建設費の高止まりで、新築より既存の宿を取得して手を入れる投資が増えている。そこで最初につまずくのが「この宿はそもそも建て替えられるのか」という問いである。ホテル・旅館は低層住居専用地域や中高層住居専用地域では新たに建てられないが、用途地域が指定される前から営業している宿は、既存不適格建築物として現に残っている。増築は基準時の床面積の1.2倍までに限られ、規模や構造を大きく変える建て替えは新築として現行の用途規制がかかる。本稿では、住居専用系の用途地域に立地する宿を全国で数え上げ、改装・増築・建て替え・用途転換の4案でできること・できないことを条文と自治体の公表資料で整理する。
既刊との線引きを先に示す。『ホテルはどこに建てられるか』は新築の立地選定、『2026年新規開業の61%は市街化区域の外』は区域区分、『検査済証がない宿は買えるか』は手続き上の適法性、『宿の改修に確認申請が要る条件』は確認申請の要否を扱った。本稿はそれらと重ならず、すでに用途規制に合わなくなっている既存の宿に絞り、増築・改築・建て替え・用途転換の範囲を扱う。
本記事における指標の定義
- ADR(平均客室単価):各施設が主要予約サイト上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。
- 用途地域の判定:施設の座標と国土交通省の用途地域データを重ね合わせた機械判定。境界から30m以内にある施設は「判定保留」として別集計しています。
- 基準時:建築基準法令の規定や都市計画の決定・変更により、その建築物が規定に適合しなくなった時点(既存不適格となった時点)。
- データ出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング/国土交通省 不動産情報ライブラリ(用途地域)
- — ホテル・旅館を新たに建てられない住居専用系5地域に529施設・10,374室が立地する。客室ベースで集計対象の0.8%だが、うち84%が旅館・ホテル業態である。
- — 増築は基準時の床面積の1.2倍まで。基準時3,000㎡なら3,600㎡が天井で、容積率・建蔽率にも適合させるため実際に積める床はさらに小さくなる。
- — 一方で大規模の修繕・模様替は範囲の制限がない(用途規制の面)。用途を変えない限り、客室・浴場・外装の刷新で価値を上げる道は開いている。
- — 熱海・箱根・草津・由布・軽井沢の5エリアに客室の39%が集中する。推定成約ADRは1.2万〜2.6万円で、改装の回収原資はこの水準で決まる。
- — 4案の試算では改装の回収が11.4年、増築26.5年、建て替えの建物利回り3.8%。下振れ時は改装でも49.5年となり、回収が成立しない。
住居専用系の5地域に529施設・1万室 — 全体の0.8%だが、温泉地では厚い層になる
対象27,149施設/1,266,418室(主要予約サイト掲載ベースで稼働が確認できる施設。用途地域データの取得できなかった13施設を除く)。出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング/国土交通省 不動産情報ライブラリ
結論から示す。ホテル・旅館を新たに建てられない住居専用系の5地域(第一種・第二種低層住居専用、第一種・第二種中高層住居専用、田園住居)に立地する宿は529施設・10,374室で、集計対象の0.8%にとどまる。数としては小さい。しかし内訳を見ると旅館・ホテル業態が331施設・8,723室と客室の84%を占め、しかも熱海・箱根・草津・由布・軽井沢といった温泉地とリゾート地に集中している。これらの市場で取得を検討するなら、確認すべき論点として避けて通れない規模である。工業地域・工業専用地域(ここもホテル・旅館は建築できない)にも33施設・3,850室が立地する。
一方で第一種住居地域には1,769施設・39,581室がある。第一種住居地域はホテル・旅館そのものが禁止されているわけではなく、用途に供する部分の床面積の合計が3,000㎡を超えるものが建てられない、という規模の条件である。うち客室60室以上は157施設・17,553室。客室数は延べ面積の代理指標にすぎないが、規模の大きい宿ほど「増床すると条件を超える」側に寄る点は押さえておきたい。
条文の整理 — 増築は1.2倍まで、大規模の修繕・模様替は範囲の制限なし
