トップ > 宿泊市場動向 > 沖縄 稼働率 2026|観光庁7月61.8%・OTA在庫ベース89.3%、同月27.5pt差の定義と10月91.5%

沖縄 稼働率 2026|観光庁7月61.8%・OTA在庫ベース89.3%、同月27.5pt差の定義と10月91.5%

投稿日 : 2026.10.26

沖縄県

沖縄 稼働率 2026|観光庁7月61.8%・OTA在庫ベース89.3%、同月27.5pt差の定義と10月91.5%

「沖縄の稼働率」と検索すると、数字が二つ出てくる。観光庁「宿泊旅行統計調査」が公表する沖縄県の客室稼働率は2026年7月(第2次速報)で61.8%、一方でメトロエンジンリサーチがOTA等の掲載在庫から推定する沖縄県のOTA掲載在庫ベース稼働率は同じ7月に89.3%、10月1〜19日では91.5%に達する。どちらかが誤っているのではなく、測っているものが違う。本稿では沖縄のホテルに投資・運営する事業者と県外からの参入検討者に向けて、二つの稼働率を定義ごとに並べ、同じ月に27.5ptの差が生まれる理由と、どの判断にどちらを使うべきかを整理する。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
本稿で扱う二つの稼働率
• 観光庁 客室稼働率(公表値)=観光庁「宿泊旅行統計調査」が都道府県別・宿泊施設タイプ別に毎月公表する値。調査対象施設の回答にもとづく実績値で、販売経路を問わず利用された客室を数える。第1次速報は後の第2次速報・確定値で改定される。
• OTA掲載在庫ベース稼働率(当社推定)=100−100×OTA掲載残室数÷総客室数。対象は総客室の30%以上をOTA等に掲載する施設で構成した固定コホート(2026年10月は沖縄県933施設・37,131室、各宿泊日で同じ施設集合)。OTA等に掲載されていない客室を消化済み側に数えるため、実稼働より高く出る。宿泊日前日までに45日以内の観測のみを用いる。
Key Takeaways
  • — 61.8%と89.3%:2026年7月の沖縄県は、観光庁の客室稼働率(第2次速報)が61.8%、OTA掲載在庫ベース稼働率(当社推定)が89.3%で、差は27.5pt。
  • — 差は定義から生じる:OTA等に掲載されない客室を消化済み側に数えることと、対象施設の違い(旅館・簡易宿所の多くを含まない)が主因。2026年5〜7月の差は26.7〜29.8pt。
  • — 業態で開き方が違う:2026年7月の差はビジネスホテル11.2pt、リゾートホテル20.8pt。リゾートホテルの実稼働は観光庁値で69.5%にとどまる。
  • — 10月1〜19日は91.5%:三連休初日の10月10日(土)が96.1%で最高、最低は10月1日(木)の87.2%。日次の振れ幅は9月の15.4ptから8.9ptに縮んだ。
  • — 使い分け:通年の実稼働と事業計画の前提は観光庁値、直近の需要の強弱・曜日差・業態差はOTA掲載在庫ベース。推定成約ADRは2026年7〜10月の各月で前年同月を上回る(+2.7〜+18.2%)。

沖縄の稼働率は二つある — 公表値と在庫ベース推定、定義の違いを先に押さえる

まずは定義の違いを一覧にしておきたい。観光庁の客室稼働率は、宿泊施設が調査票で回答した利用客室数と総客室数から算出される実績値であり、直販・旅行会社・法人契約・団体といったOTA等を経由しない販売も含めて「埋まった客室」を数える。母集団は旅館・リゾートホテル・ビジネスホテル・シティホテル・簡易宿所・会社団体の宿泊所まで広い。これに対してOTA掲載在庫ベース稼働率は、OTA等の掲載残室数の推移から需要の強さを推し量る推定値で、速報性は高いが、OTA等に出していない客室を区別できないという構造を持つ。

表1 二つの稼働率の定義比較 — 観光庁 客室稼働率(公表値)とOTA掲載在庫ベース稼働率(当社推定)
項目観光庁 客室稼働率(公表値)OTA掲載在庫ベース稼働率(当社推定)
算出方法調査対象施設が回答した利用客室数を客室数(営業日ベース)で割った実績値100−100×OTA掲載残室数÷総客室数(日次観測、リードタイム45日以内)
対象施設沖縄県内の宿泊施設(旅館・リゾート・ビジネス・シティ・簡易宿所・会社団体の宿泊所)総客室の30%以上をOTA等に掲載する固定コホート(2026年10月:933施設・37,131室)
OTA等以外の販売含む(直販・旅行会社・法人契約・団体)区別できず、掲載外の客室は消化済み側に数える → 実稼働より高く出る
公表時期翌月末に第1次速報(全国)、都道府県別は1か月遅れの翌々月末。第2次速報・確定値で改定日次で更新。当月分も途中経過として参照可
向いている用途通年の実稼働、事業計画・融資審査の前提、前年同月比の趨勢直近〜数週間先の需要の強弱、曜日・連休・業態別の差、価格判断

