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景気ウォッチャー調査9月、サービス関連DIは50.5 — 宿泊・旅行73コメントの地域別判断と5連休の推定稼働率

投稿日 : 2026.10.30

指定なし

景気ウォッチャー調査9月、サービス関連DIは50.5 — 宿泊・旅行73コメントの地域別判断と5連休の推定稼働率

内閣府が2026年10月8日に公表した「景気ウォッチャー調査(令和8年9月調査)」で、家計動向のうちサービス関連の現状判断DIが50.5と前月から3.7ポイント上がり、横ばいの分かれ目である50を2月(50.9)以来7か月ぶりに上回った。全体の現状判断DIは47.0(前月差+0.6)で5か月連続の上昇、一方で先行き判断DIは47.4(▲0.9)と足踏みしている。本稿では宿泊・旅行の現場からの回答者コメント158件(現状73件・先行き85件)を地域×判断で整理し、メトロエンジンリサーチの推定稼働率で「9月の5連休と平日の差」を12の代表県で突き合わせ、連休の山を月予算にどう織り込むかを考える。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
Key Takeaways
  • — サービス関連DI 50.5:9月の現状判断DI(季節調整値)は前月差+3.7で、2月以来7か月ぶりに50を上回った。先行き判断DIは48.5(▲2.7)へ低下した。
  • — 現状73件中「変わらない」31件:宿泊・旅行4業種の掲載コメントは改善側27件・悪化側15件。東北は悪化側なし、近畿は□6・▲4と地域で判断が割れた。
  • — 連休−平日は最大+11.5pt:5連休(9/19〜23)の推定稼働率は栃木で平日を11.5pt上回ったが、月平均の押し上げは+1.9ptにとどまる(12代表県・2026年9月)。
  • — 旅館は約20ptの差:旅館の連休−平日差は福岡+22.8pt・石川+21.3pt・宮城+19.0pt。ビジネスホテルは北海道・宮城で平日が連休を上回った。
  • — 先行き理由の首位は物価・コスト高17件:宿泊・旅行関連85件の20.0%。紅葉・秋の行楽と年末・忘年会・宴会が各15件で続く。

DIの読み方 — 50が分かれ目、3か月前との比較を5段階で聞く

景気ウォッチャー調査は、小売・飲食・サービス・住宅・企業・雇用の現場で働く全国2,050人(9月調査の有効回答1,793人、回答率87.5%)に、毎月25日から月末にかけて「3か月前と比べた景気の現状」と「2〜3か月先の見通し」を◎(良くなっている)・○(やや良い)・□(変わらない)・▲(やや悪い)・×(悪くなっている)の5段階で尋ねる統計である。DIは各回答に1・0.75・0.5・0.25・0の点数を与えて平均し100倍した値で、全員が□なら50になる。つまり50は「良い・悪い」の境目ではなく「3か月前から変わらない」の線であり、50超は改善している回答者が悪化している回答者を上回る状態を指す。9月の全体(原数値)の内訳は◎1.6%・○17.3%・□52.3%・▲23.1%・×5.7%で、半数強が「変わらない」と答えつつ、改善側が18.9%、悪化側が28.8%だった。

景気の基調判断は「景気は、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、中東情勢による不透明感が残ることに加え、自然災害の影響に対する懸念もみられるが、持ち直しの動きが続くとみられる」とされた(内閣府・同調査結果概要)。宿泊業はこの調査で「家計動向関連」のうち「サービス関連」に分類され、観光型ホテル・都市型ホテル・観光型旅館・旅行代理店の回答者が地域ごとに置かれている。

9月のDI — サービス関連が50.5で全体を押し上げ、先行きは48.5へ

現状判断DI(季節調整値)は4月の40.8から9月の47.0まで、5月以降5か月続けて上がってきた。牽引役はサービス関連で、4月42.8→5月44.3→6月46.4→7月46.4→8月46.8→9月50.5と、8月までの小刻みな上昇から9月に3.7ポイント跳ねている。飲食関連は46.7(+0.5)と小幅、住宅関連は40.3(▲5.8)と大きく下げたため、家計動向関連全体では46.8(+1.3)にとどまった。

