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北海道の確定9月、ビジネス+8.9%・シティ+0.1% — 業態別の推定成約ADR前年比と秋冬の価格判断の基準線

投稿日 : 2026.10.30

北海道

エリア・施設分析

レベニューマネジメント

北海道の確定9月、ビジネス+8.9%・シティ+0.1% — 業態別の推定成約ADR前年比と秋冬の価格判断の基準線

メトロエンジンリサーチが集計した北海道の推定成約ADR(税抜相当)で、2026年9月の確定値を前年同月の確定値と並べると、業態によって明暗が分かれた。ビジネスホテルは¥10,800(N=437)と前年の¥10,000(N=419)から+8.9%上がった一方、シティホテルは¥16,500(N=75)と前年の¥16,500(N=74)からほぼ横ばいの+0.1%にとどまっている。シティは8月に¥17,800(N=75)と前年の¥20,100(N=74)を−11.3%下回っており、9月は下げ幅を消して前年並みに戻った形になる。旅館は−0.2%(N=294)、リゾートは+0.8%(N=147)と、ともに前年水準に並んだ。本稿では、確定月同士の前年差を業態ごとに分解し、対象施設を固定した場合にも同じ結論が出るかを確かめたうえで、秋から冬にかけての価格判断で参照したい「基準線」を整理する。

対象: 北海道のシティホテル N=75・ビジネスホテル N=437・旅館 N=294・リゾートホテル N=147(いずれも2026年9月の集計対象施設数)。本記事の価格指標は推定成約ADR(OTA等の販売データから推定される成約価格水準・税抜相当)。定義は記事末尾。データ時点: 2026年10月28日。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
Key Takeaways
  • — ビジネス+8.9%:2026年9月の北海道ビジネスホテルの推定成約ADRは¥10,842(N=437)で、前年9月の¥9,960から上昇。12ヶ月連続で前年を上回った。
  • — シティ+0.1%:8月の−11.3%から9月は¥16,485(N=75)と前年並みに戻った。旅館−0.2%、リゾート+0.8%も前年水準。
  • — 施設固定でも結論は同じ:4ヶ月とも確定値のある施設に絞ると、9月はビジネス+6.5%(N=396)、シティ+0.0%(N=73)。
  • — 旅館は中央値横ばいでも64.6%が値上げ:固定対象257施設の施設別前年比の中央値は+4.5%。エリア中央値だけでは周囲の値上げを見落とす。
  • — 秋冬の基準線は高い位置:シティ・旅館の2025年10〜12月は前々年比+14.9%〜+31.6%。前年比と前々年比を並べて読みたい。

8月と9月の前年比 — 4業態が同じ方向に動いたわけではない

まずは確定月である8月と9月の前年比を4業態で並べる。8月はビジネスホテルだけが+2.5%(N=438、前年N=417)と前年を上回り、シティ−11.3%、リゾート−6.9%(N=147、前年N=141)、旅館−3.7%(N=293、前年N=280)と、残る3業態はそろって前年を割り込んでいた。なかでもシティは前年8月が前々年比+16.8%と大きく上がっており、その高い比較基準が8月の下げ幅に表れた形である。

ところが9月に入ると構図が変わる。ビジネスホテルが+8.9%へと上昇幅を広げたのに対し、シティ・旅館・リゾートの3業態は−0.2%〜+0.8%の幅に収まり、8月の下げをほぼ消した。つまり9月の北海道は「ビジネスだけが前年を大きく上回り、それ以外は前年並み」という二層構造で読むのが実態に近いといえる。8月確定時点での業態別の動きと夏のRMの打ち手は、北海道のシティは8月確定−11.3%、ビジネスは+2.5%で整理している。

表1 北海道の業態別 推定成約ADR(8月・9月の確定値と前年比)
業態2025年8月(確定)2026年8月(確定)前年比2025年9月(確定)2026年9月(確定)前年比
シティホテル¥20,078(N=74)¥17,801(N=75)−11.3%¥16,476(N=74)¥16,485(N=75)+0.1%
ビジネスホテル¥11,048(N=417)¥11,328(N=438)+2.5%¥9,960(N=419)¥10,842(N=437)+8.9%
旅館¥11,274(N=280)¥10,862(N=293)−3.7%¥9,782(N=275)¥9,764(N=294)−0.2%
リゾートホテル¥20,667(N=141)¥19,240(N=147)−6.9%¥16,068(N=141)¥16,198(N=147)+0.8%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(北海道・推定成約ADR・税抜相当・各月の集計対象施設のエリア中央値)

