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出張 宿泊費の上限8,878円を超える県は8つ — 47都道府県ビジネスホテルADRと宿の法人プラン設計 2026年9月

投稿日 : 2026.10.23

指定なし

出張 宿泊費の上限8,878円を超える県は8つ — 47都道府県ビジネスホテルADRと宿の法人プラン設計 2026年9月

産労総合研究所が2025年12月に公表した「2025年度 国内・海外出張旅費に関する調査」によると、国内出張の宿泊料を定額で支給する企業のうち全地域一律とする企業の一般社員の支給額は8,878円で、2023年度調査の8,606円から272円上向いた。一方、メトロエンジンリサーチが2026年9月の確定値として集計した47都道府県のビジネスホテル推定成約ADR(主要予約サイト掲載ベース、N=7,427施設)をこの線に重ねると、上回るのは8都道府県にとどまり、残る39府県は定額の範囲内に収まっていた。本稿では、定額を上回る県と下回る県を円と%で仕分けたうえで、その上回りが通年なのか特定月なのかを7月・8月・9月の並びと直近12か月で確かめ、最後に宿側が法人需要を商品設計に落とす際の実額——素泊まりと朝食付きの段差、連泊、曜日別の出し分け——を整理する。

本記事における指標の定義

  • ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。本稿の対象はビジネスホテル(主要予約サイト掲載ベース)で、各県のN(施設数)を併記しています。
  • OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値、REIT月次公表値との整合性検証で概ね数pt 程度の精度を確認済)。
  • 掲載価格に言及する箇所は2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。朝食付きと素泊まりの段差は同一施設内のペア比較による掲載価格の差です。
  • 宿泊料の定額・上限額は産労総合研究所の調査が示す企業の規程上の金額(1人1泊)で、本稿のADRは1室1泊の推定成約単価(税抜相当)。シングル利用が主体のビジネスホテルでは概ね1人1泊の水準に対応しますが、消費税分(約10%)を含まない点で、税込で支払われる定額との比較では上回り幅が控えめに出ます。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ(ADR・稼働率・掲載価格)、産労総合研究所(宿泊料の定額・上限額)
Key Takeaways
  • — 8都道府県:2026年9月のビジネスホテル推定成約ADR(N=7,427施設)が産労総合研究所2025年度調査の一般社員定額8,878円(全地域一律)を上回ったのは、東京都・愛知県・京都府・福岡県・北海道・石川県・神奈川県・奈良県。47都道府県の中央値は¥7,633。
  • — 12か月すべてで定額を上回ったのは東京都・京都府・福岡県のみ。北海道は6〜9月の4か月、愛知県はアジア競技大会の会期を含む2026年9月の1か月だけで、越え方は県より月に左右される。
  • — 日曜は月〜木より10.4pt低い:2026年9月のビジネスホテルの推定稼働(OTA掲載在庫ベース・46道府県・客室数加重)は月〜木87.8%、日曜77.4%で、週のなかで最も在庫が残る。
  • — 朝食付きの段差は+1,677円・+9.9%:同一施設内ペア比較(2026年9月・N=3,039施設)。素泊まりを定額の線に置き、朝食を選択制の加算にする設計が組み立てやすい。

基準線 — 一般社員の宿泊定額は全地域一律8,878円、大都市圏の区分がある企業は11,262円

まずは企業側の基準線を一次資料で確かめておきたい。産労総合研究所の2025年度調査は2025年6〜8月に一般企業3,000社を対象に実施され、161社が回答した。国内出張の宿泊料を「定額支給」とする企業のうち「全地域一律」の場合、部長クラス10,425円、一般社員8,878円。「出張地域によって異なる支給額」を設ける企業では、最高地(大都市圏等)が部長クラス12,094円・一般社員11,262円、普通地は一般社員8,990円だった。「実費支給」とする企業の上限額は、全地域一律で部長クラス11,314円・一般社員10,490円、最高地で部長クラス13,695円・一般社員12,889円となっている。