出典:内閣府「景気ウォッチャー調査 令和8年9月調査結果」(季節調整値)よりホテルバンク編集部作成

表1 現状判断DI(季節調整値)の推移 — 2026年4月〜9月
区分4月5月6月7月8月9月前月差
合計40.843.644.045.746.447.0+0.6
家計動向関連40.543.843.545.445.546.8+1.3
 小売関連40.944.442.845.044.745.5+0.8
 飲食関連34.644.541.847.546.246.7+0.5
 サービス関連42.844.346.446.446.850.5+3.7
 住宅関連31.534.838.441.946.140.3▲5.8
企業動向関連41.543.745.646.648.247.1▲1.1
雇用関連41.441.543.946.148.849.0+0.2

出典:内閣府「景気ウォッチャー調査 令和8年9月調査結果」現状判断DI(季節調整値)

先行き判断DIは様子が異なる。全体は8月の48.3から9月は47.4(▲0.9)へ、サービス関連は8月に51.2まで上がっていたものが48.5(▲2.7)へ下がった。飲食関連は43.9(▲3.8)と下げ幅が大きい。現状が上向く一方で2〜3か月先を慎重に見る回答者が増えた形であり、その理由は後段で件数にする。

出典:内閣府「景気ウォッチャー調査 令和8年9月調査結果」(季節調整値)よりホテルバンク編集部作成

表2 先行き判断DI(季節調整値)の推移 — 2026年4月〜9月
区分4月5月6月7月8月9月前月差
合計39.440.745.745.848.347.4▲0.9
家計動向関連39.840.945.745.748.047.0▲1.0
 小売関連40.840.945.945.947.047.3+0.3
 飲食関連38.942.446.042.947.743.9▲3.8
 サービス関連39.642.646.847.351.248.5▲2.7
 住宅関連31.431.438.238.042.241.0▲1.2
企業動向関連37.940.445.946.049.147.8▲1.3
雇用関連40.139.244.846.548.648.4▲0.2

出典:内閣府「景気ウォッチャー調査 令和8年9月調査結果」先行き判断DI(季節調整値)

宿泊・旅行の現場コメント — 現状73件のうち「変わらない」が31件、地域で判断が割れる

内閣府は調査と同時に「景気判断理由集」を地域別に公表しており、回答のうち主だったもの・特徴的なものが回答者の業種と判断記号つきで載る。ここから観光型ホテル・都市型ホテル・観光型旅館・旅行代理店の4業種を抜き出すと、現状判断は73件、先行き判断は85件あった。理由集は全回答ではないため、以下の件数は「掲載されたコメントの数」であって回答者全体の分布ではない点に留意したい。回答者は匿名であり、本稿も施設や企業を推測しない。

現状判断73件の内訳は◎6・○21・□31・▲12・×3で、改善側27件が悪化側15件を上回る。地域別に見ると東北は◎2・○2・□5と悪化側がなく、中国も◎1・○3・□3で同様だった。これに対し近畿は□6・▲4で改善側は1件、四国と北関東は▲が2件ずつと、西日本と関東北部で慎重な声が目立つ。

表3 宿泊・旅行4業種の現状判断コメント件数(地域×判断、N=73件)
地域◎○□▲×計
北海道1131–6
東北225––9
北関東–3–2–5
南関東–23117
甲信越113––5
東海1241–8
北陸––2––2
近畿–164–11
中国133––7
四国–1–2–3
九州–31116
沖縄–21–14
計6213112373

出典:内閣府「景気ウォッチャー調査 令和8年9月調査 景気判断理由集(現状)」よりホテルバンク編集部集計(観光型ホテル・都市型ホテル・観光型旅館・旅行代理店、N=73件)

出典:内閣府「景気ウォッチャー調査 令和8年9月調査 景気判断理由集(現状)」よりホテルバンク編集部作成(N=73件)

業種別では都市型ホテルが◎5・○7と改善側の比重が高く、観光型ホテルは□7・×2と「変わらない」が中心だった。旅行代理店は28件のうち□が14件で、物価高と天候不順が話題の中心になっている。先行きになると旅行代理店は□19・▲10と慎重側へ傾き、都市型ホテルは○12で紅葉・忘年会・年末の予約を根拠に上向きを見込む回答が多い。

表4 業種別の判断コメント件数(現状N=73件・先行きN=85件)
回答者の業種現状判断(3か月前との比較)先行き判断(2〜3か月先)
◎○□▲×計◎○□▲×計
観光型ホテル–4712142364–15
都市型ホテル5775–2431296–30
観光型旅館–331–7–141–6
旅行代理店17145128141910–34

