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ホテルADR一覧 2026年9月|47都道府県ビジネスホテルの掲載・推定成約ADRと前年比 — 東京¥21,594

投稿日 : 2026.10.28

指定なし

ホテルADR一覧 2026年9月|47都道府県ビジネスホテルの掲載・推定成約ADRと前年比 — 東京¥21,594

メトロエンジンリサーチが集計した2026年9月(確定月)の全国47都道府県・ビジネスホテルの客室単価を、都道府県ごとに「掲載ADR(2名1室・税込)」「推定成約ADR(税抜相当)」「前年同月比」「対象施設数」の4点で1表にまとめた。掲載ADRの最高は愛知の¥21,600と東京の¥21,600でほぼ並び、最低は徳島の¥11,600、47都道府県の中央値は¥15,000(兵庫)だった。推定成約ADRでは東京の¥13,400が単独首位で、中央値は¥7,600(三重)である。本稿は前年比の読み解きではなく、「自分の県・比較したい県の水準を引く」ための参照ページとして構成した。前年同月比の背景(5連休・愛知のアジア競技大会・大阪の前年万博要因)は姉妹記事「ビジネスホテルの推定成約ADR、2026年9月は44都道府県が前年超え・中央値+7.9%」で扱っているので、数字の「なぜ」はそちらを参照されたい。

対象: 全国47都道府県のビジネスホテル(都道府県別 N=33〜991施設、47都道府県合計 掲載ADR N=7,604施設・推定成約ADR N=7,427施設)。宿泊月は2026年9月の確定値で、前年同月比は2025年9月の確定値との比較。データ時点: 2026年10月18日集計。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
表を読む前に — 2つのADRは別物である
表1の「掲載ADR」は、OTA等に出ている全プランの値札の平均(2名1室・税込)であり、「推定成約ADR」は最安プラン水準に業態別の補正係数を掛けた成約単価の推定値(税抜相当)である。前者は食事付きプランや上位客室の価格を含むため、後者より常に高く出る。2026年9月の47都道府県では、推定成約ADRは掲載ADRの46.0%〜61.9%(中央値51.6%)の範囲にあった。自館の実績ADR(税抜)やREITの開示ADRと比べるなら右列(推定成約ADR)、市場に出ている値札の相場を見るなら左列(掲載ADR)を使い、左右の列を直接比べたり、他記事のADRと混ぜて比較しないようにしてほしい。
Key Takeaways
  • — 掲載ADRの首位は愛知¥21,599・東京¥21,594(差5円)。3位北海道¥19,912、4位京都¥19,065、5位石川¥18,784。
  • — 推定成約ADRは東京¥13,364が単独首位。愛知・京都が¥11,701で並び、福岡¥10,958、北海道¥10,842が続く。
  • — 下位5県は徳島¥11,620・鳥取¥12,347・山口¥12,598・宮崎¥12,661・栃木¥12,667(掲載ADR)。首位との差は約1.9倍。
  • — 成約/掲載比は東京61.9%〜大分46.0%。大都市ほど2つのADRが近く、地方ほど値札と成約推定の開きが大きい。
  • — 47都道府県すべてで対象施設数は系列の通常水準を保っており、薄カバレッジの注記対象はない。

47都道府県 ビジネスホテルADR一覧表(2026年9月・掲載ADR順)

表1が本稿の本体である。掲載ADR(2名1室・税込)の高い順に47都道府県を並べ、それぞれの前年同月比、推定成約ADR(税抜相当)とその前年同月比、推定成約ADRを掲載ADRで割った「成約/掲載比」、対象施設数を1行にまとめた。順位は掲載ADR基準なので、推定成約ADRの順位は入れ替わる県がある(例えば愛知と東京、福岡と北海道)。前年同月比が赤字の県は、掲載ADRでは4府県(大阪・京都・滋賀・栃木)、推定成約ADRでは栃木がわずかにプラスのため3府県(大阪・京都・滋賀)で、いずれも背景は姉妹記事で整理している。

