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旅行・観光消費動向調査とは|最新は7兆4,695億円・宿泊+12.7%、速報と確報の差と宿泊費の読み方

投稿日 : 2026.11.07

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旅行・観光消費動向調査とは|最新は7兆4,695億円・宿泊+12.7%、速報と確報の差と宿泊費の読み方

旅行・観光消費動向調査とは、観光庁が四半期ごとに日本国内の居住者へ調査票を送り、国内宿泊旅行・国内日帰り旅行・海外旅行の回数と消費額を標本調査で推計する統計である。訪日客を測るインバウンド消費動向調査、施設の宿泊実績を測る宿泊旅行統計調査と並び、観光庁の3統計のうち「日本人の国内需要」を受け持つ。最新は2026年10月30日公表の2026年4-6月期2次速報で、日本人国内旅行消費額は7兆4,695億円(前年同期比+10.7%)、宿泊旅行に限ると5兆9,066億円(同+12.7%)だった。

要点:旅行・観光消費動向調査とは(2026年10月31日時点)
実施機関観光庁(観光戦略課 観光統計調査室)
調べる相手日本国内の居住者。住民基本台帳から無作為に抽出し、配布は約29,000人
公表の流れ四半期ごとに1次速報→2次速報、翌年4月末の暦年確報で確定
最新の公表値2026年4-6月期(2次速報・10月30日公表):7兆4,695億円、延べ旅行者数1億4,816万人、1人1回当たり旅行支出50,415円
次回公表予定2026年7-9月期1次速報:2026年11月18日(観光庁「観光統計公表予定日」)
都道府県別四半期の集計表は地方ブロックまで。都道府県別は暦年確報に伴う「参考表」で公表(2025年版は本文の表)
本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
本稿で使う統計用語(観光庁の定義)
• 旅行消費額=旅行中または旅行のために消費した支出金額。他者が支払ったものや土産代等も含む。
• 延べ旅行者数=旅行をした延べの人数。同じ人が2回行けば2人と数える。
• 旅行単価(1人1回当たり旅行支出)=旅行1回当たりの支出金額で、参加費・交通費・宿泊費・飲食費・買物代・娯楽等サービス費等を含む。
• 延べ泊数=期間中に行われた宿泊旅行の延べの泊数。
Key Takeaways
  • — 最新は1次速報ではなく2次速報である。8月の1次速報7兆5,361億円から10月に7兆4,695億円へ、−666億円(−0.9%)改定された。
  • — 動いたのはほぼ人数の側だった。延べ旅行者数が−0.9%改定された一方、旅行単価は50,381円から50,415円とほぼ変わらず、日帰り旅行者数の前年同期比は+0.1%から−0.9%へ符号が反転している。
  • — 宿泊旅行消費額に占める宿泊費は24.6%(2025年同期22.1%)。ただしパック・団体の参加費(7.5%)に宿泊分が含まれるため、合算した32.1%(同31.5%)で見ると動きは穏やかになる。
  • — 消費額の増減を語るなら確報同士、四半期を年換算しない。1-3月期を4倍すると22.6兆円、7-9月期を4倍すると32.3兆円になり、実際の2025年26兆7,845億円から大きく外れる。

旅行・観光消費動向調査とは — 居住者に聞く、四半期の需要側統計

観光庁の資料は、この調査を「日本人対象の需要側統計」と位置づけている。目的は日本国内居住者の旅行回数と消費の把握で、2003年度に調査が始まり、2010年から現行の集計表で公表されてきた。ホテルや旅館が回答する宿泊旅行統計調査と違い、回答するのは旅行者本人である。したがって施設の外で使われたお金、たとえば交通費や土産代まで捉えられる反面、1室いくらで売れたかという施設側の単価は分からない。

抽出は層化二段抽出法による。まず都道府県(47区分)×市区町村規模(3区分)の141層に人口比例で割り当てて全国340地点を選び、次に各地点の住民基本台帳から居住者85人を系統抽出する。340×85で配布数は約29,000人となり、同じ対象者に年4回、調査票を郵送する(オンライン回答も可)。2026年4-6月期の発送数は28,900件で、回収数は10,430件、回収率36.1%だった。

