本稿は、2029年以降に完成予定のホテル計画を対象とする。2027〜2028年に完成するホテル計画は既刊『2027-28年ホテル竣工26件5,243室』で扱っており、本稿はその先の期間だけを切り出す。メトロエンジンリサーチが把握する建築計画のうち、完成予定日が2029年1月1日以降の届出は94件あり、同じ建物に対する複数の届出をまとめると43件の計画になる。うち33件が東京都、22件がオフィスや住宅と一体の複合開発で、17件は届出上の着工予定日を調査時点(2026年9月23日)で過ぎている。代表事例として日比谷公園に面した内幸町一丁目街区の超高層2棟を取り上げ、その1km圏にある既存ホテル70施設・11,595室を地図で示す。
本記事における指標の定義
- ホテル計画(建築計画):主用途にホテル(宿泊施設)を含む建築計画の届出情報。国土交通省「建築物動態統計調査」などの公表情報をもとに、メトロエンジンリサーチが把握する範囲で集計した。建築計画の届出ベースであり全数ではない。開業日・運営事業者・ブランドを示すものではない。
- 計画件数:同一の建物について届出が複数ある場合(計画変更・再届出など)は1件にまとめた。本文の「届出94件」はまとめる前の件数、「43件」はまとめた後の計画数である。
- 完成予定:届出に記載された完成(竣工)予定の年月。届出が複数ある計画は、最も新しい完成予定を採用した。工事の遅延・計画変更により前後しうる予定値である。
- 複合/ホテル主体:届出の主用途表記に事務所・住宅・MICE施設・ホール・百貨店などを含むものを「複合」、ホテルに店舗・飲食店・駐車場などの付帯用途のみを加えたものを「ホテル主体」とした機械的な区分。
- 着工予定日の経過:届出上の着工予定日が調査時点より前にある計画。実際の工事の進捗を確認したものではない。
- 既存客室ストック:メトロエンジンリサーチが追跡するうち、調査時点以降の宿泊日で販売が確認できる施設の客室数合計(OTA掲載ベース)。国内では稼働が確認できる約27,000施設を分析対象としている。
- データ出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング/国土交通省「建築物動態統計調査」
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング/国土交通省「建築物動態統計調査」(メトロエンジンリサーチが把握する範囲。建築計画の届出ベースであり全数ではない)
- — 43件のうち25件が2029年完成予定:2030年以降は各年5件前後に細る。ただし確認申請は開業の1〜2年前に出ることが多く、先の年ほど今後の届出で件数が増える下限値である。
- — 東京都が33件・延床の86.0%:中央区11件、港区6件、千代田区5件。銀座だけで7件のホテル計画が並ぶ。
- — 複合開発ほど先に動いている:着工予定日を過ぎた17件のうち12件が複合開発。ホテル主体の21件は、16件がまだ着工予定日を迎えていない。
- — 内幸町一丁目街区は3地区・3つのホテル計画:中地区(地上48階・延床約36万㎡、2031年10月末完成予定)、南地区(地上46階、届出上2029年12月)、北地区(帝国ホテル新本館、届出上2037年3月)。
- — 1km圏の既存ストックは70施設・11,595室:客室の54.5%はビジネスホテル。同じ1km圏に2029年以降のホテル計画が10件ある。
対象期間の線引き — 2029年1月以降に完成予定の計画だけを数える
本誌はこれまで、ホテル供給を時間軸ごとに扱ってきた。2026年に開業する施設は『新規開業ホテル2026 都市別一覧』、2027〜2028年に完成する計画は『2027-28年ホテル竣工26件5,243室』が対象である。本稿はその先、完成予定日が2029年1月1日以降の計画に範囲を限る。2028年12月以前に完成予定の計画は、1件も含めていない。
対象期間を先に延ばすと、データの性格も変わる。2029年以降に完成する建物の多くは、まだ確認申請が出ていないか、構想・準備組合の段階にある。したがって本稿の43件は「現時点で届出が確認できる計画の下限値」であり、2029〜2032年の供給の総量を示すものではない。一方で、ここに名前が挙がる計画は、事業者・規模・立地がすでに固まった大型案件が中心である。都心の供給地図がどこに向かうのかを読む手がかりとしては、十分な情報量がある。
なお、建物単位にまとめる前の届出は94件あった。計画変更による再届出や、工区ごとの届出が同じ建物に複数ぶら下がるためである。本稿では建物ごとに1件とし、完成予定は最も新しい届出の値を採った。既刊で2028年完成予定として扱った計画が、その後の届出で2029年にずれ込んで本稿に現れるケースもある。完成時期が動くこと自体が、長期の建築計画の常態だといえる。
