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バウンシー・バイ・リーガ福岡博多117室、初月ADR2.5万円は博多区の1.8倍 — 1km圏2.4万室の価格帯で読む

投稿日 : 2026.10.23

福岡県

投資・開発

バウンシー・バイ・リーガ福岡博多117室、初月ADR2.5万円は博多区の1.8倍 — 1km圏2.4万室の価格帯で読む

ロイヤルホテル(リーガロイヤルホテルズ)が20〜30代向けに立ち上げた新ブランド「バウンシー・バイ・リーガ」の1号店、バウンシー・バイ・リーガ 福岡博多(福岡市博多区祇園町5-1・地上11階・117室)が2026年9月1日に開業し、初月の確定値が出そろった。メトロエンジンリサーチの推定では、同施設の2026年9月の推定成約ADRは¥25,400(30日観測)で、博多区全体の¥14,200(N=151施設)の1.78倍に当たる。フルサービス型の運営会社が、大浴場・サウナ・バーを核にした宿泊特化型の建物で、どの価格帯に入ったのか。本稿では同施設の座標を中心とする半径1km圏(直近3か月に価格観測のある258施設・23,772室)を推定成約ADR帯で分け、新ブランドが置かれた帯の厚み、料飲・浴場の床を単価で回収する条件、既存ブランドとの客層の分け方、博多駅周辺の2028年度までの新規供給を順に読み解く。

本記事における指標の定義

  • ADR(平均客室単価):各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。
  • OCC(稼働率):エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値、REIT月次公表値との整合性検証で概ね数pt 程度の精度を確認済)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なります。
  • 1km圏の客室ストック:施設座標(北緯33.5907・東経130.4130)から半径1km以内にあり、直近3か月(2026年7月15日〜10月15日)に価格観測のある施設を数えた値。開業・閉館の登録状況ではなく価格観測の有無で数え、同一施設は1件として数えている。価格帯の集計は、そのうち推定成約ADRが算出できる業態(ビジネス・シティ・旅館・カプセル)の138施設・22,305室が対象。
  • 成立ADR・必要ADR:本稿の簡易試算値。土地・建設費に対して目標とする純収益(NOI)利回りを満たすために必要な平均客室単価であり、本件の実際の事業条件を示すものではない。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング、株式会社ロイヤルホテル ニュースリリース、国土交通省 不動産情報ライブラリ、ホテルバンク編集部調べ(口コミNLP解析)
初月(2026年9月)推定成約ADR
¥25,398
30日観測・税抜相当
博多区 推定成約ADR(同月)
¥14,241
N=151施設・前年同月比+13.1%
博多区に対する倍率
1.78倍
1km圏138施設中、上位15番目
1km圏 客室ストック
23,772室
258施設・117室は+0.5%
同じ2〜3万円帯
5,496室
31施設・圏内客室の24.6%
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(2026年10月11日時点の集計)
Key Takeaways
  • — 初月ADR¥25,398は博多区の1.78倍:2026年9月の推定成約ADRは博多区¥14,241(N=151施設・前年同月比+13.1%)を大きく上回り、1km圏138施設中で上位15番目に入った。
  • — 2〜3万円帯・31施設5,496室:1km圏客室の24.6%。圏内シティホテル8施設のうち5施設がこの帯にあり、宿泊特化型の建物でシティホテルと同じ価格帯に座った。
  • — 主戦場は1〜2万円帯の61.2%:1〜1.5万円帯と1.5〜2万円帯で圏内客室の約6割。3万円以上は7施設・1,276室(5.7%)と薄い。
  • — 2階の料飲・浴場=客室約13室分:単価で回収ならADR+11.1%、料飲で回収なら1日約28万円。土地込みの必要ADR¥15,191〜19,237に対し初月は+32〜67%。
  • — 新規供給は+約530室(+2.2%):2026〜2028年度に祇園・博多駅前で中規模中心の5施設。10月以降は推定値のため、確定値3か月分がそろう2026年12月が次の確認点。

