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名古屋キャッスルホテル 建て替えは2025年10月に完了|195室→100室、建て替えホテル8件の客室数と休館期間

投稿日 : 2026.10.31

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投資・開発

名古屋キャッスルホテル 建て替えは2025年10月に完了|195室→100室、建て替えホテル8件の客室数と休館期間

「名古屋 キャッスル ホテル 建て替え」と検索して本稿にたどり着いた読者への答えは明確である。名古屋城の外堀に面して1969年から営業してきたホテルナゴヤキャッスル(195室・シティホテル)は2020年9月30日に閉館し、同じ敷地で建て替えられた「エスパシオ ナゴヤキャッスル」(100室)が2025年10月1日に開業済みである。本稿では、この195室から100室への「客室半減・1室面積拡大」という建て替えの型を軸に、名古屋城1km圏の客室ストックが閉館と再開でどう動いたかを2012年から2026年まで追い、さらに全国で進む建て替えホテル8案件の前後客室数・休館期間を一次情報で突き合わせる。読者として想定するのは投資家・開発者・運営者であり、宿泊者向けの選び方は扱わない。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
対象圏域の定義:本記事の客室ストックは、名古屋城から半径1,000m圏内にある客室数10室以上の宿泊施設(レジャーホテルを除く)を対象とし、「稼働中」は直近3か月(2026年8月〜2026年10月)に主要予約サイトで販売価格が確認できた施設を指す(2026年10月25日時点、メトロエンジンリサーチ集計)。
年次推移の定義:2012〜2026年の各年末時点で開業済みかつ閉館前の施設の客室数合計(開業年・閉館年が確認できる施設。同じ圏域だが直近3か月の販売確認を条件としないため、2026年の値は上の「稼働中」と一致しない)。
建て替え一覧の出典:各案件とも運営・所有会社の公表資料、国土交通省「建築物動態統計調査」(建築計画ベース)、または当社既報の一次情報に基づく。確認できない案件は表に載せていない。
Key Takeaways
  • — 建て替えは完了済み:ホテルナゴヤキャッスル(195室)は2020年9月30日に閉館し、同じ敷地の「エスパシオ ナゴヤキャッスル」(100室)が2025年10月1日に開業した。休館期間は5年0か月。
  • — 客室49%減・1室あたり延床約437㎡:延べ43,674.2㎡を100室で割った値で、客室で床を稼ぐのではなく宴会・料飲・大型スイートで単価を取る設計である。
  • — 名古屋城1km圏は633室→478室→595室:閉館で客室の30.8%が抜け、2021年は閉館前比24.5%減。2026年は閉館前の94%まで戻ったが、戻った100室は掲載価格の全プラン平均が約24万円の別の価格帯にある。
  • — 建て替えは減室型・増室型・営業継続型の3つ:減室型はナゴヤキャッスル・磐田(49%減・45%減)、増室型はアパ小倉・東横佐賀・札幌パーク(54〜77%増)、営業継続型は帝国ホテル 東京・新高輪。
  • — 休館期間の目安はフルサービス型4〜5年・宿泊特化型2〜3年:ナゴヤキャッスルの工期は3年11か月で、当社実測の複合用途平均4.00年に近い。解体・準備期間を加えて見込む必要がある。

直答 — ホテルナゴヤキャッスルは建て替え済み、100室の「エスパシオ ナゴヤキャッスル」が2025年10月1日に開業

建て替え前
195室
ホテルナゴヤキャッスル・1969年開業・2020年9月30日閉館
建て替え後
100室
エスパシオ ナゴヤキャッスル・2025年10月1日開業
休館期間
5年0か月
2020年10月〜2025年9月
名古屋城1km圏の稼働客室
593室
7施設・2026年10月25日時点
西区の掲載価格
¥84,200
2026年10月・4施設・2名1室税込

まず事実関係を整理する。ホテルナゴヤキャッスルの運営会社は2013年に医薬品大手の興和が子会社化しており、2020年9月3日の当社既報「50年の歴史に幕「ナゴヤキャッスル」が富裕層狙いで超高級ホテルに建替 24年度再開」では、2024年度の再開を目指して部屋数を大幅に減らしたスイート中心の高級ホテルに建て替える方針を伝えていた。実際の工程はそこから1年ほど後ろにずれ、興和は2025年1月に「エスパシオ ナゴヤキャッスル」を2025年10月1日に開業すると発表した。客室はスイートを含む全100室で平均約70㎡、宴会場「天守の間」は最大約1,700㎡と中部地方最大級の規模を備える(出典:興和発表、トラベルボイス2025年1月31日)。ホテル事業は興和の100%子会社であるエスパシオエンタープライズが2020年に承継しており、建て替え前後で所有・運営の主体は同一グループのまま変わっていない。

