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祇園1km圏で掲載10万円超は11軒562室 — 帝国ホテル 京都55室・カペラ京都89室が載る東山区の価格階層

投稿日 : 2026.11.07

京都府

エリア・施設分析

祇園1km圏で掲載10万円超は11軒562室 — 帝国ホテル 京都55室・カペラ京都89室が載る東山区の価格階層

2026年3月、京都・祇園に2軒のラグジュアリーホテルが相次いで開業した。3月5日に祇園甲部歌舞練場の敷地内で開いた「帝国ホテル 京都」(全55室)と、3月22日に宮川町で開いた「カペラ京都」(全89室・うちスイート29室)である。両者は同じ東山区、祇園四条駅から徒歩圏の花街に立ち、合わせて144室の客室を市場に加えた。本稿では2軒の公式事実を押さえたうえで、東山区の推定成約ADR、祇園四条駅から半径1kmの客室ストック、掲載価格帯別の客室分布を並べ、この144室が区の価格階層のどこに載ったのかを読み解く。2軒の優劣を論じる記事ではない。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)

本記事の客室ストックは、祇園四条駅から半径1,000m圏内にある客室数10室以上の宿泊施設(レジャーホテルを除く)を対象とし、「稼働中」は直近3か月(2026年8月〜2026年10月)に主要予約サイトで販売価格が確認できた施設を指す(2026年10月31日時点、メトロエンジンリサーチ集計)。

Key Takeaways
  • — 掲載10万円超は11軒562室:祇園四条駅1km圏で2026年9月の掲載価格(全プラン平均・2名1室・税込)が10万円を超えたのは圏内客室の6.0%。帝国ホテル 京都とカペラ京都の144室がその26%を占める。
  • — 東山区の推定成約ADRは¥21,400:2026年9月(N=51施設の中央値)で京都府全体(¥14,200)の1.5倍。11月は調査時点の掲載水準で¥33,700(前年同月比+6.8%)の見通し。
  • — 2軒はともに100室未満の「少室・高単価」型:圏内に101室以上の稼働施設が28軒ある中で、容積率400%の高さ・景観規制下の商業地に少室で構える型を選んだ。2026年3月改定の宿泊税は1人1泊10万円以上で1万円となり、最上段の総額設計に効く。

2026年春、祇園に開いた2軒 — 公式発表で確認できる事実

まずは2軒の輪郭を公式発表どおりに整理しておきたい。帝国ホテル 京都は、国の登録有形文化財である弥栄会館の一部を保存・活用し、本棟・本棟保存エリア・北棟の3エリアで全55室を展開する。客室構成はシグネチャースイート3室(110〜193㎡)、スイート3室、ジュニアスイート5室、グランドプレミア25室、プレミア19室で、最小タイプでも50㎡台である(株式会社帝国ホテル 2025年10月2日発表)。一方のカペラ京都は、建仁寺と鴨川に近い東山区小松町(宮川町)に地上4階・地下2階で建ち、全89室のうち29室がスイート、6室のスイートには温泉浴槽を備える。経営はNTT都市開発ホテルマネジメント、運営はカペラホテルグループが担う(トラベルWatch 2026年2月26日)。開業前の計画段階で宮川町の立地条件と事業構造を整理したカペラ京都3/22開業×宮川町花街ラグジュアリーも、本稿の前提として参考になる。

表1 帝国ホテル 京都とカペラ京都の概要(公式発表ベース)
項目帝国ホテル 京都カペラ京都
開業日2026年3月5日2026年3月22日
客室数全55室(スイート系11室を含む)全89室(うちスイート29室)
建物弥栄会館(登録有形文化財)を保存活用した本棟・保存エリア+北棟地上4階・地下2階
所在東山区・祇園甲部歌舞練場敷地内(祇園四条駅から約260m)東山区小松町・宮川町(祇園四条駅から約480m)
経営・運営株式会社帝国ホテル経営:NTT都市開発ホテルマネジメント/運営:カペラホテルグループ

