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沖縄のリゾート・シティ・ビジネス3業態比較 — 推定成約ADRの季節形状と10月連休のブッキングカーブ

投稿日 : 2026.09.21

沖縄県

エリア・施設分析

レベニューマネジメント

沖縄のリゾート・シティ・ビジネス3業態比較 — 推定成約ADRの季節形状と10月連休のブッキングカーブ

沖縄県の宿泊市場を「リゾート」「シティ」「ビジネス」の3業態に分けて見ると、価格水準・季節形状・予約の積み上がり方のいずれもが別物であることが分かる。2026年8月の確定ベースの推定成約ADRは、リゾートが¥22,300(N=282施設・前年同月比+3.1%)、シティが¥20,700(N=15施設・同−0.2%)、ビジネスが¥9,700(N=196施設・同+3.3%)。一方で10月の3連休(10/10土〜10/12月・祝)の予約進捗を見ると、連休初日の2026年10月10日(土)について、リゾートは宿泊日の45日前時点ですでに推定OCC83.9%(2026年10月10日宿泊・N=198施設・OTA掲載在庫ベースの推定値)と高い位置から始まり直近までの上積みは+4.6ptにとどまるのに対し、ビジネスは同じ45日前で76.8%(N=138施設)から直近88.0%へ+11.2ptを積み上げている。同じ県内・同じ宿泊日でも、RMが握るべきレバーは業態ごとに違う。本稿では推定成約ADRとブッキングカーブの2軸で、その差を定量的に切り出す。

対象: 沖縄県のリゾート/シティ/ビジネスホテル。推定成約ADRの対象施設数は2026年8月確定でリゾートN=282・シティN=15・ビジネスN=196施設、ブッキングカーブの対象はリゾートN=198施設/16,763室・ビジネスN=138施設/12,909室(主要予約サイト掲載ベース)。本記事の価格指標は推定成約ADR(OTA等の販売データから推定される成約価格水準・税抜相当)、稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値。いずれも定義は記事末尾。データ時点: 2026年9月19日。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
Key Takeaways
  • — 推定成約ADRは2.29倍差 — 2026年8月確定でリゾート¥22,291・シティ¥20,654・ビジネス¥9,734。同一県内に価格帯が1階層違う3つの市場が並立している。
  • — 年間ピーク月が業態でズレる — リゾートは8月だが、シティ・ビジネスは2月(¥23,782/¥10,648)。「沖縄の繁忙期=夏」で引く年間計画は、都市型在庫で山をひとつ落とす。
  • — リゾートの上積みは日付を問わず一定 — 45日前→30日前の同一窓では、5宿泊日すべてで+3.5〜+3.7pt。対してビジネスは+6.0〜+10.3ptと宿泊日で振れる。
  • — 業態差はピーク日ではなく需要の薄い日に出る — 30日前断面のリゾート−ビジネス差は10/10(土)+2.9ptに対し、連休最終日10/12(月・祝)は+11.7pt。
  • — 同じ構図は他県でも成立する — 10/12の30日前業態差は山梨県+11.3pt・香川県+13.7pt。差が開くこと自体は沖縄固有ではなく、水準の高さが沖縄の特徴である。

推定成約ADRで見る3業態 — 水準差は2.3倍、ピーク月は業態でズレる

まず価格水準から押さえる。過去月は確定値、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定値であるため、前年同月比は確定月同士でのみ比較した。直近の確定月は2026年8月である。

表1|沖縄県 業態別 推定成約ADRの推移(2026年6〜8月・確定値)と8月の前年同月比
業態2026年6月
(確定)
2026年7月
(確定)
2026年8月
(確定)
8月 前年同月比N=(8月)
リゾートホテル¥16,200¥20,864¥22,291+3.1%282
シティホテル¥18,178¥20,706¥20,654−0.2%15
ビジネスホテル¥8,764¥9,496¥9,734+3.3%196

