トップ > 季節・イベント > 金沢マラソン2026の前泊、45日前に金沢市OCC91%(前週土曜比+10.6pt)— 横浜・神戸も同一LTで比較

金沢マラソン2026の前泊、45日前に金沢市OCC91%(前週土曜比+10.6pt)— 横浜・神戸も同一LTで比較

投稿日 : 2026.10.19

石川県

神奈川県

兵庫県

季節・イベント

金沢マラソン2026の前泊、45日前に金沢市OCC91%(前週土曜比+10.6pt)— 横浜・神戸も同一LTで比較

金沢マラソン2026(10月25日・日曜)、横浜マラソン2026(同日)、神戸マラソン2026(11月15日・日曜)を控え、開催地のホテル在庫は大会前夜に向けてどう動いているのか。メトロエンジンリサーチが追跡する宿泊日別の残室データを、同じリードタイム(LT45=宿泊日の45日前)で切り揃えて見ると、金沢市では前泊にあたる10月24日(土)の稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)が91.1%と、前週土曜の80.5%を10.6pt上回り、翌週土曜(76.4%)や大会当日の夜(78.5%)との差はさらに大きかった。横浜の中区、神戸の中央区でも同じ形が出ている一方で、埋まり方の速さは都市ごとに違う。本稿では3大会の前泊需要を同一LTで定量化し、客室ストックに対する必要客室の規模を逆算したうえで、運営者が価格改定と最低宿泊日数(MLOS)をどのタイミングで決めるべきかを逆算表で示す。

本記事における指標の定義

  • OCC(稼働率):エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。本稿では「稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)」と表記する。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なります。
  • ブッキングカーブ:チェックイン日に向けたOTA残室数の推移。LT(リードタイム)=チェックインまでの日数(LT0=当日)。本稿のカーブと数値はLT45以内の観測のみを用いる。
  • 同一LT比較:比較する宿泊日ごとに、同じLTの観測点を取り出して並べる手法。観測日の違い(直近点どうしの比較)では予約の進み具合が揃わないため、本稿は原則としてLT45の値で比較し、進捗はLT45→LT14の推移で示す。
  • 掲載価格(販売中在庫の平均):各観測時点でOTA上に販売中として掲載されている客室の価格平均(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)。完売した施設・プランは含まれないため、在庫が絞られるほど残った高価格帯に偏る。成約単価(ADR)ではない。
  • 対象施設・客室:主要予約サイト掲載ベースで稼働が確認できる施設。各表・図に対象施設数と客室数を併記する。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ(宿泊日別残室データ、2026年10月11日時点)
Key Takeaways
  • — 前泊日は45日前に91.1% — 金沢市の10月24日(土)はLT45時点で稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)91.1%、前週土曜の80.5%を10.6pt上回る(137施設/9,815室、2026年10月11日時点)。
  • — 前夜だけが跳ね、当日夜は跳ねない — 大会当日の夜はLT45で金沢市78.5%、横浜市中区64.1%、神戸市中央区78.5%と、前夜より12.6〜15.7pt低い。
  • — 決着の速さは都市で違う — LT45からLT14の積み上がりは金沢市+3.2pt(遠征型・早期決着)に対し、横浜市中区は+14.9pt(近郊型・直前積み上げ)。神戸市中央区はLT45で94.2%。
  • — 掲載価格は前週土曜比1.25〜1.6倍 — 金沢市1.6倍、神戸市中央区1.38倍、横浜市中区1.25倍。販売中在庫の平均で完売施設を含まないため、成約単価ではない。
  • — 必要客室の逆算 — 参加者の居住地構成に仮定を置くと、金沢市は客室の36〜74%、横浜市中区・西区は16〜45%、神戸市中央区は85〜139%に相当する。

3大会の基本情報 — 前日受付が「前泊」を生む

まずは比較の前提となる3大会の日程を公式資料で揃えておきたい。金沢マラソン2026は10月25日(日)8時30分スタート(しいのき迎賓館前)で、ランナー受付は前々日の10月23日(金)13時30分〜20時30分と前日の10月24日(土)9時30分〜19時30分に金沢駅前の石川県立音楽堂交流ホールで行われる。前日受付を当日朝に振り替える仕組みはなく、県外からの参加者は構造的に前泊か前々泊を選ぶことになる。加えて、大会前夜の10月24日には金沢城公園で観覧無料のドローンショー(18時30分・20時15分の2回)が予定され、前泊の夜そのものがイベント化している。

