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観光庁概算要求2027は1,900億円|一般財源は要求の4〜8割に着地、宿の補助は補正で読む

投稿日 : 2026.10.02

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観光庁概算要求2027は1,900億円|一般財源は要求の4〜8割に着地、宿の補助は補正で読む

観光庁は2026年8月28日、令和9年度(2027年度)予算の概算要求を公表した。一般会計の要求額は1,899億7,600万円で、うち国際観光旅客税財源が1,800億円、一般財源が99億7,600万円を占める。東日本大震災復興特別会計の5億6,600万円を加えた総額は1,905億4,200万円となり、観光庁発足以来の最大規模である。ただし概算要求はあくまで「要求」であり、年末の予算編成で金額も中身も動く。本稿では観光庁公表資料(PDF)で数値を裏取りしたうえで、令和4〜8年度の5年分について「要求額に対して実際の予算がどこに着地したか」を財源別に算出し、宿泊事業者が令和9年度の数字をどの程度割り引いて読むべきかを整理する。あわせて、宿の設備補助がどの予算で積まれてきたか、国内交流・アウトバウンド枠2.44倍が日本人延べ宿泊者数の推移とどう重なるかを読み解く。

本記事における指標の定義

  • 概算要求:各府省が毎年8月末に財務省へ提出する翌年度予算の要求額。12月下旬の政府予算案の閣議決定、翌年3月の国会での成立を経て確定する。本稿の「要求額」はすべてこの段階の数字であり、確定額ではありません。
  • 決定額(当初予算額):12月の政府予算案で決まった観光庁関係予算額(観光庁「予算決定概要」掲載値)。補正予算は含みません。
  • 着地率:決定額 ÷ 要求額。本稿で独自に算出した比率です。国際観光旅客税財源は観光庁計上分で比較し、宮内庁計上分(三の丸尚蔵館・皇居東御苑大手休憩所の整備)は除いています。
  • 延べ宿泊者数:観光庁「宿泊旅行統計調査」の年間値(確定値)。宿泊者数×泊数(人泊)。
  • 金額の単位:官庁資料は百万円単位のため、本文では億円に換算しています。端数処理の関係で内訳の合計が総額と一致しない場合があります。
Key Takeaways
  • — 1,899億7,600万円 令和9年度の一般会計要求額(旅客税財源1,800億円+一般財源99億7,600万円)。復興特別会計を含めると1,905億4,200万円。
  • — 41.6〜79.8% 令和4〜8年度の5年間で、一般財源の決定額が要求額に対して着地した範囲(中央値62.0%)。99億7,600万円をこの幅で割り引くと約41億〜80億円となる。
  • — 1.77倍 令和8年度の旅客税財源は、要求700億円に対し観光庁計上分で1,242億円に上振れした。税率引き上げが予算編成の途中で決まったためで、引き上げ済みの令和9年度の1,800億円に同じ上振れは想定しにくい。
  • — 77.5億円 令和7年度補正予算で措置された観光DX・バリアフリー・省力化の3事業の合計。宿の設備補助は、当初予算より補正予算で厚く積まれてきた。
  • — 72.8% 2025年の延べ宿泊者数に占める日本人の比率(4億8,118万人泊)。国内交流・アウトバウンド枠の2.44倍は、この最大市場に政策の手当てが広がり始めたシグナルと読める。

令和9年度概算要求の内訳 — 旅客税1,800億円・一般財源99億7,600万円

観光庁の予算は、国際観光旅客税を財源とする事業、通常の一般財源事業、東日本大震災復興特別会計の3つで構成される。観光庁「令和9年度観光庁関係予算概算要求概要」(令和8年8月)の総括表を確認すると、報道されている金額はすべてPDFの記載と一致した。一般財源事業の内訳は、2026年3月27日に閣議決定された観光立国推進基本計画(第5次)の3本柱に沿って組み替えられている。

令和9年度 観光庁関係予算 概算要求の内訳(前年度予算額との比較)
区分令和9年度要求令和8年度予算倍率
国際観光旅客税財源事業1,800億円1,300億円1.38倍
一般財源事業 計99億7,600万円83億4,500万円1.20倍
(1)インバウンドの戦略的な誘客と住民生活の質の確保との両立66億7,100万円63億1,700万円1.06倍
(2)国内交流・アウトバウンド拡大12億2,000万円5億円2.44倍
(3)観光地・観光産業の強靱化11億8,700万円7億2,700万円1.63倍
(4)その他(経常事務費等)8億9,800万円8億円1.12倍
一般会計 合計1,899億7,600万円1,383億4,500万円1.37倍
東日本大震災復興特別会計5億6,600万円6億6,500万円0.85倍
総額1,905億4,200万円1,390億1,000万円1.37倍

