広島県で2026年10月17日(土)・18日(日)に開催されるアリーナ公演2Daysに対し、県内宿泊施設の予約進捗は公演初日の10月17日(土)だけが突出している。宿泊日45日前の時点で推定OCC(OTA掲載在庫ベース)は85.1%、OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(完売施設率・推定)は47.6%に達し、直近(宿泊日17日前)では94.1%・59.6%まで進んだ(全施設 N=272施設・15,343室)。一方、前日10月16日(金)は45日前で69.3%、翌日10月18日(日)は69.5%、10月19日(月)は66.8%と、いずれも公演日を15pt以上下回り、直近でも10〜13ptの差が残る。需要は公演日に集中し、前後日への染み出しは限定的である。本記事では日別のブッキングカーブと完売率、施設別の完売タイミング分布、そして確定月の推定成約ADRを突き合わせ、公演日の残室をどのレンジで売り切るか、前後日をどう埋めるか、レートフェンスをどの順に外すかを実務手順として整理する。
対象: 広島県 全施設 N=272〜275施設(約15,350室)、ビジネスホテル N=98施設(11,141室)。本記事の価格指標は推定成約ADR(OTA等の販売データから推定される成約価格水準・税抜相当)、稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値。いずれも定義は記事末尾。データ時点: 2026年9月30日。
| 1 | 公演初日10/17(土)は45日前で推定OCC 85.1%(2026年9月2日観測・全施設N=272)・完売施設率47.6%、直近(17日前・2026年9月30日観測)で94.1%・59.6%。県内全施設の半数超が公演日の掲載在庫を持たない。 |
| 2 | 前日10/16(金)は45日前69.3%→直近83.6%、翌日10/18(日)は69.5%→80.8%。公演日との差は45日前で約16pt、直近でも10〜13pt残り、前後日への染み出しは限定的である。 |
| 3 | 同じ土曜でも10/24は45日前73.9%→24日前84.3%。10/17は同じ24日前時点で91.8%と7.5pt上回り、通常の土曜より1段早い立ち上がりを示す。 |
| 4 | 施設別の完売タイミングでは、10/17は対象95施設のうち22施設(23.2%)が宿泊日の45日以上前から完売、31〜45日前に11施設、17〜30日前に10施設が加わった。10/18は45日以上前からの完売が11施設(11.1%)にとどまる。 |
| 5 | 確定月の推定成約ADRは広島県ビジネスホテルの2025年10月が¥7,911(N=186、前年同月比+6.3%)、シティホテルが¥11,488(N=29、同−1.1%)。公演日の価格設定はこの確定水準を起点に、残り枠比率(客室全体に占める未販売室の割合)と突き合わせて段階的に判断したい。 |
10月17日(土)の予約進捗 — 45日前で半数近くの施設が完売
まず事実関係を確認する。広島グリーンアリーナ(広島県立総合体育館)では2026年10月17日(土)・18日(日)の2日間、全国アリーナツアーの広島公演が予定されている(複数の会場スケジュール集約サイトで日程・会場を確認。公演名は「NEWS LIVE TOUR 2026 /// KMK」として掲載されている)。加えて同じ10月17日(土)18時・18日(日)16時には、広島サンプラザホールでもアーティストの10周年記念ツアー公演が組まれており、市内中心部と西区の2会場で週末の来場需要が重なる形である。
この週末に対する県内宿泊施設の予約進捗を、宿泊日45日前から直近までのブッキングカーブで日別に比較したのが次の図である。対象は広島県の全施設 N=272〜275施設(約15,350室、主要予約サイト掲載ベース)、指標はOTA掲載在庫ベースの推定OCCである。
図1: 広島県 全施設の日別ブッキングカーブ(推定OCC・OTA掲載在庫ベース、宿泊日45日前→直近)。参考として10/24(土)を灰色破線で重ねた。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
