三菱地所が京都市上京区相国寺門前町で計画する(仮称)京都相国寺門前町計画は、京都市が令和4年11月14日に「上質宿泊施設候補」として選定した、ローズウッドホテルグループのホテル(計画)である。敷地12,216.25㎡に延床20,553.63㎡、地上3階・地下1階、135室という構成は、1室あたり延床152㎡という京都市内でも際立つ低密度のラグジュアリーで、しかも第二種中高層住居専用地域という住居系の用途地域に立地する。本稿では京都市の選定資料を一次情報として計画の骨格を押さえ、メトロエンジンリサーチの客室ストック(半径1km・2km)と区別の推定成約ADR、京都市内のラグジュアリー帯の掲載価格を重ねて、この135室がどの価格帯で成立しうるのかを床の経済性から逆算する。
- 計画の骨格/135室・延床20,553.63㎡・地上3階地下1階。1室あたり延床152.2㎡、敷地90.5㎡。高さは15m高度地区に対し約12m、建築面積は建ぺい率60%に対し52.4%
- 周辺供給/半径1km圏の稼働中客室は2軒83室(掲載10軒314室)で、135室は稼働客室の約1.6倍。半径2km圏は稼働36軒2,065室で、135室は+6.5%にあたる
- 価格ポジション/上京区の推定成約ADRは2026年9月に¥15,400(N=9、前年同月比+6.2%)。半径2km圏でデラックス区分は1施設57室、ラグジュアリー区分はゼロ
- 床の経済性/坪単価250〜350万円の仮定で建設費155〜218億円、1室あたり1.15〜1.61億円。GOP利回り5%を満たす必要ADRは通年稼働率70%で¥72,700〜¥92,500(税抜相当)
- 比較対象/半径5km圏のデラックス区分29施設のうち掲載価格10万円超は19施設。京都市内の高単価帯は東山・中京・下京側に集中し、上京区北部は空白にある
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
本記事の客室ストックは、相国寺門前町計画地から半径1,000m圏内にある客室数10室以上の宿泊施設(レジャーホテルを除く)を対象とし、「稼働中」は直近3か月(2026年8月〜2026年10月)に主要予約サイトで販売価格が確認できた施設を指す(2026年10月25日時点、メトロエンジンリサーチ集計)。
本記事の客室ストックは、相国寺門前町計画地から半径2,000m圏内にある客室数10室以上の宿泊施設(レジャーホテルを除く)を対象とし、「稼働中」は直近3か月(2026年8月〜2026年10月)に主要予約サイトで販売価格が確認できた施設を指す(2026年10月25日時点、メトロエンジンリサーチ集計)。
要点 — 住居系地域に置かれた1室152㎡の低層ラグジュアリー
結論を先に置く。本計画は「容積を使い切らない」ことを選んだホテルである。容積率200%・15m高度地区の敷地で、延床は敷地の168.2%(地下を含む)、高さは約12mに抑えられ、135室の1室あたり延床は152.2㎡に達する。半径2km圏の稼働中ホテルで最大のハイアット プレイス 京都(239室)や京都ブライトンホテル(182室)とは床の使い方がまったく異なり、比較対象は京都市内に散在するラグジュアリー帯の29施設(半径5km圏・デラックス区分)に求めるのが自然である。
その比較対象は東山区・中京区・下京区側に集中しており、上京区北部の計画地周辺は推定成約ADR¥15,400(2026年9月、N=9)の市場で、半径2km圏にデラックス区分は1施設57室しかない。言い換えれば、この計画は既存の高単価帯の中に入るのではなく、相国寺・京都御苑・同志社大学に囲まれた静かな住宅地に新しい価格帯を持ち込む構図になる。床の経済性から逆算した必要ADR(税抜相当)は、坪単価300万円・通年稼働率70%・GOP利回り5%の基準ケースで¥82,600である。京都市内のラグジュアリー帯の掲載価格(2名1室・税込・全プラン平均)が10万円を超える施設が19あることを考えると、この水準は市場の上位帯の中で無理なく位置づけられる。以下、根拠を順に示す。
計画の概要 — 京都市の選定資料で読む135室
一次資料は京都市産業観光局観光MICE推進室が令和4年11月14日に公表した「上質宿泊施設候補の選定について」である。同資料は計画者を三菱地所株式会社、計画名を(仮称)京都相国寺門前町計画とし、ホテルブランドを「ローズウッドホテルグループ」と記す。正式なホテル名称は2026年10月24日時点で公表が確認できないため、本稿では「ローズウッドホテルグループのホテル(計画)」と表記する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計画者 | 三菱地所株式会社(計画名:(仮称)京都相国寺門前町計画) |
| 所在地 | 京都市上京区相国寺門前町709-1、2(地下鉄烏丸線 今出川駅から約330m、鞍馬口駅から約560m) |
| 敷地面積 | 12,216.25㎡ |
| 建築面積 | 6,403.22㎡(敷地の52.4%) |
| 延床面積 | 20,553.63㎡(敷地の168.2%) |
| 高さ・構造 | 約12m、鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)地上3階・地下1階 |
| ホテルブランド | ローズウッドホテルグループ |
| 客室 | 135室(最低約50㎡〜最高約225㎡) |
| 付帯設備 | レストラン、バー、フィットネスルーム、スパ、プール、宴会場 |
| 用途地域・高度地区 | 第二種中高層住居専用地域/15m第1種高度地区/建ぺい率60%・容積率200% |
| その他の都市計画条件 | 美観地区(旧市街地美観地区)、眺望景観保全地域(眺望空間保全区域・近景デザイン保全区域・遠景デザイン保全区域・事前協議区域)、屋外広告物規制区域(第2種地域) |
| 今後の予定(資料表記) | 令和4年11月〜 中高層条例に基づく手続き、建築基準法に基づく公聴会・建築審査会、建築工事 → 令和8年度中 開業 |
