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草津・別府・箱根:人気温泉地ランキングと実際の満足度のズレを徹底検証|383軒・95.5万件のレビュー分析

投稿日 : 2026.05.08

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草津・別府・箱根:人気温泉地ランキングと実際の満足度のズレを徹底検証

2025年12月に発表された「じゃらん人気温泉地ランキング2026」では、草津温泉(群馬県)が3年連続で1位、別府温泉郷(大分県)が2位、箱根温泉(神奈川県)が3位となった。しかし「もう一度行きたい」という人気投票の順位と、実際に宿泊した利用者がカテゴリ別に評価した満足度は本当に一致しているのか。本記事では、草津96軒・別府109軒・箱根178軒(合計383軒、レビュー数200件以上の旅館・ホテル)について、宿泊者のカテゴリ別レビュースコアを集計し、人気と満足度のズレを定量的に検証する。

本記事における指標の定義

  • カテゴリ別スコア:宿泊者の口コミから抽出した「サービス」「客室」「食事」「風呂・温泉」「立地」「料金」等の5点満点評価。各ホテルでカテゴリごとに5件以上のレビューがある施設のみを集計対象とした。
  • 加重平均:各カテゴリのスコアを、当該カテゴリのレビュー件数で重みづけた平均。レビュー数の多い大型施設の声が反映される。
  • ADR(平均客室単価):OTA等で公開されている販売価格の平均値。実際の成約価格とは異なる。2名1室利用時の1室あたり料金(税込)・全プラン平均(素泊まり〜食事付きを含む)。
  • 調査範囲:3温泉地のレビュー数200件以上の旅館・ホテル合計383軒、宿泊者口コミ約95.5万件(2017年〜2026年4月)。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部調べ。

人気No.1の草津、レビュー総合スコアでは箱根が首位

まず、3温泉地それぞれの加重平均総合スコアを比較する。じゃらんの「もう一度行きたい温泉地ランキング」では草津が3年連続で首位、別府が2位、箱根が3位だった。しかし宿泊者がOTA等に投稿したレビューの加重平均スコアを集計すると、順位は反転する。

箱根(神奈川県)の加重平均総合スコアは4.24/5.0で、調査対象3エリアの中で最も高い。草津(群馬県)は4.19とほぼ拮抗する水準で続き、別府(大分県)は3.94とやや差がついた。レビューの絶対数は箱根が483,593件と圧倒的で、別府307,472件、草津163,744件の順となる。「行きたい」という人気投票では草津、「実際に泊まってみての満足度」では箱根が頭ひとつ抜けている、という構図が見えてくる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

もっとも、スコア差は0.05〜0.30ポイントにとどまっており、3温泉地ともレビューの絶対水準としては「高評価」の領域に入っている。重要なのは、人気投票の順位と総合満足度の順位が必ずしも一致しないという事実、そしてその背景にどのカテゴリの強み・弱みがあるかである。次節以降で、カテゴリ別に分解していく。

カテゴリ別スコアで見える「3温泉地それぞれの強み」

9つのカテゴリ(サービス/客室/食事/立地/風呂・温泉/バスルーム/清潔感/施設・アメニティ/料金)で各エリアの加重平均スコアを比較する。レーダーチャートにすると、3つの温泉地が異なる「形」を持っていることが視覚的に確認できる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

カテゴリごとの順位を整理すると、人気No.1の草津は「風呂・温泉」と「バスルーム」のスコアで他2エリアを明確に上回っている。これは草津温泉の強酸性・高温の源泉、湯畑を中心とした湯量豊富な共同浴場文化が、宿泊者の温泉体験そのものを底上げしていることを示している。一方、人気3位の箱根は「サービス」「客室」「食事」「清潔感」「施設・アメニティ」と、温泉以外のホテル運営に関わる5カテゴリで首位を獲得した。別府は「立地」で僅差ながら首位、「食事」でも草津を上回るが、その他のカテゴリでは草津・箱根の後塵を拝する形になっている。

カテゴリ草津(群馬)別府(大分)箱根(神奈川)首位
サービス4.224.214.29箱根
客室4.034.084.18箱根
食事4.164.224.26箱根
立地4.214.234.04別府
風呂・温泉4.594.374.47草津
バスルーム4.354.164.21草津
清潔感4.124.114.16箱根
施設・アメニティ3.933.934.07箱根
料金(コスパ)3.713.783.37別府

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(N=383施設、レビュー総数約95.5万件)