一次情報の突合 — 117室・収容262名、2階に大浴場とサウナ、62席のバー

まず事実関係を運営会社の一次リリースで固めておく。株式会社ロイヤルホテルは2024年7月19日に「福岡市博多に新コンセプトのホテル開業」として、博多区祇園町5-1に地上11階建て・117室(計画)のホテルを2026年秋に開業すると発表した。この時点でブランド名は未公表だったが、「HOTEL BAR」をテーマに、福岡県内ではリーガロイヤルホテル小倉に続く2軒目になるとしていた。続く2026年1月14日のリリースで名称を「バウンシー・バイ・リーガ 福岡博多(BOUNCEE by RIHGA Fukuoka Hakata)」、開業日を2026年9月1日(火)と確定し、翌15日10時から予約を開始している。

客室の内訳は、ツイン18㎡が90室、ツイン27㎡が3室、ダブル18㎡が22室、ユニバーサルルーム27㎡が2室の計117室・収容262名で、一部客室は最大4名まで泊まれる。ベッド下にスーツケースが収まる収納とシャワーブースのみの浴室で、18㎡の中にリビングスペースを確保する設計といえる。2階には大浴場(サウナ・水風呂付き)とレストラン&バー1店舗(テーブル・テラス・カウンター計62席)を置き、朝は地元食材の朝食、夜はバータイムとして営業する。トラベルボイス(2026年8月27日)が伝えた「マスターバーテンダー監修の国酒カクテルと博多の料理のペアリング」は、この2階店舗の中身である。建物の所有者・賃貸借の形はいずれの一次情報にも記載がなく、本稿でも推定しない。

ブランドの位置づけについては、同社が2025年5月に20〜30代を狙う新カテゴリー「X(エックス)カテゴリー」を設け、「アンカード・バイ・リーガ」(1号店は大阪なんば・2026年4月開業予定)と「バウンシー・バイ・リーガ」の2ブランドを展開すると報じられている(TRAICY 2025年5月31日)。前者は大浴場・サウナとパブ営業のレストランで「回復」を、後者は音楽と食のエンターテインメントで「遊ぶ・感じる・つながる」を打ち出す構成になる。フルサービス型のリーガロイヤルホテルとは明確に別のカテゴリーであり、同社がフルサービスの料飲・バーテンディングの知見を、宿泊特化型の床構成に移植した1号店と読める。

博多区の推定成約ADRと初月の位置 — ¥14,200の区に¥25,400で入った

では、その1号店は初月にどの水準で売れたのか。メトロエンジンリサーチの推定成約ADRは、同施設の2026年9月(30日観測)で¥25,400だった。同じ月の博多区は¥14,200(N=151施設)で、前年同月の¥12,600から+13.1%の伸びを示している。区の水準は2025年10〜12月に¥14,000〜15,800へ上がり、2026年6〜8月に¥12,800〜13,500へ下がる季節性を持つので、9月は年間で見れば中位の月に当たる。その中位の月に区の1.78倍で入った、というのが初月の位置である。なお福岡のADRが2026年に入ってシティとビジネスで伸びに差が出ている経緯は、福岡のADRはシティ+6.2%・ビジネス+2.2%へ分岐が確定値ベースで整理している。

ただし、開業初月の単価は開業記念プランや露出の増減で上下しうる。同社は「BOUNCEE First Stay」という開業記念プラン(宿泊期間2026年9月1日〜2027年1月31日)を1月から販売しており、初月の数値にはその影響も含まれる。1か月だけで水準を断定せず、確定値は9月のみ、10月以降は現時点推定として別表に分けて示す。

図1:博多区の推定成約ADR 月次推移(確定月のみ・2025年7月〜2026年9月)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(博多区・N=142〜151施設/月・税抜相当の推定値。2026年10月以降の現時点推定は含めていない)

需給の側も確認しておく。2026年9月の博多区の稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)は、対象141施設/客室13,035室(主要予約サイト掲載ベース)で91.8%、うちビジネスホテル75施設/11,589室では92.6%だった。区の在庫が9割超で消化される月に、区の中央値の1.8倍で117室を売り始めたことになる。価格を抑えて稼働を取りに行く開業ではなく、最初から価格帯を宣言する開業だったと読める。