| 建築計画データ(確認申請ベース) | 着工 2024年6月15日、完了予定 2027年9月30日、主用途 ホテル・駐車場、新築 |
開業時期について資料は「今後の予定」として、令和4年11月以降に中高層条例に基づく手続き、建築基準法に基づく公聴会と建築審査会、建築工事を経て「令和8年度中 開業」と記している。一方で国土交通省「建築物動態統計調査」に基づく当社の建築計画データでは、同地(相国寺門前町709-1)の計画は着工2024年6月15日、完了予定2027年9月30日、主用途ホテル・駐車場となっている。前者は選定時点の資料表記、後者は確認申請ベースの工事完了予定であり、いずれも確定した開業日ではない。三菱地所から開業日の正式発表が出た時点で読み替える必要がある。
資料の別紙は、計画のコンセプトを「北は上御霊神社、南は相国寺、同志社大学、京都御苑」に囲まれ、御苑から相国寺、上御霊神社へと緑が連続する位置にある点に置く。付帯設備としてレストラン、バー、フィットネスルーム、スパ、プール、宴会場を備え、事業実施予定年数は50年超、従業員体制は全体で約200名規模と記されている。周辺住民との協議については、令和3年11月以降に室町学区・京極学区の住民組織と協議を始め、令和4年2〜3月に周辺住民の全戸(669軒)を個別訪問、同年3月に全体説明会(2日間・延べ78名)、6月と8月にニュースレターの全戸配布と意見照会を行ったことが記されている。相国寺は建物の高さ・ボリューム・交通への対応が図られたとして計画に賛同・推奨している。
市場環境 — 京都府の推定成約ADRは1.4万円台、ラグジュアリー帯の稼働は8割台
まずは京都府全体の水準を押さえる。メトロエンジンリサーチの推定成約ADR(対象施設の中央値)は2026年9月に¥14,200で、前年同月(¥14,000)に対し+1.1%だった。年間の形は紅葉期の11月と桜の4月に二つの山を持ち、2025年11月は¥24,800まで上がっている。2026年は春の山(3月¥20,300、4月¥21,700)が前年を上回った一方、6〜8月は前年を下回って推移し、9月に前年並みへ戻った。対象施設数は月により576〜607である。
需要側の背景として、京都市「令和7(2025)年 京都観光総合調査」は2025年の観光客数を6,279万人、うち外国人を1,268万人、外国人宿泊客数(実人数)を809万人といずれも過去最高とし、観光消費額は2兆474億円と報じられている。ラグジュアリー帯の支持層である長期滞在の外国人客が、京都市全体の宿泊需要を押し上げている構図である。
次に稼働である。OTA掲載在庫ベースの推定稼働率(京都府)は、2026年9月に全施設で84.0%(対象566施設/31,989室、主要予約サイト掲載ベース)、デラックス区分81.6%(対象18施設/1,549室)、掲載価格10万円以上のラグジュアリー帯83.7%(対象13施設/589室)だった。2026年5月は全施設89.9%・ラグジュアリー帯86.4%と高く、6〜8月も全施設は80.7〜81.8%と8割台を保った一方、ラグジュアリー帯は6〜7月に73.5〜75.4%、デラックス区分は7〜8月に79.1〜75.8%と7割台まで下がり、9月にはいずれも8割台に戻っている。ラグジュアリー帯の対象施設数は月により11〜22施設と幅があり、小さな母集団であることは割り引いて読む必要がある。
投資法人の開示でも京都のラグジュアリー帯は高い稼働を保っている。星野リゾート・リート投資法人(3287)が開示する物件別実績では、星のや京都(25室)の2026年8月はADR87,585円、稼働率84.3%、RevPAR73,798円だった。小規模な一物件の数値であり本計画と規模は異なるが、京都市内の高単価帯が8割台の稼働で8万円台のADRを実現している参照点として有用である。なお星野リゾート・リートの月次開示はADRの税込・税抜の別を明示しておらず、本記事の推定成約ADR(税抜相当)との並置は目安である。
区別の価格ポジション — 上京区1.54万円は中京区と同水準、高単価帯は東山・右京側
京都市を区で割ると、推定成約ADRの地図がはっきり浮かぶ。2026年9月の確定値で、右京区¥23,100(N=15)と東山区¥21,400(N=51)が2万円を超え、上京区¥15,400(N=9)、中京区¥15,100(N=111)、下京区¥13,900(N=170)が1.4万〜1.5万円台に並ぶ。上京区は前年同月比+6.2%、中京区+6.2%、下京区+4.2%と中心部は揃って前年を上回り、東山区は-0.7%とほぼ横ばいだった。
| 区 | 2026年9月 ADR | 前年同月比 | 対象施設数 |
|---|---|---|---|
| 右京区 | ¥23,095 | -18.3% | N=15 |
| 東山区 | ¥21,437 | -0.7% | N=51 |
| 西京区 | ¥16,611 | -12.2% | N=6 |
| 上京区 | ¥15,353 | +6.2% | N=9 |
| 中京区 | ¥15,067 | +6.2% | N=111 |
| 下京区 | ¥13,921 | +4.2% | N=170 |
| 左京区 | ¥13,670 | +0.6% | N=15 |
| 南区 | ¥11,254 | -12.6% | N=54 |
| 伏見区 | ¥8,084 | +23.3% | N=6 |
ここで注意したいのは、上京区の推定成約ADRが対象9施設の中央値であり、ビジネスホテルやホステルが中心の母集団だという点である。上京区には京都ブライトンホテル(182室)のようなシティホテルもあるが、半径2km圏に掲載価格10万円を超える施設は一つもない。東山区の2万円台は、半径5km圏のラグジュアリー帯29施設のうち多くが東山・祇園周辺に立地することの反映である。上京区の1.5万円台は「この価格帯の市場しかない」ことを意味するのではなく、「高単価帯の供給がまだ置かれていない」ことを意味する。本計画の価格形成は、区の中央値ではなく、市内のラグジュアリー帯を基準に考えるべきである。
