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過去のホテル料金の調べ方|47都道府県ADR一覧と秋の単価 — 2026年9月は全国+4.9%、秋は夏比−1.5%

投稿日 : 2026.11.04

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過去のホテル料金の調べ方|47都道府県ADR一覧と秋の単価 — 2026年9月は全国+4.9%、秋は夏比−1.5%

「過去のホテル料金を調べる」「ホテルのADR一覧が見たい」——運営者やレベニュー担当、投資家が競合やエリアの過去単価を確認しようとすると、意外なほど手段が限られていることに気づく。公的統計は稼働率と宿泊者数を公表するが単価は出さず、業界統計は会員向けか有償であり、OTA等に並ぶ価格は日々書き換わって過去の値が残らない。本稿では、ホテルの過去料金・ADRを調べる手段を「公的統計で分かること・分からないこと」「REIT開示」「OTA掲載価格の時系列」に分けて整理したうえで、メトロエンジンリサーチが集計する47都道府県の推定成約ADR一覧(2026年9月・前年同月比・2025年秋と夏の平均)を掲載する。全国加重平均の2026年9月ADRは¥11,000で前年同月比+4.9%、秋(9〜11月)の単価は2025年実績で夏(7〜8月)比-1.5%・前年秋比+8.7%だった。秋の単価が夏を上回るのはどの県で、下回るのはどこか、まで読み解く。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
Key Takeaways
  • — 2026年9月の全国ADRは¥11,000・前年同月比+4.9%(47都道府県の推定成約ADR中央値を施設数で加重、N=17,136施設)。夏(7〜8月)の前年比-4.2%からプラスに転じ、CPI宿泊料(+5.7%)と方向が揃った。
  • — 秋(9〜11月)の単価は2025年実績で¥11,100、夏比-1.5%・前年秋比+8.7%。県別には京都府+37.0%から沖縄県-20.4%まで開き、都市・紅葉型とリゾート型の2つの型に分かれる。
  • — 公的統計は単価(ADR)を公表しない。過去のホテル料金は、CPI宿泊料(全国の指数)、上場ホテルREITの月次開示(保有物件の実績)、OTA掲載価格の時系列(推定ADR)を組み合わせて確認する。

過去のホテル料金を調べる5つの手段 — 公的統計で分かること・分からないこと

まずは手段の棚卸しから始めたい。ホテルの過去料金を「エリア単位の単価水準」として確認したいとき、使える情報源は大きく5つに分かれる。それぞれ何が分かり、どの粒度で、いつ公表され、どこに限界があるかを下表に整理した。

過去のホテル料金・ADRを調べる5つの手段の比較(分かること・粒度・公表時期・限界)
手段分かること粒度公表時期・ラグ限界
観光庁「宿泊旅行統計調査」延べ宿泊者数(日本人・外国人)、客室稼働率都道府県×施設タイプ×月第1次速報は翌月末(2026年8月分は9月30日)、確定値はさらに後単価(ADR)は公表されない。2026年1月分から層化基準が変わり、前年比に見直しの影響が含まれる可能性がある
総務省「消費者物価指数」宿泊料宿泊料の指数(2020年=100)と前年同月比全国と一部都市×月翌月下旬水準ではなく指数。都道府県別・業態別の値は分からない
観光庁「旅行・観光消費動向調査」旅行1回あたりの宿泊費(1人あたり)全国×四半期、目的別四半期末から約2〜3ヶ月後旅行者側の支出であり、施設の客室単価ではない
上場ホテルREITの月次運営実績物件別・ポートフォリオ別の稼働率・ADR・RevPAR物件×月(7投資法人・国内約300物件)翌月下旬(2026年9月分は10月26〜27日)保有物件に限られ、都道府県の網羅性はない。法人によって開示項目が異なる
OTA掲載価格の時系列(メトロエンジンリサーチ)施設×宿泊日×プランの掲載価格と、そこから推定した成約ADR都道府県・市区町村・業態×月、施設×日確定月は月が閉じた後に確定、進行中の月は週次で更新OTA未掲載の施設は含まない。推定値であり実績ではない(REIT開示との照合で誤差中央値約7%)

