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アジア大会後の愛知ホテル、アジアパラ週は稼働82%の二山目 — 大会間73%・10月3区間の在庫比較

投稿日 : 2026.10.09

愛知県

季節・イベント

アジア大会後の愛知ホテル、アジアパラ週は稼働82%の二山目 — 大会間73%・10月3区間の在庫比較

第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)が10月4日(日)に閉会式を迎え、愛知県のホテル・宿泊施設は、14日後に開幕する第5回アジアパラ競技大会(10月18日〜24日)までの「大会間」に入った。メトロエンジンリサーチの10月3日時点の観測を、宿泊日の21日前という同じ断面で並べると、県全体の稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)は大会末期(10月1〜4日)が85.1%、大会間(10月5〜17日)が73.1%、アジアパラ週(10月18〜24日)が81.8%だった。二つ目の山は一つ目の山の末期に3.3ptまで迫り、大会間を8.7pt上回っている。本稿ではこの3区間を業態別・市区町別に比べ、県内の宿泊事業者と運営・投資の担当者が、秋の二つ目の山をどう取り切るかを読み解く。

選手村を船でまかなう供給側の設計はアジア大会2026の選手村は船 — 1,500室×22日のホテルシップ、名古屋の客室28,986室との距離で、開会式前後の在庫の消え方はアジア大会の名古屋・愛知ホテル、9/20は96%が完売で扱った。本稿が見るのはその先、閉会後の2週間とアジアパラ週である。

本記事における指標の定義

  • OCC(稼働率):エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。本文での表記は「稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)」。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なります。対象は総客室の30%以上をOTA等に掲載する愛知県内の施設(宿泊日により344〜369施設/客室33,294〜34,672室、主要予約サイト掲載ベース)で、県・市区町単位の集計としてのみ用い、個別施設の稼働率は算出しない。
  • LT(リードタイム):宿泊日までの日数。「21日前」はLT21、「前日時点」はLT1を指す。本記事ではLT45以内の観測のみを用いる。
  • 残室数・残室率:OTA等で販売可能な残り客室の合計と、その総客室数に対する割合(室数ベース)。
  • 掲載価格:調査時点でOTA等に掲載されている販売価格の平均(2名1室利用時の1室あたり料金・税込・全プラン平均)。成約単価(ADR)とは異なる。
  • ADR(平均客室単価):各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。本記事では確定済みの月のみを用いる。
  • 観測時点:エリア集計は2026年10月3日、施設別在庫は2026年10月4日(一部施設は10月3日)。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ
Key Takeaways
  • — 宿泊日21日前の断面で、アジアパラ週は稼働率81.8%(2026年10月18〜24日・N=344〜346施設)。大会末期85.1%との差は3.3pt、大会間73.1%を8.7pt上回る。
  • — 大会末期は10月1〜3日が前日時点で93.8〜95.8%、閉会式当夜の10月4日は84.4%・掲載価格¥17,100で、8月平均(82.5%・¥17,100)の水準に戻った。
  • — 大会間の第1週(10月5〜9日)は21日前67.6%で、大会前の平常週(9月7〜11日)の65.6%と2.0pt差。直近観測では80.7%まで積み上がり、平常週と同じ型をたどっている。
  • — アジアパラ週の平日は21日前82.2%で平常週を16.6pt上回る。上乗せはビジネスホテル+18.2pt・シティホテル+16.4ptに集まり、旅館は+1.9ptにとどまる。翌週との差(28日前)は愛知+13.5ptに対し近隣4県は±0.0〜+8.2pt。
  • — 10月4日時点の施設別在庫では、アジアパラ週の残室率は安城市7.4%・岡崎市8.6%・豊田市10.3%と西三河で低く、南知多町37.3%・西尾市32.7%・田原市31.8%に余地が残る。
  • — 確定月の推定成約ADR(2026年8月)は蒲郡市¥17,800・南知多町¥16,500に対し、名古屋市中村区¥9,600、豊田市¥7,600、刈谷市¥6,400。二つ目の山は平常時¥6,000〜¥10,000の階層に乗っている。