43件の全体像 — 2029年に25件、客室数の記載は5件のみ
完成予定年ごとに並べると、2029年が25件で全体の58.1%を占める。2030年と2031年はそれぞれ5件、2032年は4件、2033年以降は4件(2033年・2037年×2・2041年)である。2029年に計画が集中しているのは、需要が2029年に偏っているからではない。完成の2〜4年前に出る確認申請が、2029年完成分まではおおむね出そろい、それより先はまだ出ていないためである。2030年以降の件数は、今後の届出で増えていくと考えられる。
客室数は、43件中5件でしか届出に記載がない。内幸町一丁目街区中地区のセントラルタワー(100室)、新宿三丁目の旧メトロ会館・旧セントラルホテル建替え(158室)、宇都宮市池上町の計画(320室)、蔵前駅前ホテルPJ(66戸)、箱根強羅の計画(西棟12室・東棟46室の計58室)で、合計702室である。大型の複合開発では、建築計画の段階でホテルの客室数や運営者を公表しない例が大半を占める。そのため本稿では規模の目安として、建物全体の延床面積(ホテル以外の用途を含む)を併用する。43件の延床面積を合計すると約450万㎡に達する。
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング/国土交通省「建築物動態統計調査」(N=43件。メトロエンジンリサーチが把握する範囲。建築計画の届出ベースであり全数ではない。2030年以降は今後の届出で増加する見込み)
表の読み方として、2029年の25件のうち16件は「ホテル主体」で、残る9件が複合開発である。ところが2030年以降になると構成が逆転し、18件中13件が複合開発となる。完成まで時間のかかる計画ほど、再開発事業として複数用途を積み上げた大規模案件だということだ。ホテル単独の建物は工期が短く、確認申請から完成までの間隔も短いため、2030年以降の単独計画はまだデータに現れにくい。
都道府県別分布 — 東京都33件、延床面積の86.0%が都内
43件の所在地は6都府県にとどまる。東京都が33件(76.7%)で突出し、神奈川県4件、栃木県2件、大阪府2件、兵庫県1件、千葉県1件が続く。延床面積で見ると東京都が約387万㎡で全体の86.0%を占め、神奈川県の約42万㎡がそれに次ぐ。
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング/国土交通省「建築物動態統計調査」(N=43件、2029年1月以降完成予定)
東京都の33件を区別に見ると、中央区が11件で最も多く、港区6件、千代田区5件、台東区4件、渋谷区3件、新宿区3件、中野区1件である。中央区の11件のうち7件は銀座に位置する。銀座の計画は延床3,000〜2万㎡、地上7〜14階の中規模ホテル主体の建物が中心で、ビルの建て替えに合わせてホテルを入れる動きが目立つ。台東区の4件(蔵前・浅草・元浅草・柳橋)も同様の中規模ホテル主体である。
これに対し港区・千代田区・渋谷区では、地上30階以上の複合開発が中心になる。品川駅西口、芝浦一丁目、六本木・虎ノ門地区、渋谷二丁目西、内幸町一丁目街区などで、オフィスや住宅と組み合わせた上層階・低層階のホテル床が計画されている。つまり都内の2029年以降の供給は、「銀座・台東の中規模ホテル主体」と「港・千代田・渋谷の超高層複合」という2つの系統に分かれる。
東京都以外では、横浜市のみなとみらい21中央地区60・61街区と横浜駅みなみ東口地区、大阪市の難波千日前とコスモスクエア駅前、神戸市のJR三ノ宮新駅ビルが、いずれも駅前・ウォーターフロントの複合開発である。地方都市では宇都宮市に2件あり、1件はホテル320室の単独計画、もう1件は再開発事業の商業棟にビジネスホテルを組み込む計画だ。
主用途と着工段階 — 複合開発の22件のうち12件がすでに着工予定日を経過
主用途で分けると、複合開発が22件(51.2%)、ホテル主体が21件(48.8%)とほぼ半々である。ただし延床面積の規模はまったく異なる。複合開発は地上30階以上が12件あり、延床10万㎡を超える計画が15件含まれる。ホテル主体は地上4〜16階が中心で、延床は約1,500㎡〜2万㎡に収まる(帝国ホテル新本館を除く)。
届出上の着工予定日を見ると、調査時点で17件(39.5%)が経過している。内訳は複合開発12件、ホテル主体5件である。反対に、着工予定日をまだ迎えていない26件のうち16件がホテル主体だ。複合開発は土地区画整理や市街地再開発の手続きを経て早い段階で着工し、4〜6年かけて完成に向かう。ホテル主体の建物は2027年前後に着工し、2年前後で2029年の完成を目指す計画が多い。
