祝日ではないのに学校が休みになる日がある。茨城県の県民の日(11月13日)、山梨県の県民の日(11月20日)、愛知県の「あいち県民の日」(11月27日)がそれで、2026年はいずれも金曜日に当たる。親が有給を1日取れば、子どもの休みと土日がつながり、近隣の観光地にとっては「金曜泊」が立つ日になりうる。本稿では、首都圏・東海の観光地14エリアと名古屋市2区について、11月の4つの金曜(11/6・11/13・11/20・11/27)の予約進捗を同一リードタイム(LT)で並べ、県民の日の金曜が予約曲線に現れているかを確かめた。
先に要点を述べる。関東5エリアでは、45日前時点の推定OCCは11/13(茨城県民の日)が5エリアすべてで前週11/6を上回り、箱根町86.8%・浦安市85.7%・熱海市72.5%と、それぞれ+7.0pt・+5.7pt・+8.8ptの差がついていた。ただし11/13は紅葉の盛期であり、翌11/14(土)が埼玉県民の日、11/15(日)が七五三、11/11からは浦安の大型テーマパークのクリスマスイベントが始まるなど、複数の需要が重なる日でもある。本稿はこれを県民の日の効果と断定せず、「重なっている日」として読む。
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
• LT(リードタイム)=チェックイン日までの日数。本稿の予約曲線・推定OCCはLT45〜LT1の観測のみを用い、45日超とLT0は本文・図・比較に使っていない。
• 観測断面は2026年10月24日。このため11/6はLT13、11/13はLT20、11/20はLT27、11/27はLT34が最新観測であり、日付間の比較は同じLT(LT45・LT34・LT30・LT20)で行う。
• 推定OCCは「対象N施設/客室M(主要予約サイト掲載ベース)」を併記する。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なる。前年同日の市区町村別推定OCCは取得できないため、前年比は示していない。
- — 11/13(金)は関東5エリアすべてで45日前の推定OCCが前週11/6を上回った(箱根町86.8%・浦安市85.7%・熱海市72.5%、差は+5.7〜+8.8pt、2026年10月24日観測)。紅葉・七五三・埼玉県民の日が重なる日で、県民の日の効果とは断定しない。
- — 20日前でも差は残る。熱海市は+10.6pt、那須町は+9.4ptと11/6との差がむしろ広がり、浦安市・箱根町の11/13は残室5%前後まで消化が進んだ。
- — 業態差:熱海市の旅館は34日前で11/6比+16.3pt。定員の大きい旅館・リゾートに波が届き、浦安市のビジネスホテルは4金曜の差が小さい。
- — 11/20(3連休前夜)は45日前に弱く見えても、27日前までの追い上げが大きい(箱根町+7.6pt・熱海市+8.5pt・那須町+9.6pt)。金曜1泊の在庫を早く閉じない設計が論点になる。
- — 東海の11/27は観測途中。45日前で犬山・下呂・鳥羽・桑名は4金曜の最高位、伊勢・高山は最低と方向がそろわず、名古屋市内の高さは展示会・公演の重なりとして読む段階である。
2026年11月の県民の日カレンダー — 4県の制度と学校休業の扱い
まずは制度の確認からである。県民の日は国民の祝日ではなく、各県の条例で定められた記念日に過ぎない。ただし茨城・埼玉・山梨の3県では公立学校の休業日として長く運用され、愛知県は2023年度から「県民の日学校ホリデー」という名の学校休業日を「あいちウィーク」(11月21日〜27日)の中に1日設けている。2026年の曜日と、休業の扱いを整理したのが次の表である。
| 県 | 2026年の日付(曜日) | 根拠・学校休業の扱い | 同じ週に重なる要素 |
|---|---|---|---|
| 茨城県 | 11月13日(金) | 県民の日を定める条例(1968年制定)。県立学校の学則では「県民の日を定める条例による県民の日」が休業日として列挙され、県内の公立小中高が休みとなる運用が続く。 | 紅葉盛期/翌14日(土)が埼玉県民の日/15日(日)が七五三/浦安のクリスマスイベント(11日〜) |
| 埼玉県 | 11月14日(土) | 1971年制定。例年は公立小中高の休業日として扱われてきたが、2026年は土曜日。県は「令和8年度の県民の日は土曜日(閉庁日)となるため、県庁オープンデーは開催しません」と案内している。 | 前日13日(金)の茨城県民の日と接続。県内施設の無料・割引、鉄道のフリー乗車券は例年11月中旬に実施 |
