2019年10月の火災で焼失した首里城正殿の復元完成式が、2026年11月22日(日)に首里城公園で開かれる。木原稔官房長官が6月2日の記者会見で発表したもので、正殿内部の一般公開は翌23日(月・勤労感謝の日)から始まると首里城公園が告知している。式典日は11月21日(土)から23日までの3連休の中日にあたり、那覇市の宿泊需要が連休のどこに積み上がるかは、沖縄の運営者にとって11月で最も読みにくい論点になった。本稿では那覇市179施設・15,218室(主要予約サイト掲載ベース・固定コホート)のブッキングカーブを前後の土日と同じリードタイムで比較し、首里城から半径1km・2kmの客室ストックを地図に落とし、前年11月の推定成約ADRと合わせて、3連休の初日・中日・最終夜をどう売り分けるかを読み解く。
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
- — 初日11/21は推定OCC86.7%(2026年10月21日観測・LT31)。同一LT38で前後の土曜を3.5〜3.6pt上回り、LT45時点で既に80.4%と先行していた。
- — 完成式当日11/22は77.2%(LT32)。初日より9.5pt低いが、通常の日曜11/15を同一LTで2.2〜2.5pt上回る。
- — 公開初日の夜11/23は67.6%(LT33)で6日中最も薄く、当日までに売り切るには1日約150室と実績ペースの2.2倍が要る。
- — 首里城1km圏の稼働客室は333室で国際通り1km圏(12,561室)の約38分の1。公開需要は那覇中心部の客室で吸収される。
- — 那覇市の推定成約ADRは2025年11月¥9,618(N=136施設、前年同月比+17.0%)。2026年11月は掲載水準ベースで¥10,547と1割程度上回る。
正殿公開の概要 — 11/22完成式・11/23一般公開、3連休の中日と最終日に重なる
まず日程を整理しておきたい。共同通信が配信し熊本日日新聞が報じたところでは、木原官房長官は6月2日の会見で「首里城は沖縄の皆さんのみならず、わが国の誇りとも言える極めて重要な建造物だ」と述べ、復元完成式を11月22日に首里城公園で開催すると発表した。一般公開については琉球新報の社説(6月5日)が「完成式が11月22日、一般公開が同23日に決まった」と伝え、その後首里城公園の8月の発表で、正殿内部の見学は30分単位の日時指定による事前予約制とし、大人の入場料を現行の400円から1,000円に改定することが示された。10月8日には沖縄美ら島財団が改めて11月23日からの一般公開と予約手順を説明しており、公開日は11月23日予定と報じられている段階で、本稿執筆時点(10月23日)で首里城公園公式サイトは一時メンテナンス中のため、最終的な時刻・運用は公式の最新告知で確認されたい。
宿泊市場にとって重要なのは、この2日間が暦の上でどこに置かれたかである。11月21日(土)・22日(日)・23日(月・祝)は秋の3連休で、完成式は中日の日曜、公開初日は連休最終日の月曜にあたる。通常の3連休であれば初日の土曜夜に需要が集中し、中日がそれに続き、最終夜は帰路につく人が多く谷になる。正殿公開がこの型をどこまで変えるのか、言い換えれば「中日と最終夜が通常の日曜・祝日より埋まっているのか」が、那覇市のカーブを読む際の問いになる。
那覇市のブッキングカーブ — 3連休初日11/21は31日前で86.7%、前後の土曜を同一LTで3.5pt上回る
メトロエンジンリサーチが集計した那覇市179施設・15,218室の掲載在庫をもとに、6つの宿泊日のカーブを同じ軸に重ねたのが下図である。最新の観測はチェックイン31〜39日前(10月21日時点)で、11月21日(土)は推定OCC86.7%(LT31・残室2,019室)、11月22日(日)は77.2%(LT32・残室3,472室)、11月23日(月・祝)は67.6%(LT33・残室4,938室)だった。前週土曜の11月14日は観測が進んでおりLT24で87.2%、翌週土曜の11月28日はLT38で79.6%である。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(那覇市179施設・15,218室、全業態、LT45〜最新観測、2026年10月21日観測分まで)
