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日本一高いホテルはアマン東京|1泊中央値42.3万円・全国TOP30と高単価エリア【2026】

投稿日 : 2026.10.01

指定なし

エリア・施設分析

日本一高いホテルはアマン東京|1泊中央値42.3万円・全国TOP30と高単価エリア【2026】

日本一高いホテルは、メトロエンジンリサーチが把握する範囲ではアマン東京(東京都千代田区、1泊1室2名の掲載価格¥280,700〜)である。2025年9月〜2026年8月に掲載された1室2名・1泊のプランを施設ごとに全件集計すると、その中央値は¥423,000で全国1位だった。

2位は宮古島のTHE SHIGIRA(中央値¥420,900)で、1位との差はわずか0.5%。3位は伊豆・修善寺のあさば(同¥379,800)が続く。上位30施設のうち東京23区・京都市の都市型は東京6・京都3の計9施設で、残る21施設は温泉地・離島・高原の旅館とリゾートが占める。本稿は「どの施設が高いのか」という問いに、掲載価格と推定成約ADRを分けて直答する。なお「日本一高いホテル」を建物の高さで知りたい場合は、日本一高いホテルは?高さ300m・客室55階|全国TOP15と高層階の価格差で整理している。

本記事における指標の定義

  • 掲載価格:OTA等に公開されている販売価格そのもの。2名1室利用時の1泊・1室あたり料金(税込)で、素泊まり〜食事付き、スタンダード〜スイートまで全プランを含みます。
  • 掲載価格中央値:集計期間中に観測した、その施設の1室2名・1泊の掲載価格(宿泊日×客室×プランの延べ件数)を小さい順に並べたときの真ん中の値。一部の超高額スイートに引っ張られにくい指標として順位付けに用いました。
  • 日別最安の中央値:宿泊日ごとの最も安い掲載価格を求め、その中央値をとったもの。「その施設に泊まれる入口の水準」を示します。
  • 中心レンジ(P10〜P90):掲載価格を小さい順に並べ、下から10%と90%にあたる値。最安・最高の両端を除いた、よく見かける価格帯です。
  • ADR(平均客室単価)/推定成約ADR:各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。算出対象はビジネス・シティ・リゾート・旅館・カプセルの5業態で、デラックスホテル区分の施設は掲載価格のみを示しています。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ

Key Takeaways

— ¥423,000:アマン東京の1室2名・1泊の掲載価格中央値(2025年9月〜2026年8月)。全国1位で、2位THE SHIGIRA(¥420,900)との差は0.5%。

— 0.47倍:推定成約ADRを算出できた上位15施設で、推定成約ADRは掲載価格中央値の0.36〜0.65倍(中央値0.47倍)。「掲載で高い」と「実際の単価が高い」は順位が入れ替わる。

— 242施設・12,433室:掲載価格中央値が10万円以上の施設。施設数は地方・リゾート型が8割超、客室数は東京23区・大阪市・京都市の都市型が57.6%を占める。

— 15.5室:TOP30の総客室数の中央値(母集団は39室)。口コミ評価の中央値は4.73で、母集団の4.06を上回る。

— 季節型は二系統:都市型9施設はすべて3〜5月が最高月。リゾート型は夏ピークが11施設、冬ピークは倶知安町の坐忘林の1施設。

日本一高いホテルはアマン東京 — 掲載価格中央値TOP30

全国のホテル・旅館系7業態のうち、2025年9月〜2026年8月に6か月以上の掲載観測がある12,673施設を母集団とした。このうち掲載価格の月次平均が8万円以上だった589施設について、1室2名・1泊のプランを全件集計し、掲載件数30件以上かつ販売観測20日以上を満たす588施設で順位を付けている。連泊を条件とするプランと、定員7名以上の貸切棟・大型ヴィラ型の客室は除いた(詳細は末尾の「集計方法と出典」)。

