2023年7月現在の日本全国ホテル展開状況について、メトロエンジンリサーチより、施設数・部屋数の推移を、全体・カテゴリー別にお届けする(本調査では、大人専用施設を除外して集計を行った。)
日本全国の宿泊施設数・部屋数推移
日本全国の宿泊施設数は、2023年7月現在、57,185施設、部屋数にして1,720,690室となった。
前回調査した2022年7月時点では、全国の宿泊施設は56,279施設、部屋数にして1,694,548室であったことから、全体の宿泊施設数については906施設(1.61%)、部屋数にして26,142室(1.54%)増加した。
全国の施設数・部屋数ともに増加
2023年7月現在、日本全国の宿泊施設数は前年比1.61%増、部屋数も1.54%増と、宿泊業界は全体として微増傾向にある。これは、新型コロナウイルスのパンデミックが終わりを迎え、徐々に観光需要が復活したためと考えられる。新たに906施設が開業しているため、ホテル事業者や投資家が、世界的な渡航制限の緩和・撤廃やワクチン接種の進行に伴い、旅行や観光需要が再び増加することを見越して開業に前向きな判断を下したようだ。
カテゴリー別施設数・部屋数推移
カテゴリー別での施設数、部屋数は以下のとおりである。
各カテゴリー施設数推移表
ビジネスホテル | 旅館 | シティホテル | リゾートホテル | |
2022年7月 |
8,636 |
13,798 |
1,149 |
1,663 |
2023年7月 |
8,734 |
13,829 |
1,140 |
1,714 |
増減率 |
+1.13% |
+0.22% |
▲0.78% |
+3.07% |
各カテゴリー部屋数推移表
ビジネスホテル | 旅館 | シティホテル | リゾートホテル | |
2022年7月 |
815,522 |
240,351 |
193,037 |
127,149 |
2023年7月 |
832,305 |
240,775 |
194,878 |
129,763 |
増減率 |
+2.05% |
+0.18% |
+0.95% |
+2.06% |
出典:メトロエンジンリサーチ
ビジネスホテル・リゾートホテルでは大幅増、シティホテルはわずかに減少傾向
データから、コロナ禍においても、ビジネスホテルやリゾートホテルの部屋数と施設数は大きく増加したことがわかる。これは、GoToキャンペーンや全国旅行支援を活用し、近場で過ごすホカンス利用や、リモートワークの浸透による連泊ビジネス利用、リゾート地でのホテル暮らし需要など、新たな需要が生まれた結果と考えられる。
また、旅館も部屋数と施設数が僅かに増えている。これは、伝統的な宿泊施設への需要が安定していることや、パンデミックにより都市部から離れ、自然豊かな地域への需要が高まったことが一因と考えられる。その一方で、現状、インバウンドをターゲットにしたホテルスタイルのビジネスモデルの拡大が顕著であるため、全体としてはホテルカテゴリーの方が成長率が高い。
一方、シティホテルの施設数は若干減少し、部屋数のみが増加している。これは、独立系ホテルや阪神阪急ホテルズでのまとまった閉館が影響しているとされる。具体的には、2022年9月にメルパルクが東京都や京都府、岡山県などの6施設を閉鎖している。さらに、パンデミックの影響で労働力不足が深刻化し、室数の多いシティホテルの運営・新規開設が難しくなっていると考えられる。ただし、1500室を超える大型施設「ヴィラフォンテーヌグランド羽田空港」の開業等の影響により、室数は増加したと考えられる。
まとめ
宿泊業界は新型ウイルスのために厳しい局面を迫られてきたが、パンデミックの収束に伴い、その需要は増加傾向にある。メトロエンジンの調査によれば、ビジネス出張機会やインバウンド旅行客の増加などの需要の戻りとともにビジネスホテルの価格は高騰しており、一部ではパンデミック以前の価格を超えているという。今後の宿泊業界は、これらの観光回復を前提にした事業展開が必要となり、さらなる施設数・部屋数の増加が見込まれる。
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日本全国ホテル展開状況(2022年6月現在)
日本全国ホテル展開状況(2021年10月現在)