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Minn 両国、24室・1室6〜8名のアパートメントホテル12月開業 — 1km圏6,624室・墨田区ADR1.43万円

投稿日 : 2026.11.02

東京都

投資・開発

Minn 両国、24室・1室6〜8名のアパートメントホテル12月開業 — 1km圏6,624室・墨田区ADR1.43万円

SQUEEZE(558A・東証グロース)が2026年12月に東京都墨田区で開業するアパートメントホテル「Minn 両国」は、全24室・各室6〜8名対応・最大収容172名という、1室あたり定員7.2名の大型客室で構成される。トラベルボイスの報道(2026年10月20日)によれば、不動産の取得・資金調達・投資スキーム組成はRS Investment Managementが、運営とテクノロジー基盤(自社開発の運営プラットフォーム「suitebook」)はSQUEEZEが担い、両社が2026年8月に結んだ包括業務提携に基づく新規案件と位置づけられている。本稿では、この「持つ会社」と「回す会社」を分けた事業構造を整理したうえで、両国駅から半径1km圏の客室供給、墨田区の推定成約ADR、同ブランド既存施設の人数別公開価格、そして相撲・花火という両国固有の需要の山を数字で読み解く。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)

本記事の客室ストックは、両国駅から半径1,000m圏内にある客室数10室以上の宿泊施設(レジャーホテルを除く)を対象とし、「稼働中」は直近3か月(2026年8月〜2026年10月)に主要予約サイトで販売価格が確認できた施設を指す(2026年10月26日時点、メトロエンジンリサーチ集計)。

Minn 両国の規模
24室 / 172名
1室あたり定員7.2名(公表値から算出)
両国駅1km圏の稼働ストック
53軒・6,624室
掲載ベースは76軒・8,133室
墨田区 推定成約ADR(2026年9月)
¥14,300
対象30施設の中央値・税抜相当
墨田区 稼働率(推定・2026年9月)
86.3%
対象26施設/客室3,181(主要予約サイト掲載ベース)
両国 商業地の公示地価(2026年)
+15.8〜18.0%
標準地2地点の前年比(国土交通省 地価公示)
Key Takeaways
  • — 24室・最大172名(1室定員7.2名)。資産の取得・保有はRS Investment Management、運営はSQUEEZEが担う分業型で、2026年12月に墨田区で開業する。
  • — 両国駅1km圏の稼働ストックは53軒・6,624室。ビジネスホテルが8割強を占め、50室以下は19軒・435室と薄い。2021年以降の圏内ストックは横ばい。
  • — 墨田区の推定成約ADRは2026年9月¥14,300(N=30)で、江東区と同水準、東京都全体(¥13,700)をやや上回る。
  • — 同ブランド都内5施設の6名利用は1室¥87,400=1人あたり¥14,600で、周辺2名1室(1人あたり¥12,400)の約1.2倍。24室・通年稼働率80%の参考試算では年間客室売上は約6.1億円。
  • — 本場所中の平日掲載価格は+8〜23%、隅田川花火当日は中央値+15%。在庫が尽きるのは連休(墨田区98%台)で、本場所は「価格で取る」行事。

計画概要と分業モデル — 資産を持つRS Investment Management、運営を回すSQUEEZE

まずは公表されている事実を整理する。トラベルボイスの記事が伝える「Minn 両国」の仕様は、全24室、全室が6〜8名に対応し、最大収容人数は172名である。開業は2026年12月で、SQUEEZEにとって墨田区では初の運営拠点になる。番地・最寄駅・取得価格・スキームの詳細は報道に含まれておらず、本稿でもこれらは推定しない。したがって以下の商圏分析は、両国駅を中心とする半径1km圏という区域レベルで行う。