同じ調査で目を引くのは見直しの動きで、直近3年間に国内出張の宿泊料を「増額した」企業は31.1%、「増額予定」が8.7%に達する。2023年度調査では全地域一律8,606円・実費上限9,117円が公表値であり、当時の資料は「規程上の金額は500円程度の低下」と書いていたから、2年で向きが変わったといえる。ただし、地域区分の有無で金額に2,300円超の開きがあること、公表資料に役職別の記載があるのは部長クラスと一般社員の2区分であることは、以下で県別のADRと重ねる際に踏まえておきたい。なお、公務員側の基準線である国家公務員旅費規程と実勢ADRの開きは、国家公務員旅費規程 vs 実勢ADR — 47都道府県ギャップを可視化で別途整理している。

国内出張の宿泊料(1人1泊・規程上の金額)— 産労総合研究所 2025年度調査
支給区分一般社員部長クラス
定額支給・全地域一律8,878円10,425円
定額支給・地域区分あり(最高地=大都市圏等)11,262円12,094円
定額支給・地域区分あり(普通地)8,990円—
実費支給の上限額・全地域一律10,490円11,314円
実費支給の上限額・地域区分あり(最高地)12,889円13,695円

出典:産労総合研究所「2025年度 国内・海外出張旅費に関する調査」(調査期間2025年6〜8月、調査対象3,000社、回答161社)。公表資料に記載のある役職は部長クラスと一般社員の2区分。2023年度調査(回答171社)の公表値は全地域一律8,606円・実費上限9,117円で、役職別の内訳は公表資料に記載がない。

参照:産労総合研究所「2025年度 国内・海外出張旅費に関する調査」/同「2023年度 国内・海外出張旅費に関する調査結果」(報道資料)

47都道府県の仕分け — 定額8,878円を上回るのは8都道府県、中央値は¥7,600

では、その基準線に対して各県のビジネスホテルはどこに立っているのか。2026年9月の確定値で推定成約ADRが8,878円を上回ったのは、東京都¥13,400(定額比+4,486円・+50.5%、N=914)、愛知県¥11,700(+2,823円・+31.8%、N=321)、京都府¥11,700(+2,823円・+31.8%、N=327)、福岡県¥11,000(+2,080円・+23.4%、N=342)、北海道¥10,800(+1,964円・+22.1%、N=437)、石川県¥9,700(+834円・+9.4%、N=110)、神奈川県¥9,200(+371円・+4.2%、N=209)、奈良県¥9,000(+157円・+1.8%、N=32)の8都道府県だった。このうち東京都・愛知県・京都府の3都府県は、地域区分を設ける企業の最高地11,262円をも上回っており、実費上限10,490円で見ても福岡県・北海道を加えた5都道府県が上に出る。

一方で、47都道府県の中央値は¥7,600と定額を1,200円ほど下回り、県の数でいえば39府県が定額の範囲に収まる。境目に近いのは大阪府¥8,900(-6円)、沖縄県¥8,800(-43円)、青森県¥8,800(-60円)で、いずれも100円未満の差にある。大阪府は前年同月比-34.0%と大きく動いた県で、2025年9月は大阪・関西万博(2025年10月13日閉幕)の会期中だったことを踏まえると、万博前の水準に近い線へ戻ったと読める。下位には徳島県¥5,800(-3,109円・-35.0%)など四国・九州・東北の県が並ぶが、これは宿側から見れば定額内で朝食や連泊を上乗せする余地が大きい、という意味でもある。役職別の規程額と県別実勢の超過率という切り口は、民間企業の出張規程は時代遅れ?47都道府県の実勢ADRと役職別超過率も参考になる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