立地 — 第二種中高層住居専用地域・15m高度地区・地価は上京区平均で前年比+6.7%
計画地は地下鉄烏丸線の今出川駅から約330m、鞍馬口駅から約560mに位置し、南に相国寺、その先に同志社大学と京都御苑、東へ約750mで賀茂川に至る。用途地域は第二種中高層住居専用地域で、ホテルは建築基準法上の用途許可を前提とする立地である。京都市の選定資料はこの点を明確に書いており、建物の高さを15mの上限に対し約12mに抑え、北・東側は道路から約10m、南・西側は約3〜6mの緑地帯を確保し、後方室・機械室・荷捌きスペースを地下に集約することで、地上部分のボリュームを縮小している。
| 条件 | 規制値 | 計画値 |
|---|---|---|
| 用途地域 | 第二種中高層住居専用地域 | ホテル(許可手続きを経る用途) |
| 高度地区 | 15m第1種高度地区 | 約12m |
| 建ぺい率 | 60% | 52.4%(建築面積6,403.22㎡) |
| 容積率 | 200% | 延床面積は敷地の168.2%(地下を含む延床ベース) |
| 景観 | 旧市街地美観地区・眺望景観保全地域 | 境界線から約6〜10mのセットバック、外周植栽 |
地価は上京区全体で上昇が続いている。国土交通省の地価公示によれば、上京区の2026年平均は49万3,833円/㎡で前年比+6.69%、2022年の39万8,666円/㎡から4年で約24%上がった。内訳は住宅地45万8,923円/㎡(+5.39%)、商業地58万4,600円/㎡(+10.06%)である。計画地に最も近い標準地は烏丸通鞍馬口下る東入上御霊中町457番7外で、2026年は59万4,000円/㎡(前年比+7.80%)だった。本稿の総投資額の試算では、この近傍地点の地価を敷地12,216㎡に乗じた約73億円を土地の参考評価として用いる。三菱地所の実際の取得価格は公表されていない。
| 標準地 | 地価(円/㎡) | 前年比 |
|---|---|---|
| 烏丸通鞍馬口下る東入上御霊中町457番7外 | 594,000 | +7.80% |
| 小川通一条下る小川町206番1 | 773,000 | +5.75% |
| 寺町通今出川上る4丁目西入桜木町403番13 | 408,000 | +3.55% |
| 堀川通上立売上る竹屋町586番 | 560,000 | +12.00% |
住居系地域に立つホテルとして、周辺の居住環境も確認しておく。国土交通省 国土数値情報の250mメッシュ別将来推計人口によれば、計画地から半径1.5km圏の居住人口は2025年推計で74,053人、65歳以上の比率は27.4%、2040年には68,673人(-7.4%)と推計される。京都市中心部の住宅地として人口の密度は高く、計画地の東西に広がる住宅街がホテルの隣人になる。資料に記された地域に開かれたレストランや地域団体への施設提供は、この居住人口を前提にした地域貢献策である。居住人口は国勢調査ベースの常住人口であり、滞在人口や通過人口ではない。
客室ストック — 1km圏の稼働客室は83室、135室はその1.6倍にあたる
計画地から半径1km圏の客室ストックは、掲載ベースで10軒314室、直近3か月(2026年8〜10月)に主要予約サイトで販売価格が確認できた稼働中は2軒83室である(客室数10室以上、2026年10月25日時点)。稼働中の2軒はKYOTO PLEASANT HOTEL(71室、2024年開業)とK-style 御所西(12室)で、いずれもビジネスホテル・ホステル区分である。135室はこの稼働客室の約1.6倍にあたり、1km圏の宿泊市場は本計画の開業で質・量ともに別のものになる。
半径2km圏に広げると、掲載74軒3,064室、稼働中36軒2,065室で、135室は稼働客室の+6.5%に相当する。区分別に見ると稼働中客室の4割がビジネスホテル(10軒829室)、シティホテル(4軒494室)とカプセルホテル(3軒319室)が続き、デラックス区分はKAYA 京都 二条城(57室、2023年開業)の1軒のみ、ラグジュアリー区分はない。2km圏の客室ストックは2017年の35軒1,635室から2026年の54軒2,427室へと10年で約800室増えたが、掲載74軒のうち2010年代以降に開業した施設が45軒2,019室と大半を占める一方で、高単価帯は空白のまま残っている(開業年が確認できない10軒146室は年次推移に含まない)。計画地の南側にあたる丸太町駅周辺の供給構造は、Avani Kyoto 240室は丸太町駅1km圏5,933室の+4%で駅1km圏を単位に整理している。
| 区分 | 掲載 軒数 | 掲載 室数 | 稼働中 軒数 | 稼働中 室数 |
|---|---|---|---|---|
| ビジネスホテル | 16 | 964 | 10 | 829 |
| シティホテル | 8 | 839 | 4 | 494 |
| ホステル | 23 | 400 | 9 | 161 |
| カプセルホテル | 4 | 339 | 3 | 319 |
| ゲストハウス | 14 | 288 | 6 | 167 |
| 会社・団体の宿泊所 | 2 | 79 | 0 | 0 |
| デラックスホテル | 1 | 57 | 1 | 57 |
| リゾートホテル | 1 | 36 | 0 | 0 |
| ドミトリー | 1 | 16 | 1 | 16 |
| ペンション | 1 | 14 | 0 | 0 |
| その他 | 1 | 12 | 1 | 12 |
| 町家 | 1 | 10 | 1 | 10 |
| 旅館 | 1 | 10 | 0 | 0 |
| 合計 | 74 | 3,064 | 36 | 2,065 |
| 施設 | 客室 | 区分 | 開業年 | 距離 | 推定成約ADR(2026年4〜9月平均) |
|---|---|---|---|---|---|
| ハイアットプレイス京都 | 239 | ビジネスホテル | 2022 | 1,869m | ¥32,001 |
