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ズワイガニ解禁11月6日で宿単価3.2倍 — 日本海6県・港町別の11〜1月データ

投稿日 : 2026.08.24

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季節・イベント

ズワイガニ解禁11月6日で宿単価3.2倍 — 日本海6県・港町別の11〜1月データ

日本海側のズワイガニ漁は、2026年も11月6日に解禁される。2026年の11月6日は金曜日にあたり、解禁翌日がそのまま最初の土曜日になる。日本海側6県(鳥取・兵庫・京都・福井・石川・島根)の宿泊単価を県単位と市町村単位の両方で見ると、県平均の11月の伸びは前月比+2.4〜+23.1%(2026年・フォワード基準)にとどまる一方、蟹の水揚げ港を抱える町では単価が2倍から3倍に跳ね上がる。福井県越前町では、2025年の確定値ベースで10月の推定成約ADR15,521円が11月には49,997円へ、3.22倍になっていた(前年2024年の同じ10→11月は+152.0%)。

本稿では、解禁日という日付が決まったイベントを起点に、価格の段差がどの単位で・いつ立ち・いつまで持つのかを、月次と日次の両方で検証する。

Key Takeaways
  • — 解禁日は2026年11月6日(金)。雄の漁期は翌年3月20日まで。雌は石川12月29日・福井12月31日・鳥取1月20日と県ごとに終漁日が異なる。
  • — 価格効果は県ではなく港の単位で出る。2024年確定値の10→11月で福井県越前町は+152.0%、同じ福井県の敦賀市は+5.9%だった。
  • — 越前町は三年続けて同じ形。2025年は10月15,521円→11月49,997円の3.22倍、翌4月には20,146円へ-54.7%落ちる。価格帯を決めているのは漁期である。
  • — 単価の山は11月ではなく12〜1月。越前町は2025年12月61,769円で11月比+23.5%、京丹後市は2026年1月43,577円がピークだった。
  • — 解禁77日前の現在、在庫消化はまだ始まっていない。6県24セルのうち残室指数95未満は1セルのみ。価格とプランを見直す余裕がある局面である。

本記事における指標の定義

  • 推定成約ADR:各施設がOTA等で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位では対象施設の中央値(そのエリアの標準的な施設の水準)。
  • 掲載価格:OTA等に掲載されている全プランの平均価格(素泊まり〜食事付きを含む、2名1室利用時の1室あたり料金・税込)。推定成約ADRとは基準が異なるため、本稿では必ずどちらかを明示しています。
  • 確定基準/フォワード基準:過ぎた月は実績の掲載履歴に基づく確定基準、当月以降は調査時点の掲載に基づくフォワード基準です。基準が異なる月をまたいだ前年同月比は本稿では行いません。前月比・前々月比はいずれも同一年・同一基準の月どうしで比較しています。
  • LT(リードタイム):チェックイン日までの日数。LT0=当日。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ(宿泊価格・在庫)、および各県・漁業協同組合等の公表資料(解禁日・漁期)

2026年の解禁日は11月6日(金)— 一次情報で確認できた範囲

日本海のズワイガニ漁は、農林水産省令によって海域ごとに採捕禁止期間が定められている。島根から富山にかけての海域(海域A)では3月21日から11月5日が禁止期間で、その裏返しとして雄の漁期が11月6日から翌年3月20日となる。京都府のズワイガニ漁業解説ページも「11月6日から翌年の3月20日までの約5ヶ月間」と明記しており、暦の上での解禁日は毎年11月6日で固定されている。

一方で、雌(親がに・セイコガニ・セコガニ・香箱ガニ)の漁期は県や漁協の自主規制によって大きく異なる。ここは宿の商品設計に直結する部分なので、一次情報で確認できたものだけを整理した。確認が取れなかった県については、その旨をそのまま記載している。

日本海側6県のズワイガニ漁期一覧(雄・雌/一次情報で確認できた範囲)
県地域ブランド名雄の漁期雌の漁期確認した情報源
鳥取県松葉がに11月6日〜3月20日11月6日〜1月20日(親がに)鳥取県 農林水産部 報道提供資料
兵庫県松葉がに(香住・柴山)11月6日〜3月20日12月末まで(セコガニ)但馬漁業協同組合/香美町公式サイト
京都府松葉がに(間人 ほか)11月6日〜3月20日雌の個別短縮は本稿では確認できず京都府 海洋センター解説ページ
福井県越前がに11月6日〜3月20日11月6日〜12月31日(せいこがに)福井県観光連盟(ふくいドットコム)
石川県加能ガニ11月6日〜3月20日11月6日〜12月29日(香箱ガニ)JFいしかわ/JFいしかわ輪島支所
島根県松葉がに(隠岐 ほか)11月6日〜3月20日(海域Aの規定)県・漁協の一次情報では確認できず全漁連 プライドフィッシュ(隠岐松葉ガニ)