出典:観光庁「令和9年度観光庁関係予算概算要求概要」(令和8年8月)よりホテルバンク編集部作成。令和8年度の旅客税財源1,300億円は宮内庁計上分を含む観光庁資料の表記

読み方のポイントは2つある。第一に、総額の94.5%を占める旅客税財源1,800億円は、要求時点では「枠」だけが示されている。観光庁の資料自体が「概算要求時点では要求額のみ示し、具体的な事業については(中略)予算編成過程において検討され」ると明記しており、どの事業にいくら充てるかは12月まで決まらない。第二に、中身が見えている一般財源99億7,600万円のなかで伸び率が大きいのは、国内交流・アウトバウンド拡大(2.44倍)と観光地・観光産業の強靱化(1.63倍)である。旅客税財源の省庁別の配分や、宿に届く事業の棚卸しは観光庁予算1,900億円の使途 — 旅客税財源の観光庁執行は36%、宿に届く5分類で詳しく扱っている。

なぜ1,800億円まで膨らんだか — 旅客税1,000円から3,000円へ

旅客税財源が1,800億円まで積み上がった直接の理由は、財源そのものが増えたことにある。2025年12月の令和8年度税制改正大綱で、国際観光旅客税(いわゆる出国税)を出国1回あたり1,000円から3,000円へ引き上げることが決まり、2026年7月1日の出国から適用された(2026年6月30日までに購入した航空券・乗船券には旧税率を適用する経過措置あり)。観光庁の予算推移グラフでも、令和8年度(2026年度)の位置に「国際観光旅客税引上げ(R8.7)」と注記されている。

令和8年度の当初予算では、旅客税財源が前年度の490億円(宮内庁計上分を含む)から1,300億円へ拡大した。令和9年度の要求1,800億円は、引き上げ後の税率が年度を通じて適用される初めての年度を前提にした数字といえる。2019年1月の旅客税創設から数えると、令和9年度要求の1,800億円は平成30年度当初予算(60億円)の30倍にあたる。税率引き上げが日本人の海外旅行需要をどう動かすかは、燃油・出国税の値上げで動く海外断念層 — 2026年夏、国内リゾートのアップサイドで検証している。

出典:観光庁「令和9年度観光庁関係予算概算要求概要」掲載の「観光庁予算の推移」(億円、四捨五入値)よりホテルバンク編集部作成。令和9年度は要求額、補正予算等は令和7年度まで

グラフからは、観光庁予算の重心が大きく入れ替わってきたことが読み取れる。一般財源の当初予算は平成30年度の216億円をピークに減り続け、令和8年度は83億円となった。一方で旅客税財源は、コロナ禍で税収が細った令和4年度(90億円)を底に回復し、令和8年度に一般財源の15倍を超える規模になった。つまり観光庁の事業は、年々「旅客税で賄われる事業」の比重が高まっている。この構造の変化は、次に見る「要求額の割り引き方」にも直結する。

概算要求は確定額ではない — 8月の要求から3月の成立まで

概算要求の数字をそのまま「来年度の予算」と受け取るのは早い。国の予算は、8月末の概算要求、12月下旬の政府予算案の閣議決定、翌年3月の国会での成立という3段階を経て確定する。要求から政府案までの約4か月の間に、財務省との折衝で減額・組み替え・新規事業の追加が行われる。さらに観光関連では、秋の経済対策にあわせて補正予算が組まれ、当初予算とは別の原資で事業が積まれることが多い。

令和9年度予算が確定するまでの流れ(例年の日程にもとづく目安)
時期段階宿泊事業者が見るべき点
2026年8月末概算要求(公表済み)一般財源の柱別の伸び。旅客税財源は枠のみ
2026年11〜12月経済対策・補正予算省力化・バリアフリー・DXなど設備系の補助が積まれやすい
2026年12月下旬政府予算案の閣議決定旅客税財源の事業別配分がここで判明
2027年3月国会で予算成立事業ごとの公募要領の公表が始まる
2027年春〜夏公募・交付決定交付決定前の発注・着工は対象外となる事業が多い