国土交通省「建築物動態統計調査」に基づく当社の建築計画データでも、この案件は「愛知県名古屋市西区樋の口町3-19・ホテル・100室・地上11階・延べ43,674.2㎡・着工2021年11月・完成2025年10月1日・建築主エスパシオエンタープライズ株式会社」として確認できる。延床43,674㎡を100室で割ると1室あたり約437㎡になる。宴会場やレストラン、駐車場を含む数字なので客室面積そのものではないが、宿泊特化型ホテルの1室あたり延床が30〜40㎡台にとどまるのと比べれば、この建物が「客室で床を稼ぐ」設計ではなく、宴会・料飲・大型スイートで単価を取る設計であることが読み取れる。なお、2020年の当社既報が伝えた「24年度再開」は閉館時点の計画であり、実際の再開は約1年遅れの2025年10月となった。

ナゴヤキャッスル建て替えの前後 — 客室は49%減、1室あたり延床は437㎡

ホテルナゴヤキャッスル建て替え前後の比較
項目ホテルナゴヤキャッスル(旧)エスパシオ ナゴヤキャッスル(新)
所在地名古屋市西区樋の口町3-19同じ敷地(名古屋城西側・外堀に面する)
開業1969年10月5日2025年10月1日
閉館2020年9月30日—
客室数195室100室(スイート含む)
客室面積—平均約70㎡(興和発表)
区分(当社分類)シティホテルデラックスホテル
建物—地上11階・延べ43,674.2㎡(建築物動態統計調査)
宴会場「天守の間」約3,000人収容(当社既報)「天守の間」最大約1,700㎡(興和発表)
所有・運営興和グループ(2013年に子会社化)興和/エスパシオエンタープライズ(2020年に事業承継)
掲載価格(全プラン平均・2名1室・税込)—2025年10月〜2026年9月の12か月平均 ¥242,400、最安プラン平均 ¥163,200
出典:興和発表(トラベルボイス2025年1月31日)、国土交通省「建築物動態統計調査」、メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(施設属性・掲載価格)。

価格の水準にも触れておく。エスパシオ ナゴヤキャッスルの掲載価格は、開業月の2025年10月から2026年9月までの12か月で全プラン平均(食事付き・スイートを含む)が約24万円、最安プランの月平均が約16万円で推移している。当社の推定成約ADRは業態別の補正係数を検証済みの区分に限って算出しており、同ホテルが属するデラックス区分は対象外のため、本稿では掲載価格のまま示す。名古屋市内で宿泊特化型の掲載価格が2万〜4万円帯に集まるなかで、この水準は中区・中村区の掲載価格中央値(3.6万〜3.8万円)の6〜7倍にあたる。195室を100室に減らしつつ単価を一桁上げるという、閉館時に興和が語った「名古屋で最も客室単価が高いホテルでも関東・関西では中レベル」という認識への回答が、数字として現れている。

名古屋城1km圏の供給推移 — 633室から478室へ減り、再開で595室に戻った

建て替えは個別施設の話にとどまらず、商圏の客室ストックを数年にわたって動かす。名古屋城(北緯35.1835・東経136.8975)を中心とする半径1km圏について、各年末時点で開業済みかつ閉館前の施設を数えると、2019年の7施設633室が、ナゴヤキャッスル閉館を挟んだ2021年には7施設478室まで減った(2021年には40室の宿泊特化型が1軒加わっている)。その後2023〜2024年は6施設469室で推移し、エスパシオの開業した2025年に8施設570室、2026年に9施設595室へ戻っている。2019年の水準と比べると、施設数は2軒増えたが客室数は38室少ない。これが「客室半減型」の建て替えが商圏に残す痕跡である。

名古屋城1km圏の客室ストック推移(2012〜2026年、各年末時点)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(開業年・閉館年が確認できる施設。棒=客室数、線=施設数。2026年は10月24日時点)