横浜マラソン2026は同じ10月25日(日)に開催され、横浜市の広報では8時30分〜15時の時間帯で案内されている。募集人数は30,200人と前年より1,000人多く、初めて3万人を超えた。神戸マラソン2026は11月15日(日)で、フルマラソンの定員20,000人に対し国内58,340人・海外2,833人の計61,173人が申し込み、抽選となった。国内申込者のうち県外は37,899人で、国内の65%を占める。

3大会の開催概要(2026年大会、各大会の公式資料による)
大会開催日規模(公式)受付・前夜の予定出典
金沢マラソン202610/25(日)8:30スタート2025年大会の事前登録者15,941人(国内)受付10/23(金)13:30〜20:30・10/24(土)9:30〜19:30(石川県立音楽堂交流ホール)、10/24夜にドローンショー金沢マラソン組織委員会「フルマラソン参加案内」、金沢学院大学
横浜マラソン202610/25(日)8:30〜15:00募集30,200人(過去最多)事前配付物の前日受取案内あり(詳細は公式サイト)横浜市広報、横浜マラソン組織委員会プレスリリース
神戸マラソン202611/15(日)フル定員20,000人・申込61,173人(県外37,899人・海外2,833人)市役所前スタート・ハーバーランドフィニッシュ(2025大会と同コース)神戸マラソン実行委員会、神戸市

出典:各大会の公式資料よりホテルバンク編集部作成

なぜ「同一リードタイム」で比べるのか

イベント前泊の需要は、観測した日の残室をそのまま並べても測れない。10月11日時点で10月17日はLT6、10月24日はLT13、10月31日はLT20と、チェックインまでの日数が違えば予約の進み具合も違うからである。そこで本稿は、比較する全ての宿泊日に共通して存在するLT45の観測点を取り出して並べ、そのうえでLT45からLT14までの推移を重ねて「いつ決着したか」を読む。LT45より前の観測は掲載枠が積まれる前の状態を含み、予約進捗を表さない場合があるため使わない。同じ物差しで駅伝の前夜を測った出雲駅伝2026のホテル、前夜は45日前に推定OCC98.8%(2026年10月公開)と並べて読むと、大会の種類による前泊の形の違いも見えてくる。

金沢市 — 前泊土曜は45日前に91.1%、当日夜は78.5%

金沢市(対象137施設/客室9,815室、主要予約サイト掲載ベース)を見ると、前泊にあたる10月24日(土)はLT45時点で稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)91.1%、残室873室だった。前週土曜の10月17日が80.5%(残室1,912室)、翌週土曜の10月31日が76.4%(残室2,325室)なので、前泊日は平常の土曜より10.6〜14.7pt高い。一方で大会当日の夜、10月25日(日)はLT45で78.5%と、前週土曜すら下回る水準にとどまる。前夜だけが跳ね、当日夜は跳ねないという構造がはっきり出ている。

価格も同じ向きに動いている。販売中在庫の掲載価格平均は10月24日が¥71,100で、前週土曜の¥44,500に対して1.6倍、当日夜の¥32,800に対しては2倍を超える。ただし、この平均は完売した施設を含まない「残っている在庫」の価格なので、在庫が絞られた前泊日ほど高価格帯に偏る点は割り引いて読む必要がある。前夜の価格が夏の時点で既に通常土曜から離れ始めていたことは、秋のマラソン4大会と宿泊需給2026が施設単位で確認している。

金沢市・宿泊日別のLT45時点比較(10/24時点の対象137施設/客室9,815室、宿泊日により136〜139施設・9,809〜9,836室、主要予約サイト掲載ベース)
宿泊日位置づけ稼働率(推定)@LT45残室 @LT45掲載価格(販売中在庫平均)@LT45
10/17(土)前週土曜80.5%1,912¥44,483
10/23(金)前々日(受付初日)76.6%2,295¥29,134
10/24(土)前泊(受付2日目・前夜)91.1%873¥71,083
10/25(日)大会当日の夜78.5%2,113¥32,763
10/31(土)翌週土曜76.4%2,325¥45,790