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

2026年8月時点でリゾートとビジネスの推定成約ADRには2.29倍の開きがあり、シティとビジネスでも2.12倍。沖縄県という同一マーケットの中に、価格帯が丸ごと1階層違う3つの市場が並立していることになる。なお7月はリゾート¥20,900に対しシティ¥20,700と両者がほぼ並ぶが、8月はリゾートが¥22,300へ伸びる一方でシティは¥20,700とほぼ横ばいにとどまり、盛夏のピークではリゾートが単独で頭を出す構図になっている。

前年同月比を見ると、6月はリゾート+17.7%・シティ+12.0%・ビジネス+13.6%と3業態そろって二桁の伸びだったが、7月は+9.9%/+9.0%/+7.6%、8月は+3.1%/−0.2%/+3.3%と、ハイシーズンに近づくほど伸び率が縮む。前年の水準がすでに高かった月ほど上積みの余地が小さくなっている、という素直な読み方ができる。逆に言えば、伸びしろは盛夏ではなく端境期に残っている。新規供給の業態構成と7月確定値の関係については、沖縄の新規供給2,842室を業態別に割り戻した分析で詳しく扱っている。

さらに重要なのが年間の形状の違いである。2026年の確定月(1〜8月)でそれぞれの最安月と最高月を取ると、リゾートは1月¥15,100から8月¥22,300へ+48.0%、シティは5月¥17,600から2月¥23,800へ+35.0%、ビジネスは4月¥8,600から2月¥10,600へ+23.3%。リゾートのピークは8月だが、シティとビジネスのピークは2月という、業態間で明確なズレが出ている。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

2月の山は2025年には見られず(2025年2月はシティ¥18,500・ビジネス¥8,400で、いずれも同年8月を下回る)、2026年に入って立ち上がった形状である。沖縄では毎年2月にプロ野球春季キャンプが県内各地で開催されており、りゅうぎん総合研究所の試算によれば2026年のキャンプ観客数は約43万人、うち県外客は約13万人で過去最多、経済効果は222億2100万円、産業別では宿泊業が51億4000万円で最大だったと報じられている(琉球新報)。県外からの来訪が那覇・中部の都市型在庫に向かう季節が、価格形状として観測されていると読める。

経過月の推定OCC — リゾートは平坦、ビジネスは曜日で大きく動く

次に需要側を見る。推定OCC(OTA掲載在庫ベース)の経過月実績は以下のとおり。なおコホートは宿泊日ごとに固定されるが、掲載要件を満たす施設は日によって入れ替わるため、対象施設数は月内でも変動する。表のN=は各月の代表値(最頻値)である。

表2|沖縄県 業態別 経過月の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)2026年5〜9月
対象月リゾート 推定OCCN=ビジネス 推定OCCN=
2026年5月85.5%17784.4%130
2026年6月86.5%17485.7%132
2026年7月90.3%18090.7%132
2026年8月87.2%18284.7%136
2026年9月(1〜19日)86.8%19788.4%138

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

月平均で見ると両業態の差は小さく、7月は90%前後でほぼ並ぶ。しかし日次を曜日別に集計すると、まったく違う顔が出てくる。2026年8月の曜日別推定OCCは、リゾートが月曜85.6%から土曜89.2%までの振れ幅3.6pt、ビジネスが月曜81.8%から土曜87.1%までの5.3ptだった。より顕著なのは7月で、リゾートが木曜89.6%〜土曜92.1%の2.5ptに対し、ビジネスは月曜87.3%〜土曜95.5%と8.2ptの振れ幅がある。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

リゾートは滞在型・複数泊が中心となるため曜日による在庫消化のムラが出にくく、ビジネスは曜日で需要が入れ替わる。ここから導かれる実務的な含意はシンプルだ。リゾートは「月単位の需要の高さ」をどう価格に反映するかが勝負で、ビジネスは「週内のどの曜日に在庫を残すか」が勝負になる。同じ県内でも、価格改定の粒度そのものが業態で違う。