博多区の推定稼働率(2026年9月・OTA掲載在庫ベース)
博多区・2026年9月対象施設数対象客室数稼働率(推定)
全施設14113,03591.8%
ビジネスホテル7511,58992.6%
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(主要予約サイト掲載ベースの推定。シティ・リゾート・旅館は対象施設が5未満のため非表示)

10月以降の月は、調査時点(2026年10月11日集計)の掲載水準からの推定である。同施設は10月¥30,700、11月¥34,900、12月¥29,200と秋の行楽期に区の1.6〜1.9倍、年明けの1〜3月は¥22,800〜26,300で1.4〜1.6倍の推定になる。倍率が月によって動くこと自体が、まだ水準が固まっていないことを示している。

同施設と博多区の推定成約ADR(2026年10月〜2027年3月・現時点推定)
月(現時点推定)同施設 推定成約ADR博多区 推定成約ADR倍率
2026年10月¥30,708¥18,3181.68倍
2026年11月¥34,910¥18,8921.85倍
2026年12月¥29,198¥17,7701.64倍
2027年1月¥22,793¥14,8371.54倍
2027年2月¥26,341¥16,9051.56倍
2027年3月¥23,152¥16,5401.40倍
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(2026年10月11日時点の掲載水準に基づく推定。確定値ではなく、9月の確定値と直接比較しない)

1km圏23,772室の価格帯マップ — 新ブランドは「2〜3万円帯」31施設5,496室に入った

次に、周辺の価格帯のどこに入ったかを施設数と客室数で数える。同施設の座標から半径1km(中洲・キャナルシティ・博多駅博多口側を含む)には、直近3か月に価格観測のある施設が258施設・23,772室あり、117室はその0.5%に当たる。このうち推定成約ADRを算出できる業態の138施設・22,305室を、2026年9月の推定成約ADRで5つの帯に分けた。

1km圏の推定成約ADR帯別 施設数・客室数(2026年9月)
推定成約ADR帯(2026年9月)施設数客室数客室シェアうちシティホテルうち200室以上
〜1万円151,8898.5%03
1〜1.5万円507,06831.7%013
1.5〜2万円356,57629.5%116
2〜3万円315,49624.6%515
3万円〜71,2765.7%24
合計13822,305100%851
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(半径1km・直近3か月に価格観測のある施設のうち推定成約ADRを算出できる138施設。業態はホテルマスターの分類)
図2:1km圏の推定成約ADR帯別 施設数・客室数(2026年9月)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(N=138施設・22,305室)

圏内で最も厚いのは1〜1.5万円帯(50施設・7,068室・客室シェア31.7%)で、1.5〜2万円帯(35施設・6,576室・29.5%)が続く。この2つの帯で客室の6割を占め、博多駅周辺の宿泊特化型の主戦場がここにあることが分かる。新ブランドが入った2〜3万円帯は31施設・5,496室で客室シェア24.6%、帯の中央値は¥23,000である。帯の内訳を見ると、ビジネスホテル26施設に加えてシティホテル5施設が含まれ、圏内のシティホテル8施設のうち5施設がこの帯にいる。つまり宿泊特化型の建物でありながら、価格ではフルサービス型のシティホテルと同じ帯に座った、というのが初月のポジションになる。

同じ帯の中で客室規模が近い施設を拾うと、100〜160室のビジネスホテルが同施設を含めて7施設ある。大浴場を持つ施設、駅至近の施設、改装後にプレミアム化した施設が混在する帯であり、「大浴場・サウナ・バーを備えた18㎡ツイン主体の117室」という仕様は、この帯の中で十分に差別化の余地を持つ。その上の3万円以上の帯は7施設・1,276室(客室シェア5.7%)と薄く、圏内で3万円以上の単価が付く施設の数は限られる。

図3:客室規模 × 推定成約ADR ポジショニングマップ(1km圏138施設・2026年9月)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(N=138施設。グランド ハイアット 福岡の客室数は日本ハイアット「報道資料 2026年4月」の378室を採用)

