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福島県ホテル投資マップ2026|天栄村19,500円・会津若松1万円・福島市8,200円、47市町村の単価階層

投稿日 : 2026.10.31

福島県

投資・開発

福島県ホテル投資マップ2026|天栄村19,500円・会津若松1万円・福島市8,200円、47市町村の単価階層

福島県の宿泊ストックは、中通りの福島市・郡山市、浜通りのいわき市、会津の会津若松市という4つの都市圏に客室の7割近くが集まる一方、天栄村・下郷町・北塩原村・柳津町といった会津・県南の温泉地や高原には、客室数が少なく単価の高い宿が点在している。本稿では、メトロエンジンリサーチ&コンサルティングが集計した推定成約ADRを確定12ヶ月(2025年10月〜2026年9月)で市町村別に平均し、推定対象のある47市町村の単価階層を業態構成・供給・需給・立地条件と重ねて、県内のどの価格帯とエリアに投資の空白があるかを特定する。

本稿は当社の県別投資マップ系列(高知・青森・秋田・大分・石川など)の福島版にあたる。県都の再開発や郡山の2027年供給は既刊「福島駅東口の再開発、ホテル床なしで2030年度へ」「郡山のホテル、2027年に2棟441室増」で個別に扱っており、本稿は県内47市町村の階層そのものを対象にする。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)

補足定義:LT(リードタイム)=宿泊日までの日数(LT1=前日)。早期完売LT=残室数が初めて0室に到達したリードタイム(値が大きいほど早く完売)。市町村のADRは各月の対象施設の中央値を確定12ヶ月で単純平均した値で、推定対象施設数(N)を併記する。N=4以下の市町村は参考値として扱い、双葉郡8町村は単独の数値を強調せず集約して示す。

県全体 推定成約ADR
¥7,500
確定12ヶ月平均・前年同期比+3.2%(N=426〜448施設)
4市圏の客室シェア
68.9%
14,335室/20,819室(稼働中289施設)
4市圏の9千円以上のビジネス・シティ
3施設
579室(ビジネス・シティ10,705室の5.4%)
推定OCC(2026年9月)
85.4%
対象224施設/客室11,622(主要予約サイト掲載ベース)
郡山駅前の地価公示
114.6
2021年=100・2026年は415,000円/㎡
Key Takeaways
  • — 県全体の推定成約ADRは7,500円(確定12ヶ月〈2025年10月〜2026年9月〉、前年同期比+3.2%)。市町村では天栄村19,500円から広野町4,700円まで4層に分かれる
  • — 4市圏(福島・郡山・会津若松・いわき)が県内客室の68.9%(14,335室/20,819室)を占め、中心はビジネスホテル9,579室
  • — 4市圏で9千円以上のビジネス・シティは3施設・579室にとどまり、ビジネス・シティ10,705室の5.4%と上位帯が薄い
  • — 郡部はお盆に両端から埋まる:6千円未満の41%、2万円以上の37%の日程が宿泊日の30日以上前に完売し、中間の9千〜1.3万円帯は層が薄い
  • — 2026年9月の推定OCCは85.4%(対象224施設)で隣県と同水準。投資手法は4市圏が取得・改装による上位帯形成、郡部が温泉地の両端の強化

県全体の推定成約ADRは7,500円、前年同期比+3.2%

まず県全体の水準を押さえる。推定成約ADRの確定12ヶ月(2025年10月〜2026年9月)平均は7,500円で、その前の12ヶ月(2024年10月〜2025年9月)の7,300円から+3.2%となった。月別の前年同月比を追うと、2025年12月+6.6%、2026年1月+11.4%と冬場に伸びが大きく、6〜8月は−1.2〜−0.5%と前年を小幅に下回ったのち、9月は+5.2%で確定した。夏に伸びが止まった背景には、2025年8月が8,007円と前年の水準自体が高かったことがある。

福島県 推定成約ADRの月次推移(年別オーバーレイ・確定月のみ)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(推定成約ADR、各月N=426〜448施設。2026年は9月までの確定値)

業態別に分けると、伸びの中心は旅館であることがわかる。旅館の確定12ヶ月平均は11,100円で前年同期比+11.1%(N=237施設)、リゾートホテルは11,300円で+3.6%(N=35施設)だった。一方でビジネスホテルは6,200円で+0.9%(N=156施設)、シティホテルは7,500円で+2.3%(N=17施設)と、都市部の宿泊特化型はほぼ横ばいにとどまる。県全体の中央値が7,500円と旅館の水準より低いのは、推定対象の中でビジネスホテルが厚い層を形成しているためで、この構図は次節の市町村階層にそのまま表れる。業態ごとの前年同月比が月によってどれだけ振れるかは、福島県の推定成約ADR、4業態で割れる回復が確定月ベースで追っている。

業態別 推定成約ADRの月次推移(2025年10月〜2026年9月)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(2026年9月時点のN:ビジネス156・シティ17・旅館237・リゾート35施設)

47市町村の単価階層 — 天栄村19,500円から広野町4,700円まで

それでは市町村別に分解する。推定成約ADRが算出できた47市町村を確定12ヶ月の平均で並べると、県内の単価は大きく4つの層に分かれる。ただし郡部の多くは推定対象が1〜4施設と少なく、1施設の価格改定で市町村値が大きく動くため、本稿では推定対象5施設以上の17市町村を主な比較対象とし、それ以外は参考値として扱う。会津・裏磐梯・いわき・郡山という4つのエリア層で県内を読んだ福島県の宿泊市場2026 — 4層構造で読む秋のADR階層を、市町村単位まで分解したものにあたる。