役割分担は明確である。SQUEEZEが2026年8月13日に開示した適時開示では、RS Investment Managementを「国内外の主要な機関投資家の資金を対象に、不動産に関するアレンジメント事業を手掛ける企業」と説明し、提携の内容として「インバウンド需要及びファミリー需要が見込まれる主要都市を中心に、資金調達及びSPCの組成の段階から両社が連携して宿泊施設の企画・開発・運用に取り組む」と記している。同社は2019年7月設立・資本金5,000万円、港区六本木に本社を置き、SQUEEZE株式の1.97%(2026年6月30日基準)を保有する株主でもある。SQUEEZE側は、自社開発の宿泊運営プラットフォーム「suitebook」と遠隔運営体制を使ったアセットライト型の宿泊事業を軸とし、両社は「Minn 日本橋水天宮前」「Minn 河原町五条リバーサイド」でも同じ組み合わせで協業してきた。

表1 Minn 両国の分業構造(RS Investment Management/SQUEEZE)
機能RS Investment ManagementSQUEEZE
不動産の取得・保有資産運用機能。SPC組成・資金調達を含む—(資産を持たないアセットライト型)
資金調達・投資スキーム国内外の機関投資家資金を対象とするアレンジメント—
運営(接客・清掃・RM)—suitebookによるクラウドレセプション、スマートチェックイン、レベニューマネジメント
ブランド—「Minn」(グループ・ファミリー・中長期滞在向けアパートメントホテル)
協業実績Minn 日本橋水天宮前、Minn 河原町五条リバーサイド。2026年8月13日に包括業務提携契約を締結

出典:株式会社SQUEEZE「RS Investment Management 株式会社との包括業務提携契約締結に関するお知らせ」(2026年8月13日)、トラベルボイス(2026年10月20日)よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成

この分業がどの程度の規模で動いているかも公表値で確認できる。証券リサーチセンターのフォローアップ・レポート(2026年8月25日)によると、SQUEEZEが運営支援するホテルの総客室数(RUM)は2026年6月末で25,149室(前年同期末比61.6%増)、うち運営全体を担うフル支援施設は1,365室である。同レポートはRS Investment Managementとの関係について「購入したホテルに長期のホテル運営業務を提供」し「今後数年で20施設のホテル運営を目指している」と記し、2027年12月期末のフル支援施設RUMを2,500室と見込む。Minn 両国の24室はその積み上げの一つであり、1室あたり定員7.2名という設計は、客室数で測る従来の供給統計よりも「収容人数」で見たほうが実像に近い。アパートメントホテルを含む長期滞在型ブランドの全国供給については、長期滞在型ホテル ブランド横断の日本供給マップ|1,521施設・価格帯5階層【2026】が1,521施設を棚卸ししている。

両国駅1km圏の客室供給 — 稼働53軒・6,624室、2020年に一段増えて以降は横ばい

次に商圏の供給を棚卸しする。両国駅から半径1km圏には、客室数10室以上の宿泊施設が掲載ベースで76軒・8,133室あり、そのうち直近3か月に販売価格が確認できた「稼働中」の施設は53軒・6,624室である。年次で追うと、2019年末の4,879室から2020年末には6,691室へ1,812室増え、この1年で圏内ストックは1.4倍になった。アパホテル&リゾート〈両国駅タワー〉(1,111室)やザ・ゲートホテル両国 by HULIC(126室)など、両国駅前の大型開業が集中した年である。2021年以降は6,608〜7,301室の範囲で推移し(2025年末は7,209室)、新たな大量供給は入っていない。

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(OTA掲載確認ベース、N=75施設。両国駅から半径1km圏・客室数10室以上・開業年が確認できる施設の各年末時点ストック。開業年が確認できない1施設181室は不算入)

業態別に見ると、稼働中の6,624室のうちビジネスホテルが5,475室と8割を占め、201室以上の大型施設10軒だけで3,439室(稼働室数の52%)に達する。一方、Minn 両国と同じ50室以下の小規模施設は稼働19軒・435室にとどまり、うち10軒がホステル・ゲストハウス業態である。つまりこの商圏は「2名1室のビジネスホテルが大型で並び、小規模は簡易宿所系」という二層構造であり、6〜8名で1室を使うファミリー・グループ向けの客室は、客室数の統計上はごく薄い。

