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GREEN×EXPO 2027開幕まで7か月半 — 上瀬谷会場5km圏の客室は1,172室

投稿日 : 2026.08.11 更新日 : 2026.09.02

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エリア・施設分析

GREEN×EXPO 2027開幕まで7か月半 — 上瀬谷会場5km圏の客室は1,172室

2027年国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」の開幕まで、本稿執筆時点(2026年8月3日)で残り228日、およそ7か月半となった。会場は横浜市旭区・瀬谷区にまたがる旧上瀬谷通信施設。会期は2027年3月19日から9月26日までの192日間で、主催者は有料来場者1,000万人以上を目標に掲げている。開幕を半年余り先に控えたこの時点で、会場圏の宿泊在庫がどう分布しているのかを、公開データで棚卸ししておきたい。

本記事における指標の定義

  • ADR(平均客室単価):各施設がOTA等で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。
  • 稼働確認施設:メトロエンジンリサーチが追跡する施設のうち、直近90日間にOTA上で販売価格の観測があったもの。登録情報のみが残る休館・掲載終了施設を除くための絞り込みです。
  • 客室数:施設マスターに登録された総客室数。会場からの距離は会場中心の推定座標からの直線距離です。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ(宿泊在庫・価格)、国土交通省 不動産情報ライブラリ(駅別乗降客数・用途地域)、2027年国際園芸博覧会協会「来場者輸送実施計画 第2版」(来場者・輸送想定)
Key Takeaways
  • — 1,172室 — 会場(旧上瀬谷通信施設)半径5km圏の稼働確認客室。うち一般の宿泊需要を受けられるのは6施設・787室にとどまる
  • — 385室(14施設)が国道16号沿いの大人専用カテゴリで、5km圏客室の約3分の1を占める
  • — 40,760室 — 受け皿の主体は半径20km圏。横浜市中区12,413室を筆頭に、横浜都心・川崎・町田・海老名など内陸拠点へ分散する
  • — 建築計画はゼロ — 会場圏(旭区・瀬谷区・大和・海老名・町田ほか)の宿泊施設計画は確認申請ベースで1件も収録がなく、会期は既存ストックで受ける構図
  • — 8,000円台 vs 19,600円 — 会場近傍3市と横浜市西区の推定成約ADRには1万円超の差。会期という時限的な価値を単価に織り込む余地が残る

まず会期と会場の数字を確定させる

宿泊在庫を語る前に、需要側の前提を公式資料で押さえておく。国土交通省および博覧会協会の公表資料によれば、GREEN×EXPO 2027の会期は2027年3月19日(金)から9月26日(日)までの192日間、会場面積は約100ヘクタール、想定参加者数は1,500万人(ICT活用等の多様な参加形態を含む)、有料来場者数の目標は1,000万人以上である。

さらに踏み込んだ数字が、博覧会協会が2026年2月にとりまとめた「来場者輸送実施計画 第2版」に記載されている。同計画は輸送に余裕を持たせるため、総来場者数約1,200万人に対応できる計画として検討すると明記したうえで、会期192日を4つのケースに分類し、日別の来場者数を次のように想定している。

来場者輸送実施計画 第2版が想定する会期192日の日別来場者数(4区分)
区分日数総来場者公共交通団体バス自家用車
通常期・平日(GWを除く夏休みまで)80日約50,000人/日約18,000人(36%)約18,000人(36%)約12,000人(23%)
通常期・平日(GW及び夏休み以降)47日約56,000人/日約26,000人(46%)約9,000人(16%)約18,000人(32%)
通常期・土休日(繁忙期を除く)46日約79,000人/日約32,000人(41%)約20,000人(25%)約24,000人(30%)
繁忙期(GW・9月等の土休日)19日約105,000人/日約44,000人(42%)約24,000人(23%)約32,000人(30%)

出典:公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会「GREEN×EXPO 2027 来場者輸送実施計画 第2版」(2026年2月)よりホテルバンク編集部作成。残余(周辺地域からの自転車・徒歩等、2,000〜5,000人/日)は表から省略しているため各行の内訳合計は総来場者と一致しない。

出典:2027年国際園芸博覧会協会「来場者輸送実施計画 第2版」よりホテルバンク編集部作成

ここで押さえておくべきなのは、輸送計画が来場者の大半を日帰りとして扱っている点である。同計画は海外来場者について「関東圏内の滞在先から来場するものと想定」と明記しており、会場周辺での宿泊を前提にしていない。したがって会場圏の宿泊需要は、来場者総数の何割という規模で発生するものではなく、遠方からの個人客、教育旅行や観光ツアーの団体、そして関東圏に滞在するインバウンド層の一部という、限定されたセグメントに集中すると考えるのが自然だ。それでも、繁忙期に1日10.5万人が集まる会場の周囲にどれだけの客室があるかは、宿泊事業者にとって出発点となる情報である。会場への近さがそもそも宿の評価としてどう効くのかは、会場近接という立地価値 — イベント・MICE需要で評価される宿で全国・エリア別に集計している。