アジアパラの選手村は建設されず、宿泊施設は既存ホテルが主役 — 受け入れ期間は10月11〜26日

まずは二つの大会の宿泊体制を、公表資料で確認しておく。大会組織委員会は選手村の施設整備を行わず、ホテル等の既存施設を活用して選手団の宿泊を確保する方針をとった。2024年5月8日の発表では、アジア競技大会の選手団宿泊施設は「名古屋市内+ホテルシップ 約10施設、愛知県内(名古屋市以外)約30施設、県外 約10施設」の計約50施設と想定されている(契約交渉の状況等により施設数は変動するとの注記つき)。このうち名古屋港に置かれた選手団宿泊拠点について、名古屋市の推進本部会議資料(2026年8月28日)は大会ごとの滞在人数と運営期間を次のように示している。

表1:名古屋港の選手団宿泊拠点 — 2大会の滞在人数と運営期間
項目アジア競技大会アジアパラ競技大会
会期9月19日(土)〜10月4日(日)10月18日(日)〜10月24日(土)
ガーデンふ頭(移動式宿泊施設)の滞在人数約2,000人約800人
同・運営期間9月6日〜10月6日10月11日〜10月26日
金城ふ頭(クルーズ船)の滞在人数約4,000人—(使用しない)
同・運営期間9月16日〜10月5日—

出典:名古屋市「第31回 名古屋市アジア・アジアパラ競技大会推進本部会議」資料(2026年8月28日)よりホテルバンク編集部作成

「アジアパラの選手村はどこか」という問いへの答えは、選手村は建設されず、港の拠点と既存の宿泊施設の組み合わせになる、である。アジアパラ競技大会の開催基本計画は、選手団(選手・チーム役員)を3,600〜4,000人と見込み、選手団宿泊施設は「複数の既存の宿泊施設を活用」し、原則として競技ごとに割り当てるとしている。ガーデンふ頭の約800人を単純に差し引くと、2,800〜3,200人規模が既存の宿泊施設に入る計算になる(計画値どうしの差であり、配宿の実績値ではない)。同計画はこのほか、競技大会役員最大800人とAPCファミリー最大800人にホテルを用意し、想定2,500人のメディアは各自で宿泊施設を予約するとしている。

宿泊市場から見て押さえておきたい点は二つある。一つは、ガーデンふ頭の運営期間が10月11日〜26日の16日間で、競技の7日間より前後に広いこと。もう一つは、競技会場が名古屋市内だけでなく、岡崎市(アーチェリー、シッティングバレーボール)、一宮市(バドミントン)、豊橋市(ゴールボール)、豊田市(卓球)、刈谷市(車いすラグビー)に分かれていることである。競技ごとに宿泊施設を割り当てる設計と合わせると、二つ目の山は名古屋駅・栄だけでなく会場のある市にも立つと読める。以下、実際の在庫でこれを確かめていく。

10月の3区間を同じ物差しで並べる — 21日前の稼働は85%・73%・82%

10月3日時点で10月の各宿泊日を見ると、すでに宿泊日を過ぎた日、数日後に迫った日、3週間先の日が混在する。予約は宿泊日に向けて積み上がるため、最新の数字だけを並べると、宿泊日が近い日ほど高く見えてしまう。そこで本稿では、すべての宿泊日を「宿泊日の28日前」と「21日前」という同じ断面にそろえて比べ、あわせて最新の観測値を残り日数つきで示す。

表2:愛知県・10月の3区間比較(稼働率はOTA掲載在庫ベース・推定、各区間の日別値の単純平均)
区間(宿泊日)28日前21日前最新観測(残り日数)残室数(最新・1日平均)掲載価格(最新)
大会末期(10/1〜10/4)83.5%85.1%92.4%(前日時点)2,579室¥26,772
大会間(10/5〜10/17)70.0%73.1%82.0%(2〜14日前)6,000室¥22,039
アジアパラ週(10/18〜10/24)79.3%81.8%83.8%(15〜21日前)5,436室¥24,866
参考:翌週(10/25〜10/31)67.4%—69.1%(22〜28日前)10,404室¥19,718
参考:2026年8月の月平均——82.5%(前日時点)—¥17,145

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(愛知県・対象344〜360施設/客室33,294〜34,580室、8月は337施設/33,846室、主要予約サイト掲載ベース、2026年10月3日時点)

同じ21日前で比べると、大会末期85.1%に対しアジアパラ週は81.8%と、二つの山の高さは3.3ptしか違わない。そのあいだの大会間は73.1%で、アジアパラ週より8.7pt低い。28日前の断面でも順序は変わらず、アジアパラ週79.3%は翌週(10月25〜31日)の67.4%を11.9pt上回る。10月の愛知は「山・平地・山・平地」という形をしているといえる。