| ソラリア西鉄ホテル京都プレミア 三条鴨川 | 200 | シティホテル | 2017 | 1,985m | ¥29,930 |
| 京都ブライトンホテル | 182 | シティホテル | 1998 | 1,118m | ¥27,160 |
| ホテル エムズ・プラス四条大宮 | 164 | ビジネスホテル | 2017 | 1,736m | ¥31,460 |
| ファーストキャビン京都二条城 | 144 | カプセルホテル | 2019 | 1,861m | ¥6,116 |
| サウナ&カプセルホテル ルーマプラザ | 110 | カプセルホテル | 2014 | 1,297m | ¥4,662 |
| hotel MONday京都丸太町 | 100 | ビジネスホテル | 2021 | 1,792m | ¥13,749 |
| 京都ガーデンパレス | 99 | シティホテル | 1996 | 1,035m | ¥11,633 |
| KYOTO PLEASANT HOTEL | 71 | ビジネスホテル | 2024 | 839m | ¥14,777 |
| ホテルリブマックス京都二条城北 | 70 | ビジネスホテル | 2019 | 1,972m | ¥7,719 |
| コンテニュー二条城北 | 65 | カプセルホテル | 2024 | 1,969m | ¥3,751 |
| ダイヤモンド京都ソサエティ | 64 | ビジネスホテル | 1980 | 1,995m | ¥15,617 |
| Kyoto Guesthouse HIVE | 63 | ゲストハウス | 2024 | 1,954m | — (掲載価格 ¥33,112・全プラン平均) |
| KAYA 京都 二条城 | 57 | デラックスホテル | 2023 | 1,825m | — (掲載価格 ¥40,585・全プラン平均) |
| RAKURO 京都 by THE SHARE HOTELS | 56 | ビジネスホテル | 2018 | 1,673m | ¥18,901 |
2km圏の稼働中ホテルで推定成約ADRが算出できる施設の2026年4〜9月平均は、ハイアット プレイス 京都(239室)が約3.2万円、ソラリア西鉄ホテル京都プレミア 三条鴨川(200室)が約3.0万円、京都ブライトンホテル(182室)が約2.7万円で、カプセルホテルを除く100室以上の施設は1.4万〜3.2万円の帯にある。ハイアット プレイス 京都は日本ハイアットの報道資料(2026年4月)によれば2022年4月1日開業・239室で、同資料が示す国内22ホテルの一つである。本計画はこれらの施設と客室数の規模こそ近いが、1室あたり延床と付帯設備の構成が異なり、価格帯で直接競合する関係にはない。なお京都ブライトンホテルがソフトブランド加盟後にどの価格帯で損益分岐を迎えるかは、ヒルトン・ハイアットのソフトブランドは国内5軒 — 京都ブライトン約160室キュリオ加盟の損益分岐で別途試算している。
ポジショニング — 京都市内の高単価帯29施設と本計画の位置関係
本計画の比較対象となる京都市内のラグジュアリー帯を、計画地から半径5km圏のデラックス区分(客室数10室以上)で切り出すと29施設・2,643室が該当し、29施設すべてが直近3か月に販売価格を確認できる稼働中である。デラックス区分は推定成約ADRの算出対象外のため、ここでは掲載価格(2名1室・税込・全プラン平均、2026年4〜9月の平均)で比較する。掲載価格が10万円を超えるのは19施設、5万円を超えるのは25施設で、上位にはフォーシーズンズホテル京都(123室・約33万円)、パーク ハイアット 京都(70室・約32万円)、ザ・リッツ・カールトン京都(134室・約31万円)、HOTEL THE MITSUI KYOTO(161室・約29万円)が並ぶ。
| # | 施設 | 客室 | 開業年 | 計画地からの距離 | 掲載価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | フォーシーズンズホテル京都 | 123 | 2016 | 4.8km | ¥331,684 |
| 2 | カペラ京都 | 89 | 2026 | 3.8km | ¥329,910 |
| 3 | パークハイアット京都 | 70 | 2019 | 4.1km | ¥322,762 |
| 4 | ザ・リッツ・カールトン京都 | 134 | 2014 | 2.6km | ¥311,315 |
| 5 | HOTEL THE MITSUI KYOTO | 161 | 2020 | 2.2km | ¥287,490 |
| 6 | シックスセンシズ京都 | 81 | 2024 | 4.7km | ¥277,744 |
| 7 | ザ ホテル青龍 京都清水 | 48 | 2020 | 4.3km | ¥269,162 |
| 8 | ROKU Kyoto LXR Hotels&Resorts | 114 | 2021 | 3.1km | ¥231,705 |
| 9 | 帝国ホテル 京都 | 55 | 2026 | 3.5km | ¥223,350 |
| 10 | ふふ京都 | 40 | 2021 | 3.3km | ¥171,022 |
| 11 | ウェスティン都ホテル京都 | 266 | 1890 | 3.6km | ¥149,899 |
| 12 | ギャリア・二条城 京都 | 25 | 2020 | 2.5km | ¥131,167 |
| 13 | ホテルオークラ京都岡崎別邸 | 60 | 2022 | 3.0km | ¥129,229 |
| 14 | デュシタニ京都 | 147 | 2023 | 4.5km | ¥128,731 |
| 15 | 丸福樓 | 18 | 2022 | 4.5km | ¥118,539 |