会場5km圏の稼働確認客室は1,172室、うち一般宿泊向けは787室

会場中心をおおむね北緯35.490度・東経139.491度(旧上瀬谷通信施設のほぼ中央)と置き、そこからの直線距離で同心円を切って在庫を集計した。メトロエンジンリサーチが把握する範囲で、施設マスターに登録があり、かつ直近90日間にOTA上で販売価格の観測があった施設のみを「稼働確認施設」として数えている。

会場中心からの同心円別 宿泊在庫(稼働確認施設ベース、2026年8月時点)
同心円登録施設稼働確認施設稼働確認客室うち一般宿泊向け平均レビュースコア
半径5km圏48施設20施設1,172室6施設・787室3.83(n=16)
半径10km圏104施設41施設3,457室23施設・2,918室3.88(n=37)
半径20km圏795施設394施設42,501室333施設・40,760室3.91(n=344)

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。「一般宿泊向け」は稼働確認施設から大人専用カテゴリを除いた値。レビュースコアは5点満点、スコアの登録がある施設のみで平均。

数字の並びが示すのは、会場に近づくほど宿泊在庫が急速に薄くなる構造である。半径5km圏の稼働確認客室は1,172室。ところがその内訳を見ると、14施設・385室が国道16号沿いに立地する大人専用カテゴリで占められている。会期中に家族連れや団体、インバウンド客を受ける「一般的な宿泊需要の受け皿」として数えられるのは、駅前のビジネスホテル5施設・721室と温浴施設併設の1施設・66室、合計6施設・787室にとどまる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(稼働確認施設ベース、N=394施設/半径20km圏)

半径10kmまで広げると2,918室、半径20kmまで広げて初めて40,760室という規模になる。20km圏の内訳は横浜市中区が74施設・12,413室で最大、次いで横浜市西区が16施設・4,640室、川崎市川崎区が27施設・3,571室、横浜市港北区が16施設・3,166室と続く。つまり会場圏の宿泊受け皿は、会場周辺ではなく横浜都心と川崎、そして町田・海老名・厚木といった内陸の拠点駅に分散して存在している。

会場5km圏で一般宿泊需要を受けられる6施設

半径5km圏で一般の宿泊需要を受けられる6施設を、会場からの距離順に並べると次のようになる。多くが相鉄線・小田急線・東急田園都市線の駅前立地で、会場までは道路経由となる。

会場半径5km圏で一般宿泊需要を受けられる6施設
施設名所在客室数会場中心からの直線距離カテゴリ
東京・湯河原温泉 万葉の湯町田市鶴間66室2.3km旅館(温浴施設併設)
東横INN南町田町田市南町田249室3.2kmビジネスホテル
東横INN大和駅前大和市中央168室3.7kmビジネスホテル
大和第一ホテル大和市中央82室3.7kmビジネスホテル
アークホテル大和大和市中央21室3.7kmビジネスホテル
東横INN二俣川駅北口横浜市旭区本村町201室4.8kmビジネスホテル

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年8月時点の稼働確認施設)

6施設のうち3施設は同一ブランドの駅前ビジネスホテルで、合計618室。会場に最も近い一般宿泊施設は町田市鶴間の温浴施設併設宿で、会場中心から2.3kmの位置にある。会期中の宿泊需要を面で受けるには、この6施設だけでは規模が届かない。裏を返せば、会場圏の宿泊需要は必然的に半径10〜20kmの既存ストックへ流れる構造にあり、町田・大和・海老名・二俣川・新横浜・横浜駅周辺の各エリアには、まだ取り込みの余地が残されているということでもある。会場から5km圏という距離が実際に単価と稼働へどこまで効くのかは、日産スタジアムの大型公演を対象に新横浜5km圏26施設の予約進度検証を行った記事が参考になる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。半径10km圏は稼働確認施設をすべて、10〜20km圏は120室以上の施設をプロット(計170施設)。円の大きさは客室数に対応。

受け皿エリアの価格水準 — 会場近傍3市は8,000円台、横浜駅周辺は19,600円

受け皿候補となる市区町村の推定成約ADRを、直近12か月(2025年8月〜2026年7月)の月次平均で比較した。前年同期(2024年8月〜2025年7月)との比較で前年同月比も算出している。