カーブは観測日が違えば進捗も違うので、比較は同じリードタイムで行う必要がある。6日すべてに観測があるLT38で並べると、11月21日は83.2%に対し、11月14日が79.7%、11月28日が79.6%と、連休初日が前後の土曜を3.5〜3.6pt上回っていた。LT32でも11月21日86.4%に対し11月14日82.7%で差は3.7ptと縮まらず、45日前の時点で既に80.4%と4.1〜4.5pt先行していたことを考えると、連休初日の需要はLT45以前に相当部分が積まれ、その後も前後の土曜と同じ速度で消化が続いているといえる。11月21日はLT45からLT31までの14日間で962室が売れており、1日あたり約70室のペースだった。沖縄県のビジネスホテルで見た10月の那覇大綱挽まつりの三連休も初日が先に埋まる同じ型で、その着地は那覇大綱挽まつり2026の三連休、沖縄ビジネスホテルは初日10/10泊が直前97.7%で検証している。
一方で、完成式当日の11月22日(日)は77.2%と初日より9.5pt低い。ただし比較相手は土曜ではなく日曜であるべきで、前週日曜の11月15日はLT32で74.7%、LT38で72.1%だった。11月22日はLT32で77.2%、LT38で74.3%と、通常の日曜を2.2〜2.5pt上回っている。中日の需要は「初日ほどではないが、普段の日曜よりは厚い」というのが実態で、この差は3連休の中日効果と、翌日の公開初日に合わせて前泊する層の合計と読むのが自然だろう。
最も弱いのが公開初日の夜、11月23日(月・祝)である。LT38で65.1%、LT33で67.6%と、通常の日曜11月15日のLT38(72.1%)を7.0pt下回る。連休最終夜は帰路の日であり、沖縄の場合は夕方の航空便で本土へ戻る旅程が多いため、公開初日に正殿を見た来場者の多くはその夜に那覇に泊まらない。正殿公開が需要を生むとしても、それは23日の夜ではなく、21日・22日の夜に前倒しで現れる構造になっている。
| 宿泊日 | LT45 | LT38 | 最新観測 | 残室(最新) | 残在庫の平均掲載価格(税込) |
|---|---|---|---|---|---|
| 11/14(土) | 75.9% | 79.7% | 87.2%(LT24) | 1,941室 | ¥21,267 |
| 11/15(日) | 68.1% | 72.1% | 78.3%(LT25) | 3,307室 | ¥14,030 |
| 11/21(土・連休初日) | 80.4% | 83.2% | 86.7%(LT31) | 2,019室 | ¥23,816 |
| 11/22(日・完成式) | 72.0% | 74.3% | 77.2%(LT32) | 3,472室 | ¥17,926 |
| 11/23(月祝・公開初日) | 62.3% | 65.1% | 67.6%(LT33) | 4,938室 | ¥12,661 |
| 11/28(土) | 76.3% | 79.6% | 79.6%(LT38) | 3,109室 | ¥18,995 |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(那覇市179施設・15,218室。推定OCCはOTA掲載在庫ベース。平均掲載価格は残在庫プランの2名1室・税込平均で、ADRではない)
価格面でも初日の強さは表れている。残在庫の平均掲載価格は11月21日が¥23,800と、11月14日の¥21,300、11月28日の¥19,000より高く、11月22日の¥17,900、11月23日の¥12,700とは5,900〜1万1,200円の開きがある。沖縄県全体(907施設・36,723室)の同じリードタイムの推定OCCは11月21日が80.7%、11月22日が73.9%で、那覇市は県全体を3〜6pt上回っており、3連休の需要が那覇に寄っていることも確認できる。
業態別の進捗 — リゾートは11/28も85%、ビジネスは連休初日に集中
那覇市内を業態で分けると、同じ連休でも売れ方の形が異なる。LT38時点の推定OCCをビジネスホテル(80施設・9,410室)とリゾートホテル(18施設・2,555室)で比べると、連休初日11月21日はビジネス82.3%・リゾート84.0%と拮抗するが、中日の11月22日はビジネス72.6%に対しリゾート79.8%と7.2ptの差がつき、最終夜の11月23日はビジネス62.3%・リゾート74.6%と差は12.3ptまで広がる。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(那覇市、LT38時点の推定OCC。ビジネス80施設・9,410室、リゾート18施設・2,555室、全業態179施設・15,218室)
この差は客層の違いを映している。那覇のリゾートホテルは連泊の観光客が中心で、3連休を通して泊まる旅程が多いため、中日も最終夜も初日と大きくは落ちない。対してビジネスホテルは1泊単位の需要が主体で、土曜夜に集中し日曜以降は平常の形に戻る。興味深いのは翌週土曜11月28日で、リゾートは85.1%と連休初日(84.0%)を上回って6日の中で最も高く、ビジネスは79.2%と連休初日より3.1pt低い。那覇のリゾート需要は11月下旬にかけて週末ごとに厚みがあり、正殿公開の週末だけが突出しているわけではない、という点は押さえておきたい。業態で落ち幅が分かれる構造は10月の三連休でも同じで、最終日の在庫をどう売るかは沖縄の10月三連休、最終日はリゾート82.8%・ビジネス75.9%で整理している。