ここで注意したいのは、前年と今年で集計対象の施設数が一致していない点である。ビジネスホテルは9月で419施設から437施設へ、旅館は275施設から294施設へと対象が増えており、2026年6月以降は前年より対象施設数が多い月が続いている。中央値の前年差には「同じ施設の値動き」と「対象施設の入れ替わり」の両方が含まれるため、次のセクションでは施設を固定して確かめる。

施設を固定した検証 — 結論は変わらないが、旅館は「中央値横ばい・個別は上昇」

2025年8月・9月と2026年8月・9月の4ヶ月すべてで確定値が得られる施設に対象を固定し、同じ施設群の中央値で前年比を取り直した。対象はシティ73施設、ビジネス396施設、旅館257施設、リゾート139施設である。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(固定対象: シティN=73・ビジネスN=396・旅館N=257・リゾートN=139)

結果を見ると、9月の結論はほとんど動かない。固定対象の中央値で比べてもシティは¥16,500から¥16,500への+0.0%、ビジネスは¥10,300から¥10,900への+6.5%、リゾートは¥16,100から¥16,200への+0.8%と、全対象で見た方向と一致した。ビジネスの上昇幅が+8.9%から+6.5%へ縮むのは、新たに対象となった施設が中央値をやや押し上げていたためと読める。それでも固定対象の74.5%が前年9月を上回っており、上昇が一部施設に偏った現象ではないことは確かめられる。

一方で8月のシティは、固定対象で見ると¥20,600から¥17,800への−13.6%と、全対象の−11.3%よりむしろ下げが深い。前年8月を上回ったシティホテルは固定対象の28.8%にとどまり、8月の下げは業態全体に広がった動きだったことになる。9月に前年を上回った施設の割合が49.3%まで戻ったことと合わせると、シティの8月は「一時的な下押し」、9月は「前年並みへの復帰」と整理できる。

読み方に注意が要るのは旅館である。固定対象の中央値は9月に¥10,100から¥10,100への−0.3%と横ばいだが、施設ごとの前年比の中央値は+4.5%で、前年9月を上回った施設は64.6%にのぼる。エリアの中央値が動かなくても、個々の旅館の多くは前年より高い水準で売っていたことを意味している。旅館を運営する立場では、エリア中央値の前年比だけで「前年並み」と判断すると、周囲の値上げに気づかない可能性がある。

表2 施設を固定した前年比の検証(2025・2026年の8・9月)
業態(固定対象N)8月 中央値の前年比8月 前年を上回った施設9月 中央値の前年比9月 施設別前年比の中央値9月 前年を上回った施設
シティホテル(N=73)−13.6%28.8%+0.0%−0.1%49.3%
ビジネスホテル(N=396)+1.8%47.2%+6.5%+8.0%74.5%
旅館(N=257)−3.8%52.1%−0.3%+4.5%64.6%
リゾートホテル(N=139)−6.4%38.8%+0.8%+0.3%54.0%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2025年8・9月と2026年8・9月の4ヶ月すべてで推定成約ADRの確定値が得られる施設)

シティホテル — 前年の高い秋冬が「比較の壁」になる

シティホテルの前年比が夏にかけて沈んだ背景を、3年分の月次推移で確かめる。2025年はほぼ通年で2024年を大きく上回っており、10月は¥14,700で前年比+25.4%、12月は¥13,600で+24.6%、2026年1月は¥14,700で+29.4%と、秋冬に2割を超える上昇が続いていた。その後、前年比は2026年4月の−0.9%から5月−1.4%、6月−3.6%、7月−5.7%と小幅なマイナスが続き、8月の−11.3%で底を打った格好になる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(北海道シティホテル・推定成約ADR・各月N=73〜76。2026年10〜12月は現時点の販売状況に基づく推定で、今後変動し得る)

グラフが示すとおり、2026年の線は8月に2025年の線から大きく離れ、9月に再び重なった。ここで意識しておきたいのは、これからの10月〜12月が前年の上昇局面にあたる点である。2025年10〜12月はいずれも2024年を15〜25%上回っていたため、2026年秋冬のシティは前年比で見ると高いハードルに向き合うことになる。前年比のマイナスがそのまま需要の弱さを意味するとは限らず、2024年の水準とあわせて2段階で見る方が実態をつかみやすいだろう。