調査の対象となる3つの旅行と公表予定
区分内容
国内宿泊旅行目的を問わず自宅以外で1泊以上した旅行。自家用車や夜行バス、夜行列車内の宿泊も含む。出稼ぎ・転勤・1年超の滞在等は除く
国内日帰り旅行目安として片道の移動距離80km以上、または所要時間(移動時間と滞在時間の合計)8時間以上の外出。通勤・通学や週1回以上の定期的な外出は除く
海外旅行日本国内から海外への旅行。本稿の金額には含めない
2026年4-6月期1次速報 2026年8月19日/2次速報 2026年10月30日(公表済み)
2026年7-9月期1次速報 2026年11月18日/2次速報 2027年1月29日
2026年10-12月期1次速報 2027年2月17日/2次速報 2027年4月30日
2026年暦年速報 2027年2月17日(報道発表のみ)/確報 2027年4月30日(都道府県別集計は6月下旬)
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査の概要」「観光統計公表予定日」よりホテルバンク編集部作成。予定日は変更される場合がある

もうひとつ押さえておきたいのが、統計としての読みどころの違いだ。観光庁の3統計は測っている相手も単位も異なるため、同じ「宿泊」の数字でも互いに置き換えられない。1枚に並べると次のようになる。

観光庁の3統計の比較
旅行・観光消費動向調査 宿泊旅行統計調査 インバウンド消費動向調査
立場国内需要側(居住者本人)施設側(宿泊実績)訪日需要側(出国する外国人)
回答者住民基本台帳から無作為抽出した居住者ホテル・旅館・簡易宿所・会社や団体の宿泊所全国29空海港の出国客
規模配布約29,000人(2026年4-6月期の回収10,430件)母集団約7万6千施設のうち約2万3千施設目標 四半期33,240票
主な指標旅行消費額・延べ旅行者数・旅行単価延べ宿泊者数・客室稼働率訪日外国人旅行消費額・1人当たり旅行支出
公表頻度四半期毎月四半期
最新値2026年4-6月期2次速報 7兆4,695億円2026年9月分1次速報 5,282万人泊(うち日本人4,117万人泊)2026年7-9月期1次速報 2兆2,076億円
解説記事本稿宿泊旅行統計調査とはインバウンド消費動向調査とは
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」「宿泊旅行統計調査」「インバウンド消費動向調査」よりホテルバンク編集部作成

2026年4-6月期の読み方 — 7兆4,695億円は過去最高、ただし旅行者数の伸びは小さい

観光庁は2次速報で、国内旅行消費額を「4-6月期として過去最高」、延べ旅行者数を「4-6月期としてコロナ禍以降最多」と表現している。もっとも消費額+10.7%の内訳を分解すると、延べ旅行者数が+2.3%、旅行単価が+8.2%で、増加の大半は単価の側にある。宿泊旅行では人数+5.5%・単価+6.8%と比較的均衡する一方、日帰り旅行は人数が−0.9%に転じ、単価+5.0%が消費額+4.0%を支えた形だ。

2026年4-6月期 1次速報と2次速報の比較(括弧内は前年同期比)
指標 1次速報(8月19日) 2次速報(10月30日) 改定幅
国内旅行消費額(億円)75,361(+11.7%)74,695(+10.7%)−0.88%
 宿泊旅行(億円)59,578(+13.6%)59,066(+12.7%)−0.86%
 日帰り旅行(億円)15,784(+5.1%)15,628(+4.0%)−0.99%
延べ旅行者数(万人)14,958(+3.3%)14,816(+2.3%)−0.95%
 宿泊旅行(万人)7,743(+6.4%)7,677(+5.5%)−0.85%
 日帰り旅行(万人)7,216(+0.1%)7,139(−0.9%)−1.07%
旅行単価(円/人)50,381(+8.2%)50,415(+8.2%)+0.07%
 宿泊旅行(円/人)76,947(+6.8%)76,940(+6.8%)−0.01%
 日帰り旅行(円/人)21,875(+5.0%)21,891(+5.0%)+0.07%
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査 2026年4-6月期(1次速報・2次速報)」よりホテルバンク編集部作成。改定幅は本稿算出

季節の山を確かめるには、年ごとの線を重ねて見るのが早い。7-9月期が最も大きく、1-3月期が最も小さいという形は3年とも変わらず、2026年の2四半期はいずれも前年の線を上回って推移している。

出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査 2026年4-6月期(2次速報)」よりホテルバンク編集部作成。2024〜2025年は確報、2026年は2次速報