| 宿泊日 | ビジネス | リゾート | 全業態 |
|---|---|---|---|
| 11/14(土) | 79.7% | 81.5% | 79.7% |
| 11/15(日) | 71.7% | 76.6% | 72.1% |
| 11/21(土・連休初日) | 82.3% | 84.0% | 83.2% |
| 11/22(日・完成式) | 72.6% | 79.8% | 74.3% |
| 11/23(月祝・公開初日) | 62.3% | 74.6% | 65.1% |
| 11/28(土) | 79.2% | 85.1% | 79.6% |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(那覇市・LT38時点の推定OCC、OTA掲載在庫ベース)
首里の客室地図 — 首里城1km圏の稼働客室は333室、国際通り1km圏の約38分の1
正殿公開で来場者が増えても、その受け皿が首里にあるとは限らない。首里城(北緯26.217度・東経127.719度付近)を中心に客室ストックを棚卸しすると、名寄せのうえ営業中の施設を数えた「稼働中」の客室は半径1km圏で1軒・333室、半径2km圏に広げても5軒・798室にとどまる。同じ条件で那覇の中心部を測ると、おもろまち駅の1km圏は36軒・4,138室、国際通り(牧志)の1km圏は134軒・12,561室である。首里城1km圏の稼働客室は国際通り1km圏の約38分の1であり、首里は「歩いて正殿へ行ける宿」がきわめて薄いエリアだと数字で確認できる。
本記事の客室ストックは、首里城から半径1,000m圏内にある客室数10室以上の宿泊施設(レジャーホテルを除く)を対象とし、「稼働中」は直近3か月(2026年8月〜2026年10月)に主要予約サイトで販売価格が確認できた施設を指す(2026年10月23日時点、メトロエンジンリサーチ集計)。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年10月時点)(稼働中の客室数、客室数10室以上・レジャーホテル除く)
| エリア | 稼働中(直近3か月に販売確認) |
|---|---|
| 首里城 半径1km | 1軒 / 333室 |
| 首里城 半径2km | 5軒 / 798室 |
| おもろまち駅 半径1km | 36軒 / 4,138室 |
| 国際通り(牧志) 半径1km | 134軒 / 12,561室 |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年10月時点)
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。円の大きさは客室数、点線は首里城から半径1km・2km
首里城2km圏で稼働中の5施設を見ると、客室の大半は2軒の大型ホテルに集中している。首里城に最も近い大型ホテルはダブルツリーbyヒルトン那覇首里城(333室、ヒルトン「会社概要」による。2016年にリブランドで開業)で、コアグローバルマネジメントの発表(琉球新報 PR TIMES配信、6月22日)によれば、同ホテルは2027年1月1日(金)から「ザ グランドキャッスル 那覇 首里城 by ヒューイットリゾート」として運営を開始する予定である。もう1軒は旧ノボテル沖縄那覇で、同社の発表(7月31日)のとおり「インフィニシス 那覇 首里城 by ヒューイットリゾート」(328室、首里城まで徒歩約15分)として2026年7月31日に運営を始めている。つまり正殿公開の時点で、首里の大型客室661室は同一の運営会社の2ブランドに収れんしつつあり、ブランド移行の事実関係は各社発表のとおりである。
| 施設名(首里城2km圏・稼働中) | 客室数 | 区分 | 首里城からの距離 |
|---|---|---|---|
| ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城 | 333室 | シティホテル | 約0.9km |
| インフィニシス 那覇 首里城 by ヒューイットリゾート | 328室 | リゾートホテル | 約1.2km |
| 沖縄ホテル | 78室 | シティホテル | 約1.9km |
| Mr.KINJO inn こども病院前 | 36室 | ホステル | 約1.5km |