10月3連休のブッキングカーブ — 45日前・30日前・直近の3点で比較する

ここからは未来日の進捗を見る。2026年10月12日(月)はスポーツの日で、10/10(土)〜10/12(月・祝)が3連休となる(内閣府「国民の祝日について」)。この3日間と、比較対象としての平常週末(10/17土)・平日(10/14水)について、宿泊日の45日前・30日前・直近断面の推定OCCを並べた。

表3|2026年10月3連休・比較日の推定OCC 3断面(45日前/30日前/直近)とリゾート・ビジネスの上積み
宿泊日リゾート
45日前
30日前直近上積みビジネス
45日前
30日前直近上積み
10/10(土)83.9%87.5%88.5%+4.6pt76.8%84.6%88.0%+11.2pt
10/11(日)80.1%83.6%84.4%+4.3pt70.6%76.6%80.2%+9.6pt
10/12(月・祝)76.5%80.2%81.4%+4.9pt61.8%68.5%71.3%+9.5pt
10/14(水)76.5%80.1%81.2%+4.7pt58.9%69.2%72.1%+13.2pt
10/17(土)81.6%85.3%85.4%+3.8pt75.8%82.2%82.7%+6.9pt

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。対象=リゾート198〜199施設/16,763〜16,781室、ビジネス137〜138施設/12,893〜12,909室(主要予約サイト掲載ベース)。直近断面の取得タイミングは宿泊日により22〜29日前と異なる。

読み取れることは3つある。

第一に、リゾートとビジネスでカーブの出発点がまるで違う。 45日前時点で、リゾートは3連休の3日間すべてで76.5〜83.9%に達しているのに対し、ビジネスは61.8〜76.8%。最も差が大きい10/12(月・祝)では45日前で14.7ptもの開きがある。リゾートは早い段階で在庫が埋まり、ビジネスは後から埋まる。

第二に、上積み幅は逆転する。 45日前から直近までの推定OCCの伸びは、リゾートが3連休で+4.3〜+4.9pt、平常週末の10/17で+3.8ptと、いずれも5pt未満で安定している。対してビジネスは3連休で+9.5〜+11.2pt、平日の10/14に至っては+13.2pt。ビジネスの予約は直前45日の窓の中で大きく動く。45日前・30日前・14日前をどう意思決定の節目に置くかは、沖縄のシーズン逆算カレンダーが業態別に整理している。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

第三に、業態差はピーク日より連休最終日で開く。 連休初日の10/10(土)は直近断面でリゾート88.5%・ビジネス88.0%とわずか0.5ptしか違わない。ところが連休最終日の10/12(月・祝)は81.4%対71.3%で10.1pt、平日の10/14も81.2%対72.1%で9.1ptと、差が一気に広がる。需要が最も厚い日には両業態とも埋まるが、需要が薄くなる日ほど滞在型のリゾートが持ちこたえ、都市型のビジネスは落ちる。「祝日だからどの業態も強い」という前提は、連休の中日以降では成立していない。同じ10月3連休で祝日最終日に業態差が開く構図は、山梨県の10月3連休ブッキングカーブでも観測されている(詳細は同記事を参照)。

上積み幅は「同じ窓」で比べ直す — 45日前→30日前で正規化する

上の表の「直近」は取得タイミングが宿泊日によって22〜29日前と異なるため、「上積み」列は宿泊日ごとに観測窓の長さが違う。窓の長さが違うまま連休と平常週末を比べると、観測期間の短い日ほど上積みが小さく見える。そこで、全宿泊日で長さが揃う45日前→30日前の15日間だけを切り出して比べ直したものが次の表である。