市町村別 推定成約ADR(確定12ヶ月平均)— 紺=小規模高単価、薄青=中単価、青=4市、灰=価格訴求型。枠線のみの棒は推定対象3〜4施設の参考値
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(推定成約ADR、2025年10月〜2026年9月の確定12ヶ月平均。推定対象が月により2施設以下の市町村は図から除外)

最上層は、県南の羽鳥湖高原と二岐温泉を抱える天栄村の19,500円(N=6〜9施設、前年同期比+10.7%)である。次いで、大内宿と湯野上温泉の下郷町が14,400円(N=5〜6、+22.9%)、裏磐梯の北塩原村が13,100円(N=13〜16、+9.3%)、岳温泉の二本松市が12,400円(N=11、+0.6%)と続く。推定対象4〜5施設の柳津町も16,400円と高い。これらは旅館・リゾート・ペンションが主体の温泉地・高原で、1万2千〜2万円の層をつくっている。

中層には、猪苗代町の10,500円(N=20)と会津若松市の10,100円(N=38〜40)が並ぶ。会津若松市は12ヶ月平均では前年同期と同水準だが、2026年9月単月では10,974円・前年同月比+8.4%と秋の入り口で持ち直している。4市のうち残る3市は、福島市8,200円(N=67〜70、+0.3%)、郡山市7,500円(N=50〜52、+2.3%)、いわき市6,700円(N=77〜84、+4.9%)と6千〜8千円台にあり、県全体の中央値を形づくる業務ストックの層である。いわき市は2026年9月単月で6,769円・前年同月比+12.3%と、4市の中で最も伸びが大きい。

下層は浜通りと県中・県南の価格訴求型の拠点である。南相馬市5,800円(N=15〜16)、須賀川市6,500円(N=9)、広野町4,700円(N=10〜11)が5千〜6千円台にある。ただし浜通りは前年同期比の伸びが県内で最も大きく、相馬市は6,900円で+35.9%、広野町は+21.4%、南相馬市も2026年9月単月で+11.3%だった。双葉郡8町村(広野町・楢葉町・富岡町・浪江町・双葉町・大熊町・川内村・葛尾村)は町村単位では推定対象が1〜11施設にとどまるため、各町村の中央値を施設数で加重平均した参考値として示すと、確定12ヶ月で約5,800円(月平均N=25.0施設)、2026年9月単月では約6,400円(N=27施設)である。復興関連の業務需要と2026年6月の双葉町での98室の開業が、この層の単価を押し上げる方向に働いている。双葉郡の供給構造と、一般流通に出てこない長期滞在在庫の規模については、浜通り双葉郡の宿泊供給4,434室を三層需要で読むで詳しく分析している。

市町村別 推定成約ADR(推定対象5施設以上・確定12ヶ月)
市町村(推定対象5施設以上)12ヶ月平均N(月次の最小〜最大)前年同期比月次の最小〜最大2026年9月(前年同月比)
天栄村¥19,5116〜9+10.7%¥15,298〜¥26,819(1.75倍)¥17,003(+5.8%)
下郷町¥14,4255〜6+22.9%¥12,400〜¥17,994(1.45倍)¥14,413(+30.2%)
北塩原村¥13,12613〜16+9.3%¥10,677〜¥17,696(1.66倍)¥12,018(-1.9%)
二本松市¥12,40211〜11+0.6%¥10,152〜¥14,258(1.4倍)¥12,134(+4.6%)
猪苗代町¥10,45820〜20+1.3%¥8,836〜¥12,536(1.42倍)¥10,496(+5.8%)
会津若松市¥10,11038〜40+-0.0%¥8,520〜¥11,604(1.36倍)¥10,974(+8.4%)
南会津町¥9,1806〜7-2.7%¥6,592〜¥11,664(1.77倍)¥9,976(+19.2%)
西郷村¥8,28810〜12+0.2%¥6,704〜¥10,420(1.55倍)¥10,008(+13.4%)
福島市¥8,22467〜70+0.3%¥7,371〜¥9,252(1.26倍)¥7,848(-4.6%)
塙町¥7,8565〜5+4.1%¥6,441〜¥9,960(1.55倍)¥9,156(+42.3%)
郡山市¥7,48650〜52+2.3%¥6,939〜¥8,036(1.16倍)¥7,711(+4.6%)
喜多方市¥6,9827〜8+3.0%¥6,605〜¥7,306(1.11倍)¥6,836(+7.9%)
相馬市¥6,93716〜21+35.9%¥5,582〜¥7,606(1.36倍)¥7,058(+35.7%)
いわき市¥6,68077〜84+4.9%¥5,944〜¥7,630(1.28倍)¥6,769(+12.3%)
須賀川市¥6,5239〜9+5.9%¥6,137〜¥8,530(1.39倍)¥6,219(+4.4%)
南相馬市¥5,80815〜16+2.1%¥5,469〜¥6,047(1.11倍)¥5,979(+11.3%)
広野町¥4,67310〜11+21.4%¥3,960〜¥5,495(1.39倍)¥5,495(+46.8%)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(推定成約ADR、2025年10月〜2026年9月の確定12ヶ月。前年同期比は2024年10月〜2025年9月の平均との比較)