| Cozy ステイ in 那覇 | 23室 | ホステル | 約1.4km |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年10月時点)/ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城の客室数はヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)
首里の単価帯も中心部とは異なる。首里城に最も近い大型ホテルの2025年11月の推定成約ADRは約¥20,100(N=1施設・推定値)で、後述する那覇市中央値(¥9,600)の2倍を超える水準にあった。首里は客室が薄いだけでなく、残っている客室も市内の標準的な施設より高い価格帯で成立しており、正殿公開を目的に「首里に泊まりたい」需要は、量と価格の両面で中心部へ流れやすい構造にある。
前年11月の単価 — 那覇市の推定成約ADRは¥9,600、前年同月比+17.0%
単価の基準線として、那覇市の月次推定成約ADR(対象施設の中央値)を2024年から2026年まで月の軸で重ねた。2025年11月は¥9,600(N=136施設)で、2024年11月の¥8,200(N=142施設)に対し前年同月比+17.0%だった。前後の月は2025年10月が¥9,500、12月が¥9,700と、11月は秋から年末にかけてほぼ横ばいの帯の中にある。沖縄県全体の2025年11月は¥10,600(N=484施設)で、那覇市はビジネスホテルの比重が高いぶん県全体より1割ほど低い。業態ごとの単価水準と季節形状の違いは、沖縄のリゾート・シティ・ビジネス3業態比較で詳しく分析している。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(那覇市・推定成約ADR・対象施設の中央値、N=136〜144施設。2026年10〜12月は調査時点の掲載水準に基づく推定)
2026年に入ってからの那覇市は、2月の¥14,200を頂点に春以降は1万円前後で推移し、直近の確定月である9月は¥9,700(N=144施設)で前年同月比+8.6%だった。調査時点の掲載水準に基づく推定では10月が¥11,000(同+15.1%)、11月が¥10,500(N=143施設、同+9.7%)となっており、正殿公開の月は前年を1割程度上回る水準でスタートしている。ただし未来月の値は現時点の掲載価格に基づくスナップショットであり、チェックイン日が近づくにつれて変動する点は後述の注記のとおりである。
残室消化ペースの感応度 — 最終夜を埋めるには1日約150室、実績ペースの2.2倍が必要
3夜の進み方の違いは、残る客室を当日までに売り切るのに必要なペースで比べると分かりやすい。2026年10月21日観測の残室を当日までの日数で割ると、初日11月21日は1日約65室で、LT45からの実績ペース(約69室/日)をわずかに下回る水準で足りる。中日11月22日は約109室/日(実績約61室/日の1.8倍)、最終夜11月23日は約150室/日(実績約67室/日の2.2倍)が必要になる。
| 宿泊日 | 残室 | 当日までの日数 | 実績ペース(LT45→最新) | 完売に必要なペース | 必要÷実績 |
|---|---|---|---|---|---|
| 11/21(土・連休初日) | 2,019室 | 31日 | 約69室/日 | 約65室/日 | 0.9倍 |
| 11/22(日・完成式) | 3,472室 | 32日 | 約61室/日 | 約109室/日 | 1.8倍 |
| 11/23(月祝・公開初日) | 4,938室 | 33日 | 約67室/日 | 約150室/日 | 2.2倍 |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(実績ペース=LT45時点から最新観測までの残室減少数÷日数。必要ペース=最新観測の残室÷当日までの日数)
販売ペースを1日30〜150室の6段階に置いた場合の当日時点の推定OCCが表6である。初日は1日70室で残室がなくなる一方、最終夜は1日110室でも91.4%にとどまり、実績並みの1日70室では82.7%で着地する計算になる。中日は1日110室前後が完売の分かれ目である。最終夜の残室を中日の積み増しや連休明けの滞在需要で埋める、という後段の示唆はこの差に基づいている。
| 宿泊日 \ 1日あたり販売室数 | 30室 | 50室 | 70室 | 90室 | 110室 | 150室 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 11/21(土・連休初日) | 92.8% | 96.9% | 残室ゼロ | 残室ゼロ | 残室ゼロ | 残室ゼロ |