最新観測の列は残り日数が区間ごとに違うため、そのまま横に比べることはできない。それでも、宿泊日まで15〜21日を残すアジアパラ週の83.8%が、2〜14日前まで進んだ大会間の82.0%をすでに上回っている点は目を引く。8月の月平均82.5%は宿泊日前日の値であり、アジアパラ週は3週間前の段階でその水準を超えたことになる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(愛知県・対象344〜360施設/客室33,294〜34,580室、主要予約サイト掲載ベース。棒=各宿泊日の28日前、折れ線=2026年10月3日時点の最新観測)

大会末期(10月1〜4日) — 閉会式前夜まで95%前後、当夜は8月並みへ

一つ目の山の終わり方から見ていく。10月1日(木)から3日(土)までの3夜は、宿泊日前日の稼働率が93.8〜95.8%で、県全体の残室は1,390〜2,151室にとどまった。掲載価格も¥25,700〜¥34,100と、8月平均¥17,100の1.5〜2倍の水準を保っている。会期16日間の最終盤まで、需要は厚いまま続いたことがわかる。

表3:大会末期4夜の実測(宿泊日前日時点)
宿泊日稼働率(推定)残室数掲載価格残室0室だった施設の割合
10/1(木)95.5%1,553室¥30,15456.1%(221/394施設)
10/2(金)93.8%2,151室¥25,72051.5%(204/396施設)
10/3(土)95.8%1,390室¥34,06861.3%(241/393施設)
10/4(日・閉会式)84.4%5,221室¥17,14733.2%(131/395施設)

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(稼働率・残室数・掲載価格は愛知県・対象344〜360施設/客室33,423〜34,580室。右端の列は後述の固定母集団401施設のうち各日に在庫を観測できた施設。主要予約サイト掲載ベース)

水準が切り替わったのは閉会式当夜である。10月4日(日)は前日時点で84.4%、残室は5,221室まで戻り、掲載価格は¥17,100と前夜のほぼ半分になった。8月の月平均が82.5%・¥17,100だったので、閉会式の夜に愛知の宿泊市場は平常の水準へ戻ったと読める。ビジネスホテルに限ると10月4日は84.2%・¥12,200で、こちらも8月平均(82.5%・¥12,500)と重なる。山の終点は閉会式そのものではなく、その前夜にあった。

大会間(10月5〜17日) — 谷ではなく平常週の型、後半は二つ目の山の裾野に入る

では、閉会後の2週間は「反動の谷」なのか。大会前の平常週(9月7〜11日の平日)と、同じ残り日数で比べてみる。大会間の第1週(10月5〜9日の平日)は21日前の時点で67.6%、平常週は65.6%で、差は2.0ptにすぎない。平常週はそこから宿泊日前日までに19.2pt積み上がって84.8%で着地しており、第1週も10月3日時点(2〜6日前)で80.7%と、同じ軌道に乗っている。つまり大会間は落ち込みではなく、大会前の平常の型にそのまま戻ったと見るのが実態に近い。

個別の日でも同じことが確かめられる。開幕直後の続報では、閉会式の翌々日にあたる10月6日(火)の稼働率が68%前後だと伝えた。今回の集計でも9月20日時点は68.7%だったが、その後の2週間で12.6pt積み上がり、10月3日時点では81.3%に達している。3週間前の数字だけで需要を見積もると、直前に入ってくる平日の予約を取り込む余地を小さく見てしまいやすい。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(愛知県・平日5日間の平均、対象344〜369施設/客室33,428〜34,672室、主要予約サイト掲載ベース、2026年10月3日時点。未到来の残り日数は空欄)

一方で、区間の中には濃淡がある。三連休は10月10日(土)が7日前で89.0%、11日(日)が8日前で81.3%と高く、最終日の12日(月・スポーツの日)は9日前で70.2%と区間の底になっている。連休明けの後半は様子が変わり、21日前の稼働率が10月13日(火)72.4%、14日75.1%、15日78.8%、16日81.9%、17日(土)84.6%と、日を追って切り上がる。この5日間の平均は78.6%で、前半(10月5〜12日)の69.8%を8.8pt上回った。