表3-2|同一窓で正規化した上積み(45日前→30日前の15日間)と30日前断面の業態差
宿泊日リゾート45日前30日前上積み(正規化)ビジネス45日前30日前上積み(正規化)30日前の業態差
10/10(土)83.9%87.5%+3.6pt76.8%84.6%+7.8pt+2.9pt
10/11(日)80.1%83.6%+3.5pt70.6%76.6%+6.0pt+7.0pt
10/12(月・祝)76.5%80.2%+3.7pt61.8%68.5%+6.7pt+11.7pt
10/14(水)76.5%80.1%+3.6pt58.9%69.2%+10.3pt+10.9pt
10/17(土)81.6%85.3%+3.7pt75.8%82.2%+6.4pt+3.1pt

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。対象=リゾート198〜199施設/16,763〜16,781室、ビジネス137〜138施設/12,893〜12,909室(主要予約サイト掲載ベース)。推定OCCはOTA掲載在庫ベースの推定値。

正規化すると読み方がひとつ変わる。リゾートの上積みは5宿泊日すべてで+3.5〜+3.7ptに収まり、3連休か平常週末か平日かを問わずほぼ一定である。つまり直近断面での「平常週末10/17は+3.8pt」という見え方は、観測窓が29日前までと短いことによる部分が大きく、平常週末だから上積みが小さいわけではない。リゾートの直前45日の積み上がり方は、宿泊日の属性にほとんど依存しない構造的な定数と見るのが正しい。一方ビジネスは正規化後も+6.0〜+10.3ptと宿泊日で振れ、最も大きいのは3連休ではなく平日の10/14(+10.3pt)だった。「直前に動くのはビジネス」という性質は変わらないが、どの日にどれだけ動くかは日ごとに読み直す必要がある。

この業態差は沖縄固有か — 山梨県・香川県と並べる

連休最終日に業態差が開く構図が沖縄特有のものかを確かめるため、同じ2026年10月12日(月・祝)について、観測窓を揃えた30日前断面を他県と並べた。

表3-3|2026年10月12日(月・祝)30日前断面の推定OCC — 県別のリゾート・ビジネス比較
対象県リゾート 30日前ビジネス 30日前業態差N=(施設)
沖縄県80.2%68.5%+11.7ptリゾート199/ビジネス138
山梨県75.8%64.5%+11.3ptリゾート31/ビジネス43
香川県60.3%46.6%+13.7ptリゾート11/ビジネス43

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。山梨県リゾートN=31・香川県リゾートN=11と対象施設数が少ないため、両県のリゾート値は参考値として扱う。推定OCCはOTA掲載在庫ベースの推定値。

連休最終日にリゾートが持ちこたえ、ビジネスが落ちるという向きは3県とも共通で、業態差は沖縄+11.7pt・山梨+11.3pt・香川+13.7ptとほぼ同じ幅に収まる。つまり「連休最終日に業態差が開く」こと自体は沖縄固有の現象ではなく、滞在型と都市型の需要構造の違いとして広く観測される。沖縄に固有なのは差の大きさではなく水準の高さで、連休最終日でもリゾートが80.2%・ビジネスが68.5%まで積み上がるのは3県で最も高い。自館のカーブを評価するときの基準線は、他県の同業態ではなく「同じ県・同じ業態の標準形」に置くべきだという結論になる。

なお、未来月の推定成約ADRは現時点の販売状況に基づく推定値であり、2026年10月はリゾート¥16,000(N=278施設)、シティ¥19,300(N=16施設)、ビジネス¥10,100(N=193施設)。確定値との単純比較は月末の確定を待つ必要があるが、確定した8月(リゾート¥22,300)と比べてリゾートが大きく水準を落とす一方、ビジネスは8月確定¥9,700を上回る水準で推移している点は、上のカーブの読み方と整合する。

沖縄のリゾート・シティ・ビジネスを運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン

(1)自館のカーブを「業態の標準形」と照合する。 リゾートを運営しているなら、45日前の時点で市場が3連休に対して76.5〜83.9%という高い水準から始まっている事実が基準線になる。この段階で自館が市場より明確に低ければ、直近45日の上積みが市場平均で+4.3〜+4.9ptしかない以上、後から取り戻せる幅は限られていると見るのが自然だ。逆にビジネスを運営しているなら、45日前の61.8〜76.8%は「まだ動いていない」のが標準であり、この時点の低さだけで値下げに動く必要性は薄い。市場は直近で+9.5〜+13.2pt積み上げている。