出典:内閣府「景気ウォッチャー調査 令和8年9月調査 景気判断理由集(現状・先行き)」よりホテルバンク編集部集計(現状N=73件、先行きN=85件)

理由の中身を読むと、9月の軸は「11年ぶりの5連休(9月19〜23日)」「イベント・大会」「天候」の3つに集約される。73件のうち本文に連休への言及があるものは23件(◎2・○8・□11・▲2)で、連休そのものは多くの回答者に好材料として語られているが、□の11件は「連休中は多かったが月単位では変わらない」という読み方である。イベント・大会への言及は12件、台風・長雨・地震など天候・災害への言及は14件あった。

表5 現状判断の理由(地域別抜粋)
地域判断回答者理由(抜粋)
東北◎都市型ホテル(支配人)「各種大型イベント関連や連休等での需要があり、先行予約と直近の取り込みが好調である」
東北◎都市型ホテル(スタッフ)「インバウンドの個人予約が好調に推移している。欧米系の客の利用も好調である」
東北○観光型旅館(スタッフ)「売上は3か月前比約27%増加している。特に宿泊売上の伸びが大きく」
東北□観光型ホテル(スタッフ)「9月の大型連休中の来客数は多かったが、月単位でみれば良くない」
北海道□観光型ホテル(経営者)「宿泊単価が上昇しているものの、旅行会社経由の客を中心に、来客数が少しずつ減少している」
北関東○都市型ホテル(支配人)「宿泊、料飲部門共に、客単価が上がっているため、やや良くなっている」
南関東○都市型ホテル(経営者)「9月はゲーム関連の大規模イベントを中心として催事が非常に多く、売上が伸びている」
甲信越◎都市型ホテル(スタッフ)「9月の大型連休やアイドル系コンサート等のイベント開催で、県外からの客の動きが非常に多かった」
甲信越○観光型旅館(経営者)「今年は大型連休のお陰で売上が非常に伸びた。また、連休が長かったため遠方からの客も多かった」
甲信越□観光型旅館(経営者)「9月は天候が悪く、宿泊予定者のキャンセルが続出し」
東海◎都市型ホテル(従業員)「単価が2000~3000円高くなっても宿泊客は減らない」
東海○観光型ホテル(支配人)「アジア・アジアパラ競技大会の開催に伴い、宿泊部屋の稼働率が非常に高い」
東海□都市型ホテル(総支配人)「宿泊価格を上げると途端に予約の入りは弱くなる」
北陸□都市型ホテル(スタッフ)「宿泊部門はインバウンドを中心に堅調に推移している。宴会部門はイベント開催の状況に左右され」
近畿○都市型ホテル(客室担当)「ハロウィーンの時期とも重なり、テーマパーク関連の宿泊需要は好調に推移している」
近畿□観光型ホテル(経営者)「今年は団体客の減少を個人客の増加でカバーできている。特に、大型連休中は、個人客で満室に近い状況が連日続いた」
近畿□都市型ホテル(営業担当)「9月の大型連休の予約は予想したほど伸びなかった。通常の連休は来客数が増える傾向となるが、特に土曜日の取り込みが伸び悩んでいる」
近畿▲都市型ホテル(フロント)「9月のインバウンドは団体客が好調であったものの、出張やレジャーでの宿泊単価が下がっており」
中国◎都市型ホテル(総支配人)「9月の客室予約が、当月に入り前年比10%以上の伸びとなっている」
中国□都市型ホテル(宿泊担当)「国内レジャーを中心に高稼働、高単価で販売できたが、通常時においては販売量、単価共に3か月前と比べて大きな変動はない」
中国□観光型ホテル(副支配人)「その期間は宿泊が多く、一般の来館者の利用も多くあったが、天候の影響もあり、それ以外の日は少なかった」
四国▲都市型ホテル(経営者)「宿泊需要は堅調若しくは好調であるが、地元の宴会需要は低調である」
九州▲都市型ホテル(スタッフ)「今月は平日が弱く、料金調整が多くある」
九州×観光型ホテル(総務)「令和8年熊本地震の発生後に宴会のキャンセルがあり、いまだ先行きが不透明である」
沖縄○観光型ホテル(専務取締役)「9月の大型連休が好天に恵まれたことで状況が改善し、全体的に来客数は回復傾向にある」
沖縄×観光型ホテル(企画担当)「6月の販売室数が前年比19%増加に対し、9月は前年比0.4%減少でマイナスに転じている」