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」、メトロエンジンリサーチよりホテルバンク編集部作成

統計の読み方そのものは宿泊旅行統計調査とは — 第1次速報は稼働率で平均0.6pt動くと観光庁の宿泊統計の読み方【2025年】で整理しているので、本稿は沖縄県の数字に絞って進める。

観光庁の公表値 — 沖縄県の客室稼働率は2026年7月61.8%、前年同月から2.6pt低い

観光庁「宿泊旅行統計調査」の都道府県別・月別の客室稼働率で、沖縄県の直近は2026年7月の61.8%(第2次速報)である。2026年9月30日に公表された2026年8月分は第1次速報として全国値(64.4%)のみが出ており、都道府県別は1か月遅れで公表されるため、沖縄県の8月値はまだ存在しない。推移表の令和8年の数値はすべて速報値であり、今後の改定を前提に読む必要がある。

2026年1〜7月の沖縄県は51.4%、59.7%、58.3%、59.9%、56.7%、55.1%、61.8%と推移し、前年同月と比べると1月−1.1pt、2月−2.4pt、3月−1.3pt、4月−0.6pt、5月+0.5pt、6月−3.7pt、7月−2.6ptと、5月を除き前年を下回っている。ただし2026年1月分から調査の層化基準が従業者数から客室数に変更されており、観光庁自身が前年同月比に見直しの影響が含まれる可能性を注記している点は割り引いて読みたい。2025年通年では月次で51.9%(12月)から66.6%(10月)のレンジにあり、沖縄県の実稼働は「通年で6割前後、繁忙月で6割台半ば」という水準感になる。

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」よりホテルバンク編集部作成

※2024年・2025年は確定値、2026年は速報値(第2次速報まで)。調査対象施設の回答にもとづく実績値で、OTA掲載在庫ベース稼働率とは定義が異なる。

施設タイプ別に見ると、2026年7月はビジネスホテル79.5%、シティホテル72.3%、リゾートホテル69.5%、旅館42.0%、簡易宿所32.8%である。沖縄県の「計」が6割台にとどまるのは、客室数の多いリゾートホテルが7割前後で推移するのに加え、旅館・簡易宿所が3〜4割台で全体を押し下げるためといえる。前年同月(2025年7月)はビジネスホテル80.9%、リゾートホテル71.8%、シティホテル64.6%だったので、シティホテルは+7.7pt、リゾートホテルは−2.3pt、ビジネスホテルは−1.4ptという動きになる。

表2 沖縄県 宿泊施設タイプ別 客室稼働率(観光庁、2026年7月 第2次速報 vs 2025年7月 確定値)
宿泊施設タイプ2026年7月(第2次速報)2025年7月(確定値)差
計61.8%64.4%−2.6pt
リゾートホテル69.5%71.8%−2.3pt
ビジネスホテル79.5%80.9%−1.4pt
シティホテル72.3%64.6%+7.7pt
旅館42.0%42.4%−0.4pt
簡易宿所32.8%40.9%−8.1pt

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」よりホテルバンク編集部作成

※2026年1月分から層化基準が従業者数から客室数に変更されたため、前年同月との差には調査設計変更の影響が含まれる可能性がある。

OTA掲載在庫ベース稼働率 — 9月86.7%、10月1〜19日は91.5%、最高は10月10日(土)の96.1%

一方で、メトロエンジンリサーチのOTA掲載在庫ベース稼働率は、観光庁の公表を待たずに当月の動きを日次で追える。沖縄県・全施設の月平均は2026年9月が86.7%(708施設・36,220室、30日分)、10月は1日から19日までの19日分で91.5%(933施設・37,131室)だった。集計期間は10月1日〜19日時点であり、月末までの数値は今後の観測で変わる。