表2 両国駅1km圏の業態別客室ストック(掲載・稼働、2026年10月26日時点)
業態掲載 軒数掲載 客室数稼働 軒数稼働 客室数
ビジネスホテル405,897365,475
ホステル2098810346
シティホテル24602460
カプセルホテル23971161
ドミトリー62362151
ゲストハウス6155231
表3 両国駅1km圏の規模階級別客室ストック(掲載・稼働)
規模階級掲載 軒数掲載 客室数稼働 軒数稼働 客室数
50室以下3379919435
51〜100室141,01410735
101〜200室182,645142,015
201室以上113,675103,439

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(両国駅から半径1km圏、N=76施設、2026年10月26日時点)

円の大きさ=客室数。濃紺=シティホテル、青=ビジネスホテル、淡青=ホステル・ドミトリー・ゲストハウス、灰=カプセルホテル。破線は両国駅から半径1km。Minn 両国の所在地は公表されていないため地図には置いていない。

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(稼働中53施設の実座標)

今後の供給も限定的である。メトロエンジンリサーチの建築計画データでは、墨田区内のホテル用途は吾妻橋3丁目の2件(各45室・10階建て・2028年1〜2月完成予定)が確認できる程度で、両国駅1km圏に100室超の計画は見当たらない。2026年に圏内近傍で開業・開業予定の施設も、KOKO HOTEL Residence 東京押上(25室・7月)、LIVCITY錦糸町参番館(20室・3月)、KOKO HOTEL Residence浅草二天門(39室・12月予定)と、いずれも長期滞在・キッチン付きを掲げる小規模物件が中心だ。※建築計画の件数は調査時点での確認申請ベースであり、今後の申請追加で増加する見込みの下限値として参照されたい。開業データも主要予約サイトへの掲載確認ベースのため、直近月以降は今後の掲載で増える可能性がある。

墨田区の推定成約ADR — 9月は1.43万円、江東区1.43万円・台東区1.34万円と同じ帯

価格水準を見る。墨田区の推定成約ADR(対象施設の中央値・税抜相当)は2026年9月に¥14,300(N=30)で、同月の江東区¥14,300(N=39)とほぼ同額、台東区¥13,400(N=176)をわずかに上回り、中央区¥17,300(N=152)には届かない。東京都全体の¥13,700(N=1,139)と比べると、墨田区は都平均から数百円上に位置する「都心外縁の標準帯」である。

月次の形も確認しておきたい。2026年の墨田区は4月に¥19,500まで上がった後、8月に¥11,900へ下がり、9月に¥14,300へ戻った。桜・新年度の4月と、秋の行楽期・年末に向けて上がり、梅雨と8月に沈む季節性は2025年と同じ形である。10月以降は調査時点の掲載水準に基づく見込み値で、2万円台に見えるが、これはチェックイン日が近づくにつれ変動する途中経過であり、実績として読んではならない。なお墨田区は2026年6月以降に掲載施設数の集計範囲が広がっているため、本稿では区単位の前年同月比は用いず、水準の比較にとどめる。東京都全体では2026年9月の推定成約ADRが前年同月比+1.9%と、ほぼ横ばいであった。

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(墨田区・推定成約ADR中央値。2026年10〜12月は調査時点の掲載水準に基づく見込み値、N=30前後)

表4 東京都心5区と東京都の推定成約ADR(2026年9月)
エリア推定成約ADR(2026年9月)対象施設数掲載価格(全プラン平均・税込)
墨田区¥14,27830¥23,556
台東区¥13,366176¥23,824
江東区¥14,29039¥24,807
中央区¥17,270152¥30,699
千代田区¥14,90080¥26,927
東京都¥13,6601,139¥23,903

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(2026年9月実績。推定成約ADRは税抜相当、掲載価格は2名1室・税込)