散布図では、同施設(117室・¥25,400)の周囲に同規模・同価格帯の施設が並び、右上(300室超かつ3万円超)には施設がほとんどないことが見て取れる。圏内で大規模かつ高単価の領域が薄いのは、博多駅周辺の供給が200〜500室級のビジネスホテルで積み上がってきた経緯の反映で、2〜3万円帯の中規模という同施設の置き方は、既存の厚い帯を避けつつ上の薄い帯には踏み込まない位置といえる。

同施設の推定成約ADR ±10%に並ぶ1km圏の施設(2026年9月)
同施設の推定成約ADR ±10%に並ぶ施設(2026年9月)客室数推定成約ADR業態
東急ステイ福岡天神252室¥26,395ビジネス
The OneFive Villa Fukuoka50室¥25,728ビジネス
バウンシー・バイ・リーガ 福岡博多117室¥25,398シティ
The OneFive Terrace Fukuoka82室¥25,361ビジネス
Asuite Hakata by ASUMIRU13室¥25,021ビジネス
ダイワロイネットホテル博多冷泉 PREMIER139室¥24,978ビジネス
ホテルオークラ福岡264室¥24,807シティ
JR九州ホテル ブラッサム博多中央247室¥24,625ビジネス
ホテル グレートモーニング25室¥24,437ビジネス
ホテルフォルツァ博多駅筑紫口II160室¥23,942ビジネス
KOKO HOTEL Premier 博多120室¥23,038ビジネス
博多エクセルホテル東急308室¥22,874ビジネス
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(¥22,858〜27,938の範囲・12施設。客室数はホテルマスター登録値)
図4:1km圏の施設分布(円の大きさ=客室数、色=推定成約ADR帯)
出典: メトロエンジンリサーチ&コンサルティング
立地概要
所在地: 福岡市博多区祇園町5-1
アクセス: 地下鉄七隈線 櫛田神社前駅5番出口 徒歩約1分/空港線 祇園駅5番出口 徒歩約5分/JR博多駅博多口 徒歩約10分
用途地域: 商業地域(周辺の地価公示地点の指定容積率は500〜600%)
出典: 株式会社ロイヤルホテル リリース(2026年1月14日)、国土交通省 不動産情報ライブラリ(用途地域・地価公示2026年)
公示地価(2026年・1km圏の商業地13地点)
圏内中央値
¥3,220,000/㎡
前年比中央値+9.6%
最寄地点(約110m)
¥4,920,000/㎡
前年比+2.3%・容積率600%
出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ(地価公示2026年)よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成。圏内13地点の範囲は¥1,490,000〜8,180,000/㎡

料飲・浴場の床をどう回収するか — 2階1フロア分は「客室13室」か「1日28万円」か

フルサービス型の運営会社が宿泊特化型を作るとき、最も設計上の判断が要るのが「料飲・浴場の床を客室の床からどれだけ削るか」である。同施設は11階建てで、2階を大浴場とレストラン&バーに充てている。延床面積と敷地面積は公表されていないため、ここでは客室階9フロア(3〜11階)に117室を均等に置くと1フロア13室、18㎡の客室13室に廊下・設備スペースを加えて1フロア約330㎡という前提を置く。この前提なら、2階の料飲・浴場は延床の約9%、客室に換算すれば約13室分の床に相当する。

この13室分を単価で回収するなら、117室で130室と同じ客室売上を上げる必要があり、必要なADRの上乗せは+11.1%になる。初月の¥25,400に当てはめると¥28,200である。一方、料飲・浴場の売上で回収するなら、ADR¥25,400・稼働85%の前提で年間約1億円、1日あたり約28万円の料飲・浴場売上が要る。62席のバーなら1.5回転・客単価¥3,000でほぼ届く水準であり、国酒カクテルと博多料理のペアリングを「宿泊客以外も取り込む2階」として設計した意味はここにある。

2階の料飲・浴場フロアを客室13室に置き換えた場合の客室売上差(簡易試算)
前提ADR117室の年間客室売上130室なら差(13室分)1日あたり単価で回収する場合のADR
ADR ¥20,000¥726百万円¥807百万円¥81百万円¥221千円¥22,222
ADR ¥25,398¥922百万円¥1,024百万円¥102百万円¥281千円¥28,220
ADR ¥30,000¥1,089百万円¥1,210百万円¥121百万円¥332千円¥33,333
試算:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(稼働85%・365日・2階を客室13室に置き換えた場合との比較。延床・敷地は非公表のため本稿の仮定)

