ヒルトン京都(京都市中京区下丸屋町416・313室)は2024年9月12日に開業し、2026年9月で丸2年を迎えた。メトロエンジンリサーチが集計した推定成約ADR(1室2名利用・税抜相当)で見ると、2026年9月のヒルトン京都は¥50,200で、同月の中京区全体の中央値¥15,100に対して3.33倍、直近12ヶ月(2025年10月〜2026年9月)の中央値では3.55倍の位置にある。本稿では、開業2年の旗艦フルサービスホテルが京都中心部のどこに価格を置いているのかを、月次ポジション・季節振幅・京都市内ヒルトン系4軒の価格帯の並び・口コミ評価・秋〜年末の値付けの5点から読み解く。
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
- — 中京区中央値の3.55倍:ヒルトン京都の推定成約ADRは直近12ヶ月(2025年10月〜2026年9月)平均¥60,900。中京区全体(N=102〜112施設)に対する月次倍率の中央値は3.55倍、区内シティホテル(N=9施設)比では2.03倍。
- — 倍率は閑散期に開き、繁忙期に縮む:最大4.96倍(2026年6月、区全体が底の¥11,300)、最小2.98倍(2025年10月・11月の紅葉期)。
- — 季節振幅はエリア並み:最大/最小はヒルトン京都2.33倍・中京区2.28倍、変動係数27.2%・28.4%。ただし山は11月ではなく4月¥97,700(前年同月比+23.6%)。
- — 京都市内ヒルトン系4軒は3層:12ヶ月平均でヒルトン京都¥60,900、ダブルツリー京都東山¥41,100、ダブルツリー京都駅¥30,800・ガーデン・イン四条烏丸¥28,600。
- — 11月は上積みの余地:2026年11月の推定成約ADR¥78,900は前年同月比+2.7%で、中京区全体の+4.3%を下回る(10月18日時点の掲載に基づく推定)。11月の掲載平均は¥128,600(表5で感応度を試算)。
施設概要 — 河原町三条の313室、京都市役所前駅から徒歩約2分
まずは対象施設の輪郭を整理しておきたい。ヒルトン京都は東京建物が開発し、ヒルトンのフラッグシップ・ブランド「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」として京都に初進出した施設である。東京建物とヒルトンの共同リリース(2024年9月12日)によれば、所在地は京都市中京区下丸屋町416の河原町三条エリアで、京都市営地下鉄東西線「京都市役所前」駅から徒歩約2分、京都駅から車で約15分という立地にある。建物はRC造(一部SRC造)の地下2階・地上9階で、客室は16タイプ5カテゴリーの全313室、40平米のスタンダードルームから121平米のスイートまでを備える。
館内には屋上のルーフトップバーを含む4つの料飲施設、9階のエグゼクティブラウンジ、スパ、フィットネスセンター、全長約18メートルの屋内プール、地下2階の宴会場・会議室がそろう。ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)では313室・宴会場2・料飲施設4と記載されており、本稿の客室数はこれに従う。なお、同リリースはヒルトン京都を「京都においてヒルトンとして4ブランド5軒目のホテル」と位置づけており、京都市内にはROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts(2021年開業・114室)、ヒルトン・ガーデン・イン京都四条烏丸(2022年開業・250室)、ダブルツリーbyヒルトン京都東山(2023年開業・158室)、ダブルツリーbyヒルトン京都駅(2024年開業・266室)が先行していた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 京都市中京区下丸屋町416(河原町三条) |
| 開業日 | 2024年9月12日 |
| 客室数 | 313室(16タイプ5カテゴリー、スタンダード約40平米〜スイート約121平米) |
| アクセス | 地下鉄東西線「京都市役所前」駅 徒歩約2分/京都駅から車で約15分 |
| 構造・規模 | RC造(一部SRC造)地下2階・地上9階 |