各県・各漁業協同組合等の公表資料よりホテルバンク編集部作成(2026年8月調査時点)

ここで押さえておきたいのは、雌の漁期が12月29日〜1月20日で終わるという点である。年末年始の商品に雌を組み込んでいる宿は、1月以降のメニューを雄中心へ切り替える前提で、12月と1月のプランを別々に設計する必要がある。逆にいえば「香箱ガニが食べられるのは12月29日まで」という制約そのものが、11月〜12月の予約を前倒しさせる材料になる。

そしてもう一つ、2026年固有の条件がある。11月6日が金曜日であるということだ。2024年は水曜、2025年は木曜だったが、2026年は解禁日の翌日がそのまま最初の土曜日(11月7日)になる。解禁初日の水揚げを翌日の夕食に載せられる宿にとっては、初週末を丸ごと商品化できる並びである。

県平均では解禁は見えない — +8.5%と+152%が同じ県に同居する

まず県単位で見る。10月から11月にかけての推定成約ADRの変化率は、確定値の2024年で鳥取県+8.5%、石川県+8.0%、島根県+21.0%、福井県+32.6%、京都府+44.5%、兵庫県+14.5%だった。京都府の数字が大きいのは丹後の蟹ではなく京都市の紅葉需要が効いているためで、県単位の集計は解禁の効果を測る道具としてはあまり機能しない。

市町村まで降ろすと、景色は一変する。下のチャートは2024年(確定基準)の10月→11月の推定成約ADR変化率を、蟹の水揚げ港を抱える町(青)と、同じ6県内にありながら蟹の水揚げ港を持たない都市(グレー)に分けて並べたものである。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2024年10月・11月/確定基準/全業態)

青とグレーがきれいに分離している。港町では+12.4%(三朝町)から+152.0%(越前町)まで、対照都市では-5.2%(浜田市)から+8.5%(金沢市)までに収まる。同じ鳥取県のなかで、鳥取市は+8.2%、越前町ほどではないにせよ三朝町は+12.4%。同じ福井県で、敦賀市は+5.9%、越前町は+152.0%である。解禁の価格効果は県ではなく港の単位で発生していると言い切れる分離幅だ。この「県平均が層を潰す」構造は蟹に限った話ではなく、但馬のカニ帯を含む県内5層の単価構造については兵庫県ホテル市場を5層で読む2026が同じ切り口で整理している。

蟹の水揚げ港を持つ市町村と対照都市の10月→11月 推定成約ADR変化率(2024・2025年=確定基準/2026年=フォワード基準)
市町村県2024年(確定)2025年(確定)2026年(フォワード)
10→11月施設数10→11月施設数10→11月施設数
越前町福井県+152.0%19/19+222.1%19/17+168.3%18/15
京丹後市京都府+75.7%80/86+126.1%74/80+80.5%68/58
宮津市京都府+49.3%28/28+78.6%30/30+11.0%27/23
新温泉町兵庫県+59.9%22/22——+21.4%21/17
香美町兵庫県+36.2%52/55——+33.2%46/40
豊岡市兵庫県+37.2%102/105——+23.1%88/77
三朝町鳥取県+12.4%20/20+24.2%19/18+30.6%18/15
松江市島根県+18.7%55/55+42.0%54/51+19.0%52/51
加賀市石川県+12.6%45/45+29.5%45/44+13.5%45/44
七尾市石川県-9.8%7/8+16.9%13/12+2.6%15/14
鳥取市鳥取県+8.2%37/36+17.1%33/31-6.1%29/24
米子市鳥取県+3.1%47/47+7.6%45/45+11.3%42/39
舞鶴市京都府+0.2%16/16+4.4%17/17-7.6%16/12
敦賀市福井県+5.9%21/21+18.5%21/21+0.5%19/15
浜田市島根県-5.2%15/15+7.6%15/14+0.1%14/14
金沢市石川県+8.5%121/122+6.4%118/112+2.7%112/110

