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大型アウトレット11か所の5km圏は約1.8万室 — 御殿場・りんくう・長島の冬ADRとブラックフライデー週の予約進捗

投稿日 : 2026.11.01

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エリア・施設分析

大型アウトレット11か所の5km圏は約1.8万室 — 御殿場・りんくう・長島の冬ADRとブラックフライデー週の予約進捗

大型アウトレットの商戦期は11月下旬に山がある。三菱地所・サイモンが運営するプレミアム・アウトレット全施設は2026年11月20日(金)〜29日(日)を「Black Friday」の期間として公式スケジュールに掲げており、米国のブラックフライデー当日にあたる11月27日(金)から28日(土)の週末はその中に入る。本稿では来場者数や店舗数が公表・報道されている大型アウトレット11か所を取り上げ、各施設の半径5km圏に客室がどれだけあるか、前年の10月から1月にかけて周辺市町の推定成約ADRがどう動いたか、そして11月下旬の宿泊日に向けた予約進捗が今どこまで進んでいるかを、運営者・投資家の視点で読み解く。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)

本記事の客室ストックは、御殿場プレミアム・アウトレットから半径5,000m圏内にある客室数10室以上の宿泊施設(レジャーホテルを除く)を対象とし、「稼働中」は直近3か月(2026年8月〜2026年10月)に主要予約サイトで販売価格が確認できた施設を指す(2026年10月26日時点、メトロエンジンリサーチ集計)。 他の10施設も同じ条件(半径5,000m・客室数10室以上・レジャーホテルを除く)で集計している。年次推移は開業年が確認できる施設のみを対象とし、開業年が確認できない施設(11圏域合計21軒)は年次推移に含めない。

Key Takeaways
  • — 17,936室 大型アウトレット11か所の半径5km圏にある掲載客室(270軒)。りんくう5,390室・御殿場2,688室の2圏域で全体の45%を占める。
  • — +19.3% 開業年が確認できる施設ベースの5年間の客室増(13,256室→15,817室)。りんくう+43.4%、御殿場+29.1%に対し、鳥栖は-2.0%。
  • — -21.1% 泉佐野市の推定成約ADRは2025年10月¥10,275から2026年1月¥8,103へ一方向に低下。御殿場市は11月¥9,633が山、佐野・桑名・鳥栖は冬に上昇。
  • — 16.7pt 御殿場市のLT35時点の稼働率(推定)で、11/28(土)63.8%が11/27(金)47.1%を上回った差。ただし3連休初日11/21(土)の78.2%には及ばない。
  • — 3類型 需要の主因は空港(泉佐野)・温泉観光(御殿場・長島)・業務(鳥栖・佐野・土岐)で異なり、アウトレットは週末の上積み要因として評価するのが実務的。

対象11施設 — 店舗数は約160〜330店、来場者数を公表しているのは一部にとどまる

対象としたのは、御殿場・軽井沢・佐野・あみ・木更津・入間・長島(桑名)・土岐・りんくう(泉佐野)・神戸三田・鳥栖の11施設である。運営会社は三菱地所・サイモン(7施設)、三井不動産(3施設)、西武不動産プロパティマネジメント(1施設)の3社で、本稿は運営会社どうしの順位付けを目的としない。店舗数は各社の公表値や報道の概数で、改装・増床により時期によって変わる。年間来場者数を運営会社が明示しているのは御殿場(年間延べ1,100万人以上)で、佐野は開業20年時の報道で約700万人とされた。軽井沢は来場者数の代わりに2025年度の売上高603億円が運営会社から公表されている。木更津は2025年6月の第4期増床で約330店舗となった。