| 付帯施設 | 料飲施設4(ルーフトップバー含む)、エグゼクティブラウンジ(9階)、スパ、フィットネス、屋内プール、宴会場2・会議室 |
| 開発 | 東京建物株式会社 |
出典:東京建物・ヒルトン共同リリース(2024年9月12日)、ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)よりホテルバンク編集部作成
月次ポジション — 中京区中央値の3.0〜5.0倍、12ヶ月中央値で3.55倍
それでは、価格の置き場所を月次で追ってみよう。下表は2025年9月から2026年12月までのヒルトン京都の推定成約ADRと、中京区全体(対象102〜112施設の中央値)および中京区のシティホテル(対象9施設の中央値)を並べたものである。2025年10月〜2026年9月の12ヶ月を取ると、ヒルトン京都の平均は¥60,900、中京区全体の平均は¥17,000で、月次の倍率は最小2.98倍(2025年10月・11月)から最大4.96倍(2026年6月)の範囲に収まり、中央値は3.55倍だった。中京区のシティホテル9施設の中央値に対しては2.03倍と、おおむね「区内シティホテルの2倍、区内全施設の3.5倍」という位置づけが読み取れる。
倍率が最も縮むのは秋の紅葉期である。2025年10月・11月は中京区全体が¥21,500→¥25,800へ上がる一方、ヒルトン京都も¥64,100→¥76,800へ上がり、倍率は2.98倍で横ばいだった。反対に倍率が最も開く6月(4.96倍)は、中京区全体が年間の底¥11,300まで下がるのに対し、ヒルトン京都は¥56,100と5月からの下げ幅を抑えていたことによる。つまり、エリアが安くなる閑散期ほど旗艦フルサービスの相対価格は高くなり、繁忙期にはエリア全体の上昇に歩調を合わせて倍率が平準化する、という構図になっている。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
| 月 | ヒルトン京都 ADR | 中京区全体 ADR | 倍率 | 中京区シティホテル ADR | 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年09月 | ¥45,855 | ¥14,183 | 3.23倍 | ¥25,750 | 1.78倍 |
| 2025年10月 | ¥64,062 | ¥21,469 | 2.98倍 | ¥30,712 | 2.09倍 |
| 2025年11月 | ¥76,818 | ¥25,768 | 2.98倍 | ¥38,129 | 2.01倍 |
| 2025年12月 | ¥63,334 | ¥16,844 | 3.76倍 | ¥30,658 | 2.07倍 |
| 2026年01月 | ¥42,489 | ¥12,451 | 3.41倍 | ¥19,409 | 2.19倍 |
| 2026年02月 | ¥43,759 | ¥12,576 | 3.48倍 | ¥23,320 | 1.88倍 |
| 2026年03月 | ¥75,834 | ¥20,998 | 3.61倍 | ¥37,111 | 2.04倍 |
| 2026年04月 | ¥97,651 | ¥23,754 | 4.11倍 | ¥43,618 | 2.24倍 |
| 2026年05月 | ¥71,736 | ¥19,093 | 3.76倍 | ¥37,511 | 1.91倍 |
| 2026年06月 | ¥56,147 | ¥11,324 | 4.96倍 | ¥25,049 | 2.24倍 |
| 2026年07月 | ¥47,155 | ¥12,434 | 3.79倍 | ¥23,970 | 1.97倍 |
| 2026年08月 | ¥41,830 | ¥12,419 | 3.37倍 | ¥21,744 | 1.92倍 |
| 2026年09月 | ¥50,187 | ¥15,067 | 3.33倍 | ¥25,894 | 1.94倍 |
| 2026年10月(掲載水準に基づく推定) | ¥74,056 | ¥24,202 | 3.06倍 | ¥38,731 | 1.91倍 |