散布図が示すのは二つの事実である。第一に、京都のラグジュアリー帯は70〜160室に厚みがあり、135室という本計画の規模はザ・リッツ・カールトン京都(134室)、フォーシーズンズホテル京都(123室)、ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts(114室)と同じゾーンに入る。ROKU KYOTOはヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)によれば2021年開業・114室で、国内で営業中の唯一のLXRブランドである。第二に、29施設のうち計画地から2km以内にあるのは1施設(KAYA 京都 二条城)にとどまり、掲載価格10万円超の19施設はすべて2km圏の外にあり、東山・左京側の鴨川東岸、二条城周辺、下京区の中心部、北区鷹峯に分かれて立地する。上京区北部は、京都のラグジュアリー地図の中で唯一の空白である。
相国寺・京都御苑・同志社という立地は、祇園・東山の華やぎとも、御池・三条のビジネス街とも異なる「静かな文化の中心」という性格を持つ。選定資料が記す相国寺の承天閣美術館と連携した寺宝のプログラムや、座禅・講話を交えた滞在、西陣織や茶陶朝日焼を客室に取り入れる計画は、この空白を埋めるための差別化軸である。価格帯で先行者となれる立地であることが、本計画の最大の投資機会といえる。
床の経済性 — 1室152㎡の低層ラグジュアリーの建設費は1室1.2〜1.6億円
延床20,553.63㎡は坪に換算すると約6,217坪、135室で割ると1室あたり46坪(152.2㎡)になる。ビジネス・シティ区分のホテルが一般に20〜30㎡台の客室を主力とするのに対し、本計画は最低約50㎡の客室に加え、レストラン、バー、スパ、プール、宴会場、そして地下に集約した後方室と駐車場を抱える。この床をどの単価で建てるかが投資の出発点になる。
建設費の坪単価は三つのシナリオで置く。国土交通省「建築着工統計」によれば2024年の宿泊業用建築の工事費は全構造平均で195万円/坪であり、業界メディアの業態別目安ではラグジュアリーが250〜350万円/坪とされる。本計画は低層・地下1階のRC造で、客室面積が大きく仕上げの水準も高いことから、全国平均を上回る250万円・300万円・350万円の3水準を仮定し、300万円を基準ケースとした。土地は三菱地所の取得価格が公表されていないため、計画地に最も近い公示地価標準地(上御霊中町、59万4,000円/㎡)を敷地面積に乗じた参考評価を用いる。
| 項目 | 坪単価250万円 | 坪単価300万円基準 | 坪単価350万円 |
|---|---|---|---|
| 建設費(延床20,553.63㎡=6,217坪) | 155億円 | 187億円 | 218億円 |
| 建設費/1室(135室) | 1.15億円 | 1.38億円 | 1.61億円 |
| 土地の参考評価(近傍公示地価59.4万円/㎡×敷地12,216㎡) | 73億円 | 73億円 | 73億円 |
| 総投資額の参考値 | 228億円 | 259億円 | 290億円 |
| 総投資額/1室 | 1.69億円 | 1.92億円 | 2.15億円 |
基準ケースの建設費は約187億円、1室あたり約1.38億円である。土地の参考評価約73億円を加えた総投資額は約259億円、1室あたり約1.92億円になる。参考として、同じ制度で選定された(仮称)シャングリ・ラ ホテル 京都二条城計画は延床11,919.9㎡・77室で1室あたり154.8㎡と、本計画とほぼ同じ床の使い方である。1室1.4億円という水準は、床の広さと仕様がそのまま投資単価に表れたものといえる。
必要ADRの逆算 — 通年稼働率70%で7.3万〜9.3万円、ラグジュアリー帯の中位に収まる
総投資額に対してGOP(営業粗利益)で年5%の利回りを確保する、という目標を置いて必要ADRを逆算する。前提は、フルサービス型のGOP率25%、宿泊売上が総売上の55%(残りはレストラン・バー・スパ・宴会)、135室・365日営業である。GOP率はインヴィンシブル投資法人が開示するMHM運営91物件の実績38.9%(2024年12月期)を上限の参照とし、料飲と宴会を抱えるフルサービス型として保守的に25%を採用した。基準ケース(総投資259億円)では年間GOP約13億円、総売上約52億円、宿泊売上約28億円が必要になり、必要RevPARは¥57,800、通年稼働率70%なら必要ADRは¥82,600(税抜相当)となる。同じ逆算の枠組みを下京区の宿泊特化型計画に当てはめたモットーbyヒルトン京都108室の必要ADRは約2.4万円と並べると、1室あたり延床の差が必要ADRの開きにどう表れるかを読み取れる。
| 建設費シナリオ | 通年稼働率60% | 通年稼働率70% | 通年稼働率80% | 必要RevPAR |
|---|---|---|---|---|
| 坪単価250万円(総投資228億円) | ¥84,800 | ¥72,700 | ¥63,600 | ¥50,900 |
| 坪単価300万円(総投資259億円) | ¥96,400 | ¥82,600 | ¥72,300 | ¥57,800 |
| 坪単価350万円(総投資290億円) | ¥108,000 | ¥92,500 | ¥81,000 | ¥64,800 |
この必要ADRを市場と照らす。京都府のラグジュアリー帯(掲載価格10万円以上、対象13施設/589室)は2026年9月に推定稼働率83.7%を保ち、半径5km圏のデラックス区分29施設のうち19施設が掲載価格10万円超で販売している。掲載価格(税込・全プラン平均)と推定成約ADR(税抜相当・最安プラン水準ベース)は基準が異なり直接の比較はできないが、星のや京都(25室)がREIT開示でADR87,585円・稼働率84.3%(2026年8月)を実現していることを考えると、必要ADR¥72,700〜¥92,500(稼働率70%)は京都のラグジュアリー帯の中位から上位にかけての水準であり、ブランドの価格帯に照らしても到達余地のある目標値といえる。