出典:各統計の公表資料よりホテルバンク編集部作成

ここで押さえておきたいのは、公的統計の役割分担である。観光庁の宿泊旅行統計調査は「何人泊まったか」「客室の何割が埋まったか」を都道府県・施設タイプ別に示す唯一の全数ベース統計で、2026年8月分(第1次速報)では延べ宿泊者数6,268万人泊(前年同月比−6.7%)、客室稼働率64.4%が公表されている。一方で、この調査は料金を聞いていない。宿泊料の動きを公的に追えるのは総務省の消費者物価指数(CPI)「宿泊料」だけで、2026年9月は172.1(2020年=100)、前年同月(162.9)比で+5.7%だった。ただしCPIは指数であり、「東京のシティホテルが平均いくらか」といった水準は分からない。各資料がいつまで遡れるか(CPI宿泊料は1970年1月、都道府県別の月次ADRは2019年7月)は、過去のホテル料金を調べる方法|CPI宿泊料は1998年、都道府県別は2019年7月から遡れるで整理している。

では施設単位の実績値はどこにあるか。唯一の公開実績はホテルREITの月次開示である。たとえばいちごホテルリート投資法人(3463)は2026年9月の全ポートフォリオでADR¥11,937(前年同月比+16.3%)・稼働率87.2%、インヴィンシブル投資法人(8963)は国内ホテル101物件でADR¥15,461(同+7.6%)・稼働率85.2%を、いずれも10月26日に公表した。実績値として信頼できる反面、対象は各法人の保有物件に限られるため、「自分の県の相場」を知る用途には向かない。

この空白を埋めるのがOTA掲載価格の時系列だ。OTA等に掲載された価格は日々書き換わるため、ある時点で見えるのは「今の値段」だけだが、掲載価格を継続して収集・保存すれば、宿泊日ごとに「何日前にいくらで売られていたか」が復元できる。メトロエンジンリサーチはこの掲載価格に業態別の補正係数を適用して推定成約ADRを算出し、上場REITが開示する物件別実績との照合で精度を確認している(91施設・直近3ヶ月、誤差中央値約7%)。本稿の一覧はこの推定成約ADRを都道府県単位の中央値として集計したものである。

CPI宿泊料と推定成約ADRの前年比は同じ方向を向く — 2026年9月は+5.7%と+4.9%

手段ごとの数字がどの程度整合するかを確かめておくと、使い分けの勘所が掴める。CPI宿泊料の前年同月比と、47都道府県の推定成約ADRを施設数で加重した全国平均の前年同月比を並べたのが下表だ。

CPI宿泊料と推定成約ADR(全国加重平均)の前年同月比(2026年7〜9月)
月CPI宿泊料(2020年=100)CPI前年比推定成約ADR 全国加重平均ADR前年比
2026年7月169.1+2.0%¥10,100-4.4%
2026年8月181.1−0.2%¥11,500-4.1%
2026年9月172.1+5.7%¥11,000+4.9%

出典:総務省「消費者物価指数」(e-Stat、統計表ID 0003427113)/メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(ADRは47都道府県の推定成約ADR中央値を対象施設数で加重、2026年9月 N=17,136施設)

9月はCPIが+5.7%、推定成約ADRが+4.9%と方向も幅も近い。7〜8月はCPIが横ばい〜小幅プラスなのに対し、ADRは4%台のマイナスで乖離が見える。CPIは消費者が実際に支払った宿泊料を全国の価格調査で捉える指数であり、本稿のADRはOTA上の掲載価格から推定した施設側の客室単価であるから、対象も計算方法も異なる。それでも方向が揃う月が多いことは、OTA掲載価格の時系列が「公的統計の単価の空白」を埋める近似として機能していることを示している。逆に乖離した月は、夏の大阪のように特定エリアの大きな変動が加重平均を動かしているケースが多く、都道府県別に分解して読む必要がある。

全国ADRの月次推移 — 秋は9月から11月へ段階的に上がる

都道府県別の一覧に入る前に、全国加重平均の季節パターンを確認しておく。下のチャートは1月から12月を横軸に、2024年・2025年・2026年を重ねたものだ。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(47都道府県の推定成約ADR中央値を対象施設数で加重。2026年10・11月は調査時点の掲載水準に基づく推定)

2025年の実績で見ると、夏のピークは8月の¥12,000で、9月は¥10,400へいったん下がり、10月¥11,000、11月¥12,000と秋が深まるにつれて段階的に上がる。11月は9月より+15.0%高く、紅葉と行楽が重なる月が秋の実質的なピークになっている。秋3ヶ月の平均¥11,100は夏2ヶ月の平均¥11,300をわずかに下回る(-1.5%)ものの、2024年秋の¥10,200に対しては+8.7%と、前年比では夏よりも秋の伸びが大きかった。