出典:観光庁「予算・税制」掲載資料の公表時期よりホテルバンク編集部作成。個別事業の日程は各公募要領で確認が必要

各段階での判断材料と申請時期からの逆算は、観光庁予算、令和9年度概算要求は1,905億円 — 宿泊事業者が押さえる事業ラインと申請逆算で整理した。本稿はそこから一歩進め、直近1年ではなく5年分の実績から「要求がどこに着地するか」を見ていく。

要求は何割で着地してきたか — 令和4〜8年度の5年分を財源別に比較

観光庁が公表している各年度の「予算概算要求概要」と「予算決定概要」の総括表から、令和4年度から令和8年度までの5年分について、要求額と決定額を財源別に並べた。一般財源と旅客税財源では、着地の仕方がまったく異なる。

観光庁関係予算 要求額と決定額(当初予算)の比較 — 財源別(単位:億円)
年度一般財源 要求一般財源 決定着地率旅客税 要求旅客税 決定着地率
令和4年度177.35141.5879.8%240.0080.9533.7%
令和5年度176.88109.7262.0%270.00197.3173.1%
令和6年度241.12100.2541.6%420.00402.9395.9%
令和7年度149.9789.3059.5%470.00441.0393.8%
令和8年度106.9483.4578.0%700.001,242.25177.5%
令和9年度99.7612月に判明—1,800.0012月に判明—

出典:観光庁「予算概算要求概要」(令和4〜9年度)・「予算決定概要」(令和4〜8年度)の総括表よりホテルバンク編集部作成。旅客税の決定額は観光庁計上分(宮内庁計上分を除く)。着地率は編集部算出

出典:観光庁「予算概算要求概要」「予算決定概要」よりホテルバンク編集部作成

一般財源は、5年間いずれも要求を下回って着地した。着地率は41.6%(令和6年度)から79.8%(令和4年度)の幅に収まり、中央値は62.0%、単純平均は64.2%である。直近の令和8年度は78.0%と、5年間では高いほうに位置する。これを令和9年度の要求99億7,600万円に当てはめると、下限(41.6%)で約41億円、中央値(62.0%)で約62億円、直近並み(78.0%)で約78億円という幅になる。別の角度から見ると、一般財源の決定額は令和4年度の141.58億円から令和8年度の83.45億円まで毎年前年を下回っており、前年度比は0.78〜0.93倍で推移した。前年度83.45億円にこの比率を当てはめても約65億〜78億円となり、2つの方法の結果はおおむね重なる。

ここで注意したいのは、一般財源の縮小がそのまま事業の縮小を意味するわけではない点だ。訪日プロモーションやDMO支援など、かつて一般財源で賄われていた事業の多くが旅客税財源へ付け替えられてきた。宿泊事業者にとって重要なのは財源の色ではなく、自館が使える事業にいくら付くかである。その意味で、一般財源の着地率は「事業ごとの要求額を読むときの割引率の目安」として使うのが実際的だろう。

旅客税財源は、一般財源とは逆に要求額に近い水準、あるいは要求を上回る水準で着地してきた。コロナ禍で出国者が激減した令和4年度(33.7%)を除けば、令和6・7年度は94〜96%と、税収見込みに沿った水準で決まっている。令和8年度の177.5%という上振れは、税率を3倍に引き上げる方針が要求後の12月に決まったためで、一度きりの要因によるものだ。令和9年度の1,800億円は引き上げ後の税率を前提にしているため、同じ規模の上振れは想定しにくい。むしろ旅客税財源は出国者数に連動する税収見込みで決まるため、出国者の動向しだいで上下どちらにも動きうる枠と捉えておきたい。

宿泊事業者にとっての読み方 — 強靱化枠1.63倍と、補正予算で積まれる設備補助

宿泊事業者に最も関係が深いのは、一般財源の「観光地・観光産業の強靱化」(要求11億8,700万円、1.63倍)である。概算要求概要の施策一覧では、この柱のもとに「観光DX・地域交通DXの推進」「観光産業の経営力強靱化(宿泊施設の整備促進、廃屋撤去・再生による地方温泉地等のまちづくり支援)」「観光人材の確保(観光地・観光産業の担い手の確保)」「多様なニーズに対応した受入環境整備(ユニバーサルツーリズムの推進)」が並ぶ。業界紙の報道でも、人材確保・育成、観光DX・省力化投資、宿泊施設の整備促進がこの区分に位置づけられると紹介されている。

