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1年でどう変わった?東京都・大阪府のホテルを最新データで徹底比較

投稿日 : 2023.06.29

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日本における二大都市、東京都と大阪府。これらは国内外からの観光客が多く、経済的にも文化的にも日本を代表する都市である。この記事では東京都と大阪府でのビジネスホテルのマーケットが過去1年間でどのように変化したのか、最新のデータを用いて都市の変化を比較・分析し、今後の展望について考察していく。

データで見る東京と大阪のホテルマーケット

直近1年間の東京都と大阪府の部屋数、施設数の推移は以下の通りだ。

部屋数推移

施設数推移

出典:メトロエンジンリサーチ

東京都
部屋数の増加率 : 4.6%の増加
施設数の増加率 : 4.2%の増加

大阪府
部屋数の増加率 : 6.4%の増加
施設数の増加率 : 2.9%の増加

増加する旅行需要

以上の結果から、この1年で東京のビジネスホテルの部屋数と施設数は共に4%台の成長、大阪府では部屋数が6.4%、施設数は2.9%成長している。これはコロナ禍が落ち着き、国内旅行者が増加したことや、入国制限の規制撤廃で海外旅行者が多く日本に流入していることから、ビジネスホテルへの観光需要が戻ってきたためと考えられる。

新規開業施設数

ビジネスホテルは、この一年を通して、東京都内で39棟、大阪府では17棟もの施設が新たに開業している。観光需要・ビジネス需要は今後もさらに高まっていくことが予想されているため、次の1年間も安定して施設数は増加していくだろう。

ビジネスホテル分布図

東京都

大阪府

出典:メトロエンジンリサーチ

稼働率比較

 

出典:宿泊旅行統計調査(観光庁)

東京都
稼働率の増加率 : 30.6%の増加

大阪府
稼働率の増加率 : 15.4%の増加

経済活動の再開

コロナ禍が落ち着いたことから、国内の経済活動がリモートからリアルへ戻っていることが考えられる。したがって、実際の移動を伴う出張の機会が増加したことでビジネスホテルへの需要が増えていることが予想される。

東京都と大阪府のビジネスホテルデータの比較

東京都と大阪府のビジネスホテルの需要の比較

直近1年間における東京と大阪のビジネスホテルの稼働率は共に上昇しているものの、その伸び具合には違いが見受けられる。東京の利用率が大阪よりも高くなった要因として、東京の方が海外からのアクセスが容易であることが挙げられる。東京近郊には羽田空港と成田空港が位置しており、両空港は海外主要都市からの直行便が多いため、観光客やビジネスパーソンが東京を訪れやすい環境が整っている。東京のホテル稼働率が全国平均を上回った2022年10月は、外国人向けの入国制限が緩和された時期と一致する。これは、インバウンドによるビジネスホテルの利用の影響が大きいことを示している。

東京都がビジネスホテルの施設数の増加率で大阪府を上回っていることから、新規ビジネスホテルを開業する事業者、これから参入する予定の事業者は東京都の方が多いことが分かる。これは、東京都の方が国内外からのビジネス需要や観光需要が大阪府より高いという、ビジネスホテル事業者の現在の経営戦略が数値になって現れたものであると考えられる。一方で、大阪府の部屋数の増加率が東京都よりも高いことから、大阪府では既存のホテルが部屋数を増室する、または客室数が多い大型のビジネスホテルが新しく開業されているという傾向が見られる。これは、大阪府に資本力が大きいビジネスホテル事業者が進出している可能性が考えられる。

東京都と大阪府の今後の市場

コロナ禍の終息後、東京のビジネスホテルの需要は増加している。特に交通の便が良く観光地が豊富な東側地域、台東区や千代田区で大型ビジネスホテルの開発は進行中だ。観光地での宿泊施設不足を防ぐ目的で、大型ホテルの開発は加速している。

大阪では、大規模なビジネスホテルが続々と開業している。具体的には、2023年に梅田で1,700室、2024年に難波で2,000室のホテルが開設予定だ。さらに、「大阪万博」の2025年開催に向けて観光客の増加が予測されており、この需要に対応するため新たな開発は進行中だ。

ビジネスホテルの戦略は、インバウンド観光客の回復と国内活動の活発化に伴う需要増加に対応する形で進展することが期待される。

 

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