直近3か月(2026年8月〜10月)に主要予約サイトで販売価格が確認できた施設に絞ると、圏内の稼働中ストックは7施設593室である。掲載ベースでは9施設847室が登録されているが、この差分254室はナゴヤキャッスル(195室・閉館)と2027年開業予定のFAV LUX 名古屋丸の内(59室)であり、どちらも現時点で販売していない。したがって2026年10月時点で名古屋城周辺に実際に泊まれる客室は593室、そのうち100室がエスパシオ、236室が東横INN名古屋丸の内、106室がKKRホテル名古屋という構成になる。圏内の施設一覧と位置は次の地図と表のとおりである。

名古屋城1km圏の宿泊施設(円の大きさ=客室数、濃色=稼働中、淡色=閉館・開業前)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング
圏域の概要
中心:名古屋城(北緯35.1835・東経136.8975)
半径:1,000m
掲載:9施設・847室
稼働中:7施設・593室(2026年8〜10月に販売確認)
区分:デラックス1・シティ2・ビジネス3・会社団体宿泊所1・ホステル1・民宿1
周辺の計画
FAV LUX 名古屋丸の内(59室)が2027年開業予定として掲載済み。
名古屋城南東の旧名城工場跡地(中区三の丸四丁目)には179室のホテル計画があり、2029年開業を目指す(当社既報)。
名古屋城1km圏の宿泊施設一覧(2026年10月25日時点)
施設名区分客室数開業年中心から状態
東横INN名古屋丸の内ビジネスホテル2361998801m稼働中
ホテルナゴヤキャッスルシティホテル1951969284m閉館
KKRホテル名古屋会社・団体の宿泊所1061962311m稼働中
エスパシオ ナゴヤキャッスルデラックスホテル1002025257m稼働中
アイリス愛知シティホテル721994803m稼働中
FAV LUX 名古屋丸の内ビジネスホテル592027957m開業前
BRILLIANCE HOTELビジネスホテル402021918m稼働中
マンガアートホテル名古屋丸の内ホステル252026990m稼働中
民宿 なごのや民宿142015964m稼働中
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(2026年10月25日時点、客室数10室以上・レジャーホテルを除く)。開業年は登録上の開業年。

西区・中区の価格 — 西区の掲載価格は4施設で8.4万円、参照軸の中区は75施設で3.6万円

名古屋市西区は宿泊施設の数が少なく、価格の統計は施設数を添えて読む必要がある。2026年10月の西区の掲載価格(施設ごとの日次平均の区内中央値を月平均したもの、2名1室・税込)は4施設で¥84,200、前年同月は2施設で¥65,000だった。4施設の中央値であるから、エスパシオ1軒の価格水準がそのまま区の数字を押し上げている構図で、ここから「西区の相場」を語ることはできない。推定成約ADRと呼ばないのはこのためで、本稿では「掲載価格・4施設」としてのみ扱う。

参照軸として隣接する中区を置くと、2026年10月の掲載価格は75施設で¥35,700、前年同月は¥26,300で前年同月比+35.8%である。中区は栄・伏見を含む名古屋最大のホテル集積地で、同じ基準で名駅側の中村区を見ると63施設で¥38,200だった。一方、当社の推定成約ADR(最安プラン水準に業態別補正を掛けた税抜相当の推定値)で中区の2026年1〜8月平均を取ると¥9,500で、前年同期の¥9,100に対し+3.6%にとどまる(対象86〜89施設)。掲載価格の全プラン平均が前年比3割以上伸びている一方で成約水準の推定は数%の伸びである点は、2026年秋の名古屋で高額プランの掲載が増えたことを示しており、エスパシオのような高単価の新規供給が掲載側の平均を引き上げる効果と整合する。

名古屋市3区の掲載価格(2026年10月・前年同月比)
区掲載価格 2026年10月施設数掲載価格 2025年10月施設数前年同月比
西区(名古屋城・エスパシオ所在)¥84,1864¥64,9612+29.6%
中区(栄・伏見・三の丸)¥35,69075¥26,28975+35.8%
中村区(名駅)¥38,18363¥35,68560+7.0%
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(掲載価格=2名1室利用時の1室あたり料金・税込・全プラン平均、区内施設の中央値。2026年10月は調査時点の掲載水準)

建て替えホテル一覧 — 8案件の前後客室数・休館期間・所有運営の変化

ナゴヤキャッスルは孤立した事例ではない。1960〜80年代に開業したフルサービス型ホテルが建て替えの時期を迎えており、全国で同時進行している。以下の8案件は、運営・所有会社の公表資料、国土交通省「建築物動態統計調査」、または当社既報で日付と室数を確認できたものに限った。休館期間は旧施設の営業最終日の翌日から新施設の開業日までとし、未確定のものは公表されている工程をそのまま載せている。