推定対象が4施設以下の30市町村は次のとおりで、いずれも参考値である。1施設だけの町村は、その施設の季節料金がそのまま市町村値になる点に注意したい。

市町村別 推定成約ADR(推定対象4施設以下・参考値)
市町村(推定対象4施設以下・参考値)12ヶ月平均N月次の最小〜最大
昭和村¥19,0921〜1¥16,842〜¥21,343
柳津町¥16,4054〜5¥11,891〜¥20,493
磐梯町¥14,8761〜1¥12,489〜¥21,601
石川町¥11,4893〜4¥9,218〜¥14,022
只見町¥10,2051〜2¥6,854〜¥12,654
伊達市¥10,1063〜3¥5,816〜¥20,874
金山町¥10,0101〜2¥7,108〜¥21,031
檜枝岐村¥9,6532〜3¥7,416〜¥11,295
会津坂下町¥9,1182〜2¥8,456〜¥10,154
新地町¥8,5321〜1¥7,673〜¥9,568
三島町¥7,8181〜2¥4,206〜¥14,880
矢祭町¥7,6061〜1¥6,348〜¥9,505
楢葉町¥7,5342〜3¥6,259〜¥8,943
田村市¥7,5201〜3¥6,200〜¥11,702
双葉町¥7,4411〜2¥5,299〜¥11,998
大玉村¥7,3701〜1¥6,631〜¥8,601
泉崎村¥6,9631〜1¥5,256〜¥9,745
大熊町¥6,6341〜1¥6,392〜¥6,912
白河市¥6,6203〜5¥5,442〜¥7,395
富岡町¥6,5224〜5¥5,818〜¥7,400
矢吹町¥6,3962〜2¥5,472〜¥7,266
西会津町¥6,3711〜1¥3,316〜¥8,508
葛尾村¥6,3521〜1¥4,315〜¥7,899
三春町¥6,3191〜2¥4,134〜¥9,090
本宮市¥6,0351〜1¥5,784〜¥6,434
会津美里町¥5,8631〜1¥4,125〜¥7,955
浪江町¥5,6844〜4¥5,071〜¥6,193
川内村¥5,6811〜1¥3,618〜¥12,152
鏡石町¥5,5691〜1¥5,139〜¥5,871
棚倉町¥5,2372〜3¥3,761〜¥6,163
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(推定成約ADR、2025年10月〜2026年9月)。双葉郡8町村は本文の集約値を参照
推定対象10施設以上の市町村 — 月次の最小〜最大(棒)と12ヶ月平均(点)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(推定成約ADR、2025年10月〜2026年9月)

繁閑差も立地で異なる。福島市は月次7,400〜9,300円(1.26倍)、郡山市は6,900〜8,000円(1.16倍)、いわき市は5,900〜7,600円(1.28倍)と、業務需要が平日を支える3市は振れ幅が小さい。これに対し北塩原村は10,700〜17,700円(1.66倍)、天栄村は15,300〜26,800円(1.75倍)と、夏と年末年始に単価が跳ねる観光地型の形をしている。会津若松市は1.36倍で両者の中間にあり、旅館と業務ストックが混在する市場であることがうかがえる。

業態で分解する — 4市圏はビジネス9,579室、郡部は旅館・リゾートの小規模分散

単価階層の背景には業態構成の違いがある。県内の主要32地点(4市の駅と主な温泉地・高原・沿岸部)を中心とする半径5km圏の客室ストックを名寄せして合わせると、直近3ヶ月に主要予約サイトで販売価格が確認できた稼働中の施設は289施設・20,819室である(客室数10室以上、2026年10月24日時点)。業態別ではビジネスホテルが122施設・12,979室で客室の62.3%を占め、旅館が110施設・3,667室、リゾートホテルが23施設・2,071室、シティホテルが15施設・1,731室と続く。

これを福島市・郡山市・いわき市・会津若松市の4市圏(各市の駅と飯坂・土湯・磐梯熱海・東山・芦ノ牧・湯本・小名浜の各圏域)と、それ以外の郡部に分けると構図がはっきりする。4市圏は181施設・14,335室で県内ストックの68.9%を占め、うちビジネスホテルが82施設・9,579室、シティホテルが9施設・1,126室と、宿泊特化型だけで10,705室ある。旅館は80施設・2,936室で、飯坂・土湯・東山など市内温泉地の層だ。郡部は108施設・6,484室で、ビジネスホテル40施設・3,400室(白河・須賀川・南相馬・相馬・双葉郡の業務拠点)、リゾートホテル19施設・1,542室(裏磐梯・猪苗代・羽鳥湖)、旅館30施設・731室と、1施設あたりの規模が小さい宿が分散している。

4市圏と郡部の業態構成(客室数)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(主要32地点の半径5km圏を名寄せ、稼働中N=289施設・20,819室)

次に、推定成約ADRが算出できる267施設・20,390室を価格帯×業態で整理した。ここでの価格帯は各施設の12ヶ月平均の推定成約ADRで区分している。

価格帯×業態の施設数・客室数(4市圏と郡部)
価格帯4市圏 施設/客室4市圏の主な業態郡部 施設/客室郡部の主な業態
〜6千円45/3,047室ビジネスホテル31施設・2,814室、旅館14施設・233室19/892室ビジネスホテル9施設・624室、旅館8施設・217室、シティホテル1施設・39室
6〜9千円70/7,706室ビジネスホテル48施設・6,186室、シティホテル9施設・1,126室、旅館12施設・319室45/3,354室ビジネスホテル31施設・2,776室、リゾートホテル5施設・248室、シティホテル2施設・191室
9千〜1.3万円20/1,133室ビジネスホテル3施設・579室、旅館17施設・554室9/699室リゾートホテル5施設・394室、シティホテル2施設・268室、旅館2施設・37室
1.3〜2万円18/894室旅館18施設・894室14/1,088室リゾートホテル6施設・826室、旅館8施設・262室
2万円〜19/1,332室旅館16施設・878室、リゾートホテル3施設・454室8/245室シティホテル1施設・107室、旅館5施設・76室、リゾートホテル2施設・62室
合計172/14,112室95/6,278室
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(推定成約ADRが算出できた267施設・20,390室。貸別荘・民宿・ゲストハウス等の多くは推定対象外)