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(LT45=各宿泊日の45日前の観測)

注目したいのは推移の形である。10月24日はLT45で91.1%だったものがLT30で92.7%、LT14で94.3%と、45日間で3.2ptしか積み上がっていない。対照的に前週土曜の10月17日はLT45の80.5%からLT14の89.9%まで9.4pt伸びた。つまり前泊需要はLT45より前にほぼ決着しており、それ以降は平常の週末需要が残った在庫を埋めていく局面に入っている。前々日の10月23日(金)は76.6%で、前週金曜(10月16日)の77.8%とほぼ同じ水準にあり、前々泊は宿泊数としては大きく現れていない。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(金沢市 対象137施設/客室9,815室、LT45→LT14、未到達のLTは空欄)

石川県全体 — 受け皿はビジネスホテル、旅館は動かず

では、前泊需要はどのカテゴリに吸収されているのか。石川県(対象269施設/客室14,840室)をカテゴリ別に分けると、ビジネスホテル(69施設/9,212室)は10月24日がLT45で87.1%と、前週土曜の76.5%から10.6pt上がり、掲載価格平均も¥32,000から¥49,800へ上昇した。これに対して旅館(88施設/3,575室)は71.6%→72.5%とほぼ横ばいで、加賀温泉郷や和倉温泉を含む旅館在庫にはマラソンの影響がほとんど及んでいない。遠征ランナーは駅前・市街地のビジネスホテルを選び、温泉旅館は通常の秋の週末需要で動いていると読める。

石川県・カテゴリ別のLT45時点比較(ビジネスホテル69施設/9,212室、旅館88施設/3,575室、主要予約サイト掲載ベース)
宿泊日ビジネスホテル 稼働率(推定)同 掲載価格平均旅館 稼働率(推定)同 掲載価格平均
10/17(土)76.5%¥32,04271.6%¥47,350
10/23(金)73.3%¥19,93166.0%¥38,961
10/24(土)87.1%¥49,77172.5%¥50,669
10/25(日)72.2%¥20,25162.8%¥38,385
10/31(土)71.4%¥33,26271.8%¥50,917

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(石川県、LT45時点、対象施設数は上表のとおり)

横浜 — 中区は前週比+14.1pt、ただし埋まり方は「直前型」

横浜は会場となるみなとみらい・関内を抱える中区(対象50施設/客室9,927室)と西区(10施設/2,284室)で見る。中区の10月24日はLT45で79.4%と、前週土曜の65.3%を14.1pt、翌週土曜の53.4%を26.0pt上回った。当日夜の10月25日は64.1%で、ここでも前夜だけが跳ねる形になっている。西区も74.0%→79.4%と同じ向きだが、施設数が10と少ないため幅は参考値にとどめたい。

金沢と違うのは、その後の積み上がり方である。中区の10月24日はLT45の79.4%からLT30で84.7%、LT20で91.3%、LT14で94.3%と、45日間で14.9pt伸びている。金沢の3.2ptに対して4倍以上の伸びで、横浜の前泊日はLT45の時点ではまだ埋まりきっていない。首都圏からの参加者は当日移動が可能で、前泊を決めるのが遅い層が厚いと考えられる。金沢が「遠征型・早期決着」、横浜が「近郊型・直前積み上げ」と整理すると、後述する価格改定のタイミングも自ずと変わってくる。

横浜市中区・西区のLT45時点比較(中区50施設/9,927室、西区10施設/2,284室、主要予約サイト掲載ベース)
宿泊日位置づけ中区 稼働率(推定)@LT45中区 残室中区 掲載価格平均西区 稼働率(推定)@LT45
10/17(土)前週土曜65.3%3,440¥32,85874.0%
10/23(金)前々日66.9%3,281¥21,28576.4%
10/24(土)前泊79.4%2,043¥41,23179.4%
10/25(日)大会当日の夜64.1%3,560¥16,90869.2%
10/31(土)翌週土曜53.4%4,624¥31,05866.5%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(横浜市中区 対象50施設/客室9,927室、LT45→LT14)