感度も確認しておく。基準ケースからADRが10%下がるとGOP利回りは4.5%、稼働率が5pt下がると4.6%、両方が重なると4.2%になる。ラグジュアリー帯の稼働が季節で7割台まで下がる(2026年6〜7月の京都府ラグジュアリー帯は73.5〜75.4%)ことを踏まえると、年間稼働70%は実績の範囲内にあり、むしろADRの置き方が利回りを左右する。
| シナリオ | ベースケース | ADR −10% | 稼働率 −5pt | 両方 |
|---|---|---|---|---|
| GOP利回り(対総投資259億円) | 5.0% | 4.5% | 4.6% | 4.2% |
宿泊税の設計も価格帯の置き方に関わる。京都市は2026年3月1日から宿泊税を5段階に改め、宿泊料金10万円以上は1人1泊1万円、5万円以上10万円未満は4,000円、2万円以上5万円未満は1,000円とした。課税区分は1人あたりの宿泊料金で判定されるため、2名1室で15万円の客室は1人7.5万円となり4,000円帯に収まる。一方、1人あたり10万円を超えるスイートや1名利用では1万円帯に入る。ラグジュアリー帯の価格設計は、この閾値をまたぐかどうかを織り込んで組まれることになる。
制度の希少性 — 上質宿泊施設誘致制度で住居系地域に立つ3つの計画
京都市の「上質宿泊施設誘致制度」は、地域住民の生活との調和を前提に、地域貢献や活性化に寄与し、京都の魅力を体験できる宿泊施設計画を市が支援する制度である。計画者が計画書を提出すると、市は外部有識者の意見を聴取しつつ約30事項を確認し、上質宿泊施設候補として選定する。当社が公表資料で確認できた選定事例は3件で、いずれも住居系の用途地域に立地している。
| 選定日 | 計画 | 計画者 | 所在地 | 客室 | 延床面積 | 用途地域 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和3年4月19日 | (仮称)京都御室花伝抄計画 | 共立メンテナンス | 右京区御室芝橋町 | 67室 | 5,818.88㎡ | 第一種住居地域(過半)/第一種低層住居専用地域 |
| 令和4年2月2日 | (仮称)シャングリ・ラ ホテル 京都二条城計画 | Shangri-La Kyoto Nijojo 特定目的会社 | 上京区竹屋町通大宮東入藁屋町 | 77室 | 11,919.9㎡ | 第一種住居地域 |
| 令和4年11月14日 | (仮称)京都相国寺門前町計画 | 三菱地所 | 上京区相国寺門前町 | 135室 | 20,553.63㎡ | 第二種中高層住居専用地域 |
3件を並べると、本計画の規模が際立つ。延床は(仮称)シャングリ・ラ ホテル 京都二条城計画の1.7倍、客室数は1.75倍で、1室あたり延床は152.2㎡とシャングリ・ラ計画の154.8㎡に並ぶ。シャングリ・ラ計画が二条城の緩衝地帯で第一種住居地域に立つのに対し、本計画は第二種中高層住居専用地域という、より住居性の強い地域である。御室花伝抄計画は仁和寺門前で温泉と茶室を備えた67室の計画で、同じ制度の中でも異なる滞在の形を担う。制度が住居系地域での立地を可能にしていること自体が、通常の商業地では得られない「静かな環境と広い敷地」という希少性を生んでいる。
選定資料によれば、有識者会議は本計画について、相国寺と一体不可分の土地としての歴史性への敬意、良好な住環境と地域景観との調和、幹線道路からのアクセスに関する交通計画の検証を求めつつ、669軒の個別訪問をはじめとする合意形成の取り組みと、高さやボリュームを抑えた建築計画を評価している。市の選定理由は、市内産品の活用と地元雇用による京都経済への貢献、地域住民も利用できるレストランや庭園、スイートルームやスパ・プールを備えた滞在型観光の促進である。
供給パイプライン — 京都市のラグジュアリー新規供給と本計画の位置
国土交通省「建築物動態統計調査」に基づく当社の建築計画データで、京都府内のホテル計画(確認申請ベース)は5件あり、京都市内の50室以上は4件である。本計画のほか、南区東九条のジェイアール東海ホテルズ270室(完了予定2026年4月30日)、東山区祇園町南側の帝国ホテル55室(同2026年4月1日)、東山区三十三間堂廻りのオリックス不動産53室(同2028年12月31日)が並ぶ。半径5km圏のデラックス区分29施設には、2026年に開業した帝国ホテル 京都(55室)とカペラ京都(89室)がすでに含まれており、京都のラグジュアリー帯は小規模・高単価の新規供給が続いている。
| 所在地 | 建築主 | 客室 | 延床 | 階数 | 完了予定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 京都市上京区相国寺門前町709-1 | 三菱地所 | 135室 | 20,553.6㎡ | 地上3階 | 2027年9月30日 |
| 京都市南区東九条東山王町19番1 | ジェイアール東海ホテルズ | 270室 | 15,660.0㎡ | 9階 | 2026年4月30日 |
| 京都市東山区祇園町南側570-2 | 帝国ホテル | 55室 | 10,804.2㎡ | 7階 | 2026年4月1日 |
| 京都市東山区三十三間堂廻り644-2、644-7 | オリックス不動産 | 53室 | 25,000.0㎡ | 4階 | 2028年12月31日 |
本計画の135室は、この新規供給の中で唯一の上京区北部立地であり、客室数ではジェイアール東海ホテルズの270室に次ぐ規模である。2026年に開業した2施設が東山区であることを考えると、本計画は京都のラグジュアリー地図を北へ広げる最初の大型案件になる。確認申請ベースの件数は今後の申請追加で増える下限値であり、京都中央郵便局の建て替えで上層階にホテルを入れる複合ビル構想など、確認申請前の構想も複数ある点は留意が必要である。
投資判断の論点 — 用途許可・開業時期・価格形成の3点
| 論点 | 確認できる事実 | 見方・機会 |
|---|---|---|