建て替えホテル8案件の前後客室数と休館期間
案件旧客室数新客室数休館開始→再開所有・運営の変化出典
ホテルナゴヤキャッスル→エスパシオ ナゴヤキャッスル(名古屋市西区)1951002020年10月1日→2025年10月1日(5年0か月)興和グループで同一。運営はエスパシオエンタープライズ興和発表、建築物動態統計調査
磐田グランドホテル→GREENITY IWATA(静岡県磐田市)100552022年2月1日→2024年11月29日(2年10か月)浜松ホトニクスグループで同一当社既報(2022年2月)、静岡新聞2024年11月
札幌パークホテル→ヒルトン札幌パークホテル(札幌市中央区)216約3502027年3月1日→開業時期未定所有サンケイビル・運営グランビスタから、ヒルトンブランドでの再開業へグランビスタ発表(2025年6月11日)、ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)
グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)906未公表営業終了時期は未定。2029年度解体着工・2030年度新築着工・2035年度完成目標西武ホールディングス/西武不動産。跡地は地上31階・延べ約26.8万㎡の複合施設(事務所・商業・ホテル・住宅・MICE)西武HD公表資料(2026年5月14日・6月15日)
帝国ホテル 東京(東京都千代田区)本館は営業継続(増減は未公表)タワー館ホテル営業は2024年6月末終了→2026〜2030年度に営業再開、解体着工は2030年度末頃目標。タワー館・本館の建替え期間は未定帝国ホテル(三井不動産との共同事業)。営業を続けながら建て替える方式帝国ホテル「中長期経営計画改訂のお知らせ」(2026年5月14日)
宇都宮市池上町2-2 ホテル改築(栃木県宇都宮市)—3002026年4月1日着工→2028年10月31日完成予定池上町地区優良建築物等整備事業組合(組合員:丸井物産・斎藤商店)。地上14階・延べ13,000㎡建築物動態統計調査(建築計画ベース)
アパホテル〈小倉駅新幹線口〉(北九州市小倉北区)961702024年度内に営業終了→2026年開業予定(発表時)アパグループで同一。地上11階・延べ2,920㎡アパグループ発表(当社既報2024年3月)
東横INN佐賀駅前(佐賀市)1842832020年3月1日→建て替え後に再開(2026年10月時点で営業中)東横インで同一東横イン発表(当社既報2019年7月)、当社集計(現客室数)
出典:各社公表資料、国土交通省「建築物動態統計調査」よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成。宇都宮市池上町は改築前の客室数が公表されていないため「—」。帝国ホテル 東京は客室数の増減が未公表。

表に載せなかった案件にも触れておく。「逗子マリーナ 建て替え」は検索需要が確認できる語句だが、2015年にリビエラグループが示した高層ホテル構想のその後について、本稿の執筆時点で運営会社・自治体の一次情報で確認できる計画は見つからなかった。検索されている事実だけを記し、表には含めていない。また、札幌パークホテルについては「建て替え 中止」という検索も多いが、グランビスタ ホテル&リゾートは2025年6月11日に「建て替え計画推進のため2027年2月28日で営業終了」と公表しており、中止ではない。札幌市の新MICE施設と切り離してホテル側が建て替えを進める方針で、ヒルトンの会社概要(2026年8月25日更新)には「ヒルトン札幌パークホテル・約350室・開業時期未定」として掲載されている。詳細は当社の「札幌パークホテル2027年2月閉館、中島公園1km圏1.35万室の供給と建替え後ヒルトン約350室の投資視点」を参照されたい。

個別の留意点を三つ挙げる。第一に、宇都宮市池上町2-2の300室計画は「改築」として建築計画に載っている案件で、当社が「宇都宮グランドホテル跡地は今|全146区画の分譲地へ」で扱った跡地の分譲地とは別の案件である。両者を混同しないよう注意したい。第二に、グランドプリンスホテル新高輪は2025年7月に「2026年度中の営業終了」が公表されたが、西武ホールディングスは2026年5月14日にこれを改め、2027年4月以降も客室・宴会場・レストランの営業を継続すると発表した。見直し後の工程は2029年度解体着工、2035年度完成目標である(当社既報)。第三に、帝国ホテル 東京はタワー館のホテル営業を2024年6月末で終えたが、2026年5月14日の「中長期経営計画改訂のお知らせ」で、2026〜2030年度を「タワー館営業再開・京都本格稼働期間」と位置づけ、タワー館の解体工事は2030年度末頃の着工を目指すとし、タワー館および本館の建て替え期間は「現時点で未決定」と明記した。建設費・労務費・エネルギー価格の動向と内幸町一丁目街区の再開発の進捗を踏まえた判断である。