| 山梨県 | 11月20日(金) | 県民の日条例(昭和61年山梨県条例第1号)第2条で11月20日と規定。県有施設の使用料免除(第5条)と協賛行事が毎年実施され、県内の公立小中高は休業日となるのが通例。 | 勤労感謝の日3連休(11/21土〜23月)の前夜。富士五湖・箱根方面の紅葉後半 |
| 愛知県 | 11月27日(金) 学校ホリデーは11/24(火)または11/27(金) | 「あいちウィーク」(11/21〜27)の期間中、学校・市町村が指定する1日を学校休業日とする制度。2026年度は11/24〜27のうち1日で、県教育委員会の一覧では54市町村のうち26市町村が11/27(金)、28市町村が11/24(火)を指定している。 | 3連休明けの週。常滑市の国際展示場で25〜27日に大型展示会が開催 |
出典:各県公式サイト、愛知県教育委員会「2026年度『県民の日学校ホリデー』市町村実施予定日一覧」(2026年2月20日)、茨城県立古河第二高等学校 学則よりホテルバンク編集部作成。
愛知県の内訳は運営者にとって実務上の意味が大きい。11/27(金)を指定したのは名古屋市・豊田市・一宮市・豊橋市・刈谷市・安城市・蒲郡市・田原市など26市町村で、県人口の過半を占める名古屋市と西三河の主要都市が金曜側に入った。一方で11/24(火)を選んだのは岡崎市・春日井市・豊川市・半田市・犬山市・南知多町など知多半島と尾張北部を中心とする28市町村である。つまり愛知の「学校が休みの金曜」は県内で二つに割れており、宿泊需要として現れるなら、名古屋・西三河・東三河発の家族連れが11/27(金)に、尾張北部・知多発が11/24(火)前後に動く、という読み方になる。
関東5エリアの金曜泊 — 同一LTで並べると11/13が最も高い
首都圏から車で2〜3時間圏の観光地として、浦安市・箱根町・熱海市・那須町・日光市の5エリアを取り上げた。いずれも茨城県・埼玉県の家族連れが日帰りや1泊で向かう先である。4つの金曜を45日前(LT45)で比較したのが次の図で、太い棒が11/13である。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(観測断面 2026年10月24日、主要予約サイト掲載ベース)
5エリアすべてで11/13の45日前時点の値が前週11/6を上回った。箱根町・那須町・日光市では11/13が4金曜の最高値であり、浦安市(11/27が87.1%)と熱海市(同74.4%)では3連休明けの11/27がわずかに上回る。差の大きさは熱海市の+8.8pt(63.7%→72.5%)、箱根町の+7.0pt(79.8%→86.8%)、浦安市の+5.7pt(80.0%→85.7%)、那須町の+4.7pt(50.0%→54.7%)の順で、日光市は+1.6pt(74.2%→75.8%)と小さい。ここまでが45日前の断面である。
それでは、チェックインに近づくにつれて差は縮むのか、広がるのか。同じLTで追いかけた数値を表にまとめた。
| エリア 対象施設/客室 | 45日前(LT45) | 34日前(LT34) | 30日前(LT30) | 20日前(LT20) | |||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 11/6 | 11/13 | 11/20 | 11/27 | 11/6 | 11/13 | 11/20 | 11/27 | 11/6 | 11/13 | 11/20 | 11/6 | 11/13 | |
| 浦安市 23施設/5,899室 | 80.0% | 85.7% | 82.3% | 87.1% | 84.4% | 90.3% | 85.2% | 90.8% | 86.9% | 91.9% | 86.9% | 90.4% | 95.1% |
| 箱根町 158施設/4,333室 | 79.8% | 86.8% | 83.1% | 81.3% | 84.8% | 90.4% | 88.7% | 87.7% | 86.4% | 91.6% | 89.8% | 89.4% | 94.6% |
| 熱海市 129施設/4,645室 | 63.7% | 72.5% | 71.1% | 74.4% | 68.3% | 80.1% | 76.9% | 79.9% | 70.4% | 81.8% | 78.8% | 75.4% | 86.0% |