10月17日(土)は45日前(9月2日観測)の時点ですでに85.1%に達しており、30日前で89.5%、直近の17日前(9月30日観測)で94.1%まで積み上がった。45日間の上積み幅は+9.0ptで、残る掲載在庫は15,343室中907室(5.9%)である。完売施設率は45日前47.6%→30日前52.8%→直近59.6%と推移し、30日前の時点で対象施設の過半がOTA等に掲載在庫を持たない状態になっていた。
| 宿泊日 | N(施設/客室) | 45日前 OCC | 30日前 OCC | 直近 OCC | 45日→直近 | 完売施設率 45日前→30日前→直近 | 直近の掲載残室 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10/16(金) | 273 / 15,366 | 69.3% | 76.5% | 83.6%(16日前) | +14.3pt | 16.5%→19.8%→28.6% | 2,519室(16.4%) |
| 10/17(土)公演初日 | 272 / 15,343 | 85.1% | 89.5% | 94.1%(17日前) | +9.0pt | 47.6%→52.8%→59.6% | 907室(5.9%) |
| 10/18(日)公演2日目 | 275 / 15,371 | 69.5% | 76.4% | 80.8%(18日前) | +11.3pt | 19.3%→23.1%→25.1% | 2,946室(19.2%) |
| 10/19(月) | 274 / 15,349 | 66.8% | 73.8% | 78.6%(19日前) | +11.8pt | 19.3%→22.8%→26.3% | 3,287室(21.4%) |
表1: 広島県 全施設の日別予約進捗(推定OCC・OTA掲載在庫ベース/完売施設率=OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合・推定)。「直近」は2026年9月30日観測。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
前日・翌日への染み出しは限定的 — 差は45日前で約16pt、直近でも10pt超
表1が示すとおり、公演初日と前後日の差は大きい。45日前時点の推定OCCは10/17が85.1%に対し、10/16(金)69.3%・10/18(日)69.5%・10/19(月)66.8%で、公演日との差は15.6〜18.3ptある。直近時点でも10/16との差は10.5pt、10/18とは13.3pt、10/19とは15.5pt残っており、公演2日目の10/18(日)ですら初日の水準には近づいていない。
ただし上積み幅には違いがある。10/17の45日間の上積みは+9.0ptにとどまる一方、10/16(金)は+14.3pt、10/18(日)は+11.3pt、10/19(月)は+11.8ptと、前後日のほうが大きい。公演日は45日前の時点で高水準に達しているぶん積み上げ余地が小さく、前後日は通常の曜日パターンに沿って直前に向けて埋まっている、と読むのが自然である。特に10/16(金)は30日前から直近までの16日間で+7.1pt(76.5%→83.6%)伸びており、公演日の在庫が細るにつれて前泊需要が金曜に寄っている可能性はある。ただしその水準(83.6%)は、後述する9月の通常の金曜(81.1〜89.4%)の範囲内であり、イベント固有の上乗せと断定できる規模ではない。
完売施設率で見ると差はさらに明確である。10/17は直近で59.6%の施設が掲載在庫を持たないのに対し、10/16は28.6%、10/18は25.1%、10/19は26.3%と、いずれも公演日の半分以下にとどまる。推定OCCと完売施設率が同じ宿泊日で別の姿を見せる理由は、推定OCCと完売率は何が違うのかで指標ごとに分解している。
図2: 広島県 全施設の完売施設率(OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合・推定)を45日前・30日前・直近の3時点で日別比較。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
ビジネスホテルでは公演日の完売施設率が6割超に