需給の消化も区単位で見ておく。墨田区の稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)は2026年9月の月平均で86.3%(対象26施設/客室3,181、主要予約サイト掲載ベース)であった。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なるが、平日でも80%台前半を下回る日はほとんどなく、商圏の在庫は平常月でも厚く消化されている。

大人数客室の単価設計 — 「1室」と「1人」の基準をそろえて比較する

ここからが本稿の中心である。墨田区の推定成約ADR¥14,300は「2名1室・1室あたり」の水準であり、1人あたりに割れば約¥7,100になる。これに対しMinn 両国の客室は6〜8名で使う前提のため、1室の価格をそのまま区のADRと並べても意味を持たない。基準を「1人あたり」にそろえる必要がある。

そこで、同ブランドの東京都内5施設が2026年11〜12月宿泊分として公開している価格を、利用人数別に集計した(2026年10月下旬の調査時点、1室あたり・全プラン平均・税込。以下は掲載価格であり推定成約ADRではない)。2名利用では1室¥56,500(5施設中央値)で、1人あたり¥28,200。同じ商圏のビジネス・シティホテル38施設が同期間に公開する2名1室の掲載価格中央値¥24,800(1人あたり¥12,400)の約2.3倍である。ところが6名利用では1室¥87,400・1人あたり¥14,600、7名利用では1室¥103,200・1人あたり¥14,700まで下がり、ビジネスホテルの1人あたり水準の約1.2倍まで近づく。人数が増えるほど1人あたりの差は縮み、キッチン・洗濯機付きの1室を占有できる分が上乗せ幅になる。

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(Minn 都内5施設の2026年11〜12月宿泊分・掲載価格・全プラン平均・税込を利用人数で除した値。比較線は両国駅1km圏のビジネス・シティホテル38施設の2名1室掲載価格中央値を2で除した値。調査時点の掲載水準であり今後変動する)

表5 Minn 都内5施設の利用人数別掲載価格(2026年11〜12月宿泊分・1室あたり・税込)
施設(客室数)2名利用4名利用6名利用7名利用
Minn 浅草蔵前 Station(16室)¥73,276
¥36,638/人
¥76,764
¥19,191/人
¥95,902
¥15,984/人
¥127,912
¥18,273/人
Minn奥浅草(40室)¥51,385
¥25,692/人
¥56,811
¥14,203/人
¥68,695
¥11,449/人
¥80,144
¥11,449/人
Minn秋葉原(26室)¥51,142
¥25,571/人
¥53,616
¥13,404/人
¥94,660
¥15,777/人
¥110,436
¥15,777/人
Minn日本橋(32室)¥56,455
¥28,228/人
¥61,683
¥15,421/人
¥83,695
¥13,949/人
¥97,644
¥13,949/人
Minn日本橋水天宮前(29室)¥70,288
¥35,144/人
¥75,750
¥18,938/人
¥87,363
¥14,560/人
¥103,212
¥14,745/人

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(2026年11〜12月宿泊分の掲載価格・1室あたり・全プラン平均・税込、各施設61日分。青字は1人あたり換算)

この構造が示すのは、大型客室アパートメントホテルの収益は「1室単価の高さ」ではなく「1室に何人を入れられるか」で決まる、ということである。6名が泊まる場合、2名1室のビジネスホテルなら3室が必要になり、1km圏の掲載価格中央値で計算すると3室合計は¥74,300になる。Minnの6名利用1室¥87,400はその約1.2倍で、宿泊者側の上乗せは1人あたり¥2,200程度にとどまる一方、運営側は清掃・チェックインを1室分で済ませながら6名分の売上を1室で得る。この両立が、1室定員7.2名という設計の経済的な意味である。