減室型と増室型 — 客室を減らして単価を取るか、増やして回転で取るか

一覧を客室数の増減で分けると、建て替えには二つの型があることがわかる。一つは客室を減らし1室面積と単価を上げる「減室型」で、ナゴヤキャッスル(195室→100室・49%減)と磐田グランドホテル(100室→55室・45%減)が典型である。もう一つは客室を増やして回転で収益を取る「増室型」で、アパホテル〈小倉駅新幹線口〉(96室→170室・77%増)、東横INN佐賀駅前(184室→283室・54%増)、札幌パークホテル(216室→約350室・62%増)、宇都宮市池上町の300室計画がこれにあたる。

建て替え前後の客室数(確定・公表値がある6案件)
出典:各社公表資料、国土交通省「建築物動態統計調査」よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成。札幌パークホテルの新客室数はヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)の「約350室」

減室型(ナゴヤキャッスル・磐田)

客室を半分前後に減らし、1室面積を拡大して単価を一桁上げる。宴会・料飲・温浴など客室以外の床で収益を補う設計になりやすく、1室あたり延床は数百㎡に達する。商圏からは休館中も再開後も客室が恒久的に減る。

増室型(アパ小倉・東横佐賀・札幌パーク・宇都宮)

同じ敷地で容積を使い切り、客室を1.5〜1.8倍に増やす。宿泊特化型では標準化した客室で回転を取り、札幌のように国際ブランドへ切り替える場合は宴会・MICE機能の受け皿も兼ねる。休館期間を終えると商圏の客室は閉館前より増える。

営業継続型(帝国ホテル 東京・新高輪)

段階的に建て替える、あるいは営業終了時期を後ろに延ばして収益を確保しながら工程を組み直す。建設費の動向を見ながら判断を留保できる点が特徴で、2026年に入って両社とも工程を見直した。

減室型が選ばれる背景には、立地の希少性と既存の宴会需要がある。名古屋城の外堀に面した敷地や、ヤマハスタジアムに近い磐田の敷地は代替が利かず、客室を詰め込むより1室あたりの単価と宴会・料飲の収益を厚くしたほうが投資効率が高いと判断された。磐田グランドホテルの場合、2022年の休館時点で「客室100室の現ホテルより客室数を少なくし、1室あたりの面積を広くする」方針が示されており(当社既報)、2024年11月29日に55室(ツイン・ダブル45室、天然温泉の半露天風呂付きスイート8室ほか)のGREENITY IWATAとして開業した。一方で増室型は、駅前立地で宿泊特化型の需要が厚く、既存建物に対して容積に余裕があった場合に選ばれる。東横INN佐賀駅前は2001年開業の184室を283室に建て替えて営業を再開し、アパホテル〈小倉駅新幹線口〉は1977年築の96室を11階建て170室に建て替える計画(2026年開業予定として発表)で、いずれも駅徒歩1分の立地で客室を増やす(アパの当社既報、東横インの当社既報)。逆に、現行の規制下では建て替えると床が縮む敷地もあり、その見極めはトーセイによる神田157室・浅草72室の取得案件で建替えと改修の分岐として扱っている。

休館期間と商圏インパクト — 5年の空白で1km圏の客室は3割減、再開後の単価帯は別物に

建て替えが商圏に与える影響は、休館期間の長さと抜ける客室の比重で決まる。ナゴヤキャッスルの場合、閉館直前の2019年に1km圏7施設633室のうち195室、つまり30.8%が一度に抜け、その状態が5年続いた。2021年に40室が加わっても圏内は478室で、閉館前比24.5%減である。再開後の2026年は595室と閉館前の94%まで戻ったが、戻ってきた100室の掲載価格は全プラン平均で約24万円と、閉館前のシティホテルとは別の価格帯にある。客室数が元の水準に近づいても、商圏の「客室の中身」は入れ替わっている。大規模フルサービス型が駅前商圏から抜ける際の客室の入れ替わりは、京都新阪急ホテル325室の2027年1月営業終了でも同じ視点で検証している。