後半の上昇は、ガーデンふ頭のアジアパラ向け運営が10月11日に始まる時期と重なる。ただし、在庫の動きだけでは大会関係の宿泊と通常の業務・観光需要を切り分けることはできない。確かなのは、二つ目の山が開会式の10月18日に突然立つのではなく、その4〜5日前から裾野が始まっているという形である。

アジアパラ週(10月18〜24日) — 平日が週末並みにそろう「平日型」の山

二つ目の山の中身に入る。10月3日時点の稼働率は、10月18日(日)80.4%、19日82.0%、20日84.9%、21日84.5%、22日84.9%、23日85.3%、24日(土)84.3%だった。開会式当日の日曜を除く6日間が82〜85%台にそろい、平日と土曜の差がほとんどない。週末に山が立つ通常の週とは逆に、火曜から金曜が最も高い。

平日5日間(10月19〜23日)を21日前で比べると、アジアパラ週は82.2%で、平常週の65.6%を16.6pt上回る。アジア競技大会の最終週(9月28日〜10月2日)の88.4%には6.2pt届かないものの、山としての高さは十分にある。掲載価格も同じ断面で¥24,000と、平常週の¥17,400より38.3%高い。翌週(10月26〜30日)と比べられる28日前の断面では、アジアパラ週79.5%に対し翌週66.0%で、差は13.5ptだった。

表4:業態別・平日5日間の比較(宿泊日21日前の稼働率と掲載価格)
業態(対象)平常週
9/7〜11
大会間第1週
10/5〜9
アジアパラ週
10/19〜23
平常週との差参考:大会最終週
9/28〜10/2
ビジネスホテル
166〜176施設/25,358〜26,210室
65.4%
¥12,379
66.8%
¥13,019
83.6%
¥20,230
+18.2pt
+63.4%
90.0%
¥25,459
シティホテル
23施設/3,655〜3,674室
67.0%
¥20,901
71.5%
¥26,378
83.4%
¥39,450
+16.4pt
+88.7%
91.3%
¥53,363
旅館
84〜95施設/1,809〜1,935室
62.5%
¥23,663
61.8%
¥23,646
64.4%
¥25,460
+1.9pt
+7.6%
68.3%
¥26,203

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(愛知県・主要予約サイト掲載ベース。上段=稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)、下段=掲載価格(2名1室・税込・全プラン平均)。2026年10月3日時点)

業態別に見ると、山の担い手ははっきりしている。ビジネスホテルは平常週65.4%に対しアジアパラ週83.6%で+18.2pt、シティホテルは67.0%に対し83.4%で+16.4ptと、どちらも大きく上積みされた。掲載価格の差はビジネスホテルが+63.4%、シティホテルが+88.7%と、稼働以上に開いている。在庫が減るにつれて安いプランから消える性質があるため、掲載価格の平均は実際の単価の動きより大きく出る点には留意したい。

対照的に、旅館は平常週62.5%に対し64.4%で+1.9ptにとどまり、掲載価格も+7.6%と小幅だった。選手団や大会関係者の宿泊は、会場や拠点に近く客室数のまとまったホテルに集まりやすい。旅館が多い知多半島や渥美半島は、アジアパラ週も平常の秋の型で動いていると考えられる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(愛知県・平日5日間平均・宿泊日21日前、ビジネス166〜176施設/シティ23施設/旅館84〜95施設、主要予約サイト掲載ベース)

近隣4県と比べる — 平常週との差には秋の季節要因、翌週との差は愛知が突出

アジアパラ週の上乗せのうち、どこまでが大会によるものかを見るために、同じ宿泊日・同じ断面で近隣の岐阜県・三重県・滋賀県・静岡県を並べた。アジアパラ競技大会の会場は、パラ自転車競技(静岡県伊豆市の伊豆ベロドロームほか)を除いて愛知県内に置かれている。会場のない岐阜県・三重県・滋賀県で同じ週に同じだけ稼働が上がっていれば、それは大会ではなく季節や曜日の要因と読める。

表5:愛知県と近隣4県・平日5日間の稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)
県(対象)平常週9/7〜11
21日前
アジアパラ週10/19〜23
21日前
平常週との差アジアパラ週
28日前
翌週10/26〜30
28日前
翌週との差
愛知県
344〜369施設/33,428〜34,614室
65.6%82.2%+16.6pt79.5%66.0%+13.5pt
岐阜県
271〜302施設/10,796〜11,179室
66.4%81.3%+14.9pt78.0%75.7%+2.3pt
三重県
267〜286施設/14,105〜14,238室
65.9%77.4%+11.5pt74.6%66.4%+8.2pt
滋賀県
142〜164施設/6,859〜7,220室
67.9%77.5%+9.6pt74.0%74.0%±0.0pt
静岡県
863〜901施設/32,105〜32,442室
64.0%67.4%+3.4pt64.7%62.0%+2.7pt