| 用途許可・法定手続き | 第二種中高層住居専用地域でのホテルは建築基準法上の用途許可を前提とする。市資料は公聴会・建築審査会の手続きを「今後の予定」に明記 | 資料記載の地域調和策(高さ12m、セットバック約6〜10m、交通動線の分離)が許可の論点に対応する設計になっている |
| 開業時期 | 市資料は「令和8年度中」、建築計画データは完了予定2027年9月30日。正式名称・開業日は未公表(2026年10月24日時点で当社が確認できた範囲) | 開業が後ろにずれるほど、2026年に開業した帝国ホテル 京都・カペラ京都など新規ラグジュアリー供給の吸収を見てから価格を置ける |
| 価格ポジション | 上京区の推定成約ADRは1.54万円(2026年9月、N=9)で、デラックス区分は半径2km圏に1施設57室(KAYA 京都 二条城)のみ | 京都市内のラグジュアリー帯は半径5km圏に29施設・2,643室が分布し、掲載価格10万円超が19施設。上京区では先行者としての価格形成余地が大きい |
| 建設費 | 坪単価の前提±50万円で総投資は228〜290億円、必要ADRは7.3万〜9.3万円(通年稼働率70%)に動く | 建設費の上昇は新規供給の抑制要因でもあり、既存の高単価帯と競合が緩やかになるアップサイドを持つ |
| 自然災害 | 上京区に土砂災害警戒区域はない(京都市「特定災害情報」)。賀茂川は計画地の東約750mで、鴨川・高野川の洪水浸水想定区域図(想定最大規模)での確認が必要 | 計画には雨水貯留槽・防災備蓄倉庫・災害時の一時避難所開放が盛り込まれている(市資料) |
| 宿泊税 | 2026年3月1日から宿泊料金10万円以上は1人1泊1万円(京都市) | 課税区分は1人あたり宿泊料金で判定されるため、2名1室で15万円の客室は1人7.5万円=4,000円帯に収まる |
論点を三つに絞る。第一は用途許可である。第二種中高層住居専用地域でのホテルは建築基準法上の許可を前提とし、市資料も公聴会・建築審査会の手続きを「今後の予定」に置いている。建築計画データが着工2024年6月を示していることから手続きは進んでいると読めるが、正式発表で確認すべき事項である。第二は開業時期で、市資料の「令和8年度中」と建築計画データの完了予定2027年9月30日の間には半年の幅があり、どちらも確定日ではない。第三は価格形成で、上京区の推定成約ADR1.54万円という市場の中央値ではなく、京都市内のラグジュアリー帯と比較して置くべきであり、必要ADR7.3万〜9.3万円(通年稼働率70%)は市場の上位帯の中に収まる。
まとめ — 容積を使い切らない設計が生む、上京区北部の新しい価格帯
既存 2km圏の供給構造
稼働36軒2,065室のうち8割がビジネス・シティ・カプセル区分。100室以上(カプセル除く)の推定成約ADRは1.4万〜3.2万円帯。デラックス区分は1施設57室。
本計画 135室・1室152㎡
必要ADR ¥72,700〜¥92,500(通年稼働率70%・GOP利回り5%・税抜相当)。2km圏に同じ価格帯の供給がなく、先行者として価格を形成できる。
参照 市内ラグジュアリー帯
半径5km圏29施設・2,643室、掲載価格10万円超は19施設。2026年9月の推定稼働率は83.7%(対象13施設/589室)。
(仮称)京都相国寺門前町計画は、容積率200%の敷地で延床を敷地の168%にとどめ、高さを15mの上限に対し12mに抑え、135室の1室あたり延床を152㎡とした低層ラグジュアリーである。半径1km圏の稼働客室83室の約1.6倍、2km圏の稼働客室2,065室の+6.5%という供給インパクトは、数字の上では限定的に見えるが、価格帯としては周辺にまったく存在しないものを持ち込む。坪単価300万円・通年稼働率70%・GOP利回り5%で逆算した必要ADR¥82,600は、京都市内のラグジュアリー帯の中位にあり、相国寺・京都御苑・同志社に囲まれた立地の希少性とブランドの集客力を考えれば到達余地のある水準である。開業日と正式名称の発表、そして2026年に開業した東山区の新規ラグジュアリー供給の吸収状況が、次に確認すべき材料になる。
※本稿の建設費・必要ADR・利回りは公開情報と仮定に基づく簡易試算であり、実際の投資判断には詳細なフィージビリティ・スタディが必要です。本記事のADRは推定値(REIT開示実績との照合で誤差中央値約7%)であり、本記事の推定成約ADRは税抜相当の水準です。
集計方法と出典
■ データソース
計画の諸元は京都市産業観光局「上質宿泊施設候補の選定について」(令和4年11月14日)、建築計画の着工・完了予定は国土交通省「建築物動態統計調査」に基づく当社の建築計画データ。客室ストックはメトロエンジンリサーチの半径圏集計(計画地 北緯35.0322・東経135.7605、半径1,000m/2,000m/5,000m、客室数10室以上、2026年10月25日時点)。推定成約ADRは当社の推定値(区・府は対象施設の中央値、2026年9月は確定月)。推定稼働率はOTA掲載在庫ベース(2026年5〜9月)。地価は国土交通省「地価公示」(2026年)。居住人口は国土交通省 国土数値情報(250mメッシュ別将来推計人口)。
■ 試算前提
延床20,553.63㎡=6,217坪、建設費の坪単価250/300/350万円、土地は近傍公示地価59万4,000円/㎡×敷地12,216.25㎡の参考評価、GOP率25%、宿泊売上比率55%、135室・365日、目標GOP利回り5%(対総投資額)。必要ADRは税抜相当。
■ 限界・留意点
推定成約ADRはビジネス・シティ・リゾート・旅館・カプセル区分のみ算出され、デラックス区分は掲載価格(2名1室・税込・全プラン平均)で比較している。上京区の推定成約ADRは対象9施設と小さい。建設費の坪単価と土地評価は仮定であり、三菱地所の実際の投資額とは異なる。確認申請ベースの建築計画は今後の申請追加で増える下限値である。開業時期は市資料の表記と建築計画データの完了予定を併記したもので、確定開業日ではない。