神戸 — 中央区は45日前に94.2%、県全体では見えない

神戸マラソンは3週間後の11月15日(日)で、前泊は11月14日(土)になる。スタート(市役所前)とフィニッシュ(ハーバーランド)を抱える中央区(対象37施設/客室5,436室)は、11月14日がLT45で94.2%、残室318室と、前週土曜11月7日の85.4%を8.8pt上回る。当日夜の11月15日は78.5%で、金沢・横浜と同じく前夜だけが跳ねる構造である。掲載価格平均も¥44,800(11/7)から¥61,900(11/14)へ1.38倍になった。

ただし神戸の翌週土曜11月21日は91.0%と前泊日に迫る水準にある。11月23日(月・勤労感謝の日)を含む3連休の初日で、紅葉の最盛期とも重なるため、ここは大会とは別の需要が乗っている。兵庫県全体(573施設/19,966室)では11月7日82.9%、11月14日84.3%、11月21日89.2%と、前泊日の差はほとんど見えない。有馬温泉を抱える北区(40施設/1,460室)は11月14日が90.1%、11月21日が96.4%と連休側が高く、秋の温泉需要が主役である。県単位の集計ではマラソンの前泊は紅葉と連休の中に埋もれ、会場の区まで絞って初めて輪郭が出る。

神戸市中央区・兵庫県のLT45時点比較(中央区37施設/5,436室、兵庫県573施設/19,966室、主要予約サイト掲載ベース)
宿泊日位置づけ中央区 稼働率(推定)@LT45中央区 残室中央区 掲載価格平均兵庫県 稼働率(推定)@LT45
11/7(土)前週土曜85.4%794¥44,82482.9%
11/13(金)前々日79.1%1,136¥24,286—
11/14(土)前泊94.2%318¥61,89384.3%
11/15(日)大会当日の夜78.5%1,167¥22,81968.8%
11/21(土)翌週土曜(3連休初日)91.0%489¥52,62389.2%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(11/13は県単位の比較対象日に含めていないため「—」)

3都市の前泊プレミアムを並べる

ここまでを同じ物差しで整理すると、前泊日と前週土曜の差は金沢市+10.6pt、横浜市中区+14.1pt、神戸市中央区+8.8ptで、前泊日と大会当日の夜との差は金沢市+12.6pt、横浜市中区+15.3pt、神戸市中央区+15.7ptになる。販売中在庫の掲載価格平均は前週土曜比で金沢市1.6倍、横浜市中区1.25倍、神戸市中央区1.38倍と、稼働の差に比べて価格の反応は金沢が突出して大きい。客室9,815室の金沢市に1万5千人規模の大会が乗るのに対し、横浜市中区・西区は合計12,211室で、同じ前泊需要でも供給に対する圧力の度合いが違うからだろう。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(各宿泊日のLT45時点、対象施設数・客室数は各表のとおり)

客室ストックに対する必要客室の逆算

前泊需要はストックに対してどの程度の規模なのか。公表されている参加者の居住地構成から逆算してみたい。金沢マラソン2025の参加ランナー約1.56万人のうち県外は8,704人(遠隔県6,195人・隣接県1,565人・海外944人)で、県外ランナーの同行者比率は0.6人(金沢学院大学の推計)である。前泊率と1室あたり人数を置いて必要客室を求めると、金沢市の客室9,815室に対して次の幅になる。

金沢マラソン前泊需要の逆算(県外ランナー8,704人を起点、金沢市9,815室・石川県14,840室)
シナリオ前泊率(遠隔県/隣接県/海外)同行者比率1室あたり前泊人数必要客室金沢市ストック比石川県ストック比
保守遠隔70%/隣接30%/海外90%0.01.6人5,656人3,535室36%24%
中位遠隔85%/隣接40%/海外100%0.61.8人10,937人6,076室62%41%
上位遠隔90%/隣接50%/海外100%0.61.6人11,683人7,302室74%49%