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(各県・平日5日間の日別値の単純平均、総客室の30%以上をOTA等に掲載する施設、主要予約サイト掲載ベース、2026年10月3日時点。翌週は21日前の断面が未到来のため28日前で比較)

平常週(9月7〜11日)との差で見ると、愛知県の+16.6ptに対し、岐阜県も+14.9pt、三重県+11.5pt、滋賀県+9.6ptと、近隣県でも10pt前後の上昇があった。9月上旬から10月下旬にかけては、大会がなくても中部・近畿の平日稼働が上がる時期であり、平常週との差には季節要因が含まれていると考えられる。静岡県は+3.4ptと小さく、季節の上がり方は地域によって異なる(静岡県は自転車競技の会場を抱えるが、県全体の稼働を動かすほどの差は見られない)。

季節要因をそろえやすいのは、すぐ後の翌週(10月26〜30日)との比較である。28日前の断面でアジアパラ週と翌週を比べると、愛知県は+13.5ptと大きな差が残るのに対し、岐阜県は+2.3pt、滋賀県は±0.0pt、静岡県は+2.7ptにとどまった。愛知県のこの週の高さは、近隣県と共通の秋の波というより、愛知県固有の要因によるところが大きいといえる。三重県は+8.2ptと近隣県の中では差が大きく、ビジネスホテルに限ると+11.5pt(アジアパラ週75.6%・翌週64.1%)だった。三重県北部の桑名市・四日市市などは名古屋圏の通勤・業務圏に含まれ、愛知県内で在庫が薄くなった週の受け皿になっている可能性があるが、在庫の動きだけでは要因は特定できない。

大会間の第1週(10月5〜9日)を同じく平常週と比べると、愛知県は+2.0ptだったのに対し、岐阜県は+8.8pt、滋賀県+1.9pt、静岡県+0.4pt、三重県−0.6ptだった。愛知県の大会間が「平常週並み」に戻ったことは、近隣県の多くと同じ動きであり、反動による落ち込みとは読めない。

施設別在庫の途中経過(10月4日時点) — 会場のある西三河は残室率1割前後

ここからは市区町の単位に下りる。個別施設の在庫は、OTA等に総客室の3割以上を出している施設だけを対象にした。公開枠がそれより小さい施設は、公式サイトや旅行会社など他の販売経路が中心である、宿泊日が近づくにつれて在庫を追加していく、OTA等への割当そのものを少なく設定している、といった複数の可能性が考えられ、残室の少なさが需給の強さを表すとは限らないためである。母集団は大会前の平常日(9月8〜11日)のいずれかで公開枠30%以上だった401施設・34,380室に固定し、日付によって対象が入れ替わらないようにした。

以下は確定した結果ではなく、10月4日時点の途中経過である。OTA等の在庫は施設側の操作で追加・再販されることがあり、ここでの残室はOTA公開枠の中での残数であって、館全体の空室数ではない。

表6:市区町別の残室率(OTA等に総客室の3割以上を出している施設、区間内の日別平均)
市区町対象施設/客室大会末期
10/1〜3
前日時点
大会間第1週
10/5〜9
1〜5日前
アジアパラ週
10/18〜24
14〜20日前
翌週
10/25〜31
21〜27日前
愛知県計401/34,380室4.9%19.2%15.6%29.7%
名古屋市130/18,915室4.1%16.2%12.5%27.6%
 うち中区61/10,843室3.9%15.2%11.9%26.9%
 うち中村区47/6,158室4.2%16.9%14.6%29.1%
安城市12/1,287室3.9%18.4%7.4%28.2%
岡崎市9/729室5.2%11.6%8.6%26.8%
豊田市16/1,189室3.4%11.8%10.3%28.3%
蒲郡市17/932室7.5%19.7%11.2%14.8%
一宮市9/546室12.1%19.3%13.1%28.0%
豊橋市12/1,405室2.0%19.6%20.1%33.5%
新城市13/339室10.4%14.7%24.2%32.2%
犬山市10/505室6.8%18.1%25.5%33.1%
美浜町10/137室13.8%28.9%28.4%34.3%
常滑市8/2,996室0.9%35.2%30.3%38.4%
田原市18/589室20.6%34.6%31.8%37.2%
西尾市11/212室14.0%28.6%32.7%33.5%
南知多町77/879室18.1%34.4%37.3%41.9%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(愛知県・OTA公開枠が総客室の30%以上の401施設/34,380室を固定母集団とし、各日に在庫を観測できた393〜398施設で集計。対象7施設未満の市町は県計にのみ含む。主要予約サイト掲載ベース、2026年10月4日時点・大会末期は各宿泊日の前日時点)