1位のアマン東京は、大手町タワーの33〜38階に全84室を置く都市型ホテルである。公式サイトによれば客室はすべてスイート仕様で、最小でも71㎡ある。12か月の掲載価格は中心レンジで¥333,000〜¥663,500、宿泊日ごとの最安プランの中央値でも¥400,200に達した。つまり「いちばん安い日にいちばん安い部屋を選んでも40万円前後」という水準で、入口の価格そのものが他施設の中央値を上回っている点が1位の決め手になった。

2位のTHE SHIGIRA(沖縄県宮古島市)は、当社マスター上10室の小規模リゾートで、中央値は¥420,900。最高値は¥1,305,400と上下の振れ幅が大きく、8月に月次中央値の最高(約50.9万円)を記録した。3位のあさば(静岡県伊豆市)は17室の旅館で、5月が最も高い。上位3施設はいずれも中心レンジの下限が20万円を超えており、価格帯そのものが一段上にある。

4位以降は、ザ・ペニンシュラ東京、フォーシーズンズホテル京都、パーク ハイアット 東京、ザ・リッツ・カールトン京都と、都市型のラグジュアリーホテルが続く。パーク ハイアット 東京(1994年7月開業・171室)は2025年12月9日にリニューアルオープンしており、再開後9か月の観測で中央値¥283,400となった。TOP30に入ったアマン東京以外の都市型ホテル7施設は、客室数が120〜320室規模でプランの品揃えが厚い。7施設中6施設でスイートの最高値が100万円を超える一方、日別最安の中央値は10〜18万円に収まる。価格帯の「幅」の広さで上位に入る構造である。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(1室2名・1泊の掲載価格、2025年9月〜2026年8月、上位20施設。棒=中心レンジP10〜P90、◆=中央値)