2026年に目を移すと、夏(7〜8月)の平均は¥10,800で前年の夏を-4.2%下回った一方、9月は¥11,000と前年同月を+4.9%上回り、プラスに転じている。8月から9月への落ち幅も-5.1%にとどまり、2025年の同じ落ち幅(-13.2%)より小さい。進行中の10月と11月は調査時点の掲載水準に基づく推定であるため前年実績と同列には比較できないが、少なくとも9月時点では「夏に前年割れ、秋に前年超え」という転換が全国平均で観測されている。

47都道府県ADR一覧 — 2026年9月の推定成約ADRと前年同月比、2025年の秋・夏平均

以下が本稿の中核となる一覧である。各都道府県の2026年9月の推定成約ADR(中央値)、2025年9月の同値、前年同月比、2025年の秋(9〜11月)平均と夏(7〜8月)平均、秋が夏に対してどれだけ高いか(秋/夏)、2026年9月の対象施設数を並べた。金額は100円単位に丸めている。2026年9月のADRが高い順に並べた。

47都道府県ADR一覧 — 2026年9月の推定成約ADR(中央値)・前年同月比・2025年秋/夏平均
#都道府県2026年9月 ADR2025年9月 ADR前年同月比2025年秋平均(9〜11月)2025年夏平均(7〜8月)秋/夏対象施設数(2026年9月)
1京都府¥14,200¥14,000+1.1%¥19,400¥14,100+37.0%604
2神奈川県¥14,200¥13,400+5.6%¥14,200¥14,800-3.9%579
3大分県¥14,000¥13,300+5.7%¥14,800¥14,600+0.8%470
4東京都¥13,700¥13,400+1.9%¥15,400¥13,100+16.9%1,139
5静岡県¥13,000¥12,600+3.0%¥13,200¥14,800-10.8%862
6兵庫県¥12,700¥12,400+2.5%¥14,500¥13,400+8.1%547
7石川県¥12,400¥10,900+13.6%¥12,500¥11,400+10.0%242
8愛知県¥12,400¥8,500+45.9%¥9,000¥8,800+2.7%505
9奈良県¥12,300¥12,800-3.6%¥14,500¥12,800+12.7%136
10佐賀県¥12,300¥11,700+5.4%¥12,200¥12,500-2.4%157
11三重県¥12,200¥10,200+20.5%¥11,100¥11,900-6.6%357
12沖縄県¥12,000¥10,900+10.0%¥10,800¥13,500-20.4%515
13長野県¥11,800¥11,400+3.7%¥11,900¥12,400-4.2%818
14群馬県¥11,800¥11,300+4.4%¥12,000¥12,100-0.9%440
15山梨県¥11,700¥10,900+7.4%¥11,600¥12,800-9.0%306
16福岡県¥11,600¥10,600+9.8%¥11,700¥11,200+4.3%477
17岐阜県¥11,500¥10,700+7.0%¥11,900¥11,800+0.4%379
18北海道¥11,500¥11,000+4.5%¥9,900¥12,400-20.2%960
19熊本県¥11,000¥10,100+9.1%¥10,800¥10,800-0.3%404
20栃木県¥10,900¥10,500+4.2%¥11,400¥11,400+0.1%408
21千葉県¥10,700¥9,800+8.8%¥10,100¥10,500-3.8%424
22福井県¥10,200¥9,600+6.5%¥11,100¥11,900-6.6%219
23青森県¥9,900¥7,900+25.7%¥8,000¥9,100-11.4%182
24島根県¥9,700¥9,600+1.4%¥10,700¥10,800-0.2%181
25宮城県¥9,700¥9,000+7.4%¥9,400¥9,800-3.5%297
26広島県¥9,600¥8,400+14.6%¥9,100¥9,300-1.9%301
27和歌山県¥9,400¥9,200+1.8%¥9,500¥10,800-11.2%218
28新潟県¥9,400¥9,000+3.6%¥9,300¥10,600-12.1%418
29大阪府¥9,300¥13,800-32.4%¥13,000¥13,0000.0%655
30山形県¥9,300¥8,700+7.1%¥9,400¥9,500-1.4%290
31岡山県¥9,100¥7,600+19.6%¥8,400¥8,900-6.5%191
32鳥取県¥8,700¥7,800+12.1%¥8,600¥9,000-4.3%152
33富山県¥8,300¥7,700+7.5%¥7,800¥7,900-1.9%168
34香川県¥8,300¥7,700+7.8%¥8,000¥9,400-14.7%163
35滋賀県¥8,300¥9,200-9.7%¥9,100¥8,300+9.9%158
36秋田県¥8,200¥8,100+1.5%¥8,200¥8,600-5.0%173
37高知県¥8,100¥7,500+8.3%¥8,000¥8,200-2.1%120
38長崎県¥8,000¥7,400+7.3%¥7,900¥8,000-1.0%257
39埼玉県¥7,900¥7,800+1.1%¥8,100¥8,000+1.2%216
40福島県¥7,700¥7,300+5.2%¥7,500¥7,700-2.7%445
41岩手県¥7,600¥7,000+8.4%¥7,200¥7,600-5.9%251
42山口県¥7,600¥7,400+2.6%¥7,500¥8,400-10.0%198
43宮崎県¥7,400¥6,500+12.7%¥6,900¥6,800+1.8%169
44愛媛県¥7,100¥6,800+4.5%¥6,900¥6,800+1.5%210
45茨城県¥6,900¥6,800+2.2%¥6,900¥6,900+0.1%314
46鹿児島県¥6,800¥6,500+4.4%¥6,700¥7,000-4.4%320
47徳島県¥6,600¥5,900+11.8%¥6,100¥6,600-7.5%141