表は列ごとに宿泊日までの残り日数が違うため、横に読むときは注意が要る。そのうえで目を引くのは、宿泊日まで14〜20日を残すアジアパラ週の残室率が、宿泊日直前の大会間第1週より低い市が多いことである。県計で15.6%対19.2%、名古屋市で12.5%対16.2%、安城市では7.4%対18.4%だった。残室0室の施設の割合も、アジアパラ週は22.3%と大会間(10月5〜17日平均22.7%)に並び、翌週の12.3%を10pt上回っている。

地域別では、西三河の薄さが際立つ。安城市7.4%、岡崎市8.6%、豊田市10.3%はいずれも名古屋市の12.5%より低い。岡崎市と豊田市には競技会場があり、安城市は車いすラグビー会場の刈谷市と岡崎市に挟まれた位置にある。もともと平日の業務需要が厚い地域でもあるため、大会要因だけとは言い切れないが、同じ3市の翌週が26.8〜28.3%であることを踏まえると、この週に固有の上乗せがあると読める。

反対に、受け皿の余地が大きいのは知多・渥美の観光地である。南知多町37.3%、西尾市32.7%、田原市31.8%、常滑市30.3%は、アジアパラ週でも3割以上の在庫を残していた。同じ知多半島の美浜町も28.4%と3割近い。常滑市は大会末期の0.9%から一転しており、空港周辺の大型施設に余力が戻った形といえる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(愛知県・OTA公開枠30%以上の固定母集団401施設のうち対象7施設以上の市区町、主要予約サイト掲載ベース、2026年10月4日時点。アジアパラ週は宿泊日の14〜20日前、大会間第1週は1〜5日前)

市区町村別の推定成約ADR — 二つ目の山が乗るのは¥6,000〜¥10,000の階層

稼働の山がどの価格階層に乗っているのかを、市区町村別の推定成約ADRで確かめておく。推定成約ADRは月が締まってから確定するため、ここでは確定済みの直近月である2026年8月と、前年の秋(2025年10月・11月)を並べた。大会月の9月以降は確定前のため本節では扱わず、価格の動きは前節までの掲載価格で示している。

表7:愛知県・市区町村別の推定成約ADR(確定月・税抜相当)
市区町村対象施設数
(2026年8月)
2026年8月前年同月比参考:2025年10月参考:2025年11月
愛知県N=505¥8,555−5.5%¥8,738¥9,764
蒲郡市N=22¥17,814−7.7%¥14,890¥16,959
南知多町N=56¥16,495−7.6%¥15,180¥19,399
名古屋市中村区N=71¥9,566+0.6%¥10,117¥11,994
名古屋市中区N=88¥8,810−11.0%¥9,320¥11,016
犬山市N=11¥8,905−10.3%¥8,789¥10,171
豊橋市N=19¥8,130−0.1%¥7,078¥7,710
常滑市N=13¥7,991−5.8%¥10,142¥9,084
豊田市N=29¥7,561−2.1%¥7,685¥8,713
岡崎市N=12¥6,857+1.7%¥6,691¥7,418
安城市N=13¥6,758−19.7%¥6,471¥7,979
刈谷市N=8¥6,365+3.2%¥6,192¥6,216
一宮市N=12¥6,230+9.5%¥6,245¥6,680

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定成約ADR・税抜相当・対象施設の中央値。N=各市区町村の2026年8月の対象施設数。名古屋市は区単位の集計)