次に、建設費に対する必要ADRを見る。既報「ホテル建設費は1室870万〜7,140万円」で示したとおり、国土交通省「建築動態統計調査(建築着工統計調査)」の2024年RC造単価をもとにすると、宿泊特化型の1室あたり建設費は約870万円(客室原単位16.5㎡・土地代を含まない建物本体)である。これを㎡単価に戻すと約52.7万円/㎡になる。同施設のような18㎡ツイン主体で料飲・浴場フロアを持つ構成は、客室原単位が約31㎡(上記の前提で延床約3,630㎡÷117室)と宿泊特化型の標準より大きく、建物本体で1室約1,630万円の目安になる。18㎡の客室そのものが13㎡級のシングル主体より広いことが原単位を押し上げる主因であり、料飲・浴場フロアの寄与は1室あたり約150万円にとどまる。

土地を加えると、容積率600%で延床3,630㎡を建てるのに要する敷地は約605㎡で、最寄の地価公示地点(¥4,920,000/㎡)で評価すれば約29.8億円、1室あたり約2,540万円、圏内中央値(¥3,220,000/㎡)なら約19.5億円、1室あたり約1,670万円になる。NOI利回り5%・稼働85%・NOI率35%(宿泊特化型のGOP率40〜50%からFF&E積立等を控除した保守値)を置くと、必要ADRは建物のみで約¥7,500、土地込みで¥15,200〜19,200と試算できる。初月の¥25,400はこの範囲を32〜67%上回っており、2〜3万円帯で売れ続けるなら、料飲・浴場フロアの床は十分に単価で回収できる計算になる。

1室あたり投資額と必要ADR(簡易試算)
ケース(簡易試算)1室あたり投資額NOI利回り稼働率必要ADR初月¥25,398との差
建物のみ(土地代除く)16百万円5%85%¥7,524+238%
土地込み・圏内中央値地価33百万円5%85%¥15,191+67%
土地込み・最寄地点地価42百万円5%85%¥19,237+32%
土地込み・最寄地点地価・利回り6%42百万円6%85%¥23,084+10%
土地込み・最寄地点地価・稼働80%42百万円5%80%¥20,439+24%
試算:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(建物本体1,634万円/室=52.7万円/㎡×31㎡、NOI率35%。本件の実際の事業条件・建物所有者の投資額を示すものではない)

繰り返しになるが、これは延床・敷地・所有形態が公表されていない中での簡易試算であり、実際の投資判断には詳細なフィージビリティ・スタディが必要である。ただ、博多駅周辺の宿泊特化型が1〜2万円帯に厚く積み上がっている中で、料飲・浴場を持つ中規模の2〜3万円帯は、建設費の上昇局面でも必要ADRに対する余裕が取りやすい構成だという示唆は残る。

既存ブランドとの客層の分け方 — リーガロイヤル主要館は「レジャー7〜9割・家族」、新ブランドは「20〜30代の友人・カップル」

フルサービス型の運営会社が別ブランドを作る意味は、既存ブランドの客層と重ならない需要を取りに行くことにある。既存のリーガロイヤルホテル各館の客層を、ホテルバンク編集部が集計した宿泊者口コミ(直近24か月)のうち旅行目的が分かるものの構成比で見ると、出張の比率は小倉31.3%、広島19.5%、京都9.7%、沖縄9.5%と、いずれもレジャーが7〜9割を占める。同じ集計で客層の内訳が分かる口コミでは、家族旅行の件数が一人旅を上回る館が多く、リーガロイヤルホテル京都では家族56件に対して一人旅13件、友人グループ7件だった。