表1 対象11施設の概要(店舗数・年間来場者数・2026年11月のセール日程)
施設所在運営会社店舗数(概数)年間来場者数(公表・報道値)2026年11月のセール日程
御殿場プレミアム・アウトレット御殿場市(静岡県)三菱地所・サイモン約290店舗年間延べ1,100万人以上11/20(金)〜29(日)
軽井沢・プリンスショッピングプラザ軽井沢町(長野県)西武不動産プロパティマネジメント約240店舗非公表(2025年度売上603億円)公式日程未確認
佐野プレミアム・アウトレット佐野市(栃木県)三菱地所・サイモン約180店舗約700万人(報道値)11/20(金)〜29(日)
あみプレミアム・アウトレット阿見町(茨城県)三菱地所・サイモン約160店舗非公表11/20(金)〜29(日)
三井アウトレットパーク 木更津木更津市(千葉県)三井不動産約330店舗非公表公式日程未確認
三井アウトレットパーク 入間入間市(埼玉県)三井不動産約200店舗非公表公式日程未確認
三井アウトレットパーク ジャズドリーム長島桑名市(三重県)三井不動産約300店舗非公表公式日程未確認
土岐プレミアム・アウトレット土岐市(岐阜県)三菱地所・サイモン約180店舗非公表11/20(金)〜29(日)
りんくうプレミアム・アウトレット泉佐野市(大阪府)三菱地所・サイモン約250店舗非公表11/20(金)〜29(日)
神戸三田プレミアム・アウトレット三田市(兵庫県)三菱地所・サイモン約210店舗非公表11/20(金)〜29(日)
鳥栖プレミアム・アウトレット鳥栖市(佐賀県)三菱地所・サイモン約170店舗非公表11/20(金)〜29(日)

出典:各運営会社の公式サイト・プレスリリースおよび報道(店舗数は概数)。セール日程は三菱地所・サイモン「セール・バーゲン スケジュール」(2026年8月3日時点)。三井アウトレットパークと軽井沢・プリンスショッピングプラザの11月下旬の日程は執筆時点で公式サイトに掲出がなく「公式日程未確認」とした。

セール日程で確認できたのは三菱地所・サイモン側の7施設で、11月6日(金)〜15日(日)の「Premium Outlets Sale」に続き、11月20日(金)〜29日(日)がBlack Friday期間となる。つまり11月20日(金)・21日(土)はセール初日の週末であり、同時に11月23日(月・祝)を含む3連休の入り口でもある。一方の11月27日(金)・28日(土)は米国のブラックフライデー当日を含む週末で、連休ではない。後段の予約進捗の比較では、この「連休の有無」という前提の差を踏まえて読む必要がある。

5km圏の客室ストック — 11圏域で掲載270軒・17,936室、りんくうと御殿場で全体の45%

各施設の座標を中心に半径5kmの客室ストックを集計すると、11圏域の合計は掲載270軒・17,936室、直近3か月に主要予約サイトで販売価格が確認できた稼働中の施設に絞ると189軒・15,256室だった。最も厚いのはりんくう(泉佐野市)の掲載42軒・5,390室で、御殿場の31軒・2,688室が続く。この2圏域で11圏域合計の45%を占める。軽井沢は118軒・4,220室と軒数では最多だが、50室以下の小規模施設が99軒を占め、1軒あたりの規模は小さい。

対照的に、あみ(1軒・34室)、入間(3軒・245室)、長島(6軒・468室)、神戸三田(8軒・548室)は5km圏の客室が600室未満にとどまる。首都圏近郊のあみ・入間は日帰り圏であることが、長島は隣接するテーマパークと一体の宿泊施設が主体であることが背景にあると考えられる。店舗数が約300店に達する施設でも周辺の客室は数百室という圏域があり、「大型アウトレット=宿泊需要の受け皿が厚い」とは限らない。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年10月時点、各施設の半径5km圏・客室数10室以上)

表2 各施設の半径5km圏の客室ストックと5年間の増減(2026年10月時点)
市町施設掲載(軒/室)稼働中(軒/室)客室数 2021年→2026年5年間の増減ビジネスホテル比率(室)
御殿場市御殿場プレミアム・アウトレット31軒/2,688室25軒/2,558室1,953室 → 2,522室+29.1%69.3%
軽井沢町軽井沢・プリンスショッピングプラザ118軒/4,220室71軒/3,364室3,475室 → 3,790室+9.1%11.0%
佐野市佐野プレミアム・アウトレット19軒/1,029室16軒/885室794室 → 885室+11.5%68.7%
阿見町あみプレミアム・アウトレット1軒/34室1軒/34室34室 → 34室0.0%100.0%
木更津市MOP 木更津11軒/1,022室11軒/1,022室943室 → 953室+1.1%36.5%
入間市MOP 入間3軒/245室2軒/211室181室 → 211室+16.6%100.0%
桑名市MOP ジャズドリーム長島6軒/468室4軒/352室468室 → 468室0.0%24.8%
土岐市土岐プレミアム・アウトレット14軒/899室11軒/781室697室 → 858室+23.1%82.8%
泉佐野市りんくうプレミアム・アウトレット42軒/5,390室30軒/4,466室3,122室 → 4,476室+43.4%69.4%
三田市神戸三田プレミアム・アウトレット8軒/548室7軒/527室495室 → 548室+10.7%73.2%
鳥栖市鳥栖プレミアム・アウトレット17軒/1,393室11軒/1,056室1,094室 → 1,072室-2.0%75.8%
合計11圏域270軒/17,936室189軒/15,256室13,256室 → 15,817室+19.3%—

