新型コロナウイルスの猛威から3年目に突入した2022年。10月から入国制限が撤廃されてマーケットが回復しつつある東京23区のホテル新規展開の状況をお伝えし分析する。
新規開業ホテル分布図
23区別施設数比較
施設数順のトップ5は以下の通りである。
施設数ランキング
1位 |
中央区 | 19施設 |
2位 |
港区 | 17施設 |
3位 |
台東区 | 8施設 |
4位 |
渋谷区 | 5施設 |
5位 |
大田区 | 4施設 |
ランキングから考えられること
中央区と港区に新規開業の約半分が集中している。過去のデータと比較してみてもこの傾向は変わらないため、ホテル需要が高いエリアとしてこの2区は突出していると考えられる。
台東区は今回のデータでは3位の8施設となっているが、2020年のデータでは67施設の新規開業ホテル件数となっており、高い需要が見込まれている人気のエリアとなっている。都内でも有数の観光名所である「浅草」や成田空港からの玄関口である「京成上野」があるため、外国人旅行者が戻ってくるであろう2023年以降は新規開業件数が増えてくることが予想される。
ただ、コロナ前の時期には新規開業が中央区や港区では3桁、他の区でも2桁の開業があったことを考えると2022年の新規開業の数字の低下ぶりが目立つ。
これから本格的にアフターコロナの機運が高まり、消費者の抑圧されていた旅行へのマインドが解放されることをことを考えると、2023年以降はどの区もホテルの新規開業件数のV字回復の可能性もあり得る。
6位以下は下記の表に記載する。
6位 |
新宿区 |
4施設 |
7位 |
北区 |
3施設 |
8位 |
品川区 |
2施設 |
9位 |
墨田区 |
2施設 |
10位 |
江戸川区 |
2施設 |
23区別部屋数比較
施設数順のトップ5は以下の通りである。
部屋数ランキング
1位 |
港区 |
4245部屋 |
2位 |
中央区 |
3199部屋 |
3位 |
大田区 |
2428部屋 |
4位 |
新宿区 |
953部屋 |
5位 |
品川区 |
829部屋 |
ランキングから考えられること
23区全体で新規開業ホテルの部屋数は13,761部屋となっている。
2020年のデータでは部屋数にして31,768室となっているので、当時に比べると18,007部屋ほど新規での開業ホテル部屋数は減少した。
全体的にシュリンクしているが、特に台東区が2020年の開業部屋数に比べて今年度は95%低下しているのが特に目立つ。(2020年 5,834部屋 2022年 295部屋)
施設数1位の中央区だが部屋数では港区より少なく、2位の3199部屋となっている。
中央区はグレードの高い外資系のホテルが東京駅の周りに進出しており、部屋数よりも部屋の広さや質を重視している傾向があるため部屋数としてはそこまで突出していない。
港区は4,245部屋が新規に開業しており、これはアパホテルや相鉄フレッサインなどのビジネスホテルが港区で新規に開業したことが多いだろう。
特にアパホテルは港区エリアでの開発を進めており、港区の新規開業部屋数の数値を大きく押し上げる要因となっている。
新宿区、大田区、品川区は施設件数は少ないが、部屋数ではトップ5に入ってきている。
これは大型ホテルが建設されたことを意味しているだろう。新規開業部屋数のデータで見ると新規開業施設数と比例しないことは注目すべき点だ。
部屋の数=「その区の観光客の新規受け入れの受け皿」であることから部屋数別の比較がより重要な指標の可能性がある。
大型ホテルがその区にもたらす宿泊のビジネスインパクトに注視していきたい。
なお、6位以下は下記の表に記載する。
6位 |
北区 |
414部屋 |
7位 |
墨田区 |
305部屋 |
8位 |
台東区 |
295部屋 |
9位 |
板橋区 |
286部屋 |
10位 |
千代田区 |
248部屋 |
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