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。数値は推定成約ADRの10月→11月変化率。施設数は「10月/11月」の推定成約ADR算出対象施設数。青地は蟹の水揚げ港を抱える市町村

表で空欄になっているセルがある。2025年11月の兵庫県は、推定成約ADRの算出対象施設数が県全体で34施設(前後の月は約540施設)まで落ち込んでおり、香美町・豊岡市・新温泉町の3市町も同月は算出されていない。サンプルが薄い月の数値は実勢から外れるため、集計から除外した。同様に岩美町(鳥取県)は算出対象が3〜4施設と薄いため上表からは外している。参考までに掲載価格ベースでは、岩美町の10月→11月は2025年で17,281円→34,103円(対象8〜9施設)と、ほぼ倍増していた。

石川県の輪島市・珠洲市は、OTA上で価格を継続的に観測できる施設が2〜3施設にとどまるため、市町村単位の集計対象から外している。能登の宿泊供給はまだ回復の途上にあり、統計として語れる母数に達していない。

三年続けて同じ形 — 越前町の月次カーブは「漁期=価格帯」を示している

単年の偶然ではないことを確認するため、最も振れ幅の大きい越前町(福井県)の推定成約ADRを、年ごとに重ねて描いた。横軸は1月から12月である。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(越前町・全業態、推定成約ADR中央値。2026年8月以降は調査時点の掲載に基づくフォワード基準)

三本の線がほぼ重なる。4月から10月までは16,000〜20,000円台で横ばい、11月に40,000円台へ跳ね、12月から1月に50,000〜60,000円台のピークを打ち、2月・3月は40,000円台を保ち、そして4月にまた20,000円割れへ落ちる。2026年で見ると、3月の44,480円が4月には20,146円まで下がっている(前月比-54.7%)。価格が落ちるのは春が来たからではなく、3月20日で漁期が終わるからである。

この形が三年繰り返されているということは、越前町の宿泊単価は季節需要ではなく漁業カレンダーに規定されている、ということを意味する。宿にとっては、値付けの上限を自分で決めているというより、漁期という外部条件が価格帯を二層に分けていると考えたほうが実態に近い。逆にいえば、4〜10月の16,000〜20,000円台のレンジは、蟹以外の理由で来てもらう商品をどこまで作れるかという伸びしろがそのまま残っている区間でもある。

山は11月ではなく12〜1月に立つ — 解禁日は号砲であってピークではない

解禁日にニュースが集中するため11月が最需要月だと感じられやすいが、データはそうなっていない。確定値で2025年11月・12月・2026年1月の推定成約ADRを並べると、港町では12月から1月にかけて山が立つ。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定成約ADR中央値・確定基準)

港町5市町の月別 推定成約ADR中央値とピーク月(2025年11月〜2026年1月・確定基準)
市町2025年11月2025年12月2026年1月ピーク月施設数(11/12/1月)
越前町¥49,997¥61,769¥55,52812月17/18/20
京丹後市¥40,132¥42,182¥43,5771月80/80/79
加賀市¥22,792¥24,640¥22,02512月44/44/44
三朝町¥21,687¥21,978¥22,2121月18/18/18
松江市¥17,757¥15,492¥12,73211月51/51/52

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定成約ADR中央値・確定基準)

越前町は12月が61,769円で最も高く、11月より+23.5%上乗せされている。京丹後市は1月の43,577円がピークで、11月から+8.6%。三朝町も11月21,687円→1月22,212円と、緩やかに右肩上がりだった。

例外は松江市で、11月の17,757円がピークとなり12月・1月は下がる。松江は蟹の港町というより山陰の都市であり、宿泊需要の構成が違う。同じ「蟹の県」でも、港に立地する宿と県庁所在地の宿では冬のカーブがまったく別物になる、ということでもある。

この差は商品設計の順番に効いてくる。解禁日の初物は話題性で売れるが、単価の山は身入りが安定する12月から年末年始にかけてやってくる。港町の宿にとって、11月は年末年始の予約を取りにいくための入口であって、そこで在庫を出し切ってしまう必要はない。その年末年始の価格がすでにどこまで見えているかは、年末年始2026-27の宿泊価格はもう見えているで12月のフォワードADRを前年実績と突き合わせて検証している。

