大分県の宿泊税は2027年6月1日(火)に始まる。総務大臣が2026年9月30日に新設へ同意し、当初は2027年1月以降の施行が予定されていたが、佐藤樹一郎知事が10月6日の定例会見で開始を5か月遅らせると発表した。税額は1人1泊の宿泊料金(食事代・消費税等を除く)に応じた100円・200円・500円・2,000円の4区分である。本稿では、県内18市町村の推定成約ADRを1人あたりの素泊まり相当額に換算し、どの街の宿がどの区分に入りやすいのか、宿泊料金に対する実効負担率はどの程度かを試算する。
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
この記事の要点
- 大分県の宿泊税は2027年6月1日開始。素泊まり料金(1人1泊・税抜)5千円未満100円/2万円未満200円/10万円未満500円/10万円以上2,000円
- 推定成約ADRから換算すると、県内478施設の42.5%が100円区分、53.1%が200円区分、4.4%(21施設)が500円区分。500円区分の15施設は由布市
- 市町村の代表値ベースの実効負担率は2.2〜3.1%。200円定額の熊本市(4.4%)・宮崎市(4.9%)より低い水準になる
- 2026年6月の県全体の推定成約ADRは¥11,900で24か月の最低。施行月は年間の閑散期にあたる
何が決まったか — 同意から施行日発表までの経緯
大分県議会は2026年6月26日に宿泊税条例案を可決し、県は7月7日に総務大臣へ協議した。総務省は9月30日付で同意を発表し、その時点の資料では条例施行を「令和9年1月以降(予定)」としていた。施行日が確定したのはその6日後である。佐藤知事は10月6日の定例会見で、開始日を2027年6月1日とすると表明した。
延期の理由について、日本経済新聞は「税を徴収する宿泊事業者の事務負担などを考慮して5カ月遅らせる」と報じている。地元報道では、九州ふっこう応援割の事務と時期が重なることも理由に挙げられた。宿泊事業者にとっては、割引事業の精算と新税の登録・システム改修を同じ時期に抱えずに済む日程になったといえる。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年6月26日 | 大分県議会で宿泊税条例案を可決 |
| 2026年7月7日 | 総務大臣へ協議 |
| 2026年8月3日 | 宿泊税対応システム改修事業費補助金の申請受付開始(12月28日まで) |
| 2026年9月30日 | 総務大臣が同意(総務省資料では施行「令和9年1月以降(予定)」) |
| 2026年10月6日 | 佐藤知事が定例会見で施行日を2027年6月1日と発表 |
| 2026年11月5日〜20日 | 宿泊事業者向け説明会(県内13会場+オンライン) |
| 2027年6月1日(火) | 大分県宿泊税の課税開始 |
出典:総務省「大分県『宿泊税』の新設」(2026年9月30日)、大分県「大分県宿泊税制度」、日本経済新聞(2026年10月6日)よりホテルバンク編集部作成
税額は素泊まり料金で決まる4区分
課税対象は、旅館業法の許可を受けた旅館・ホテルと簡易宿所、住宅宿泊事業法の届出住宅への宿泊である。納税義務者は宿泊者で、宿泊施設の経営者が特別徴収義務者として宿泊料金と一緒に預かり、県へ申告納入する。区分の基準になる宿泊料金について、県は「食事料金や消費税等を除き、サービス料等を含んだ金額」と定めている。つまり2食付きプランであっても、食事代を除いた1人あたりの素泊まり部分で区分が判定される仕組みである。
| 1人1泊の宿泊料金(食事代・消費税等を除く) | 税額(1人1泊) |
|---|---|
| 5,000円未満 | 100円 |
| 5,000円以上20,000円未満 | 200円 |
| 20,000円以上100,000円未満 | 500円 |
| 100,000円以上 | 2,000円 |
出典:総務省「大分県『宿泊税』の新設」(2026年9月30日)、大分県「大分県宿泊税制度」