| 2026年11月(掲載水準に基づく推定) | ¥78,854 | ¥26,868 | 2.93倍 | ¥40,493 | 1.95倍 |
| 2026年12月(掲載水準に基づく推定) | ¥59,918 | ¥15,922 | 3.76倍 | ¥27,124 | 2.21倍 |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定成約ADR・1室2名・税抜相当。中京区全体 N=102〜112施設、中京区シティホテル N=9施設の中央値。2026年10月以降は調査時点の掲載水準に基づく推定)
季節振幅 — 変動の幅はエリアと同程度、ただし山は11月ではなく4月
続いて、価格の振れ幅を見ておきたい。中京区全体の推定成約ADRは、本稿の対象期間のうち確定月(2025年9月〜2026年9月)では2026年6月の¥11,300を底に2025年11月の¥25,800まで動き、最大月は最小月の2.28倍である。直近12ヶ月(2025年10月〜2026年9月)で測り直しても、中京区全体の最大/最小は2.28倍、変動係数は28.4%だった。これに対しヒルトン京都は最大¥97,700(2026年4月)、最小¥41,800(2026年8月)で2.33倍、変動係数は27.2%である。倍率で見てもばらつきで見ても、ヒルトン京都の振幅は中京区全体とほぼ同じであり、「旗艦フルサービスだから価格が季節に左右されにくい」という仮説は、少なくとも開業2年目の実績からは支持されない。
ただし、山の位置は違う。中京区全体のピークは紅葉期の11月(¥25,800)で、桜期の4月(¥23,800)はそれに次ぐ水準にとどまる。一方、ヒルトン京都のピークは4月(¥97,700)で、11月(¥76,800)を2割以上上回っている。2026年4月の前年同月比は、中京区全体の+3.8%に対しヒルトン京都は+23.6%と、桜期の上げ幅が際立つ。逆に2026年8月は中京区全体が前年同月比−16.2%、ヒルトン京都が−13.4%と、夏の落ち込みはエリアとほぼ同じ幅で受けている。2026年9月はヒルトン京都が+9.4%、中京区全体が+6.2%と、ともに前年を上回って秋のシーズンに入った。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
京都市内のヒルトン系4軒 — 価格帯の役割分担
ここで、京都市内で運営中のヒルトン系ブランドを価格帯の並びとして眺めてみる。下表は推定成約ADRが取得できる4軒について、直近12ヶ月(2025年10月〜2026年9月)の平均と、紅葉期・閑散期・桜期の代表月を並べたものである(ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resortsは鷹峯の114室で、本稿の算出対象からは外れている)。規模の序列ではなく、同じ運営会社のブランドが中京区・東山区・下京区でどの価格帯を分担しているかを見るのが目的である。
| 施設 | ブランド | 客室数 | 開業(沿革) | 12ヶ月平均ADR | 2025年11月 | 2026年1月 | 2026年4月 | 対中京区全体 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ヒルトン京都 | ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ | 313 | 2024年 | ¥60,917 | ¥76,818 | ¥42,489 | ¥97,651 | 3.58倍 |
| ダブルツリーbyヒルトン京都東山 | ダブルツリーbyヒルトン | 158 | 2023年(リブランド) | ¥41,117 | ¥58,789 | ¥31,119 | ¥58,802 | 2.42倍 |
| ダブルツリーbyヒルトン京都駅 | ダブルツリーbyヒルトン | 266 | 2024年(リブランド) | ¥30,803 | ¥43,185 | ¥22,647 | ¥45,389 | 1.81倍 |