日次で見ると、段差は解禁日当日ではなく「解禁後の週末」に立つ

ここまでは月次の話である。より解像度を上げて、日ごとの掲載価格を見てみたい。下のチャートは、6県の旅館カテゴリについて、チェックイン日ごとの掲載価格をLT90(チェックインの90日前)という同一のリードタイム時点でそろえて並べたものである。観測時点をそろえているので、日ごとの値付けの差だけが見える。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(旅館カテゴリ、掲載価格・LT90時点、2026年11月6日解禁)

解禁日である11月6日(金)にも段差はあるが、より大きく跳ねているのは翌日の11月7日(土)である。曜日をそろえて並べると、この構造がはっきりする。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(旅館カテゴリ、掲載価格・LT90時点)

日本海側6県 旅館カテゴリの掲載価格 — 解禁前後の金曜・土曜(LT90時点・1室2名あたり税込)
県10/30(金)11/6(金)
解禁日
11/13(金)10/31(土)11/7(土)11/14(土)対象施設数
(11/7)
鳥取県¥29,569¥32,697¥33,668¥34,253¥46,113¥46,63360
兵庫県¥35,347¥40,054¥43,213¥45,786¥54,730¥56,809230
京都府¥43,522¥56,526¥67,094¥53,005¥71,483¥70,592149
福井県¥28,148¥29,356¥41,105¥37,730¥45,511¥51,670112
石川県¥36,469¥41,635¥39,736¥48,575¥50,176¥50,13198
島根県¥33,148¥33,924¥34,794¥41,323¥41,970¥42,81890

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(旅館カテゴリ、掲載価格・LT90時点の1室2名あたり料金/税込)

解禁前最後の土曜(10月31日)と解禁後最初の土曜(11月7日)を比べると、京都府+34.9%、鳥取県+34.6%、福井県+20.6%、兵庫県+19.5%。わずか7日違いの同じ土曜日で、旅館の掲載価格がこれだけ変わる。

興味深いのは金曜の並びである。福井県の金曜は10月30日28,148円→11月6日29,356円(+4.3%)とほぼ横ばいなのに、1週間後の11月13日には41,105円(10月30日比+46.0%)へ跳ねている。解禁日当日より、解禁2週目の金曜のほうが高い。初日の水揚げは量も型も読めないため、確実に蟹を出せる週から高単価プランを寄せている、という値付けとして自然に読める。京都府も同じ形で、11月6日56,526円に対し11月13日は67,094円だった。

石川県(10月30日36,469円→11月6日41,635円→11月13日39,736円)と島根県(33,148円→33,924円→34,794円)は、他の4県に比べて解禁前後の段差が小さい。冬全体でならして売る値付けになっており、解禁週に単価を寄せる余地がそのまま残っているとも読める。加賀市・松江市の月次では11月に+13.5%・+19.0%(2026年フォワード)の伸びが出ているので、県単位で薄まっているだけで、需要の芽は港・温泉地の単位では立っている。

解禁77日前の予約進度 — 6県とも在庫消化はまだ始まっていない

価格は動いている。では予約はどうか。本稿の調査時点(2026年8月21日)は解禁日の77日前にあたる。この時期のOTA在庫の推移を、LT90からLT86までの5日間で見た残室の変化として整理した。

日本海側6県 旅館カテゴリの残室指数(LT90時点=100としたLT86時点の相対値)
県対象(旅館)10/24(土)10/31(土)11/7(土)11/14(土)
鳥取県60施設1,578室100.796.598.8102.0
兵庫県230施設4,624室100.998.899.792.8
京都府149施設2,890室98.198.497.3100.1
福井県112施設2,540室99.596.399.196.9
石川県98施設4,030室98.999.097.6101.3
島根県90施設2,252室95.096.997.2101.5

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。数値はLT90時点の残室数を100としたLT86時点の残室指数(旅館カテゴリ、施設数・室数は11月7日時点)

6県24セルのうち、指数が95を下回ったのは兵庫県11/14(土)の92.8だけである。つまりチェックインの90日前から86日前までの5日間で、OTA上の在庫はほとんど動いていない。100を超えているセル(鳥取県11/14の102.0、島根県11/14の101.5など)は、この期間に宿側がOTAへ客室を追加投入したことを示している。まだ在庫を出している段階であって、取り合いになる段階ではない。

したがって現時点で「早い者勝ち」「もう埋まりつつある」といった言い方はできない。言えるのは、価格の設計はすでに完了しており(解禁週の掲載価格は、京都・鳥取・福井・兵庫の4県で前週比+20〜35%に置かれている)、そこに対する予約の反応はこれから始まる、ということである。解禁日まで77日という位置は、宿側にとってはプラン構成と価格を見直す最後の余裕がある地点、という読み方が実務的だろう。