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年10月時点)。年次推移は開業年が確認できる施設のみ(各年末時点で開業済かつ閉館前)。ビジネスホテル比率は掲載客室数に対する割合。

5年前との比較では、開業年が確認できる施設ベースで11圏域の客室が13,256室から15,817室へ+19.3%増えた。増加を牽引したのはりんくうで、3,122室から4,476室へ+43.4%と、関西国際空港に近接する立地で201室以上の大型施設が9軒・3,081室まで積み上がった。御殿場も1,953室から2,522室へ+29.1%伸びており、2024年の駅前ビジネスホテル開業などが寄与した。他方、鳥栖は1,094室から1,072室と横ばいで、佐野・神戸三田は1割程度、木更津・軽井沢は1割未満の増加にとどまる。客室構成を見ると、御殿場は掲載客室の69.3%、りんくうは69.4%がビジネスホテルで、買い物客向けのリゾート型客室は限られる。軽井沢だけはリゾートホテルが35軒・2,544室と主体で、構成が他と異なる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。円は各施設の半径5km圏、円マーカーの大きさは5km圏の掲載客室数。

前年10月→1月の推定成約ADR — 御殿場は11月が山、泉佐野は10月から1月へ2割下がる

冬の商戦期に周辺の宿の単価は動くのか。前年(2025年10月〜2026年1月)の市町別の推定成約ADRを確定月の値で追うと、動き方は街ごとに逆向きだった。御殿場市は10月¥8,900から11月¥9,600へ上がって山を付け、12月¥9,100、1月¥8,600と下がる(N=25〜26施設)。泉佐野市は10月¥10,300から11月¥9,600、12月¥8,000、1月¥8,100へと一方向に下がり、10月から1月の下げ幅は-21.1%に達した(N=21〜23施設)。

これに対し、佐野市は10月¥6,200から1月¥7,300へ+17.8%、桑名市は¥7,700から¥8,900へ+16.4%、鳥栖市は¥6,000から¥7,000へ+15.5%と、冬に向かって単価が上がる型である。土岐市は12月¥12,900・1月¥13,800と秋より高い水準で推移した(N=8施設と小さい)。木更津市は12月に¥9,500へ下がった後、1月に¥10,800へ戻した。軽井沢町は10月¥20,700から12月¥24,000へ+15.8%上がり、年末のリゾート需要が単価を押し上げている(N=52〜53施設)。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定成約ADR・確定月の値、各月のNは表を参照)

表3 市町別の推定成約ADR(2025年10月〜2026年1月・確定月)
市町2025年10月2025年11月2025年12月2026年1月10月→1月
御殿場市¥8,869 (前年同月比-0.6%)
N=25
¥9,633 (前年同月比+2.4%)
N=25
¥9,143 (前年同月比+4.0%)
N=25
¥8,614 (前年同月比+19.8%)
N=26
-2.9%
軽井沢町¥20,695 (前年同月比-9.9%)
N=53
¥21,443 (前年同月比-0.7%)
N=52
¥23,968 (前年同月比+13.3%)
N=52
¥22,968 (前年同月比+7.3%)
N=52
+11.0%
佐野市¥6,184 (前年同月比-12.2%)
N=16
¥6,574 (前年同月比-9.5%)
N=15
¥6,882 (前年同月比-5.8%)
N=15
¥7,282 (前年同月比-1.2%)
N=15
+17.8%
木更津市¥11,411 (前年同月比+17.6%)
N=12
¥10,761 (前年同月比+1.0%)
N=12
¥9,544 (前年同月比-10.3%)
N=12
¥10,758 (前年同月比+23.1%)
N=12
-5.7%
桑名市¥7,658 (前年同月比+10.9%)
N=19
¥8,196 (前年同月比+8.5%)
N=19
¥8,219 (前年同月比+0.9%)
N=19
¥8,915 (前年同月比+15.4%)
N=19
+16.4%
土岐市¥11,454 (前年同月比+51.2%)
N=8
¥11,375 (前年同月比+34.4%)
N=8
¥12,910 (前年同月比+44.4%)
N=8
¥13,830 (前年同月比+68.3%)
N=8
+20.7%
泉佐野市¥10,275 (前年同月比+26.2%)
N=23
¥9,634 (前年同月比+17.9%)
N=21
¥8,024 (前年同月比-4.7%)
N=22
¥8,103 (前年同月比+0.3%)
N=23
-21.1%
三田市¥7,046 (前年同月比-2.8%)
N=6
欠測¥7,120 (前年同月比-1.3%)
N=6
¥8,524 (前年同月比+17.9%)
N=6
+21.0%
鳥栖市¥6,048 (前年同月比-21.4%)
N=8
¥6,821 (前年同月比+9.7%)
N=8
¥6,360 (前年同月比+18.9%)
N=8
¥6,985 (前年同月比+30.0%)
N=8
+15.5%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定成約ADR・税抜相当・確定月。N=推定の対象施設数。三田市の2025年11月は対象施設数が基準に届かず欠測)。阿見町・入間市は対象施設数が5未満のため単価を掲載しない。