出典:内閣府「景気ウォッチャー調査 令和8年9月調査 景気判断理由集(現状)」(各地域調査機関による聞き取り。抜粋はホテルバンク編集部)

当社データとの突き合わせ — 12代表県の推定稼働率で見た「5連休の山」と平日

現場の「連休は良かったが月単位では変わらない」という実感を、メトロエンジンリサーチの稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)で確かめる。12地域それぞれの代表県について、2026年9月と8月の日別推定稼働率を全施設区分で取得し、5連休(9月19日〜23日)の平均、連休を除く平日の平均、連休を除く土日の平均を並べた。稼働率はOTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なる。対象施設数と客室数は表に併記した(主要予約サイト掲載ベース)。

表6 12代表県の推定稼働率 — 8月・9月平均と5連休/平日/土日(2026年)
地域/代表県対象施設数/客室数8月平均9月平均5連休
(9/19–23)
9月平日
(連休除く)
9月土日
(連休除く)
連休−平日
(pt)
連休の月平均
押し上げ(pt)
北海道/北海道679/53,14989.690.392.590.488.4+2.1+0.3
東北/宮城県168/13,21789.887.993.086.986.8+6.1+1.0
北関東/栃木県315/13,51385.481.290.879.379.2+11.5+1.9
南関東/東京都805/104,58388.289.892.389.887.8+2.5+0.4
甲信越/長野県507/18,89392.588.495.287.187.0+8.1+1.3
東海/愛知県328/33,63582.590.497.389.687.4+7.7+1.2
北陸/石川県192/14,30283.584.292.682.682.5+10.0+1.6
近畿/大阪府410/59,64780.880.489.679.076.8+10.6+1.8
中国/広島県215/14,79787.988.594.089.680.3+4.4+0.8
四国/愛媛県141/7,98685.082.892.482.575.7+9.9+1.7
九州/福岡県381/28,93589.688.391.187.887.7+3.3+0.5
沖縄/沖縄県708/36,22085.586.790.585.786.7+4.8+0.8

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(稼働率はOTA掲載在庫ベース・推定。9月は30日分・8月は31日分の日別値を平均。連休の押し上げ=9月平均−連休5日を平日と同水準に置き換えた場合の平均)

5連休と平日の差が大きかったのは栃木(+11.5pt)、大阪(+10.6pt)、石川(+10.0pt)、愛媛(+9.9pt)で、小さかったのは北海道(+2.1pt)、東京(+2.5pt)、福岡(+3.3pt)である。差が小さい県はビジネス需要で平日がすでに90%前後まで埋まっており、連休に積み上がる余地が少ない。逆に平日が80%前後の県では連休に10ポイント積み上がる。ただし5日間の山が月平均に与える押し上げは、栃木でも+1.9pt、大阪で+1.8pt、東京では+0.4ptにとどまる。東北の観光型ホテルの回答者が言う「月単位でみれば良くない」は、この算数そのものだろう。連休5日の日別の山と連休明け木曜の落ち込みは、シルバーウィーク2026実績|ピークは9/20泊98.3%、連休明け木曜83.1%で7エリア×4業態の日別値として追っている。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(稼働率はOTA掲載在庫ベース・推定。対象は上表のとおり12県計4,849施設・398,877室、主要予約サイト掲載ベース)

8月と9月の月平均を比べると、愛知が82.5%→90.4%と7.9ポイント上がった。これはアジア・アジアパラ競技大会の開催期間に重なり、東海の回答者が「宿泊部屋の稼働率が非常に高い」と述べたことと符合する。東京(88.2→89.8)と沖縄(85.5→86.7)も9月が上回った一方、長野(92.5→88.4)、栃木(85.4→81.2)、愛媛(85.0→82.8)は夏休みの8月より下がっており、夏の山と秋の谷の間に5連休が入った構図である。本稿で扱わない単価側では、同じ9月にビジネスホテルの推定成約ADRが44都道府県で前年を上回っており、愛知と大阪の読み分けはビジネスホテルの推定成約ADR、2026年9月は44都道府県が前年超え・中央値+7.9%が扱っている。