Minn 両国に当てはめると、24室×7.2名=172名が満員時の収容力になる。仮に同ブランドの6名利用中央値¥87,400で24室すべてが売れた場合、1日あたりの客室売上は¥2,096,700規模となり、同じ床で2名1室のビジネスホテルを運営した場合(圏内中央値¥24,800×24室=¥594,700)の約3.5倍に相当する。これは同ブランドの公開価格を当てた参考計算であり、Minn 両国の実際の料金・稼働を予測するものではない。6〜8名のグループが安定して集まるか、という需要側の問いは別に検証を要する。

この参考計算は「1日・満室」の一点に置いた値なので、単価と稼働の幅を持たせた年間ベースでも見ておく。下表は、同ブランド都内5施設の6名利用1室価格(低位・中位・高位)と、仮置きの通年稼働率70%・80%・90%を組み合わせ、24室×365日の年間客室売上を試算したものである。中位・通年稼働率80%で約6.1億円、最も低い組み合わせ(低位・通年稼働率70%)でも約4.2億円となり、同じ24室を2名1室のビジネス・シティホテル水準で売った場合(通年稼働率80%で約1.7億円)の2.4〜4.3倍の幅に収まる。単価の振れ(低位↔高位で約1.4倍)が稼働率の振れ(70%↔90%で約1.3倍)とほぼ同じ大きさで効く点が、大型客室型の収益の特徴である。

表6 参考試算:大型客室24室の年間客室売上(1室単価×通年稼働率)
1室単価のケース(6名利用・掲載価格)通年稼働率70%通年稼働率80%通年稼働率90%
低位(Minn奥浅草の6名利用 ¥68,695)4.21億円4.81億円5.42億円
中位(5施設中央値 ¥87,363)5.36億円6.12億円6.89億円
高位(Minn 浅草蔵前 Stationの6名利用 ¥95,902)5.88億円6.72億円7.56億円
比較:2名1室ビジネス・シティ中央値 ¥24,7791.52億円1.74億円1.95億円

試算:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(年間客室売上=1室単価×24室×365日×通年稼働率。単価は2026年11〜12月宿泊分の掲載価格・全プラン平均・税込で、推定成約ADRではない。稼働率は試算上の仮置きで、Minn 両国の実績・計画値ではない)

両国の需要の山 — 場所中の平日は+8〜23%、花火の夜は中央値+15%、連休は稼働98%

需要側の材料として、両国固有のイベントが周辺価格をどう動かしているかを見る。両国国技館では年3回の本場所(一月・五月・九月)が開かれる。2026年九月場所(9月13日〜27日)の期間中、両国駅周辺5施設の平日(月〜金)の掲載価格は、場所前後の平日と比べて+8.7〜+22.7%高かった。2027年一月場所(1月10日〜24日の予定)についても、調査時点で公開されている1月の平日価格は、場所期間中が前後の平日より+7.9〜+17.2%高く設定されている。15日間にわたって平日需要を押し上げる行事は、都内でも両国だけが持つ特性である。五月場所の時期に同じ商圏の価格がどう動いたかは、大相撲五月場所×ホテル需要:両国・錦糸町ADR分析(2026年5月)でも確認できる。

表7 大相撲本場所の期間中と期間外の平日掲載価格(両国駅周辺5施設)
施設9月 場所外平日9月 場所中平日差1月 場所外平日1月 場所中平日差
アパホテル&リゾート〈両国駅タワー〉¥20,162¥21,906+8.7%¥20,243¥22,867+13.0%
第一ホテル両国¥22,599¥26,249+16.1%¥19,632¥22,008+12.1%
パールホテル両国¥13,356¥15,532+16.3%¥12,278¥13,253+7.9%
両国ビューホテル¥24,818¥30,447+22.7%¥26,183¥30,166+15.2%
ザ・ゲートホテル両国by HULIC¥40,746¥47,727+17.1%¥38,181¥44,734+17.2%

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(掲載価格・2名1室・税込・平日平均。9月は実績、2027年1月は2026年10月下旬の調査時点の掲載水準で今後変動する。本場所日程は日本相撲協会の年間日程に基づく)