前年同月比で見ると、泉佐野市は2025年10月に+26.2%、11月+17.9%と前年を上回っていたが、12月は-4.7%、1月は+0.3%と小幅な動きに収まり、秋の高さが年末に向けて平準化した形である。御殿場市は10月-0.6%、11月+2.4%と前年並みで、1月は+19.8%と前年を上回った。桑名市は4か月とも前年同月比プラス(10月+10.9%、1月+15.4%)で、水準の底上げが続く。鳥栖市は12月+18.9%、1月+30.0%と前年の落ち込みからの戻りが大きい。土岐市も12月+44.4%、1月+68.3%と伸びたが、N=8施設の集計である点は割り引いて読みたい。

重要なのは、こうした冬の単価の動きが、アウトレットのセールと直接に結びついているとは言い切れないことである。御殿場の11月の山は紅葉と富士山観光の最盛期と重なり、泉佐野の下げは空港利用者の季節性に沿う。佐野・鳥栖・土岐の冬の上昇は、業務需要と年末の帰省・行楽が重なった結果と読むのが自然だろう。アウトレットの集客は「周辺の宿の単価を押し上げる主因」ではなく、「街の需要構造の上に乗る追加需要」として位置づけるのが実態に近い。秋から冬にかけて単価の山がどの月に来るかは都道府県ごとに型が分かれており、その分類は秋のADRはどの月に山が来るか — 47都道府県を9月型/10月型/11月型/平坦型に分類した2026で整理している。

ブラックフライデー週の予約進捗 — 3連休初日の11/21が先行、BF週末は御殿場で土曜が金曜を17pt上回る

では今年の商戦期に向けて、周辺の宿の予約はどこまで進んでいるか。市町単位のブッキングカーブを、宿泊日の45日前から直近(10月24日時点)まで追った。比較対象は、セール初日かつ3連休初日の11月20日(金)・21日(土)と、ブラックフライデー当日を含む11月27日(金)・28日(土)の4日である。宿泊日ごとに到達しているリードタイムが異なるため、同じ条件で比べられるLT35(宿泊日の35日前)時点の稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)を基準にした。

御殿場市(対象21施設/客室1,151室、主要予約サイト掲載ベース)では、LT35時点で11月21日(土)が78.2%、11月28日(土)が63.8%、11月20日(金)が50.6%、11月27日(金)が47.1%だった。3連休初日の土曜が最も先行し、BF週末の土曜はそれより14.4pt低いが、同じ週の金曜との差は16.7ptあり、土曜に泊まって日曜に買い物をする行動が予約に表れている。LT45からLT35までの10日間で11月28日(土)は56.9%から63.8%へ6.9pt進んだ。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(御殿場市・全カテゴリ、対象21施設/客室1,151室、主要予約サイト掲載ベース、2026年10月24日時点。LT45〜直近の観測点のみ)

泉佐野市(対象20施設/客室2,258室、同)はLT35時点で11月21日(土)88.5%に対し、11月28日(土)は72.9%、金曜2日は69.0%・69.9%と、4日のうち3連休初日だけが突出する。空港前の宿は平日も国際線利用者で埋まるため金曜と土曜の差が小さく、連休の有無が最も効く市場である。桑名市(対象12施設/客室895室、同)は11月21日(土)がLT35時点で97.4%とほぼ埋まり、11月28日(土)も88.8%まで進んでいる。隣接するテーマパークと温泉の需要に支えられ、母数が895室と小さいことが早期の進捗につながっている。