リーガロイヤルホテルグループ既存館の旅行目的構成(口コミ・直近24か月)
リーガロイヤルホテルグループ既存館旅行目的が分かる口コミ件数出張レジャー
リーガロイヤルホテル小倉30031.3%68.7%
リーガロイヤルホテル広島52919.5%80.5%
リーガロイヤルホテル京都4839.7%90.3%
リーガロイヤルホテル東京12726.0%74.0%
リーガプレイス肥後橋16134.8%65.2%
リーガホテルゼスト高松21517.7%82.3%
リーガロイヤルグラン沖縄2109.5%90.5%
リーガロイヤルホテル新居浜5147.1%52.9%
出典:ホテルバンク編集部調べ(宿泊者口コミ・直近24か月・旅行目的を申告した件数ベース)

口コミの文中で滞在目的に触れた比率(NLP解析)でも、リーガロイヤルホテル小倉では出張3.8%、長期滞在3.1%、家族3.0%(N=1,750件)と、出張と家族が並ぶ。既存ブランドの軸が「家族・記念日・出張の上客」にあるのに対して、バウンシーは18㎡ツイン主体・一部4名まで・2階のバーという仕様で、20〜30代の友人同士やカップルの「夜を楽しむ滞在」を取りに行く。客室の広さを売るのではなく、2階の体験と大浴場・サウナに価値を置く構成であり、既存館の客層と食い合わない設計といえる。

開業から1か月半の同施設の口コミはまだ33件(うち日本語26件)と少ないが、言及が多い順に清潔感21.2%、駅近・交通の便18.2%、客室の広さ・新しさ/改装感・スタッフ対応・食事が各15.2%で、客室の広さ(5件)が「狭い」とする否定的な言及だったほかは、いずれも肯定的な言及だった(ホテルバンク編集部調べ・NLP解析)。初期の評価が清潔感と立地から立ち上がるのは新築の宿泊特化型に共通する型で、2階の料飲・バーの評価が言及の上位に入ってくるかどうかが、ブランドの核が伝わっているかを測る指標になるだろう。

図5:リーガロイヤルホテルグループ既存館の旅行目的構成(口コミ・直近24か月)
出典:ホテルバンク編集部調べ(旅行目的を申告した口コミ件数の構成比。N=51〜529件/館)

博多駅周辺の新規供給 — 2026〜2028年度に祇園・博多駅前で+約530室

最後に、同施設が入った帯の厚みが今後どう変わるかを供給側から確認する。メトロエンジンリサーチが掲載確認ベースで把握する2026年の福岡県の新規開業(30室以上)は14施設で、博多区では同施設のほかKOKO HOTEL Premier 博多(120室)、スマートプレイスイン博多祇園(47室)が含まれる。これに各社リリースの計画を加えると、祇園・博多駅前では2027年2月予定の&Here FUKUOKA HAKATA(98室)、2028年度予定の(仮称)博多駅前3丁目ホテル(JR九州系・約150室)が続く。なお、祇園駅徒歩3分のスカイハートホテル博多(159室)は2026年10月29日に日和ホテルFlex博多(157室)へリブランドする予定で、客室の純増ではないが同じ商圏の競合として表に併記した。博多・天神を含む福岡市全体の2026〜2028年の供給計画は、福岡・博多/天神の客室供給2026-2028が天神ビッグバン後の受け皿という観点でまとめている。

祇園・博多駅前の新規供給とリブランド(2026〜2028年度)
施設立地客室数開業時期根拠
バウンシー・バイ・リーガ 福岡博多祇園町1172026年9月1日(開業済)ロイヤルホテル 2026年1月14日リリース
スマートプレイスイン博多祇園祇園472026年(掲載確認)メトロエンジンリサーチ(掲載確認ベース)
KOKO HOTEL Premier 博多博多駅周辺1202026年(掲載確認)メトロエンジンリサーチ(掲載確認ベース)
日和ホテルFlex博多祇園駅徒歩3分1572026年10月29日(スカイハートホテル博多からリブランド予定)運営会社リリース(PR TIMES)
&Here FUKUOKA HAKATA博多・祇園982027年2月(予定)メトロエンジンリサーチ(掲載確認ベース)・既報
(仮称)博多駅前3丁目ホテル(JR九州系)博多駅前3丁目約1502028年度(予定)JR九州ホテルズ 2025年6月発表
出典: メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(OTA掲載確認ベース、2026年 福岡県30室以上 N=14施設)/各社ニュースリリース。※掲載確認ベースの件数は開業の数か月前から出るため、直近以降の月は今後の掲載で増加する可能性がある