速報と確報の差 — 1次から2次で動き、2次から確報はほぼ同じ

報道で最初に目にする数字は1次速報だが、この値は確定ではない。2025年4-6月期は1次速報が6兆7,988億円(前年同期比+6.2%)で、10月末の2次速報と翌年4月末の確報はいずれも6兆7,453億円(同+5.3%)となった。改定幅は−535億円、率にして−0.79%で、変化は1次から2次への段階でほぼ出尽くしている。2025年1-3月期も同じ形で、1次速報5兆6,483億円が2次速報で5兆6,419億円となり、確報も同じ額だった。

出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」各期の公表資料(1次速報・2次速報・確報)よりホテルバンク編集部作成。2026年4-6月期は2次速報時点、他は確報との差

日本人国内旅行消費額の改定幅(単位:億円)
期 1次速報 直近公表値 差 改定率
2025年1-3月期56,48356,419(確報)−64−0.11%
2025年4-6月期67,98867,453(確報)−535−0.79%
2025年7-9月期80,53680,852(確報)+316+0.39%
2026年4-6月期75,36174,695(2次速報)−666−0.88%
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」各期の公表資料よりホテルバンク編集部作成。差と改定率は本稿算出

確認できた4四半期の範囲では、改定は上下どちらにも振れ、絶対値は0.1〜0.9%に収まった。件数が少ないため改定幅の相場とまでは言えないものの、前年同期比の小さな変化を1次速報だけで断定するのは避けたほうがよい。2026年4-6月期の日帰り旅行者数で+0.1%が−0.9%に変わった例が、その理由をよく示している。なお、本稿で確認した報道発表資料に改定要因の内訳は記載されていない。

確報のタイミングにも注意が要る。四半期の確報は単独で出るのではなく、暦年確報に合わせて確定する。公表予定によれば2026年1-3月期の確報は2027年4月30日で、それまでは2次速報が事実上の参照値となる。費目別や宿泊施設別の詳しい集計表が読めるのも2次速報からで、1次速報の報道発表資料は消費額・旅行者数・単価の3指標にとどまる。宿泊業の分析で費目を使うなら、2次速報を待つことになる。

宿泊業の使い方① — 7万6,940円のうち宿泊費はいくらか

宿泊旅行の1人1回当たり支出7万6,940円(2026年4-6月期2次速報)は、宿泊費の額ではない。交通費や飲食費、買物代まで含んだ旅行全体の支出である。集計表の第11表によると、このうち宿泊費は1万8,965円で、構成比は24.6%にあたる。購入率が59.5%にとどまるのは、実家や親族・知人宅に泊まる旅行が母数に入っているためと読むのが自然で、宿泊費を支払った人に限った購入者単価は3万1,886円となる。

出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」集計表 第12表(2025年4-6月期は確報、2026年4-6月期は2次速報)よりホテルバンク編集部作成。構成比は本稿算出

費目構成を前年と比べると、宿泊費は22.1%から24.6%へ2.6pt上がっている一方、パック・団体旅行の参加費は9.4%から7.5%へ2.0pt下がった。参加費には宿泊費や飲食費、交通費が含まれ、内訳は分かれていない。つまり個人手配の宿泊費が伸びた分の一部は、パックから個人手配への移行で説明できる可能性がある。両者を合算すると31.5%から32.1%で、伸びはこちらのほうが穏やかだ。自社の販売チャネル構成と照らすなら、宿泊費単独より合算の動きも併せて見ておきたい。

金額で見ても同じことがいえる。宿泊費の総額は1兆4,559億円で、前年同期の1兆1,571億円から+25.8%となったが、宿泊旅行消費額全体の+12.7%の約2倍にあたるこの伸びを、そのまま需要や単価の強さと読むのは早い。費目別の四半期値は標本調査の振れを受けやすく、傾向をつかむなら2025年の年間値である宿泊費構成比25.1%・参加費7.0%を物差しに置くほうが確かだろう。

宿泊業の使い方② — 宿泊旅行統計調査と突き合わせる

需要側の泊数と施設側の宿泊者数を並べると、この統計の守備範囲が見えてくる。消費動向調査の延べ泊数は2026年4-6月期で1億5,492万泊あるが、そのうち30.0%にあたる4,654万泊は実家や親族・知人宅での宿泊だ。ホテルや旅館の市場を測る物差しとして全泊数をそのまま使うと、この部分を過大に見ることになる。そこでホテル・旅館・ペンション等・保養所等・会員制施設の5区分に絞ると、1億389万泊まで縮まり、宿泊旅行統計調査の日本人延べ宿泊者数1億712万人泊に近い規模となった。