10月の日別では、10月10日(土)が96.1%・平均掲載価格¥38,400で期間中の最高、10月1日(木)が87.2%で最低となった。10月10日は那覇大綱挽まつり(10月10〜12日)とスポーツの日の三連休が重なる週末で、翌11日(日)も93.2%を維持したが、連休最終日の12日(月・祝)は87.5%に下がり、13日(火)88.0%と連休明けの谷が続いた。その後は15日(木)93.5%、16日(金)94.4%と週末に向けて再び埋まり、17日(土)は92.5%ながら平均掲載価格は¥33,000と10日に次ぐ水準になっている。金・土曜の平均は93.7%(6日分)、それ以外の曜日は90.5%(13日分)で、差は3.2ptにとどまる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

※OTA掲載在庫ベース稼働率(推定)。対象は総客室の30%以上をOTA等に掲載する固定コホート(全施設933施設・37,131室、ビジネスホテル140施設・12,924室、リゾートホテル196施設・16,608室)。掲載外の客室を消化済み側に数えるため実稼働より高く出る。集計期間2026年10月1日〜19日。

表3 沖縄県 OTA掲載在庫ベース稼働率と平均掲載価格の日別推移(2026年10月1〜19日)
宿泊日全施設ビジネスホテルリゾートホテル平均掲載価格(全施設)OTA掲載残室数(全施設)
10/1(木)87.2%87.7%89.3%¥25,4244,763
10/2(金)91.1%92.2%91.4%¥26,9263,324
10/3(土)93.4%94.0%93.2%¥28,5722,392
10/4(日)90.6%90.0%92.4%¥23,7053,375
10/5(月)91.1%91.6%92.1%¥25,2763,214
10/6(火)92.0%93.4%92.3%¥23,2632,864
10/7(水)92.3%94.2%91.9%¥25,0112,764
10/8(木)92.7%94.2%93.2%¥24,3302,593
10/9(金)94.5%96.1%93.8%¥29,7341,982
10/10(土)96.1%97.7%95.5%¥38,3621,420
10/11(日)93.2%93.8%93.5%¥28,2552,456
10/12(月・祝)87.5%84.8%90.5%¥21,0694,520
10/13(火)88.0%85.9%91.2%¥20,8614,355
10/14(水)90.4%90.4%92.1%¥22,4543,524
10/15(木)93.5%95.4%93.1%¥25,1162,376
10/16(金)94.4%96.3%93.7%¥29,6912,029
10/17(土)92.5%94.6%91.9%¥32,9882,739
10/18(日)88.3%88.2%89.7%¥26,5804,261
10/19(月)90.1%92.0%90.7%¥26,7033,632

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

※平均掲載価格は2名1室利用時の1室あたり料金(税込)の単純平均。OTA掲載残室数は観測時点の掲載在庫で、掲載外の客室は含まない。集計期間2026年10月1日〜19日時点。

9月に目を向けると、月平均86.7%の中でシルバーウィークの五連休(9月19〜23日)の前半(9月19日(土)92.1%、20日(日)95.2%、21日(月・祝)93.1%)が突出し、連休後の9月27日(日)81.9%、28日(月)79.8%が月間の底になった。9月の金・土曜平均88.7%に対し、それ以外は86.0%で、10月に比べると曜日差は小さいが日次の振れ幅(最大95.2%、最小79.8%で15.4pt)は大きい。10月は底が87.2%まで上がったことで振れ幅が8.9ptに縮み、「谷が浅くなった」ことが10月の平均を押し上げたと読める。

業態別 — ビジネスもリゾートも10月は92.2%、違いは曜日による振れ幅にある

業態別に同じ指標を出すと、2026年10月(1〜19日)はビジネスホテル92.2%(140施設・12,924室)、リゾートホテル92.2%(196施設・16,608室)と月平均は並んだ。9月はビジネスホテル86.7%、リゾートホテル87.7%、7月はビジネスホテル90.7%、リゾートホテル90.3%で、月平均の差は常に1pt前後に収まっている。シティホテルは対象が8施設と少なく、本指標では集計対象外とした。

ただし日次の動きは異なる。10月のビジネスホテルは10日(土)97.7%を頂点に、12日(月・祝)84.8%、13日(火)85.9%まで下がり、振れ幅は12.9ptに達する。金・土曜の平均95.2%に対してそれ以外は90.9%で、曜日差は4.3ptある。リゾートホテルは最高95.5%(10日)、最低89.3%(1日)で振れ幅6.2pt、金・土曜93.2%とそれ以外91.7%の差は1.5ptにとどまる。那覇市内を中心とするビジネスホテルは週末・連休の観光需要と平日の出張・法事・帰省需要が重なって日ごとに振れ、リゾートホテルは連泊と滞在型の予約で日次が平準化されている、という構造が数字に表れている。この三連休のビジネスホテルの残り方を宿泊日45日前からの予約進捗で追った那覇大綱挽まつり三連休のブッキングカーブ分析も参考になる。

