東京23区ビジネスホテルの施設数・部屋数の推移
メトロエンジンリサーチによると、2019年から2023年の東京23区のビジネスホテルの施設数・部屋数は年々増加を続けている。施設数は31%の増加、部屋数は35%の増加だった。
詳細な施設数は2023年3月時点で972施設(2019年1月時点:743施設)、部屋数は2023年3月時点で123,747室(2019年1月時点:91,450室)となっている。
2019年1月 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年3月 | |
施設数 |
743 |
815 |
881 |
922 |
972 |
部屋数 |
91,450 |
100,752 |
112,601 |
116,762 |
123,747 |
出典:メトロエンジンリサーチ
東京23区ビジネスホテルの施設数・部屋数の推移について
全体的に東京23区のビジネスホテルの施設数と部屋数は直近4年間で30%ほど増加しており、順調に増加を続けている。
コロナ禍の中でも建設と新規開業は粛々と行われており、アフターコロナのインバウンドの復活や国内需要の高まりをある程度織り込んで各事業者が準備していることがわかる。
23区の中でも「港区」「中央区」「台東区」「新宿区」「千代田区」を中心に開発と開業が行われており、全体の施設数の55%がこの5つの区で行われている。
この中でも1番施設数が多い台東区のデータを詳しく見てみる。
台東区ビジネスホテルの施設数の考察
2019年1月 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年3月 | |
施設数 |
105 |
110 |
118 |
120 |
120 |
出典:メトロエンジンリサーチ
メトロエンジンリサーチによると、2019年から2023年の台東区のビジネスホテル施設数は2023年3月時点で120施設(2019年1月時点:105施設)となっていて、増加率は5年間で14%だった。
上の図は台東区のビジネスホテルの展開されている分布図である。
2019年1月時点で台東区で営業しているビジネスホテルは105棟であったが、現在は120棟のビジネスホテルが展開されている。主に展開されているのはJR上野駅・京成上野駅の周辺と浅草の浅草寺周辺である。
他の区よりも台東区により多くのビジネスホテルが展開されているのは交通の拠点となる「JR上野駅・京成上野駅」と都内屈指の観光スポットである「浅草」を有していることが考えられる。
新幹線や多くのJR線、メトロが交差している上野駅は電車で移動する観光客や出張で来ているビジネスマンの移動の拠点としてのアドバンテージがあることに加え、成田空港から1時間弱で到着できる京成上野駅があることで成田空港から到着する外国人観光客の観光の拠点としての宿泊需要も見込める。
浅草寺周辺は都内でも屈指の観光スポットであり、観光客による大きな宿泊需要があるためビジネスホテルのニーズが高い。
今後観光客数は急激に戻ってくることが予想されているが、以上の理由から台東区は23区の中でもホテル事業者の中で最も新規施設を展開したい区であることが推測される。
東京都と全国の稼働率の比較推移
2019年は日本に来る訪日外国人が過去最多となる3188万2000人ということもあり、全国的にも稼働率は高かったが、東京23区は突出して稼働率が高い。これはインバウンドが確実に東京に滞在すること、国内観光客も東京に地方から流入していたことがわかるデータとなっている。2019年3月は東京のビジネスホテルの平均稼働率が「86.8%」と全国平均「77.2%」と比べて「9.6%」高く推移している。
コロナ前のデータではほぼ全ての月で稼働率が80%以上で推移していることから、東京23区のビジネスホテルの運営はかなり収益の見通しが立ちやすく、多くのビジネスホテル事業者が東京23区でのオープンの計画を進めている。
コロナ禍の期間中は住んでいる人口が多いことから感染者の数も比例して多くなり、日本の中でも厳しく移動が制限されていたので地方からの旅行者が敬遠していたことやほぼインバウンドの入国がなくなったこともあり、全国平均よりも下回って推移していた。
しかし2022年6月のデータでは、東京のビジネスホテル稼働率がが1年半ぶりに全国平均稼働率を上回り、旅行需要の戻りを感じさせている。2023年のデータではおそらく2019年と同じ水準で推移されることが予想されており、東京の高い旅行需要の再来を予感させる。
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