受け皿候補エリアの推定成約ADR(2025年8月〜2026年7月の月次平均)
エリア推定成約ADR(直近12か月平均)前年同期前年同期比対象施設数
横浜市西区(横浜駅)¥19,569¥17,542+11.6%N=15〜18
横浜市中区(関内・みなとみらい)¥11,782¥10,960+7.5%N=49〜52
横浜市港北区(新横浜)¥11,724¥11,337+3.4%N=15〜16
藤沢市¥9,621¥9,526+1.0%N=21〜22
海老名市¥8,372¥8,190+2.2%N=4
大和市¥8,182¥7,993+2.4%N=3
町田市(東京都)¥8,093¥7,675+5.4%N=11
横浜市旭区(二俣川・上川井) ※参考値¥8,011¥8,324-3.8%N=1
厚木市¥7,796¥7,779+0.2%N=20〜22

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。対象施設数は月次の最小〜最大。横浜市旭区は対象1施設のため、エリアの代表値としては参考値。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

価格帯は明確に3層に分かれる。横浜駅を擁する横浜市西区が19,600円で突出し、前年同期比+11.6%と伸びも最も大きい。中間層は関内・みなとみらい方面の横浜市中区が11,800円(+7.5%)、新横浜の横浜市港北区が11,700円(+3.4%)。そして会場に近い内陸3市――海老名市8,400円(+2.2%)、大和市8,200円(+2.4%)、町田市8,100円(+5.4%)――が8,000円台の帯を形成している。厚木市は7,800円(+0.2%)でほぼ横ばいだった。

会場から最も近い横浜市瀬谷区については、OTA上で継続的に販売価格を観測できる施設が1件しか確認できず、エリアの代表値を算出できる水準になかった。会場を擁する区そのものに、市場データとして意味のある宿泊在庫がほとんど存在しないという事実自体が、この記事の起点である。

会場近傍3市の8,000円台という水準は、横浜都心との差が1万円以上ある。会期中に会場アクセスを価値に変えられる立地であることを踏まえると、この価格帯には上振れの余地があると見ることもできる。ただし、会期にあたる2027年3月〜9月の販売価格は、本稿執筆時点ではまだOTA上に十分に掲載されておらず、観測データとして扱える段階にない。会期中の実勢価格を数字で語れるようになるのは、早くても2026年秋以降になる。

会期までに増える客室はあるか — 会場圏の建築計画はゼロ

次に、開幕までに会場圏で客室が増える見込みがあるかを確認する。国土交通省「建築動態統計調査」に基づく建築計画データ(宿泊施設用途、50室以上)を照会したところ、収録されている全国67件のうち神奈川県内は5件だった。その内訳は横浜市中区が2件(280室・272室)、横浜市西区みなとみらいが1件(338室)、箱根町が2件(126室・71室)で、会場圏にあたる旭区・瀬谷区・大和市・海老名市・町田市・緑区・泉区の計画は1件も収録されていない。

神奈川県内の宿泊施設 建築計画(宿泊施設用途・50室以上)
所在客室数完成予定会場中心からの距離主用途
横浜市西区みなとみらい6丁目338室2026年3月約13kmホテル・プール・スパ・水族館等
横浜市中区港町1丁目280室2026年4月約14km事務所・大学・ホテル・商業等
横浜市中区北仲通6丁目272室2027年5月約14km共同住宅・ホテル・駐車場
足柄下郡箱根町小涌谷126室2026年12月圏外ホテル
足柄下郡箱根町強羅71室2026年4月圏外ホテル

出典:国土交通省「建築動態統計調査」よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成(宿泊施設用途・50室以上、収録全国67件のうち神奈川県分)。※調査時点での確認申請ベース。今後の申請追加により件数・客室数は増加する見込みであり、現時点での確定パイプラインの下限値として参照されたい。

実際に開業した施設を見ても同じ傾向が確認できる。2025年から2026年にかけて半径20km圏で開業が確認できた施設は18件あるが、会場中心から最も近いものでも11.3kmの新横浜(191室)であり、10km圏内の新規開業はゼロだった。2026年に横浜都心部で開業した4施設は計870室で、いずれも新横浜・みなとみらい・馬車道・関内という都心立地に集中している。なお、この開業実績はOTA掲載確認ベースの集計である。OTAへの事前掲載は全体の一部にとどまり、開業後に掲載が始まる施設も少なくないため、直近期の軒数は今後の掲載で増加する可能性がある点に留意されたい。