| 11/22(日・完成式) | 83.5% | 87.7% | 91.9% | 96.1% | 残室ゼロ | 残室ゼロ |
| 11/23(月祝・公開初日) | 74.1% | 78.4% | 82.7% | 87.1% | 91.4% | 残室ゼロ |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(試算。推定OCC=(15,218室−当日時点の残室)÷15,218室。掲載枠の追加・キャンセル・価格調整は織り込まない単純計算で、OTA掲載在庫ベースの推定値)
運営者への示唆 — 初日は守り、中日は積み増し、最終夜は別の需要で埋める
ここまでを整理すると、3連休の需要は「初日が厚く、中日が通常の日曜よりやや厚く、最終夜は通常の日曜より薄い」という型で、首里そのものには受け皿がほとんどなく、需要は那覇中心部の客室で吸収される。この前提に立つと、売り方は日ごとに変えるのが有効といえる。
初日11月21日(土)はLT31で86.7%、残室2,019室と進捗が最も速い。残る客室は直前にかけて上位価格帯で売り切る局面であり、早割や連泊割で単価を下げる理由は乏しい。ここで検討したいのは、むしろ21日を含む2泊・3泊の連泊条件を付けた上位プランで、22日・23日の在庫を21日の需要に牽引させる組み立てである。リゾートホテルでは既に連泊客が中日・最終夜を支えており、ビジネスホテルでも同じ構造を意図的に作る余地がある。
中日11月22日(日)は77.2%で、通常の日曜より2.2〜2.5pt厚い一方、残室はまだ3,472室ある。完成式当日の夜に那覇へ入り、翌23日の午後の公開枠(10月9日時点で午後の予約枠は空きがあったと報じられている)を見てから帰る旅程は、この日の需要として最も自然であり、正殿の観覧予約と組み合わせた前泊訴求が機能しやすい。公開初日は事前予約制で入場枠が区切られているため、観覧時刻を確保した来訪者に向けて「前夜に那覇で泊まる」理由を明示することが、中日の積み増しにつながる。
最終夜11月23日(月・祝)は67.6%で、残室4,938室と6日の中で最も余裕がある。この夜は正殿の来場者よりも、翌24日(火)以降に沖縄に滞在を続ける層、すなわち連休明けに休暇をつなげる旅行者と、ビジネス需要が戻る火曜に向けた出張前泊が受け皿になる。連休最終夜から平日にかけての連泊プラン、翌朝の早い便を意識した素泊まりや軽朝食付きの価格帯は、この日に限っては単価より稼働を優先する設計が合理的だろう。
首里エリア外への波及については、首里城1km圏の稼働客室が333室しかない以上、公開に伴う宿泊需要は構造的に中心部へ流れる。ゆいレールで首里駅からおもろまち駅までは10分前後、県庁前駅までも15分ほどであり、国際通り・おもろまちの宿は「首里城まで電車で○分」を正殿公開の期間に限って前面に出す価値がある。首里城公園に近い2軒が同一運営会社のもとでブランドを揃えていく局面では、中心部の宿にとって首里の高単価帯との価格差そのものが訴求点になる。
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よくある質問
Q. 首里城正殿の一般公開はいつからですか。
首里城公園の発表では2026年11月23日(月・祝)からで、正殿内部の見学は30分単位の日時指定予約制です。完成式は前日22日に首里城公園で開かれます。最新の運用は首里城公園の公式告知でご確認ください。
Q. 那覇市の3連休で最も埋まっているのはどの夜ですか。
2026年10月21日時点の掲載在庫では初日11月21日(土)が推定OCC86.7%(LT31)で最も高く、中日22日は77.2%、最終夜23日は67.6%でした。いずれもOTA掲載在庫ベースの推定値で、施設全体の実稼働率とは異なります。
Q. 首里城の近くに泊まれるホテルはどれくらいありますか。
首里城から半径1km圏で稼働中の宿泊施設は1軒・333室、2km圏でも5軒・798室です(客室数10室以上、2026年10月23日時点)。国際通り1km圏の12,561室と比べると、首里の客室はきわめて限られています。
Q. 最終夜11月23日の残室を当日までに売り切るには、どれくらいのペースが必要ですか。
2026年10月21日観測の残室4,938室を当日までの33日で割ると1日約150室で、LT45からの実績ペース(約67室/日)の約2.2倍です。実績並みの1日70室が続いた場合の当日時点の推定OCCは82.7%の試算です(表6)。
Q. 前年11月の那覇市のホテル単価はどれくらいでしたか。
那覇市の推定成約ADR(対象施設の中央値・税抜相当)は2025年11月が9,618円(N=136施設)で、2024年11月の8,222円から前年同月比+17.0%でした。2026年11月は調査時点の掲載水準に基づく推定で10,547円です。