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(N=43件)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(N=43件、2026年9月23日時点)
工期の目安は既刊『ホテル工期の実測 — 計画67件の着工〜竣工2.80年』が詳しい。そこでは単独ホテルの工期が1.96年、複合開発が4.00年と測られている。本稿の対象でも、着工予定日から完成予定日までの間隔は複合開発の方が長い。
注意したいのは、「着工予定日の経過」は届出の記載にもとづく区分であり、現場で工事が始まったことを確かめたものではない点である。たとえば中野駅新北口駅前エリアの計画は、届出上は2024年4月着工・2029年3月完成予定だが、中野区は事業費の上昇を受けて計画を見直し、2026年8月に新たな再整備の枠組みを公表した。区は2034年度の竣工を目標に民間事業者を再募集する方針を示している。長期の計画ほど、届出上の完成予定は変わりうる。本稿の年次はすべて、その前提で読んでほしい。
代表事例:内幸町一丁目街区 — 延床36万㎡級・地上46〜48階の届出が2件
2029年以降の計画のなかで、規模と立地の両面で象徴的なのが、日比谷公園に面した内幸町一丁目街区(東京都千代田区)である。街区は北・中・南の3地区で構成され、民間事業者による「TOKYO CROSS PARK構想」として一体で開発が進む。3地区それぞれにホテル用途を含む建物が計画されている。
テーマの中心となる中地区のセントラルタワーについて、メトロエンジンリサーチが把握する届出は2件ある。先行する届出はNTT都市開発ほかによるもので、地上46階・延床約36.1万㎡・2029年2月完成予定とされていた。直近の届出はNTT都市開発・東京電力パワーグリッドによるもので、地上48階・延床約36.1万㎡・2031年10月末完成予定となっている。NTT都市開発と東京電力パワーグリッドは2025年12月8日に、「NTT日比谷タワー」として2025年12月1日に着工したと公表した。地上48階・地下6階・高さ約230m、延床約36万㎡で、竣工は2031年10月末の予定である。同じ建物の届出が、階数と完成予定を更新しながら続いていることがわかる。本稿の集計では、この建物を最新の届出にもとづき1件(2031年10月完成予定)として数えた。
同じ街区の南地区では、第一生命保険・中央日本土地建物・東京センチュリー・東京電力パワーグリッドほかが、地上46階・延床約29万㎡のサウスタワーを2025年4月に着工した。オフィスを中核に、ホテル・商業施設・ウェルネス促進施設を組み合わせる。事業者は2029年3月の竣工を予定していると発表しており、当社が把握する届出上の完成予定は2029年12月である。北地区では帝国ホテル東京の新本館(地上29階・延床約15万㎡)が計画され、届出上の完成予定は2037年3月だ。帝国ホテルは東京事業所の建て替え期間を2024年度〜2036年度(予定)と公表している。
| 地区・建物 | 主な事業者(届出) | 地上階数 | 延床面積 | 主用途 | 完成予定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 中地区 セントラルタワー(先行届出) | NTT都市開発ほか | 46階 | 約36.1万㎡ | 事務所・商業・ホテル・他 | 2029年2月 |
| 中地区 セントラルタワー(直近届出) | NTT都市開発、東京電力パワーグリッド | 48階 | 約36.1万㎡ | 事務所・店舗・ホテル | 2031年10月 |
| 南地区 A棟(サウスタワー) | 南地区再開発事業 個人施行者 | 45階 | 約28.7万㎡ | オフィス・ホテル・ウェルネス・店舗 | 2029年12月 |
| 北地区(帝国ホテル新本館) | 帝国ホテル、三井不動産 | 29階 | 約15.0万㎡ | ホテル・宴会場等 | 2037年3月 |
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング/国土交通省「建築物動態統計調査」。階数・延床・完成予定は届出記載値で、事業者の公表値(サウスタワー地上46階・2029年3月竣工予定など)と異なる場合がある
南地区のホテルは、客室数や運営ブランドが届出の段階では記載されていない。中地区は届出に客室数100室の記載があり、報道では44〜48階に帝国ホテルとNTT都市開発によるスモールラグジュアリーホテル(100室規模)が開業する予定と伝えられている。延床30万㎡級の複合建物に対し、ホテルはその一部の床にとどまる。したがって延床面積の大きさを、そのままホテル客室の多さと読むことはできない。
内幸町周辺の既存客室ストック — 1km圏に70施設・11,595室