この分布には土地利用上の背景がある。国土交通省 不動産情報ライブラリの用途地域データで会場周辺を確認すると、会場を取り囲むエリアの用途地域は第一種低層住居専用地域(容積率80〜100%)が最も多く、次いで第一種住居地域(容積率200%)が続く。宿泊施設の大規模開発が想定されている土地利用ではないため、会期に向けて会場至近に新たな客室ストックが立ち上がる可能性は構造的に限られている。

結論としては、開幕までに追加される客室は会場圏では見込みにくく、GREEN×EXPO 2027の宿泊需要は既存ストックで受けることになる。宿泊事業者にとっては、新規供給による競争環境の変化を織り込む必要がない一方、会期という時限的な需要をどう自館の稼働と単価に取り込むかという設計が、そのまま成果に直結する局面といえる。

動線を規定する4駅の規模 — 合計17.2万人/日にどれだけ上乗せされるか

会場へのアクセスは、会場近傍4駅からのシャトルバスが中心となる。輸送実施計画が挙げる4駅は、相鉄本線の瀬谷駅・三ツ境駅、東急田園都市線の南町田グランベリーパーク駅、JR横浜線の十日市場駅である。なお、瀬谷駅と会場を結ぶ新交通システム「(仮称)上瀬谷ライン」については、横浜市が2024年4月に事業廃止等届出書を提出しており、現在は自動運転・隊列走行バス等による「新たな交通」の整備方針が示されている。会期中のアクセスは、シャトルバスを主軸とした道路交通が担う想定である(2026年2月時点の計画)。

この4駅がどの程度の規模の駅なのかを、国土交通省 不動産情報ライブラリの駅別乗降客数データで確認する。

出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(駅別乗降客数)よりホテルバンク編集部作成

会場アクセス4駅の乗降客数と来場者想定
駅路線2019年度2023年度来場者想定(片道・1日)
瀬谷相鉄本線44,085人39,475人約5,000〜12,000人
三ツ境相鉄本線57,806人50,845人約3,000〜6,000人
南町田グランベリーパーク東急田園都市線40,084人45,095人約6,000〜15,000人
十日市場JR横浜線41,608人37,018人約4,000〜11,000人
4駅合計—183,583人172,433人約18,000〜44,000人

出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(駅別乗降客数、乗降客数は1日あたり)、2027年国際園芸博覧会協会「来場者輸送実施計画 第2版」よりホテルバンク編集部作成。来場者想定は事前予約制を導入しない場合の値。

4駅の2023年度乗降客数は合計17万2,433人/日で、2019年度の18万3,583人からはまだ6.1%低い水準にある。この4駅のうち唯一2019年度を上回っているのが南町田グランベリーパーク駅で、2019年11月の商業施設開業を機に4万084人から4万5,095人へと12.5%増えた。輸送実施計画が同駅に4駅中最大の来場者(約6,000〜15,000人)を割り当てているのは、この受け入れ余力と東急田園都市線という都心直結の路線特性を踏まえたものと読める。

繁忙期の想定である片道4万4,000人は、往復に換算すると4駅に約8万8,000人分の乗降が上乗せされる計算になり、現状の合計17万2,433人に対して約51%の増加にあたる。輸送実施計画がシャトルバスに事前予約制を導入し、需要の平準化と駅周辺の混雑緩和を図るとしているのは、この規模感を踏まえた設計である。

宿泊側の視点で言えば、この4駅の周辺こそが「泊まってから会場に向かう」動線の起点になる。ところが4駅の徒歩圏に宿泊施設は限られており、実際の宿泊は相鉄線・小田急線・東急田園都市線・JR横浜線でひと駅からふた駅離れた拠点駅――二俣川(2023年度75,949人)、大和(小田急110,623人/相鉄107,157人)、海老名(小田急132,467人/相鉄107,473人/JR相模線27,572人)、町田(小田急254,478人/JR横浜線196,614人)――の周辺に分散する形になるだろう。これらの拠点駅は乗降規模が4駅を大きく上回り、宿泊機能も相応に集積している。会場までの乗り継ぎ本数を宿泊プランの訴求要素として設計できるかどうかが、会期中の集客を分ける要素になりそうだ。

まとめ — 既存ストックで受ける博覧会、受け皿の余地はどこにあるか

開幕まで7か月半という時点での棚卸しを整理する。会場である旧上瀬谷通信施設の半径5km圏には、メトロエンジンリサーチが把握する範囲で稼働確認施設20施設・1,172室が存在するが、一般の宿泊需要を受けられるのは6施設・787室である。半径10kmで2,918室、半径20kmまで広げてようやく40,760室という規模になり、その主体は横浜都心と川崎、そして町田・海老名・厚木といった内陸拠点である。