単発の山としては隅田川花火大会(2026年は7月25日・土)が大きい。前週の土曜(7月18日)と比べた当日の掲載価格は6施設の中央値で+15%、上位では第一ホテル両国が¥33,100→¥70,600(+113%)、fav 東京両国が¥67,800→¥101,900(+50%)と、1日で通常の土曜の1.5〜2倍の水準に達した。河川敷に面する両国は花火の観覧需要を直接受ける立地であり、6〜8名で集まるグループが客室から花火を見るという使い方は、大型客室の商品性と噛み合う。花火当日に向けて周辺ホテルの価格がどう積み上がるかは、隅田川花火大会2026年7/25カウントダウン|浅草・両国・錦糸町ホテルADR天井検証が開催前の時点から追っている。

一方、2026年9月の墨田区の日別稼働率(推定)を見ると、場所期間中の平日平均は82.8%で、場所外平日の85.2%と大きな差はない。価格は上がるが在庫の消化速度は平常並み、というのが9月の実像である。稼働が跳ねたのは9月19〜22日の秋の連休で、98.1%・98.6%と区内の掲載在庫がほぼ消え、平均掲載価格も¥45,700に達した。連休・花火・場所という三つの山のうち、在庫が尽きるのは連休型であり、場所は「価格で取る」行事だと整理できる。

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(墨田区・2026年9月の日別推定稼働率と平均掲載価格、対象26施設/客室3,181、主要予約サイト掲載ベース。リードタイム45日以内の観測に基づく)

持たない運営会社と持つ投資会社 — 投資家側のリターン構造を一般論で整理する

最後に、この分業が投資家にとって何を意味するかを、公表されている範囲で整理する。SQUEEZEの開示が示す枠組みは、RS Investment Managementが機関投資家の資金を束ねてSPCを組成し不動産を取得・保有し、SQUEEZEは資産を持たずに運営サービスを長期で提供する、というものである。J-REITが運営会社と賃貸借または運営委託の契約を結ぶ構造と同型であり、投資家の収益源は賃料ないし運営収益からの配分、運営会社の収益源は運営フィーになる。SQUEEZEの運営支援客室数が2024年12月末の9,059室から2026年6月末の25,149室へ拡大している事実は、資本を使わずに客室数を伸ばすアセットライト戦略が機能していることを示している。

投資家側から見た大型客室アパートメントホテルの特徴は三つにまとめられる。第一に、1室あたりの売上が2名1室のビジネスホテルより高い一方、客室数が少ないため固定費(フロント・清掃の人員)を薄くできる。SQUEEZEはこれをクラウドレセプションと遠隔運営で担う。第二に、収容人数ベースで見た供給は、客室数ベースの統計が示すよりも大きい。Minn 両国の24室は172名を受け入れるが、1km圏の稼働6,624室を2名1室で換算した約13,000名に対しては1.3%にあたり、商圏の需給を動かす規模ではない。第三に、需要の源泉が訪日グループ・ファミリーに偏るため、訪日客数の変動には敏感になる。日本政府観光局の推計では2026年9月の訪日外客数は約310万人(前年同月比5.0%減)で、2か月連続の前年割れとなっており、国・地域別では韓国・台湾が増え中国が減る構成変化が続いている。グループ利用を主力とする施設ほど、どの国籍・人数構成を取るかの運営設計が収益を左右する。

地価の面では、両国の商業地の公示地価(2026年)は標準地2地点で前年比+15.8%と+18.0%(1㎡あたり154万円、131万円)と、都心周辺部として高い上昇率を示している。取得価格が公表されていない以上、Minn 両国の利回りを論じることはできないが、地価上昇が続く商圏で資産を持たずに運営客室を増やすSQUEEZEと、投資家資金で資産を持つRS Investment Managementの組み合わせは、取得コストの上昇局面に適応した分業である。今後の案件で開示が進めば、取得価格・契約形態と運営実績を照合する余地が生まれるだろう。