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(都道府県単位のADRは対象施設の推定成約ADRの中央値。2026年9月の対象施設数は合計17,136、2025年9月は16,647。金額は100円単位に丸め)

一覧の上位は京都府¥14,200、神奈川県、大分県、東京都¥13,700の順で、首都圏・京都と温泉地の大分が1万4,000円前後の水準に並ぶ。ただし前年同月比の顔ぶれは異なり、47都道府県のうち44県がプラス、前年比の中央値は+5.7%だった。伸び幅が際立つのは愛知県の+45.9%(¥8,500→¥12,400)で、9月19日から10月4日まで開催された第20回アジア競技大会(愛知・名古屋)の会期が9月後半に重なったことが背景にある。青森県の+25.7%も、第80回国民スポーツ大会「青の煌めきあおもり国スポ」の会期前競技が9月3日から13日に実施された影響が読み取れる(本会期は10月10〜20日)。

反対に大きく下げたのが大阪府の-32.4%(¥13,800→¥9,300)である。2025年9月は大阪・関西万博の会期末に向けて需要が集中した月であり、前年同月との比較はその反動を映す。万博前の2024年9月の大阪府は¥9,000だったから、2026年9月は2年前と比べればほぼ同水準に戻ったと読む方が実態に近い。大阪の業態別の読み方は大阪の確定9月、推定成約ADRはビジネス−34.0%・シティ−21.8%で詳述している。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年9月の推定成約ADR中央値の前年同月比、47都道府県)

秋の単価が夏を上回る県・下回る県 — 2025年実績で15県が秋高

一覧の「秋/夏」列を独立して読むと、秋の単価の地域差がはっきりする。2025年の秋(9〜11月)平均が夏(7〜8月)平均を上回ったのは47都道府県中15県で、全国加重平均では-1.5%とほぼ拮抗しているにもかかわらず、県別には+37%から−20%まで幅がある。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2025年秋平均(9〜11月)÷夏平均(7〜8月)−1、上位8県と下位8県)

秋高の筆頭は京都府で、秋平均¥19,400は夏平均¥14,100の+37.0%にあたる。紅葉期の11月が¥24,800まで上がることが効いている。東京都も秋平均¥15,400で夏比+16.9%と、秋の方が高い都市型の典型といえる。奈良県(+12.7%)、石川県(+10.0%)、滋賀県(+9.9%)も秋高の上位に入り、文化観光・紅葉・行楽シーズンの集客が単価に反映される地域群と整理できる。

一方、秋が夏を下回るのは避暑・海のリゾート地が中心だ。北海道は夏平均¥12,400に対し秋平均¥9,900で-20.2%、沖縄県も夏¥13,500から秋¥10,800へ-20.4%と、夏のピークを秋が支えきれない構造が数字に出ている。静岡県、山梨県、新潟県など避暑・海水浴需要の大きい県も秋の方が低い。これらのエリアでは秋はむしろ「冬のピーク(スキー・年末年始)に向けた谷」であり、秋の単価を夏と同じ目線で評価すると、稼働は取れても単価が伸びない月が続くことになる。沖縄の稼働率そのものは沖縄・大阪・横浜のホテル稼働率はいくつかで別途扱っている。