このカテゴリ別の構図から、3温泉地の「役割」が浮かび上がる。草津は温泉そのものの体験価値で唯一無二、箱根はホテル運営全般の品質で安定、別府は立地の良さとコスパのバランスで勝負している。「どの温泉地に行くか」は、旅行者が何を最も重視するかによって、合理的に選び分けが可能だといえる。

箱根の「コスパ評価」が他2エリアより大きく劣る理由

カテゴリ比較の中で最も差が大きく出たのが「料金(コスパ)」である。箱根の3.37に対し、草津3.71、別府3.78と、箱根は他2エリアより0.3〜0.4ポイント低い。これは箱根特有の現象なのか、それとも価格水準そのものに起因するのか。神奈川県全体のカテゴリ別ADRを補足的に見てみる。

出典:メトロエンジンリサーチ(2026年6月、2名1室・税込・全プラン平均)

2026年6月の神奈川県のカテゴリ別ADRを見ると、リゾートホテル¥49,200、貸別荘¥57,700、グランピング¥74,900と、箱根エリアに多く立地する高単価カテゴリの価格水準が、群馬県や大分県を大きく上回っている。同月の群馬県は旅館¥33,200、リゾートホテル¥29,900、大分県も旅館¥33,100、リゾートホテル¥45,800と、箱根エリアより1〜2割安い水準である。

つまり、箱根の宿は「サービス」「食事」「客室」のいずれでも実際の満足度が高いにもかかわらず、絶対価格水準が高いため、宿泊者の支払額に対する期待値も高くなり、結果として「コスパ」スコアでは厳しめの評価が下されている。逆に別府は、立地・食事の良さに加えて旅館やリゾートホテルのADRが箱根より2割以上低いため、コスパ評価で首位に立ちやすい構造になっている。草津は中間に位置し、温泉の質という他では得られない価値が支払い額を正当化している、と解釈できる。なお、価格と満足度のバランスが議論されるのはレジャー宿泊だけでなく、出張需要の文脈でも顕著で、ビジネスホテル価格高騰の実態と出張コスパ最強10県がADR水準とコスパ評価の構造を全国レベルで整理している。

各温泉地のトップを取る施設と、カテゴリ別の名手

各温泉地で、カテゴリごとに最も高いスコアを獲得した施設を抽出すると、3エリアそれぞれの「個性」がさらに鮮明になる。下表は、レビュー数200件以上の施設のうち、各カテゴリで30件以上のサブレビューを持つ施設に限定したランキングである。

カテゴリ草津 トップ施設別府 トップ施設箱根 トップ施設
サービス酒仙の宿 晩(4.88)割烹旅館 かんな和別邸(4.82)和心亭 豊月(4.85)
客室草明庵(4.82)匠晴の宿 心庵(4.80)フィールド箱根リゾート(4.90)
食事滋養の宿 ぶな(4.93)眺望の宿 しおり(4.84)箱根ふうら(4.94)
風呂・温泉ホテルクアビオ(4.90)匠晴の宿 心庵(4.72)松坂屋本店(4.93)
バスルーム泉水館(4.95)徳の宿 ふぶ庵(4.88)箱根 萬岳楼(4.81)
立地若乃湯 草津舘(4.95)ホテルシーウェーブ別府(4.69)湯本富士屋ホテル(4.69)
料金ホテルおおるり(4.46)源泉の湯宿 ホテル鉄輪(4.38)大箱根 一の湯(4.45)

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

注目すべきは、各温泉地の「カテゴリ別チャンピオン」がほぼ4.7〜4.95と高水準であり、エリア平均との差が0.5〜1.0ポイントもあること。つまりエリア内での施設間ばらつきが大きく、温泉地全体の傾向だけでなく、宿泊者が重視するカテゴリに合わせて施設を選ぶことで、満足度を大きく高められる余地がある。例えば「箱根は温泉の評価がエリア平均4.47だが、松坂屋本店なら4.93」「草津は食事の評価がエリア平均4.16だが、滋養の宿ぶななら4.93」というように、エリア平均の弱点を補う施設選びが可能だ。同様にカテゴリ別満足度を季節要因と組み合わせて分析した事例として、2026年全国アジサイ名所×宿泊施設分析では雨天プレミアムや週次ADRと施設満足度の関係を読み解いている。

来訪者プロファイル:別府は「ビジネス目的」が他より多い

続いて、各温泉地の旅行者プロファイル(旅行目的・年齢層)を見る。各エリアの上位15軒のレビューから集計した。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(草津N=6,452/別府N=7,923/箱根N=11,327)