この表から読み取れるのは、4市圏の価格分布が6〜9千円帯の7,706室に集中し、9千円以上の3,359室(23.8%)がほぼ旅館とリゾートで構成されていることである。ビジネスホテルとシティホテルで9千円以上に位置するのは3施設・579室にすぎず、4市圏の宿泊特化型10,705室の5.4%にとどまる。業務需要の厚い県都・郡山・いわきで、上位グレードの宿泊特化型が層として形成されていないことが数字に表れている。郡部は6〜9千円帯の3,354室(業務拠点のビジネスホテルが中心)と1.3万円以上の1,333室(裏磐梯・猪苗代のリゾートと温泉旅館)に割れ、その中間の9千〜1.3万円帯は9施設・699室(11.1%)と薄い。

供給の性格 — 福島駅5km圏は9年で+16.0%、2026年の新規は双葉町98室と都市部の中小規模

供給側の動きを4市の駅を中心とする半径5km圏で追う。開業年が確認できる施設の各年末時点の客室数は、福島駅圏が2017年の33施設・2,640室から2026年は33施設・3,063室へ+16.0%、いわき駅圏が2,440室から2,810室へ+15.2%、郡山駅圏が3,508室から3,778室へ+7.7%と増えた。一方、会津若松駅圏は2,099室から2,054室へ-2.1%と、9年間ほぼ横ばいである。福島駅圏の増加は2025年2月の294室(駅前東口のビジネスホテル)、いわき駅圏の増加は2023年1月に開業した駅前227室と、2026年に新たに掲載が確認された73室によるもので、いずれも駅前の宿泊特化型だ。

4市の駅5km圏の客室数推移(各年末時点・開業年が確認できる施設)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(客室数10室以上、レジャーホテルを除く。開業年が確認できない施設は福島駅圏1施設・33室、郡山駅圏1施設・10室、会津若松駅圏1施設・49室、いわき駅圏1施設・30室で、各年の値に含めていない。2026年は調査時点の値)

直近2年の県内開業をOTA掲載確認ベースで見ると、2025年は16件・471室で、294室の福島駅前東口のビジネスホテルと91室のいわき市小名浜のビジネスホテル、46室の矢吹町のロードサイド型を除く13件は1〜11室の旅館・ペンション・一棟貸しだった。2026年は10月24日時点で10件・267室が確認でき、6月1日に双葉町で開業した98室のリトリート型ホテルと、2月に掲載が始まったいわき駅前73室・福島駅前47室のビジネスホテルが中心である。開業はOTA等への掲載確認に基づくため、既存建物の転換が含まれる可能性がある。なお福島駅東の83室は既存建物のブランド転換、磐梯熱海の41室は2ヶ月の休業を経た再開業で、いずれも純増ではない(後者は既刊「伊東園ホテル磐梯和水41室、閉館2か月で再開業」を参照)。

新規開業(OTA掲載確認ベース、2025〜2026年)
年業態件数客室数内訳
2025年ビジネスホテル3件431室福島駅前東口294室(2月)、いわき市小名浜91室(11月)、矢吹町46室(4月)
2025年旅館・ペンション・一棟貸し・ゲストハウス等13件40室1〜11室の小規模施設
2026年(10月24日時点)リゾートホテル2件113室双葉町98室(6月)、相馬市15室(8月)
2026年(10月24日時点)ビジネスホテル2件120室いわき駅前73室(2月)、福島駅前47室(2月)。ほかに福島駅東83室のブランド転換
2026年(10月24日時点)旅館・ペンション・貸別荘6件34室1〜10室の小規模施設。ほかに磐梯熱海41室の再開業
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(OTA掲載確認ベース、2025年N=16施設・2026年N=10施設。ブランド転換・再開業は純増に数えていない)。※掲載は開業の数ヶ月前から出るため、2026年後半以降は今後の掲載で増加する可能性がある

先行きの供給は郡山に集中する。既刊で扱ったとおり、郡山駅西口のアパホテル〈郡山駅前〉新棟(249室・2027年11月開業予定)と並木地区のダイワリンクホテル郡山(192室・2027年春開業予定)の2棟・441室が2027年に加わり、郡山市のホテル系客室ストック3,805室に対して+11.6%にあたる。国土交通省「建築物動態統計調査」に基づく建築計画では、このほかに福島市町庭坂で3階建・60室・延床5,045㎡のホテル(完成予定2027年12月)が確認できる。同統計は確認申請ベースで収録が一定規模以上の案件に偏るため、小規模案件や申請前の計画は含まれず、今後の申請追加で件数が増える可能性がある点に留意が必要である。会津若松市では2026年10月時点で大型の新規計画は確認できず、会津の供給は当面、既存旅館の改装と小規模施設の積み上げが中心になる。

需給 — 2026年9月の推定OCCは85.4%、隣県との差は小さく業態差も小さい

需給の締まり具合を推定OCCで比べる。2026年9月の福島県は85.4%(対象224施設/客室11,622、主要予約サイト掲載ベース)で、8月の86.6%(対象224施設/客室11,539)に続いて高い水準にある。隣接する5県と比べると、宮城県87.9%、山形県87.4%、新潟県85.9%とほぼ同水準で、栃木県81.2%、茨城県78.3%を上回る。業態別では9月のビジネスホテルが84.9%(対象48施設/客室5,479)、旅館が87.9%(対象107施設/客室3,585)、リゾートホテルが84.6%(対象15施設/客室1,344)と、業態による差も小さい。