47都道府県のビジネスホテル推定成約ADR(2026年9月確定)と定額8,878円との差
順位都道府県推定成約ADR
2026年9月
定額8,878円との差差(%)7月8月前年同月比直近12か月で
定額超の月数
N(施設)
1東京都¥13,364+4,486円+50.5%¥12,306¥11,554+2.2%12/12914
2愛知県¥11,701+2,823円+31.8%¥7,491¥7,852+53.2%1/12321
3京都府¥11,701+2,823円+31.8%¥10,230¥9,993-2.4%12/12327
4福岡県¥10,958+2,080円+23.4%¥10,382¥10,837+9.9%12/12342
5北海道¥10,842+1,964円+22.1%¥11,154¥11,328+8.9%4/12437
6石川県¥9,712+834円+9.4%¥7,224¥8,074+20.5%3/12110
7神奈川県¥9,249+371円+4.2%¥9,128¥9,274+6.5%11/12209
8奈良県¥9,035+157円+1.8%¥7,286¥9,461+14.5%7/1232
9大阪府¥8,872-6円-0.1%¥8,429¥8,772-34.0%7/12504
10沖縄県¥8,835-43円-0.5%¥9,496¥9,734+9.4%5/12197
11青森県¥8,818-60円-0.7%¥7,159¥10,410+18.8%1/1286
12岐阜県¥8,713-165円-1.9%¥7,396¥8,057+20.3%0/12122
13長野県¥8,622-256円-2.9%¥8,072¥9,540+11.6%1/12168
14広島県¥8,554-324円-3.6%¥7,732¥8,826+12.1%0/12187
15宮城県¥8,548-330円-3.7%¥7,952¥8,642+17.3%0/12142
16山梨県¥8,291-587円-6.6%¥7,955¥9,172+9.0%1/1273
17千葉県¥8,256-622円-7.0%¥7,739¥8,042+3.9%0/12166
18熊本県¥8,220-658円-7.4%¥6,574¥7,346+20.0%0/12122
19高知県¥7,994-884円-10.0%¥7,137¥9,131+12.9%1/1266
20秋田県¥7,993-885円-10.0%¥8,348¥8,694+4.6%0/1259
21福井県¥7,923-955円-10.8%¥7,811¥8,847+10.3%0/1246
22兵庫県¥7,826-1,052円-11.8%¥7,673¥8,104+1.9%1/12168
23岡山県¥7,748-1,130円-12.7%¥7,069¥7,900+10.1%0/1297
24三重県¥7,633-1,245円-14.0%¥7,065¥7,696+19.9%0/1293
25山形県¥7,606-1,272円-14.3%¥6,829¥7,660+6.5%0/1271
26埼玉県¥7,561-1,317円-14.8%¥7,381¥7,593+0.4%0/12147
27島根県¥7,533-1,345円-15.1%¥7,363¥7,877+4.2%0/1257
28香川県¥7,511-1,367円-15.4%¥6,952¥8,148+1.5%0/1291
29滋賀県¥7,505-1,373円-15.5%¥7,425¥8,706-4.6%0/1280
30新潟県¥7,462-1,416円-15.9%¥6,740¥8,383+12.6%0/12126
31静岡県¥7,372-1,506円-17.0%¥7,324¥7,854+7.9%0/12221
32富山県¥7,113-1,765円-19.9%¥6,462¥7,719+6.8%0/1272
33長崎県¥6,952-1,926円-21.7%¥6,562¥7,097+8.5%0/12128
34岩手県¥6,946-1,932円-21.8%¥6,300¥7,585+14.4%0/1284
35宮崎県¥6,916-1,962円-22.1%¥6,038¥6,278+13.5%0/1287
36群馬県¥6,846-2,032円-22.9%¥6,464¥7,081+11.1%0/12101
37茨城県¥6,791-2,087円-23.5%¥6,501¥6,910+2.8%0/12187
38佐賀県¥6,744-2,134円-24.0%¥6,338¥6,661+7.2%0/1249
39栃木県¥6,582-2,296円-25.9%¥6,342¥6,905+0.2%0/12137
40山口県¥6,499-2,379円-26.8%¥6,046¥6,987+6.9%0/1298
41福島県¥6,381-2,497円-28.1%¥6,216¥6,455+5.3%0/12156
42鹿児島県¥6,258-2,620円-29.5%¥5,898¥6,327+6.7%0/12160
43鳥取県¥6,234-2,644円-29.8%¥6,039¥7,115+8.6%0/1253
44大分県¥6,228-2,650円-29.8%¥6,110¥6,525+2.4%0/1289
45和歌山県¥6,140-2,738円-30.8%¥6,294¥6,614+1.4%0/1269
46愛媛県¥6,085-2,793円-31.5%¥5,871¥6,196+3.5%0/12101
47徳島県¥5,769-3,109円-35.0%¥5,450¥7,038+7.3%0/1275