課税免除は、修学旅行等の参加者(引率者を含む)と、認定こども園・保育所等の行事の参加者(引率者を含む)である。県の案内には、外交関係に関するウィーン条約に基づく外国大使等の宿泊も免除と記されている。総務省資料によれば、平年度の収入見込額は約18.6億円、徴税費用の見込額は約6千万円だ。報道によると、必要経費を除いた税収の7割が市町村、3割が県の観光施策に充てられる。条例には施行後3年を目途に、その後は5年ごとに見直す規定も置かれている。
18市町村の推定成約ADR — 由布市¥23,800から中津市¥6,400まで
区分を試算するには、まず各市町村の宿泊単価の水準を押さえる必要がある。メトロエンジンリサーチの推定成約ADR(2名1室・税抜相当)を2025年10月〜2026年9月の12か月で平均すると、最も高いのは由布市の¥23,800(月次の対象施設数の中央値138)だった。九重町¥16,900(同45)、別府市¥15,700(同123)、日田市¥15,200(同28)と温泉地が続き、県都の大分市は¥7,000(同43)、中津市は¥6,400(同12)にとどまる。温泉旅館が集まる街と、ビジネスホテル中心の街とで2.2〜3.7倍の開きがあるわけだ。市町村ごとの単価階層と客室供給量は、大分県ホテル投資マップ2026で詳しく整理している。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定成約ADR・2025年10月〜2026年9月の月次値の平均。灰色は月次の対象施設数が10未満で参考値)
月次の対象施設数が10に満たない町村は、1〜2施設の値動きで平均が大きく振れる。姫島村(1施設)や玖珠町・豊後大野市(各2施設)、津久見市(3施設)などは参考扱いとし、以降の区分別集計でも「その他9市町村」としてまとめた。
| 市町村 | 推定成約ADR(2名1室) | 1人あたり(÷2) | 対象施設数(月次中央値) |
|---|---|---|---|
| 由布市 | ¥23,777 | ¥11,888 | 138 |
| 九重町 | ¥16,911 | ¥8,456 | 45 |
| 姫島村(参考) | ¥16,624 | ¥8,312 | 1 |
| 別府市 | ¥15,717 | ¥7,858 | 123 |
| 日田市 | ¥15,162 | ¥7,581 | 28 |
| 日出町(参考) | ¥12,073 | ¥6,036 | 5 |
| 杵築市(参考) | ¥10,228 | ¥5,114 | 4 |
| 国東市 | ¥9,194 | ¥4,597 | 10 |
| 竹田市 | ¥8,899 | ¥4,450 | 20 |
| 臼杵市 | ¥7,771 | ¥3,886 | 10 |
| 佐伯市(参考) | ¥7,284 | ¥3,642 | 5 |
| 玖珠町(参考) | ¥7,097 | ¥3,548 | 2 |
| 豊後高田市(参考) | ¥7,040 | ¥3,520 | 6 |
| 大分市 | ¥6,980 | ¥3,490 | 43 |
| 宇佐市(参考) | ¥6,460 | ¥3,230 | 7 |
| 中津市 | ¥6,441 | ¥3,220 | 12 |
| 豊後大野市(参考) | ¥5,696 | ¥2,848 | 2 |
| 津久見市(参考) | ¥4,324 | ¥2,162 | 3 |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2025年10月〜2026年9月の12か月平均。税抜相当。1人あたりは食事代を除く前の値)
2名1室ADRから1人素泊まり相当額への換算手順
宿泊税の区分は「1人1泊・食事代と消費税を除いた料金」で判定されるのに対し、推定成約ADRは2名1室あたりの税抜相当額である。そこで次の3段階で換算した。第1に、施設ごとに推定成約ADRの12か月平均を求める(3か月以上の値がある478施設)。第2に、2名1室を2で割って1人あたりにする。第3に、旅館は2食付きプランが販売の中心になりやすいため、食事分を割り戻して素泊まり相当額にする。