表1 ビジネスホテル 掲載ADR・推定成約ADR・前年同月比・対象施設数 — 47都道府県(2026年9月確定値・掲載ADR降順)。N列は「掲載ADRの対象施設数/推定成約ADRの対象施設数」。
順位都道府県掲載ADR
2名1室・税込
前年同月比推定成約ADR
税抜相当
前年同月比成約/掲載比N(施設)
掲載/成約
1愛知県¥21,599+45.6%¥11,701+53.2%54.2%327/321
2東京都¥21,594+0.2%¥13,364+2.2%61.9%991/914
3北海道¥19,912+7.1%¥10,842+8.9%54.4%419/437
4京都府¥19,065−5.3%¥11,701−2.4%61.4%367/327
5石川県¥18,784+17.3%¥9,712+20.5%51.7%117/110
6福岡県¥18,635+8.7%¥10,958+9.9%58.8%352/342
7奈良県¥17,265+9.0%¥9,035+14.5%52.3%33/32
8岐阜県¥17,134+14.0%¥8,713+20.3%50.9%124/122
9青森県¥17,104+22.6%¥8,818+18.8%51.6%88/86
10長野県¥17,045+10.6%¥8,622+11.6%50.6%171/168
11福井県¥16,903+4.8%¥7,923+10.3%46.9%45/46
12神奈川県¥16,556+11.5%¥9,249+6.5%55.9%217/209
13宮城県¥16,441+10.3%¥8,548+17.3%52.0%140/142
14山梨県¥16,291+11.9%¥8,291+9.0%50.9%78/73
15広島県¥16,065+11.6%¥8,554+12.1%53.2%186/187
16秋田県¥16,023+6.2%¥7,993+4.6%49.9%59/59
17島根県¥15,931+5.4%¥7,533+4.2%47.3%55/57
18山形県¥15,915+9.3%¥7,606+6.5%47.8%71/71
19沖縄県¥15,744+5.0%¥8,835+9.4%56.1%210/197
20高知県¥15,545+9.2%¥7,994+12.9%51.4%66/66
21熊本県¥15,545+16.0%¥8,220+20.0%52.9%122/122
22千葉県¥15,296+5.3%¥8,256+3.9%54.0%169/166
23香川県¥15,116+6.1%¥7,511+1.5%49.7%95/91
24兵庫県¥15,046+4.1%¥7,826+1.9%52.0%174/168
25大阪府¥14,971−31.5%¥8,872−34.0%59.3%554/504
26岩手県¥14,865+9.7%¥6,946+14.4%46.7%78/84
27新潟県¥14,799+11.4%¥7,462+12.6%50.4%127/126
28滋賀県¥14,752−5.7%¥7,505−4.6%50.9%78/80
29富山県¥14,474+4.8%¥7,113+6.8%49.1%71/72
30岡山県¥14,386+10.8%¥7,748+10.1%53.9%99/97
31静岡県¥14,262+8.7%¥7,372+7.9%51.7%227/221
32三重県¥14,132+13.8%¥7,633+19.9%54.0%91/93
33埼玉県¥13,940+6.4%¥7,561+0.4%54.2%151/147
34佐賀県¥13,648+4.6%¥6,744+7.2%49.4%50/49
35福島県¥13,643+3.9%¥6,381+5.3%46.8%136/156
36大分県¥13,536+6.8%¥6,228+2.4%46.0%85/89
37長崎県¥13,488+3.4%¥6,952+8.5%51.5%132/128
38茨城県¥13,349+2.6%¥6,791+2.8%50.9%183/187
39和歌山県¥13,203+2.7%¥6,140+1.4%46.5%72/69
40群馬県¥13,156+5.0%¥6,846+11.1%52.0%99/101
41鹿児島県¥12,777+4.5%¥6,258+6.7%49.0%155/160
42愛媛県¥12,742+5.0%¥6,085+3.5%47.8%101/101
43栃木県¥12,667−1.0%¥6,582+0.2%52.0%133/137
44宮崎県¥12,661+7.6%¥6,916+13.5%54.6%84/87
45山口県¥12,598+2.0%¥6,499+6.9%51.6%96/98
46鳥取県¥12,347+5.8%¥6,234+8.6%50.5%51/53
47徳島県¥11,620+2.6%¥5,769+7.3%49.6%75/75
—47都道府県 中央値¥15,046+6.2%¥7,633+7.9%51.6%7,604/7,427