| 那須町 139施設/2,254室 | 50.0% | 54.7% | 48.3% | 47.5% | 53.6% | 59.3% | 54.8% | 49.8% | 55.4% | 62.3% | 57.1% | 58.3% | 67.7% |
| 日光市 128施設/4,579室 | 74.2% | 75.8% | 67.5% | 67.8% | 77.9% | 79.4% | 70.2% | 69.4% | 79.7% | 80.8% | 72.9% | 84.2% | 85.1% |
※推定OCC(OTA掲載在庫ベース)。対象施設数・客室数は11/13の値で、他の日も±3施設の範囲。11/27はLT34、11/20はLT27、11/13はLT20、11/6はLT13が執筆時点の最新観測。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(観測断面 2026年10月24日、主要予約サイト掲載ベース)
20日前(LT20)で比べると、11/13と11/6の差は浦安市+4.7pt(90.4%→95.1%)、箱根町+5.2pt(89.4%→94.6%)、熱海市+10.6pt(75.4%→86.0%)、那須町+9.4pt(58.3%→67.7%)、日光市+0.9pt(84.2%→85.1%)と、熱海と那須ではむしろ広がっている。10月24日時点の残室は11/13の浦安市が291室(5,899室中)、箱根町が232室(4,333室中)で、どちらも残り5%前後まで消化が進んでいた。一方で日光市は4金曜を通じて差が小さく、11/13は85.1%・残683室(4,579室中)である。日光は紅葉の見頃が10月下旬から始まる10月型のエリアであり、11月中旬の金曜はもともと高い水準にあるため、上乗せが見えにくいと読める。
ここで注意したいのは、11/13の高さを茨城県民の日に帰着させるだけの材料はそろっていないことである。この週には紅葉の盛期(箱根では芦ノ湖周辺や小涌谷が例年11月中旬)、翌11/14(土)の埼玉県民の日、11/15(日)の七五三、11/11から始まる浦安のテーマパークのクリスマスイベントが重なる。茨城県民の日が金曜の需要に寄与しているとしても、それは「重なっている要素の一つ」であって、本稿のデータから寄与の大きさを切り分けることはできない。運営者にとって重要なのは理由の特定ではなく、11/13(金)の在庫が前週より明確に速く消えているという事実の方だろう。
予約曲線の形 — 箱根町と浦安市の4金曜
断面だけでなく、曲線の形も見ておきたい。次の図は箱根町(対象156〜160施設/4,308〜4,379室、主要予約サイト掲載ベース)の4金曜について、LT45から最新観測までの推定OCCを重ねたものである。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(観測断面 2026年10月24日、主要予約サイト掲載ベース)
箱根町では11/13の曲線がLT45の時点ですでに他の金曜より高い位置から始まり、その差を保ったままLT20で94.6%に達している。11/20(3連休前夜)はLT45で83.1%と11/13より3.7pt低いが、LT27では90.7%まで追い上げており、11/13のLT27(91.9%)との差は1.2ptに縮んだ。11/27はLT34で87.7%と、11/6の同LT(84.8%)を上回る一方で11/13・11/20には届いていない。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(観測断面 2026年10月24日、主要予約サイト掲載ベース)
浦安市(対象22〜23施設/5,897〜5,899室、主要予約サイト掲載ベース)は少数の大型施設で構成されるため曲線は滑らかで、4本の順位はLT45からLT34までほぼ入れ替わらない。目を引くのは11/27で、LT45で87.1%、LT34で90.8%と、11/13(同85.7%・90.3%)を上回る位置にある。11/27は3連休明けの金曜であり、クリスマスイベント期間中の週末入りでもある。あいち県民の日とは地理的に関係がなく、浦安の11/27の高さは別の要因によるものと考えるのが自然である。
業態別に見ると — 旅館とリゾートで差の出方が違う
同じエリアでも業態によって反応は異なる。箱根・熱海・那須・日光の旅館とリゾートホテル、浦安のビジネスホテルについて、LT45とLT34の値を並べた。