よくある質問
Q. (仮称)京都相国寺門前町計画はどこに、何室のホテルですか?
A. 京都市上京区相国寺門前町709-1、2(地下鉄烏丸線 今出川駅から約330m)に、三菱地所が計画するローズウッドホテルグループのホテルです。客室は135室(最低約50㎡〜最高約225㎡)、地上3階・地下1階、延床面積20,553.63㎡です(京都市産業観光局「上質宿泊施設候補の選定について」令和4年11月14日)。
Q. 開業はいつですか?
A. 京都市の選定資料は「令和8年度中 開業」と記載し、国土交通省の建築物動態統計調査に基づく建築計画データでは完了予定が2027年9月30日です。いずれも確定した開業日ではなく、正式名称と開業日は2026年10月24日時点で公表が確認できていません。
Q. 周辺にはどのくらいホテルがありますか?
A. 計画地から半径1km圏では掲載10軒314室、直近3か月に販売価格が確認できた稼働中は2軒83室です。半径2km圏では掲載74軒3,064室、稼働中36軒2,065室で、デラックス区分は1施設57室、ラグジュアリー区分はありません(2026年10月25日時点、客室数10室以上)。
Q. 必要ADRはいくらと試算されますか?
A. 建設費の坪単価300万円、土地の参考評価約73億円、GOP率25%、宿泊売上比率55%、通年稼働率70%でGOP利回り5%を満たす必要ADRは約¥82,600(税抜相当)です。坪単価250〜350万円の幅では¥72,700〜¥92,500になります。簡易試算であり、実際の投資判断には詳細な検討が必要です。
Q. 上京区のホテル単価はどの水準ですか?
A. メトロエンジンリサーチの推定成約ADR(区内施設の中央値)は2026年9月に¥15,400(対象9施設)で、前年同月比+6.2%でした。東山区¥21,400、中京区¥15,100、下京区¥13,900と比べると中京区と同水準です。
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- ホテル1室の建築費は2,067万円 — 計画31件の客室原単位35.0㎡から逆算
参考資料・出典一覧
■ 一次資料(京都市)
- 京都市産業観光局 観光MICE推進室「上質宿泊施設候補の選定について」(令和4年11月14日)—(仮称)京都相国寺門前町計画
- 京都市「京都市上質宿泊施設候補選定に係る有識者会議の開催について」(令和4年10月24日)
- 京都市「上質宿泊施設候補の選定について」(令和4年2月2日)—(仮称)シャングリ・ラ ホテル 京都二条城計画
- 京都市「上質宿泊施設候補の選定について」(令和3年4月19日)—(仮称)京都御室花伝抄計画
- 京都市「京都市上質宿泊施設誘致制度」
- 京都市「宿泊税」(2026年3月1日改定、ページ更新2026年3月27日)
- 京都市「特定災害情報」(2026年8月28日版)
■ 市場データ
- メトロエンジンリサーチ&コンサルティング — 客室ストック(半径1km/2km/5km、2026年10月25日時点)、推定成約ADR(京都府・区別、N=576〜607施設)、推定稼働率(OTA掲載在庫ベース)、掲載価格
■ 政府統計・公的データ
- 国土交通省「建築物動態統計調査」— 建築計画(確認申請ベース)
- 国土交通省「建築着工統計」— 宿泊業用建築の工事費(2024年 全構造平均195万円/坪)
- 国土交通省「地価公示」(2026年)— 京都市上京区の標準地・平均値(土地代データ掲載値)
- 国土交通省 国土数値情報「250mメッシュ別将来推計人口(R6国政局推計)」
- 京都府「鴨川・高野川 洪水浸水想定区域図(想定最大規模)」
- 京都市「令和7(2025)年 京都観光総合調査」— 外国人観光客1,268万人・外国人宿泊客809万人(訪日ラボ、2026年6月30日報道)
■ REIT・業界レポート・ブランド資料
- 星野リゾート・リート投資法人「月次運営実績」— 星のや京都 2026年8月(物件別開示)
- インヴィンシブル投資法人 — MHM運営91物件 GOP率38.9%(2024年12月期)
- HOTELISM「ホテル建設費の目安」— 業態別坪単価(ラグジュアリー250〜350万円/坪)
- 日本ハイアット 株式会社「報道資料 2026年4月」— ハイアット プレイス 京都(2022年4月1日開業・239室)、パーク ハイアット 京都(2019年10月・70室)、ハイアット リージェンシー 京都(2006年3月・187室)
- ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)— ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts(2021年開業・114室)
出典: 日本ハイアット 株式会社「報道資料 2026年4月」
出典: ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)
