を有しているとすれば、全体の収益はAホテルのほうが少なくなる。

RevPARの高さが収益の高さに必ずしもつながらないということには注意しておきたい。

VOD(ビデオ・オン・デマンド)

ホテル向けVOD(ビデオ・オン・デマンド)とは、宿泊客が邦画、洋画をはじめ、バラエティ、アニメ、アダルトなど自由に好きな番組を選び、好きな時間に早送り・巻戻し・一時停止も可能に閲覧できるシステム。一般に宿泊料金に追加で1,000円ほどで200ー300本のコンテンツを見ることができる。

従来のセット・トップ・ボックス(STB)設置型とSTBを設置せずにLANケーブルを接続するだけのSTBレス型のほかに、スマートテレビに対応したHTML5を使用の次世代型VODシステムなども登場している。

イベント民泊

イベント民泊では「年数回程度のイベント開催時であって、宿泊施設の不足が見込まれることにより、開催地の自治体の要請等により自宅を提供するもの」について、旅館業法上の「旅館業」に該当しないものとして取り扱い、自宅提供者において、旅館業法に基づく営業許可を受けることなく、宿泊サービスを提供することが可能となる。

関係人口

移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと

サイトコントローラー

サイトコントローラーは、複数ある国内、海外のインターネット宿泊予約サイトとホテル・旅館などのホームページ予約システムを一元的に管理する宿泊施設向け管理ツール。

大手としては、「ねっぱん!」、「TEMAIRAZU」、「TL-リンカーン」、「らく通with」が知られている。なお、株式会社GLOBAL NETWORKは、2018年9月末をもって同社サービスの「イージーサイトコントローラー」のサービス提供を終了した。

民泊影響稼働率

民泊影響稼働率

ホテルなどの宿泊施設の稼働率が民泊により受けた影響の指標「民泊影響稼働率」

メトロエンジンが定義する民泊影響稼働率とは、下記の通り。

「民泊影響稼働率」
民泊影響稼働率(%) = 民泊実稼働数(A) / ホテル客室数(B) ×100
民泊実稼働数(A) = 該当エリアの民泊物件数 × 民泊稼働率
ホテル客室数(B) = 該当エリアのホテル客室数(ビジネスホテル・シティホテル)

訪日外国人観光客の利用増加や住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行により注目が高まる民泊。しかしながら、ホテルやオペレーター、投資ファンド、投資銀行、銀行、調査企業、デベロッパーなどの宿泊関連事業者が実際にどれほどホテルの運営と稼働率に対して民泊が影響を与えているのか、推し量るための客観的な情報を取得することは困難であった。

そこで、メトロエンジンは民泊によりどの程度ホテルの稼働率が影響を受けているのかについて、メトロエンジンのみが所有する国内民泊ビックデータに基づき「民泊影響稼働率」の指標を提示している。

ユニークベニュー/MICE

ユニークベニューとは、歴史的建造物、文化施設や公的空間等で、会議・レセプションを開催することで特別感や地域特性を演出できる会場のことを指す、MICEの一種。

ユニークベニューは各都市に誘致に向けた積極的な展開が求められており、歴史的建造物や文化施設など、日本らしい情緒を味わうことのできる会議/レセプション会場の演出がポイントとなっている。

なお、MICEとは、M:Meeting(企業系会議)、I:Incentive(企業の報奨・研修旅行)、C:Convention(国際会議)、 E:Exhibition/Event(展示会、イベント等)を総称した造語。

 

 

レベニューマネジメント/ダイナミックプライシング

・レベニューマネジメント(Revenue Management:収益管理)

・ダイナミックプライシング(Dynamic Pricing:価格変動制)

従来、レベニューマネージャーが属人的な勘や経験値に基づいて、需要を予測し決定していた価格設定を、ビックデータやAI、機械学習処理の活用により、より効率的かつ高い精度で戦略的に実施することが可能となってきている。

 

レベニューマネジメント(Revenue Management:収益管理)

レベニューマネジメントとは、顧客の購入意欲に応じて、商品・サービスの需要を予測し価格と割当量を変えることで収益の最大化を図ること。飛行機チケットなどの旅客業やホテルなどの宿泊業において発達した管理手法で、これにより収益機会の損失や潜在需要の逸失を防ぐことで収益機会を最大化できる。

ダイナミックプライシング(Dynamic Pricing:価格変動制)

ダイナミックプライシングとは、需要、市況、天候、個人の嗜好などに関するビッグデータをクラウド上のプラットフォームで人工知能(AI)により迅速に分析し、需要の予測を基に価格の上げ下げを自動的に行なうことで適正価格を提示する値付け手法のこと。

こうした手法はホテルの稼働率や価格設定に大きな影響をもたらしていることはもちろん、スポーツ・コンサート、駐車場、物流など様々なサービス産業でも注目され導入され始めている。

レピュテーション・マネジメント

レピュテーション・マネジメント(Reputation Management)とは、企業の評判(レピュテーション)やブランドイメージを維持・向上させるための管理活動のこと。

レピュテーションマネジメントには、トラブルに対する危機管理(リスクマネジメント、クライシスマネジメント)と通常時の顧客とのコミュニケーション活動の双方がある。特にインターネットの普及により現在のホテルでは、口コミサイトへの投稿により予約に大きな影響を受けており、レベニュー・マネジメント(Revenue Management:収益管理)の観点からもレピューテーション・マネジメントが重視されるようになってきている。

ワケーション

「ワーケーション」は、「Work」と「Vacation」を組み合わせた造語で、2000年代に米国から発祥した新たなワークスタイルの一つ。日本においても働き方改革や交通混雑の回避、感染予防などの観点で注目がにわかに高まっている。