福島県と隣接5県の推定OCC(2026年9月)
県2026年9月 推定OCC対象
福島県85.4%224施設/客室11,622
宮城県87.9%168施設/客室13,217
山形県87.4%148施設/客室5,317
新潟県85.9%231施設/客室11,678
栃木県81.2%315施設/客室13,513
茨城県78.3%161施設/客室9,076
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(稼働率はOTA等の掲載在庫ベースの推定値、全業態。総客室の30%以上を主要予約サイトに掲載する施設で構成した固定コホート)

長期の水準は観光庁「宿泊旅行統計調査」の客室稼働率で確認しておく。福島県の2025年(年平均)は全体49.2%、ビジネスホテル61.3%、旅館37.1%で、2024年の全体44.4%から4.8pt上がった。2026年に入っても1〜7月は全体44.9〜51.3%、ビジネスホテルは7月に68.1%(2025年7月62.3%)と、業務需要の強さが続く。延べ宿泊者数は2025年が960万人泊(前年比+0.6%)、うち外国人は36.0万人泊(+11.0%、構成比3.7%)で、インバウンド比率は全国の中でも低い部類に入る。2026年1〜7月は延べ573万人泊、外国人29.1万人泊で、前年同期をそれぞれ10.2%・36.6%上回るが、2026年1月から調査の層化基準が変わったため、この伸び率は参考値として扱う。

観光庁 福島県の施設タイプ別客室稼働率(2025〜2026年)
施設タイプ2025年1月2025年8月2025年10月2025年平均2026年7月(前年同月)
全体39.3%55.4%56.6%49.2%51.3%(50.4%)
ビジネスホテル51.0%64.0%67.8%61.3%68.1%(62.3%)
シティホテル45.6%52.4%58.6%46.8%44.0%(47.9%)
リゾートホテル58.4%76.7%68.7%62.5%61.3%(64.4%)
旅館27.5%42.3%45.8%37.1%34.1%(38.3%)
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」(福島県・客室稼働率。2026年は速報値。2026年1月調査から層化基準が従業者数から客室数に変更)

ピーク日と週末の差はブッキングカーブで確認できる。お盆の8月14日(金)は、LT45の時点で推定OCCが63.1%、LT30で69.5%、LT7で84.4%、LT1で91.7%と、宿泊日に向けて直前まで積み上がった(対象222施設/客室11,676)。9月の5連休にあたる9月20日(日)はLT45で77.5%から始まり、LT30で87.2%、LT14で99.2%と、2週間前にはほぼ満室に達している(対象276施設/客室12,862)。紅葉の三連休初日となる11月21日(土)は、LT45で79.0%、LT30で88.2%と9月の連休を上回るペースで進んでおり、10月23日時点(LT30)で88.2%にある(対象296施設/客室12,958、進行中の予約状況)。

福島県 ブッキングカーブ(推定OCC、LT45→LT1)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(対象:8/14=222施設/客室11,676、9/20=276施設/客室12,862、11/21=296施設/客室12,958、主要予約サイト掲載ベース。11/21は10月23日時点までの観測)

連休の週末は30日前の時点で9割近くが埋まるため、この日程で単価を伸ばす余地は「どの価格帯の在庫を先に厚く持つか」で決まる。次節ではこの点を、お盆期間の価格帯別の完売の早さと室数を重ねて検証する。

空白帯の特定 — 郡部の6千円未満は41%が30日以上前に完売、4市圏の9千円以上の宿泊特化型は579室

ここではピーク期間の在庫推移から、完売が早いのに室数が限られている価格帯を探す。対象はお盆期間(2026年8月13日〜16日の4泊)で、宿泊日が過ぎて結果が確定している。在庫データのある施設のうち、OTA等での公開枠が総客室の30%以上の施設を市町村別に集計し(372施設)、推定成約ADRが算出できる254施設を価格帯で区分した。全体では1,015日程のうち252日程(24.8%)が宿泊日の30日以上前に残室0に到達している。

価格帯別 客室数(棒)と、お盆期間に30日以上前に完売した日程の割合(線)— 郡部と4市圏
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング。客室数=推定成約ADRが算出できた施設の総客室数(郡部3,684室・4市圏9,519室)。完売の早さ=観測した宿泊日のうち宿泊日の30日以上前に残室0に到達した日の割合
お盆期間(8/13〜16)の価格帯別 早期完売の割合
エリア×価格帯供給(在庫観測の対象)30日以上前に完売うち45日以上前から完売完売に到達
郡部 〜6千円20施設・826室33/80日程(41%)32日程80/80日程(100%)
郡部 6〜9千円27施設・1,082室30/108日程(28%)24日程107/108日程(99%)
郡部 9千〜1.3万円18施設・571室17/71日程(24%)12日程71/71日程(100%)
郡部 1.3〜2万円22施設・944室26/88日程(30%)14日程88/88日程(100%)
郡部 2万円〜13施設・261室19/52日程(37%)7日程52/52日程(100%)
4市圏 〜6千円28施設・1,571室23/112日程(21%)19日程111/112日程(99%)
4市圏 6〜9千円52施設・4,475室51/208日程(25%)40日程207/208日程(100%)
4市圏 9千〜1.3万円24施設・1,209室21/96日程(22%)18日程94/96日程(98%)
4市圏 1.3〜2万円24施設・1,128室13/96日程(14%)5日程96/96日程(100%)
4市圏 2万円〜26施設・1,136室19/104日程(18%)12日程104/104日程(100%)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング。お盆期間(8/13〜16)に在庫データのある施設のうち、OTA等での公開枠が総客室の30%以上の372施設を市町村別に集計し、推定成約ADRのある施設を価格帯で区分。日程数=施設×宿泊日の観測数。宿泊日の45日超前の観測は掲載枠が積まれる前の状態を含むため、日数は示さず「45日以上前から完売」とのみ表記

