富士山麓の一棟貸し宿「ICHI 縁」は、愛犬や愛猫と離れずに滞在しながら仕事にも向き合える2泊3日の平日限定プラン「富士山と動物家族と過ごす共生ワーケーション」を、2026年5月15日から販売する。
観光を詰め込むのではなく、自然に囲まれた静かな環境で、動物家族と暮らすように過ごし、無理なく働き、休む滞在を提案するものだ。Wi-Fiや作業スペースを備えるほか、山梨県産ワインや犬猫用おやつも用意。リモートワークの定着を背景に、旅と日常の境界をゆるやかにつなぐ新たな宿泊需要を見込む。
本記事では、今回の新プランの特徴やこだわりなどについて、代表の松野将至氏に取材した。
公式サイト:https://ichi-fuji.jp/
――― 本プランでは「観光を詰め込むのではなく、滞在そのものを楽しむ新しい連泊体験」とありますが、従来の観光型滞在との違いを、どのような点で感じていただきたいと考えていますか。

従来の観光型滞在は、「どこへ行くか」「何を体験するか」を中心に組み立てる、いわば“非日常の中に明確な目的を持つ旅”だったと思います。
一方で今回のプランは、動物家族とともに日常の延長線上にある時間や空間の流れを大切にしながら、旅ならではの非日常感やリフレッシュできる環境の中で、「どう過ごすか」を楽しむ“滞在する旅”だと考えています。
特に私たちが提案したかったのは、「動物家族と離れないワーケーション」という新しい過ごし方です。
これまでワーケーションは、人が自然の中で働くという文脈が中心だったように思います。また、ペットと暮らす方の中には、「仕事中はペットホテルに預ける」「旅行中は留守番をさせる」といった選択をされるケースも少なくありませんでした。

そこでICHI 縁では、“働く時間”と“動物家族と過ごす時間”を分けないという発想から、このプランを設計しました。朝は富士山を眺めながら散歩をし、昼は愛犬・愛猫がそばにいる空間で仕事をし、夜は同じ空間でゆったりとくつろぐ。観光地を巡らなくても、動物家族と過ごす何気ない時間そのものが豊かさになる。そうした価値観を、富士山麓の静かな環境の中で感じていただきたいと思っています。
また私たちは、この滞在を単なるワーケーションではなく、“人と動物がともに整うウェルビーイングな滞在”として捉えています。仕事と休息、自然と暮らし、そして人と動物の関係性が無理なく共存することで、心身を整えていく。「旅行」でも「仕事」でもない、その中間にある新しい滞在文化として発信していければと考えています。
――― 「動物家族と離れない働き方」を提案するうえで、宿として最も大切にされた設計やサービスの考え方を教えてください。

最も大切にしているのは、「人の快適さ」と「動物たちの安心感」を切り分けないことです。
ICHI 縁では、一棟貸しという特性を活かし、“常に一緒にいられる空間設計”を重視しています。1階のリビングでは、愛犬・愛猫と同じ空間にいながら、くつろぎつつ仕事をすることができますし、夜には添い寝をして過ごすことも可能です。
動物たちにとっても、敷地全体が囲われた空間の中で、屋内外を自由に行き来できる設計になっています。それぞれがストレスなく過ごせる一方で、敷地が広すぎないため、お互いがどこにいるのかを自然に感じ取れる距離感も大切にしました。
一方で、仕事や滞在が無理なく続くよう、人がしっかり休息できる環境も整えています。2階には静かな寝室を設け、半露天風呂では富士山を眺めながら心身をリセットできる設計にしています。