業態で分けると差はさらにはっきりする。旅館の連休と平日の差は福岡+22.8pt(連休90.5%/平日67.7%)、石川+21.3pt(93.6%/72.3%)、宮城+19.0pt(94.8%/75.8%)と20ポイント前後に達し、ビジネスホテルは大阪+10.2ptと愛媛+10.1ptを除けば一桁、北海道(▲1.5pt)と宮城(▲0.3pt)では平日のほうが高い。観光型旅館の回答者が「連休のお陰で売上が非常に伸びた」と語り、都市型ホテルの回答者が「通常時においては販売量、単価共に3か月前と比べて大きな変動はない」と語るのは、同じ9月を違う業態から見た結果といえる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(稼働率はOTA掲載在庫ベース・推定。旅館は対象施設15以上の県のみ表示。各県のN施設/客室数は下表)

表7 業態別の5連休/平日の推定稼働率(2026年9月、12代表県)
地域/代表県ビジネス
連休/平日
シティ
連休/平日
旅館
連休/平日
リゾート
連休/平日
北海道/北海道92.4/93.9
-1.5pt・N=222/25,913室
89.8/91.4
-1.6pt・N=35/8,550室
95.5/86.2
+9.3pt・N=164/7,210室
93.0/84.0
+9.0pt・N=84/9,065室
東北/宮城県92.2/92.5
-0.3pt・N=58/8,464室
94.8/89.7
+5.1pt・N=10/1,047室
94.8/75.8
+19.0pt・N=62/2,365室
93.7/71.9
+21.8pt・N=10/902室
北関東/栃木県83.6/80.2
+3.4pt・N=59/4,863室
–96.1/79.7
+16.4pt・N=117/5,118室
95.1/80.1
+15.0pt・N=26/1,720室
南関東/東京都92.6/90.5
+2.1pt・N=539/78,439室
92.3/89.7
+2.6pt・N=54/17,294室
95.9/90.2
+5.7pt・N=19/561室
91.5/83.7
+7.8pt・N=12/1,024室
甲信越/長野県94.7/91.3
+3.4pt・N=75/6,922室
94.9/91.0
+3.9pt・N=15/1,446室
95.6/83.8
+11.8pt・N=199/4,867室
95.8/85.4
+10.4pt・N=54/3,875室
東海/愛知県97.4/90.9
+6.5pt・N=172/25,672室
96.4/87.0
+9.4pt・N=22/3,640室
96.3/80.8
+15.5pt・N=77/1,610室
–
北陸/石川県92.4/87.2
+5.2pt・N=70/9,335室
–93.6/72.3
+21.3pt・N=74/3,131室
–
近畿/大阪府89.1/78.9
+10.2pt・N=285/47,820室
91.9/79.7
+12.2pt・N=34/7,905室
92.9/78.9
+14.0pt・N=21/417室
–
中国/広島県93.7/91.4
+2.3pt・N=93/11,030室
95.5/88.8
+6.7pt・N=14/1,662室
96.3/84.6
+11.7pt・N=38/978室
–
四国/愛媛県90.2/80.1
+10.1pt・N=50/5,232室
93.4/85.5
+7.9pt・N=10/1,304室
98.4/89.2
+9.2pt・N=36/993室
–
九州/福岡県91.2/89.9
+1.3pt・N=175/22,893室
91.9/85.5
+6.4pt・N=22/2,949室
90.5/67.7
+22.8pt・N=52/950室
90.3/75.4
+14.9pt・N=12/755室
沖縄/沖縄県88.4/86.6
+1.8pt・N=134/12,582室
––93.1/86.2
+6.9pt・N=182/16,530室

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(稼働率はOTA掲載在庫ベース・推定、2026年9月。対象施設10未満の区分は「–」。沖縄の旅館はサンプルが小さく非表示)

先行き判断が下がった理由 — 物価・コスト高17件、天候・災害11件、中東・原油で12件

先行き判断DIが下がった背景を、宿泊・旅行関連85件のコメント本文に含まれる語で分類した(1件が複数の項目に該当することがある)。最も多いのは物価・コスト高で17件(20.0%)、次いで紅葉・秋の行楽15件と年末・忘年会・宴会15件が並び、災害・天候・台風が11件、インバウンド8件、九州ふっこう応援割7件、中東・海外情勢6件、原油・燃油・エネルギー6件と続く。全業種1,351件では物価・コスト高が433件(32.1%)、中東・海外情勢90件、金利73件で、宿泊・旅行関連は金利への言及が1件と少なく、代わりに天候と秋の需要期への言及が厚い。