(2)価格改定カレンダーの山を、業態に合わせて置き直す。 2026年の確定値では、リゾートのピークは8月(¥22,300)だがシティとビジネスのピークは2月(¥23,800/¥10,600)だった。都市型在庫を持つ運営であれば、夏だけを繁忙期として扱う年間計画は、2月の山を取りこぼす設計になっている可能性がある。年間のレート設計を見直す際、2月を夏と同格の改定ポイントとして扱う余地がある。

(3)曜日は「価格」ではなく「在庫の残し方」の問題として扱う。 2026年7月の曜日別推定OCCはリゾートで2.5ptの振れ幅、ビジネスで8.2pt。ビジネス運営では週内で需要の山谷が明確に出ているため、団体・連泊・OTA等の配分をどの曜日に厚くするかで取りこぼしが変わる。リゾートは曜日差が小さいぶん、週単位ではなく月単位の在庫コントロールに時間を割く価値がある。

(4)連休は「初日」と「最終日」を別商品として設計する。 10/10(土)は直近断面で両業態とも88%前後に達する一方、10/12(月・祝)はリゾート81.4%・ビジネス71.3%。同じ連休の中で市場の埋まり方がこれだけ違う以上、3日間を一律の施策で扱うと、初日で売り急ぎ、最終日で売れ残るという両側の損失が起きやすい。特に都市型在庫では、最終日の在庫を初日とは別の需要(延泊・チェックアウト遅延・近距離)に向けて組む余地がある。

以上を時間軸に落とすと、次のようなアクションプランが考えられる。

表4|時間軸別アクションプランと判断トリガー
時間軸打ち手判断トリガー(記事中の数値に紐づく)狙い
今日〜今週10/12(月・祝)の自館残室を単独で棚卸しする市場の直近断面がリゾート81.4%・ビジネス71.3%。自館がこれを下回っているか連休最終日の取りこぼしを、初日と分けて把握する
今日〜今週10/10(土)の売り止め・上位室種の開放を点検市場がリゾート88.5%・ビジネス88.0%まで進んでいる中、自館が同等以上ならピーク日で安価在庫を残したまま売り切る事態を避ける
2週間以内ビジネス運営は、直前窓の積み上がりを前提にした残室配分へ切り替える市場の45日前→直近の上積みが3連休で+9.5〜+11.2pt、平日10/14で+13.2pt早期の過度な値下げで単価を削らずに消化する
2週間以内リゾート運営は11月以降の45日前断面を先に作り込む市場の45日前→直近の上積みが+3.8〜+4.9ptにとどまる後追いでの巻き返し余地が小さい前提で、前倒しに投資する
来月に向けて自館の年間レートカレンダーの「山」を確定値と突き合わせるリゾートのピークは8月¥22,291、シティ・ビジネスのピークは2月¥23,782/¥10,648都市型在庫で2月の需要期を取り逃がさない設計にする
来月に向けて端境期(4〜6月)の価格設計を優先課題に格上げする前年同月比が6月+17.7%/+12.0%/+13.6%に対し8月は+3.1%/−0.2%/+3.3%伸びしろが残る月に改定リソースを寄せる

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

まとめ — 沖縄3業態を測る3つの物差し

物差し1:水準は2倍以上違い、ピーク月もズレる。 2026年8月確定の推定成約ADRはリゾート¥22,300・シティ¥20,700・ビジネス¥9,700。だが年間の最高月はリゾートが8月、シティとビジネスは2月であり、「沖縄の繁忙期=夏」という単一の前提で年間計画を引くと、都市型在庫では山をひとつ落とす。