表4 沖縄県 業態別 OTA掲載在庫ベース稼働率(2026年7月〜10月1〜19日)
業態(OTA掲載在庫ベース)対象2026年7月2026年8月2026年9月2026年10月(1〜19日)10月 振れ幅
全施設933施設・37,131室89.3%85.5%86.7%91.5%8.9pt
ビジネスホテル140施設・12,924室90.7%84.7%86.7%92.2%12.9pt
リゾートホテル196施設・16,608室90.3%87.2%87.7%92.2%6.2pt

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

※対象施設数・客室数は2026年10月時点のコホート。7〜9月は各月のコホート(全施設708〜713施設、ビジネスホテル132〜135施設、リゾートホテル174〜184施設)。振れ幅は日次の最大値と最小値の差。

同じ7月で27.5ptの差 — 定義の差はどこから来るのか

ここまでを整理すると、2026年7月の沖縄県は観光庁の公表値が61.8%、OTA掲載在庫ベース稼働率が89.3%で、差は27.5ptになる。6月は55.1%に対して84.9%(差29.8pt)、5月は56.7%に対して83.4%(差26.7pt)であり、月によらず25〜30pt前後の開きが一貫して存在する。方向は一致しており、どちらの指標でも7月が5〜6月より高い。

差の大半は定義から説明できる。第一に、OTA掲載在庫ベース稼働率はOTA等に掲載されていない客室を消化済み側に数える。直販・旅行会社・法人契約・団体で売る客室が多い施設ほど、残室の観測値が小さく出るため推定稼働率は高くなる。第二に、対象施設の集合が違う。当社コホートは総客室の30%以上をOTA等に掲載する施設に限られ、観光庁の母集団に含まれる旅館(7月42.0%)や簡易宿所(同32.8%)の多くは入らない。第三に、観光庁の値は営業日ベースの実績であり、休館日や改装中の客室の扱いも異なる。

業態別に差を取ると、この説明が裏付けられる。ビジネスホテルは観光庁79.5%に対して当社90.7%で差は11.2pt、リゾートホテルは69.5%に対して90.3%で差は20.8ptになる。ビジネスホテルはOTA等に出す客室の比率が高く、二つの指標が近づきやすい。リゾートホテルは旅行会社のパッケージや直販、団体での販売が相対的に大きいと考えられ、OTA等の残室が小さくても実稼働は7割前後にとどまる、という構図が読み取れる。したがってOTA掲載在庫ベース稼働率を実稼働の代わりに使うことはできず、「同じ定義で測った値どうしを比べる」のが原則になる。同じ7月の全国値では観光庁60.8%(第1次速報。第2次速報では61.0%)に対して在庫ベース83.5%と差は22.7ptであり、沖縄県の27.5ptはそれより大きい。全国での差の分解は全国の客室稼働率60.8%とOTA在庫ベース83.5%の差22.7ptを4要因で分解した記事で扱っている。

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」、メトロエンジンリサーチよりホテルバンク編集部作成

※2026年7月。観光庁値は第2次速報、当社値はOTA掲載在庫ベース稼働率(推定、710施設・35,632室。ビジネスホテル132施設・12,490室、リゾートホテル174施設・16,351室)。定義が異なるため、差は「稼働の高低」ではなく「OTA等以外の販売を含むか否か」と「対象施設の違い」を主に反映する。

単価との関係 — 稼働が高い月に単価も高いが、8月は単価、10月は稼働で稼ぐ形

稼働率が高い月に単価も高いのか。沖縄県の推定成約ADR(本記事のADR、税抜相当)を月別に並べると、2026年5月¥11,200(N=501)、6月¥11,400(N=505)、7月¥13,700(N=508)、8月¥14,700(N=513)、9月¥12,000(N=515)、10月¥12,800(N=511、調査時点の掲載水準にもとづく推定)となる。OTA掲載在庫ベース稼働率は7月89.3%、8月85.5%、9月86.7%、10月91.5%なので、ADRが最も高い8月は稼働では7月・10月を下回る。夏休みの8月は単価を取り、連休と気候の良さが重なる10月は稼働を取る、という沖縄らしい季節構造が見える。