掲載価格中央値TOP30(1室2名・1泊、2025年9月〜2026年8月)
順位施設名所在地業態客室数掲載価格
中央値
日別最安の
中央値
中心レンジ
(P10〜P90)
最安〜最高推定成約ADR観測月数
1アマン東京東京都 千代田区デラックス84室¥423,000¥400,20033.3万〜66.4万円28.1万〜91.9万円—11か月
2THE SHIGIRA沖縄県 宮古島市リゾート10室¥420,900¥285,60024.9万〜62.9万円20.3万〜130.5万円¥191,20012か月
3あさば ASABA静岡県 伊豆市旅館17室¥379,800¥297,80021.8万〜66.4万円19.0万〜118.9万円—11か月
4ザ・ペニンシュラ東京東京都 千代田区デラックス314室¥297,300¥126,00016.2万〜62.4万円8.0万〜101.2万円—12か月
5フォーシーズンズホテル京都京都府 京都市東山区デラックス123室¥296,000¥177,30015.6万〜49.8万円8.2万〜240.9万円—12か月
6パークハイアット 東京東京都 新宿区デラックス171室¥283,400¥173,60016.9万〜61.6万円11.4万〜480.7万円—9か月
7山荘 竹ふえ熊本県 南小国町旅館12室¥272,000¥253,00023.4万〜43.7万円18.5万〜98.1万円¥156,10011か月
8ザ・リッツ・カールトン京都京都府 京都市中京区デラックス134室¥265,600¥173,80017.6万〜40.4万円10.5万〜79.4万円—12か月
9奥湯河原 結唯神奈川県 湯河原町旅館7室¥261,500¥186,20017.8万〜31.1万円11.3万〜47.0万円¥112,80012か月
10浅田屋石川県 金沢市旅館5室¥247,100¥204,90018.8万〜37.1万円13.3万〜50.4万円¥114,70011か月
11ザ・リッツ・カールトン東京東京都 港区デラックス247室¥243,000¥121,20014.0万〜48.8万円9.0万〜116.1万円—12か月
12おちあいろう静岡県 伊豆市旅館14室¥234,000¥155,10018.0万〜30.2万円11.8万〜101.6万円¥103,40012か月
13マンダリンオリエンタル東京東京都 中央区デラックス179室¥227,700¥120,00013.8万〜54.8万円8.7万〜136.7万円—12か月
14パレスホテル東京東京都 千代田区デラックス290室¥222,000¥102,60014.6万〜57.3万円7.6万〜139.8万円—12か月
15ジ・ウザテラス ビーチクラブヴィラズ沖縄県 読谷村デラックス48室¥220,800¥138,10013.8万〜32.8万円11.3万〜52.1万円—12か月
16有馬山叢 御所別墅兵庫県 神戸市北区旅館10室¥220,000¥105,40010.1万〜35.0万円5.8万〜58.8万円¥79,00012か月
17THE HIRAMATSU HOTELS&RESORTS賢島三重県 志摩市リゾート8室¥217,800¥160,90016.5万〜34.0万円9.7万〜57.1万円¥107,80012か月
18ABBA RESORTS IZU-坐漁荘静岡県 伊東市リゾート35室¥217,800¥134,80012.1万〜37.9万円10.6万〜54.4万円¥141,80012か月
19陣屋旅館神奈川県 秦野市旅館38室¥217,400¥116,20015.2万〜33.7万円8.8万〜93.1万円¥82,90012か月
20坐忘林北海道 倶知安町旅館15室¥216,000¥182,10017.2万〜35.8万円12.8万〜48.8万円¥134,70012か月
21旅亭 半水盧長崎県 雲仙市旅館14室¥215,700¥174,20016.5万〜40.5万円8.6万〜131.4万円¥105,90012か月
22黒川温泉御処 月洸樹熊本県 南小国町旅館8室¥211,000¥172,30016.6万〜34.9万円12.7万〜63.1万円—11か月
23桃山温泉 月見館京都府 京都市伏見区旅館10室¥201,200¥153,50013.0万〜41.3万円8.1万〜53.9万円—11か月
24THE HIRAMATSU HOTELS&RESORTS 熱海静岡県 熱海市デラックス13室¥196,800¥135,40014.0万〜31.0万円7.4万〜52.8万円—12か月
25オリエンタルヒルズ沖縄沖縄県 恩納村デラックス14室¥195,500¥134,40013.4万〜26.9万円3.9万〜38.6万円—12か月
26sankara hotel & spa 屋久島鹿児島県 屋久島町リゾート29室¥191,100¥88,50010.9万〜41.4万円5.2万〜121.2万円¥89,40012か月
27四季の彩旅篭兵庫県 神戸市北区旅館8室¥190,000¥110,00010.6万〜27.0万円8.2万〜42.0万円¥103,80012か月
28伊豆リトリート 熱川粋光 by 温故知新静岡県 東伊豆町旅館16室¥189,000¥96,60011.8万〜27.1万円8.3万〜51.2万円¥77,50010か月
29強羅花壇神奈川県 箱根町旅館41室¥188,200¥149,00012.5万〜31.9万円9.6万〜86.0万円—11か月
30河口湖温泉寺 夢殿山梨県 富士河口湖町旅館9室¥184,200¥90,2009.6万〜27.6万円5.2万〜61.0万円¥105,70012か月

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(母集団12,673施設、順位付け対象588施設)。客室数は当社施設マスターの登録値。推定成約ADRは算出可能月の平均で、「—」はデラックスホテル区分など算出対象外の施設。観測月数はパーク ハイアット 東京が2025年12月の営業再開以降。

業態別にみると、TOP30の内訳は旅館15施設、デラックスホテル11施設、リゾートホテル4施設。都道府県では東京都が6施設で最多、静岡県5施設、神奈川・京都・沖縄が各3施設と続く。熱海・伊豆・箱根・湯河原という首都圏から近い温泉地に7施設が集まっている点も、都市型と並ぶもう一つの高価格帯の核になっている。

掲載価格と推定成約ADRは別の数字 — 上位ほど読み替えが必要

掲載価格中央値は「そのホテルがどんな価格帯を並べているか」を示す物差しで、実際に売れた1室あたりの単価とは一致しない。スイートや食事付きの高額プランが多く並ぶ施設ほど、中央値は押し上げられる。この考え方は、1施設の36日間の掲載を全件拾うと最安¥21,780・最高¥233,530と10.7倍の幅が出たホテル料金が2倍に見える理由|同じ月で63,836円と32,384円、九州応援割10月の実測で詳しく扱っている。