| エリア・業態 対象施設/客室 | 45日前(LT45) | 34日前(LT34) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 11/6 | 11/13 | 11/20 | 11/27 | 11/6 | 11/13 | 11/20 | 11/27 | |
| 箱根町 旅館 104施設/2,813室 | 83.8% | 87.8% | 84.5% | 82.6% | 87.5% | 92.1% | 89.7% | 89.3% |
| 箱根町 リゾート 20施設/926室 | 71.7% | 86.1% | 78.6% | 79.8% | 79.9% | 86.9% | 86.9% | 84.7% |
| 熱海市 旅館 56施設/2,092室 | 62.4% | 73.9% | 68.4% | 76.3% | 66.1% | 82.4% | 76.8% | 82.5% |
| 熱海市 リゾート 28施設/2,139室 | 66.1% | 75.2% | 76.4% | 76.3% | 71.4% | 82.3% | 80.1% | 80.0% |
| 那須町 旅館 19施設/473室 | 53.9% | 62.2% | 51.2% | 47.1% | 55.4% | 64.3% | 56.4% | 50.5% |
| 那須町 リゾート 16施設/1,003室 | 61.0% | 65.5% | 56.1% | 61.1% | 65.1% | 71.0% | 64.3% | 62.8% |
| 日光市 旅館 76施設/3,759室 | 76.7% | 78.3% | 69.1% | 70.6% | 79.9% | 81.6% | 71.6% | 72.0% |
| 浦安市 ビジネス 11施設/1,252室 | 66.1% | 70.5% | 67.7% | 67.8% | 75.2% | 76.0% | 73.4% | 79.4% |
※業態は各施設の登録区分。対象施設数・客室数は11/13の値(熱海旅館は日によって54〜57施設)。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(観測断面 2026年10月24日、主要予約サイト掲載ベース)
熱海市の旅館(54〜57施設/約2,090室)は11/6のLT34が66.1%だったのに対し、11/13は82.4%と+16.3ptの開きがあり、5エリアの業態別で最も差が大きい。箱根町のリゾートホテル(20施設/926室)も11/6の79.9%から11/13の86.9%へ+7.0ptである。那須町の旅館(19施設/473室)は11/13が64.3%で4金曜の最高、11/27は50.5%で最低と、同じ町の中で14pt近い幅がある。浦安市のビジネスホテル(11施設/1,252室)は4金曜のLT34が73.4〜79.4%の範囲に収まり、金曜ごとの差が小さい。家族連れの金曜泊が立ちやすいのは、定員3〜4名の客室を持つ旅館・リゾートであり、2名定員中心のビジネスホテルには同じ波が届きにくい、という業態の構造がそのまま数字に出ているといえる。
11/20(金)— 山梨県民の日であり、勤労感謝3連休の前夜でもある
11/20は山梨県の県民の日であると同時に、11/21(土)〜23(月・勤労感謝の日)の3連休の前夜に当たる。前夜の金曜は一般に、連休初日の土曜に需要が移るため、同じ月の他の金曜より弱く出ることが多い。今回の5エリアでも、LT30で11/13と比べると浦安市−5.0pt、箱根町−1.8pt、熱海市−3.0pt、那須町−5.2pt、日光市−7.9ptと、すべて11/13を下回った。日光市は11/20のLT45が67.5%と4金曜で最も低く、那須町も48.3%と、11/27(47.5%)に次いで低い。
山梨県の県民の日が首都圏の観光地に与える影響は、この構図の中では見分けがつかない。山梨発の家族連れが向かう先は富士五湖・伊豆・箱根・長野方面に分散するうえ、3連休前夜という大きな要因に埋もれるからである。むしろ運営者にとっての示唆は、3連休前夜の金曜は45日前の断面では弱く見えても、LT27までの追い上げが大きいという点にある。箱根町の11/20はLT45→LT27で+7.6pt、熱海市は+8.5pt、那須町は+9.6ptと、11/6(それぞれ+7.2pt・+7.9pt・+7.3pt)より立ち上がりが速い。金曜の在庫を45日前の見え方で早々に値下げしたり、団体やブロックに回したりする判断は、この追い上げを見落とすことになる。3連休そのものの予約進捗は紅葉3連休11/21〜23の予約進捗(5県比較)と京都の勤労感謝3連休の販売カレンダーで扱っている。