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

※ 掲載ADRは全プラン平均(2名1室・税込)、推定成約ADRは最安プラン水準×業態別補正係数(税抜相当)。都道府県の値はいずれも対象施設の中央値。前年同月比は2025年9月確定値との比較。成約/掲載比=推定成約ADR÷掲載ADR。対象施設数が過去13ヶ月の系列中央値の6割を下回る都道府県は注記する運用としているが、2026年9月は該当なし。

地方ブロック別の水準 — 中部・東北・近畿が上、関東・四国・九州が下

47行を一度に眺めるのは骨が折れるため、8つの地方ブロックで中央値を取ったものが表2である。掲載ADRの中央値は、1道のみの北海道¥19,900を別にすると中部¥16,900・東北¥16,000・近畿¥15,000が上位で、関東¥13,900、四国¥13,900、九州・沖縄¥13,600が下位に位置する。ただしブロック内のばらつきは大きく、関東は東京¥21,600から栃木¥12,700まで、九州・沖縄は福岡¥18,600から宮崎¥12,700までの幅がある。ブロックの中央値はあくまで地域の「標準的な県」の目安であり、個別の県の判断には表1の行を使うのが適切だろう。

表2 地方ブロック別 ビジネスホテル 掲載ADR・推定成約ADRの中央値(2026年9月)。「最高」「最低」はブロック内の掲載ADR。
地方ブロック都道府県数掲載ADR 中央値推定成約ADR 中央値最高(掲載)最低(掲載)N(施設・掲載)
北海道1¥19,912¥10,842北海道 ¥19,912北海道 ¥19,912419
東北6¥15,969¥7,799青森県 ¥17,104福島県 ¥13,643572
関東7¥13,940¥7,561東京都 ¥21,594栃木県 ¥12,6671,943
中部9¥16,903¥8,291愛知県 ¥21,599静岡県 ¥14,2621,287
近畿7¥14,971¥7,826京都府 ¥19,065和歌山県 ¥13,2031,369
中国5¥14,386¥7,533広島県 ¥16,065鳥取県 ¥12,347487
四国4¥13,929¥6,798高知県 ¥15,545徳島県 ¥11,620337
九州・沖縄8¥13,592¥6,934福岡県 ¥18,635宮崎県 ¥12,6611,190

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

地図で見る47都道府県の掲載ADR

図1は各都道府県の掲載ADRを県庁所在地の位置に円で示したものである。円の色が濃いほど掲載ADRが高く、円の大きさは対象施設数に比例する。円をクリックすると掲載ADR・推定成約ADR・推定成約ADRの前年同月比・対象施設数が表示される。三大都市圏と北海道・福岡の濃い円に対し、四国・南九州・山陰の薄い円が目に入るはずで、ビジネスホテルの単価が「都市の規模」と「観光・出張需要の厚み」に沿って段差を作っている様子が一望できる。

図1 都道府県別 ビジネスホテル 掲載ADR(2名1室・税込)2026年9月。円の色=掲載ADRの帯、円の大きさ=対象施設数。位置は県庁所在地。

¥18,000以上 ¥16,000〜17,999 ¥14,000〜15,999 ¥14,000未満

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

上位5県 — 愛知と東京が¥21,600で並び、北海道・京都・石川が続く

掲載ADRの上位5県は、愛知¥21,600、東京¥21,600、北海道¥19,900、京都¥19,100、石川¥18,800である。愛知が東京に5円差まで並んだ点は、2026年9月の表でもっとも目を引く箇所だろう。ただし愛知の前年同月比は掲載ADRで+45.6%、推定成約ADRで+53.2%と、47都道府県の中で飛び抜けており、9月19日(土)から10月4日(日)まで愛知・名古屋で開催された第20回アジア競技大会の会期と重なる一時的な需要集中の影響が大きいと考えられる(愛知県・名古屋市の公表資料による会期)。愛知の月次水準は2025年6月から2026年8月まで推定成約ADRで¥7,300〜¥8,400のレンジにあり、9月の¥11,700はそこから外れた点であるため、この表の愛知の行を「平常時の水準」として参照するのは適切ではない。曜日別の稼働の形は「愛知のビジネスホテル、9月は木曜92.5%・日曜84.8%」が詳しい。