木更津市(対象17施設/客室1,368室、同)は11月28日(土)が84.0%と6市町の土曜の中で桑名に次ぐ高さで、温浴施設を併設する大型宿が牽引する。佐野市(対象14施設/客室551室、同)は11月27日(金)45.0%・28日(土)44.8%と金土の差がほとんどなく、業務需要が主体の街では週末のレジャー需要がまだ上積みになっていない。これは「アウトレットの買い物客を週末の宿泊に転換する」余地が最も大きい市場とも読める。軽井沢町(対象91施設/客室2,783室、同)は11月28日(土)が80.3%で、同時点の掲載価格(全プラン平均・税込)は¥62,300と他の5市町を大きく上回る。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(各市町・全カテゴリ、LT35時点の稼働率〈OTA掲載在庫ベース・推定〉、対象施設数と客室数は表を参照、2026年10月24日時点)

表4 市町別のLT35時点の稼働率(推定)と11/28泊の掲載価格(2026年10月24日時点)
市町対象(11/28泊)11/20(金)11/21(土)11/27(金)11/28(土)11/28泊の掲載価格(LT35)
御殿場市21施設/1,151室50.6%78.2%47.1%63.8%¥27,474
泉佐野市20施設/2,258室69.0%88.5%69.9%72.9%¥14,661
桑名市12施設/895室73.4%97.4%79.3%88.8%¥18,137
木更津市17施設/1,368室77.9%87.7%72.9%84.0%¥33,128
佐野市14施設/551室61.3%61.3%45.0%44.8%¥19,699
軽井沢町91施設/2,783室66.6%80.9%69.5%80.3%¥62,271

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。稼働率はLT35時点のOTA掲載在庫ベースの推定値で、OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なります。掲載価格は2名1室利用時の1室あたり料金(税込・全プラン平均)。鳥栖市・土岐市・三田市は市町単位の観測点が基準に届かず掲載しない。

6市町を通して見えるのは、ブラックフライデー週末そのものの予約が、セール初日と重なった3連休には及ばないという事実である。セール期間は10日間あり、買い物客は連休に動く。同じ11月21日からの3連休を紅葉地の旅館側から見た進捗は、紅葉3連休11/21〜23の予約進捗、京都の旅館は残室18%・長野32%が5県の断面で追っている。11月27日(金)・28日(土)の宿泊が今後どこまで追い上げるかは、宿泊日が近づくにつれて積み上がる直前予約の厚みで決まる。いずれの数値も宿泊日の1か月以上前の途中経過であり、完売を断定する段階ではない。

需要の主因は街ごとに違う — 空港・温泉・業務の3類型と、買い物客を宿泊に転換する機会

11圏域の客室・単価・予約進捗を重ねると、アウトレット周辺の宿泊市場は少なくとも3つの型に分かれる。第一は空港型の泉佐野で、客室5,390室の厚みと平日の高い稼働を国際線利用者が支え、単価は秋に高く冬に下がる。アウトレットは空港利用者の滞在時間を延ばす装置として機能しており、宿にとっては早朝便・深夜便の前後泊に買い物を組み合わせたプラン設計が、既存需要の単価を上げる機会になる。2026年11月1日から免税購入がリファンド方式に移ることで、出国時に空港で手続きを行う導線が強まり、空港前の宿と免税店が同じ動線上に並ぶ泉佐野はこの変更の影響を最も受けやすい立地といえる(制度の詳細はリファンド方式は2026年11月1日から — 宿の売店に効く4つの変更点を参照)。

第二は温泉・観光型の御殿場と長島である。御殿場は富士山観光と温浴施設を核に、11月の紅葉期が単価の山になる。2019年12月にアウトレット敷地内に宿泊施設と日帰り温泉が開業したことで、買い物と宿泊が同じ敷地で完結する構造ができた。長島は5km圏の客室が468室と少なく、そのほとんどがテーマパーク・温泉と一体の施設で、3連休初日の予約がLT35時点で97.4%まで進んでいた。供給が限られる分、桑名市街や隣接する市へ宿泊需要が流れる余地があり、周辺の宿がアウトレット・温泉と組み合わせた滞在提案で取り込める需要は大きい。

第三は業務型の鳥栖・佐野・土岐で、5km圏の客室はビジネスホテルが主体(鳥栖は75.8%、佐野は68.7%、土岐は82.8%)、単価は平日の業務需要で形成され、冬は年末の行楽と帰省で上がる。鳥栖は九州の高速道路網の結節点、佐野は東北道・北関東道の接続部、土岐は中央道沿いという共通点を持ち、いずれも「車で来て日帰りで帰る」買い物客が大半である。佐野市のBF週末の予約進捗が金曜と土曜でほとんど差がなかったのは、週末のレジャー需要がまだ宿泊に転換していないことを示す。業務需要で平日を埋め、週末に買い物客向けの2名利用プランを上積みできれば、週末の単価と稼働の双方に伸びしろがある。