計画地の周辺には、すでにどれだけの客室があるのか。セントラルタワーの計画地を中心に、メトロエンジンリサーチが販売を確認できるホテルを半径別に数えた。半径500m圏で14施設・2,780室、1km圏で70施設・11,595室、1.5km圏で139施設・21,662室、2km圏では236施設・35,504室になる。1km圏は日比谷・有楽町・銀座・新橋・虎ノ門の一部をほぼ含む範囲で、日本でも有数の客室集積地である。
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(内幸町一丁目街区中地区の計画地を中心とする半径別。調査時点以降の宿泊日で販売が確認できる施設、2km圏N=236施設)
1km圏の70施設・11,595室を業態別に見ると、ビジネスホテルが40施設・6,320室で客室の54.5%を占める。デラックスホテルは10施設・2,468室(21.3%)、シティホテルは10施設・2,013室(17.4%)、カプセルホテルは3施設・428室である。施設数ではビジネスホテルが過半だが、半径500m圏に限るとデラックスホテル4施設が1,173室を持ち、客室の42.2%を占める。日比谷公園沿いの一等地ほど、大規模なラグジュアリー・シティホテルが並ぶ構図だ。
| 業態 | 施設数 | 客室数 | 客室構成比 |
|---|---|---|---|
| ビジネスホテル | 40 | 6,320 | 54.5% |
| デラックスホテル | 10 | 2,468 | 21.3% |
| シティホテル | 10 | 2,013 | 17.4% |
| カプセルホテル | 3 | 428 | 3.7% |
| その他(ホステル・リゾート分類等) | 7 | 366 | 3.2% |
| 合計 | 70 | 11,595 | 100.0% |
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(半径1km圏、N=70施設。業態は当社分類)
この1km圏には、2029年以降に完成予定のホテル計画が10件ある。内幸町一丁目街区の3地区に加え、銀座の7件(G7計画、銀座三丁目開発計画、京都新聞銀座8丁目プロジェクト、銀座八丁目ホテル開発事業、木挽ビルホテル計画、銀座二丁目プロジェクト、銀座貿易ビル建替計画)である。2km圏に広げると、京橋三丁目東地区、築地地区まちづくり事業、六本木・虎ノ門地区D街区、日本橋三丁目、丸の内のW350計画が加わり15件になる。下の地図では、青の円が既存ホテル(円の大きさ=客室数)、紺のひし形が2029年以降の計画地を示す。
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング/国土交通省「建築物動態統計調査」(計画地は届出情報にもとづく概略位置。破線は半径1km・2km)
立地条件 — 日比谷の商業地は1㎡2,200万円、容積率900%
内幸町一丁目街区の周辺は、全域が商業地域・防火地域に指定されている。計画地から約200mの地価公示地点「千代田5-25」(有楽町一丁目、日比谷駅から100m)は容積率900%・建蔽率80%で、2026年1月1日時点の公示価格は1㎡あたり2,200万円、前年比+1.4%である。計画地に隣接する「千代田5-46」(内幸町一丁目)は1㎡あたり1,540万円、前年比+2.7%だった。銀座側に入ると上昇率はさらに大きく、銀座五丁目・六丁目・七丁目の地点は前年比+10〜14%となっている。
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(地価公示「千代田5-25」有楽町一丁目)よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成
1㎡2,000万円を超える土地では、ホテル単独の建物で土地代を回収するのは難しい。そのため、この地域の新たなホテル床は、オフィスや商業と一体の超高層複合の中に組み込まれる形をとる。内幸町の中地区・南地区が複合建物の一部としてホテルを計画しているのは、その典型である。容積率の割り増しとホテル床の関係は、既刊『ホテルの容積率緩和で100室が151〜168室に』でも整理している。
運営者が決まっていない計画は、誘致・参入の機会になる
2029年以降の計画の多くは、運営者がまだ公表されていない。22件の複合開発では、届出の主用途に「ホテル」とあっても、客室数・グレード・ブランドは空欄のままの例が大半である。完成が2031年以降の計画は13件あり、それらの多くでは、ホテル床の仕様やコンセプトを固める作業がこれから本格化すると見られる。複合案件のホテル床を誰が発注し、運営者をいつ決めるのかについては、ホテル計画70件、発注者の73%は非ホテル事業者で詳しく分析している。