TOP30のうち推定成約ADRを算出できた15施設(旅館・リゾート)で比べると、推定成約ADRは掲載価格中央値の0.36〜0.65倍、中央値で0.47倍だった。推定成約ADRで並べ直すと、1位はTHE SHIGIRA(¥191,200)、2位は山荘 竹ふえ(熊本県南小国町・¥156,100)、3位はABBA RESORTS IZU-坐漁荘(静岡県伊東市・¥141,800)、4位は坐忘林(北海道倶知安町・¥134,700)となる。掲載価格では20位の坐忘林が、実際に売れる水準でみれば上位に入ってくる。入口の価格を高く保ち、そこから大きく下げない運営ほど、推定成約ADRが掲載価格に近づくと読める。掲載価格と成約単価の比率を都道府県単位で見たホテル相場は2種類ある|掲載価格÷成約単価は1.7〜2.9倍、47都道府県マップも参考になる。

エリア単位でも同じ読み替えが要る。北海道留寿都村(スキーリゾート)の掲載価格(全プラン平均のエリア中央値)は、2026年1月の確定月で¥154,300、推定成約ADRは¥68,000だった。先の月では2027年1月の掲載価格が¥246,200、推定成約ADRが¥108,300と、調査時点では1年前を大きく上回っている。ただし2027年1月の推定成約ADRは対象2施設のみの推定で、掲載価格も掲載施設13施設の途中経過である。冬の最盛期は掲載価格の上昇幅が大きい一方、成約水準は掲載の半分以下にとどまる月が多い点は押さえておきたい。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(北海道留寿都村、掲載価格=全プラン平均のエリア中央値・税込、推定成約ADR=税抜相当。掲載対象5〜22施設、推定成約ADRの対象2〜3施設。2026年9月以降は調査時点の掲載水準に基づく推定)

10万円超の施設はどこにあるか — 施設数は地方、客室数は都市

掲載価格中央値が10万円以上の施設は、全国39都道府県に242施設、総客室数は12,433室あった。20万円以上は23施設、30万円以上は3施設に絞られる。これを東京23区・大阪市・京都市の区部にある「都市型」と、それ以外の「地方・リゾート型」に分けると、構造がはっきり二つに割れる。

都市型は39施設で客室数は7,160室(57.6%)、1施設あたりの客室数の中央値は164室。地方・リゾート型は203施設(83.9%)と数では圧倒するが、客室数は5,273室で、中央値はわずか15室だった。東京都だけで24施設・5,755室と、10万円超の客室の46.3%が集まる。市区町村別の施設数では、箱根町(17施設)、熱海市・千代田区(各10施設)、神戸市北区(有馬温泉、8施設)、伊東市(8施設)が多い。都市は大箱の高級ホテル、地方は少室の高級旅館・リゾートという二系統が、日本の高価格帯を形づくっている。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(掲載価格中央値10万円以上の242施設。円の大きさ=客室数、濃い青=都市型、薄い青=地方・リゾート型)

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(掲載価格中央値10万円以上の施設の総客室数、上位10都府県)

一方、エリアの「標準的な施設」の水準で見ると、高単価エリアの顔ぶれは変わる。市区町村別の推定成約ADR(12か月平均、対象10施設以上)の上位は、越前町(¥31,500)、南小国町(¥29,600)、京丹後市(¥27,700)、倶知安町(¥27,500)、箱根町(¥26,400)と温泉・リゾート地が並び、都市部では渋谷区(¥25,300)と京都市東山区(¥23,600)が入る。

季節の形は二つに分かれた。倶知安町(ニセコ)は2月の¥63,500に対し最低月が¥13,100で4.9倍、越前町は12月が最高で4.2倍、京丹後市も1月が最高で2.8倍と、冬に単価が跳ねる「冬季ピーク型」である。これに対し、箱根町・南小国町は最高÷最低が1.3倍、南阿蘇村は1.2倍と「通年型」に近い。都市型の渋谷区・東山区は4月が最高月で、春の観光シーズンに山がくる。