表8 先行き理由に含まれる語の件数(宿泊・旅行関連85件/全業種1,351件)
先行き理由に含まれる語宿泊・旅行関連
(85件中)
比率全業種
(1,351件中)
比率
物価・コスト高(値上げ・人件費・節約志向を含む)1720.0%43332.1%
紅葉・秋の行楽・繁忙期1517.6%433.2%
年末・忘年会・宴会需要1517.6%1077.9%
災害・天候・台風・地震1112.9%1168.6%
インバウンド89.4%423.1%
九州ふっこう応援割78.2%80.6%
中東・海外情勢67.1%906.7%
原油・燃油・エネルギー67.1%372.7%
団体需要67.1%100.7%
円安・為替33.5%433.2%
消費税(食料品の税率引下げ)22.4%211.6%
金利11.2%735.4%

出典:内閣府「景気ウォッチャー調査 令和8年9月調査 景気判断理由集(先行き)」よりホテルバンク編集部集計(語による分類、複数該当あり)

同じ85件でも判断記号で読み分けると、○・◎の26件は紅葉、忘年会、インバウンドの先行予約を根拠にし、▲の21件は物価、円安、中東情勢、天候を挙げる。物価・コスト高に触れた17件の内訳は□8・▲6・○3で、コスト上昇を認識しつつ「変わらない」と置く回答者が半数近い。原油・エネルギーに触れた6件のうち2件は○で、「今のところすぐには原価に反映しない上に、直近では売価で吸収できている」(南関東・都市型ホテル・□)のように、価格転嫁の手応えを語る声も混じる。

表9 先行き判断の理由(地域別抜粋)
地域判断回答者先行きの理由(抜粋)
東北◎都市型ホテル(スタッフ)「紅葉が見頃の時期であり、予約状況は非常に好調である」
北関東○都市型ホテル(経営者)「インバウンドが前年比で倍増している」
南関東○都市型ホテル(経営者)「仕入価格の上昇に歯止めがかからず、利幅は縮小している。エネルギー関係も不安定な見通しのため」
甲信越□都市型ホテル(スタッフ)「市内で多くのイベントが開催予定のため、県外からの客の予約が既に入って、前年同月を10%以上上回っている」
東海○観光型ホテル(経営者)「団体旅行を受け入れるホテルや旅館が減っていることもあり、残存者利益を享受できるとみる」
近畿□都市型ホテル(客室担当)「10月のハロウィーン以降は、前年よりも予約のペースは遅く、高単価プランの先行販売が難しい状況にある」
近畿▲都市型ホテル(営業担当)「旅行の見送りや値上がり品の買い控えにより、単価が下がる可能性がある一方、観光業界としてはインバウンドの動きに期待している」
中国○都市型ホテル(宿泊担当)「秋の行楽シーズンを迎えインバウンドの動きも活発になることから12月中旬までは高稼働が続くものと予測している」
九州◎都市型ホテル(スタッフ)「既に予約が多数入っている。販売量、単価共に1年を通して1番の繁忙期になる」
九州○観光型ホテル(支配人)「9月は10月から開始する九州ふっこう応援割を控えた旅行の需要は抑え気味な傾向にある」
沖縄▲観光型ホテル(企画担当)「9月末時点での12月の予約室数は前年比11%減少で、マイナス幅が大きくなっている」

出典:内閣府「景気ウォッチャー調査 令和8年9月調査 景気判断理由集(先行き)」(抜粋はホテルバンク編集部)

企業側の調査である日銀短観(2026年9月調査、10月1日公表)も同じ方向を示す。業況判断DIは「宿泊・飲食サービス」の大企業が最近38(前回46から▲8)、先行き34(▲4)、中小企業が最近12(▲6)、先行き18(+6)で、大企業では足元・先行きとも下がった。短観は企業の経営判断を四半期ごとに聞くもので、景気ウォッチャー調査は現場の個人が毎月答え、地域別の理由が読める点が異なる。短観で大企業の宿泊・飲食が8ポイント下げた9月に、ウォッチャーのサービス関連DIは3.7ポイント上がっており、二つを重ねると「9月単月の現場は連休とイベントで良かったが、企業の四半期判断はコスト高と先行きの不透明さを重く見た」と読める。