出典:金沢学院大学「KM2025経済波及効果について」(2026年3月21日)、メトロエンジンリサーチよりホテルバンク編集部試算

中位シナリオでも金沢市の客室の6割、石川県全体の4割に相当する。これに対して実際にLT45時点で観測された前泊日の上積み(前週土曜との残室差)は金沢市で1,039室、石川県で1,353室にとどまる。差分の解釈は三つ考えられる。第一に、平常の土曜に金沢へ来る観光客が前泊日には別の週末へ動き、マラソン需要が通常需要を置き換えている可能性。第二に、富山・福井など隣県の宿泊施設が受け皿になっている可能性。第三に、知人宅や車中泊など宿泊統計に現れない前泊がある可能性である。いずれにせよ、金沢市内だけで吸収しきれない規模の前泊需要が周辺に広がっているとみるのが自然で、北陸新幹線で30分圏の富山市や、同じく新幹線で結ばれる福井市は、価格と在庫の設計次第で取り込める余地がある。スタート地点から5km圏で数えた客室ストックの横並びは、10月〜2月のマラソン12大会、スタート5km圏の客室を実測で12大会分を示している。

横浜は組織委員会の事業報告に居住地別の構成が示されていないため、県外比率そのものを仮定に置く必要がある。2025年大会の出走者28,770人(全種目)を起点に県外比率と前泊率を30〜50%の幅で置くと、必要客室は中区・西区合計12,211室の16〜45%になる。首都圏からの日帰り参加が多い大会であり、前泊需要は供給の半分を超えない規模と考えられる。LT45時点で中区が79.4%、西区が79.4%と金沢ほど詰まっていないのは、この供給余力の表れでもある。

横浜マラソン前泊需要の逆算(出走者28,770人を起点、中区・西区合計12,211室)
シナリオ県外比率前泊率同行者比率1室あたり前泊人数必要客室中区・西区ストック比
保守30%30%0.31.7人3,366人1,980室16%
中位40%40%0.31.7人5,984人3,520室29%
上位50%50%0.31.7人9,350人5,500室45%

出典:横浜マラソン組織委員会「横浜マラソン2025 事業報告」(2026年1月22日)、メトロエンジンリサーチよりホテルバンク編集部試算

神戸は様相が異なる。神戸マラソン2025の出走者20,627人のうち県外は12,609人(国内県外10,386人・海外2,223人)で、海外ランナーはランナー本人を含めて平均2.9人のグループで訪れる(兵庫県地域経済指標研究会)。国内県外の前泊率を30〜50%、海外ランナーを全員前泊と置くと、必要客室は中央区の5,436室を上回る85〜139%に達する。中央区がLT45で94.2%まで埋まっているのはこの規模感と整合的で、灘区・兵庫区・新神戸周辺、さらに大阪市内まで前泊の受け皿が広がる構図になる。海外ランナーの平均宿泊費が1人あたり約8.5万円(2025大会)と連泊を前提とする水準にあることを踏まえると、前泊日1泊に限らない滞在設計が効く市場といえる。

神戸マラソン前泊需要の逆算(県外ランナー12,609人を起点、中央区5,436室)
シナリオ国内県外 前泊率同行者比率海外 グループ人数海外 1室あたり前泊人数必要客室中央区ストック比
保守30%0.32.0人2.0人8,497人4,606室85%
中位40%0.32.9人2.0人11,847人6,400室118%
上位50%0.32.9人1.8人13,198人7,553室139%

出典:兵庫県地域経済指標研究会「神戸マラソン2025の経済波及効果」(2026年3月3日)、神戸マラソン実行委員会、メトロエンジンリサーチよりホテルバンク編集部試算

他の要因の点検 — 単独要因とは断定しない

前泊日の上振れをマラソンだけに帰着させる前に、同じ週末に重なる要因を確認しておく。金沢では10月24日夜のドローンショーが大会に付随して開催されるが、これは前泊客の滞在を厚くする要因であって独立した集客源ではない。兼六園のライトアップ「金沢城・兼六園四季物語 秋の段」は2026年は11月の週末に設定され、10月24日・25日には当たらない。同日の大型コンサートも編集部が確認した範囲では見当たらず、紅葉は例年10月中旬から色づき始める時期にあたるため、秋の観光需要の底上げは平常の土曜と同程度と考えられる。