投資の視点では、客室ストックの5年間の増え方がこの3類型を映している。空港型のりんくうは+43.4%と大型供給が続き、温泉型の御殿場は+29.1%、業務型の鳥栖は横ばいだった。新規の宿泊開発を検討する場合、アウトレットの店舗数や来場者数の大きさよりも、その街の需要の主因が平日を埋めるかどうかを先に確かめるべきであり、アウトレットは週末の上積み要因として評価するのが実務的だろう。

まとめ

大型アウトレット11か所の半径5km圏には、掲載270軒・17,936室の宿があり、りんくうと御殿場の2圏域が45%を占める。前年10月から1月の推定成約ADRは御殿場が11月に山を付けて下がり、泉佐野は-21.1%と一方向に下がり、佐野・桑名・鳥栖・土岐は冬に向かって上がった。ブラックフライデー週末(11月27日・28日)の予約進捗は、セール初日と重なる3連休初日(11月21日)に及ばないが、御殿場・木更津・軽井沢では土曜が金曜を10pt以上上回り、買い物客の宿泊転換は土曜泊に集中している。アウトレットの集客は街の需要構造の上に乗る追加需要であり、空港・温泉・業務のいずれが平日を支えているかを見極めたうえで、週末の上積みとして取り込むのが、運営者・投資家にとっての現実的な機会である。

よくある質問

Q. アウトレットのセール期間中は周辺ホテルの料金が上がりますか。
A. 前年の推定成約ADRでは、御殿場市は11月が山で12月以降は下がり、泉佐野市は10月から1月へ下がり続けました。単価は紅葉や空港利用など街ごとの需要要因で動いており、セール期間と単価の山が一致する市町は限られます。

Q. 2026年のブラックフライデーの日程はいつですか。
A. 三菱地所・サイモンが運営するプレミアム・アウトレットは公式スケジュールで2026年11月20日(金)〜29日(日)をBlack Friday期間としており、三井アウトレットパークと軽井沢・プリンスショッピングプラザの11月下旬の日程は執筆時点で公式サイトに掲出がありません。

Q. 推定成約ADRと掲載価格はどう違いますか。
A. 掲載価格は予約サイトに表示される2名1室・1室あたりの税込料金(全プラン平均)で、推定成約ADRは最安プラン水準に業態別の補正係数を適用した税抜相当の推定値(上場ホテルREITの開示実績との照合で誤差中央値約7%)です。本稿の市町別の単価は推定成約ADR、ブッキングカーブの価格は掲載価格で、両者を混ぜて比べていません。

⚠ 将来日程の価格・稼働率に関する注意:本記事の11月宿泊日の稼働率(推定)と掲載価格は、調査時点(2026年10月24日)でOTAに公開されている販売在庫・販売価格に基づくもので、チェックイン日に近づくにつれて変動する。現時点で高く設定されている価格が直前に下がる可能性、また在庫の追加や販売停止で稼働率の推定が動く可能性がある点に留意が必要である。市町別の推定成約ADRは確定月(2025年10月〜2026年1月)の値である。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチが継続追跡するOTA公開価格・販売在庫データ(客室ストック=各施設の半径5km圏・客室数10室以上・レジャーホテルを除く、2026年10月26日時点/推定成約ADR=市区町村単位・確定月、2024年10月〜2026年1月/ブッキングカーブ=市町単位・全カテゴリ、2026年10月24日時点)と、各運営会社の公表資料・報道。

■ 試算前提

推定成約ADRは各施設の最安プラン水準に業態別の補正係数を適用した税抜相当の推定値で、市町の値は対象施設の中央値。対象施設数が5未満の市町は単価を掲載しない。稼働率はLT35時点のOTA掲載在庫ベースの推定値。5年間の客室増減は開業年が確認できる施設のみで比較した。

■ 限界・留意点

半径5km圏は行政区域と一致せず、圏域の客室数と市町単位のADR・稼働率は対象範囲が異なる。11月宿泊日の稼働率と掲載価格は調査時点の途中経過で、直前予約により変動する。単価の動きとアウトレットのセールとの因果関係は検証していない。

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