眠っていたデータから新たな付加価値を
指定なし
投資・開発
ホテル業界の資金供給を語るとき、話題になるのはREITの増資やファンドの取得案件であることが多い。しかし宿泊事業者の大半にとって、資金の入口はいまも銀行である。では銀行セクター全体では、宿泊業にいくら出ているのか。日本銀行の四半期調査「貸出先別貸出金」には、業種コード52「宿泊業」という項目が存在し、残高・設備資金・貸出先数・企業規模別内訳までが公表されている。本稿ではこの統計を2005年まで遡っ...
日本のホテル不動産を「誰が買えるか」「買うのに何が要るか」を規定しているのは、用途地域でも容積率でもない。所有権が移転する瞬間に効く、まったく別系統の3つの法令である。2026年に入ってこのうち2つが同時に動いた。外為法の報告省令改正(2026年2月20日公布・同年4月1日施行)で非居住者の不動産取得報告が「目的を問わず」原則全件へ拡大し、不動産登記法の住所等変更登記の申請義務化(2026年4月1...
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都市再生特別措置法にもとづく都市再生特別地区は、都市計画で定められた指定容積率とは別枠で、個別の開発計画に容積率の上乗せを認める制度である。内閣府地方創生推進事務局の公表によれば、2026年4月1日時点で全国138地区が決定済みで、その母体となる都市再生緊急整備地域は55地域・約9,811ha(2025年7月2日時点)に及ぶ。本稿では、この容積特例が実際にどれだけの床を生み、そのうちどれだけが宿泊...
山林や原野、市街化調整区域といった「ホテルが建たない土地」に、グランピング施設やコテージが増え続けている。だが投資検討の現場で最初に詰まるのは建設費ではない。その施設が税務上「何年で落とせるのか」、そして建築基準法上「そもそも建築物なのか」という二つの問いである。同じ1棟1,000万円を投じても、木造の建築物として17年で償却するのか、仮設扱いの簡易建物として7年で償却するのか、被けん引車として4...
新規開業ホテルの事業計画(pro forma)で、最も前提任せになる項目のひとつが「開業初年度のADRをどれだけ割り引くか」と「いつ通常水準に戻るか」である。慣行的には初年度一律で1〜2割引き、2〜3年で安定化という置き方が広く使われているが、この数字を実測で検証した資料はほとんど見当たらない。本稿では2024〜2025年に開業した50室以上のホテル182軒について、開業後24ヶ月間の推定成約AD...
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ホテルの取得検討で、エンジニアリング・レポートの地震リスク評価と、火災保険の見積書は、たいてい別々のフォルダに入っている。前者は「工事がいくらかかるか」の話として読まれ、後者は「経費のうちの小さい行」として一度だけ見られる。ところがこの2つは、1円も防災投資をしなくても、立地が決まった瞬間から毎年のP/Lと、借入の組み方そのものを静かに動かし続ける。本稿では防災改修(Capex)の話を一切せず、同...
愛知県西三河は、トヨタ自動車と主要サプライヤーの本社・工場が半径20km圏に集積する、国内屈指の業務出張マーケットである。ところが宿泊市場としての西三河は、名古屋の陰に隠れて単独で語られることがほとんどない。本稿では、豊田・岡崎・安城・刈谷・知立・西尾・碧南の7市に立地する66施設・6,525室を「推定成約ADR」と「残室消化スピード(リードタイム別の稼働率)」の2軸でマッピングし、どの価格帯が空...
大阪市内から車で約1時間、明石海峡大橋を渡った先にある淡路島で、宿泊施設の数が急速に増えている。メトロエンジンリサーチの集計では、淡路市・洲本市・南あわじ市の3市でOTA等に掲載されている宿泊施設は2025年7月の295施設から2026年7月には407施設へ、1年で38.0%増えた。1.38倍である。通常、供給がこれだけ増えれば単価は下がる。ところが同じ期間、3市の推定成約ADRはいずれも上昇して...
ホテル投資の収支を組み立てるとき、取得価格と運営NOIは誰もが見る。だが取得と売却のあいだ、10年20年にわたって毎年出ていく「建物への再投資」——資本的支出(Capex)と大規模修繕——の相場を数字で押さえている投資家は多くない。上場ホテルREITは、この金額を決算短信と資産運用報告のなかで毎期きちんと開示している。本稿では5つのホテルREITのIR一次資料から直近12ヶ月の実額を拾い、1室あた...
東京都のホテル投資分析は、ほぼ例外なく23区の話で終わる。だが多摩地区の中核3駅——立川・八王子・町田——の半径1km圏には、事業所10,869・従業者151,678人という業務集積がある。これは千葉駅圏(66,439人)や船橋駅圏(38,350人)を大きく上回り、大宮駅圏(95,408人)をも超える規模だ。本稿は既刊の『東京23区ホテル供給圧2026』『2040年に居住人口と就業がともに伸びる東...