建築基準法別表第二を条文で確認すると、ホテル・旅館は第一種・第二種低層住居専用地域と第一種中高層住居専用地域、田園住居地域では建築できる用途として掲げられておらず、第二種中高層住居専用地域では(に)項第四号で、工業地域では(を)項第二号で明示的に建築してはならない建築物とされている。工業専用地域は(わ)項第一号により(を)項を引くかたちで同じく建てられない。第一種住居地域は(ほ)項第四号で「(は)項に掲げる建築物以外の建築物の用途に供するものでその用途に供する部分の床面積の合計が三千平方メートルを超えるもの」が禁止される。
これらの地域に現に宿が建っている理由は、法第3条第2項にある。同項は、法令の施行・適用の際に現に存する建築物が規定に適合しない場合、その規定を適用しないと定める。同条第3項第二号は、用途地域に関する都市計画の決定・変更によって制限が変わった場合を明示的に挙げており、用途地域の指定より前から建っていた宿はこの扱いになる。ただし第3項第三号により、施行・適用の後に着手する増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替については、現行規定が適用される(遡及適用)。なお同条第1項第三号の条例による適用除外は、歴史的建築物を宿に転用する場面で使われる別の仕組みで、建築基準法の適用除外条例は31自治体で整理している。
その例外が法第86条の7と施行令である。用途規制(法第48条第1項〜第14項)については令第137条の7が範囲を定める。条文の要件は次の5つで、国土交通省「既存建築物の緩和措置に関する解説集(第3版)」p.88も同じ枠組みで整理している。
| 工事の種別 | 用途規制について認められる範囲(根拠) |
|---|---|
| 増築・改築 | ① 基準時の敷地内であること ② 増改築後の延べ面積・建築面積が基準時の敷地面積に対する容積率・建蔽率の制限に適合 ③ 増築後の床面積の合計が基準時の1.2倍以下 ④ 適合しない用途に供する部分の床面積も基準時の1.2倍以下 ⑤ 用途の変更を伴わないこと(令第137条の7) |
| 大規模の修繕・大規模の模様替 | 用途の変更を伴わないすべての大規模の修繕・大規模の模様替(令第137条の12第13項)。用途規制の面では床面積等の上限がない |
| 用途の変更 | 用途規制については緩和が措置されていない(解説集p.3の一覧で法48条①〜⑭の用途変更欄は「×」)。令第137条の19第1項はホテル・旅館・下宿・共同住宅・寄宿舎を類似の用途とするが、ただし書で法第48条の準用についてはこの限りでないと定めている |
| 規模・構造を大きく変える建て替え | 解説集の用語の定義では、改築は「用途、規模、構造の著しく異ならない建築物を建てること」。これを超える計画は新築として現行の用途規制が適用され、法第48条各項ただし書の許可(特定行政庁が公開により意見を聴取し、建築審査会の同意を得る。法第48条第15項)の手続きが必要になる |
実務上の含意は3点ある。第一に、改装は広く認められる。用途規制の面では、用途を変えない限り大規模の修繕・模様替は範囲の制限なく行える。客室・浴場・外装の刷新で価値を上げる道は開いている。第二に、増床は1.2倍が天井である。基準時3,000㎡なら3,600㎡まで、しかも容積率・建蔽率にも適合させる必要があるため、実際に積める床はこれより小さくなることが多い。第三に、同規模・同構造での建て替え(改築)と、大きくする建て替えは扱いが分かれる。どちらに当たるかは個別の計画について特定行政庁が判断するため、取得前の事前相談が前提になる。
どこに残っているか — 熱海・箱根・草津・由布・軽井沢に客室の4割
住居専用系5地域に立地する529施設を市区町村別に見ると、上位5エリアで4,037室と全体の39%を占める。温泉地と高原リゾートで、住宅地としての環境を守る用途地域が広くかけられている地域と、宿が集まってきた地域が重なっている構図である。用途地域の当初指定は1970年代前半に進んだが、当社が把握する開業年は掲載ベースであり、建築時点と都市計画の決定時点の前後関係までは判定できない。本稿の集計は「用途規制に合わない場所に現に宿がある」という所在の事実を示すものであり、個々の施設が既存不適格であること、あるいは法第48条の許可を得ていないことを意味しない。実際、ゲストハウス・ペンション・民宿・貸別荘といった業態が198施設含まれるが、住宅宿泊事業法に基づく民泊は建築基準法上「住宅」として扱われるため、住居専用地域でも規制上の問題は生じない。
| 用途地域 | 施設 | 客室 |