確定月で見た愛知の階層は三層に分かれる。最上位は蒲郡市¥17,800・南知多町¥16,500の観光地で、次が名古屋都心の中村区¥9,600・中区¥8,800、その下に豊橋市¥8,100、豊田市¥7,600、岡崎市¥6,900、安城市¥6,800、刈谷市¥6,400、一宮市¥6,200といった業務都市が並ぶ。県全体は¥8,600で前年同月比−5.5%だった。区の値を対象施設数で加重平均した名古屋市全体の参考値は¥9,100(12区・N=190、前年同月比−6.9%)である。前年の秋は10月から11月にかけて県全体が¥8,700から¥9,800へ上がっており、名古屋都心も11月のほうが高い。

ここに前節までの結果を重ねると、アジアパラ週の上乗せが乗っているのは、名古屋都心と西三河の業務都市、つまり平常時のADRが¥6,000〜¥10,000の階層だとわかる。観光地の階層は残室率3割台で平常の型のまま動いている。単価の低い業務都市ほど、同じ1室でも大会週の上振れ幅は相対的に大きくなる。アジアパラ週の確定ADRは月が締まってから確認する必要があるが、どの階層に山が乗ったかは、在庫の動きからすでに読み取れる。なお、県内の通年の階層は愛知のホテル単価は市町村で2.8倍差 — 23市町村の通年ADR構造で詳しく扱っている。

二つ目の山をどう取り切るか — 運営・投資担当への3つの視点

ここまでを整理すると、10月の愛知は「アジア競技大会の反動で沈む月」ではなく、平常週をはさんで平日型の山がもう一度来る月である。この形を前提に、宿泊事業者にとっての機会を三つの視点でまとめておきたい。

一つ目は、大会間を平常週の物差しで読むことである。平常週は宿泊日の21日前から前日までに19.2pt積み上がっており、大会間の第1週も同じ軌道にある。3週間前の稼働率が60%台であっても、それは平常の途中経過といえる。早い段階で価格を下げて埋めにいくより、直前の2週間に入ってくる平日需要に向けて在庫とレートの段階を残しておくほうが、収益機会を広く取れる可能性がある。区間の底にあたる10月12日(月・祝)や日曜の夜は、連泊の後ろ倒しや日曜発のプランを組み合わせる余地が大きい。

二つ目は、アジアパラ週を「平日・ビジネスホテルとシティホテル・会場のある市」の山として設計することである。港の拠点の運営期間は10月11日〜26日と競技期間より長く、競技ごとに宿泊施設を割り当てる方式は連泊と親和性が高い。火曜から金曜が最も高いという形に合わせ、平日の最低宿泊数や連泊プランの見直しを検討したい。西三河では宿泊日まで2〜3週間を残して残室率が1割前後まで下がっており、残り在庫の販売順序を早めに決めておくことが有効といえる。開催基本計画は選手・チーム役員のうち移動に制限のある人や日常的な車いす使用者を880〜950人と見込んでいるため、バリアフリー客室や段差のない動線といった情報を予約ページで見つけやすくしておくことも、この週ならではの機会になる。関連する制度面は車いす対応客室、全国の法定必要室数は12,890室で整理している。

三つ目は、山の外側にいる施設の動き方である。旅館や知多・渥美の観光地は、アジアパラ週も平常の秋の型で動いており、残室率は3割台にある。名古屋市内や西三河で在庫が薄くなる週に、観戦や応援で訪れる来訪者の週末の受け皿として発信する余地があるだろう。投資・開発の担当者にとっては、大会間が平常週の水準へすぐに戻ったこと自体が材料になる。大会月の高い数字を通年の前提に引き伸ばさず、平常週の21日前65.6%・前日84.8%という型を基準線に置くと、イベントによる上乗せ分を切り分けて評価しやすい。ただし、9月上旬の平常週と10月下旬の差には近隣県でも見られる季節要因が含まれる。翌週や近隣県との差を併せて見ると、上乗せ分をより絞り込める。

将来日程の数値に関する注意:10月5日以降の稼働率・残室数・掲載価格は、調査時点(エリア集計は2026年10月3日、施設別在庫は10月4日)でOTA等に掲載されていた在庫と販売価格に基づく途中経過であり、宿泊日に近づくにつれて変動する。在庫は施設側の操作で追加・再販されることがあり、掲載価格は直前の調整で上下する可能性がある。