出典:株式会社帝国ホテル プレスリリース(2025年10月2日)、トラベルWatch(2026年2月26日)、駅距離はメトロエンジンリサーチ

共通するのは、どちらも100室に満たない小規模だという点である。後述する公示地価の標準地が示すとおり、宮川筋・祇園町南側の一帯は商業地域で容積率400%であり、京都市の高さ規制・景観規制もかかる。ただし、祇園町南側にも150室超のアパホテル〈京都祇園〉EXCELLENTがあり、圏内では101室以上の施設が28軒稼働しているため、この条件だけで室数が決まるわけではない。2軒の「少室・高単価」という型は、限られた床で単価を取るという事業判断の結果と読むのが妥当だろう。

東山区の推定成約ADR — 4月の山は3.2万円、9月は2.1万円で府全体の1.5倍

では、2軒が載った東山区の市場はどの水準にあるのか。メトロエンジンリサーチのデータによると、東山区の推定成約ADR(対象施設の中央値)は2026年9月で¥21,400(N=51施設)だった。前年同月の¥21,600に対して-0.7%とほぼ横ばいである。春の山は4月で¥31,900(前年同月比-0.2%)、これが2026年1〜9月の確定値で最も高い月になる。京都府全体の9月が¥14,200(N=604施設)であることを踏まえると、東山区は府の1.5倍の水準で動いていることになる。

ただし、年間を通じて前年並みだったわけではない。夏場は6月-12.8%、7月-9.9%、8月-8.9%と前年同月を下回って推移した。京都市観光協会は2026年3月分の統計で中国からの宿泊者の大幅減(前年同月比−64.9%)や中東情勢の影響を挙げているが、夏場の下落との関係は本稿のデータでは確認できない。一方で、紅葉期の11月は調査時点の掲載水準に基づく推定で¥33,700(前年同月比+6.8%)と前年を上回る山が見えている。ただし同じ推定でも10月は¥28,900(同-3.2%)、12月は¥24,300(同-9.7%)と前年を下回っており、秋以降の回復と言い切れる段階ではない。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

区ごとに並べると東山区の位置づけがさらに分かりやすい。2026年9月の推定成約ADRは、東山区が¥21,400で、右京区(嵐山・嵯峨野を含む)と並んで市内上位に位置する。中京区・下京区はそれぞれ¥15,100・¥13,900であり、施設数ではこの2区が市内の中核を占めるものの、単価では東山区が1.4〜1.5倍の水準にある。花街と寺社が集まる東山の立地は、区単位で見てもすでに京都の価格階層の上段を形成しているといえる。

表2 京都市主要区の推定成約ADR(2026年9月・前年同月・2026年4月)
区2026年9月 ADR2025年9月前年同月比2026年4月N(施設)
右京区¥23,100¥28,300-18.3%¥27,60015
東山区¥21,400¥21,600-0.7%¥31,90051
中京区¥15,100¥14,200+6.2%¥23,800111
下京区¥13,900¥13,400+4.2%¥22,300170
左京区¥13,700¥13,600+0.6%¥18,70015
南区¥11,300¥12,900-12.6%¥19,10054

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定成約ADR=区内対象施設の中央値・税抜相当。対象施設数が15未満の区は表から外した)

祇園四条駅1km圏の客室ストック — 稼働180軒9,018室、9年で客室数は2.2倍

次に、2軒が加わった商圏の大きさを確かめる。祇園四条駅から半径1,000m圏には、客室数10室以上の宿泊施設が掲載ベースで260軒・12,570室あり、直近3か月に主要予約サイトで販売価格が確認できた稼働中の施設は180軒・9,018室である。業態別では、ビジネスホテルが稼働62軒3,888室と室数の4割強を占め、シティホテル13軒1,981室が続く。デラックスホテルは10軒706室で、掲載された10軒がすべて稼働中という点がこの業態の特徴になっている。旅館25軒540室、町家9軒183室と、小規模な宿が軒数では厚い。

表3 祇園四条駅1km圏の業態別客室ストック(2026年10月時点)
業態掲載 軒数掲載 室数稼働 軒数稼働 室数
ビジネスホテル814,980623,888
シティホテル162,248131,981
ホステル651,37743957
カプセルホテル91,1562161
旅館4193825540
デラックスホテル1070610706
ゲストハウス133057145
リゾートホテル32723272
町家112419183
その他92395173