市区町村別の推定成約ADR上位12エリア(12か月平均、2025年9月〜2026年8月)
市区町村推定成約ADR
(12か月平均)
最高月最低月最高÷最低掲載価格
(全プラン平均)
推定成約の
対象施設数
型
福井県 越前町¥31,500¥61,800(2025年12月)¥14,6004.2倍¥57,700N=17〜21温泉・リゾート型
熊本県 南小国町¥29,600¥32,200(2026年3月)¥25,1001.3倍¥55,100N=42〜47温泉・リゾート型
京都府 京丹後市¥27,700¥43,600(2026年1月)¥15,6002.8倍¥48,600N=74〜82温泉・リゾート型
北海道 倶知安町¥27,500¥63,500(2026年2月)¥13,1004.9倍¥62,100N=20〜24温泉・リゾート型
神奈川県 箱根町¥26,400¥28,900(2025年11月)¥22,7001.3倍¥51,800N=170〜187温泉・リゾート型
熊本県 南阿蘇村¥25,600¥27,900(2026年1月)¥22,5001.2倍¥28,400N=14〜18温泉・リゾート型
東京都 渋谷区¥25,300¥30,400(2026年4月)¥20,6001.5倍¥44,600N=29〜34都市型
広島県 廿日市市¥24,800¥28,400(2025年11月)¥20,2001.4倍¥42,900N=34〜35温泉・リゾート型
静岡県 熱海市¥24,600¥30,200(2025年12月)¥19,4001.6倍¥50,700N=99〜108温泉・リゾート型
千葉県 浦安市¥23,900¥30,900(2025年11月)¥18,2001.7倍¥38,700N=29〜30テーマパーク
大分県 由布市¥23,700¥27,100(2025年12月)¥19,2001.4倍¥45,500N=131〜142温泉・リゾート型
京都府 京都市東山区¥23,600¥31,900(2026年4月)¥17,5001.8倍¥44,000N=43〜51都市型

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2025年9月〜2026年8月の確定月。推定成約の対象施設数が全月で10施設以上、かつ各月が系列中央値の6割以上の市区町村に限定)

なぜその価格が成立するのか — 客室数・広さ・評価・季節の4軸

TOP30の共通項を4つの軸で整理した。第一は客室数である。TOP30の総客室数の中央値は15.5室で、母集団(39室)の半分以下。20室以下の施設が17施設を占める。少ない客室に料理・風呂・眺望といった体験を集中させることで、1室あたりの価値を高めている。10万円超の242施設を客室数と掲載価格中央値で散布すると、都市型は39施設中26施設が120室以上、地方・リゾート型は203施設中165施設が30室以下に固まり、両者が別の山をつくっているのがわかる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(掲載価格中央値10万円以上の242施設。横軸は対数目盛)

第二は客室の広さだ。客室名に面積の記載があるTOP30の9施設に限ると、面積の中央値は73㎡だった。1位のアマン東京も全室71㎡以上と公表しており、広い客室が高い価格帯の土台になっている。第三は評価で、ホテルバンク編集部が集計した宿泊者口コミの総合評価(5点満点、累計)はTOP30の中央値が4.73と、母集団12,389施設の中央値4.06を上回った。30施設中21施設が4.5以上である。一方で口コミ件数の中央値は1,197件と母集団(1,405件)より少なく、少室ゆえに件数が積み上がりにくいことも読み取れる。

第四は季節の形である。施設ごとに月次の掲載価格中央値の最高÷最低を求めると、TOP30の中央値は1.67倍だった。都市型9施設は、そろって3〜5月に最高月を迎える。桜と新緑のシーズンに国内外の需要が重なるためだろう。地方・リゾート型21施設では8月を中心とする夏が11施設、秋(9〜11月)が5施設、春が4施設で、冬が最高月だったのは倶知安町の坐忘林(1月、最高÷最低2.13倍)だけだった。エリア全体では冬季ピーク型のニセコでも、上位の旅館は通年で高水準を保っている。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(1室2名・1泊の掲載価格の月次中央値。観測10件未満の月は非表示)