旅行目的の構成では、3エリアともレジャーが圧倒的多数を占めるが、別府はビジネス目的が4.2%と他2エリア(草津0.9%、箱根0.7%)より明確に高い。これは別府が大分市まで車で30分という都市近接性、JR別府駅前の市街地ホテル群を抱えていることが影響している。事実、別府の「立地」スコアが3エリア中首位(4.23)であることとも整合する。一方、草津・箱根はいずれも温泉地としての観光集客が97%前後を占め、純粋なレジャーデスティネーションとして機能している。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(草津N=2,245/別府N=1,738/箱根N=1,571)

年齢層を見ると、3エリアとも50代がボリュームゾーンだが、構成にやや違いがある。草津は40〜60代の中核層が76%とやや厚めで、20〜30代の若年層は19%にとどまる。別府は30代の比率が16.6%と3エリアで最も高く、40代と合わせて若中年が38.9%を占める。箱根は60代以上のシニア比率(30.9%)が3エリア中最も高く、首都圏からの「気軽な大人の温泉旅」というブランドイメージとも整合する。

「人気投票」と「実際の満足度」のズレが意味するもの

本記事の分析を整理すると、じゃらん人気温泉地ランキングと実際のレビュー満足度には、4つのズレが確認できた。

観点人気No.1:草津人気No.2:別府人気No.3:箱根
総合スコア(レビュー)4.193.944.24(首位)
温泉品質4.59(首位)4.374.47
食事・客室・サービス中位中位3カテゴリすべて首位
コスパ3.713.78(首位)3.37(最下位)
立地4.214.23(首位)4.04

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

第一に、「行きたい」と思わせる人気と「実際に泊まって満足する」レビュー評価の順位は、必ずしも一致していない。第二に、温泉そのものの体験価値(湯量・泉質)では人気No.1の草津が他を圧倒しており、これが「もう一度行きたい」票につながっている可能性が高い。第三に、ホテル運営の総合品質では神奈川・箱根が安定して首位を取っており、首都圏アクセスの利便性とあわせて、リピーター獲得力は依然強い。第四に、コスパでは別府が首位で、ADR水準と立地の良さが効いている。この構造を理解すれば、「どの温泉地に行くか」だけでなく、「予算と何を重視するかに応じてどう選び分けるか」が見えてくる。

運営者視点:人気ランキングに頼らない自施設の強み訴求

ホテル・旅館の運営側から見ると、本記事のデータは重要な示唆を含む。エリア全体の人気投票で上位に入ることは集客には有効だが、最終的に宿泊者が満足するかどうかは、自施設のカテゴリ別スコアに依存する。例えば、人気No.3に下がった箱根のホテルでも、サービス・食事・客室で4.7以上を獲得している施設は宿泊者から高く評価され、リピーターの基盤を持つ。逆に、人気No.1の草津エリアにあってもコスパ評価が低い施設は、絶対人気の追い風だけでは満足度を担保できない。

また、別府のように「ビジネス利用が一定割合存在するエリア」では、レジャー特化型の施設だけでなく、平日のビジネス需要を取り込む価格・サービス設計の余地がある。実際、別府の「立地」スコアが3エリア首位であることは、観光地でありながら市街地アクセスの良い施設群が高評価を集めていることを意味する。各エリアの「らしさ」を理解した上で、自施設のポジションを正確に把握することが、レビュー高得点と価格訴求力の両立につながる。食事評価が高単価宿の重要な差別化要素となる構図については、記念日に選ばれるホテルダイニングの食事口コミ評価ランキングがラグジュアリーセグメントで詳しく分析している。

本記事のレビューデータについて:本記事のレビュースコアは、調査対象施設のOTA等に投稿された宿泊者口コミ(2017年〜2026年4月)のうち、各カテゴリで5件以上のサブレビューを持つ施設を集計対象としています。スコアはレビュー数で重みづけた加重平均値であり、エリアの傾向を示す参考値として読み解いてください。施設選びの際には、各施設個別のレビューを必ず確認することをお勧めします。

まとめ

本記事では、じゃらん人気温泉地ランキング2026の上位3温泉地(草津・別府・箱根)について、計383軒・約95.5万件のレビューをもとに、人気投票と実際のカテゴリ別満足度のズレを検証した。結論として、草津は温泉品質が突出、箱根はホテル運営総合力が首位、別府は立地とコスパのバランスと、3温泉地それぞれが異なる強みで宿泊者を惹きつけていることが定量的に確認できた。「もう一度行きたい」票で1位の草津が、レビュー総合スコアでは僅差で箱根の後塵を拝するという事実は、人気と満足度の評価軸が異なることを示している。旅行者にとっては自分の重視するカテゴリに合わせた選び分けが、運営者にとっては自施設のカテゴリ別ポジショニングの再確認が、それぞれ重要となる。

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