会期までに会場圏で客室が増える見込みは、確認申請ベースの建築計画データでは確認できなかった。用途地域の構成からも、会場至近での大規模な宿泊開発は想定しにくい。GREEN×EXPO 2027の宿泊需要は、既存ストックが受けることになる。

そこに残されている余地は3つある。第一に、会場近傍3市(大和・海老名・町田)の推定成約ADRは8,000円台で、横浜都心との差は1万円以上ある。会場アクセスという時限的な価値をどこまで単価に織り込めるかという設計余地は大きい。第二に、輸送計画の4駅のうち南町田グランベリーパーク駅が最大の来場者を担う想定であり、東急田園都市線沿線という新たな動線が生まれる。第三に、輸送計画が教育旅行や観光ツアーの団体バスに通常期平日で36%(約18,000人/日)という高い比重を置いている点である。団体旅行は宿泊を伴う比率が個人客より高く、遠方からの教育旅行を受ける準備は、会場圏の中規模施設にとって現実的な取り込み余地といえる。

いずれにせよ、開幕7か月半前の現時点では、会期中の販売価格も予約進捗もまだ観測できる段階にない。本稿は、その手前で「在庫がどこにどれだけあるか」を確定させておくための地図である。会期に向けた価格と在庫の動きは、掲載が本格化する2026年秋以降に改めて追いかけたい。期間限定の大型イベントで在庫がどう埋まっていくかという形そのものは、阿波おどり2026の45日前在庫進捗を追った分析が具体像を示している。

データに関する注意:本記事の宿泊在庫・価格データは、メトロエンジンリサーチが追跡する国内約168,000施設のうち、OTA上で稼働が確認できる約27,000施設・約126万室を母集団としています。OTA未掲載の旅館・民宿・簡易宿所は含まれず、全数調査ではありません。「メトロエンジンリサーチが把握する範囲で」の集計値としてご参照ください。

将来日程のADRに関する注意:2026年8月以降の月次ADRは、調査時点でOTAに公開されている販売価格に基づく推定であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。会期にあたる2027年3月〜9月については、本稿執筆時点で観測可能な掲載がなく、本記事では価格データを提示していません。また、来場者数は主催者が公表する想定値・目標値であり、実績の予測ではありません。交通インフラに関する記述は2026年2月時点の計画に基づきます。

あわせて読みたい

参考資料・出典一覧

■ 博覧会の公式情報

■ 政府統計・公的データ

■ データソース

宿泊在庫・客室数・推定成約ADRは、メトロエンジンリサーチが追跡する国内約168,000施設のうちOTA上で稼働が確認できる約27,000施設・約126万室を母集団とし、直近90日間に販売価格の観測があった施設を「稼働確認施設」として集計した(2026年8月時点)。駅別乗降客数・用途地域は国土交通省 不動産情報ライブラリ、建築計画は同省「建築動態統計調査」(宿泊施設用途・50室以上、収録全国67件・うち神奈川県5件)、来場者数と輸送分担は2027年国際園芸博覧会協会「来場者輸送実施計画 第2版」(2026年2月)に基づく。

■ 試算前提

会場中心を北緯35.490度・東経139.491度(旧上瀬谷通信施設のほぼ中央)と置き、そこからの直線距離で半径5km/10km/20kmの同心円を切って在庫を集計している。「一般宿泊向け」は稼働確認施設から大人専用カテゴリを除いた値。市区町村別の推定成約ADRは2025年8月〜2026年7月の月次値の単純平均、前年同期は2024年8月〜2025年7月の同期間。エリア値は対象施設の中央値(そのエリアの標準的な施設の水準)であり、対象施設数は月次の最小〜最大をN=として併記した。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合における推定成約ADRの誤差中央値は約7%。

■ 限界・留意点

本集計は全数調査ではなくOTA掲載施設ベースであり、OTA未掲載の旅館・民宿・簡易宿所は母集団に含まれない。2025〜2026年に半径20km圏で確認できた開業18施設はOTA掲載確認ベースであり、掲載前・掲載遅れの施設は計上されないため直近期は過少になりうる。建築計画は確認申請ベースの下限値で、今後の申請追加により件数・客室数は増加する見込み。用途地域は会場周辺メッシュの構成比を確認したものであり、個別敷地の開発可否を判定したものではない。来場者数は主催者が公表する想定値・目標値であって実績の予測ではなく、交通インフラに関する記述は2026年2月時点の計画に基づく。会期にあたる2027年3月〜9月の販売価格は本稿執筆時点で観測可能な掲載がなく、本記事では提示していない。

■ 市場データ

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