東海11エリア — あいち県民の日11/27(金)は「これから見える日」
愛知県の学校ホリデーが11/27(金)に指定された名古屋市・豊田市・豊橋市・一宮市などの家族連れが向かう先として、三河湾・知多半島・木曽川沿い(蒲郡市・南知多町・犬山市)、三重の伊勢志摩と長島(鳥羽市・伊勢市・志摩市・桑名市)、飛騨(下呂市・高山市)を取り上げ、発地側の名古屋市中区・中村区も並べた。11/27はまだLT34までしか観測がなく、以下は途中経過である。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(観測断面 2026年10月24日、主要予約サイト掲載ベース)
| エリア 対象施設/客室(11/27) | 45日前(LT45) | 34日前(LT34) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 11/6 | 11/13 | 11/20 | 11/27 | 11/6 | 11/13 | 11/20 | 11/27 | |
| 名古屋市中区 60施設/10,979室 | 64.8% | 74.6% | 66.9% | 87.3% | 69.8% | 79.5% | 72.5% | 86.8% |
| 名古屋市中村区 44施設/7,284室 | 62.7% | 71.6% | 68.1% | 86.8% | 69.1% | 77.5% | 75.0% | 88.1% |
| 蒲郡市 19施設/1,132室 | 76.6% | 65.3% | 65.2% | 71.3% | 77.2% | 66.6% | 67.8% | 73.6% |
| 犬山市 10施設/537室 | 72.1% | 70.9% | 66.7% | 77.5% | 77.8% | 73.7% | 69.6% | 81.9% |
| 南知多町 71施設/882室 | 55.1% | 51.5% | 49.4% | 54.2% | 56.0% | 53.4% | 52.5% | 58.3% |
| 桑名市 12施設/895室 | 62.5% | 66.1% | 67.4% | 69.4% | 63.3% | 73.1% | 73.6% | 79.6% |
| 鳥羽市 72施設/2,223室 | 74.3% | 79.9% | 77.9% | 80.1% | 76.9% | 84.9% | 81.5% | 84.2% |
| 伊勢市 40施設/1,864室 | 74.8% | 83.5% | 83.5% | 73.6% | 77.0% | 86.5% | 83.7% | 79.8% |
| 志摩市 52施設/1,884室 | 60.8% | 78.1% | 67.1% | 77.0% | 64.0% | 82.5% | 71.5% | 85.3% |
| 下呂市 38施設/1,554室 | 75.9% | 83.1% | 80.1% | 85.6% | 81.5% | 89.6% | 86.0% | 87.3% |
| 高山市 132施設/3,733室 | 84.6% | 81.7% | 68.5% | 67.2% | 86.6% | 84.6% | 72.0% | 70.1% |
※推定OCC(OTA掲載在庫ベース)。名古屋市中区・中村区はビジネスホテル中心の母集団(中区は60施設中48施設・8,976室がビジネス区分)。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(観測断面 2026年10月24日、主要予約サイト掲載ベース)
目的地側で45日前(LT45)に11/27が4金曜の最高値となったのは、犬山市(77.5%)、下呂市(85.6%)、鳥羽市(80.1%)、桑名市(69.4%)の4エリアである。34日前(LT34)でも最高値を保つのは犬山市(81.9%)と桑名市(79.6%)で、下呂市(87.3%)と鳥羽市(84.2%)は11/13(89.6%・84.9%)をわずかに下回る。志摩市はLT34で85.3%と11/13(82.5%)を上回り、蒲郡市(71.3%)と南知多町(54.2%)は11/13・11/20より高いが11/6には届かない。他方で伊勢市(73.6%)と高山市(67.2%)は11/27が4金曜の最低であり、方向はそろっていない。関東の11/13が5エリアそろって前週を上回ったのと比べると、東海の11/27は現時点で「エリアによる」としか言えない。