なお、この残室データは2026年3月10日以降に蓄積された観測に基づく推定であり、OTA上で販売される在庫の消化状況を示すものであって、施設全体の実稼働率とは異なる。

口コミで蟹が語られている宿はどこにあるか

価格データだけでは、どの宿が蟹を主力商品にしているかは分からない。宿泊者の口コミ本文から蟹に関する言及を抽出して、直近24ヶ月で蟹が語られている施設を県別に見ると、価格の段差が大きかった地域とおおむね重なる。

口コミで蟹への言及が多い施設(県別・直近24ヶ月)
県施設名口コミ総数蟹への言及数言及率
福井県海のホテルひろせ478439.0%
福井県あわら温泉 清風荘1,071403.7%
鳥取県皆生グランドホテル 天水681365.3%
鳥取県三朝館564152.7%
兵庫県やなぎ荘2072713.0%
兵庫県緑風閣359277.5%
京都府夕日ヶ浦温泉 一望館2593011.6%
京都府間人温泉 炭平420204.8%
石川県かがり吉祥亭792273.4%
石川県旅亭懐石 のとや449163.6%
島根県松乃湯560213.8%

出典:ホテルバンク編集部調べ(宿泊者口コミのNLP解析、直近24ヶ月、口コミ総数20件以上・蟹への言及8件以上の施設が対象)

「カニ食べ放題」「カニ尽くしで満足しました」「蟹が食べ放題」といった声が並ぶ。言及率が二桁に達しているのは兵庫県のやなぎ荘(13.0%)と京都府の夕日ヶ浦温泉 一望館(11.6%)で、いずれも口コミの1割強が蟹に触れている。蟹が滞在体験の中心として認識されている施設と言っていい。同じ手法で全国の言及率上位を並べた蟹が高評価の宿 全国TOP30では、日本海側以外にも蟹で評価されている宿が分布していること、そして言及がほぼ空白の25県があることも示している。

島根県で条件を満たしたのは2施設にとどまった。県全体の宿泊供給に対して蟹を前面に出す施設が相対的に少ないという構成であり、口コミ上で蟹の存在感を作っていく余地がまだ大きい地域とも読める。

解禁カレンダーから逆算する冬の設計 — 5つの機会

ここまでのデータから、日本海側の宿が2026年の冬に取りにいける収益機会を整理する。いずれも現在の値付けを前提にしたうえでの上乗せ余地として書いている。

  1. 初週末(11/6金〜11/8日)を3日間の商品として設計する。 2026年は解禁日が金曜で、翌日が最初の土曜になる。金・土の2泊、あるいは金泊・土泊を別商品として組める並びは2024年(水曜解禁)・2025年(木曜解禁)にはなかった条件である。
  2. 解禁2週目(11/13金・11/14土)に単価の重心を置く。 現在の掲載価格でも福井県は11/13が11/6を上回り(29,356円→41,105円)、京都府も同様の形になっている。身入りが安定してから高単価プランを出す設計は、すでに市場が選んでいる型である。
  3. 12月〜1月をピークとして値付けする。 確定値では越前町・京丹後市・三朝町・加賀市のいずれも12月または1月が最高単価月だった。11月に在庫を出し切らず、年末年始の枠を残す配分に上乗せ余地がある。
  4. 雌の漁期終了日を予約の締切として使う。 香箱ガニは12月29日、せいこがには12月31日、鳥取の親がには1月20日で終わる。「この日までしか出せない」という事実は、値引きに頼らずに前倒し予約を促せる数少ない材料である。
  5. 2月・3月の40,000円台レンジを取りこぼさない。 越前町の確定値は2月46,603円・3月44,480円で、11月とほぼ同水準を保っている。漁期は3月20日まで続くのに、販促の熱量は年末で切れがちである。ここは需要が実在しているぶん、最も確度の高い伸びしろになる。

いずれの施策も、解禁日という外部で決まった日付を起点にすれば、逆算のスケジュールが自動的に決まる。予約の反応が始まる前の今の時期が、価格とプラン構成を確定させるのに最も余裕のあるタイミングである。