横浜の10月24日はKアリーナ・横浜スタジアム等での大型公演を確認できず、翌週10月31日の中区が53.4%と低めなのは、ハロウィン週末に関内・みなとみらいの宿泊需要が特段に集まっていないことを示す。神戸の11月14日は紅葉シーズンの土曜であり、北区(有馬温泉)が90.1%と高いことからも、中央区の94.2%には秋の観光需要が一定程度含まれる。前週11月7日との差8.8ptのうち、どこまでがマラソン由来かは分離できないため、本稿では「少なくとも前週より8.8pt高い」という表現にとどめる。

運営者への示唆 — 前泊需要の決着点から逆算する価格改定とMLOS

3都市の推移が示すのは、前泊需要が固まるリードタイムは都市によって違うということである。金沢は前泊日がLT45で既に9割を超え、以降の上積みが3.2ptにとどまったことから、決着はLT45より前にあるとみてよい。横浜は中区がLT45からLT14にかけて14.9pt積み上がっており、価格を動かす余地がLT30〜20にも残る。神戸はLT45で94.2%、LT35で96.4%と、金沢と同じ早期決着型である。この違いを前提に、前泊日の販売設計を逆算すると次の表になる。

前泊日の販売設計・逆算表(遠征型=金沢・神戸、近郊型=横浜)
リードタイム観測された動き価格改定の打ち手MLOS(最低宿泊日数)の打ち手
LT90〜60(本稿の観測範囲外)前泊日の初期価格を、同月の平常土曜ではなく前年の前泊日実績を基準に設定したい。前泊+当日夜の2泊優先販売を基本形に。遠征型(金沢・神戸)は当日夜の埋まりが弱いため、2泊の抱き合わせが最も効く時期。
LT60〜45遠征型は前泊日がLT45時点で既に9割超(金沢91.1%、神戸中央区94.2%)遠征型は残在庫を高単価帯に絞る局面。近郊型(横浜)はLT45以降も積み上がりが続くので据え置きが妥当。遠征型はLT60前後で2泊縛りを解き、1泊に開放して取りこぼしを防ぎたい。近郊型は2泊優先を継続してよい。
LT45〜30金沢は+1.6pt、横浜中区は+5.3ptの積み上がり近郊型はここで1段階目の値上げ。遠征型は当日夜(完走後泊)の販売に軸足を移す時期。近郊型はLT30で1泊開放。前泊客向けに「当日夜の延泊」をレイトチェックアウト付きで提案し、当日夜の78.5%(金沢)を引き上げる。
LT30〜14横浜中区はLT20で91.3%、LT14で94.3%まで到達近郊型は2段階目の値上げが可能。遠征型は残室数が少ないため値下げの必要はなく、直前の在庫戻りを高単価で受ける。MLOSは原則解除。受付初日(前々日・金曜)の1泊需要は平常金曜並みなので、金曜は通常販売でよい。
LT14〜0(観測はこれから)キャンセル戻りが散発的に出る局面当日夜は直近の観測でもエリア全体で1〜2割の残室があるため、完走者向けの当日夜プランを前泊客にクロスセルする。なし。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部作成

当日夜に目を向けると、金沢市は10月25日(日)がLT45で78.5%、横浜市中区は64.1%、神戸市中央区は78.5%と、いずれも前夜から10pt超下がる。フルマラソンを走り切った参加者が同日中に帰路につく行動は変えにくいが、前泊客のうち遠隔県・海外からの参加者に限れば、完走後にもう1泊してから帰る提案は受け入れられやすい。金沢の県外ランナーの同行者比率が0.6人、海外ランナーの同行者が1.9人(いずれも2025年大会)という構成を踏まえると、同行者向けの当日観光と組み合わせた延泊プランは、前夜の高単価と当日夜の空きを一つの滞在に束ねる収益機会になる。