発地側の名古屋市は様相が異なる。中区(60施設/10,979室)の11/27はLT45で87.3%、中村区(44施設/7,284室)は86.8%と、他の金曜(62.7〜74.6%)を10pt以上引き離している。ビジネス区分に絞っても中区48施設・8,976室で88.0%、中村区33施設・5,594室で86.2%である。この日は常滑市の国際展示場で11月25〜27日に電子機器・自動車技術・物流の大型展示会が同時開催され、翌28〜29日には名古屋市内のアリーナで公演が予定されている。名古屋のビジネスホテルの高さは出張・来場需要の重なりとして読むべきで、県民の日の家族需要と結びつけるべきではない。平常月の愛知のビジネスホテルが木曜を山に金曜で谷を作る曜日パターンは、愛知のビジネスホテルの曜日別推定OCC(2026年9月)が基準線として示しており、11/27の87%前後はその基準から見ても例外的な高さである。
11/27の読み筋が定まるのはこれからである。LT30の断面は10月28日、LT20は11月7日、LT14は11月13日に観測できる。11/13の関東で見られたように、差があるなら20日前の断面で広がって見えるはずであり、犬山・下呂・鳥羽の11/27がその時点で4金曜の最高位にいるかどうかが判定材料になる。
運営者への示唆 — 金曜1泊の在庫を早く閉じない設計と、翌年の日付早見
ここまでを整理すると、県民の日の金曜に固有の効果を数字で切り出すことはできなかったが、「学校が休みの金曜」が他の要素と重なる週には、45日前の時点で前週より5〜9pt高い位置から予約が進み、20日前でも差が縮まらないエリアがあること、そして業態では定員の大きい旅館・リゾートに波が届くことが確認できた。この観察から、運営側で検討したい点を4つ挙げる。
| 論点 | 検討したいこと |
|---|---|
| 金曜1泊の在庫を早期に閉じない | 3連休前夜(11/20)のように45日前では弱く見える金曜でも、LT27までに7〜10pt追い上げる。金曜1泊限定プランや連泊条件の付け外しは、45日前ではなく30日前・20日前の断面で判断したい。金曜→土曜の2泊を優先しつつ、金曜1泊の枠を一定数は残しておく設計が有効といえる。 |
| 家族向け定員・朝食の準備 | 差が大きく出たのは旅館・リゾート(熱海旅館はLT34で+16.3pt)。3〜4名定員の和室・和洋室の金曜在庫、添い寝・小学生料金の設定、朝食会場のピーク時間帯の座席と子ども向けメニューの用意を、11/13・11/27の週に合わせて見直す余地がある。 |
| 「重なる週」として扱う | 11/13の週は紅葉・七五三・埼玉県民の日(土)・テーマパークの季節イベントが重なる。県民の日単体のプランを急造するより、週全体のピークとして価格と在庫を組む方が実態に合う。 |
| 愛知は「二つの日」に分かれる | 11/27(金)指定は名古屋・豊田・豊橋・一宮など26市町村、11/24(火)指定は岡崎・春日井・豊川・犬山・南知多など28市町村。東海の宿は、発地の市町村がどちらかを確認したうえで、11/23(月・祝)→24(火)の連泊と11/27(金)→28(土)の2本立てで在庫を組むのが実務的である。 |
最後に、翌年以降の日付の曜日を早見にしておく。2027年は4県の県民の日がすべて土日に重なり、「学校が休みの金曜」は消える。2028年は茨城・山梨・あいちが月曜日となり、今年の金曜泊に相当するのは日曜泊になる。
| 県(日付) | 2026年 | 2027年 | 2028年 |
|---|---|---|---|
| 茨城県(11月13日) | 金 | 土 | 月 |
| 埼玉県(11月14日) | 土 | 日 | 火 |
| 山梨県(11月20日) | 金(3連休前夜) | 土 | 月 |
| 愛知県(11月27日・あいちウィーク11/21〜27) | 金(学校ホリデーは11/24火または11/27金) | 土(学校ホリデーは期間内の平日1日・今後指定) | 月 |
| 参考:勤労感謝の日(11月23日) | 月(3連休) | 火 | 木 |
※曜日は暦による。愛知県の学校ホリデーは毎年度、学校・市町村が「あいちウィーク」期間中の1日を指定する制度のため、2027年度以降の指定日は県教育委員会の公表による。
まとめ