需要側と施設側の泊数(統計ごとに別掲。単位:万泊・万人泊)
統計・区分 2025年(年間) 2025年4-6月期 2026年4-6月期 前年同期比
消費動向調査 延べ泊数(全体)64,40814,96915,492+3.5%
 うち実家や親族・知人宅23,1444,7174,654−1.3%
 うち施設型5区分(本稿の括り)41,54310,08310,389+3.0%
宿泊旅行統計調査 日本人延べ宿泊者数48,11811,16610,712−4.1%
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」集計表(2025年は確報、2026年4-6月期は2次速報)、同「宿泊旅行統計調査」推移表(2025年は確定値、2026年は速報値)よりホテルバンク編集部作成。施設型5区分=ホテル・旅館・ペンション等・保養所等・会員制施設で、宿泊旅行統計調査の対象と一致する定義ではない

もっとも、前年同期比の向きは揃っていない。消費動向調査の施設型5区分が+3.0%なのに対し、宿泊旅行統計調査の日本人延べ宿泊者数は−4.1%である。ここには調査設計の違いが効いていると考えられる。宿泊旅行統計調査は2026年1月分から層化基準を従業者数から客室数へ変更しており、観光庁自身が前年比に見直しの影響が含まれる可能性を注記している。消費動向調査の側も回収1万件規模の標本調査で、区分別の泊数には振れがある。規模の感覚を確かめる用途には2つの統計を並べられるものの、片方の増減でもう片方を説明したり、同じ系列として接続したりはできない。

実務では役割を分けて使うのが現実的だ。エリアの宿泊者数と客室稼働率は宿泊旅行統計調査で、日本人の旅行目的や費目別の使い道は本調査で読む。2026年に入ってからの宿泊者数の動きは1〜8月の延べ宿泊者数を整理した記事も参考になるだろう。

宿泊業の使い方③ — 1人1泊の宿泊費とADRの距離

集計表の宿泊施設別の値を使うと、宿泊費を延べ泊数で割った「1人1泊当たりの宿泊費」の目安を本稿で算出できる。2025年の年間値ではホテルが約1万2,600円、旅館が約1万7,500円、2026年4-6月期(2次速報)ではホテルが約1万3,700円、旅館が約2万2,500円となった。四半期値は前年同期(ホテル約1万500円、旅館約1万7,500円)から大きく跳ねており、やはり1四半期の差は慎重に扱いたい。

ではこの水準は、施設の客室単価とどの程度離れているのか。全国を1本で示す当サイトの推定成約ADRは無いため、都道府県ごとの中央値を47個並べ、その中央値を参考として置くと、2026年4-6月は8,400〜9,800円程度になる。東京都は1万2,100〜1万7,800円、京都府は1万1,400〜2万1,700円と、エリアによる開きも大きい。

推定成約ADR(当サイト推定・政府統計とは別系列。単位:円)
エリア 2026年4月 2026年5月 2026年6月
47都道府県の中央値(参考)9,1089,7848,368
東京都(N=1,137〜1,145施設)17,83015,06812,146
京都府(N=588〜607施設)21,66516,99811,362
北海道(N=947〜949施設)7,9559,51410,334
沖縄県(N=500〜505施設)11,28411,24811,373
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。47都道府県の中央値は各都道府県のADRの単純な中央値(延べN=16,997〜17,181施設)で、客室数や宿泊者数による加重はしていない

数字だけ見れば、1室当たりのADRが1人1泊の宿泊費を下回るという一見ちぐはぐな並びになる。しかしこれは片方が誤っているのではなく、測っているものが違うと考えるのが妥当だ。単位は1人当たりと1室当たりで異なる。統計の宿泊費は回答者の支払額で、ADRは税抜相当の推定値である。統計は実際に泊まった日本人の支出で重みが付き、宿泊の多いエリアの水準が強く反映されるのに対し、47都道府県の中央値は地方の県も東京も同じ1票として扱う。さらに統計側には訪日客が入らず、ADR側は訪日客が多く泊まる施設の水準も反映する。

