
水上温泉郷(群馬県みなかみ町)はツキノワグマの生息域で、出没情報は毎年出ている。ただし2026年秋の時点で、県が公表する人身被害は県全体で2件(桐生市・みどり市、いずれも山林内)で、みなかみ町の温泉街で起きたものではない。水上温泉・宝川温泉の宿は通常どおり営業している。宝川温泉 汪泉閣で長く飼育されていた熊については、2019年に檻が撤去されたという取材記録があり、公式サイトにも現在は飼育に関する記載がない。確実なところは宿に直接確認するのが早い。この記事では、出没情報の確認先、温泉街の宿と山あいの一軒宿の違い、宿に聞いておくべきこと、そして2026年秋〜冬の掲載価格を、泊まる人が行動できる順に並べる。
- — 人身被害は県内2件:2026年度(10月16日更新時点)に群馬県が公表した人身被害は桐生市・みどり市の山林内の2件で、みなかみ町の温泉街ではない。
- — 出没件数は前年度同期の約1.4倍:2026年4〜9月の県内の目撃・出没は703件で、前年度同期の510件を上回る。前年度は10月に519件と秋に急増した。
- — 汪泉閣の飼育熊は2019年に檻撤去の記録:2026年10月時点の公式サイトにも飼育の記載はない。確実なところは宿に確認する。
- — 山あいの一軒宿は屋外動線を確認:露天風呂へ向かう夜間の通路、送迎、熊鈴の貸し出し、直近の出没の有無を予約時に聞いておく。
- — 掲載価格は前年比+27.0%:みなかみ町の10月宿泊分は1室2名で平均約40,300円(掲載42軒)、11月分は約42,200円(+39.1%)。
水上温泉・宝川温泉に熊は出る? 2026年秋の出没状況
結論から言えば「出る地域ではあるが、温泉街で日常的に遭遇するものではない」。群馬県自然環境課の「ツキノワグマ情報について」(2026年10月16日更新)によると、2026年度(令和8年度)の県内の目撃・出没件数は4月29件、5月113件、6月215件、7月171件、8月105件、9月70件で、4〜9月の合計は703件。人身被害は6月29日の桐生市(鳴神山山頂付近・登山中)と8月13日のみどり市(山林内の渓流・釣り中)の2件で、いずれも山林の中で起きている。同ページの更新時点で、みなかみ町での2026年度の人身被害は記載されていない。
| 年度 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026年度(令和8年度) | 29 | 113 | 215 | 171 | 105 | 70 |
| (参考)2025年度・同月 | 20 | 52 | 103 | 109 | 109 | 117 |
出典:群馬県自然環境課「ツキノワグマ情報について」(2026年10月16日更新)。人間の生活エリアでの目撃・出没をまとめた県全体の件数で、みなかみ町のみの内訳ではない。
前年度(令和7年度)の同じ4〜9月は510件だったので、2026年度はこれを約4割(+37.8%)上回るペースで推移している。前年度は10月に519件、11月に289件と秋に件数が跳ね上がっており、冬眠前の10〜11月はもっとも注意が要る時期にあたる。
群馬県内のクマの目撃・出没件数(月別)。2025年度は通年、2026年度は9月まで。人間の生活エリアでの件数。出典:群馬県自然環境課「ツキノワグマ情報について」(2026年10月16日更新)。
一方で、みなかみ町が「出る町」であることも事実として押さえておきたい。前年の2025年は、9月22日に町内真庭地区で栗拾い中の男性が、10月13日に下津地区で散歩中の男女2人が(親子グマ)、10月18日には羽場地区(キノコ採り中)と高日向地区(犬の散歩中)で1人ずつが、それぞれクマに襲われてけがをしている(群馬県自然環境課の人身被害一覧・上毛新聞報道)。町内だけで1か月足らずのうちに4件・5人にのぼった。宝川温泉がある藤原地区でも、2024年9月20日に散歩中の女性がクマに遭遇してけがをしている。いずれも栗拾い・キノコ採り・散歩など屋外での活動中の出来事で、秋はクマが冬眠前に餌を求めて行動範囲を広げる時期にあたる。全国の出没統計と、出没が多い県の温泉地が秋にどう備えているかは、クマ出没5万801件の秋、温泉地の備えで整理している。
最新の出没地点は、群馬県が公開する「群馬県クマ出没マップ」で地図上に確認できる。みなかみ町観光協会も2026年5月1日付のお知らせで、個別の出没状況や各宿の対策は協会では把握していないとしたうえで、このマップと県のWEBパンフレットを確認するよう案内している。宿泊前日と当日に、宿の周辺にピンが立っていないかを見ておけば十分だ。
宝川温泉 汪泉閣の熊はいつまでいた? 今もいる?