まとめ

Minn 両国は24室・最大172名という「客室数は小さく、収容力は大きい」施設であり、資産はRS Investment Management、運営はSQUEEZEという分業で開業する。両国駅1km圏は稼働53軒・6,624室のうち8割をビジネスホテルが占め、6〜8名で1室を使う客室はごく薄い。墨田区の推定成約ADRは2026年9月に¥14,300(1人あたり約¥7,100)で、同ブランド既存5施設の公開価格を人数で割ると、6〜7名利用の1人あたり単価はビジネスホテルの2名1室の1.2倍程度まで近づく。相撲の本場所は平日価格を+8〜23%押し上げ、隅田川花火大会は当日価格を中央値+15%に引き上げる。収容人数で稼ぐ商品と、イベントの山を価格で取る立地、そして資産と運営を分けた資本構造 — この三つが揃った案件として、12月の開業後に公表される運営実績を追いたい。

⚠ 将来日程の価格に関する注意:本記事で2026年10月以降の宿泊分として示した推定成約ADRおよび掲載価格(2026年11〜12月のMinn各施設の人数別価格、2027年1月の両国周辺施設の価格を含む)は、調査時点(2026年10月下旬)に主要予約サイトで公開されている販売価格に基づく途中経過であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。現時点で高く設定されている価格が直前に下がる可能性がある点にご留意ください。

よくある質問

Q. Minn 両国はどこにできますか。
公表されているのは「東京都墨田区」と「2026年12月開業予定」までで、番地や最寄駅は報道に含まれていません。本記事では両国駅から半径1kmの商圏で分析しています。

Q. 1室6〜8名の客室は、ビジネスホテルより高いのですか。
1室あたりでは高くなります。ただし同ブランドの都内5施設の公開価格を人数で割ると、6〜7名で使った場合の1人あたりは¥14,600〜¥14,700で、周辺ビジネスホテルの2名1室(1人あたり約¥12,400)の1.2倍程度まで近づきます。

Q. RS Investment ManagementとSQUEEZEはどう分かれていますか。
RS Investment Managementが不動産の取得・資金調達・投資スキーム組成を担い、SQUEEZEが運営とテクノロジー基盤を担います。両社は2026年8月13日に宿泊施設の開発・運営に関する包括業務提携を締結しています。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチの宿泊施設マスターと主要予約サイトの公開価格・在庫の継続観測(両国駅1km圏の客室ストック N=76施設、区別推定成約ADR、墨田区の推定稼働率 対象26施設/客室3,181、Minn 都内5施設の人数別掲載価格、周辺施設の日別掲載価格)。計画・企業情報はSQUEEZEの適時開示、証券リサーチセンターのレポート、トラベルボイスの報道による。

■ 試算前提

推定成約ADRは2名1室・1室あたりの税抜相当、掲載価格は全プラン平均・税込で、両者は同じ表で比べていない。1人あたり単価は1室価格を利用人数で除した値。年間客室売上の参考試算は1室単価×24室×365日×通年稼働率で、単価はMinn都内5施設の6名利用掲載価格(2026年11〜12月宿泊分)、通年稼働率70〜90%は試算上の仮置きである。

■ 限界・留意点

Minn 両国の所在地・料金・取得価格・契約形態は公表されておらず、商圏は両国駅中心の半径1kmで近似している。2026年10月以降の宿泊日の価格は調査時点の掲載水準で、今後変動する。稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定で、施設全体の実稼働率とは異なる。11〜12月の掲載価格を通年に当てた試算は季節変動を含まず、利回りや投資判断を示すものではない。

■ 一次情報・企業開示

■ 市場データ

  • メトロエンジンリサーチ&コンサルティング — 両国駅1km圏の客室ストック(N=76施設)、区別推定成約ADR、墨田区の推定稼働率(対象26施設/客室3,181)、人数別掲載価格、周辺施設の日別掲載価格
  • メトロエンジンリサーチ&コンサルティング 建築計画データ — 墨田区・台東区のホテル建築計画

■ 政府統計・公的データ

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