建て替え各案件の休館・工事期間(2020〜2036年)
出典:各社公表資料、国土交通省「建築物動態統計調査」よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成。濃色=確定した休館・工事期間、淡色=公表工程に基づく予定・目標(札幌パークホテルは再開時期未定のため2031年で打ち切り、新高輪は2029年度解体着工〜2035年度完成目標、宇都宮は着工〜完成予定、アパ小倉は2024年度内営業終了〜2026年開業予定)

休館期間を比べると、宿泊特化型の増室型は2〜3年で収まる一方、フルサービス型の減室型は長くなる。磐田が2年10か月、ナゴヤキャッスルが5年である。当社が計画67件の着工から竣工までを実測した「ホテル工期の実測」では、単独用途が1.96年、複合用途が4.00年だった。ナゴヤキャッスルの建築計画は着工2021年11月・完成2025年10月で工期3年11か月であり、複合用途の平均に近い。閉館から着工まで1年1か月の解体・準備期間が加わって休館5年になった計算で、宴会場を備えるフルサービス型を同じ敷地で建て替える場合、商圏から客室が抜ける期間は4〜5年を見込むのが現実的といえる。

商圏側の受け皿にも目を向けたい。ナゴヤキャッスルが休館していた2020〜2025年は、名古屋の宿泊需要が新型コロナの落ち込みから回復に向かう期間と重なった。1km圏で抜けた195室の宴会・宿泊需要は、同じ興和グループの名古屋観光ホテルや中区のシティホテルが引き受けたと考えられる。再開後に西区の掲載価格が4施設で¥84,200になった一方、中区の推定成約ADRが2026年1〜8月平均で¥9,500と前年同期比+3.6%にとどまる事実は、エスパシオの100室が中区の宿泊特化型と価格帯を共有しておらず、商圏の競合というより名古屋に存在しなかった価格帯を新設した供給であることを示している。解体費や容積率の論点は「ホテル建替えの解体費は㎡5.1万〜14.7万円 — 容積30%減で1室原価+12%」で扱っているため、本稿では数値を再掲しない。

投資家・開発者の確認点 — 建て替え案件を評価するときに見る6項目

建て替え案件を評価する6つの確認点
確認点本稿の実測・事例評価のポイント
1. 休館期間の長さナゴヤキャッスル5年0か月、磐田2年10か月。工期の実測は単独1.96年・複合4.00年解体・準備期間を含めて見込む。フルサービス型は4〜5年、宿泊特化型は2〜3年が目安
2. 商圏から抜ける客室の比重1km圏633室のうち195室(30.8%)が抜け、2021年は478室比重が3割を超えると、周辺の同価格帯施設が休館期間中に単価を上げる余地が生まれる
3. 減室か増室か減室型49%減・45%減、増室型54〜77%増減室型は1室あたり延床と宴会・料飲比率、増室型は駅前立地と容積の余裕を見る
4. 再開後の単価帯エスパシオの掲載価格は全プラン平均約24万円、西区の掲載価格は4施設で¥84,200、中区は75施設で¥35,700再開後の施設が既存の価格帯と競合するのか、新しい帯を作るのかを区別する。施設数が少ない区の統計は中央値を鵜呑みにしない
5. 工程見直しの余地帝国ホテル 東京はタワー館解体着工を2030年度末頃に、新高輪は解体着工を2029年度に設定し、いずれも営業を継続営業継続型は建設費の動向を見ながら判断を留保できる。公表工程は目標であり確定日ではない
6. 建築計画データの読み方宇都宮市池上町300室は確認申請ベースで「改築」として把握建築物動態統計調査は確認申請時点の計画であり、未申請の案件は含まれない。将来年の件数は下限値として読む
出典:各社公表資料、国土交通省「建築物動態統計調査」よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成

最後に運営者の視点を補っておく。建て替えで客室を減らす判断は、閉館前の宿泊売上を一度手放すことを意味するが、ナゴヤキャッスルの事例が示すのは、立地の希少性と宴会機能を軸に単価帯を変えれば、半分の客室でも商圏に新しい価格帯を作れるということである。逆に増室型を選んだアパや東横インの事例は、駅前の宿泊特化型であれば建て替えが客室数と商品力の両方を更新する機会になることを示している。どちらの型でも、休館期間中に抜ける客室を周辺の施設がどう受けるかは商圏の価格形成に数年単位で影響するため、建て替えの公表時点で圏域の客室ストックと価格帯を押さえておきたい。そもそも建て替えに踏み切るか改修で延命するかの分岐については、旧耐震ホテル23.6万室の改修か建替えかの検証が判断材料になる。