「宝川温泉 熊」で検索する人の多くは、汪泉閣が敷地内で飼育していた熊のことを知りたいはずだ。経緯を整理すると、戦後まもなく親を亡くした子熊を宿の主人が育てたのが始まりで、かつては子熊を露天風呂に入れていたことでも知られていた。2015年6月の報道(マイナビニュース)では、客室から大露天風呂へ渡る白鷹橋の先で熊やうさぎが飼育されていると書かれており、この時点では確かにいた。
その後、温泉ライター小暮淳氏が2019年7月に5年ぶりに訪れた際の取材記には、熊園が跡形もなくなっており、宿の説明として「外国人観光客が増えたため、動物愛護の観点から檻を撤去した」とある。つまり、遅くとも2019年半ばには飼育熊はいなくなっていた。熊との入浴そのものは、それ以前から条例により行われていない。
2026年10月時点の汪泉閣公式サイトには、熊の飼育に関する記載はない。以上から「現在は飼育していない」と考えるのが自然だが、撤去の正確な時期や熊の移送先までは公開情報で確認できなかった。「熊を見られると思って行く」のは避け、気になる場合は予約時に宿へ直接確認してほしい。
2020年10月の汪泉閣での事故は何だったのか
検索結果に当サイトの2020年10月の既報が出てくるのは、2020年10月16日未明、汪泉閣の屋外通路を露天風呂へ向かって歩いていた宿泊客の男性が、野生のツキノワグマに腕と太ももをかまれた事故があったためだ。命に別状はなく、クマは敷地内のクルミを食べに入ったとみられている。2020年の秋は群馬県内でドングリが8年ぶりの凶作とされ、人里への出没が全国的に増えた年だった。この事故は6年前の出来事で、宿は現在も通常営業を続けており、2026年に公式サイトで案内されている休館は9月1〜3日のみだった。
温泉街の宿と山あいの一軒宿では置かれている状況が違う
「水上温泉」とひとくくりにされるが、宿の立地は大きく2つに分かれる。1つはJR水上駅から車で5分前後、利根川沿いに宿が並ぶ水上温泉街(湯原地区)で、大型ホテルから旅館までが集まり、館内で露天風呂や食事まで完結する宿が多い。屋外を歩く場面は駅や駐車場からの出入りくらいで、夜間に屋外へ出る必要はほとんどない。温泉街の大型宿の料金や送迎の仕組みは、大江戸温泉物語Premium 松乃井の料金と口コミ傾向【2026】(HotelPicks)が月別・曜日別に整理している。
もう1つが、宝川・谷川・湯檜曽・猿ヶ京・法師など、渓流沿いや山あいに点在する温泉だ。宝川温泉 汪泉閣(全43室)は利根川源流域の宝川沿いにただ一軒で建ち、宝川の両岸に配された4つの大露天風呂へは、客室を出て屋根付きの通路と橋を渡って向かう。これが宿の最大の魅力であると同時に、屋外動線が長いという意味で、温泉街の宿とは条件が異なる。こうした宿を選ぶなら、次の点を予約時に宿へ確認しておくと安心して楽しめる。
- 夜間の屋外動線の案内:露天風呂へ向かう通路の照明や、夜間の利用時間の目安。汪泉閣の場合、館内の大浴場「殿湯」「姫湯」は24時間利用できると公式サイトにあり、露天風呂の夜間利用は宿に確認する。
- 熊鈴などの貸し出し:周辺の遊歩道や展望台コースを歩く予定があるなら、鈴の貸し出しの有無と、現在歩けるコースを聞く。
- 送迎の有無と時刻:山あいの宿は最寄り駅から距離があるため、送迎の予約方法を確認する。徒歩で向かわない。
- 出没情報の共有:直近に宿の周辺で出没があったかどうかは、宿が最もよく知っている。
現地での行動のしかた(群馬県の注意喚起から)
群馬県が県民・来訪者向けに示している注意点は、温泉旅行にもそのまま当てはまる。山道や遊歩道を歩くときは鈴やラジオなど音の出るものを携帯し、早朝や夕方の薄暗い時間帯の単独行動を避ける。新しい糞や足跡を見つけたら引き返す。食べ物やゴミを屋外に置かない。万一出会ったら走って逃げたり大声を出したりせず、ゆっくり静かに後退する。子グマを見ても近づかず撮影もしない(近くに母グマがいる)。温泉街の中を昼間に散策する分には、このうち「ゴミを放置しない」「早朝・夕方に山側へ入らない」を守れば十分といえる。