| ヒルトン・ガーデン・イン京都四条烏丸 | ヒルトン・ガーデン・イン | 250 | 2022年 | ¥28,550 | ¥40,949 | ¥19,733 | ¥41,670 | 1.68倍 |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定成約ADR・1室2名・税抜相当)。客室数・開業年はヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)
12ヶ月平均で見ると、ヒルトン京都の¥60,900を頂点に、ダブルツリーbyヒルトン京都東山¥41,100、ダブルツリーbyヒルトン京都駅¥30,800、ヒルトン・ガーデン・イン京都四条烏丸¥28,600と、3つの価格帯にきれいに分かれる。ヒルトン京都はガーデン・インと京都駅のダブルツリーに対して約2.0〜2.1倍、東山のダブルツリーに対して約1.5倍の水準にあり、フルサービスの旗艦が¥60,000前後、東山の観光立地アッパーミッドが¥40,000前後、駅前と四条烏丸のフォーカスドサービスが¥30,000前後という役割分担になっている。
興味深いのは、4軒とも季節の山が同じ4月に来ている点である。ダブルツリー京都東山は2025年11月¥58,800と2026年4月¥58,800でほぼ同水準だが、他の3軒は4月が11月を上回る。中京区全体のピークが11月であることを踏まえると、ヒルトン系4軒は桜期に強く、紅葉期にはエリア平均の上昇に相対的に追随する形といえる。ヒルトン京都の対中京区倍率が10月・11月に最も縮む(2.98倍)のは、この構造の表れでもある。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
開業予定の2軒も加えておく。ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)の開業予定リストには、(仮称)京都ブライトンホテル キュリオ・コレクションbyヒルトン(2028年開業・約160室)と、モットーbyヒルトン京都四条烏丸(2029年度開業・108室)が記載されている。前者はソフトブランドのアッパーアップスケール、後者はマイクロホテル型のライフスタイルブランドで、現在の3つの価格帯の上下にそれぞれ新しい層を加える構成になる。両計画の損益分岐や必要ADRの試算は、キュリオ京都ブライトンの分析とモットーbyヒルトン京都108室の必要ADR試算で扱っているため、本稿では数値を再掲しない。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。円の大きさは客室数。鷹峯のROKU KYOTOと開業予定2軒は表示範囲外
口コミ評価 — 立地4.72・従業員4.87・サービス4.59、いずれも同エリア上位
価格を支える評価面も確認しておく。ホテルバンク編集部が集計した直近12ヶ月(2025年10月〜2026年9月)の931件の宿泊者口コミでは、ヒルトン京都の総合評価は4.64(5点満点)だった。カテゴリ別では立地4.72(N=821件)、従業員4.87(N=172件)、サービス4.59(N=429件)、客室4.73(N=540件)で、いずれも同エリアのシティホテル(基準33〜37施設)の中央値を上回り、エリア内の上位10%に位置している。直近24ヶ月(1,857件)に広げても総合4.58で、清潔感4.91(N=95件)、アメニティ4.89(N=66件)、朝食4.76(N=94件)が高い。
| カテゴリ | 評価(直近12ヶ月) | 件数 | 同エリアのシティホテル中央値との差 | エリア内での位置 |
|---|---|---|---|---|
| 立地 | 4.72 | 821 | +0.15 | 上位10% |
| 従業員 | 4.87 | 172 | +0.31 | 上位10% |
| サービス | 4.59 | 429 | +0.26 | 上位10% |
| 客室 | 4.73 | 540 | +0.33 | 上位10% |
| 総合 | 4.64 | 931 | — | — |
出典:ホテルバンク編集部調べ(宿泊者口コミ、2025年10月〜2026年9月、N=931件。同エリアのシティホテルの基準施設数は33〜37)