運営者への含意 — 連休の山と月平均の差をどう予算に入れるか

第一に、連休の山は月平均を2ポイント前後しか動かさない。12県の全施設区分で連休の押し上げは最大+1.9pt(栃木)、最小+0.3pt(北海道)だった。月次予算を連休の手応えで引き上げるより、連休を除く平日19日と土日6日の水準を先に置き、連休5日を上乗せとして別建てにしたほうが、着地との差が小さくなる。宿泊単価を論じない本稿でも、稼働の算数だけで「連休は良かったのに月では届かない」という感覚の正体は説明がつく。

第二に、業態で伸びしろの置き場所が違う。旅館・リゾートは連休と平日の差が県により約6〜23ポイントと大きく、平日の受け皿づくり(連泊、ワーケーション、平日限定の体験商品)に伸びしろがある。ビジネスホテルは平日がすでに90%前後で、連休の上乗せ余地は数ポイントにとどまるため、連休は量より単価、平日は法人・連泊の安定化という役割分担になる。大阪のビジネスホテルは平日78.9%・連休89.1%と差が10.2ptあり、都市部でも平日に受け皿の余地が残る県がある。旅館の谷が連休明けにどこまで深くなるかは、栃木県の旅館・リゾート、9月5連休は推定OCC99.7%・10月上旬平日は60.0%(推定値・2026年9月〜10月・栃木県の旅館・リゾート集計)が39.7pt差として示している。

第三に、先行きの材料は地域ごとに具体的である。九州は10月からの九州ふっこう応援割を控えて9月の需要が「抑え気味」だった回答があり、10月以降の予約増とその終了後の反動の両方が理由集に書かれている。関西はハロウィーン以降の予約ペースと高単価プランの先行販売、東北・北関東は紅葉と宿泊クーポン、沖縄は12月の予約室数が前年比11%減という具体的な数字が出ている。地域の回答者が挙げた材料を自施設の予約カーブと重ねることが、先行きDIの読み方として最も実用的だろう。

最後に、この調査は毎月第2週に前月分が公表される。10月調査(11月上旬公表)では、5連休のない10月の現状判断と、年末年始の先行き判断が読める。連休の山が消えた月にサービス関連DIが50を維持できるかが、秋の需要の強さを測る次の確認点になる。

よくある質問

Q. 景気ウォッチャー調査のDIが50を超えると宿泊需要は「良い」のですか。
A. いいえ。50は「3か月前と変わらない」の線です。50超は改善したと答えた人が悪化したと答えた人より多い状態を意味し、水準の良し悪しではなく方向感を示します。

Q. 回答者コメントの件数は業界全体の分布を表しますか。
A. 表しません。景気判断理由集に載るのは各地域の調査機関が主だったもの・特徴的なものとして選んだコメントで、本稿の73件・85件はその掲載数です。

Q. 本稿の稼働率は観光庁の客室稼働率と同じものですか。
A. 異なります。本稿の稼働率は主要予約サイトに掲載された在庫の消化状況から推定した値で、観光庁「宿泊旅行統計調査」の客室稼働率とは対象・手法が違います。長期の月次比較には観光庁の統計を使ってください。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

内閣府「景気ウォッチャー調査(令和8年9月調査)」の現状・先行き判断DI(季節調整値)と景気判断理由集(現状・先行き)、日本銀行「短観(2026年9月調査)」、およびメトロエンジンリサーチの都道府県×施設区分の日別推定稼働率(OTA掲載在庫ベース、2026年8月・9月、12代表県計4,849施設・398,877室、主要予約サイト掲載ベース)。

■ 試算前提

5連休は9月19日〜23日泊の5日平均、平日・土日は連休5日を除いた日の平均。連休の月平均押し上げは「9月平均 − 連休5日を平日平均に置き換えた場合の9月平均」。コメント件数は観光型ホテル・都市型ホテル・観光型旅館・旅行代理店の4業種の掲載コメントを判断記号別に数え、先行き理由は本文に含まれる語で分類した(1件が複数項目に該当しうる)。

■ 限界・留意点

景気判断理由集は各地域の調査機関が選んだ掲載コメントであり、回答者全体の分布ではない。推定稼働率はOTA掲載在庫の消化状況に基づく推定値で、施設全体の実稼働率や観光庁「宿泊旅行統計調査」の客室稼働率とは対象・手法が異なる。代表県は各地域1県で地域全体を代表しない。対象施設10未満の区分は表示していない。

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