⚠ 調査時点の掲載価格に関する注意:本稿の2026年10月の掲載価格は調査時点(2026年10月18日集計)で主要予約サイトに公開されている販売価格に基づく値であり、宿泊日に近づくにつれて変動する。また、西区は対象施設が4施設と少なく、1施設の価格設定が区の中央値を大きく動かす点に留意が必要である。

よくある質問

Q. 名古屋キャッスルホテルの建て替えはいつ終わりましたか。

A. ホテルナゴヤキャッスルは2020年9月30日に閉館し、同じ敷地に建て替えられた「エスパシオ ナゴヤキャッスル」が2025年10月1日に開業しており、休館期間はちょうど5年でした。

Q. 建て替え前後で客室数はどう変わりましたか。

A. 195室から100室へ約半分に減りました。客室の平均面積は約70㎡(興和発表)で、スイートを含む構成です。建物は地上11階・延べ約43,674㎡で、宴会場「天守の間」は最大約1,700㎡です。

Q. 名古屋城周辺の客室数は閉館前の水準に戻りましたか。

A. 名古屋城1km圏の客室ストックは2019年の7施設633室から2021年に478室まで減り、2026年には9施設595室まで戻りました。閉館前と比べると施設数は2軒多く、客室数は38室少ない水準です。直近3か月に販売が確認できる稼働中の施設は7施設593室です。

Q. 札幌パークホテルの建て替えは中止になったのですか。

A. 中止ではありません。運営会社のグランビスタ ホテル&リゾートは2025年6月11日に「建て替え計画推進のため2027年2月28日で営業終了」と公表しています。跡地はヒルトンブランドの約350室で計画され、開業時期はヒルトンの会社概要(2026年8月25日更新)で「未定」とされています。

Q. 建て替えで客室を減らすホテルと増やすホテルの違いは何ですか。

A. 客室を減らす「減室型」は、立地の希少性と宴会・料飲機能を軸に1室面積と単価を上げる型で、ナゴヤキャッスル(195室→100室)や磐田グランドホテル(100室→55室)が該当します。客室を増やす「増室型」は駅前の宿泊特化型に多く、アパホテル〈小倉駅新幹線口〉(96室→170室)や東横INN佐賀駅前(184室→283室)が該当します。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

客室ストック・年次推移・掲載価格・推定成約ADRはメトロエンジンリサーチ&コンサルティングの集計(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡)。建て替え案件の日付・客室数は運営・所有会社の公表資料、国土交通省「建築物動態統計調査」(確認申請ベースの建築計画)、当社既報の一次情報による。

■ 試算前提

1km圏は名古屋城(北緯35.1835・東経136.8975)中心、客室数10室以上・レジャーホテル除く。年次推移は各年末時点で開業済みかつ閉館前の施設。休館期間は旧施設の営業最終日の翌日から新施設の開業日まで。1室あたり延床は延床面積÷客室数(宴会場・料飲・駐車場を含む)。増減率は旧客室数を分母とする。

■ 限界・留意点

掲載価格は調査時点の公開価格で、宿泊日に近づくと変動する。西区は4施設と少なく、中央値は1施設の価格で大きく動く。デラックス区分は推定成約ADRの対象外のため掲載価格で示した。未完了案件の工程は公表時点の目標であり、確定日ではない。

■ 市場データ

  • メトロエンジンリサーチ&コンサルティング — 名古屋城1km圏の客室ストック(掲載9施設847室・稼働7施設593室、2026年10月25日時点)、年次推移(2012〜2026年)、区別掲載価格(西区4施設・中区75施設・中村区63施設)、中区推定成約ADR(対象86〜89施設)、エスパシオ ナゴヤキャッスルの掲載価格(2025年10月〜2026年9月)

■ 政府統計・公的データ

  • 国土交通省「建築物動態統計調査」よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成 — 名古屋市西区樋の口町3-19(100室・完成2025年10月1日)、宇都宮市池上町2-2(改築・300室・完成予定2028年10月31日)。確認申請ベースの建築計画

■ 企業公表資料・業界資料

■ 当社既報(一次情報を引用)

出典: ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)

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