出典:観光庁「令和9年度観光庁関係予算概算要求概要」よりホテルバンク編集部作成(経常事務費等を除く3本柱)

ただし、宿が直接使う設備補助の規模を当初予算だけで判断すると、実際の支援規模を大きく見誤る。過去の決定概要を見ると、宿泊施設の改修・省力化・バリアフリー化といった設備系の補助は、当初予算よりも補正予算で厚く措置されてきた。

宿泊施設の設備投資に関係する主な補正予算事業と、翌年度当初予算の一般財源
補正予算主な事業補正予算額翌年度当初の一般財源
令和5年度補正地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化200億円100.25億円(令和6年度)
令和6年度補正地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化300億円89.30億円(令和7年度)
令和7年度補正ユニバーサルツーリズムの促進に向けた環境整備(宿泊施設等のバリアフリー化)40億円83.45億円(令和8年度)
観光地・観光産業における省力化・省人化等推進事業25.5億円
全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業12億円

出典:観光庁「令和6年度観光庁関係予算決定概要」「令和7年度観光庁関係予算決定概要」「令和8年度観光庁関係予算決定概要」掲載の補正予算一覧よりホテルバンク編集部作成

令和5・6年度の補正予算では、宿泊施設の改修を含む高付加価値化事業だけで200億〜300億円が措置され、翌年度の一般財源の当初予算総額の2.0〜3.4倍の規模となった。令和7年度補正でも、宿泊施設のバリアフリー化・省力化・観光DXの3事業で計77.5億円が積まれ、令和8年度の一般財源の当初予算83.45億円に迫る規模だった。令和7年度補正の省力化・省人化事業では、自動チェックイン機やセントラルキッチンの導入が事業イメージとして示されている。

この実績から言えるのは、宿泊事業者は8月の概算要求と同じくらい、秋の経済対策と補正予算の動きを注視すべきだということだ。令和9年度の設備投資に使える補助の原資は、令和9年度の当初予算だけでなく、2026年秋に編成される令和8年度補正予算からも来る可能性がある。どちらも現時点では確定していないが、補正で公募が始まった場合に計画と見積が手元にある宿は、公募期間の短さを気にせず申請に進める。この「先に準備しておく」ことが最大のアップサイドになる。なお、令和8年度当初予算の省人化・バリアフリー関連の読み方は観光庁令和8年度予算で読む省人化・バリアフリー投資 — 口コミ評価を動かす収益機会でも扱っている。

国内交流・アウトバウンド2.44倍が示す政策重心の広がり — 日本人延べ宿泊4億8,118万人泊と重ねる

一般財源のなかで最も伸び率が高いのは「国内交流・アウトバウンド拡大」の2.44倍(5億円→12億2,000万円)である。施策一覧には、ラーケーション等による国内旅行需要の平準化、休暇を取得しやすい職場環境の整備、ワーケーションや二地域居住による関係人口の創出、ユニバーサルツーリズムの推進、海外教育旅行やワーキング・ホリデーを通じたアウトバウンドの促進が並ぶ。金額の規模は大きくないものの、インバウンド誘客に集中してきた観光政策が、国内の交流と日本人の旅行需要の平準化にも手当てを広げ始めたことを示している。

この変化を、観光庁「宿泊旅行統計調査」の延べ宿泊者数と重ねて見ると意味がはっきりする。2025年(確定値)の延べ宿泊者数6億6,111万人泊のうち、日本人は4億8,118万人泊で全体の72.8%を占めた。インバウンドの伸びで比率は下がったとはいえ、宿泊市場の7割超は依然として日本人の需要である。

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(2025年・年間値(確定値))」(2026年7月6日公表)よりホテルバンク編集部作成

日本人延べ宿泊者数は、2023年の4億9,970万人泊をピークに2024年は4億9,460万人泊、2025年は4億8,118万人泊(前年比-2.7%、2019年比+0.2%)と、2019年の水準で横ばいに近い推移となっている。一方、外国人は2025年に1億7,992万人泊(2019年比+55.6%)まで伸びた。2026年に入ってからも、6月の日本人延べ宿泊者数は3,360万人泊(前年同月比-6.3%、第2次速報)、7月は4,110万人泊(同-3.1%、第1次速報)となっている。なお2026年1月分から宿泊旅行統計調査の層化基準が「従業者数」から「客室数」へ変更されており、前年比には見直しの影響が含まれうる(詳しくは2026年の稼働率『前年割れ』は本物か──統計の層化基準変更が生む断層の読み方)。