食事分の割り戻しには、同じ施設が「素泊まり」と「2食付き」の両方を販売している場合だけを比べたペア比較を使った。大分県の2名利用では、2食付きの掲載価格は素泊まりより2026年7月に+32.0%、8月に+29.1%、9月に+26.4%高く(いずれもN=31施設)、3か月平均は+29.2%である。旅館の1人あたり額をこの1.292で割り、素泊まり相当額とした。ペア比較は素泊まりを販売するホテルが中心で、旅館の会席料理はこれより高いことが多い。したがって旅館の素泊まり相当額は実態より高めに出ている可能性があり、本稿の区分試算は上位区分に寄った保守的な見積もりと読める。
ホテル等:1人素泊まり相当額 = 推定成約ADR(2名1室・税抜相当)÷ 2
旅館:1人素泊まり相当額 = 推定成約ADR(2名1室・税抜相当)÷ 2 ÷ 1.292(大分県・2食付き対素泊まりのペア比較プレミアム)
例:由布市の旅館で推定成約ADRが¥23,800なら、¥23,800÷2÷1.292≒¥9,200 → 200円区分
もう一つ押さえたいのが利用人数の違いである。2名利用の1人あたり額は1室料金の半分だが、出張客の1名利用では1室料金がそのまま1人あたりになる。大分県のビジネスホテルの1名利用・素泊まりの掲載価格(税込)は2026年7〜9月に¥8,500〜9,000(N=39施設)だった。税抜に直しても5千円を上回るため、2名利用では100円区分の宿でも、1名利用の宿泊は200円区分に入るケースが多いと考えられる。
区分別の施設比率 — 500円区分は21施設、うち15施設が由布市
換算した1人素泊まり相当額を4区分に当てはめると、県内478施設のうち100円区分が203施設(42.5%)、200円区分が254施設(53.1%)、500円区分が21施設(4.4%)となった。施設の12か月平均で10万円以上となる施設はなく、2,000円区分は施設の代表値としては現れない。ただし区分は実際に泊まった日の料金で決まるため、上位客室や繁忙日の宿泊がより上の区分に入ることは当然ありうる。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(施設別の推定成約ADR12か月平均を1人素泊まり相当額に換算。N=478施設)
街ごとの色分けは明快だ。由布市は143施設中105施設(73.4%)が200円区分に入り、500円区分も15施設(10.5%)と県内で突出する。別府市は200円区分が60.8%、100円区分が36.8%で、中価格帯の旅館とビジネスホテルが混在する構成を映している。九重町・日田市も200円区分が5〜6割を占める。対照的に大分市は44施設中39施設(88.6%)、中津市は12施設中11施設が100円区分で、ビジネスホテル中心の街では2名利用の1人あたり額が5千円を下回りやすい。
| 市町村 | 施設数 | 100円区分 | 200円区分 | 500円区分 | 1人素泊まり相当の中央値 |
|---|---|---|---|---|---|
| 由布市 | 143 | 23(16.1%) | 105(73.4%) | 15(10.5%) | ¥9,100 |
| 別府市 | 125 | 46(36.8%) | 76(60.8%) | 3(2.4%) | ¥6,500 |
| 九重町 | 47 | 19(40.4%) | 26(55.3%) | 2(4.3%) | ¥6,500 |
| 日田市 | 28 | 10(35.7%) | 17(60.7%) | 1(3.6%) | ¥6,400 |
| 竹田市 | 21 | 13(61.9%) | 8(38.1%) | 0(0.0%) | ¥3,500 |
| 大分市 | 44 | 39(88.6%) | 5(11.4%) | 0(0.0%) | ¥3,600 |
| 中津市 | 12 | 11(91.7%) | 1(8.3%) | 0(0.0%) | ¥3,200 |
| 国東市 | 11 | 7(63.6%) | 4(36.4%) | 0(0.0%) | ¥3,700 |
| 臼杵市 | 10 | 7(70.0%) | 3(30.0%) | 0(0.0%) | ¥3,400 |
| その他9市町村(参考) | 37 | 28(75.7%) | 9(24.3%) | 0(0.0%) | — |