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年10月時点。掲載200室未満の業態は省略)

時間軸で見ると、この圏内の供給は2017年の111軒4,693室から2026年には216軒10,455室へと、客室数で2.2倍に膨らんだ(開業年が確認できない10軒245室と、閉館等で2026年の集計対象から外れる34軒1,870室は推移に含めていない)。2010年代に106軒5,057室、2020年代に84軒4,786室が開業しており、掲載ストックの8割近くが2010年以降の開業である。2026年の2軒144室は、年間の純増(2025年→2026年で+277室)の半分強にあたる。室数のインパクトは小さいが、価格階層へのインパクトはそれとは別の話である。

※データに関する注記
本グラフはOTA掲載確認ベース(開業年別の累計)の集計です。OTA事前掲載は全体の約19%にとどまり、半数以上が開業後の掲載のため、直近の年(2025〜2026年)は今後の掲載で軒数・室数が増加する可能性があります。構造的に過少となる点にご留意ください。

出典:メトロエンジンリサーチ(OTA掲載確認ベース、N=216施設)、ホテルバンク編集部より作成

掲載価格帯別の客室分布 — 10万円超は11軒562室、新2軒がその26%を占める

ここからが本稿の中心である。圏内で2026年9月に掲載価格(全プラン平均・2名1室・税込)が観測できた184施設・9,388室を価格帯で区切ると、2.5〜5万円帯が3,171室(34%)、1.5〜2.5万円帯が2,866室(31%)で、両帯で全体の64%を占める。5〜10万円帯は1,782室、そして10万円超の帯に入るのは11軒・562室にとどまる。圏内客室の6.0%である。帝国ホテル 京都とカペラ京都の144室は、この562室のうち26%を占めており、2軒の開業が祇園の最上段をほぼ1.3倍に広げた計算になる。

紅葉期になると分布は上方に動く。11月の掲載価格(調査時点の掲載水準に基づく推定)で同じ区切りを当てると、10万円超は22軒・1,281室へ、5〜10万円帯は3,704室へと増え、1.5万円未満はほぼ消える。9月に5〜10万円帯にいた31軒のうち10軒が繁忙期に10万円の線を越えるためで、9月の11軒はいずれも11月も10万円超にとどまり、顔ぶれは上乗せされる形で増える。年間を通じて10万円超に居続ける施設が、祇園のラグジュアリーの実質的な母集団だと考えてよい。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

表4 祇園四条駅1km圏の掲載価格帯別客室分布(2026年9月・11月)
掲載価格帯(全プラン平均)9月 軒数9月 室数9月 構成比11月 軒数11月 室数11月 構成比
1.5万円未満241,00710.7%3991.1%
1.5〜2.5万円562,86630.5%103764.0%
2.5〜5万円623,17133.8%713,87741.5%
5〜10万円311,78219.0%743,70439.7%
10万円超115626.0%221,28113.7%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(9月:184施設9,388室、11月:180施設9,337室。11月は調査時点の掲載水準に基づく推定)

9月時点で10万円超の帯にいた11軒を地図に落とすと、分布は鴨川の東に5軒285室、西に6軒277室とほぼ二分される。帝国ホテル 京都とカペラ京都は東側の花街に入り、既存のパーク ハイアット 京都(2019年10月開業・70室、日本ハイアット 株式会社「報道資料 2026年4月」)やザ ホテル青龍 京都清水が東側の高台に、柊家・炭屋旅館といった老舗旅館が鴨川西岸の中京区側に位置する。同じ東山区でも三十三間堂に近いフォーシーズンズホテル京都(2016年開業)は1km圏の外にあり、本稿の集計には含まれていない。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。円の大きさは客室数、濃色は2026年開業の2軒。破線は祇園四条駅から半径1km