これは、ホテル運営会社やブランドにとっては参入の余地が大きいことを意味する。完成の5〜6年前の段階であれば、客室の広さ、料飲や宴会の構成、ウェルネスやMICEとの連携といった仕様を、運営側の知見を反映して設計に組み込める。開発事業者にとっても、運営者を早く決めて事業計画に反映させることは、ホテル床の収益見通しを固めるうえで有効だ。内幸町のサウスタワーがウェルネス促進施設とホテルを組み合わせ、築地地区がMICE施設とホテルを組み合わせているように、周辺の用途とホテルを掛け合わせる設計の幅も広い。
既存ストックの側から見ても、機会は読み取れる。内幸町の1km圏では客室の半数以上をビジネスホテルが占め、大規模なラグジュアリー・シティホテルは日比谷公園沿いに集中する。複合開発の上層階に入るホテルが、どの価格帯・客層を担うのか。周辺の既存ホテルと役割を分け合う形で位置付けを決められることは、運営者が未定の段階ならではのアップサイドである。
2029年以降に完成予定のホテル計画一覧(43件)
以下は、メトロエンジンリサーチが把握する範囲で、完成予定日が2029年1月1日以降のホテル計画を建物単位でまとめた一覧である。並びは完成予定の早い順とした。完成予定・階数は届出の記載値であり、確定した開業日を示すものではない。
| 完成予定 | 計画名(届出) | 所在地 | 地上階数 | 主用途区分 | 着工予定日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2029年1月 | (仮称)蔵前駅前ホテルPJ | 東京都台東区蔵前 | 12階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2029年1月 | 品川駅西口地区A地区 | 東京都港区高輪 | 28階 | 複合 | 経過 |
| 2029年1月 | (仮称)浦安市明海5丁目プロジェクト | 千葉県浦安市明海 | 6階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2029年2月 | (仮称)日本橋小網町ホテルプロジェクト | 東京都中央区日本橋小網町 | 13階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2029年2月 | みなとみらい21中央地区60・61街区開発事業 | 横浜市西区みなとみらい | 27階 | 複合 | 経過 |
| 2029年2月 | (仮称)浅草二丁目(伝法院通り) | 東京都台東区浅草 | 8階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2029年2月 | (仮称)オークラリゾート箱根強羅 | 神奈川県箱根町強羅 | 4階 | ホテル主体 | 経過 |
| 2029年3月 | 宇都宮市池上町のホテル計画(ホテル320室) | 栃木県宇都宮市池上町 | 14階 | ホテル主体 | 経過 |
| 2029年3月 | 中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備事業 ※ | 東京都中野区中野 | 60階 | 複合 | 経過 |
| 2029年3月 | (仮称)渋谷区代々木1丁目計画 | 東京都渋谷区代々木 | 14階 | ホテル主体 | 経過 |
| 2029年3月 | (仮称)柳橋1丁目プロジェクト | 東京都台東区柳橋 | 15階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2029年4月 | (仮称)木挽ビルホテル計画 | 東京都中央区銀座 | 12階 | ホテル主体 | 経過 |
| 2029年4月 | (仮称)京都新聞銀座8丁目プロジェクト | 東京都中央区銀座 | 14階 | 複合 | 未到来 |
| 2029年5月 | 旧メトロ会館・旧セントラルホテル建替え(ホテル158室) | 東京都新宿区新宿 | 16階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2029年7月 | (仮称)銀座二丁目プロジェクト | 東京都中央区銀座 | 7階 | ホテル主体 | 経過 |
| 2029年7月 | Shibuya Upper West Project | 東京都渋谷区道玄坂 | 34階 | 複合 | 経過 |