まとめ

同一LT比較で見た3大会の前泊需要は、いずれも「前夜だけが跳ね、当日夜は跳ねない」という共通の形をしていた。金沢市はLT45で91.1%(前週土曜比+10.6pt)、横浜市中区は79.4%(+14.1pt)、神戸市中央区は94.2%(+8.8pt)で、価格の反応は金沢が最も大きい。一方で決着の速さは異なり、金沢・神戸はLT45より前に固まる遠征型、横浜はLT45以降も積み上がる近郊型と分かれる。参加者の居住地構成から逆算した必要客室は、金沢市で客室の4〜7割、神戸市中央区では供給を上回る規模にあり、受け皿は隣県や隣接区に広がっている。運営者にとっては、前泊日の価格改定とMLOSの判断をLT60〜45(遠征型)またはLT30〜20(近郊型)に置き、当日夜の延泊を前泊客に束ねて提案することが、前泊需要を収益に変える現実的な道筋になる。

よくある質問

Q. 金沢マラソン2026の前泊日、金沢市のホテルはどの程度埋まっていますか。
A. 前泊にあたる2026年10月24日(土)は、45日前(LT45)の時点で稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)が91.1%、残室873室でした。LT14では94.3%です(金沢市137施設/9,815室、2026年10月11日時点)。OTA上の販売在庫に基づく推定値で、施設全体の実稼働率とは異なります。

Q. 大会当日の夜も前夜と同じように埋まりますか。
A. 同じLT45で比べると、大会当日の夜は金沢市78.5%、横浜市中区64.1%、神戸市中央区78.5%で、前夜より12.6〜15.7pt低い水準です。3都市とも前夜だけが跳ね、当日夜は平常の日曜に近い動きにとどまっています(2026年10月11日時点の観測)。

Q. なぜ同じリードタイムで比べる必要があるのですか。
A. 観測日をそろえて残室を並べると、宿泊日ごとにチェックインまでの日数が違うため、予約の進み具合がそろいません。本稿は比較する全ての宿泊日に共通するLT45の観測点を取り出し、LT45からLT14までの推移を重ねて、需要がいつ固まったかを読んでいます。

Q. 前泊日の価格改定とMLOS(最低宿泊日数)はいつ判断するのがよいですか。
A. 金沢・神戸のような遠征型は前泊日がLT45時点で既に9割を超えるため、判断の軸はLT60〜45に置くのが目安です。横浜のような近郊型はLT45以降も積み上がりが続くので、LT30〜20に2段階で動かす余地があります。いずれも2026年大会の観測に基づく目安で、大会や年によって変わり得ます。

⚠ 将来日程の数値に関する注意:本記事の稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)と掲載価格は、2026年10月11日時点までの観測に基づく。宿泊日はいずれも調査時点より先にあり、チェックイン日に近づくにつれて在庫の追加・キャンセル戻り・価格調整で変動する。掲載価格は販売中在庫の平均であり、完売した施設を含まない点にも留意されたい。

あわせて読みたい

参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチの宿泊日別残室データ(2026年10月11日時点)。対象は総客室の3割以上を主要予約サイトに掲載している施設で、施設数と客室数は各表・図に併記した。稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)は「100 − 掲載残室数 ÷ 総客室数 × 100」で求めており、掲載外の客室を消化済みとして数えるため、実際の客室稼働率より高めに出やすい。大会の日程・参加者数・居住地構成は各大会の公式資料と経済波及効果の報告書による。

■ 試算前提

必要客室は「県外ランナー数 × 前泊率 ×(1+同行者比率)÷ 1室あたり人数」で求めた。金沢は遠隔県・隣接県・海外の3区分に前泊率を置き、横浜は居住地別の公表値がないため県外比率も仮定している。神戸は国内県外ランナー(1室あたり1.7人)と海外ランナー(グループ人数 ÷ 1室あたり人数)を別に計算して合算した。前泊率と1室あたり人数は編集部の仮定であり、実測値ではない。

■ 限界・留意点

宿泊日はいずれも調査時点より先にあり、在庫の追加・キャンセル戻り・価格調整で数値は変わる。LT45より前は観測に用いていないため、前泊需要が固まった正確な時点は特定できない。掲載価格は販売中在庫の平均で、完売した施設を含まず成約単価とは異なる。前泊日の上振れには秋の観光需要や連休が重なっており、マラソン単独の効果は分離していない。対象施設数は宿泊日によってわずかに異なり、横浜市西区(10施設)は参考値である。

関連記事