東京は掲載ADR¥21,600に対し推定成約ADR¥13,400で、成約/掲載比61.9%は47都道府県で最も高い。前年同月比は掲載で+0.2%、推定成約で+2.2%と小幅なプラスにとどまり、5連休を含む月としては落ち着いた着地といえる。対象施設数は991施設と全国の13%を占め、表の中で最も厚いサンプルに支えられた行でもある。北海道は掲載¥19,900・推定成約¥10,800(N=419)で3位、京都は掲載¥19,100・推定成約¥11,700(N=367)で4位に入ったが、京都は前年同月比が掲載−5.3%・推定成約−2.4%と、上位5県で唯一のマイナスだった。石川は掲載¥18,800・前年同月比+17.3%(N=117)で、北陸の中では福井¥16,900・富山¥14,500を大きく引き離している。

下位5県 — 徳島¥11,600から栃木¥12,700まで、首位との差は約1.9倍

反対側の5県は、徳島¥11,600、鳥取¥12,300、山口¥12,600、宮崎¥12,700、栃木¥12,700である。推定成約ADRでは徳島¥5,800、愛媛¥6,100、和歌山¥6,100、大分¥6,200、鳥取¥6,200の順となり、栃木と山口は推定成約ベースでは下位5県から外れる。首位の愛知・東京と徳島の掲載ADRの差は1.86倍、推定成約ADRでの東京と徳島の差は2.32倍で、ビジネスホテルという同一業態の中でも都道府県間に2倍前後の単価差が存在する。

下位の県に共通するのは、前年同月比がプラスであっても伸び幅が中央値を下回る点である。徳島は掲載+2.6%・推定成約+7.3%、鳥取は+5.8%・+8.6%、山口は+2.0%・+6.9%と、推定成約ADRでは全国中央値(+7.9%)に届くか届かないかの水準にとどまっている。一方で宮崎は推定成約ADRが+13.5%と中央値を上回って伸びており、単価の絶対水準は低くても上昇局面にある県が下位にも含まれている。栃木は掲載ADRが−1.0%、推定成約が+0.2%と、47都道府県の中でもっとも前年に近い着地だった。

掲載ADRと推定成約ADRの乖離 — 大都市は6割前後、地方は46〜48%

表1の「成約/掲載比」は、推定成約ADRが掲載ADRの何%にあたるかを示す。この比率には、税込と税抜相当の差(約9ポイント分)、全プラン平均と最安プラン水準の差、業態別の補正係数という3つの定義差が同時に含まれており、県ごとの違いは主に2つ目、すなわち「その県のビジネスホテルが出しているプランの価格幅」を反映していると読める。図2は47都道府県をこの比率の高い順に並べたものである。

図2 成約/掲載比(推定成約ADR÷掲載ADR)2026年9月・47都道府県。濃い青=55%以上、灰色=48%未満。縦線は中央値。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

比率が高い(2つのADRが近い)のは東京61.9%、京都61.4%、大阪59.3%、福岡58.8%、沖縄56.1%、神奈川55.9%で、いずれも大都市圏か主要観光地である。これらの県では素泊まりの宿泊特化型プランが販売の中心で、プラン間の価格幅が小さいため、全プラン平均と最安プラン水準が近づくと考えられる。反対に比率が低い(開きが大きい)のは大分46.0%、和歌山46.5%、岩手46.7%、福島46.8%、福井46.9%で、ビジネスホテルであっても夕食付きや温泉付きの高めのプランが掲載価格の平均を押し上げている可能性がある。地方で掲載ADRだけを見て相場を判断すると、実際の成約水準を高めに見積もることになりかねない。なお、同じ2026年9月の掲載価格から素泊まりと朝食付きの実額を都道府県別に並べたものは「ビジネスホテルの素泊まり相場は1泊約1.3万円」が整理している。