TOP30の4軸比較(客室数・面積・口コミ評価・季節変動)
軸掲載価格TOP30比較対象読み方
総客室数(中央値)15.5室39室(母集団12,673施設)20室以下が30施設中17施設。少室で1室あたりの体験密度を上げる設計
客室面積(客室名に面積の記載がある9施設の中央値)73㎡—アマン東京は全室71㎡以上(公式)。広さが価格の土台
口コミ評価(5点満点・中央値)4.734.06(N=12,389施設)30施設中21施設が4.5以上
口コミ件数(累計・中央値)1,197件1,405件(同上)件数は多くない。少室ゆえ母数が積み上がりにくい
季節変動(月次中央値の最高÷最低・中央値)1.67倍—都市型9施設はすべて3〜5月が最高。リゾート型21施設は夏が11施設

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。口コミ評価・件数はホテルバンク編集部調べ(累計)。客室面積は客室名の面積表記から集計

上位施設と同じ町の「標準的な施設」との距離も大きい。坐忘林の推定成約ADR(¥134,700)は倶知安町のエリア水準(¥27,500)の4.9倍、山荘 竹ふえ(¥156,100)は南小国町(¥29,600)の5.3倍にあたる。同じ温泉地・同じ季節の需要を受けながら、客室数・広さ・体験の設計で5倍前後の単価をつくっていることになる。

自館の「上の天井」を知る — 価格帯探索への使い方

本記事の役割は「どの施設が高いのか」への直答だが、ホテル運営者にとっては自館が属する価格帯の「上の天井」を知る手がかりにもなる。使い方は三つある。

一つ目は、同じ市区町村の上位施設の中心レンジの下限(P10)を「天井の入口」として見ることだ。たとえば箱根町のエリア水準(推定成約ADR¥26,400)に対し、同町の強羅花壇は中心レンジの下限でも¥125,400ある。自館の価格帯とこの入口との間にどれだけの幅があり、その間にどんな施設が並んでいるかを見れば、上位帯へ近づくための客室改装やプラン設計の目安が立つ。

二つ目は、季節の形を確かめることである。冬季ピーク型のエリアでは最盛期の単価が最低月の4〜5倍に広がる一方、通年型のエリアでは1.2〜1.3倍にとどまる。自館のエリアがどちらの型かで、値上げの余地が大きい月と、年間を通じて単価を積み上げる余地が大きい月が変わる。

三つ目は、客室数と価格帯の組み合わせで空白を探すことだ。10万円超の施設は「大箱の都市型」と「少室の地方型」に二極化しており、30〜100室規模の施設は242施設中36施設と相対的に少ない。この中規模帯は、高価格帯の中で競合の少ない領域といえる。価格帯ごとの空白の探し方はホテル価格帯別ホワイトスペース2026 — 最速完売はADR8千〜1万円、新規供給は2万円超へ、高価格帯の在庫の埋まり方は10万円超の客室は最後まで残るのか — 価格帯5層で違う「埋まり方」の実測で扱っている。本記事と合わせて読むと、「どこが高いか」から「どこに余地があるか」へ視点をつなげられる。

よくある質問

Q. 日本一高いホテルはどこですか?
メトロエンジンリサーチが把握する範囲では、アマン東京(東京都千代田区)です。2025年9月〜2026年8月の1室2名・1泊の掲載価格中央値は¥423,000、12か月の最安は¥280,700でした。2位はTHE SHIGIRA(沖縄県宮古島市、¥420,900)、3位はあさば(静岡県伊豆市、¥379,800)です。

Q. 建物の高さで「日本一高いホテル」はどこですか?
建物の高さで見ると、あべのハルカス(高さ300m)に入る大阪マリオット都ホテルが該当します。客室は38〜55階にあります。詳しくは高さ編のランキング記事をご覧ください。

Q. 掲載されている価格が、そのまま平均的な宿泊料金になりますか?
なりません。掲載価格にはスイートや食事付きの高額プランも含まれるため、推定成約ADRを算出できた上位15施設では、推定成約ADRは掲載価格中央値の0.36〜0.65倍(中央値0.47倍)でした。