|---|---|---|
| 第一種中高層住居専用 | 159 | 4,050 |
| 第二種中高層住居専用 | 157 | 2,861 |
| 第一種低層住居専用 | 156 | 2,705 |
| 第二種低層住居専用 | 57 | 758 |
| 田園住居 | 0 | 0 |
価格水準 — 該当エリアの推定成約ADRは1.2万〜2.6万円、改装の回収原資はここで決まる
再生の投資判断は、改装後にどこまで単価を取れるかで決まる。該当施設が集まる主要エリアの推定成約ADR(直近12ヶ月平均、2024年9月〜2025年8月)は、箱根町25,500円、由布市23,500円、軽井沢町22,300円、熱海市22,100円、草津町16,200円、白浜町13,500円、宮古島市11,600円だった。いずれもエリア全体の水準であり、住居専用地域に立地する施設だけの値ではない。
4案の試算 — 基準時3,000㎡・40室の旅館をモデルに
基準時の延べ面積3,000㎡・客室40室の旅館が中高層住居専用地域に立地しているというモデルで、4つの案を並べた。ADRは該当エリアの水準を踏まえて現状24,000円とし、建築費は国土交通省「建築着工統計調査」に基づく2025年の構造別坪単価(S造240.5万円/坪=㎡あたり72.8万円)を用い、工事中の物価上昇を織り込んで10%加算した。旅館のGOP率は業態特性を踏まえ現状15%、改装後18%、建て替え後25%とした。いずれも前提を置いた簡易試算であり、実際の投資判断には詳細なフィージビリティ・スタディが必要である。
| 案 | 投資額 | 客室 | 年間売上 | 年間GOP | 現状比GOP増 | 回収年数/利回り |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 現状(何もしない) | — | 40室 | 2.45億円 | 3,680万円 | — | — |
| A. 改装 推奨 大規模の修繕・模様替が中心。用途規制の面では範囲の制限なし。1室400万円 | 1.6億円 | 40室 | 2.82億円 | 5,080万円 | +1,400万円 | 11.4年 |
| B. 1.2倍までの増築 +600㎡=客室8室相当。Aの改装を含む | 6.4億円 | 48室 | 3.39億円 | 6,090万円 | +2,410万円 | 26.5年 |
| C. 許可を得た建て替え 新築扱い。法第48条ただし書の許可が前提 | 24.0億円 | 40室 | 3.68億円 | 9,200万円 | +5,520万円 | 建物利回り3.8% |
| D. 用途地域に適合する用途への転換 共同住宅・寄宿舎等。低層住居専用地域でも建築できる用途 | 4.5億円 | — | 4,050万円 | 2,840万円(NOI) | — | NOI利回り6.3% |
A:改装で伸ばす
用途規制の面で最も自由度が高い。単価改善が回収年数に直結するため、ADR水準の高いエリアほど成立しやすい。
B:増築は1.2倍が天井
8室増やすのに4.8億円かかり、回収は26年超。増床そのものよりも、共用部・浴場の再構成に床を使うほうが効きやすい。
C・D:出口を分ける
建て替えは許可の取得が前提で建物利回り3.8%。用途地域に適合する用途への転換は6.3%となり、立地によっては住宅系の出口が上回る。
感度分析 — 改装案(A)はADRとGOP率で結論が反転する
4案のうち用途規制の面で最も自由度が高いA案について、上振れ・下振れを置いた。改装は既存のGOP(年3,679万円)に対する増分で回収するため、単価の伸びが想定を下回ると回収年数は急激に伸びる。
| シナリオ | ADR | 通年稼働率 | GOP率 | 投資額 | 年間GOP | 現状比GOP増 | 回収年数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 悲観 単価の伸びが限定的、工事費15%上振れ | 25,500円 | 68% | 16% | 1.84億円 | 4,051万円 | +371万円 | 49.5年 |
| 中位 本文の試算 1室400万円 | 27,600円 | 70% | 18% | 1.60億円 | 5,077万円 | +1,398万円 | 11.4年 |
| 楽観 改装効果が単価に乗り、工事費1室380万円 | 29,500円 | 73% | 20% | 1.52億円 | 6,288万円 | +2,609万円 | 5.8年 |