| 2029年8月 | (仮称)G7計画 | 東京都中央区銀座 | 13階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2029年8月 | (仮称)台東区元浅草2丁目計画 | 東京都台東区元浅草 | 13階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2029年9月 | (仮称)新宿318開発計画 | 東京都新宿区新宿 | 12階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2029年10月 | (仮称)銀座三丁目開発計画 | 東京都中央区銀座 | 14階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2029年10月 | JR三ノ宮新駅ビル | 神戸市中央区雲井通 | 30階 | 複合 | 経過 |
| 2029年10月 | (仮称)銀座貿易ビル建替計画 | 東京都中央区銀座 | 14階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2029年12月 | 内幸町一丁目街区南地区 A棟(サウスタワー) | 東京都千代田区内幸町 | 45階 | 複合 | 経過 |
| 2029年12月 | 渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業(B街区) | 東京都渋谷区渋谷 | 41階 | 複合 | 経過 |
| 2029年12月 | 藤沢駅南口市街地再開発事業 | 神奈川県藤沢市南藤沢 | 17階 | 複合 | 未到来 |
| 2030年3月 | (仮称)新宿4丁目PJ | 東京都新宿区新宿 | 13階 | 複合 | 未到来 |
| 2030年3月 | (仮称)コスモスクエア駅前プロジェクト | 大阪市住之江区南港北 | 18階 | 複合 | 経過 |
| 2030年3月 | 北青山三丁目地区 B-1街区 | 東京都港区北青山 | 38階 | 複合 | 経過 |
| 2030年3月 | (仮称)中央区銀座八丁目ホテル開発事業 | 東京都中央区銀座 | 14階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2030年4月 | (仮称)秋葉原万世橋ホテル計画 | 東京都千代田区神田須田町 | 13階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2031年3月 | (仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト | 大阪市中央区難波千日前 | 28階 | 複合 | 未到来 |
| 2031年3月 | (仮称)芝浦一丁目計画 | 東京都港区芝浦 | 47階 | 複合 | 経過 |
| 2031年3月 | (仮称)日本橋三丁目計画 | 東京都中央区日本橋 | 14階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2031年3月 | 六本木・虎ノ門地区D街区 | 東京都港区六本木 | 53階 | 複合 | 経過 |
| 2031年10月 | 内幸町一丁目街区中地区 セントラルタワー | 東京都千代田区内幸町 | 48階 | 複合 | 経過 |
| 2032年4月 | 京橋三丁目東地区第一種市街地再開発事業 | 東京都中央区京橋 | 35階 | 複合 | 未到来 |
| 2032年4月 | 品川駅西口地区B-1-2地区 | 東京都港区高輪 | — | 複合 | 未到来 |
| 2032年5月 | (仮称)北青山三丁目共同ビル開発事業 | 東京都港区北青山 | 14階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2032年12月 | 築地地区まちづくり事業(MICE・ホテル・レジデンス棟、ホテル棟) | 東京都中央区築地 | — | 複合 | 未到来 |
| 2033年3月 | 宇都宮バンバ地区市街地再開発事業(商業施設棟) | 栃木県宇都宮市馬場通り | 12階 | 複合 | 未到来 |
| 2037年3月 | 内幸町一丁目街区北地区(帝国ホテル新本館) | 東京都千代田区内幸町 | 29階 | ホテル主体 | 未到来 |
| 2037年4月 | 横浜駅みなみ東口地区市街地再開発事業 | 横浜市西区高島 | 45階 | 複合 | 未到来 |
| 2041年1月 | (仮称)W350計画 | 東京都千代田区丸の内 | 70階 | 複合 | 未到来 |
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング/国土交通省「建築物動態統計調査」(N=43件・届出94件。メトロエンジンリサーチが把握する範囲。建築計画の届出ベースであり全数ではない)。着工予定日の「経過」は2026年9月23日時点で届出上の着工予定日を過ぎていることを示す。※中野駅新北口は中野区が2026年8月に再整備の新たな枠組みを公表しており、届出上の時期から変わる見込み
