施設数・部屋数の推移
メトロエンジンリサーチによると、2019年から2022年の東京23区ビジネスホテルの施設数・部屋数は右肩上がりの増加を続けています。その数、約1.3倍。詳細な施設数は2022年12月時点で961施設(2019年1月時点:743施設)、部屋数は2022年12月時点で122,865室(2019年1月時点:91,535室)となっています。
2019年1月 |
2020年1月 |
2021年1月 |
2022年1月 |
2022年12月 |
|
施設数 |
743 |
816 |
882 |
924 |
961 |
部屋数 |
91,535 |
101,003 |
112,852 |
117,212 |
122,865 |
出典:メトロエンジンリサーチ
ビジネスホテル・ホステルの増加が顕著
メトロエンジンリサーチによると、増加が顕著なカテゴリーはビジネスホテルとホステルです。特に2016年から2022年にかけては、1.5倍と急激な増加をみせています。考えられる要因は、2014年・15年で行われたインドネシア・ベトナム・フィリピン・中国向けの戦略的なビザ要件の緩和によるインバウンド(訪日外国人)の増加です。また、2020年初頭からは貸別荘が急増しています。新型コロナウィルスの流行と時期が重なることから、非対面・非接触という新しい顧客ニーズの影響をデータから読み取ることができます。
コロナ禍の中でも右肩あがりに増加
2020年初頭から宿泊業界は新型コロナウィルスの影響を大きく受けてきましたが、新たな宿泊施設の建設は予定通り進められ、施設数・部屋数ともに右肩上がりの増加を続けています。背景には、宿泊施設の建設計画が2〜3年前から進行していることが挙げられますが、同時にコロナ終息後への期待感をうかがうことができます。その結果が稼働率の推移にどのような影響を与えたのかについては、次の章で考察していきましょう。
稼働率の推移
観光庁が発表する宿泊旅行統計調査によれば、東京23区ビジネスホテルの稼働率は2019年は80%超の推移をみせていましたが、2020年4月以降16%〜40%まで減少しています。このことは、新型コロナウィルスの影響がいかに大きかったのかを如実に示したデータとなっています。
2022年は緩やかな回復傾向
2022年に入り、旅行マインドの緩やかな回復傾向が稼働率の推移からも見てとれます。稼働率は、依然として60%を下回り、2019年の80%を超える稼働率と比較すると物足りない数字に見えてしまいますが、2019年と比較して部屋数が20%増加していることを加味すれば、2019年と同水準の部屋数が稼働したと考えることができます。特に春(4月・5月)以降は、稼働率は安定してきていて、インバウンド(訪日外国人)への入国制限が緩和されていない段階としては、2023年に向けた期待が持てるデータとなっています。
さらなる回復の鍵はインバウンド
2022年10月に入国制限が緩和され、インバウンド(訪日外国人)の本格的な受け入れが始まっています。観光庁の宿泊旅行統計調査では2022年11月以降が未集計のため、正確に未来を予測することは難しいですが、インバウンド(訪日外国人)のリードタイムから考えると、2023年1月以降の稼働率がさらなる回復をみせている可能性は十分に考えられます。今後、徐々に中国のマーケットが戻ってくることへの期待感や、為替が円安で推移していることを加味すれば、2023年は2019年と同水準の稼働率が期待できるといっても過言ではなく、長かったコロナ禍のトンネルを抜ける日が近づいていると感じさせてくれます。
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