また、サービス面でも「ペット向けサービス」という発想ではなく、“家族として自然に共生できる環境づくり”を意識しています。滞在中の犬猫用のおやつをご用意しているのも、仕事の合間に自然とコミュニケーションが生まれる時間を大切にしたいと考えたからです。
私たちが考えるウェルビーイングとは、人だけが満たされることではありません。動物家族も含めて、互いが安心しながら同じ時間を共有できることです。「預ける」「待たせる」のではなく、仕事をしていても一緒に過ごし、一緒に休む。その安心感そのものが、このプランの核になっています。
――― 本プランを平日2泊限定とした背景には、どのような狙いがありますか。河口湖の静かな季節性や、リモートワーク滞在との相性も含めてお聞かせください。
今回、平日2泊限定にした理由は、“無理なく滞在リズムを整えられる日数”として最適だと考えたためです。
1泊では、どうしても移動の慌ただしさが残りやすくなります。逆に長期滞在になると、予定を詰め込みすぎてしまうこともあるかもしれません。2泊3日であれば、到着後に環境になじみ、翌日はしっかり仕事や休息に集中し、最終日は余裕を持って帰路につくことができます。
また、5月中旬から7月中旬の河口湖は、観光のピークから少し落ち着き、自然の静けさを感じやすい季節です。富士山や河口湖を眺めながら、愛犬・愛猫とゆっくり散歩をする時間は、この時期ならではの魅力だと思っています。

私たちは、リモートワークは単に「場所を変えて働く」ことではなく、「心身を整えながら働く」ことにも価値があると考えています。静かな自然環境の中で、適度に働き、しっかり休み、いつものように動物家族と穏やかに過ごす。このバランスが、結果としてウェルビーイングにつながっていくのではないでしょうか。
特に、“動物家族と離れないワーケーション”というスタイルは、忙しい日常の中で後回しになりがちな「一緒に過ごす時間」を取り戻す機会にもなると感じています。

――― 仕事・食事・休息を宿内で完結しやすくしながら、大石公園での散歩や半露天風呂など気分を切り替えられる環境も整えられています。ワーケーション滞在において、宿内で過ごす時間とリフレッシュする時間をどのように両立させたいとお考えですか。
ワーケーションでは、「仕事をし続けてしまう」あるいは「逆に気が散ってしまう」という、両極端な状態が起きやすいと感じています。
だからこそICHI 縁では、“自然に切り替えができる環境”を意識しました。例えば、仕事はダイニングテーブルで集中して行う。一方で、少しリラックスしたい時や気分を変えたい時には土間スペースへ移動してみる。休憩時には、徒歩1分の大石公園へ散歩に出る。意識的にオン・オフを切り替えるというより、環境そのものが自然に流れやリズムをつくってくれる感覚です。

また、半露天風呂から富士山を眺める時間や、夜にワインを楽しむ時間も、単なる“贅沢”ではなく、頭と身体をリセットするための大切な余白だと考えています。
動物家族と暮らす方にとって、日々の生活の中でその存在はとても大きいものです。仕事の合間にふと触れ合う時間や、一緒に散歩へ出かける時間が、自然と気持ちを整えてくれる。そうした“人と動物がともに過ごすリズム”そのものが、この滞在の価値だと思っています。
仕事だけ、休暇だけではなく、その中間にある、“動物と共生しながらワーケーションする、暮らすように滞在する体験”をしていただけたら嬉しいです。
――― 最後に、ICHI 縁として今後、動物家族とともに過ごす宿泊体験をどのように育てていきたいとお考えですか。

私たちは、単に「ペットと泊まれる宿」をつくりたいわけではなく、“動物家族との時間をもっと自然に、もっと豊かにできる場所”を育てていきたいと考えています。
近年は、愛犬・愛猫を「ペット」ではなく、人生をともにする家族として考える方が増えています。その中で、旅行や働き方も、動物たちと「離れる前提」ではなく、「一緒にいる前提」へと変わってきていると感じています。だからこそ私たちは、「動物家族と離れないワーケーション」という新しい滞在価値を提案していきたいと考えました。
今後は、季節ごとの過ごし方の提案や長期滞在、地域とのつながりを感じられる体験なども含め、“動物家族とともに暮らすように滞在する文化”をさらに深めていきたいと思っています。
そして、人と動物がともに心地よく過ごせる時間を積み重ねることが、これからのペット市場における新しいウェルビーイングの形のひとつになると考えています。
ICHI 縁が、観光を目的とした単なる宿泊施設ではなく、日常の延長線上にある“第二のお家”のように、「また帰ってきたい」と思っていただける場所になれたら嬉しいです。
■ 施設概要
名称:ICHI 縁
所在地:山梨県南都留郡富士河口湖町大石1473-1
客室数:1棟貸し切り
最大定員:8名
最低価格:16,000円〜(1人当たり・税別)
公式サイト:https://ichi-fuji.jp/
