東京23区の2022年〜2023年におけるビジネスホテルの施設数・部屋数の推移
メトロエンジンリサーチによると、2022年から2023年の1年間で東京23区のビジネスホテルの施設数・部屋数は年々増加を続けている。施設数は4%の増加、部屋数は4%の増加だった。
施設数は2023年6月時点で974施設となり、1年間で39棟増加。部屋数は2023年6月時点で123,857となり、1年間で5,284部屋増加となっている。
2022年6月 | 2022年9月 | 2022年12月 | 2023年3月 | 2023年6月 | |
施設数 |
935 |
946 |
958 |
966 |
974 |
部屋数 |
118,573 |
120,061 |
121,837 |
122,724 |
123,857 |
出典:メトロエンジンリサーチ
1年間で東京23区のビジネスホテルが5,284部屋増加!台東区の開発と客室数を徹底分析
東京23区のビジネスホテルは、1年間で施設数と部屋数が約4%増加し、その成長を継続していて、東京都のこの1年間でのビジネスホテル用途の開発の需要の高まりを感じさせる。新規•既存のビジネスホテルプレイヤーがコロナ禍の終わりを予測して、急ピッチで開発を進めている印象を受ける。実際に2023年のGWでは東京23区のホテルが供給不足に陥り、宿泊料金が高騰していたことから、今後もビジネスホテルの新規開発の流れは継続していくと予測される。
東京23区の中でも、「港区」「中央区」「台東区」「新宿区」「千代田区」を中心に開発と開業が盛んであり、全体の施設数の61%がこの5つの区で構成されている。今回はその中でもこの1年間で新規開業施設数の30%が集中している「台東区」のビジネスホテル業界の施設数と客室数のデータに焦点を当てて詳しく解説する。
台東区の2022年〜2023年におけるビジネスホテルの施設数・部屋数の推移
メトロエンジンリサーチによると、2022年から2023年の1年間で台東区のビジネスホテルの施設数・部屋数は年々増加を続けている。施設数は6%の増加、部屋数は10%の増加だった。
施設数は2023年6月時点で215施設となり、1年間で12棟増加。部屋数は2023年6月時点で18,633となり、1年間で1,690部屋増加となっている。
2022年6月 | 2022年9月 | 2022年12月 | 2023年3月 | 2023年6月 | |
施設数 |
203 |
208 |
209 |
212 |
215 |
部屋数 |
16,943 |
17,740 |
17,776 |
18,287 |
18,633 |
出典:メトロエンジンリサーチ
台東区のビジネスホテルは、1年間で施設数が6%増加、部屋数10%増加し、その成長を継続している。
2022年6月時点で台東区で営業しているビジネスホテルは203棟であったが、2023年6月現在、12棟が増えて215棟のビジネスホテルが展開されている。これは2022年〜2023年の1年間に23区で新規に開業したビジネスホテルの30%が台東区に集中しているということである。分布図を確認すると主に展開されているのはJR上野駅・京成上野駅の周辺と浅草の浅草寺周辺である。
他の区よりも台東区により多くのビジネスホテルが新規開発されているのは交通の拠点となる「JR上野駅・京成上野駅」と都内屈指の観光スポットである「浅草」を有していることが考えられる。
新幹線や多くのJR線、メトロが交差している上野駅は電車で移動する観光客や出張で来ているビジネスマンの移動の拠点としてのアドバンテージがあることに加え、成田空港から1時間弱で到着できる京成上野駅があることで成田空港から到着する外国人観光客の観光の拠点としての宿泊需要も見込める。
浅草寺周辺は都内でも屈指の観光スポットであり、観光客による大きな宿泊需要があるためビジネスホテルのニーズが高い。
以上の理由から台東区は23区の中でもホテル事業者の中で最も新規施設を開発する上で重要な区であると言える。
2022年〜2023年の東京都と全国の稼働率の比較推移
2022年前半は国内外が新型コロナウイルスのパンデミックと戦っていたこともあり、全国と東京都のビジネスホテル稼働率は50%~55%でともに推移しており、全国と東京都で稼働率の差はあまり見られない。
しかし2022年の10月に訪日外国人の入国制限緩和されたあたりから東京都のビジネスホテル稼働率が全国平均と乖離し始めて上昇を続けている。これは外国人観光客が入国制限緩和のタイミングで日本に旅行で訪れていること、そして旅行中に多くの観光客が東京に滞在することを示している。
2023年3月のデータでは東京都のビジネスホテルの稼働率が80%を超え、コロナ禍の前の2019年の水準まで稼働率を戻している。コロナ禍の前の東京都のビジネスホテルは通年通して80%以上で稼働率が推移していたので、2023年の4月以降の稼働率が80%以上で推移するのであれば、東京都のビジネスホテル業界のコロナ禍の終焉を意味することになるだろう。
約3年間続いたコロナウイルスの影響で多くにホテル事業者が撤退をしたが、今後のビジネスホテルの稼働率データでホテル事業への追い風が吹いてることを感じて、多くのホテル事業者が再度参入を検討する流れが訪れることを感じさせる。
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