よくある質問

Q. アジアパラ競技大会の選手村はどこにありますか。
A. 選手村は建設されていません。大会組織委員会は既存の宿泊施設を活用する方針で、名古屋市の資料によると、名古屋港ガーデンふ頭の移動式宿泊施設(アジアパラ競技大会は約800人、運営期間10月11日〜26日)と、県内の既存のホテル等で選手団を受け入れます。アジア競技大会で使われた金城ふ頭のクルーズ船は、アジアパラ競技大会では使用されません。

Q. アジア大会が終わって、愛知のホテルは予約しやすくなりましたか。
A. 10月3日時点の観測では、10月5〜9日の平日の稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)は平均80.7%で、大会前の平常週と同じ水準に戻っています。ただし三連休初日の10月10日(土)は89.0%、アジアパラ週(10月18〜24日)は宿泊日の15〜21日前の段階で83.8%と高く、日によって状況が異なります。

Q. アジアパラ期間中、愛知県内で在庫が比較的残っているのはどのエリアですか。
A. 10月4日時点の観測では、OTA等に総客室の3割以上を出している施設の残室率は、南知多町37.3%、西尾市32.7%、田原市31.8%、常滑市30.3%でした。一方、安城市7.4%、岡崎市8.6%、豊田市10.3%など西三河は少なめです。在庫は日々変動するため、最新の状況は各予約サイトでご確認ください。

Q. アジアパラ週の稼働の上乗せは、すべて大会によるものですか。
A. 一部は季節要因です。9月上旬の平常週と比べたアジアパラ週の平日の上昇(宿泊日21日前)は愛知県で+16.6ptでしたが、競技会場のない岐阜県でも+14.9pt、三重県で+11.5pt上がっていました。季節をそろえやすい翌週(10月26〜30日)との差(28日前)では、愛知県の+13.5ptに対し岐阜県+2.3pt、滋賀県±0.0pt、静岡県+2.7ptで、愛知県固有の上乗せが大きいことがわかります。

集計方法と出典

稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)と掲載価格は、メトロエンジンリサーチが愛知県内の宿泊施設についてOTA等の掲載在庫と販売価格を日次で観測し、総客室の30%以上をOTA等に掲載する施設を対象に集計したものである。宿泊日ごとに同じ施設集合を追っており、対象は宿泊日により344〜369施設・客室33,294〜34,672室(主要予約サイト掲載ベース)。観測は宿泊日の45日前以降に限り、区間や週の値は日別値の単純平均とした。「平常週」は大会前の2026年9月7日〜11日の平日、「大会最終週」は9月28日〜10月2日の平日を指す。

施設別在庫は、大会前の平常日(9月8日〜11日)のいずれかでOTA等への公開枠が総客室の30%以上だった401施設・34,380室を固定の母集団とし、各宿泊日に在庫を観測できた393〜398施設で残室数を合計した。10月1日〜4日は各宿泊日の前日時点、10月5日以降は2026年10月4日(一部施設は10月3日)時点の観測値である。推定成約ADRは確定済みの月(2026年8月、2025年8月・10月・11月)のみを用いた。近隣4県(岐阜県・三重県・滋賀県・静岡県)は、愛知県と同じ方法・同じ観測日(2026年10月3日時点)で県単位に集計した。大会の宿泊体制は、組織委員会・名古屋市・日本パラスポーツ協会の公表資料によった。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチによるOTA等の掲載在庫・掲載価格の日次観測(愛知県と近隣4県、宿泊日の45日前以降、2026年10月3日・4日時点)と、推定成約ADR(確定月:2025年8月・10月・11月、2026年8月)。大会の宿泊体制は組織委員会・名古屋市・日本パラスポーツ協会の公表資料。

■ 試算前提

稼働率は総客室の30%以上をOTA等に掲載する施設の掲載在庫ベースの推定値で、区間・週の値は日別値の単純平均。施設別在庫は大会前の平常日(9月8〜11日)で公開枠30%以上だった401施設・34,380室を固定母集団とした。推定成約ADRは各市区町村の対象施設の中央値(税抜相当)。

■ 限界・留意点

10月5日以降の値は調査時点の途中経過で、在庫の追加・再販や直前の価格調整で変動する。稼働率は施設全体の実稼働率ではない。在庫の動きからは大会関係の宿泊と通常の業務・観光需要を切り分けられず、平常週との差には季節要因が含まれる(近隣4県との比較を参照)。掲載価格の平均は安いプランから売れる性質により実際の単価の動きより大きく出る。

■ 参考資料

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