金沢を代表する観光地、ひがし茶屋街のメインストリートに、1日1組限定の町家宿「YADO 璃那 RINA」が2026年6月1日に開業した。町家建築を生かした2階の客室からは茶屋街の町並みを望め、少人数で金沢での滞在を楽しめる。
特徴的なのは、金沢の伝統工芸「加賀水引」を空間全体に取り入れた点だ。作品制作と空間監修は、大正期から技を継ぐ「津田水引折型」が担当。水引の庭や欄間、松竹梅、鶴亀などの意匠を通じて、工芸を鑑賞物にとどめず、宿泊体験の一部として提示する新たな町家宿となっている。
なぜ、ひがし茶屋街の町家に水引を取り入れたのか。開業の背景や、宿を通じて伝えたい金沢の魅力を「YADO 璃那 RINA」に取材した。
――「YADO 璃那 RINA」を、金沢・ひがし茶屋街のメインストリートに位置する1日1組限定の町家宿として開業された背景を教えてください。

ひがし茶屋街は、金沢の中でも重要伝統的建造物群保存地区、いわゆる重伝建として選定されている特別な地域です。今もお茶屋文化が色濃く残り、金沢らしさを感じられる場所でもあります。
日中は多くの観光客でにぎわいますが、朝や夜にはまた違った静かな表情を見せてくれます。その時間帯のひがし茶屋街を、ただ観光するだけでなく、実際に泊まって感じていただきたいと思ったのが開業のきっかけです。
「YADO 璃那 RINA」は、ひがし茶屋街のメインストリートに面した民家を生かし、1日1組限定の宿としてつくりました。金沢に「泊まる」というより、少しだけ金沢で暮らすような感覚を楽しんでいただけたらと思っています。

――加賀水引を宿のコンセプトに据えた理由と、町家宿との親和性について教えてください。
水引には、「人と人を結ぶ」という意味があります。宿もまた、旅を通じて人と地域、人と文化をつなぐ場所だと考えています。
町家の落ち着いた空間に、金沢独自の加賀水引が持つ華やかさを合わせることで、金沢らしいおもてなしを表現できるのではないかと思いました。
伝統的な町家建築と加賀水引は、どちらも金沢の文化を感じられるものです。その二つを組み合わせることで、空間全体から金沢らしさを味わっていただける宿にしたいと考えました。

――「水引の庭」や「水引欄間」など、建築空間そのものと水引を融合させるうえで、特にこだわった表現や工夫を教えてください。
津田水引の五代目・津田六佑さんにお願いしたのは、水引を単に「飾る」のではなく、空間の一部としてプロデュースしていただくことでした。
たとえば「水引の庭」は、光の入り方や見る角度によって印象が変わるようにつくられています。時間帯によっても表情が変わるので、宿の中で過ごしながら、その変化も楽しんでいただけると思います。

「水引欄間」についても、町家の雰囲気を壊さず、空間に自然となじむように設置しています。水引の存在感はありながらも、建物全体の落ち着いた空気と調和するようにこだわりました。

――1階の「金沢まいもん寿司 ひがし茶屋街店」との関係性を含め、金沢の食文化やまち歩きと連動した滞在体験をどのように提案していきたいとお考えでしょうか。
宿に泊まっていただき、茶屋街を歩き、工芸のお店に立ち寄り、夜は金沢の食を楽しむ。そうした、宿だけで完結しない滞在を提案していきたいと考えています。
1階には「金沢まいもん寿司 ひがし茶屋街店」がありますので、金沢の食文化にも自然に触れていただけます。宿を拠点に、まち全体を楽しんでいただけるような滞在を目指しています。
ひがし茶屋街の中に泊まるからこそ、観光客でにぎわう日中だけでなく、朝の静けさや夜のしっとりとした雰囲気も感じていただけます。そうした時間も含めて、金沢の魅力を味わっていただければと思います。
――伝統工芸・町家建築・食文化が重なり合うこの宿を通じて、宿泊者や地域にどのような価値を届けていきたいとお考えでしょうか。

「YADO 璃那 RINA」を通じて、金沢の工芸や町家、食文化をもっと身近に感じていただきたいと思っています。
伝統文化や工芸というと、少し堅く感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも、実際にその空間で過ごしていただくことで、自然とその良さが伝わるのではないかと思います。
水引が人と人を結ぶものであるように、この宿も、宿泊者と金沢、地域と文化を結ぶ場所になっていけたら嬉しいです。
■施設概要
施設名:YADO 璃那 RINA
所在地:石川県金沢市東山1-26-1 2階
開業日:2026年6月1日(月)
定員:2〜3名
アクセス:金沢駅よりタクシーで約15分
電話番号:080-9781-4192
チェックイン:15:00〜20:00
チェックアウト:11:00
Wi-Fi:あり
公式HP:https://www.yado-rina.jp
公式Instagram:https://www.instagram.com/yadorina_kanazawa/