郡部では価格帯による差が明瞭である。6千円未満の帯は20施設・826室で、観測した80日程のうち33日程(41%)が宿泊日の30日以上前に完売し、うち32日程は45日以上前から完売していた。公共の宿・温泉民宿・国民宿舎といった手頃な宿が、帰省と行楽の重なるお盆に最も早く埋まる層である。2万円以上の帯も13施設・261室と小さいながら37%が30日以上前に完売しており、会津・磐梯の上質な温泉旅館は室数に対して需要が先行している。これに対し中間の9千〜1.3万円帯は18施設・571室で30日以上前の完売は24%、1.3〜2万円帯は30%と、両端ほどの逼迫は見られない。

4市圏はどの価格帯も30日以上前の完売が14%〜25%にとどまり、郡部より遅く埋まる。ただし完売に到達した日程は全価格帯で98〜100%と、最終的にはほぼ満室で着地している。つまり4市圏はお盆でも直前まで在庫が残る市場であり、早期の需要超過というより、直前需要を取り込む価格設計の余地が大きい層といえる。ここで前節の供給構成を重ねると、4市圏の宿泊特化型で9千円以上に位置するのは3施設・579室しかない。9月20日の連休中日がLT14で99.2%に達した事実と合わせると、連休・イベント日に単価を伸ばす受け皿となる上位客室が、都市部で薄いことが空白として浮かび上がる。

厚い 埋まっている領域

4市圏 6〜9千円のビジネス・シティ57施設・7,312室。月次の単価変動が小さく、業務需要が底を支える県内最大のストック。お盆でも直前まで在庫が残る。

空白① 4市圏の上位宿泊特化型

9千円以上 × ビジネス・シティ3施設・579室(宿泊特化型の5.4%)。連休の週末はLT14で99%に達する一方、上位客室の受け皿が薄い。2027年の郡山441室が最初の試金石。

空白② 郡部の手頃な温泉宿と上質旅館

6千円未満 × 公共の宿・温泉民宿20施設・826室はお盆の41%が30日以上前に完売、2万円以上の旅館13施設・261室も37%。中間の9千〜1.3万円帯は9施設・699室と層が薄い。

立地評価 — 居住・就業・地価・洪水浸水想定で4市の駅前を比べる

空白帯がどの立地で成立しやすいかを、福島駅・郡山駅・会津若松駅・いわき駅の4地点で比べる。居住人口は半径1,500m、就業人口は半径1,000mで集計し、地価は駅前の商業系の地価公示地点、洪水は代表地点が国土交通省の公表データ上で想定最大規模の浸水想定区域に含まれるかを確認した。まず県内の宿泊施設の分布を、推定成約ADRの価格帯で色分けして示す。

福島県内の宿泊施設分布(円の大きさ=客室数、色=推定成約ADRの価格帯)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(主要32地点の半径5km圏を名寄せ、稼働中N=289施設)
4市の駅前立地比較(人口・就業・地価・洪水浸水想定)
項目福島駅郡山駅会津若松駅いわき駅
居住人口(半径1,500m・2025年)28,709人30,048人24,449人19,449人
2040年の人口変化(2020年比)-14.4%-11.7%-22.8%-18.7%
高齢者比率(2025年)30.1%27.6%33.5%30.6%
従業者数(半径1,000m)21,542人20,253人8,808人16,191人
事業所数/オフィス系比率2,345/23.1%1,819/18.6%1,184/14.1%1,964/19.1%
地価公示(2026年・商業地)256,000円/㎡
栄町・+1.2%
415,000円/㎡
駅前1丁目・+4.8%
65,900円/㎡
中町・−1.8%
198,000円/㎡
平字三町目・+3.1%
洪水浸水想定(想定最大規模・代表地点)代表地点は該当なし区域に該当(阿武隈川 0.5〜3m未満、逢瀬川 0.5m未満)代表地点は該当なし区域に該当(夏井川 5〜10m未満、新川)
立地タイプ県都・業務+温泉(飯坂・土湯)業務・交通結節の中核観光(城下町・東山温泉)+業務業務(工業・復興関連)+海浜観光
出典:国土交通省 国土数値情報(250mメッシュ別将来推計人口)、総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」(2021年)、国土交通省 不動産情報ライブラリ(地価公示・洪水浸水想定区域)よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成。洪水浸水想定は駅を代表地点として判定したもので、個別敷地の評価ではない

数字の差は明瞭である。福島駅と郡山駅は半径1,000mに従業者21,542人・20,253人が集まり、オフィス系の比率も23.1%・18.6%と県内では高い。いわき駅も従業者16,191人と厚く、平日の業務需要がビジネスホテルの稼働を下支えしている。これに対し会津若松駅は従業者8,808人・オフィス系比率14.1%と業務需要が限られ、宿泊需要は鶴ヶ城や東山温泉への観光の季節性に沿って動く。前節で見た月次単価の振れ幅(福島市1.26倍、郡山市1.16倍に対して会津若松市1.36倍)は、この就業構造の差を反映している。