| 大分県計 | 478 | 203(42.5%) | 254(53.1%) | 21(4.4%) | ¥6,100 |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2,000円区分に該当する施設はなし。中央値は100円単位で丸め)
客室数で重み付けすると構図はさらに100円区分寄りになる。478施設の客室数合計18,465室のうち、100円区分の施設が10,760室(58.3%)、200円区分が7,372室(39.9%)、500円区分は333室(1.8%)だった。客室数の多いビジネスホテルが100円区分に集まり、500円区分の施設は小規模な旅館が中心であるためだ。なお旅館の食事分を割り戻さずに試算すると、500円区分は35施設、100円区分は169施設となり、割り戻しの仮定を外しても200円以下が9割超を占める点は変わらない。
実効負担率は2.2〜3.1% — 熊本市・宮崎市の200円定額と比べる
税額を1人素泊まり相当額で割った実効負担率を、主要9市町村の施設中央値で試算した。由布市は1人¥9,100に対して200円で2.2%、別府市・九重町・日田市は¥6,400〜6,500に対して200円で3.1%前後、大分市は¥3,600に対して100円で2.8%となった。段階的定額制では、区分の中で料金が高い宿ほど率が下がり、区分が上がる境目のすぐ上で率が最も高くなる。それでも代表値で見ると、9市町村の実効負担率は2.2〜3.1%の幅に収まっている。
出典:メトロエンジンリサーチ、総務省資料よりホテルバンク編集部作成(大分県9市町村は施設中央値、熊本市・宮崎市はエリアの推定成約ADR12か月平均÷2で試算)
比較対象として、2026年7月1日に1人1泊200円の定額で宿泊税を始めた熊本市と宮崎市を同じ考え方で試算した。両市はビジネスホテルが中心のため食事分の割り戻しは行わず、推定成約ADRの12か月平均を2で割った。熊本市(5区の施設数加重、¥9,000)は1人¥4,500で4.4%、宮崎市(¥8,200)は1人¥4,100で4.9%となる。大分市を同じ方法で計算すると1人¥3,500・100円で2.9%であり、低価格帯の宿泊に対しては大分県の段階制のほうが負担率を抑える設計になっていることがわかる。両市で施行後に単価がどう動いたかは、宿泊税200円、施行後の実勢単価を検証で詳しく分析している。
| 市町村 | 1人素泊まり相当額 | 税額 | 実効負担率 | 制度 |
|---|---|---|---|---|
| 由布市 | ¥9,100 | 200円 | 2.2% | 大分県宿泊税(2027年6月〜) |
| 別府市 | ¥6,500 | 200円 | 3.1% | 大分県宿泊税(2027年6月〜) |
| 九重町 | ¥6,500 | 200円 | 3.1% | 大分県宿泊税(2027年6月〜) |
| 日田市 | ¥6,400 | 200円 | 3.1% | 大分県宿泊税(2027年6月〜) |
| 竹田市 | ¥3,500 | 100円 | 2.9% | 大分県宿泊税(2027年6月〜) |
| 大分市 | ¥3,600 | 100円 | 2.8% | 大分県宿泊税(2027年6月〜) |
| 中津市 | ¥3,200 | 100円 | 3.1% | 大分県宿泊税(2027年6月〜) |
| 国東市 | ¥3,700 | 100円 | 2.7% | 大分県宿泊税(2027年6月〜) |
| 臼杵市 | ¥3,400 | 100円 | 2.9% | 大分県宿泊税(2027年6月〜) |
| 熊本市 | ¥4,500 | 200円 | 4.4% | 定額(2026年7月〜) |
| 宮崎市 | ¥4,100 | 200円 | 4.9% | 定額(2026年7月〜) |
出典:メトロエンジンリサーチ、総務省「熊本県熊本市『宿泊税』の新設」(2025年7月22日)、同「宮崎県宮崎市『宿泊税』の新設」(2026年2月13日)よりホテルバンク編集部作成