直近24ヶ月の口コミのうち、言語が判別できるものでは海外からの投稿が428件、国内が513件と、ほぼ半々に近い構成である。立地と従業員の評価が高く、客室評価も同エリアの中央値を+0.33上回っていることは、中京区全体の3.5倍という価格帯を2年目も維持できている背景として読める。なお、本稿では個別の口コミ本文は引用せず、カテゴリ別の集計値のみを用いている。
秋〜年末の値付け — 11月の掲載平均は¥128,600、紅葉の週末は¥186,000
最後に、これからの3ヶ月の値付けを見ておこう。2026年10月の中京区全体の掲載価格(全プラン平均・1室2名・税込)は¥43,300で、ヒルトン京都の同月の掲載価格は¥119,900と2.77倍にあたる。推定成約ADRでは中京区全体¥24,200に対しヒルトン京都¥74,100で3.06倍、11月は¥26,900に対し¥78,900で2.93倍、12月は¥15,900に対し¥59,900で3.76倍と、ここでも紅葉期に倍率が縮み、年末に向けて再び開く形が見える。11月の推定成約ADR¥78,900は前年同月の¥76,800を+2.7%上回る水準で、中京区全体の前年同月比+4.3%と比べると上げ幅は小さいが、これは調査時点(2026年10月18日)の掲載に基づく推定であり、チェックイン日が近づくにつれて変動する。
日別に見ると、11月の掲載価格(全プラン平均・1室2名・税込)は30日間の平均で¥128,600、最も高い11月21日(土)と22日(日)が¥186,000前後、最も低い11月4日(水)が¥93,400だった。紅葉のピークにあたる11月19日(木)から28日(土)までは10日間すべてで¥127,000以上の掲載が続き、平日にも¥145,000〜¥162,000の日が複数ある。週末だけでなく平日にも高い価格を置けているのは、紅葉期の京都では週末と平日の需要差が縮まることを織り込んだ値付けといえる。なお、この紅葉3連休(11月21〜23日)に向けて京都の旅館・シティホテルの予約がどこまで進んでいるかは、紅葉3連休11/21〜23の予約進捗が10月9日断面で整理している。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年10月18日時点の掲載価格・全プラン平均・1室2名・税込)
この価格帯では、2026年3月1日に改定された京都市の宿泊税も値付けの一部になる。京都市の案内によれば、改定後の税額は1人1泊の宿泊料金が2万円以上5万円未満で1,000円、5万円以上10万円未満で4,000円、10万円以上で10,000円である。1室2名で¥100,000の料金は1人あたり¥50,000にあたるため、ヒルトン京都の11月の掲載価格帯の大半は1人4,000円の区分に入り、2名で8,000円が宿泊料金に上乗せされる。紅葉期の週末¥186,000(1人あたり約¥93,000)も同じ区分にとどまる一方、1室2名で¥200,000を超えると1人10,000円の区分に移るため、ハイエンド帯のプラン設計ではこの境界を意識した価格の置き方が有効といえる。
紅葉期の上げ幅が小さい点を、数字で幅を持たせて確かめておく。下表は、2025年11月の確定値(ヒルトン京都¥76,800、中京区全体¥25,800)を起点に、ヒルトン京都の11月の前年同月比と中京区全体の11月の水準を動かしたときの対中京区倍率である。現時点の推定(+2.7%・中京区+4.3%)では2.93倍で、2025年10月・11月の2.98倍をわずかに下回る。ヒルトン京都が中京区並みの+4.3%を取れば2.98倍と前年の倍率を維持し、桜期並みの+23.6%なら3.53倍と12ヶ月中央値(3.55倍)に近づく。逆に中京区全体が+8.0%まで上がる場合、ヒルトン京都が+8.0%を取っても倍率は2.98倍にとどまる。紅葉期の倍率をほかの月並みに戻すには、エリアの上昇を上回る上げ幅が必要という構図である。
| ヒルトン京都 11月の前年同月比 | 推定成約ADR | 前年差(1室あたり) | 倍率:中京区¥25,800(前年並み) | 倍率:中京区¥26,900(現推定・+4.3%) | 倍率:中京区¥27,800(+8.0%) |
|---|---|---|---|---|---|
| ±0%(前年並み) | ¥76,800 | +¥0 | 2.98倍 | 2.86倍 | 2.76倍 |