⚠ 将来日程のADR・推定OCCに関する注意:本記事の2026年10月以降のADRは調査時点でOTAに公開されている販売価格に基づく推定であり、ブッキングカーブと推定OCCも2026年10月21日までの観測に基づく途中経過です。チェックイン日に近づくにつれて新規プランの追加・価格調整・キャンセルにより変動し、現時点で高く設定されている価格が直前に下落する可能性がある点にご留意ください。
まとめ
首里城正殿の完成式(11月22日)と一般公開(11月23日予定)が重なる3連休について、那覇市179施設・15,218室の掲載在庫は、初日21日が31日前(2026年10月21日観測)で推定OCC86.7%と前後の土曜を同一LTで3.5pt上回り、中日22日は77.2%と通常の日曜より2.2〜2.5pt厚く、最終夜23日は67.6%と通常の日曜を7pt下回る、という型を示していた。首里城1km圏の稼働客室は333室で国際通り1km圏の約38分の1にとどまり、公開に伴う宿泊需要は那覇中心部で受け止められる。前年11月の那覇市の推定成約ADRは¥9,600(前年同月比+17.0%)で、2026年11月は調査時点の掲載水準で1割程度上回って始まっている。運営者にとっての機会は、初日を守りつつ連泊で中日・最終夜を牽引し、最終夜は連休明けの滞在需要で埋める設計にあるといえる。
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参考資料・出典一覧
■ データソース
ブッキングカーブと推定OCCは、メトロエンジンリサーチが主要予約サイトで日次に観測した那覇市179施設・15,218室(全業態・固定コホート)、ビジネスホテル80施設・9,410室、リゾートホテル18施設・2,555室、沖縄県907施設・36,723室の掲載在庫(2026年10月21日観測分まで、LT45以内)。推定成約ADRは那覇市・沖縄県の月次中央値(N=136〜144施設/484施設)。客室ストックは首里城・国際通り(牧志)・おもろまち駅を中心とする半径1km・2km圏の客室数10室以上の施設(レジャーホテル除く、2026年10月23日時点)。正殿公開の日程・運用は報道各社と首里城公園の告知、ホテルの客室数・運営開始日は各社発表とヒルトン「会社概要」による。
■ 試算前提
宿泊日どうしの比較は同一リードタイム(LT45・LT38・LT32)で行った。表5の実績ペースはLT45時点から最新観測までの残室減少数を日数で割った値、完売に必要なペースは最新観測の残室を当日までの日数で割った値。表6は最新観測の残室から1日あたり一定の室数が売れ続けると置いた単純計算で、推定OCC=(15,218室−当日時点の残室)÷15,218室とした。
■ 限界・留意点
推定OCCはOTA掲載在庫の消化状況に基づく推定値で、施設全体の実稼働率とは異なる。カーブは2026年10月21日までの途中経過で、直前の掲載枠追加・キャンセル・価格調整により変動する。表6はこれらを織り込まない試算であり、着地を予測するものではない。2026年10月以降の推定成約ADRは調査時点の掲載価格に基づく推定。首里城に最も近い大型ホテルのADRはN=1施設の推定値。客室ストックの「稼働中」は直近3か月に販売価格が確認できた施設に限る。
- 首里城正殿、11月22日完成式 19年に焼失し再建中(共同通信配信・熊本日日新聞、2026年6月2日)
- 社説「首里城11月完成・公開 県民主体の活用模索を」(琉球新報、2026年6月5日)
- 首里城正殿、11月23日から一般公開・事前予約制と料金改定(トラベル Watch、2026年8月17日)
- 首里城正殿内の見学、予約制に 11月23日一般公開(琉球新報、2026年10月12日)
- 首里城公園 公式サイト(一般財団法人沖縄美ら島財団)
- 首里城復元に向けた関係閣僚会議(首相官邸)
- 「ザ グランドキャッスル 那覇 首里城 by ヒューイットリゾート」2027年1月1日運営開始(コアグローバルマネジメント、PR TIMES・琉球新報配信、2026年6月22日)
- 「インフィニシス 那覇 首里城 by ヒューイットリゾート」開業(コアグローバルマネジメント、PR TIMES配信、2026年7月31日)
- メトロエンジンリサーチ — 那覇市ブッキングカーブ・推定OCC(179施設・15,218室、LT45以内)、那覇市・沖縄県の推定成約ADR(N=136〜144施設/484〜515施設)、首里城・国際通り・おもろまち駅の半径圏客室ストック(2026年10月23日時点)
- メトロエンジンリサーチ — 沖縄県×首里の公開プラン名(N=84)の訴求要素集計
出典: ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)