カテゴリ別に見ると、県内客室の大半を占めるビジネスホテル(N=98施設・11,141室)で公演日の集中がより鮮明である。10/17は45日前(2026年9月2日観測)で推定OCC 86.7%・完売施設率44.9%、30日前で90.1%・58.2%、直近(17日前)で94.7%・61.2%に達した。対して10/16(金)は68.4%→76.1%→84.0%(完売施設率10.2%→13.3%→16.3%)、10/18(日)は68.8%→76.5%→81.4%(同7.1%→8.2%→10.2%)で、公演日との差は45日前で約18pt、直近でも10〜13ptある。
| 宿泊日 | 45日前 OCC | 30日前 OCC | 直近 OCC | 完売施設率 45日前 | 完売施設率 30日前 | 完売施設率 直近 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 10/16(金) | 68.4% | 76.1% | 84.0% | 10.2% | 13.3% | 16.3% |
| 10/17(土) | 86.7% | 90.1% | 94.7% | 44.9% | 58.2% | 61.2% |
| 10/18(日) | 68.8% | 76.5% | 81.4% | 7.1% | 8.2% | 10.2% |
| 10/19(月) | 64.5% | 72.4% | 77.8% | 11.2% | 10.2% | 18.4% |
表2: 広島県 ビジネスホテル(N=98施設・11,141室)の日別予約進捗。推定OCCはOTA掲載在庫ベース、「直近」は2026年9月30日観測。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
シティホテル(N=14施設・1,683室)は母数が小さいため参考値にとどめるが、10/17は45日前90.8%→直近95.1%、10/18は79.3%→84.1%で、方向はビジネスホテルと同じである。
他の土曜と比べると — 通常の土曜より1段早い立ち上がり
公演日の水準がどの程度「異常」なのかを測るため、前後の土曜と同じリードタイムで比較する。10/24(土)は45日前73.9%、30日前81.5%、24日前84.3%で、10/17は同じ24日前時点で91.8%と7.5pt上回っている。3連休初日にあたる10/10(土)は45日前73.9%、30日前82.8%、17日前88.8%、直近の10日前で92.3%まで伸びたが、10/17は17日前の時点ですでに94.1%と、3連休初日の同時点を5.3pt上回った。なお10/10からの三連休3日間の直前期の在庫状況は、広島の10月三連休、完売施設率51.6%と1.1%の落差で別途整理している。
| 土曜日 | 位置づけ | 45日前 | 30日前 | 24日前 | 17日前 | 直近 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 10/10(土) | 3連休初日(10/12 スポーツの日) | 73.9% | 82.8% | 86.3% | 88.8% | 92.3%(10日前) |
| 10/17(土) | アリーナ公演初日 | 85.1% | 89.5% | 91.8% | 94.1% | 94.1%(17日前) |
| 10/24(土) | 通常の土曜 | 73.9% | 81.5% | 84.3% | — | 84.3%(24日前) |
表3: 広島県 全施設(N=272〜274施設)の土曜別ブッキングカーブ定点比較(推定OCC・OTA掲載在庫ベース)。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
注目すべきは10/10と10/24の45日前が同じ73.9%である点だ。3連休初日と通常の土曜は45日前の時点では区別がつかず、差は30日前以降の上積みで生まれる。それに対して10/17は45日前ですでに11.2pt高く、ツアー日程の発表からチケット当落を経て宿泊予約が先行する、イベント需要特有の形である。広島県の平常日における45日前・30日前・直前の定点水準は、広島のブッキングカーブ定点分析で業態別に整理している。
施設別の完売タイミング — 10/17は23%の施設が45日以上前から完売
エリア集計のカーブを施設単位に分解すると、公演日の在庫がいつ消えたかが見える。総客室の30%以上をOTA等に掲載していた施設に絞った匿名パネル(10/17 N=95施設、10/18 N=99施設)で、初めて掲載在庫が確認できなくなった時期を分布にしたのが表4である。