| +2.7%(現時点の推定) | ¥78,900 | +¥2,000 | 3.06倍 | 2.93倍 | 2.83倍 |
| +4.3%(中京区全体並み) | ¥80,100 | +¥3,300 | 3.11倍 | 2.98倍 | 2.88倍 |
| +8.0% | ¥83,000 | +¥6,100 | 3.22倍 | 3.09倍 | 2.98倍 |
| +12.0% | ¥86,000 | +¥9,200 | 3.34倍 | 3.20倍 | 3.09倍 |
| +23.6%(2026年4月並み) | ¥94,900 | +¥18,100 | 3.68倍 | 3.53倍 | 3.41倍 |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部試算(基準は2025年11月の確定値:ヒルトン京都¥76,818、中京区全体¥25,768〔N=103施設の中央値〕。推定成約ADR・1室2名・税抜相当。シナリオは仮定値であり予測ではない)
まとめ — 「区内全施設の3.5倍・シティホテルの2倍」を2年目も維持
ここまでを整理すると、ヒルトン京都は開業2年目の時点で、中京区全体の推定成約ADRの3.0〜5.0倍、12ヶ月中央値で3.55倍、区内シティホテルの約2倍という価格帯に定着している。季節による振れ幅はエリアと同程度で、山が11月ではなく4月に来る点がエリアとの違いである。京都市内のヒルトン系4軒は¥60,000・¥40,000・¥30,000前後の3層に分かれ、2028年以降のキュリオとモットーがその上下に加わる。口コミでは立地・従業員・サービス・客室のいずれも同エリアの上位10%にあり、価格帯を支える評価面の裏付けがある。
運営者や投資家にとっての示唆は2つある。1つは、京都中心部の旗艦フルサービスでも季節振幅はエリア並みであり、閑散期(1月・2月・7月・8月)の単価をどう支えるかが年間ADRを左右するという点である。もう1つは、桜期に+23.6%の前年同月比を取れた一方で紅葉期の上げ幅は+2.7%にとどまっており、11月の値付けには上積みの機会が残っているように見える点である。中京区全体の11月が前年同月比+4.3%で推移していることを踏まえると、紅葉期の平日に¥145,000〜¥162,000を置けている現状の実績は、来季の値付けの出発点として参考になるだろう。
⚠ 将来日程のADRに関する注意:本記事の2026年10月以降のADRおよび掲載価格は調査時点(2026年10月18日)でOTAに公開されている販売価格に基づく推定であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。現時点で高く設定されている価格が直前の価格調整で下落する可能性がある点にご留意ください。
よくある質問
Q. ヒルトン京都の宿泊料金は中京区の平均と比べてどのくらい高いのですか。
推定成約ADR(1室2名・税抜相当)で、2026年9月は¥50,200で中京区全体の中央値¥15,100の3.33倍、直近12ヶ月の中央値では3.55倍です。中京区のシティホテル9施設の中央値に対しては約2.0倍です。
Q. 最も高い時期はいつですか。
月次の推定成約ADRでは2026年4月の¥97,700が最も高く、次いで2026年11月の¥78,900(調査時点の掲載水準に基づく推定)、2025年11月の¥76,800です。日別の掲載価格では2026年11月21日(土)・22日(日)が¥186,000前後で最も高くなっています。
Q. 京都市内のほかのヒルトン系ホテルとの価格差は。
直近12ヶ月平均の推定成約ADRで、ヒルトン京都¥60,900に対し、ダブルツリーbyヒルトン京都東山¥41,100、ダブルツリーbyヒルトン京都駅¥30,800、ヒルトン・ガーデン・イン京都四条烏丸¥28,600です。
関連記事
- ウォルドーフ・アストリア大阪の宿泊料金、開業1年半で最安9万円台 — 北区ADRの5.4倍という位置
- モットーbyヒルトン京都108室の必要ADRは約2.4万円 — 延床4,300㎡・下京区で逆算
- ヒルトン・ハイアットのソフトブランドは国内5軒 — 京都ブライトン約160室キュリオ加盟の損益分岐