表5 2026年9月に掲載価格10万円超だった11軒(祇園四条駅1km圏)
#施設業態客室数駅距離9月 最安プラン9月 全プラン平均
1カペラ京都 2026年開業デラックスホテル89481m¥228,000¥323,100
2パーク ハイアット 京都デラックスホテル70949m¥199,800¥311,300
3そわか町家23601m¥147,900¥266,400
4ザ ホテル青龍 京都清水デラックスホテル48991m¥140,200¥258,300
5柊家旅館28949m¥107,700¥238,000
6帝国ホテル 京都 2026年開業デラックスホテル55264m¥146,400¥223,700
7京都 炭屋旅館旅館20777m¥101,400¥150,800
8四条河原町温泉 別邸 鴨川リゾートホテル32269m¥35,800¥138,600
9STITCH HOTEL Kyotoデラックスホテル16144m¥55,700¥112,500
10グッドネイチャーホテル京都デラックスホテル141310m¥34,900¥105,700
11三木半旅館旅館40717m¥64,500¥103,200

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(掲載価格・2名1室・税込、2026年9月の月内平均。推定成約ADRではない)

2軒の掲載価格 — カペラ京都は最安プラン22.8万円、帝国ホテル 京都は14.6万円(9月)

2軒の価格そのものも、掲載価格として追うことができる。カペラ京都の最安プラン掲載価格(日次最安の月内平均・2名1室・税込)は、夏の底となる8月の18.2万円から9月に22.8万円へ戻し、紅葉期の11月は調査時点の掲載で36.8万円まで上がる。全プラン平均では9月32.3万円、11月44.4万円である。帝国ホテル 京都は最安プランで8月13.8万円、9月14.6万円、11月21.1万円、全プラン平均では9月22.4万円、11月29.6万円と、カペラ京都より一段下の帯で、同じ季節の波形を描いている。参考までに、同じ東山区に先行するパーク ハイアット 京都の9月は最安プラン20.0万円・全プラン平均31.1万円で、カペラ京都とほぼ同じ高さにある。

この2軒の数字を区の市場と並べるときには、指標の違いに注意が要る。区の推定成約ADR¥21,400は最安プラン水準に業態別の補正係数を掛けた税抜相当の成約推定値であり、2軒の数字は税込の掲載価格そのものである。同じ掲載ベースで比べるなら、東山区の掲載価格(全プラン平均の区中央値)は9月で¥38,000(N=411施設)であり、カペラ京都の全プラン平均はその8.5倍、帝国ホテル 京都は5.9倍に位置する。区のデラックス業態だけを取り出した掲載価格(全プラン平均)は9月で約21.8万円(13施設)で、前年同月の約17.2万円(8施設)から施設数とともに水準も切り上がった。2軒は、その業態平均の上側に載っている。外資ラグジュアリーの掲載価格を区のADRの倍率で捉える同じ見方は、ヒルトン京都の宿泊料金は中京区ADRの3.5倍が中京区で示している。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(最安プラン掲載価格の月内平均・2名1室・税込。10月以降は調査時点の掲載水準に基づく推定。区の推定成約ADRとは指標が異なる)

地価と宿泊税 — 容積率400%の商業地と、1人1泊1万円の最上位区分

2軒が「少室・高単価」の型になった背景には、土地の条件がある。2026年1月1日時点の公示地価を見ると、カペラ京都に近い標準地「宮川筋四条下る宮川筋1丁目216番」は1㎡あたり186万円、用途地域は商業地域(準防火地域)で建蔽率80%・容積率400%、祇園四条駅から約100mと記載されている。帝国ホテル 京都側の「四条通大和大路東入祇園町南側570番228」は107万円/㎡で、店舗・ホテル・共同住宅が混在する商業地域とされ、鑑定評価では現状維持とする見方と、インバウンドを背景に上昇傾向とする見方が示されている。四条通北側の「祇園町北側277番」は530万円/㎡に達する。東山区全体の平均地価は113万6,800円/㎡で前年比+11.7%(2026年公示地価)である。地価の高いこの一帯で室数を絞れば、1室あたりの土地・建築コストは高単価で回収する設計になる。