ビジネスホテル — 12ヶ月連続で前年を上回る底堅さ

シティと対照的なのがビジネスホテルである。2025年10月から2026年9月までの12ヶ月で、前年比は最も小さい2026年4月でも+0.3%、最も大きい2026年1月で+14.4%と、一度もマイナスに沈んでいない。9月の+8.9%は2026年2月・3月(いずれも+8.1〜+8.2%)に並ぶ水準で、夏の+2.5%〜+4.1%から再び加速した。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(北海道ビジネスホテル・推定成約ADR・確定月N=410〜441。2026年10〜12月は現時点の販売状況に基づく推定で、今後変動し得る)

2024年・2025年・2026年の3本の線は、ほぼ同じ季節形状のまま年ごとに上へずれている。夏の山と冬の谷の形が変わらずに水準だけが上がっているのは、価格の上昇が特定の繁忙期に偏らず、通年の底上げとして進んでいることを示す。シティが前年の急上昇の反動を受けているのに対し、ビジネスは上昇幅が比較的穏やかだった分、前年比が積み上がりやすい構造にあるとも考えられる。北海道のビジネスホテルの需要が曜日のどこに厚いかは、曜日別推定OCCで見た北海道のビジネスホテルが参考になる。

旅館とリゾートも12ヶ月の推移を確認しておく。旅館は2025年12月の+31.6%、2026年1月の+28.4%をはじめ冬場に大きく上昇し、6月(+1.4%)まではプラス圏だったが、7月−3.3%・8月−3.7%と夏に前年を割り、9月は−0.2%で前年並みに戻った。リゾートは2026年5月から8月まで−4.0%〜−6.9%のマイナスが続いた後、9月に+0.8%へ戻している。昨冬の上昇幅が大きかったという点では旅館がシティと似た立ち位置にあり、リゾートの昨冬の前年比は+0.1%〜+6.9%にとどまっていた。

表3 業態別 推定成約ADRの前年同月比(2025年10月〜2026年9月・確定月)
宿泊月(確定)シティビジネス旅館リゾート
2025年10月+25.4%+11.4%+14.9%−5.4%
2025年11月+15.1%+10.8%+22.1%+10.5%
2025年12月+24.6%+9.3%+31.6%+6.9%
2026年1月+29.4%+14.4%+28.4%+1.3%
2026年2月+4.4%+8.1%+23.9%+0.1%
2026年3月+8.4%+8.2%+12.5%+7.5%
2026年4月−0.9%+0.3%+16.9%+0.1%
2026年5月−1.4%+4.9%+8.9%−6.1%
2026年6月−3.6%+2.7%+1.4%−4.9%
2026年7月−5.7%+4.1%−3.3%−4.0%
2026年8月−11.3%+2.5%−3.7%−6.9%
2026年9月+0.1%+8.9%−0.2%+0.8%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(北海道・推定成約ADRの前年同月比。いずれも確定月同士の比較。各月の集計対象施設数は月ごとに異なる: シティN=73〜76・ビジネスN=414〜441・旅館N=241〜297・リゾートN=123〜147)

秋冬の基準線 — 前年確定値と現時点の推定を並べて置く

10月以降はまだ確定していないため、前年比は算出できない。そこで、判断の物差しとして前年同月の確定値を「基準線」として置き、その横に現時点の販売状況に基づく推定値を参考として並べる。推定値は月末に向けて変動し得るので、確定値との単純比較は月末の確定を待つ必要がある。

表4 秋冬の基準線:前年確定値と2026年の現時点推定
業態基準線: 2025年10月(確定)基準線: 2025年11月(確定)基準線: 2025年12月(確定)参考: 2026年10月(推定)参考: 2026年11月(推定)参考: 2026年12月(推定)
シティホテル¥14,688(N=73)¥12,305(N=73)¥13,622(N=74)¥14,819(N=75)¥12,010(N=75)¥14,278(N=74)
ビジネスホテル¥8,688(N=419)¥7,941(N=421)¥7,518(N=425)¥12,063(N=405)¥10,228(N=396)¥11,076(N=388)
旅館¥9,196(N=267)¥9,419(N=245)¥10,574(N=241)¥11,668(N=270)¥11,089(N=262)¥12,261(N=244)
リゾートホテル¥14,064(N=139)¥15,438(N=126)¥18,585(N=135)¥14,780(N=145)¥14,152(N=135)¥18,254(N=130)

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年10〜12月は現時点の販売状況に基づく推定で、今後変動し得る。確定値との単純比較は月末の確定を待つ)