温泉地では、市町村税の入湯税が宿泊税とは別に課される点も見落とせない。大分県の検討会議資料によれば、別府市は宿泊料金に応じた段階制の超過課税を採用し、6,001円以上50,000円以下で250円、50,001円以上で500円としている。この超過課税は令和11年3月末まで継続する予定と会議で説明された。由布市も宿泊料4,001円以上で250円と標準税率(150円)を上回る。入湯税は温泉の利用に課される税で、料金区分の定義も宿泊税とは異なるため、ここでは額のみを示す。2つの税を合算した負担については、入湯税+宿泊税、1万円未満の温泉宿は単価の7.2%が温泉地19市町村を価格帯別に試算している。
| 市町村 | 入湯税(宿泊)の税率 | 入湯税収入額(令和5年度) |
|---|---|---|
| 別府市 | 宿泊料金等 1,500〜2,000円:50円/2,001〜4,500円:100円/4,501〜6,000円:150円/6,001〜50,000円:250円/50,001円以上:500円(7泊8日以上の長期滞在は2分の1) | 535,312千円 |
| 由布市 | 宿泊料 4,000円以下:100円/4,001円以上:250円 | 133,763千円 |
| 九重町 | 宿泊料 4,000円以下:100円/4,001円以上:150円 | 24,285千円 |
| 大分市 | 150円 | 38,676千円 |
| 日田市 | 宿泊150円 | 32,381千円 |
出典:大分県「第4回大分県観光振興財源検討会議 資料」(県市町村振興課「市町村税の税率調べ」ほか)よりホテルバンク編集部作成
同じ会議では、別府市の状況を説明した委員から、既存の入湯税の段階と宿泊税の段階が「複雑に重なり合う」ことで「現場のオペレーションが非常に煩雑になる」との意見も出ている。精算画面や領収書で2つの税を分けて表示し、宿泊客に用途を伝える工夫は、温泉地の事業者ほど準備の価値が大きい。
6月施行と事業者の準備 — 施行月は年間の閑散期
施行月の6月が需要面でどのような月かを、県全体の推定成約ADRで確かめた。2025年6月は¥12,900、2026年6月は¥11,900と、いずれもその年で最も低い月で、2026年6月は2024年10月以降の24か月で最低である(2026年6月の前年同月比は−7.1%、対象施設数469)。推定OCCも同じ傾向を示し、2026年6月は75.5%(対象336施設/客室9,421・主要予約サイト掲載ベース)と、5月の80.9%(301施設/9,355室)や8月の79.8%(380施設/10,364室)を下回った。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(大分県・推定成約ADR、2名1室・税抜相当。対象施設数は月436〜470)
| 宿泊月(2026年) | 推定OCC | 対象施設/客室 |
|---|---|---|
| 5月 | 80.9% | 301施設/9,355室 |
| 6月 | 75.5% | 336施設/9,421室 |
| 7月 | 76.0% | 318施設/9,500室 |
| 8月 | 79.8% | 380施設/10,364室 |
| 9月 | 78.8% | 337施設/9,817室 |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(予約サイト掲載在庫ベースの推定稼働率。総客室の30%以上を掲載する施設が対象。掲載外の客室を消化済み側に数えるため実稼働率より高めに出る)
需要が落ち着く6月に始まることで、事業者は宿泊客の少ない時期に徴収・精算の手順を試し、夏休みや秋の行楽期までに運用を固められる。申告納入は月単位で、各月の宿泊分を原則翌月末までに納める。6月宿泊分の初回申告は7月末が期限となり、2027年7月31日は土曜日のため実際には翌平日が期限になる。
準備の入口は11月の説明会である。県は11月5日の別府会場を皮切りに、由布・中津・天瀬・日田・佐伯・臼杵・玖珠九重・飯田・国東・大分・宇佐・竹田の13会場と、11月20日のオンライン(Zoom)で、導入までのスケジュールと事務手続きを説明する。システム面では「宿泊税対応システム改修事業費補助金」が補助率10/10・1施設あたり上限200万円で、申請は2026年12月28日まで受け付けている(実績報告は2027年2月20日まで)。併設の「宿泊事業者DX推進事業費補助金」は一般枠が補助率2/3・上限300万円、賃上げ枠が3/4・上限340万円である。予約管理や精算システムの改修は、申請期限から逆算して見積もりを取っておくのが現実的だろう。