対象:ビジネスホテル(主要予約サイト掲載ベース)。推定成約ADRは各月の確定値、2026年9月の対象は47都道府県合計 N=7,427施設。前年同月比は2025年9月の推定成約ADRとの比較。「定額超の月数」は2025年10月〜2026年9月の12か月のうち推定成約ADRが8,878円を上回った月の数。青地の行が定額を上回る県。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

上回りは通年か特定月か — 7月・8月・9月の並びと直近12か月

次に確かめたいのは、9月の上回りがその県の恒常的な水準なのか、特定月の振れなのかという点である。7月・8月・9月を並べると、定額を上回る県は7月6、8月11、9月8と月ごとに入れ替わる。直近12か月(2025年10月〜2026年9月)で数えると、東京都・京都府・福岡県は12か月すべてで定額を上回り、神奈川県も11か月と、ほぼ通年で基準線の上にある。これに対し北海道は4か月(6〜9月の夏場に集中)、沖縄県は5か月、奈良県は7か月、大阪府は7か月(万博閉幕月の2025年10月〜2026年1月と春)と、季節や催事で線をまたぐ型になる。

特定月の振れとして最も大きいのが愛知県で、7月¥7,500・8月¥7,900から9月¥11,700へ一気に上がり、12か月で定額を上回ったのはこの9月だけだった。背景にあるのは2026年9月19日〜10月4日に開催された第20回アジア競技大会(愛知・名古屋)で、会期の前半が9月に含まれる。石川県も7月¥7,200から9月¥9,700へ上がり12か月で3か月のみ、青森県は8月¥10,400(ねぶた期)だけが線を越えている。つまり、一般社員の定額で「収まる月と収まらない月」が年の中で分かれる県が相当数あり、宿側にとっては法人需要の受け皿を月によって変える設計が合理的になる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

曜日の振れ — 日曜の推定稼働は月〜木より10.4pt低い

月の振れに加えて、曜日の振れは法人需要と直接つながる。2026年9月のビジネスホテルについて、9月19〜23日の5連休を除いた25日分の曜日平均を46道府県・客室数加重で見ると、稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)は月〜木87.8%、金85.1%、土88.5%に対し日曜は77.4%にとどまる。土曜は観光・レジャー需要で平日と同程度まで埋まるが、日曜は出張客が帰宅し観光客も引く日で、ここが週のなかで最も在庫が残る。この型は大阪府(月〜木79.0%・日67.9%)、静岡県(86.7%・72.8%)、広島県(92.8%・73.6%)で特にはっきり出ている。

掲載価格の側では、土曜の平均掲載価格は46道府県で平日(月〜木)の1.04〜1.71倍に設定されており、福岡県(1.56倍)や石川県(1.71倍)のように土曜だけが大きく跳ねる県も多い。裏を返せば、月〜木の価格は土曜より低い線(東京都で約2割、福岡県で3割強)で動いているのだから、定額8,878円との比較は曜日によっても変わる。東京都の月〜木の平均掲載価格¥18,300(税込・2名1室基準)は定額を大きく上回る一方、日曜は¥13,700まで下がるため、日曜入りの法人需要であれば定額内に収まる余地が生まれる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

曜日別の推定稼働(OTA掲載在庫ベース)と土曜の掲載価格/平日比 — 2026年9月・ビジネスホテル
エリア月〜木金土日土曜の掲載価格
/平日比
対象
46道府県・客室数加重87.8%85.1%88.5%77.4%—3,650施設/444,101室
東京都91.0%88.5%90.0%85.7%1.29倍538施設/78,348室
大阪府79.0%78.3%83.7%67.9%1.34倍285施設/47,820室
愛知県91.3%89.5%91.0%84.8%1.32倍172施設/25,672室
福岡県90.2%89.0%92.4%85.7%1.56倍175施設/22,893室
北海道94.7%91.1%94.3%85.2%1.10倍222施設/25,913室
神奈川県87.6%85.9%89.0%80.2%1.55倍116施設/15,836室
京都府82.9%85.4%87.6%76.1%1.38倍190施設/19,644室
宮城県93.0%90.9%93.2%82.8%1.57倍58施設/8,464室
広島県92.8%86.2%86.6%73.6%1.05倍93施設/11,030室
石川県87.5%86.0%91.7%75.9%1.71倍70施設/9,335室

稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)。2026年9月のビジネスホテル、9月19〜23日の5連休を除く25日分の曜日平均。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なります。「土曜の掲載価格/平日比」は宿泊前日時点の平均掲載価格(税込)の土曜÷月〜木。鹿児島県は同月の集計対象から除外。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

宿側の打ち手を実額で — 朝食付きの段差、連泊、曜日の出し分け

ここまでを整理すると、法人需要を受けるうえで宿側が動かせる変数は3つある。1つめは素泊まりと朝食付きの段差で、同一ホテルが両方のプランを販売している場合に限って比較すると(ビジネスホテル、2026年9月、47都道府県合計 N=3,039施設)、朝食付きは素泊まりより全国加重平均で+1,677円・+9.9%高い。県別では東京都+2,605円(+11.3%、N=361)、大阪府+1,816円(+11.3%、N=163)、福岡県+1,503円(+7.9%、N=145)、愛知県+1,432円(+7.0%、N=141)、京都府+3,456円(+18.5%、N=71)で、埼玉県(+441円・+2.9%、N=58)や静岡県(+912円・+6.1%、N=132)のように段差を小さく抑える県もある(業態をまたいだ47都道府県の朝食プレミアムは朝食プレミアム全国47都道府県 — ビジネス中央値9.9%・シティ14.45%で比較している)。定額8,878円は税込で支払われる金額なので、税抜相当では約8,071円が目安になる。素泊まり側をこの線に合わせ、朝食を選択制の加算にしておけば、「宿泊料は定額内、朝食は日当や自己負担で」という精算が利用者側で組み立てやすくなる。これは朝食の単価を下げる話ではなく、定額で動く需要と朝食の付加価値を切り分けて両方を取りにいく設計である。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

素泊まりと朝食付きの段差(同一施設内ペア比較・掲載価格・税込)— 2026年9月・ビジネスホテル
都道府県素泊まり朝食付き段差(円)段差(%)ペア施設数
東京都¥22,994¥25,599+2,605円+11.3%361
北海道¥19,645¥21,580+1,935円+9.8%196
大阪府¥16,030¥17,846+1,816円+11.3%163
福岡県¥19,002¥20,505+1,503円+7.9%145
愛知県¥20,563¥21,995+1,432円+7.0%141
静岡県¥14,831¥15,743+912円+6.1%132
神奈川県¥16,595¥17,982+1,387円+8.4%102
長野県¥17,881¥18,676+795円+4.4%79
茨城県¥14,355¥15,518+1,163円+8.1%79
宮城県¥15,744¥17,663+1,919円+12.2%78
沖縄県¥16,883¥19,087+2,204円+13.1%77
京都府¥18,692¥22,148+3,456円+18.5%71
兵庫県¥14,233¥16,201+1,968円+13.8%69
新潟県¥14,768¥15,541+773円+5.2%66
広島県¥15,621¥17,281+1,660円+10.6%65
三重県¥14,486¥15,687+1,201円+8.3%59

ビジネスホテルの2026年9月分。同一ホテルが素泊まりプランと朝食付きプランの両方を販売している場合のみを対象にした同一施設内のペア比較(掲載価格・2名1室利用時の1室あたり料金・税込)。本データは2026年5月〜10月を窓とするローリング集計で、本稿は確定月である9月分を掲載。47都道府県合計 N=3,039施設、ペア施設数の多い16都道府県を表示。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

2つめは連泊である。ビジネスホテルの出張向けに公開されているプラン名759件を集計すると、朝食付52%、連泊割40%、素泊まり29%、商品券・ギフト券29%の順に訴求要素が多く、連泊割はすでに出張向けの定番になっている。長期の出張や学会・研修では日曜入り・金曜出の連泊が増えるため、日曜の推定稼働が77.4%に沈む構造と組み合わせると、日曜を含む連泊に限って定額の線に合わせた単価を出す、という設計が実額で成立しやすい。例えば東京都の日曜の平均掲載価格は¥13,700、月〜木は¥18,300なので、日〜木の4連泊なら平均は単泊の平日価格より1割弱低い水準になり、法人の規程に乗る可能性が高まる。