日和ホテルFlex博多は既存のスカイハートホテル博多のリブランドで客室の純増にはならないため、これを除く5施設で合計約530室、1km圏23,772室に対して+2.2%の規模であり、しかも中規模(47〜150室)の宿泊特化型が中心である。日和ホテルFlex博多は「楽しいホテル」を掲げるエンターテインメント志向の157室で、同施設と最も近い客層を狙うと見られる。2〜3万円帯に入る施設が増えれば帯は厚くなり、同施設にとっては2階の料飲・浴場の体験で価格帯を守れるかが問われる。一方、この帯に競合が増えること自体は、博多駅周辺で「1〜2万円帯の上」に需要があることの裏付けでもあり、2号店以降の展開を考える同社にとっては市場の確認材料になる。

投資・開発の論点 — 感度と機会

本稿の簡易試算に感度をかけると、ADRが−10%(¥22,900)でも2〜3万円帯の下限に残り、必要ADRの上限¥19,200に対する余裕は+19%ある。稼働が85%から80%に下がると必要ADRは¥20,400へ上がるが、それでも初月の水準は+24%上回る。両方が同時に起きた場合の余裕は+12%で、ここが簡易試算上の目安になる。もちろん初月の¥25,400は開業記念の販促を含む1か月の値であり、秋の行楽期の現時点推定(10〜12月¥29,200〜34,900)がそのまま確定する保証はない。確定値が3か月分そろう2026年12月の集計で、同じ帯に残っているかを再確認するのが順当である。

必要ADRに対する余裕度の感度(簡易試算・土地込み最寄地点地価ケース)
感度(簡易試算・土地込み最寄地点地価ケース)ベースADR −10%稼働 −5pt両方
想定ADR¥25,398¥22,858¥25,398¥22,858
必要ADR¥19,200¥19,200¥20,400¥20,400
余裕度+32%+19%+24%+12%
試算:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(NOI利回り5%・NOI率35%。本件の実際の事業条件を示すものではない)

ADR×稼働の2軸感度 — 余裕度がマイナスになるのはADR−20%と稼働80%以下が重なるとき

上の4ケースを、ADR(初月¥25,398を中心に±20%)と稼働の前提(75〜90%)の2軸に広げた。各セルは土地込み・最寄地点地価ケースの必要ADRに対する余裕度である。25マスのうちマイナスになるのはADR−20%(¥20,318)で稼働の前提が80%以下の2マスだけで、ADRが−10%の¥22,858までなら稼働75%でも必要ADR¥21,802を上回る。開業初月の水準から2割下がり、かつ稼働も落ちる組み合わせが、簡易試算上の警戒ラインになる。

必要ADRに対する余裕度のADR×稼働2軸感度(簡易試算・土地込み最寄地点地価ケース)
想定ADR \ 稼働(前提)稼働(前提)75%稼働(前提)80%稼働(前提)85%稼働(前提)90%
必要ADR¥21,802¥20,439¥19,237¥18,168
¥20,318(-20%)-7%-1%+6%+12%
¥22,858(-10%)+5%+12%+19%+26%
¥25,398(ベース)+16%+24%+32%+40%
¥27,938(+10%)+28%+37%+45%+54%
¥30,478(+20%)+40%+49%+58%+68%
試算:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(1室あたり投資額約4,174万円=建物1,634万円+土地2,540万円、NOI利回り5%・NOI率35%・365日。赤字はマイナス。本件の実際の事業条件を示すものではない)

開発側の読者にとっての機会は3つに整理できる。第一に、博多駅1km圏では1〜2万円帯に客室の6割が集中しており、料飲・浴場を持つ中規模の2〜3万円帯は相対的に薄い。第二に、18㎡ツイン主体の客室原単位は宿泊特化型の標準より大きいが、2名利用で単価を取る前提なら1室あたりの必要ADRは土地込みでも2万円を下回る試算になる。第三に、フルサービス型の運営会社が持つバーテンディングや料理のノウハウは、宿泊特化型の2階1フロアに凝縮しても客層の差別化に使える。2026年12月に3か月分の確定値がそろった時点で、帯の中での位置と料飲の評価の立ち上がりを改めて読む価値がある。