2026年11月の4つの金曜を同一リードタイムで並べると、関東5エリアでは茨城県民の日と重なる11/13が45日前で前週をそろって上回り、箱根町86.8%・浦安市85.7%・熱海市72.5%と5〜9ptの差がつき、20日前でも差は残った(熱海市は+10.6ptに拡大)。業態別では熱海の旅館で+16.3pt(LT34)と、定員の大きい旅館・リゾートに波が届いている。11/20は山梨県民の日であると同時に3連休前夜で、45日前は弱いがLT27までの追い上げが大きい。東海の11/27は45日前時点で犬山・下呂・鳥羽・桑名が4金曜の最高位にある一方、伊勢・高山では最低と方向がそろわず、名古屋市内の高さは展示会・公演の重なりとして読むべき段階である。県民の日そのものの効果を切り出すことはできないが、「学校が休みの金曜」を含む週の在庫を早く閉じない設計と、翌年の曜日(2027年は土日、2028年は月曜=日曜泊)を先に押さえておくことが、運営側の現実的な備えになる。
⚠ 将来日程の数値に関する注意:本記事の推定OCCは2026年10月24日時点で主要予約サイトに掲載されている販売在庫に基づく推定であり、チェックイン日に近づくにつれて在庫の追加・引き上げ・キャンセルで変動する。11/27はLT34、11/20はLT27までの途中経過であり、確定値ではない。
あわせて読みたい
- 紅葉3連休11/21〜23の予約進捗、京都の旅館は残室18%・長野32% — 10月9日断面を5県で読む
- 京都の勤労感謝3連休、初日11/21は30日前でビジネス98.3% — 前週11/14と中日・最終日から逆算する販売カレンダー
- 草津温泉の観光客数405万人、宿泊単価は12月がピーク — 高山・日光は10月型、温泉地16市町村の価格設計
- 金沢マラソン2026の前泊、45日前に金沢市OCC91% — 横浜・神戸も同一LTで比較
- 東京のビジネスホテルは「水曜が山」、シティは「水・土の二峰」 — 曜日別推定OCCから読む在庫配分
- 11月の3連休は11/21-23だけ|2026年の紅葉ピークと需要の山を7エリアで検証
- 文化の日が火曜の2026年、需要は「祝日前夜」に立つ — 紅葉7エリアの日別価格検証
- 愛知のビジネスホテル、9月は木曜92.5%・日曜84.8% — 金曜にも出る平日型の谷
参考資料・出典一覧
■ データソース
メトロエンジンリサーチの市区町村別ブッキングカーブ(主要予約サイト掲載ベース)。総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成した、宿泊日ごとに同じ施設集合の固定母集団で集計し、対象施設数・客室数は各表に併記した。観測断面は2026年10月24日。県民の日の日付と学校休業の扱いは各県・県教育委員会の公表資料による。
■ 試算前提
推定OCC=100−100×OTA掲載残室数÷総客室数。日付間の比較は同一リードタイム(LT45・LT34・LT30・LT20)で行い、45日超とLT0の観測は使っていない。業態は各施設の登録区分による。
■ 限界・留意点
掲載外の客室を消化済み側に数えるため、施設の実稼働率より高めに出る。11/20・11/27は途中経過で、在庫の追加・引き上げ・キャンセルにより変動する。前年同日の市区町村別値がないため前年比は示しておらず、県民の日単独の寄与は紅葉・七五三・連休・展示会など他の需要要因と切り分けていない。
■ 出典
- 愛知県教育委員会「県民の日学校ホリデー」(制度概要・2026年度の対象日)
- 愛知県「2026年度『県民の日学校ホリデー』の実施予定日について」(2026年2月20日)/資料1 市町村実施予定日一覧(PDF)
- 茨城県「県民の日」(県公式サイト)/茨城県立古河第二高等学校 学則(第9条 休業日)
- 埼玉県「県庁オープンデー」(2026年8月26日掲載・令和8年度は開催なし)/埼玉県「11月14日は『県民の日』」(2025年10月28日)
- 山梨県「県民の日条例」/山梨県「令和7年度県民の日における施設の無料開放・協賛行事について」/やまなし観光推進機構「県民の日(富士すばるランド)」
- オリエンタルランド「ディズニー・クリスマス」(2026年9月9日、11月11日〜12月25日)
- トラベルボイス「2026年の紅葉見頃予想」(2026年10月8日)/箱根の紅葉見頃
- NEPCON NAGOYA(2026年11月25〜27日)/AUTOMOTIVE WORLD NAGOYA(同)/IGアリーナ 11月28〜29日公演
- メトロエンジンリサーチ — 市区町村別ブッキングカーブ・推定OCC(主要予約サイト掲載ベース、観測断面2026年10月24日、LT45〜LT1)、市区町村別推定成約ADR(2025年11月確定月)