| 早期完売の時期 | 10/17(土)全施設 N=95 | うちビジネスホテル N=39 | 10/18(日)全施設 N=99 | うちビジネスホテル N=41 |
|---|---|---|---|---|
| 宿泊日の45日以上前から完売 | 22施設(23.2%) | 10施設(25.6%) | 11施設(11.1%) | 1施設(2.4%) |
| 31〜45日前に完売 | 11施設(11.6%) | 6施設(15.4%) | 3施設(3.0%) | 0施設 |
| 17〜30日前に完売 | 10施設(10.5%) | 6施設(15.4%) | 4施設(4.0%) | 3施設(7.3%) |
| 観測期間中に一度も完売なし | 52施設(54.7%) | 17施設(43.6%) | 81施設(81.8%) | 37施設(90.2%) |
| パネルの残り枠中央値(直近) | 12.5% | — | 36.1% | — |
表4: 広島県 施設別の早期完売時期の分布(総客室の30%以上をOTA等に掲載する施設の匿名パネル。「完売」はOTA等で掲載在庫が確認できなくなった状態・推定。完売時期は初めて完売を観測した時点で、その後に在庫が戻った施設を含む)。2026年9月30日観測。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
10/17はパネル95施設のうち43施設(45.3%)が宿泊日17日前までに掲載在庫を失い、そのうち半数超の22施設は45日以上前から完売していた。ビジネスホテルに限ると39施設中22施設(56.4%)が一度は完売を記録し、直近時点でも17施設が完売状態にある。翌10/18はパネル99施設中、完売を記録したのは18施設(18.2%)にとどまり、ビジネスホテルでは41施設中37施設(90.2%)が一度も完売しておらず、直近時点で掲載在庫を持つのは41施設中39施設である。同じ公演の2日目でありながら、宿泊需要は初日に偏っている。公演2日目が日曜で開演が16時と初日(17時)より早く、当日帰りが選ばれやすいことが背景にあると考えられる。
9月の週末実績に見る「日曜の落ち込み」の型
10/18(日)の弱さがイベント固有のものか、広島県の通常の曜日パターンかを確かめるため、直近の経過月である2026年9月の日別実績(宿泊日直前の観測に基づく推定OCC・OTA掲載在庫ベース、全施設 N=261〜286施設)を週末ごとに並べる。
| 週 | 金曜 | 土曜 | 日曜 | 土→日の差 |
|---|---|---|---|---|
| 9/4〜9/6 | 85.3% | 85.2% | 71.2% | −14.0pt |
| 9/11〜9/13 | 89.4% | 90.5% | 74.7% | −15.8pt |
| 9/18〜9/20(連休・9/21 敬老の日) | 81.1% | 97.2% | 100.0% | +2.8pt |
| 9/25〜9/27 | 84.7% | 82.4% | 77.8% | −4.6pt |
表5: 広島県 全施設の2026年9月 週末別実績(宿泊日直前の観測に基づく推定OCC・OTA掲載在庫ベース、N=261〜286施設)。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
連休を除く3週では、日曜は土曜を4.6〜15.8pt下回り、金曜は土曜とほぼ同水準である。広島県では「金・土が高く日曜が落ちる」型が基本であり、10/18(日)の直近80.8%は9月の通常の日曜(71.2〜77.8%)よりむしろ高い。つまり公演2日目の需要は日曜としては上乗せされているものの、初日との差を埋めるほどではない、というのが正確な読みである。10/16(金)の83.6%も9月の金曜レンジ(81.1〜89.4%)の中にあり、前泊の上乗せがあったとしても通常の金曜の変動幅に収まる規模だ。
推定成約ADRの確定水準 — 10月はビジネスホテルで¥7,911(2025年)
公演日の価格判断の起点として、確定月の推定成約ADR(税抜相当)を確認する。広島県ビジネスホテルの2025年10月は¥7,911(N=186施設)で、2024年10月の¥7,440(N=190)から+6.3%。シティホテルは¥11,488(N=29)で前年同月¥11,610(N=30)から−1.1%、全カテゴリ合計では¥9,139(N=299)で前年¥8,063(N=310)から+13.3%だった。直近の確定月である2026年8月は、ビジネスホテル¥8,826(N=187、前年同月比+0.8%)、シティホテル¥15,237(N=31、同+8.4%)、全体¥10,431(N=300、同+4.4%)である。