前年同月比では、推定成約ADRは7月+7.1%、8月+2.7%、9月+10.0%、10月+18.2%(調査時点の掲載水準にもとづく推定)と、いずれも前年を上回る。掲載価格(全プラン平均・税込)でも8月¥31,600(前年同月比+7.4%)、9月¥27,800(同+11.7%)、10月¥27,200(同+12.9%)である。日次で見ても、10月1〜19日の全施設の稼働率と平均掲載価格の相関係数は0.69、9月は0.79と高く、埋まる日に価格も上がる関係が確認できる。10月10日(土)の¥38,400はその典型で、需要が集中する日に掲載価格の高いプランが残る構造と、施設側の値付けの両方が重なっている。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

※稼働率はOTA掲載在庫ベース(推定、各月のコホート589〜933施設)。10月は1〜19日分。ADRは推定成約ADR(税抜相当、N=501〜515施設)で、10月は調査時点の掲載水準にもとづく推定。

表5 沖縄県 月別 観光庁値・OTA掲載在庫ベース稼働率・推定成約ADR(2026年5〜10月)
月観光庁 客室稼働率(沖縄県・計)OTA掲載在庫ベース稼働率(推定)差推定成約ADRADR前年同月比
2026年5月56.7%83.4%26.7pt¥11,248+12.5%
2026年6月55.1%84.9%29.8pt¥11,373+15.8%
2026年7月61.8%89.3%27.5pt¥13,722+7.1%
2026年8月未公表(都道府県別)85.5%—¥14,652+2.7%
2026年9月未公表86.7%—¥12,040+10.0%
2026年10月(1〜19日)未公表91.5%—¥12,828(推定)+18.2%(推定)

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」、メトロエンジンリサーチよりホテルバンク編集部作成

※観光庁値は2026年速報値。当社の5月値は観測蓄積が月前半で浅く参考値。ADRは推定成約ADR(税抜相当)で、10月は調査時点の掲載水準にもとづく推定。

投資判断での使い分け — 通年の実稼働は観光庁、直近の需要の強弱はOTA在庫ベース

二つの指標は競合するものではなく、役割が違う。事業計画や取得時の収支想定、融資審査で「通年の稼働率」を置くなら、根拠にできるのは観光庁の公表値である。沖縄県の通年の実稼働は2025年で月次51.9〜66.6%、リゾートホテルで55.0〜75.0%、ビジネスホテルで63.7〜83.4%のレンジにあり、施設タイプ別の値を自施設の業態に合わせて参照するのが筋になる。前年同月比の趨勢や、他県との比較も同じ定義で揃う観光庁値で行いたい。ここにOTA掲載在庫ベースの「9割」を通年の前提として置くと、実稼働を25〜30pt過大に見積もることになる。稼働率の計算式と自館の損益分岐OCCの逆算は客室稼働率とは?計算式と全国平均56.2%で整理している。

一方で、観光庁の都道府県別の値は対象月の2か月半以上あとに出るうえ、第1次速報は第2次速報・確定値で改定される。直近の需要が強いのか弱いのか、連休にどの業態が先に埋まるのか、金・土曜と平日の差がどれほどか、といった運営の判断に必要な情報は、OTA掲載在庫ベース稼働率の方が早く、細かく得られる。2026年10月の沖縄県でいえば、1〜19日で91.5%、三連休初日に96.1%、連休明けに87〜88%という日次の形は、価格の上げ下げや販売枠の配分を考える材料になる。参入検討者は、観光庁値で「通年の実稼働の水準」を把握したうえで、OTA在庫ベースで「いまの需要の勢いと業態差」を確認する、という順番で読むのが現実的である。

供給側の文脈も添えておきたい。那覇市内では既存ビルの転用による客室供給が続いており、那覇・旭橋の既存ビル2棟342室の再生で整理したように、新築に頼らない供給が那覇市のビジネスホテル需給に影響する。また沖縄は修学旅行の分散先として12〜1月に需要が集まる特徴があり、観光庁値で稼働が低く見える冬季にも業態によっては需要の山がある。稼働率をどの定義で見るかは、こうした供給と季節性の議論の前提になる。

⚠ 将来日程のADRに関する注意:本記事の将来日程のADR(推定成約ADR)と掲載価格は、調査時点でOTAに公開されている販売価格にもとづく値であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。現時点で高く設定されている価格が直前値下げで下落する可能性がある点にご留意ください。2026年10月のOTA掲載在庫ベース稼働率も10月1日〜19日時点の途中経過であり、月末までの数値は今後の観測で変わります。