みなかみ町の宿の掲載価格(2026年10月時点)
熊の話とは別に、泊まるかどうかの判断材料として価格も見ておきたい。OTA公開データを集計した、みなかみ町の宿の掲載価格(1室2名利用・1室あたり・税込、2026年10月時点)は、2026年10月宿泊分が平均約40,300円(掲載42軒・N=391日次データ)、11月宿泊分が平均約42,200円(掲載42軒)。前年同月はそれぞれ約31,700円・約30,400円だったので、10月で+27.0%、11月で+39.1%と大きく上がっている。紅葉シーズンの需要に加え、2026年8月に温泉街で大型宿がグランドオープンし掲載の顔ぶれが変わったことも、町全体の平均に影響しているとみられる。みなかみ町が群馬県内でも最上位の価格帯に位置することは、群馬の宿泊単価、市町村で3.5倍差でも市町村別に確認できる。
みなかみ町の宿の掲載価格の推移(1室2名利用・1室あたり・税込、月平均)。2025年10月〜2026年10月は各月時点の掲載価格、2026年11月は2026年10月時点の先日付の掲載価格。各月の掲載宿数は37〜42軒。出典:ホテルバンク編集部調べ(OTA公開データ)。
宿のタイプで見ると価格帯ははっきり分かれる。2026年11月宿泊分の掲載価格をOTAのカテゴリ別に集計すると次のとおりで、温泉街・山あいを問わず旅館が中心だが、ペンションや民宿を選べば1室2名で2万円前後に収まる。
| 宿のタイプ | 掲載宿数 | 掲載価格の平均(1室2名・税込) |
|---|---|---|
| 旅館 | 42軒 | 40,968円 |
| リゾートホテル | 3軒 | 38,665円 |
| ペンション | 8軒 | 21,840円 |
| ロッジ | 4軒 | 21,110円 |
| 民宿 | 6軒 | 14,870円 |
| コテージ | 5軒 | 54,168円 |
| 貸別荘 | 3軒 | 69,787円 |
みなかみ町・2026年11月宿泊分・2026年10月時点のOTA掲載価格(1室2名利用・1室あたり・税込)。OTA側のカテゴリ登録に基づく集計で、上の町全体の平均(42軒)とは母集団が異なる。コテージ・貸別荘は1棟あたりの価格で定員が多い。出典:ホテルバンク編集部調べ。
宝川温泉 汪泉閣は、2026年10月時点の掲載価格が1室2名で5万円前後〜5万円台半ば(川側客室・夕食付きプラン、11月までの先日付)と、町平均より上の価格帯にある。山あいの一軒宿を選ぶのであれば、価格に加えて上に挙げた夜間動線や送迎の確認を予約時に済ませておくと、当日に迷わない。紅葉シーズンの群馬の旅館がどのくらいのペースで埋まっていくかは、群馬の旅館、紅葉入口10/24(土)は15日前で推定OCC 91.0%(2026年10月時点の推定値)が日付ごとに追っている。
詳しく探すなら
具体的な宿の比較は、こちらの記事が詳しい。
宝川温泉 汪泉閣 — 群馬・水上、利根川源流の200畳級露天「子宝の湯」を一軒で読む(wabistay)
汪泉閣(全43室・1923年創業)を1軒だけ深掘りし、宝川の両岸に分かれた約200畳の「子宝の湯」、1940年完成の「摩訶の湯」、般若の湯、女性専用の摩耶の湯へ橋を渡って巡る動線を、源泉4本・毎分1,800リットルの湯量とあわせて建築の視点から解説している。
大江戸温泉物語Premium 松乃井の料金と口コミ傾向【2026】(HotelPicks)
2026年8月にグランドオープンした水上温泉街の全225室の宿について、月別・曜日別の掲載価格(12月・2月と水曜泊が安い)、前日18時までの予約制の送迎バス、屋内キッズパークや3か所の露天風呂を整理。同じ湯原地区のみなかみホテルジュラク(96室・館内フリーフロー)や水上高原ホテル200(220室)との価格比較もある。