したがって、この統計の宿泊費から自社のADRが高いか低いかを判定することはできない。使えるとすれば、年間値どうしで日本人客の宿泊費がどの方向に動いているかを確かめ、自社の単価の動きと向きを比べる程度だろう。訪日客側の同様の論点は4-6月期2.5兆円と実勢ADRの距離で扱っている。

地方ブロック別に読む — 四半期で分かるのはここまで

四半期の集計表が示す地域の最小単位は、北海道から沖縄までの10ブロックである。主目的地別の宿泊旅行消費額を見ると、2026年4-6月期は関東が1兆6,295億円で最も大きく、近畿7,143億円、九州6,368億円が続く。近畿の−20.9%は、比較対象の2025年4-6月期が大阪・関西万博の開幕期にあたる点を差し引いて読みたい。北陸信越や東北の大きな伸びも、四半期の標本の振れを含む値と受け止めるのが無難である。

主目的地(地方ブロック)別 宿泊旅行消費額(単位:億円)
ブロック 2025年4-6月期(確報) 2026年4-6月期(2次速報) 前年同期比
北海道4,3684,531+3.7%
東北3,5455,007+41.2%
関東12,91316,295+26.2%
北陸信越2,7834,117+47.9%
中部5,0335,502+9.3%
近畿9,0257,143−20.9%
中国2,9542,845−3.7%
四国1,5661,685+7.6%
九州5,8336,368+9.2%
沖縄3,8135,108+34.0%
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」集計表 第15表よりホテルバンク編集部作成。前年同期比は本稿算出。観光庁の注記のとおり、個々の数字の合計は総数と一致しない場合がある

観光消費額の都道府県別ランキング — 暦年の「参考表」にある

「観光消費額を都道府県別に知りたい」という問いに本調査の四半期値は答えていないが、暦年の確報に合わせて都道府県別集計の参考表が公表されている。訪問地ごとの支出と訪問者数を推計したもので、2025年版の日本人(全目的)を見ると、大阪府1兆5,034億円と東京都1兆5,030億円がほぼ並び、北海道1兆3,914億円、千葉県1兆2,372億円が続いた。1人当たりの消費単価では沖縄県の8.99万円が大きく、訪問者数は1,093万人ながら旅行消費額は全国5位に入っている。

都道府県別 旅行消費額 上位10(2025年・日本人・全目的)
順位・都道府県 旅行消費額(億円) うち宿泊費(億円) 訪問者数(万人) 消費単価(万円/人)
1 大阪府15,0343,3194,6483.24
2 東京都15,0303,2855,6812.65
3 北海道13,9143,6373,0644.54
4 千葉県12,3723,7353,4283.61
5 沖縄県9,8212,6481,0938.99
6 静岡県8,9093,1192,8933.08
7 神奈川県7,2982,1563,0142.42
8 長野県7,0302,0152,1783.23
9 兵庫県7,0042,0682,4942.81
10 愛知県6,6401,7083,0192.20
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」【参考表】都道府県別集計 2025年(標本サイズ21,143)よりホテルバンク編集部作成。順位は本稿で並べ替え。訪問者数は宿泊客と日帰り客の合計

読むときの注意点は3つある。第一に、これは日本人だけの値で、訪日客の消費は入らない。第二に、都道府県間の交通費3兆6,309億円は別掲で、旅行前後の支出も配分されないため、47都道府県の合計19兆5,502億円は全国の26兆7,845億円とは一致しない。第三に、標本サイズは沖縄県461や鳥取県189のように都道府県で差があり、観光庁も「参考表」の扱いとしている。順位の小さな入れ替わりに意味を持たせないほうがよいだろう。

都道府県が自ら調査する数字を確かめたいなら、もうひとつの入口が「共通基準による観光入込客統計」である。観光入込客数と消費額を都道府県が同じ基準で把握する枠組みで、結果は各都道府県のウェブサイトに掲載される。観光庁による取りまとめは2024年3月公表分までで、導入は46都道府県、大阪府は未導入となっている。全47都道府県を同じ時点で並べたい場合は、本調査の参考表が使いやすい。

よくある誤読3つ

「国内旅行消費額37.6兆円」と「26.8兆円」の混同。2025年の37.6兆円は、日本人国内宿泊旅行21.7兆円、日本人国内日帰り旅行5.1兆円、日本人海外旅行(国内分)1.4兆円、訪日外国人旅行9.5兆円を合わせた「日本国内での旅行消費額」である。本調査の見出しである日本人国内旅行消費額は26兆7,845億円(26.8兆円)で、訪日客や海外旅行の国内分は含まない。宿泊需要を論じる際に訪日客込みの数字か否かを取り違えると、市場規模が約4割ずれる計算になる。

