稲荷山温泉(株)(資本金9840万円、長野県千曲市稲荷山571-1)は、4月11日をもって事業を停止し、事後処理を弁護士に一任した。「稲荷山温泉ホテル杏泉閣」(長野県千曲市稲荷山571-1、客室数44室)を運営していた。
温泉宿泊施設、宴会・日帰り利用も、地元では存在感、44室
出典:稲荷山温泉ホテル杏泉閣
同社は、1956年12月に温泉宿泊施設の運営を目的に設立されたもので、当初は旧更級郡稲荷山町及び地元住民が出資する第三セクター方式により運営されていた。
1995年には完全民営化され、多くの地元関係者出資のもとで温泉宿泊施設「稲荷山温泉ホテル杏泉閣」を運営。宿泊のほか宴会、日帰り利用にも対応し、2012年3月期には年収入高約2億8,700万円を計上していた。
アクセスは、長野自動車道更埴ICから車で10分、しなの鉄道屋代駅から車で10分、JR中央線稲荷山駅から車で5分。
地元では大きな存在感を有する施設として知られたが、近年は近隣施設との競合の激化などから業績が低迷。従前の設備投資負担も重荷となり、厳しい経営を続けていた。この間、事業再建に向けた取り組みも模索されてきたが、2019年3月期の年収入高が約1億7,300万円にとどまるなど業況は回復せず、今年に入ってからは新型コロナウイルスの感染拡大の影響が広がったことも重なり先行きの見通しが立たず、事業の継続を断念した。
同館のHPには4月11日から営業を休業する旨が記されている。
負債は2019年3月期末時点で約6億3,200万円。
長野県では木曽町の温泉宿泊施設「ホテル木曽温泉」を運営する合同会社おやどが、3月19日付けで事業を停止しており、新型コロナ関連の倒産は同社を含めると県内では2件目となる。
TDBが報じた。
出典:稲荷山温泉ホテル杏泉閣
長野県千曲市ホテル展開状況
メトロエンジンリサーチによると、千曲市には宿泊施設が46、部屋数にして1,361室が提供されている。新規開業予定は確認できなかった。
旅館が30施設と多く展開しているエリア。
44室の同館は同市内で9番目の規模の宿泊施設。
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