よくある質問
Q. 水上温泉に熊は出ますか?
A. みなかみ町はツキノワグマの生息域で、毎年出没情報があります。ただし2026年度に群馬県が公表している人身被害2件(10月16日更新時点)はいずれも桐生市・みどり市の山林内で、水上温泉街で起きたものではありません。宿は通常営業しており、昼間の温泉街の散策で特別な装備は要りません。
Q. 宝川温泉 汪泉閣の熊は今もいますか?
A. 2015年の報道では飼育されていましたが、2019年7月の取材記録では熊園の檻が撤去されており、2026年10月時点の公式サイトにも飼育の記載はありません。現在は飼育していないとみられますが、確実なところは宿に直接確認してください。
Q. 出没情報はどこで確認できますか?
A. 群馬県が公開する「群馬県クマ出没マップ」で地点ごとに確認できます。県自然環境課の「ツキノワグマ情報について」のページには月別件数と人身被害の一覧があり、みなかみ町観光協会もこの2つを案内しています。宿泊の前日と当日に宿周辺を見ておくと安心です。
Q. 露天風呂は夜も入れますか?
A. 宿によって異なります。汪泉閣では館内の大浴場「殿湯」「姫湯」が24時間利用できると公式サイトにありますが、屋外の露天風呂の夜間利用については宿に確認してください。山あいの宿では、夜間の屋外動線の案内を予約時に聞いておくのが確実です。
集計方法と出典
- クマの出没件数・人身被害:群馬県自然環境課「ツキノワグマ情報について」(2026年10月16日更新)、群馬県クマ出没マップ、群馬県報道発表(2025年9月)、上毛新聞(2025年10月19日)、みなかみ町観光協会お知らせ(2026年5月1日)。
- 汪泉閣の飼育熊:マイナビニュース(2015年6月25日)、小暮淳「源泉ひとりじめ」(2019年7月2日)、汪泉閣公式サイト(2026年10月閲覧)。撤去の正確な時期は公開情報では確認できていない。
- 2020年10月16日の事故:当サイト既報(2020年10月17日)。
- 掲載価格:OTA公開データをホテルバンク編集部が集計した、みなかみ町の宿の1室2名利用・1室あたりの掲載価格(税込)。2025年10月〜2026年10月宿泊分は各月時点、2026年11月宿泊分は2026年10月時点の先日付の掲載価格。町全体の月平均は掲載37〜42軒、2026年10月はN=391日次データ。タイプ別はOTAのカテゴリ登録に基づく。掲載価格であり、実際の成約額ではない。
■ データソース
クマの件数と人身被害は、群馬県自然環境課「ツキノワグマ情報について」(2026年10月16日更新)の月別目撃・出没件数表と人身被害発生状況一覧による。汪泉閣の飼育熊の経緯は報道・取材記録と公式サイト、掲載価格はOTA公開データをホテルバンク編集部が集計したもの。
■ 試算前提
掲載価格は1室2名利用・1室あたり・税込の月平均で、2026年11月宿泊分は2026年10月時点の先日付の価格。前年比は同じ集計方法による前年同月の掲載価格との比較。出没件数の前年度比は4〜9月の合計同士(703件と510件)で比べた。
■ 限界・留意点
県の出没件数は人間の生活エリアでの目撃・出没をまとめた県全体の値で、みなかみ町だけの月別内訳は公表されていない。2026年度は9月分までで、10月以降は県の更新を待つ必要がある。掲載価格は成約額ではなく、掲載宿の顔ぶれの変化(2026年8月の大型宿のグランドオープンなど)でも平均が動く。汪泉閣の熊の撤去時期と移送先は公開情報で確認できていない。
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