速報値と確報値を比べる。2026年4-6月期の前年同期比+10.7%は、2次速報の7兆4,695億円を2025年4-6月期の確報6兆7,453億円で割った値である。前年の1次速報6兆7,988億円を分母に置いて計算すると+9.9%となり、公表値とは異なる。比べるなら公表資料が示す前年同期比をそのまま引用するのが確実だ。

四半期値を年換算する。この統計は季節差が大きい。2025年の四半期を4倍すると、1-3月期22兆5,676億円、4-6月期26兆9,812億円、7-9月期32兆3,408億円、10-12月期25兆2,484億円となる。4-6月期だけは実際の年間値に近いものの偶然に過ぎず、各四半期の年間に占める比率は21.1%、25.2%、30.2%、23.6%と開いている。

よくある質問

Q. 宿泊旅行統計調査との違いは?

宿泊旅行統計調査はホテルや旅館など施設側に延べ宿泊者数と客室稼働率を聞く毎月の統計です。旅行・観光消費動向調査は日本国内の居住者本人に旅行回数と支出額を聞く四半期の統計で、実家や親族・知人宅への宿泊、日帰り旅行、交通費や土産代まで含みます。

Q. いつ公表されますか?

四半期ごとに1次速報と2次速報が出ます。直近では2026年4-6月期の1次速報が8月19日、2次速報が10月30日で、7-9月期の1次速報は2026年11月18日の予定です。2026年の暦年確報は2027年4月30日、都道府県別集計は同年6月下旬の予定です。

Q. 都道府県別の観光消費額はこの調査で分かりますか?

四半期の集計表は全国と地方ブロック(10区分)までです。都道府県別は暦年確報に合わせて「参考表」として公表され、日本人の訪問者数・消費単価・費目別の旅行消費額を確認できます。訪日客を含む値ではなく、都道府県が独自に調査する数字は「共通基準による観光入込客統計」として各都道府県のウェブサイトで公表されています。

まとめ — 2次速報を基準に、費目は年間で読む

旅行・観光消費動向調査は、日本人の国内旅行が何泊で、どの費目にいくら使われたかを四半期ごとに示す統計である。2026年4-6月期は2次速報で7兆4,695億円となり、増加の主因は旅行者数より単価だった。宿泊業が使うなら、見出しの消費額に飛びつかず、費目別の宿泊費と参加費を合わせて見ること、施設型の泊数と親族・知人宅を切り分けること、四半期の振れを年間値で確かめることの3点が要になる。次の更新は11月18日の7-9月期1次速報で、夏の需要の最初の答え合わせとなるが、確かな読みには翌年1月末の2次速報を待ちたい。

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訪日客は減っても宿泊費は最大費目 — 4-6月期2.5兆円と実勢ADRの距離

参考資料・出典一覧

■ データソース

観光庁「旅行・観光消費動向調査」(2026年4-6月期の1次速報・2次速報と集計表、2025年の年間値(確報)・集計表・【参考表】都道府県別集計、主要指標の推移表)、同「宿泊旅行統計調査」推移表、同「観光統計公表予定日」。推定成約ADRはメトロエンジンリサーチ(OTA公開価格に基づく推定値、2026年4〜6月)。

■ 試算前提

改定幅・改定率、費目構成比、1人1泊当たり宿泊費(宿泊施設別の宿泊費÷延べ泊数)、四半期値の4倍換算と年間に占める比率、地方ブロック別の前年同期比は、観光庁の公表値から本稿で算出した。47都道府県の中央値は各都道府県の推定成約ADRの単純な中央値で、客室数や宿泊者数による加重はしていない。

■ 限界・留意点

速報値は改定され、四半期値は翌年4月末の暦年確報で確定する。標本調査のため、四半期・区分別・都道府県別の値には標本誤差を含む。統計の宿泊費(1人当たり・回答者の支払額・日本人のみ)と推定成約ADR(1室当たり・税抜相当・訪日客を含む)は定義が異なり、同じ系列として比較・接続できない。宿泊旅行統計調査は2026年1月分から層化基準を変更しており、前年比に見直しの影響を含む可能性がある。

■ 市場データ

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