下振れ側では回収年数が49.5年となり、改装であっても投資回収が事実上成立しない。上振れ側は5.8年で、同じ工事内容でも結論が反転する。改装の成否は工事そのものより、改装後にどこまで単価を取れるかに依存している。
| 改装後ADR | 64% | 67% | 70% | 73% | 76% |
|---|---|---|---|---|---|
| 25,500円 | 26.2年 | 19.7年 | 15.8年 | 13.2年 | 11.3年 |
| 26,500円 | 20.6年 | 16.2年 | 13.4年 | 11.4年 | 9.9年 |
| 27,600円 | 16.6年 | 13.6年 | 11.4年 | 9.9年 | 8.7年 |
| 28,500円 | 14.4年 | 11.9年 | 10.2年 | 8.9年 | 7.9年 |
| 29,500円 | 12.5年 | 10.6年 | 9.2年 | 8.1年 | 7.2年 |
該当施設が集まるエリアの実勢(箱根町25,500円、由布市23,500円、熱海市22,100円、草津町16,200円)と重ねると、改装後ADRを2.8万円台に置けるのは箱根・由布の上位帯に限られる。草津・白浜・宮古島の水準では、表の左上の帯、すなわち回収20年超の側に入りやすい。同じ1.2倍の枠を持っていても、改装で回収できるかはエリアの単価水準で決まる。
取得・融資上の含意と、再生の選択肢
ここまでを取得・担保評価の観点でまとめると、住居専用系の用途地域に立つ宿は「改装と小規模な増築で価値を上げる資産」として評価するのが実態に合う。建て替えを前提にした更地価値ベースの評価は、宿として建て直せる保証がない以上、そのままは使いにくい。逆に、改装の自由度が高いことは強みで、用途を変えない限り大規模の修繕・模様替の範囲に制限がないという点は、同じ築古でも他の規制でつまずく物件より有利に働く場面がある。住宅系への転用がどの単価水準から出口として優位になるかは、ホテル→住宅・寮の転用、分岐点ADRは¥3,800〜4,600で試算している。
建て替えや規模拡大を志向する場合の道筋は3つある。第一が法第48条各項ただし書の許可である。横浜市の場合、事前相談、公聴会の開催、建築審査会の同意を経て許可申請(手数料180,000円)という流れで、市が許可基準を定めているのは日用品販売店舗・食堂等・事務所・自動車修理工場・既存ドライクリーニング工場の5用途であり、宿泊用途はこれに当たらないため個別審査となる。第二が特別用途地区で、国土交通省国土技術政策総合研究所の資料でも、用途地域を変更せずに限定的な用途の緩和を行う手法として整理されている。第三が地区計画で、地区の特性に応じて用途制限を緩和する運用がとられている自治体がある。いずれも地域の合意形成を伴う手続きであり、取得前のデューデリジェンスでは「使える見込み」ではなく「現に定めがあるか」を自治体の公表資料で確認することになる。
実務の順序としては、(1)対象地の用途地域と敷地の範囲を都市計画図で確認、(2)基準時がいつか、基準時の床面積がいくらかを図面・台帳で特定、(3)計画が増築・改築・大規模の修繕のどれに当たるかを特定行政庁と事前協議、(4)1.2倍の枠に対する現況の余裕を試算、という流れになる。基準時の床面積が分からなければ1.2倍の枠も計算できないため、図面と検査済証の有無の確認は最初の関門である。
集計方法と出典
主要予約サイト掲載ベースで稼働が確認できる27,162施設のうち、緯度経度と客室数を持つ施設の座標を、国土交通省 不動産情報ライブラリの用途地域データ(2026年7月時点の整備データ)と重ね合わせ、点が含まれるポリゴンの用途地域を機械判定した。判定できたのは27,149施設・1,266,418室。座標の丸めや境界付近の誤差を考慮し、半径30m以内に異なる区分が含まれる3,037施設は判定保留として本文で別に示している。都市計画区域外および用途地域の指定のない区域は「指定なし」として別枠で集計し、用途地域内の数値と混同していない。開業年は掲載ベースの情報で、建築時点や都市計画の決定時点との前後関係を示すものではない。
あわせて読みたい
- ホテル建替えの解体費は㎡5.1万〜14.7万円 — 容積30%減で1室原価+12%
- 検査済証がない宿は買えるか — 62.5万室が1998年以前開業、2025年4月に一本化された現況調査
- 宿の改修に確認申請が要る条件|200㎡・2階建てと4号特例縮小(2025年4月〜)