福島駅 半径1,500m圏の居住人口メッシュ
出典: 国土交通省 国土数値情報(250mメッシュ別将来推計人口・R6国政局推計)。地図内の人数は2020年値

福島駅周辺の居住人口は2025年の28,709人から2040年に25,308人(2020年比-14.4%)へ減る見込みで、郡山駅周辺の-11.7%とともに県内では減少幅が小さい。会津若松駅周辺は-22.8%、いわき駅周辺は-18.7%と減少が速く、高齢者比率も会津若松は33.5%と4地点で最も高い。会津で小規模な新設や改装を検討する場合、需要側より運営側、すなわち人材の確保と運営形態が収益計画の前提を左右する。

地価公示(商業地・同一地点)の推移 — 2021年=100
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(地価公示:福島市栄町、郡山市駅前1丁目、会津若松市中町、いわき市平字三町目)よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成

地価は投資の入口の違いを示す。郡山駅前1丁目の商業地は2021年の362,000円/㎡から2026年は415,000円/㎡(2021年比+14.6%、前年比+4.8%)、いわき市平字三町目は163,000円/㎡から198,000円/㎡(+21.5%)と、5年で1割以上上昇した。福島駅前の栄町は256,000円/㎡で+6.7%と緩やかな上昇にとどまり、会津若松市中町は77,400円/㎡から65,900円/㎡へ-14.9%と下落が続く。郡山・いわきでは用地費の上昇が新築の採算を圧迫する方向に働く一方、会津では用地費の比重が小さく、総投資額の大半が建物・内装に向かうため、建設費の見積もりと客室単価の設計が採算の中心になる。

災害面では、郡山駅が阿武隈川の想定最大規模で0.5〜3m未満、いわき駅が夏井川の想定で5〜10m未満の浸水想定区域に含まれる。福島駅と会津若松駅の代表地点は区域外である。立地ごとに想定されるハザードが異なるため、電気設備の上階配置や避難計画など、建物仕様とBCPに織り込む項目を立地で変えることが実務上の要点になる。

投資示唆 — 4市圏は取得・改装による上位帯の形成、郡部は温泉地の両端を厚くする

ここまでの分析を投資手法に接続する。4市圏の厚い業務ストックと、郡部の温泉地・高原の小規模高単価は性格がまったく異なり、向く手法も分かれる。

投資手法の比較(取得・改装型/温泉地の両端型/業務需要追随型)
項目取得・改装型(福島・郡山・いわき)温泉地の両端を厚くする型(会津・磐梯・県南の郡部)業務需要追随型(浜通り)
対象ストック4市圏のビジネス・シティ91施設・10,705室郡部の旅館30施設・731室、リゾート19施設・1,542室郡部のビジネスホテル40施設・3,400室のうち相馬・南相馬・双葉郡
狙う価格帯6〜9千円帯(7,706室)の一部を9千円以上へ引き上げ(現状3施設・579室)6千円未満の手頃な宿の再生と、2万円以上の少室数旅館。中間の9千〜1.3万円帯(9施設・699室)は慎重に5千〜7千円帯で平日の業務需要を取り、週末は双葉町98室のような滞在型と連携
需要の根拠従業者21,542人(福島駅1km圏)・20,253人(郡山駅1km圏)、連休の週末はLT14で99.2%お盆に6千円未満の41%、2万円以上の37%の日程が30日以上前に完売相馬市+35.9%、広野町+21.4%、南相馬市9月+11.3%と県内で最も単価の伸びが大きい
単価の安定性月次1.16倍(郡山市)〜1.28倍(いわき市)北塩原村1.66倍、天栄村1.75倍、下郷町1.45倍相馬市1.36倍、南相馬市1.11倍
用地・入口価格商業地256,000〜415,000円/㎡(前年比+1.2〜+4.8%)会津若松市中町65,900円/㎡(−1.8%)。温泉地は既存建物の取得・改装が中心いわき市平198,000円/㎡(+3.1%)、浜通り北部は復興事業用地との競合
立地の留意点郡山駅・いわき駅は洪水浸水想定区域、2027年に郡山で441室の供給2040年人口−22.8%(会津若松駅周辺)、冬季の除雪・融雪費復興事業の進捗に需要が連動、推定対象が少なく市町村値の振れが大きい
成立のポイント既存の業務需要を維持しつつ、上位客室の新設で連休・イベント日の単価を伸ばす繁忙期の在庫を確保し、閑散期は食・温泉・体験との組み合わせで単価を維持。少人数で回せる運営設計長期滞在・法人契約で平日を固め、週末の観光需要は近隣の滞在型施設と役割分担
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング、国土交通省 不動産情報ライブラリ、国土交通省 国土数値情報、総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」

福島・郡山・いわきでは、平日を支える業務需要が既に厚く、月次単価の振れ幅も小さい。したがって新築で室数を積むよりも、既存のビジネスホテルを取得し、一部客室を上位グレードへ改装して6〜9千円帯から9千円以上へ単価帯を広げる手法が、需要の実績と整合しやすい。9月の連休や紅葉の三連休のように30日前の時点で9割近くが埋まる日程が年に複数あり、上位客室はこうした日程で単価を伸ばす役割を担える。2027年に郡山で加わる441室の吸収が、この層の需要の深さを測る最初の材料になる。