図3: 広島県 ビジネスホテルの推定成約ADR(税抜相当・確定月のみ)年重ね比較。2024年 N=187〜191、2025年 N=183〜189、2026年 N=184〜189。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
| カテゴリ | 2024年10月(確定) | 2025年10月(確定) | 前年同月比 | 2026年8月(直近確定) | 前年同月比 |
|---|---|---|---|---|---|
| ビジネスホテル | ¥7,440(N=190) | ¥7,911(N=186) | +6.3% | ¥8,826(N=187) | +0.8% |
| シティホテル | ¥11,610(N=30) | ¥11,488(N=29) | −1.1% | ¥15,237(N=31) | +8.4% |
| 全カテゴリ | ¥8,063(N=310) | ¥9,139(N=299) | +13.3% | ¥10,431(N=300) | +4.4% |
表6: 広島県の推定成約ADR(税抜相当・月次・確定月同士の比較)。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
2025年のビジネスホテルは8月(¥8,757)と5月(¥8,112)が年間の山で、10月(¥7,911)・11月(¥7,946)がそれに続く秋の山を形成している。2026年10月の確定値は月末を待つ必要があるが、公演日のような高需要日を含む月が秋の山を押し上げる構造は例年どおりと見てよい。価格の判断は、この月次の確定水準を「月平均の物差し」として持ちつつ、公演日単日の残り枠比率で上下させる、という二層で行うのが実務的である。
広島のビジネス・シティホテルを運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン
運営目線のインサイト
1. 公演日の「売り切り」は残り枠比率の問題であって、埋まるかどうかの問題ではない。 市場は直近(2026年9月30日観測)で推定OCC 94.1%、ビジネスホテルで94.7%、完売施設率は6割前後に達している。自館の10/17の残室が市場の残り枠中央値(12.5%)を上回っているなら、需要が足りないのではなく価格か販売条件が市場と噛み合っていない可能性を先に疑いたい。逆に残り枠比率が中央値を下回っていれば、残る数室は最も遅く・最も高く決まる層に向けて温存する余地がある。
2. 前後日は「イベントの余波」ではなく「通常の金曜・日曜」として設計する。 10/16(金)83.6%・10/18(日)80.8%は9月の通常週末の変動幅に収まる水準で、公演客が前後泊を大量に生んでいる形跡は薄い。前後日を公演日の延長として高値で置いたままにすると、通常の曜日需要すら取り逃す。公演日と前後日の価格差は、市場のOCC差(直近で10〜13pt)と同程度の緩やかな段差に留めるのが妥当である。
3. 連泊化は「公演日→翌日」よりも「前日→公演日」の方向で組む。 公演2日目の10/18は開演が16時と初日(17時)より早く、当日帰りが選ばれやすい。一方、金曜夜に入って土曜の公演に向かう前泊は、公演日の在庫が細るほど選ばれやすくなる。金曜チェックインの2泊(10/16-17)を公演日単泊よりわずかに有利に見せる設計は、10/16の残室(市場で2,519室)を埋めつつ公演日の在庫を高単価層に残す組み合わせになる。
4. チェックアウト後需要(10/18の日中)は宿泊収益とは別のレバーとして扱う。 10/18(日)は宿泊日としては弱いが、初日宿泊客の多くが2日目の公演にも向かうなら、レイトチェックアウトや荷物預かりといった「日中滞在」の需要は存在する。宿泊在庫の値付けと切り離し、付帯収益として拾うのが自然である。
アクションプラン — 今日から公演日までの3段階
| 時間軸 | 打ち手 | 判断トリガー(記事の数値に紐づく) | 狙い |
|---|---|---|---|