まとめ

  • 2026年のズワイガニ漁解禁日は11月6日(金)。雄の漁期は3月20日まで、雌は石川12月29日・福井12月31日・鳥取1月20日と県ごとに異なる。
  • 解禁の価格効果は県ではなく港の単位で発生する。2024年確定値で越前町+152.0%に対し、同じ福井県の敦賀市は+5.9%だった。
  • 越前町の推定成約ADRは三年続けて同じ形を描き、4月に-54.7%の段差で落ちる。価格帯を決めているのは季節ではなく漁期である。
  • 単価のピークは11月ではなく12〜1月。解禁日は号砲であって山ではない。
  • 解禁77日前の現在、6県とも在庫消化はまだ始まっていない。価格設計を見直す余裕がある局面である。

よくある質問

Q. 2026年のズワイガニ漁の解禁日はいつですか?

A. 日本海側は2026年11月6日(金)です。農林水産省令で海域ごとに採捕禁止期間が定められており、島根から富山にかけての海域Aでは3月21日〜11月5日が禁止期間、その裏返しとして雄の漁期が11月6日〜翌年3月20日となります。北海道・オホーツク海側は別の枠組みで、本稿の対象外です。

Q. 雌のカニ(せいこがに・香箱ガニ・親がに)はいつまで食べられますか?

A. 県によって異なります。本稿で一次情報を確認できた範囲では、石川県の香箱ガニが11月6日〜12月29日、福井県のせいこがにが11月6日〜12月31日、鳥取県の親がにが11月6日〜1月20日、兵庫県のセコガニが12月末までです。京都府・島根県については雌の個別短縮を一次情報で確認できませんでした。

Q. 解禁後、宿の値段はどれくらい上がりますか?

A. 市町村によって大きく異なります。2024年の確定値で10月→11月の推定成約ADRを比べると、福井県越前町が+152.0%、京都府京丹後市が+75.7%、兵庫県新温泉町が+59.9%。一方、同じ6県内でも蟹の水揚げ港を持たない都市では-5.2%〜+8.5%にとどまりました。

Q. 一番高いのは11月ですか?

A. いいえ。確定値では港町の多くで12月または1月が最高単価月です。越前町は2025年12月の61,769円が11月(49,997円)より+23.5%高く、京丹後市は2026年1月の43,577円がピークでした。

Q. カニのシーズンはいつ終わりますか?

A. 雄の漁期は3月20日で終わります。越前町の推定成約ADRは2026年3月の44,480円から4月には20,146円へ-54.7%下がっており、価格帯は漁期の終了とともに切り替わっています。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

宿泊単価・在庫は当社が継続収集しているOTA公開価格・公開在庫の履歴(市町村別の月次は2024年1月〜2027年1月、日次の掲載価格はリードタイム90日時点でそろえた観測、残室推移は2026年3月10日以降の観測)。解禁日・漁期は各県・漁業協同組合等が公表する一次情報。口コミは宿泊者投稿本文の自然言語処理による解析(直近24ヶ月)。

■ 試算前提

推定成約ADRはエリア内の算出対象施設の中央値(そのエリアの標準的な施設の水準)。月次の前月比は同一年・同一基準(確定基準どうし、またはフォワード基準どうし)でのみ比較し、基準をまたいだ前年同月比は行っていない。日次の掲載価格は旅館カテゴリ・LT90時点にそろえた1室2名あたり税込。残室指数はLT90時点の残室数を100としたLT86時点の相対値。

■ 限界・留意点

算出対象施設数が薄い月・地域(2025年11月の兵庫県=県全体34施設、岩美町3〜4施設、輪島市・珠洲市2〜3施設)は集計から除外しているため、地域網羅性は完全ではない。2026年8月以降の数値はフォワード基準の推定で、チェックイン日に近づくにつれて変動する。残室指数はOTA上で販売される在庫の消化状況であり、施設全体の実稼働率とは異なる。

■ 解禁日・漁期(一次情報)

■ 宿泊価格・在庫データ

  • メトロエンジンリサーチ — 推定成約ADR・掲載価格(市町村別月次、2024年1月〜2027年1月)、OTA在庫の残室推移(2026年3月10日以降の観測)
  • ホテルバンク編集部調べ — 宿泊者口コミのNLP解析(直近24ヶ月)

⚠ 将来日程の単価に関する注意:本記事のうち2026年8月以降の月・日付に関する数値は、調査時点(2026年8月21日)でOTA等に公開されている販売価格に基づく推定であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。新規プランの追加や価格調整によって上下しうる点にご留意ください。過去月の数値は確定基準で、基準の異なる月をまたいだ前年同月比は本記事では行っていません。

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