この乖離は、どちらのADRが正しいかという話ではなく、用途の違いとして扱うのが適切だろう。投資家が物件のアンダーライティングでREIT開示ADRと並べる場合や、運営者が自館の実績ADRと県の標準水準を比べる場合は推定成約ADR(右列)を使い、プラン設計や競合の値札を確認する場面では掲載ADR(左列)を参照する。同じ県でも左右の列で順位が動く(例えば福井は掲載11位・推定成約21位、沖縄は掲載19位・推定成約10位)ため、記事やレポートで数字を引用する際は、どちらの列かを必ず添えてほしい。掲載価格と成約単価の倍率を業態をまたいで47都道府県で地図化した「ホテル相場は2種類ある|掲載価格÷成約単価は1.7〜2.9倍、47都道府県マップ」も、この乖離を読む際の物差しになる。

47都道府県の掲載ADRと推定成約ADRを並べて見る

図3は表1の2列をそのまま横棒グラフにしたものである。濃い青が掲載ADR、薄い青が推定成約ADRで、上から掲載ADRの高い順に並ぶ。全県で薄い棒が濃い棒の内側に収まり、その長さの比が図2の成約/掲載比にあたる。愛知・東京・北海道・京都・石川・福岡の6県で掲載ADRが¥18,000を超える一方、¥14,000未満が15県あり、分布は中央値¥15,000の下側に厚い。

図3 都道府県別 ビジネスホテル 掲載ADR(2名1室・税込)と推定成約ADR(税抜相当)2026年9月・掲載ADR降順。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

大阪¥15,000と愛知¥21,600 — 表の読み方に注意が要る2府県

表1の中で、水準をそのまま「平常時の相場」として読んではいけない行が2つある。ひとつは大阪で、掲載ADR¥15,000・推定成約ADR¥8,900は前年同月比がそれぞれ−31.5%・−34.0%と47都道府県で唯一の3割減だが、これは前年の2025年9月が大阪・関西万博(2025年4月13日〜10月13日、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会の公表による)の会期終盤にあたり、比較基準が押し上げられていたためである。大阪の推定成約ADRは2025年11月¥11,600、12月¥10,500と会期後に下がっており、2026年9月の¥8,900はその延長線上にある。比較相手を2024年に置き直した読み方は「大阪の確定7〜9月ADR、シティ−22〜−25%・ビジネス−32〜−34%」で扱っている。

もうひとつは前述の愛知で、こちらは逆方向に一時要因が乗っている。表の値そのものは実測値であり修正の必要はないが、来月以降の表で愛知の水準がレンジに戻るかどうかを確認してから「新しい水準」と判断するのが妥当だろう。なお福岡は掲載¥18,600・推定成約¥11,000で前年同月比+9.9%と、大都市圏の中では新規供給が増える局面でも単価を伸ばした県である。その背景は「福岡は2026年に72施設・1,778室が新規開業」で整理している。

この一覧表の使い方 — 投資家・運営者・RM担当それぞれの引き方

投資家が物件を評価する場面では、対象県の推定成約ADR(右列)を起点にしたい。REITが開示する物件別ADRは税抜の成約実績であり、推定成約ADRはこれと同じ土俵に置けるよう設計されている(照合誤差の中央値は約7%)。対象物件の実績ADRが県の推定成約ADRを上回っているなら県内でアッパー側、下回っているなら標準以下の位置づけという目安になる。ただし都道府県の値は中央値であり、県庁所在地と郊外では水準が異なるため、市区町村単位の値が必要な場合は別途確認するのが望ましい。県内の市区町村間で単価がどれほど開くかは「県内でいちばん価格差が開く県はどこか — 47都道府県の市区町村ADR格差ランキング2026」で47都道府県を横並びにしている。

運営者やRM担当が自館の値付けを点検する場面では、左右の列を使い分けるとよい。自館の実績ADR(税抜)を右列と比べて立ち位置を確認したうえで、左列の掲載ADRを「競合が出している値札の平均」として参照すれば、掲載価格を上げる余地があるのか、それとも最安プランの水準を見直す余地があるのかを切り分けられる。前年同月比の列は、全国の中央値(掲載+6.2%・推定成約+7.9%)と自県の値を並べ、自県が全国の流れに乗っているかを見るための列である。2026年9月は5連休の暦要因が全国共通で乗っており、それを除いた「実力」の見方は姉妹記事が扱っている。