基準線の読み方として押さえたいのは、前年確定値そのものが業態ごとに「どれだけ上がった後の水準か」が違うことである。シティと旅館の2025年10〜12月は前々年比で+14.9%〜+31.6%という上昇局面にあった。一方、ビジネスの同期間は+9.3%〜+11.4%、リゾートは−5.4%〜+10.5%と上昇幅が相対的に小さい。前年確定値を物差しにするときは、その物差し自体が高い位置にあるのか、穏やかな位置にあるのかを併せて意識したい。冬季の掲載価格と推定成約単価の差については、雪国5道県の冬ホテル単価比較で詳しく分析している。

北海道のシティ・ビジネス・旅館・リゾートを運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン

1. 前年比は「エリア中央値」と「施設ごとの分布」の二本立てで読みたい。9月の旅館はエリア中央値が−0.2%で横ばいだったが、施設を固定すると前年を上回った施設が64.6%を占めていた。自館の前年比をエリア中央値と比べるだけでなく、「周囲の多数派が前年より上げているか」という分布の側から照らすと、相対的な位置を見誤りにくい。

2. シティの8月の下げは業態全体の動きとして受け止める余地がある。固定対象のシティで前年8月を上回ったのは28.8%にとどまり、9月には49.3%まで戻った。自館の8月が前年を下回っていても、それが市場全体と同じ方向であれば、9月の戻り方を確認したうえで秋の価格設定を組み立てる方が筋がよいといえる。

3. 秋冬の前年比は、前年の上昇幅とセットで評価したい。シティと旅館は昨秋冬(2025年10〜12月)に前々年比+15%〜+32%上がった水準が比較対象になる。前年比がマイナスに出ても、前々年の水準を上回っているなら、価格が崩れたのか前年が特殊だったのかを分けて考える余地がある。

4. ビジネスホテルは通年の底上げが続いている点を価格改定カレンダーに反映したい。12ヶ月連続で前年を上回り、固定対象でも74.5%の施設が前年9月を上回った。閑散期の下限設定を前年のまま据え置いていないか、改めて点検する価値がある。

表5 アクションプラン:時期・打ち手・判断トリガー
時期打ち手判断トリガー(記事中の数値)狙い
今週自館の8月・9月の実績単価を前年同月と並べ、業態の前年比と照合する自館シティの9月が前年比で業態の+0.1%を大きく下回る、またはビジネスで+8.9%に届かない場合市場全体の動きと自館固有の動きを切り分ける
今週10〜12月の販売中の設定を前年確定値(基準線)と並べて一覧にする自館の設定が業態の基準線(例: シティ10月¥14,688、ビジネス10月¥8,688)を下回る月がある場合値付けの見直し候補月を早めに洗い出す
2週間以内旅館は近隣の多数派の値動きを確認し、前年据え置きの料金帯がないか点検する固定対象の旅館で前年9月を上回った施設が64.6%に対し、自館が前年同水準のままの場合エリア中央値の横ばいに隠れた周囲の値上げを見落とさない
2週間以内ビジネスホテルは閑散期の下限価格を見直す12ヶ月連続で前年比がプラス(+0.3%〜+14.4%)だった一方、自館の下限が前年から変わっていない場合通年の底上げに下限設定を合わせる
来月に向けて10月の確定値が出た時点で、前年比と前々年比を両方確認するシティの前年10月が前々年比+25.4%だった点を踏まえ、前年比がマイナスでも前々年比がプラスかを確かめる高い比較基準による見かけの下落と実勢の変化を分ける
来月に向けて冬季(12月)の設定を、前年確定値の季節形状と照らして組み直すリゾートの前年12月¥18,585、旅館の前年12月¥10,574に対し、自館の冬の上げ幅が前年の形状から外れている場合冬の山の作り方を市場の季節形状に沿わせる

いずれの打ち手も、記事中の数値は北海道全体の業態別中央値である。立地や客室構成によって自館の適正水準は異なるため、基準線は判断を始めるための目安として使い、最終的な設定は自館の予約状況と合わせて検討したい。

まとめ — 業態別の前年差を読む3つの物差し

第一の物差しは「確定月同士の前年比」である。2026年9月の北海道はビジネスが+8.9%、シティ+0.1%、旅館−0.2%、リゾート+0.8%で、ビジネスだけが前年を大きく上回る二層構造だった。8月にシティが−11.3%まで下げた後、9月に前年並みへ戻した動きもこの物差しで確認できる。

第二の物差しは「施設を固定した検証」である。対象施設を固定してもビジネス+6.5%・シティ+0.0%と結論は変わらなかった。ただし旅館は中央値が横ばいでも64.6%の施設が前年を上回っており、中央値と分布の両方を見る必要があることを示した。