物差し2:カーブの出発点と上積み幅はトレードオフの関係にある。 リゾートは45日前に高く始まり上積みは+3.8〜+4.9pt、ビジネスは低く始まり+6.9〜+13.2pt。45日前の数字が低いこと自体は、業態によって意味が正反対になる。自館のカーブを評価するときは、絶対値ではなく「同業態の標準形との距離」で見るべきだ。

物差し3:業態差はピーク日ではなく「需要の薄い日」に現れる。 10/10(土)の0.5pt差に対し、10/12(月・祝)は10.1pt差、10/14(水)は9.1pt差。競合との差がつくのは満室になる日ではなく、埋まりきらない日である。RMの改善余地も、そこに集中している。

データについて

■ データソース

  • 推定成約ADR: OTA等の販売データ(最安プラン水準×業態別係数・複数チャネルのアンサンブル)から推定した成約価格水準(税抜相当)。エリア単位の値は対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。
  • 推定OCC(OTA掲載在庫ベース): OTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成したコホート。本文では「推定OCC(OTA掲載在庫ベース)」と表記している。
  • 対象N=の内訳: 推定成約ADRは沖縄県のリゾートホテル(2026年8月確定 N=282施設/2025年8月 N=266施設)、シティホテル(同 N=15/N=11施設)、ビジネスホテル(同 N=196/N=196施設)。経過月の推定OCCはリゾートN=174〜197施設、ビジネスN=130〜138施設。ブッキングカーブはリゾート198〜199施設/16,763〜16,781室、ビジネス137〜138施設/12,893〜12,909室(主要予約サイト掲載ベース、観測カバレッジ100%)。県間比較に用いた山梨県はリゾート31施設・ビジネス43施設、香川県はリゾート11施設・ビジネス43施設。
  • データ時点: 2026年9月19日。
  • 出典: メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)。外部出典は「参考資料・出典一覧」に記載。

■ 試算前提

  • 確定値と推定値の切り分け: 過去月は確定値、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定値として扱う。前年同月比は確定月同士でのみ算出している。直近の確定月は2026年8月。
  • ブッキングカーブの定点: 宿泊日の45日前から直近までの観測に基づき、定点は45日前・30日前・直近断面の3点。対象宿泊日は2026年10月9日〜10月18日のうち本文に記載した日。
  • 上積み幅の正規化: 直近断面の取得タイミングは宿泊日により22〜29日前と異なる。宿泊日をまたいで上積み幅を比較する箇所では、全宿泊日で長さが揃う45日前→30日前の15日間に正規化している。県間比較も同じ30日前断面で揃えた。
  • コホートの組み方: コホートは宿泊日ごとに固定される(同一宿泊日の45日前から直近まで同じ施設集合で観測する)。経過月のN=は当該月で最も多く観測された代表値(最頻値)を用いている。
  • 掲載価格の基準: 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)。

■ 限界・留意点

  • 推定OCCは実稼働率ではない: OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる。掲載外の客室を消化済み側に数えるため、実稼働率より高めに出る。
  • 推定成約ADRには誤差がある: 公表運営実績との照合で誤差中央値6.6%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なる。
  • 対象施設数は月内でも動く: 掲載要件を満たす施設は日によって入れ替わるため、同一月内でも対象施設数は変動する。実際の日次の幅は2026年7月でリゾート174〜187施設・ビジネス130〜136施設だった。表のN=は最頻値であり、全日共通の固定値ではない。
  • 小標本の業態・県: シティホテル(N=15)、県間比較の山梨県リゾート(N=31)・香川県リゾート(N=11)は対象施設数が少なく、個別施設の動きが平均を動かしやすい。いずれも参考値として扱う。
  • スナップショット性: 販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は2026年9月19日時点のスナップショットである。未来日の数値は以後の予約・在庫調整で変化する。

参考資料・出典一覧

よくある質問

Q. 沖縄のリゾート・シティ・ビジネスで推定成約ADRはどれくらい違いますか?

A. 2026年8月の確定値で、リゾートが¥22,291(N=282施設)、シティが¥20,654(N=15施設)、ビジネスが¥9,734(N=196施設)です。リゾートとビジネスで2.29倍、シティとビジネスでも2.12倍の開きがあり、沖縄県という同一マーケットの中に価格帯が1階層違う3つの市場が並立しています。いずれもOTA等の販売データから推定した成約価格水準(税抜相当)です。