| 今日〜今週(17日前〜14日前) | 10/17の残り枠比率を市場と照合し、価格帯を確定する | 自館の10/17残り枠比率が市場のパネル中央値12.5%を上回っているなら、価格・最低泊数・キャンセル条件のいずれが市場とずれているかを点検する | 売り切りの障害を先に外す |
| 今日〜今週 | 10/16-17の金曜チェックイン2泊プランを前面に出す | 10/16(金)の市場推定OCCが83.6%と9月の金曜レンジ内にとどまっている間は、公演日単泊より2泊を選びやすい見せ方にする | 前泊需要を取り込み公演日在庫を温存 |
| 2週間以内(14日前〜7日前) | 公演日の最低泊数フェンスを外す | 市場の完売施設率が直近59.6%からさらに上がり、自館の10/17残室が一桁室に近づいた段階で、2泊縛りを解いて単泊の高単価層に開放する | 最後の数室を最も高く決める |
| 2週間以内 | 10/18(日)を「通常の日曜」の価格帯に戻す | 10/18の自館残り枠比率が市場(直近19.2%、パネル中央値36.1%)並みかそれ以上なら、公演日連動の高値を維持する根拠は薄い | 日曜の通常需要を取り逃さない |
| 直前(7日前〜当日) | キャンセル条件フェンスを外し、公演日の戻り在庫を即時再販する | 市場の掲載残室が907室(5.9%)まで細っている局面では、戻り在庫は直前でも決まりやすい。返室が出た時点で公演日の価格帯を維持したまま再掲載する | 戻り在庫の取りこぼし防止 |
| 直前〜当日 | 10/18の日中滞在メニュー(レイトチェックアウト・荷物預かり)を初日宿泊客に案内する | 10/18の宿泊が市場で80.8%と初日を13.3pt下回る以上、2日目は宿泊ではなく付帯で拾う | 付帯収益の上積み |
表7: アクションプラン(数値は本記事の2026年9月30日時点の市場値。効果を保証するものではない)。出典:ホテルバンク編集部
まとめ — イベント日を測る3つの物差し
本記事のデータを、次のイベント日にも使える3つの物差しに整理する。
| 物差し | 今回の値(広島県・全施設) | 読み方 |
|---|---|---|
| 45日前の推定OCCが通常の同曜日をどれだけ上回るか | 85.1% vs 73.9%(10/24)=+11.2pt | 10pt超の先行があれば、価格帯は45日前の時点で上げ切っておく |
| 30日前の完売施設率 | 52.8% | 過半を超えたら残室は「売る」より「取っておく」対象になる |
| 前後日と公演日のOCC差 | 45日前で15.6〜18.3pt、直近で10.5〜15.5pt | 差が縮まらないなら前後日は通常の曜日として売る |
表8: イベント日の判断に使う3つの物差し。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
広島の10月17日は、45日前の時点で結論の大半が出ていた日である。残る論点は「少ない残室をいくらで、どの順にフェンスを外して売るか」と「前後日を通常の曜日として取り切れるか」の2点に絞られる。次にアリーナ公演の日程が公表されたときは、まず45日前の推定OCCを通常の同曜日と比べ、10pt超の先行があるかどうかを最初の判断材料にしたい。
データについて
■ データソース
推定OCC(OTA掲載在庫ベース)の定義: OTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成した固定コホート(各宿泊日で同じ施設集合。施設数は本記事の各表に N として記載)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(掲載外の客室を消化済み側に数えるため高めに出る)。本記事では「推定OCC(OTA掲載在庫ベース)」と表記した。
ブッキングカーブ: 宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。定点は45日前・30日前・直前(2026年9月30日観測)の3点。
推定成約ADR: OTA等の販売データ(最安プラン水準×業態別係数・複数チャネルのアンサンブル)から推定した成約価格水準(税抜相当)。過去月は確定値、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定値。公表運営実績との照合で誤差中央値6.6%。本記事では確定月のみを扱い、前年同月比は確定月同士で算出した。