7月の延べ宿泊者数と推定成約ADRを量×単価の4象限で分類した「2026年7月の延べ宿泊者数は-3.5%、ADRは-4.4%」と合わせて読むと、単価の水準(本稿)と単価の方向(姉妹記事)、そして宿泊需要の量(4象限記事)の3面から都道府県を位置づけられる。

よくある質問

Q. 掲載ADRと推定成約ADRのどちらを「ADR」と呼ぶべきか。

A. 本サイトでは2026年7月以降、「ADR」は推定成約ADR(税抜相当)を指す。掲載ADRは「掲載価格(全プラン平均・税込)」であり、文中でADRと書くときは右列の値を意味する。表1では混同を避けるため両方に明示的なラベルを付けている。

Q. 都道府県の値は平均か中央値か。

A. いずれも対象施設の中央値である。平均ではないため、県内に極端に高い施設や安い施設があっても値が引きずられにくく、「その県の標準的なビジネスホテル」の水準として読める。

Q. 前年同月比は掲載ADRと推定成約ADRで一致しないのはなぜか。

A. 掲載ADRは全プランの平均、推定成約ADRは最安プラン水準を起点にしているため、プラン構成の変化(食事付きプランの追加や削減など)があると2つの前年同月比はずれる。方向が同じであれば単価の動きは確かといえ、方向が異なる県(2026年9月では栃木の掲載−1.0%・推定成約+0.2%)は、プラン構成の変化を疑うべき県といえる。

Q. 10月以降の値はいつ確定するのか。

A. 推定成約ADRは宿泊月が終わった後に確定値として固定される。宿泊月が終わる前の値は現時点の販売状況に基づく推定であり、月末の確定後に前年と比べるのが適切である。本稿の表は2026年9月の確定値のみで構成した。

まとめ

2026年9月のビジネスホテルの単価を47都道府県で並べると、掲載ADR(2名1室・税込)は愛知¥21,600・東京¥21,600を頂点に徳島¥11,600まで約1.9倍の幅があり、中央値は¥15,000だった。推定成約ADR(税抜相当)は東京¥13,400が首位で中央値¥7,600、掲載ADRに対する比率は東京の61.9%から大分の46.0%まで県によって異なり、大都市ほど2つのADRが近い。表を引く際は、どちらの列かを明示し、大阪(前年万博要因)と愛知(アジア競技大会の会期)の2府県は前年比と水準の両方に一時要因が含まれる点を踏まえてほしい。前年同月比の背景は姉妹記事「ビジネスホテルの推定成約ADR、2026年9月は44都道府県が前年超え・中央値+7.9%」に譲り、本稿は毎月の確定後に同じ形式で更新していく一覧の初回分として位置づける。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチの都道府県別ビジネスホテル集計(掲載ADR=全プラン平均・2名1室・税込、推定成約ADR=最安プラン水準×業態別補正係数・税抜相当)。2026年9月と2025年9月の確定値で、47都道府県合計 掲載ADR N=7,604施設・推定成約ADR N=7,427施設(2026年10月18日集計)。イベント会期は愛知県・名古屋市・2025年日本国際博覧会協会の公表資料による。

■ 試算前提

都道府県の値は対象施設の中央値、地方ブロックの値は所属都道府県の値の中央値。成約/掲載比=推定成約ADR÷掲載ADR。前年同月比は2025年9月確定値との単純比較。対象施設数が過去13ヶ月の系列中央値の6割を下回る都道府県を薄カバレッジとして注記する基準を置いた(2026年9月は該当なし)。

■ 限界・留意点

推定成約ADRは推定値で、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なる(REIT開示物件との照合で誤差中央値約7%)。掲載ADRと推定成約ADRは税基準・プラン範囲・補正係数が異なるため、列をまたいだ直接比較はできない。都道府県の中央値は県庁所在地と郊外の差を平均化しており、市区町村単位の水準とは一致しない。2026年9月は5連休と愛知のアジア競技大会、前年9月は大阪・関西万博の会期を含み、前年同月比に一時要因が乗っている。

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