Q. 沖縄の宿泊単価のピークは何月ですか?

A. 業態によって異なります。2026年の確定月(1〜8月)で見ると、リゾートのピークは8月(¥22,291)ですが、シティとビジネスのピークはいずれも2月(¥23,782/¥10,648)でした。2月の山は2025年には見られず2026年に立ち上がった形状で、県内各地で開催されるプロ野球春季キャンプの来訪が都市型在庫に向かう季節と重なります。「沖縄の繁忙期=夏」という単一の前提で年間計画を引くと、都市型在庫では山をひとつ取りこぼすことになります。

Q. 10月の3連休で予約はいつ積み上がりますか。業態で違いはありますか?

A. 出発点と積み上がり方の両方が違います。2026年10月10日(土)の推定OCCは、リゾートが宿泊日の45日前ですでに83.9%に達しているのに対し、ビジネスは76.8%です。観測窓を45日前→30日前の15日間に揃えて比べると、リゾートの上積みは5つの比較宿泊日すべてで+3.5〜+3.7ptとほぼ一定なのに対し、ビジネスは+6.0〜+10.3ptと宿泊日によって振れます。リゾートは早い段階で埋まり、ビジネスは直前の窓で動く、という構造です。

Q. 45日前の時点で推定OCCが低いのは、値下げに動くサインですか?

A. 業態によって意味が正反対になるため、絶対値だけでは判断できません。ビジネスホテルでは45日前に61.8〜76.8%であることが市場の標準形で、市場はそこから直近までに+9.5〜+13.2pt積み上げています。この段階の低さだけを理由に値下げする必要性は薄いと読めます。一方リゾートは45日前の水準が高く、その後の上積みが+3.8〜+4.9ptにとどまるため、この時点で市場より明確に低ければ後から取り戻せる幅は限られます。評価の基準は絶対値ではなく「同じ県・同じ業態の標準形との距離」に置くのが適切です。

Q. 連休の3日間は同じ施策で扱ってよいですか?

A. 初日と最終日は分けて設計する余地があります。2026年10月10日(土)の直近断面はリゾート88.5%・ビジネス88.0%と業態差が0.5ptしかありませんが、連休最終日の10月12日(月・祝)は81.4%対71.3%で10.1ptまで開きます。需要が最も厚い日は両業態とも埋まる一方、需要が薄くなる日ほど滞在型のリゾートが持ちこたえ、都市型のビジネスが落ちるためです。3日間を一律の施策で扱うと、初日で売り急ぎ、最終日で売れ残るという両側の損失が起きやすくなります。

Q. この業態差は沖縄に固有の現象ですか?

A. 差が開くこと自体は沖縄固有ではありません。2026年10月12日(月・祝)の30日前断面でリゾートとビジネスの差を並べると、沖縄県+11.7pt、山梨県+11.3pt、香川県+13.7ptとほぼ同じ幅に収まります。沖縄に固有なのは差の大きさではなく水準の高さで、連休最終日でもリゾート80.2%・ビジネス68.5%まで積み上がる点が3県で最も高くなっています。なお山梨県リゾート(N=31施設)・香川県リゾート(N=11施設)は対象施設数が少ないため参考値です。

Q. 推定OCC(OTA掲載在庫ベース)は実際の客室稼働率と同じですか?

A. 同じではありません。OTA掲載在庫ベース稼働率は「100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数」で算出し、OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値です。掲載外の客室を消化済み側に数えるため、実客室稼働率より高めに出ます。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成したコホートで、コホートは宿泊日ごとに固定されますが、掲載要件を満たす施設は日によって入れ替わるため対象施設数は月内でも変動します。本文のN=は当該月の代表値(最頻値)です。

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