よくある質問

Q. 沖縄の稼働率はどこで見られますか。
A. 公的な実績値は観光庁「宿泊旅行統計調査」の都道府県別・宿泊施設タイプ別の客室稼働率で、観光庁のウェブサイトから集計結果(Excel)と推移表を入手できます。沖縄県の直近は2026年7月の61.8%(第2次速報)です。都道府県別の公表は全国値の第1次速報より1か月遅れます。直近の需要の強弱は、本記事で示したOTA掲載在庫ベース稼働率(推定)のように、OTA等の掲載在庫から推定する方法があります。

Q. 第1次速報はどれくらい改定されますか。
A. 観光庁の第1次速報は回収途中の調査票にもとづく値で、第2次速報、さらに年の確定値で改定されます。当サイトの検証では、客室稼働率は第1次速報から第2次速報で平均0.6pt程度動いています(詳細は宿泊旅行統計調査とは — 第1次速報は稼働率で平均0.6pt動く)。また2026年1月分からは層化基準が従業者数から客室数に変わっており、2025年との前年同月比には調査設計変更の影響が含まれる可能性があります。

Q. OTA在庫ベースの稼働率と実稼働の差はどのくらいですか。
A. 沖縄県では2026年5〜7月で26.7〜29.8pt、7月は27.5pt(観光庁61.8%に対して当社推定89.3%)でした。業態別では、ビジネスホテルの差が11.2pt、リゾートホテルの差が20.8ptと、OTA等以外の販売経路が大きいと考えられる業態ほど差が広がります。OTA在庫ベースの値は掲載外の客室を消化済み側に数える推定値であり、実稼働の代わりに使うのではなく、同じ定義の値どうしで前後の月や曜日・業態を比べる用途に向いています。

まとめ

沖縄県の稼働率は、観光庁の公表値(2026年7月61.8%、第2次速報)とOTA掲載在庫ベースの推定値(同月89.3%、10月1〜19日91.5%)で25〜30ptの差があり、その差は主に「OTA等以外の販売を含むか」と「対象施設の違い」という定義から生じる。業態別ではビジネスホテルで差が11.2pt、リゾートホテルで20.8ptと開き方が異なり、リゾートの実稼働は7割前後にとどまる。通年の実稼働と事業計画の前提には観光庁値を、直近の需要の強弱・曜日差・業態差の把握にはOTA在庫ベースを使い分けるのが、沖縄に投資・参入する事業者にとって現実的な読み方だろう。10月の沖縄は三連休初日に96.1%・平均掲載価格¥38,400まで上がり、連休明けでも87%を下回らない。推定成約ADRも2026年7〜10月の各月で前年同月を上回っており(+2.7〜+18.2%)、稼働と単価の両面で需要の強さが続いている。

関連記事

参考資料・出典一覧

■ データソース

観光庁「宿泊旅行統計調査」の推移表(沖縄県、2024・2025年は確定値、2026年1〜7月は速報値)と2026年7月分 第2次速報 集計結果(宿泊施設タイプ別)。メトロエンジンリサーチのOTA掲載在庫ベース稼働率(沖縄県、2026年5月〜10月19日、各月の固定コホート589〜933施設)、推定成約ADRと掲載価格(N=501〜515施設)。

■ 試算前提

OTA掲載在庫ベース稼働率=100−100×OTA掲載残室数÷総客室数。総客室の30%以上をOTA等に掲載する施設に限り、宿泊日前45日以内の観測を用いる。月平均は日次値の単純平均。観光庁値との差(pt)は同じ月の単純差で、業態別はビジネスホテル同士・リゾートホテル同士で比べた。

■ 限界・留意点

観光庁の2026年値は速報値で今後改定されうるほか、2026年1月分から層化基準が変わったため前年同月比には調査設計変更の影響が含まれうる。OTA掲載在庫ベース稼働率は掲載外の客室を消化済み側に数えるため実稼働より高く出て、実稼働の代わりには使えない。10月は1〜19日の途中経過で、10月の推定成約ADRは調査時点の掲載水準にもとづく推定。シティホテルは対象が8施設のため業態別の集計から外した。

メトロエンジンリサーチは国内約168,000施設を追跡し、うちOTA上で稼働が確認できる約27,000施設・約126万室を分析対象としている。本記事の施設数・客室数はその範囲内の沖縄県の数値である。

あわせて読みたい

関連記事