3つめは平日と週末の出し分けで、土曜の掲載価格が平日の1.3〜1.6倍に設定されている県では、法人需要の単価は月〜木の価格で見るべきであり、土曜の水準を根拠に「定額に収まらない県」と括ってしまうと商機を見落とす。北海道のように定額超が夏場の4か月に集中する県、愛知県のように催事の月だけ跳ねる県では、月ごとに法人向けプランの出し入れを切り替える運用が合う。逆に東京都・京都府・福岡県のように12か月通して定額を上回る県では、一般社員の全地域一律8,878円ではなく、地域区分ありの最高地11,262円や実費上限12,889円を持つ企業が主な受け皿になるので、領収書・インボイス対応や、部長クラスの定額10,425〜12,094円を意識したアッパーな客室のプラン化に伸びしろがある。

宿向け:出張需要に効くプラン名のヒント

ビジネスホテル × 出張で公開されているプラン名(N=759)に多い訴求要素 ——

朝食付 52%ビジネス 43%連泊割 40%素泊まり 29%商品券・ギフト券 29%ビュッフェ 14%

実際の名前の例(匿名化):

  • 【30日前早期割引】2連泊以上でお得◆エコステイ◆朝食ビュッフェ無料◆◆小学生までのお子様添い寝無料
  • 【21日前早期割引】2連泊以上でお得◆地球にやさしいエコステイ◆朝食ビュッフェが無料
  • 【21日前早期割引】4連泊以上でお得◆地球にやさしいエコステイ◆朝食ビュッフェが無料

※公開プラン名の集計にもとづく傾向で、命名が販売を生む因果を示すものではありません。

まとめ — 定額の線は「県」ではなく「月と曜日」で越える

産労総合研究所の2025年度調査で一般社員の宿泊定額は全地域一律8,878円、大都市圏の区分がある企業で11,262円、実費上限は10,490〜12,889円と、2023年度から上向いた。この線にビジネスホテルの推定成約ADR(2026年9月確定、N=7,427施設)を重ねると、上回るのは8都道府県、中央値は¥7,600で、大半の県は定額の内側にある。ただし上回る県のなかでも、東京都・京都府・福岡県が12か月通して線の上にいるのに対し、北海道は夏場だけ、愛知県はアジア競技大会の9月だけと、越え方は県より月に依存していた。曜日で見ると日曜の推定稼働が月〜木より約10pt低く、ここが法人需要の受け皿として最も空いている。宿側は、素泊まりを税抜相当約8,071円の線に置いて朝食を加算で切り分ける、連泊割を日曜入りに寄せる、土曜ではなく月〜木の価格で法人需要を設計する、という3つを実額で組み合わせることで、下期の出張シーズンに向けた商品を整えやすくなるだろう。

よくある質問

Q. 出張の宿泊費の上限はいくらが相場ですか?

A. 産労総合研究所の2025年度調査では、定額支給で全地域一律の企業の一般社員は8,878円、地域区分を設ける企業では大都市圏等の最高地が11,262円・普通地が8,990円です。実費支給の企業の上限額は全地域一律で10,490円、最高地で12,889円でした。2023年度調査の公表値(全地域一律8,606円・実費上限9,117円)からはいずれも上向いています。

Q. 宿泊費の上限を超えている県はどこですか?

A. 2026年9月の確定値で、ビジネスホテルの推定成約ADRが8,878円を上回ったのは東京都・愛知県・京都府・福岡県・北海道・石川県・神奈川県・奈良県の8都道府県です。うち東京都・愛知県・京都府は地域区分ありの最高地11,262円も上回っています。残る39府県は定額の範囲内で、大阪府・沖縄県・青森県は100円未満の差で下回る水準でした。

Q. 宿側は法人需要をどう商品に落とせばよいですか?

A. 素泊まりと朝食付きの段差(ビジネスホテルの同一施設内ペア比較で全国加重平均+1,677円・+9.9%)を使い、素泊まり側を定額の線に合わせて朝食は選択制にする、連泊割を出張向けプラン名に明示する(出張向けプラン名の40%が連泊割に言及)、推定稼働率が月〜木より約10pt低い日曜日に法人向けの受け皿を置く、の3点が実額で組み立てやすい打ち手です。

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参考資料・出典一覧

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