まとめ

バウンシー・バイ・リーガ 福岡博多は、開業初月の2026年9月に推定成約ADR¥25,400で、博多区¥14,200の1.78倍、1km圏138施設中で上位15番目に入った。価格帯では2〜3万円帯(31施設・5,496室・客室シェア24.6%)に位置し、圏内のシティホテル8施設のうち5施設と同じ帯に、宿泊特化型の建物で座ったことになる。2階の料飲・浴場フロアは客室13室分に相当し、単価で回収するなら+11%、料飲で回収するなら1日約28万円が目安で、土地込みの必要ADR¥15,200〜19,200に対して初月の水準は32〜67%の余裕を持つ。既存のリーガロイヤル主要館がレジャー7〜9割・家族中心であるのに対して、新ブランドは20〜30代の友人・カップルの夜の滞在を狙い、客層の重なりは小さい。2026〜2028年度に祇園・博多駅前で約530室の中規模供給が続くなかで、3か月分の確定値がそろう12月が次の確認点になる。

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⚠ 将来日程のADRに関する注意:本記事の2026年10月以降の推定成約ADRは、調査時点(2026年10月11日集計)にOTA上で公開されている販売価格に基づく推定であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。現時点で高く設定されている価格が直前の価格調整で下落する可能性がある点にご留意ください。確定値は2026年9月分までです。

参考資料・出典一覧

■ データソース

推定成約ADR(OTA公開の最安プラン水準に業態別補正を適用した税抜相当の推定値)を施設別・月次で集計。博多区は区内N=142〜151施設/月の中央値、1km圏は直近3か月(2026年7月15日〜10月15日)に価格観測のある258施設・23,772室のうち、推定成約ADRを算出できる138施設・22,305室。稼働はOTA掲載在庫の消化に基づく推定(2026年9月・博多区N=141施設)。地価は国土交通省 地価公示(2026年)の1km圏商業地13地点、客室構成・開業日は運営会社リリース、客層は宿泊者口コミ(直近24か月)。

■ 試算前提

延床・敷地が非公表のため、客室階9フロア×13室・1フロア約330㎡(延床約3,630㎡、客室原単位約31㎡)を仮定。建物本体は52.7万円/㎡×31㎡=約1,634万円/室、敷地は容積率600%で約605㎡とし、地価は最寄地点(¥4,920,000/㎡)と圏内中央値(¥3,220,000/㎡)の2ケース。NOI利回り5%(感度6%)、NOI率35%、稼働の前提85%(感度75〜90%)、365日営業。

■ 限界・留意点

初月の値は1か月の観測で、開業記念プラン「BOUNCEE First Stay」の影響を含む。2026年10月以降の値は10月11日時点の掲載水準に基づく推定で、確定値ではない。必要ADR・余裕度は簡易試算であり、本件の実際の事業条件や建物所有者の投資額を示すものではない。稼働はOTA掲載在庫ベースの推定で、施設全体の実稼働とは異なる。新規開業の件数は掲載確認ベースのため、今後の掲載で増える可能性がある。

■ 一次情報(運営会社・報道)

■ 市場データ・公的データ

  • メトロエンジンリサーチ&コンサルティング — 推定成約ADR(博多区 N=151施設、1km圏 N=138施設)、稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定、博多区 N=141施設/13,035室)、新規開業(OTA掲載確認ベース、福岡県2026年 N=14施設)
  • 国土交通省 不動産情報ライブラリ — 地価公示(2026年)・用途地域
  • 国土交通省「建築動態統計調査(建築着工統計調査)」— 宿泊業用建築物の2024年RC造単価(既報「ホテル建設費は1室870万〜7,140万円」の集計を参照)
  • ホテルバンク編集部調べ — 宿泊者口コミ(直近24か月)の旅行目的構成・NLP解析による滞在目的の言及比率(N=51〜3,483件/館)
  • 日本ハイアット 株式会社「報道資料 2026年4月」— グランド ハイアット 福岡の客室数(378室)

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