区分は宿泊客が実際に支払った料金で機械的に決まる。同じ施設でも曜日や客室タイプによって税額が変わるため、料金表と税額の対応をシステム側で自動判定できるようにしておくと、フロントの説明負担を抑えられる。
まとめ
大分県の宿泊税は、2027年6月1日に1人1泊100円〜2,000円の4区分で始まる。推定成約ADRから換算すると、県内478施設の95.6%が100円か200円の区分に入り、500円区分は21施設(4.4%)で、その7割が由布市に集まる。市町村の代表値でみた実効負担率は2.2〜3.1%で、200円定額の熊本市・宮崎市より低い。施行月の6月は推定成約ADR・推定OCCともに年間の低い月にあたり、運用を立ち上げる時期としては余裕を持ちやすい。11月の説明会と12月28日までの補助金申請が、当面の準備の節目になる。
よくある質問
大分県の宿泊税はいつから始まりますか
2027年6月1日(火)の宿泊から課税が始まる。総務大臣の同意(2026年9月30日)時点では2027年1月以降の予定だったが、10月6日に知事が6月1日開始を発表した。
税額はいくらですか
1人1泊の宿泊料金(食事代・消費税等を除き、サービス料等を含む)が5千円未満で100円、5千円以上2万円未満で200円、2万円以上10万円未満で500円、10万円以上で2,000円である。
2食付きの旅館に泊まる場合はどう判定されますか
食事代を除いた1人あたりの宿泊料金で区分が判定される。本稿の試算では、由布市の旅館の素泊まり相当額は中央値で約9,100円となり、多くが200円区分に入る。
免除される宿泊はありますか
修学旅行等の参加者(引率者を含む)、認定こども園・保育所等の行事の参加者(引率者を含む)、外国大使等の公務での宿泊が課税免除となる。
別府市・由布市では入湯税もかかりますか
温泉を利用する宿泊には、市町村税の入湯税が宿泊税とは別に課される。別府市は宿泊料金等6,001〜50,000円で250円、由布市は4,001円以上で250円である(県検討会議資料)。
試算の前提と留意点:■ データソース:推定成約ADR・推定OCCはメトロエンジンリサーチ(主要予約サイト掲載ベース、県内の全施設ではない)。2食付きプレミアムは同一施設内の素泊まり・2食付きのペア比較(大分県・2026年7〜9月・N=31施設)。■ 試算前提:施設の代表値は推定成約ADRの12か月平均(2025年10月〜2026年9月)。旅館は2食付きプレミアム+29.2%で素泊まり相当に割り戻した。■ 限界・留意点:実際の税額は宿泊日・客室・利用人数ごとの料金で決まり、本稿の区分は施設の代表値による目安である。推定成約ADRは推定値(REIT開示実績との照合で誤差中央値約7%)であり、旅館は会席料理の価格がホテルの夕食より高いことが多いため、素泊まり相当額は高めに出ている可能性がある。
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参考資料・出典一覧
- 総務省「大分県『宿泊税』の新設」(2026年9月30日)
- 大分県「大分県宿泊税制度」
- 大分県「大分県宿泊税に関する宿泊事業者向け説明会(11月)」
- 大分県 宿泊事業者向けシステム改修・DX推進補助制度 特設サイト
- 大分県「第4回大分県観光振興財源検討会議 資料」(2025年12月15日)
- 大分県「第4回大分県観光振興財源検討会議 委員意見」
- 日本経済新聞「大分県の宿泊税、2027年6月開始 1泊100〜2000円」(2026年10月6日)
- 総務省「熊本県熊本市『宿泊税』の新設」(2025年7月22日)
- 総務省「宮崎県宮崎市『宿泊税』の新設」(2026年2月13日)
- メトロエンジンリサーチ — 推定成約ADR(大分県・市町村別・施設別、2025年10月〜2026年9月)、推定OCC(2026年5〜9月)、食事タイプ別ペア比較(2026年7〜9月)