会津・磐梯・県南の郡部では、既存の高単価層が旅館とリゾートの少数施設に限られ、2025〜2026年の新規は1〜11室の小規模施設に偏っている。お盆の在庫推移が示すのは、6千円未満の手頃な宿と2万円以上の上質な旅館という両端が先に埋まる構図であり、中間の9千〜1.3万円帯は層が薄いうえに完売も遅い。この市場で検討すべきは、休業中や老朽化した手頃な宿の再生と、少室数で単価の高い旅館の2方向で、中間帯の新設は需要の裏付けを慎重に確かめる必要がある。繁閑差が1.5〜1.8倍と大きく人口減少も速いため、繁忙期の在庫確保と閑散期の需要づくり、少人数で回せる運営設計をセットで組み立てることが前提になる。

浜通りは単価水準こそ県内で最も低いものの、相馬市・広野町・南相馬市の伸びは県内最大で、2026年6月には双葉町に98室の滞在型施設が開業した。上場REITの保有物件を見ると、県内では日本ホテル&レジデンシャル投資法人が会津若松市の大江戸温泉物語東山グランドホテル(123室、2017年12月取得、取得価格¥1,230百万円)を、星野リゾート・リート投資法人がコンフォートイン福島西インター(97室、2014年5月取得、取得価格¥672百万円)を保有しており、2026年8月の開示実績は前者がADR35,596円・RevPAR34,653円、後者がADR8,089円・稼働率88.4%・RevPAR7,155円である(保有関係マスター2026年10月時点、N=300物件・国内のみ)。REITの取得対象が温泉旅館と幹線道路沿いの宿泊特化型に分かれている点は、本稿で見た県内市場の二層構造と重なる。

まとめ

福島県の宿泊単価は、会津・県南の温泉地と高原の小規模高単価(天栄村19,500円、下郷町14,400円、北塩原村13,100円ほか)、会津若松市・猪苗代町の中単価(10,100円・10,500円)、県都と郡山・いわきの業務中核(福島市8,200円、郡山市7,500円、いわき市6,700円)、浜通りと県中・県南の価格訴求型の拠点(南相馬市5,800円、須賀川市6,500円、広野町4,700円)の4層に分かれる。4市圏は県内客室の68.9%を占め、そのうちビジネスホテルが9,579室と中心をなす。

業態×価格帯で見ると、4市圏の宿泊特化型で9千円以上に位置するのは3施設・579室と薄く、郡部ではお盆に6千円未満の41%、2万円以上の37%の日程が宿泊日の30日以上前に完売した。2026年9月の推定OCCは85.4%と隣県と同水準で、観光庁統計でもビジネスホテルの客室稼働率は2026年7月に68.1%と前年を上回る。投資手法としては、4市圏では業務ストックの取得・改装による上位帯の形成、郡部では温泉地の両端(手頃な宿の再生と少室数の上質旅館)を厚くする手法、浜通りでは業務需要に追随する宿泊特化型が、それぞれのデータと整合する。

⚠ 将来日程の在庫・単価に関する注意:本記事の11月21日の予約進捗は調査時点(2026年10月23日)までの観測に基づく進行中の状況であり、宿泊日に近づくにつれて変動する。推定成約ADR・推定OCCはOTA等の販売在庫に基づく推定値で、各施設の実際の成約価格・実稼働率とは異なる。本稿では利回り・IRR等の収益試算は行っていない。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチ&コンサルティングの集計データ(推定成約ADR:福島県47市町村・確定12ヶ月〈2025年10月〜2026年9月〉、業態構成:主要32地点の半径5km圏を名寄せした稼働中N=289施設・20,819室、推定OCC:2026年8〜9月・福島県と隣接5県、お盆期間の在庫推移:372施設、新規開業のOTA掲載確認)。立地評価は国土交通省 国土数値情報・不動産情報ライブラリと総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」(2021年)。調査時点は2026年10月23〜24日。

■ 試算前提

市町村の推定成約ADRは、各月の対象施設の中央値を確定12ヶ月で単純平均した値。双葉郡8町村の集約値は各町村の中央値を施設数で加重平均した参考値。価格帯(〜6千円/6〜9千円/9千〜1.3万円/1.3〜2万円/2万円〜)は各施設の12ヶ月平均で区分した。完売判定は残室が初めて0室に到達したリードタイムで行い、OTA等での公開枠が総客室の30%以上の施設に限定。居住人口は半径1,500m、従業者数は半径1,000mで集計した。4市圏の区分は福島駅・郡山駅・会津若松駅・いわき駅の5km圏と、飯坂・土湯・高湯・磐梯熱海・東山・芦ノ牧・湯本・小名浜の各5km圏に含まれる施設とした。

■ 限界・留意点

推定成約ADR・推定OCCはOTA等の販売在庫に基づく推定値で、各施設の実際の成約価格・実稼働率とは異なる。郡部の市町村値は推定対象が1〜4施設の場合があり参考値として扱う。業態構成は主要32地点の半径5km圏の集計で、圏外の施設は含まない。新規開業は掲載前の施設を含まない。洪水浸水想定は駅を代表地点とした判定で、個別敷地の評価ではない。観光庁統計は2026年1月調査から層化基準が変更されており、2025年以前との比較は参考値。

■ 市場データ

  • メトロエンジンリサーチ&コンサルティング — 推定成約ADR、推定OCC、ブッキングカーブ、客室ストック、新規開業(OTA掲載確認ベース)
  • 国土交通省「建築物動態統計調査」よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成 — 福島市町庭坂の建築計画(60室・完成予定2027年12月)

■ 政府統計・公的データ

■ REIT・IR資料

■ ニュース・プレスリリース

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