加えて、京都市は2026年3月1日の宿泊分から宿泊税を5段階に改定し、1人1泊の宿泊料金が10万円以上の場合は1万円を課す。2名1室で20万円の客室であれば1人あたり10万円となり、宿泊税は2人で2万円が上乗せされる。本稿で見た10万円超の帯のうち、カペラ京都やパーク ハイアット 京都の全プラン平均はこの最上位区分に入る水準であり、帝国ホテル 京都は最安プラン(9月14.6万円、1人あたり7.3万円)が5万円以上10万円未満の4,000円区分、全プラン平均(9月22.4万円、1人あたり11.2万円)が1万円区分の水準と、2つの区分にまたがる。ただし、ここでの1人あたり額は税込の掲載価格を2名で割った目安で、課税の判定に使う宿泊料金は食事代や消費税を含まないため、実際の区分はプランごとに異なる。ラグジュアリー帯の総額表示では、客室料金・サービス料・消費税に加えてこの宿泊税の段差を織り込む必要がある。区ごとの掲載価格・推定成約ADRが5段階のどの税額帯に落ちるかは、京都市の宿泊税は5段階200〜1万円|東山・下京・中京区は掲載1,000円帯・成約400円帯で東山区を含めて整理している。

投資家・運営者への示唆 — 最上段が厚くなるほど「次の帯」に機会が生まれる

ここまでを整理すると、東山区は推定成約ADRで府の1.5倍、祇園四条駅1km圏の客室は2017年からの9年で2.2倍、そして掲載10万円超の帯は9月時点で11軒562室という三層の数字で描ける。2026年の2軒はこの最上段を144室分広げたが、室数ベースで見れば圏内の1.6%にすぎず、供給圧力というより価格階層の「天井」を引き上げた存在として読むのが妥当だろう。

運営者にとっての示唆は三つある。第一に、5〜10万円帯の1,782室は、31軒中10軒が9月と11月で10万円の線をまたぐ帯であり、繁忙期だけ最上段に入るのではなく、閑散期の最安プランをどう設計するかで年間の帯が決まる。第二に、10万円超の帯が厚くなることで、その直下に当たる5〜10万円帯の「最上段に手が届く代替」としての価値が相対的に上がる。ラグジュアリーが集積した花街では、上段の施設が満室に近づく日ほど下段の単価余地が開くためである。第三に、2.5〜5万円帯の3,171室は圏内最大のボリュームゾーンで、ここから5万円超へ上がる施設が出てくるかどうかが、区の推定成約ADRの中央値を動かす次の変数になる。

投資の観点では、容積率400%・準防火地域の一帯で小規模高単価型を選んだ2軒は、今後の祇園案件で価格水準を測るベンチマークになる。紅葉期の11月は区の推定成約ADRが前年比+6.8%の¥33,700と推定されるが、10月・12月の推定は前年を下回っており、夏場の前年割れが一時的だったと判断するには確定値を待つ必要がある。

よくある質問

Q. 帝国ホテル 京都とカペラ京都はどちらが高いのですか。
2026年9月の最安プラン掲載価格はカペラ京都が22.8万円、帝国ホテル 京都が14.6万円で、カペラ京都が一段上の帯にあるが、客室構成(スイート比率・面積)が異なるため優劣を示す数字ではない。

Q. 記事の「ADR」と「掲載価格」はどう違いますか。
ADR(推定成約ADR)は最安プラン水準に業態別の補正係数を掛けた税抜相当の推定成約単価(エリアは中央値)、掲載価格はOTA上に表示された2名1室・税込の価格そのもので、2軒の価格は掲載価格のみで示している。

Q. 祇園四条駅1km圏で10万円を超える宿は何室ありますか。
2026年9月の掲載価格(全プラン平均)で10万円超だったのは11軒562室で、紅葉期の11月は調査時点の掲載で22軒1,281室に増える。

Q. 京都市の宿泊税はラグジュアリー帯でいくらになりますか。
2026年3月1日宿泊分から1人1泊の宿泊料金が10万円以上なら1万円、5万円以上10万円未満なら4,000円で、2名1室20万円の客室なら2人で2万円が加わる。

⚠ 将来日程の価格に関する注意:本記事の2026年10月以降の推定成約ADRおよび掲載価格は、調査時点でOTAに公開されている販売価格に基づく推定であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。現時点で高く設定されている価格が直前に調整される可能性がある点にご留意ください。

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参考資料・出典一覧

出典: 日本ハイアット 株式会社「報道資料 2026年4月」

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