Q. 1泊10万円を超えるホテル・旅館はどのくらいありますか?
掲載価格中央値が10万円以上の施設は全国39都道府県に242施設(総客室数12,433室)です。施設数では地方・リゾート型が83.9%、客室数では東京23区・大阪市・京都市の都市型が57.6%を占めます。

まとめ

日本一高いホテルは、掲載価格中央値¥423,000のアマン東京だった。ただし2位のTHE SHIGIRAとの差は0.5%にすぎず、推定成約ADRで並べ直すとTHE SHIGIRAや山荘 竹ふえ、坐忘林といった少室の地方施設が前に出る。10万円超の施設は、客室数では東京を中心とする都市型の大箱ホテルが、施設数では温泉地・離島・高原の少室の宿が主役を担う。価格を支えているのは、客室数を絞った体験の密度、広い客室、高い評価、そして季節の山を捉える力である。自館の上に広がる価格帯の天井を知ることは、次の一手を考える起点になるだろう。

集計方法と出典

対象期間:宿泊日2025年9月1日〜2026年8月31日(確定した12か月)。集計日は2026年9月26日。

母集団:メトロエンジンリサーチが追跡するうち稼働が確認できる約27,000施設から、旅館・リゾートホテル・ビジネスホテル・シティホテル・デラックスホテル・大人専用・オーベルジュの7業態で、客室3室以上、対象期間に6か月以上の掲載観測がある12,673施設。ゲストハウス・民宿・ペンション・町家・貸別荘・コテージなど一棟貸しを含む簡易宿所系の区分は、1室2名の単価比較になじまないため対象外とした。

順位付けの手順:母集団のうち掲載価格の月次平均が8万円以上だった589施設について、1室2名・1泊の掲載プランを全件集計(延べ約2,933万件)。連泊を条件とするプラン約65.7万件と、定員7名以上の客室(貸切棟・大型ヴィラ等)約54.7万件を除外した。そのうえで掲載件数30件以上かつ販売観測20日以上を満たす588施設を、掲載価格中央値の高い順に並べた。

都市型の定義:東京23区・大阪市・京都市の区部に所在する施設。それ以外を地方・リゾート型とした。

推定成約ADR:施設別は算出可能月の平均、エリア別は市区町村の対象施設の中央値を12か月で平均した値。本記事のADRは推定値(REIT開示実績との照合で誤差中央値約7%)。

出典:掲載価格・推定成約ADR=メトロエンジンリサーチ/口コミ評価・件数=ホテルバンク編集部調べ/ハイアット系施設の開業年・客室数=日本ハイアット「報道資料 2026年4月」/ヒルトン系施設の客室数=ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)。

⚠ 将来日程のADRに関する注意:留寿都村の2026年9月以降の値は、調査時点でOTA等に公開されている販売価格に基づく推定であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。現時点で高く設定されている価格が直前値下げで下落する可能性がある点にご留意ください。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチが収集するOTA等の公開販売価格(1室2名・1泊・税込、宿泊日2025年9月1日〜2026年8月31日)と、同データから算出した推定成約ADR(税抜相当)。口コミ評価・件数はホテルバンク編集部調べ(累計)、客室数は当社施設マスターの登録値、客室面積は客室名の面積表記による。

■ 試算前提

順位は施設ごとの掲載価格中央値(宿泊日×客室×プランの延べ件数)で付け、掲載件数30件以上かつ販売観測20日以上の588施設を対象とした。連泊条件付きプランと定員7名以上の客室は除外。推定成約ADRは最安プラン水準に業態別の補正係数を掛けた推定値で、REIT開示の物件別実績との照合による誤差中央値は約7%。エリア水準は市区町村の対象施設の中央値を12か月で平均した。

■ 限界・留意点

掲載価格は販売されている価格であり、実際に成約した単価や稼働を示すものではない。デラックスホテル区分の施設は推定成約ADRの算出対象外のため、掲載価格のみを示す。OTAに掲載されない直販専用の客室・プランは含まない。2026年9月以降の日程は調査時点の掲載水準に基づく推定で、今後変動しうる。

出典: 日本ハイアット 株式会社「報道資料 2026年4月」

出典: ヒルトン「会社概要」(2026年8月25日更新)

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