- ハイアットリージェンシー京都 建替えで何を買うか — 187室→延べ2.5万㎡・低層4階、東山区ADR2.4万円で試算
- Avani Kyoto 240室は丸太町駅1km圏5,933室の+4% — 旧京都新聞ビル転用と外資合弁の構造
- コートヤード・バイ・マリオット京都駅 11月16日開業 — 駅1km圏1.7万室に270室、価格帯の空白と11月ピーク
あわせて読みたい
- 京都の紅葉前哨戦、10/24はシティ95.2%・旅館84.6% — 11月本番前の3点チェック
- 紅葉3連休11/21〜23の予約進捗、京都の旅館は残室18%・長野32% — 10月9日断面を5県で読む
- 京都の推定成約ADR、確定6〜8月は前年比二桁減 — シティ7月−16.8%・ビジネス8月−15.6%、春との分岐点と下限の置き方
- 宿泊税はいくら?1人1泊100〜数百円、京都市は最高1万円 — 導入自治体の一覧と免除・支払い方【2026年8月】
- ヒルトン高山283室・長崎313室ほか外資15軒2,709室 — 2026〜2031年開業パイプライン
- IHG京都14軒1,063室の看板替え — 駅1km圏客室の5.9%、1〜2万円帯の単価と加盟収支を試算
参考資料・出典一覧
■ データソース
メトロエンジンリサーチが継続追跡するOTA公開価格から算出した推定成約ADR(ヒルトン京都・京都市内ヒルトン系3軒の施設別月次、中京区全体 N=102〜112施設と中京区シティホテル N=9施設の中央値、2025年1月〜2026年12月)、ヒルトン京都の2026年11月の日別掲載価格(全プラン平均、2026年10月18日時点)、宿泊者口コミのカテゴリ別集計(直近12ヶ月 N=931件・24ヶ月 N=1,857件)。施設の諸元は東京建物・ヒルトンの公表資料、宿泊税は京都市観光協会の案内による。
■ 試算前提
ADRはすべて1室2名利用・1室あたり・税抜相当の推定成約ADRで、倍率は同じ基準どうしで計算した。12ヶ月の倍率は月次倍率の中央値、季節振幅は月次の最大/最小と変動係数(母標準偏差÷平均)。表5は2025年11月の確定値を起点に前年同月比を仮定して置いた感応度で、予測ではない。宿泊税の区分は1人1泊の宿泊料金(1室2名の料金÷2)で判定した。
■ 限界・留意点
推定成約ADRは最安プラン水準に業態別の補正係数を適用した推定値で、上場ホテルREITの物件別実績との照合で誤差中央値は約7%。各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なる。2026年10月以降は調査時点の掲載水準に基づく推定で、チェックイン日が近づくにつれて変動する。ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resortsは算出対象外。稼働率(OCC)は本稿では扱っていない。
- 東京建物・ヒルトン共同リリース「ヒルトンのフラッグシップ・ブランド『ヒルトン京都』本日2024年9月12日開業」(2024年9月12日)
- 東京建物「『ヒルトン京都』竣工、2024年9月12日開業決定」(2024年6月4日)
- トラベル Watch「ヒルトン京都が開業」(2024年9月12日)
- 京都市観光協会「京都市宿泊税の改定のお知らせ(2026年3月1日施行)」
- トラベルボイス「京都市、宿泊税を引き上げへ、最高額1泊1万円、宿泊料金を5つの価格帯で区分して傾斜」(2025年1月15日)
- ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)— 国内37軒の客室数・開業予定
- メトロエンジンリサーチ — 推定成約ADR(ヒルトン京都、ダブルツリーbyヒルトン京都東山、ダブルツリーbyヒルトン京都駅、ヒルトン・ガーデン・イン京都四条烏丸)、中京区の推定成約ADR(N=102〜112施設)、中京区シティホテルの推定成約ADR(N=9施設)、2026年11月の日別掲載価格
- ホテルバンク編集部調べ — 宿泊者口コミのカテゴリ別集計(直近12ヶ月 N=931件、直近24ヶ月 N=1,857件)
出典: ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)