- 2026年新規開業の61%は市街化区域の外 — 開発許可・農地転用で変わる開業までの時間
- オフィスからホテルへの用途変更、成立は5都市中2都市 — 札幌5.68%・福岡5.23%
- ホテルはどこに建てられるか — 用途地域・容積率・地価で読む主要5商圏の開発余地2026
- 建築基準法の適用除外条例は31自治体 — 歴史的建築物を宿に変える3条3号ルート
- ホテル→住宅・寮の転用、分岐点ADRは¥3,800〜4,600 — 出口の広さで測る担保価値
参考資料・出典一覧
■ データソース
主要予約サイト掲載ベースで稼働が確認でき、緯度経度と客室数を保有する全国27,162施設を母集団とし、国土交通省 不動産情報ライブラリの用途地域データ(2026年7月時点の整備データ)と座標を重ね合わせて機械判定した(判定成立27,149施設・1,266,418室)。エリア別の推定成約ADRは2024年9月〜2025年8月の12ヶ月平均。建築費単価は国土交通省「建築着工統計調査」、条文はe-Gov法令検索、緩和措置の枠組みは国土交通省「既存建築物の緩和措置に関する解説集(第3版)」による。出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング
■ 試算前提
基準時の延べ面積3,000㎡・客室40室・中高層住居専用地域の旅館をモデルとした。現状はADR 24,000円・通年稼働率70%・GOP率15%、改装後はADR 27,600円・GOP率18%、建て替え後はADR 35,000円・通年稼働率72%・GOP率25%。建築費は2025年のS造坪単価240.5万円(㎡あたり72.8万円)に工事期間の物価上昇10%を加算。増築600㎡は1室あたり延べ面積75㎡として8室相当。用途転換は有効面積75%・賃料1,500円/㎡月・NOI率70%・改修費15万円/㎡。稼働率はいずれも通年ベースの前提値(2026年時点の運営を想定)であり、特定月の実績値ではない。感度分析は投資額1.60億円・GOP率18%を固定し、ADRと通年稼働率を振った。GOP率は業態特性を踏まえた設定値であり外部統計の引用ではない。土地代は含まない。
■ 限界・留意点
用途地域の判定は座標とポリゴンの重ね合わせによる機械判定であり、敷地の形状・分割は考慮していない。境界から30m以内の施設は判定保留として別に数えている。開業年は掲載ベースの情報で、建築時点と都市計画の決定・変更時点との前後関係は判定できない。したがって本稿の集計は「用途規制に合わない場所に現に宿がある」という所在の事実を示すものであり、個々の施設が既存不適格であること、あるいは法第48条の許可を得ていないことを意味しない。ADRは推定値であり実際の成約価格・会計数値とは異なる。4案および感度分析は前提を置いた簡易試算であり、実際の投資判断には詳細なフィージビリティ・スタディを要する。計画が増築・改築・大規模の修繕のいずれに当たるかは個別に特定行政庁が判断するため、取得前の事前相談が前提となる。
■ 法令
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第3条・第48条・第86条の7・第87条・別表第二(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第137条の7・第137条の12・第137条の19(e-Gov法令検索)
■ 国・自治体の公表資料
- 国土交通省「既存建築物の緩和措置に関する解説集(第3版)」令和7年11月
- 国土交通省「既存建築物の緩和措置に関する解説集(第4版)」令和8年9月(本稿の条文整理は第3版に基づくが、法第48条に関する整理は第4版でも同一)
- 国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン(第5版)」令和8年9月
- 横浜市「用途地域における建築等許可(建築基準法第48条)」
- 静岡市「建築許可・認定(建築基準法第48条各項ただし書による許可)」
- 国土交通省 国土技術政策総合研究所資料「特別用途地区による用途規制の緩和」
- 国土交通省「建築着工統計調査」(建築費単価の前提)
■ 市場データ
- メトロエンジンリサーチ&コンサルティング — 宿泊施設マスター(座標・客室数・業態)、推定成約ADR
- 国土交通省 不動産情報ライブラリ — 用途地域データ