■ 試算前提・集計対象
対象 N の内訳: ブッキングカーブは広島県 全施設 N=272〜275施設(15,343〜15,371室)、ビジネスホテル N=98施設(11,141室)、シティホテル N=14施設(1,683室、参考値)。2026年9月の日別実績は全施設 N=261〜286施設。施設別の完売タイミング分布は総客室の30%以上をOTA等に掲載する施設の匿名パネル(10/17 N=95、10/18 N=99)。推定成約ADRはビジネスホテル N=183〜191、シティホテル N=29〜32、全カテゴリ N=294〜314(月により変動)。完売施設率は「OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合・推定」。
イベント情報: 会場スケジュール集約サイトおよびチケット情報サイトで日程・会場を確認した(記事末尾の参考資料参照)。
■ 限界・留意点
データ時点: 2026年9月30日。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。推定OCCはOTA掲載在庫に基づく推定値で実客室稼働率とは定義が異なり、同一指標の前年同日比較は行っていない。曜日別の比較は推定OCCのみで行い、価格の曜日差は扱っていない。施設別分布は匿名化した集計のみを示し、個別施設の特定は行わない。
よくある質問
Q1. 「45日前で完売率47.6%」とは、実際に半数の施設が満室という意味ですか。
厳密には「OTA等に掲載在庫が確認できない施設の割合」の推定値です。掲載を止めているだけで実際には空室を持つ施設も含まれ得るため、実客室稼働率の満室とは定義が異なります。ただし市場で予約可能な在庫が半減している、という販売環境の把握には十分に使えます。
Q2. 公演日の価格は前年10月の推定成約ADR(ビジネスホテル¥7,911)を基準にすべきですか。
¥7,911は2025年10月の月平均の確定値であり、公演日単日の水準ではありません。月の物差しとして持ちつつ、公演日の判断は自館の残り枠比率と市場の残り枠(パネル中央値12.5%)の比較で行うのが実務的です。月平均を単日の上限や下限として使う必要はありません。
Q3. 前日・翌日の価格も公演日に合わせて上げるべきでしょうか。
今回のデータでは、10/16(金)83.6%・10/18(日)80.8%はいずれも9月の通常週末の範囲内にあり、公演客の前後泊が市場全体を押し上げている形跡は薄い状況です。前後日は通常の金曜・日曜として価格を設計し、公演日との段差は市場のOCC差(直近で10〜13pt)程度に留めるのが妥当と考えられます。
Q4. 公演2日目(10/18)のほうが弱いのはなぜですか。
断定はできませんが、2日目が日曜で開演時刻が16時と初日(17時)より早く、当日帰りを選びやすいことが背景にあると考えられます。広島県では9月の実績でも日曜が土曜を4.6〜15.8pt下回る型が基本で、10/18の80.8%は日曜としてはむしろ高い水準です。
Q5. レートフェンスはどの順番で外すのがよいですか。
本記事のアクションプランでは、最低泊数フェンス(2週間以内・残室が一桁室に近づいた段階)→キャンセル条件フェンス(直前・戻り在庫の再販時)の順を示しています。市場の完売施設率が6割前後に達している局面では、最後の数室ほど遅く高く決まりやすいため、縛りを早く外しすぎないことがポイントです。
参考資料・出典一覧
・広島グリーンアリーナのスケジュール 2026年9月〜2027年8月(enjoy-live.net) — 10月17日・18日の全国アリーナツアー広島公演の日程・会場を確認
・広島グリーンアリーナ(広島県立総合体育館)ライブ・コンサート、イベント日程 2026-2027(live-events.a-jp.org) — 同上の日程・会場を照合
・広島サンプラザホール 開催される公演一覧(ticketjam.jp) — 10月17日18:00・18日16:00の10周年記念ツアー公演を確認
・内部データ: メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(ブッキングカーブ・完売施設率・施設別完売タイミング分布・推定成約ADR)
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