第三の物差しは「基準線の高さ」だろう。秋冬の前年確定値は、シティと旅館では昨年の大幅上昇後の水準、ビジネスとリゾートでは比較的穏やかな上昇後の水準にあたる。10月以降の確定値が出たら、前年比と前々年比を並べて読むことで、価格の変化を一段正確に捉えられる。

よくある質問

Q. 2026年9月の北海道の推定成約ADRは前年と比べてどう動いた?

ビジネスホテルは¥10,842(N=437)で前年9月の¥9,960から+8.9%、シティホテルは¥16,485(N=75)で+0.1%、旅館は¥9,764で−0.2%、リゾートホテルは¥16,198で+0.8%でした。ビジネスだけが前年を大きく上回り、他の3業態は前年並みという二層構造です。

Q. 集計対象の施設数が前年と違う影響はないのか?

2025年8・9月と2026年8・9月の4ヶ月すべてで確定値が得られる施設に固定して検証しても、9月はビジネス+6.5%(N=396)、シティ+0.0%(N=73)、リゾート+0.8%(N=139)と、全対象で見た方向と一致しました。ビジネスの上昇幅は対象の入れ替わりの分だけ縮みます。

Q. 旅館の中央値が横ばいなのに「多くが値上げ」とはどういうことか?

固定対象の旅館257施設の中央値は−0.3%と横ばいですが、施設ごとの前年比の中央値は+4.5%で、前年9月を上回った施設が64.6%ありました。中央値の位置にある施設の価格が変わらなくても、分布全体では値上げした施設が多数派だったことを示しています。

Q. シティホテルの8月の−11.3%は自館固有の問題として見るべきか?

固定対象のシティで前年8月を上回ったのは28.8%にとどまり、下げは業態全体に広がっていました。前年8月が前々年比+16.8%と高かった反動が大きく、9月には前年を上回った施設の割合が49.3%まで戻っています。

Q. 10〜12月の価格判断では何を基準にすればよいか?

前年同月の確定値を基準線として置き、その横に現時点の推定値を参考として並べます。シティと旅館の2025年10〜12月は前々年比+14.9%〜+31.6%の上昇後の水準なので、確定値が出たら前年比と前々年比を両方確認すると、見かけの下落と実勢の変化を分けやすくなります。

データについて

表6 データの定義と集計方法
項目内容
推定成約ADROTA等の販売データ(最安プラン水準×業態別係数・複数チャネルのアンサンブル)から推定した成約価格水準(税抜相当)。過去月は確定値、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定値。公表運営実績との照合で誤差中央値6.6%。エリアの値は各月の集計対象施設の中央値。
前年比の算出確定月同士(2026年の確定月と前年同月の確定月)のみで算出。2026年10〜12月の推定値は前年比の算出に用いていない。
対象N(2026年9月)北海道のシティホテル N=75、ビジネスホテル N=437、旅館 N=294、リゾートホテル N=147。前年同月はそれぞれ N=74・419・275・141。集計対象施設数は月ごとに異なり、2026年6月以降は前年より対象施設数が多い月が続く。
固定対象の検証2025年8月・9月と2026年8月・9月の4ヶ月すべてで推定成約ADRの確定値が得られる施設に限定(シティN=73、ビジネスN=396、旅館N=257、リゾートN=139)。中央値の前年比と、施設ごとの前年比の分布を算出した。
データ時点データ時点: 2026年10月28日。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

■ データソース

メトロエンジンリサーチが継続追跡するOTA公開価格・販売状況から算出した北海道の推定成約ADR(税抜相当)。業態はシティホテル・ビジネスホテル・旅館・リゾートホテルの4区分で、エリアの値は各月の集計対象施設の中央値。

■ 試算前提

前年比は確定月同士(2026年の確定月と前年同月の確定月)でのみ算出し、2026年10〜12月の推定値は前年比に用いていない。施設固定の検証は2025年8・9月と2026年8・9月の4ヶ月すべてで確定値が得られる施設(シティ73・ビジネス396・旅館257・リゾート139)に限定した。

■ 限界・留意点

推定成約ADRは最安プラン水準に業態別係数を適用した推定値で、公表運営実績との照合で誤差中央値は約7%。各施設の実際の成約価格・会計数値とは一致しない。集計対象施設数は月ごとに異なり、2026年6月以降は前年より多い月が続くため、中央値の前年差には施設の入れ替わりの影響が含まれる。10〜12月の推定値は月末に向けて変動し得る。

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