ここまでを整理すると、秋の単価には2つの型がある。ひとつは都市・紅葉型で、9月を底に10月・11月へ上げていく。もうひとつはリゾート型で、8月をピークに秋は下げ基調に入る。全国平均の「秋は夏とほぼ同水準」という数字は、この2つの型が打ち消し合った結果にすぎず、自施設の所在県がどちらの型かを一覧で確認してから、秋の価格設計に入るのが実務上の順番だろう。秋のどの月に単価の山が立つかを県別に9月型・10月型・11月型・平坦型へ分けた整理は、秋のADRはどの月に山が来るか — 47都道府県を9月型/10月型/11月型/平坦型に分類した2026が補完する。

過去料金の時系列をどう使うか — 競合・エリア単価の確認手順

最後に、運営者やレベニュー担当が過去のホテル料金を実務で使う際の手順を、本稿で整理した手段の組み合わせとして示しておきたい。

過去料金の確認目的別に使う手段と見るべき指標
目的使う手段見るべき指標
所在県・市の相場水準を知る本稿の都道府県別ADR一覧、市区町村・業態別の推定成約ADR直近確定月のADRと前年同月比。業態(ビジネス・シティ・リゾート・旅館)で分けて読む
需要の量を確認する観光庁 宿泊旅行統計調査都道府県×施設タイプの客室稼働率と延べ宿泊者数(外国人比率を含む)
価格の方向感を公的指標で裏取りする総務省 CPI 宿泊料前年同月比の符号と幅。本稿のADR前年比と方向が揃うかを見る
実績ベースの参照点を得る上場ホテルREIT 月次運営実績同一県・同一業態の保有物件の稼働率・ADR・RevPAR
特定日の競合価格の推移を見るOTA掲載価格の時系列(宿泊日×リードタイム)同じ宿泊日について何日前にいくらで売られていたか。45日以内の推移に限定して読む

出典:ホテルバンク編集部作成

公的統計で「量」、REIT開示で「実績の参照点」、OTA掲載価格の時系列で「面としての単価」を押さえる、という役割分担が基本線になる。業態別に細かく見たい場合は、ビジネスホテルに絞ったホテルADR一覧 2026年9月|47都道府県ビジネスホテルの掲載・推定成約ADRと前年比が本稿の姉妹編にあたる。市町村単位の単価階層を投資目線で読む例としては長野県ホテル投資マップ2026がある。

まとめ — 全国9月ADRは¥11,000で+4.9%、秋の単価は2つの型で読む

ホテルの過去料金を調べる手段は、公的統計(量と稼働率、ただし単価は非公表)、CPI宿泊料(全国の指数)、REIT月次開示(保有物件の実績)、OTA掲載価格の時系列(面としての推定ADR)に分かれ、それぞれ粒度と限界が異なる。メトロエンジンリサーチの集計では、2026年9月の全国加重平均ADRは¥11,000で前年同月比+4.9%、夏(7〜8月)の-4.2%からプラスに転じた。2025年実績の秋(9〜11月)平均は¥11,100で、夏比-1.5%・前年秋比+8.7%。秋の単価が夏を上回るのは京都・東京を中心とする都市・紅葉型の15県で、北海道・沖縄などリゾート型は秋に下げる。自施設の所在県がどちらの型かを一覧で確かめることが、秋の価格設計の出発点になるといえる。

よくある質問

Q. 過去のホテル料金を無料で調べる公的な方法はありますか。
A. 料金そのものを公表する公的統計はありません。観光庁「宿泊旅行統計調査」は宿泊者数と客室稼働率、総務省「消費者物価指数」は宿泊料の指数までで、水準としての単価は上場ホテルREITの月次開示か、OTA掲載価格の時系列に基づく推定値を参照することになります。

Q. この一覧のADRと自施設の実際の客室単価が違うのはなぜですか。
A. 本稿のADRはOTA上の最安プラン水準に業態別の補正係数を適用した推定成約単価(税抜相当)の都道府県中央値で、直販・法人契約・団体の販売を含まない推定値だからです。

Q. 秋の単価は毎年夏より高くなりますか。
A. 県によります。2025年実績では15県で秋平均が夏平均を上回った一方、北海道・沖縄など避暑・海のリゾート地では秋の方が低く、全国平均では夏比-1.5%とほぼ同水準でした。

⚠ 将来日程のADRに関する注意:本記事のチャートに含まれる2026年10月・11月の値は、調査時点でOTAに公開されている販売価格に基づく推定であり、チェックイン日に近づくにつれて変動する。現時点で高く設定されている価格が直前の価格調整で下落する可能性がある点に留意されたい。本文の前年比・秋夏比較は、すべて月が閉じた確定月(2026年9月まで)の値で算出している。

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参考資料・出典一覧

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