よくある質問
Q. 2029年以降に完成するホテル計画は何件ありますか?
メトロエンジンリサーチが把握する範囲で43件(届出94件を建物単位にまとめた値)です。建築計画の届出ベースであり全数ではありません。2030年以降の分は、今後の確認申請で増える見込みです。
Q. どの地域に集中していますか?
東京都が33件(76.7%)で、延床面積では86.0%を占めます。都内では中央区11件(うち銀座7件)、港区6件、千代田区5件の順です。
Q. 内幸町一丁目街区のホテルはいつ完成しますか?
中地区のセントラルタワー(NTT日比谷タワー)は2031年10月末の竣工予定と公表されています。南地区のサウスタワーは事業者発表で2029年3月竣工予定、北地区の帝国ホテル新本館は届出上2037年3月の完成予定です。いずれも予定であり、変わる可能性があります。
まとめ
2029年以降に完成予定のホテル計画は、メトロエンジンリサーチが把握する範囲で43件ある。うち33件が東京都に集まり、銀座・台東の中規模ホテル主体と、港・千代田・渋谷の超高層複合という2つの系統に分かれる。複合開発は着工予定日を過ぎた計画が多く、ホテル主体は2027年前後の着工を控える計画が多い。
代表事例の内幸町一丁目街区では、中地区・南地区・北地区の3棟がそれぞれホテルを計画し、1km圏の既存70施設・11,595室に新たな床が加わっていく。延床36万㎡級のセントラルタワーは、届出の更新とともに完成予定が2031年10月末となった。長期の計画は時期も仕様も動く。だからこそ、運営者やホテル床の中身が決まっていない段階は、運営会社・ブランドにとって誘致と参入の機会でもある。
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参考資料・出典一覧
■ データソース
メトロエンジンリサーチ&コンサルティングが把握する建築計画の届出情報(国土交通省「建築物動態統計調査」などの公表情報をもとに集計)。完成予定日が2029年1月1日以降の届出94件を建物単位で43件にまとめた(2026年9月23日時点)。既存客室ストックは、当社が追跡するホテルのうち調査時点以降の宿泊日で販売が確認できる施設(OTA掲載ベース、内幸町一丁目街区中地区を中心とする半径2km圏N=237施設)。地価は国土交通省 不動産情報ライブラリの地価公示(2024〜2026年)。
■ 試算前提
本稿は収益・利回りの試算を行わず、件数・面積・客室数の集計にとどめる。同一建物に複数の届出がある場合は1件とし、完成予定は最も新しい届出の値を採った。「複合/ホテル主体」は届出の主用途表記による機械的な区分、「着工予定日の経過」は2026年9月23日時点で届出上の着工予定日を過ぎているかどうかの区分である。規模の目安には建物全体の延床面積(ホテル以外の用途を含む)を用い、半径は計画地の概略位置からの直線距離で数えた。
■ 限界・留意点
建築計画の届出ベースであり全数ではない。確認申請は開業の1〜2年前に出ることが多いため、2030年以降の件数は現時点の下限値である。完成予定は工事の遅延・計画変更で前後しうる(中野駅新北口は中野区が計画を見直し中)。客室数・運営者は大半の届出に記載がなく、延床面積の大きさをホテル客室の多さと読むことはできない。既存ストックにはOTAに掲載されていない施設を含まない。
■ 市場データ
- メトロエンジンリサーチ&コンサルティング — ホテル建築計画の集計(2029年1月以降完成予定、N=43件・届出94件)、内幸町一丁目街区周辺の既存客室ストック(半径2km圏N=236施設)
■ 政府統計・公的データ
- 国土交通省「建築着工統計調査・建築物動態統計調査」
- 国土交通省 不動産情報ライブラリ — 地価公示(千代田5-25、千代田5-46ほか、2024〜2026年)
- 中野区「中野駅新北口駅前エリア(区役所・サンプラザ地区)再整備について」
■ 企業の公式リリース・資料
- 第一生命保険ほか「内幸町一丁目街区南地区 サウスタワー着工」(2025年4月3日)
- 帝国ホテル「東京事業所の建て替え期間中における営業継続計画について」(2022年3月25日)
- 日本ハイアット 株式会社「報道資料 2026年4月」(地図中のハイアット系既存ホテルの客室数を照合)
- ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)(地図中のヒルトン系既存ホテルの客室数を照合)
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