こうした推移のなかで、国内旅行需要の平準化や関係人口の創出に予算が厚くなることは、日本人客を主力とする宿にとってのアップサイドになる。平日や閑散期の需要を底上げする施策が進めば、曜日・季節による稼働の山と谷がならされ、年間を通じた客室の売り方に選択肢が増える。規模感を示すと、一般財源の国内交流・アウトバウンド枠12億2,000万円を2025年の日本人延べ宿泊者数で割ると1人泊あたり約2.5円にとどまる。まだ小さな枠だからこそ、今後の伸びしろは大きい。日本人の宿泊がどの地域に動いているかは日本人の国内宿泊はどこへ動いたか|2025確定値で読む地方分散と夏需要で分析している。

2027年度に向けて今から準備しておくもの

補助金は、公募が始まってから計画を作り始めると間に合わないことが多い。公募期間は数週間程度に限られることが少なくなく、見積書の取得や事業計画の作成には1〜2か月かかる。過去の予算で措置された事業の内容をもとに、宿泊事業者が今から整えておける準備を5つの領域に分けて整理した。

2027年度の公募に向けて宿泊事業者が今から準備できること
領域過去予算での位置づけ今から準備しておくもの
省人化令和7年度補正「省力化・省人化等推進事業」(自動チェックイン機・セントラルキッチン等)業務工程ごとの所要時間の棚卸し、導入機器の候補と2社以上の見積
観光DX令和7年度補正「観光DX推進事業」(予約・在庫管理等のデジタルツール導入、計画策定・伴走支援)現行システムの構成図、データ連携の要件、導入後のKPI案
バリアフリー令和7年度補正「ユニバーサルツーリズムの促進に向けた環境整備」(客室の段差解消等)改修対象の客室・動線の特定、図面と改修見積
多言語・受入環境受入環境整備促進事業(補助率1/2・1/3等、民間事業者も補助対象)、多言語解説整備案内表示・館内情報の現状リスト、地域のDMOや自治体との連携の確認
省エネ・施設更新高付加価値化事業(令和5・6年度補正)での改修支援。省エネ設備は他省庁の制度も併用候補エネルギー使用量の月次記録、設備更新の優先順位と概算費用

出典:観光庁「予算決定概要」(令和7・8年度)の事業概要よりホテルバンク編集部作成。令和9年度に同名・同内容の事業が措置されるかは未定

共通して押さえておきたいのは、多くの補助事業が「交付決定前に発注・着工したものは対象外」としている点である。年度当初に公募が立ち、夏に交付決定が出る流れを前提にすると、設備の発注・工事は夏以降に集中する。繁忙期の工事を避けたい宿ほど、計画の前倒しが効く。省力化投資の回収ラインの試算は省力化投資補助金、ホテルの3年回収ラインは68室→34室 — 30/100/200室で試算、DX関連の制度の一覧は【2026年度版】ホテル・旅館の観光DX補助金完全ガイド、省エネ投資の回収年数はホテルの電気代、1室あたり年9.6万円 — 100室モデルで見る光熱費と省エネ投資の回収年数が参考になる。

よくある質問

Q. 令和9年度(2027年度)の観光庁の概算要求はいくらですか?

一般会計で1,899億7,600万円です。内訳は国際観光旅客税財源が1,800億円、一般財源が99億7,600万円で、東日本大震災復興特別会計の5億6,600万円を加えた総額は1,905億4,200万円です(観光庁「令和9年度観光庁関係予算概算要求概要」)。

Q. 概算要求の金額はそのまま予算になりますか?

なりません。12月下旬の政府予算案と翌年3月の国会審議を経て確定します。令和4〜8年度の実績では、一般財源の決定額は要求額の41.6〜79.8%(中央値62.0%)に着地しました。旅客税財源は税収見込みに連動し、税率引き上げが決まった令和8年度は要求の1.77倍(観光庁計上分)に上振れしました。

Q. 宿泊施設の設備補助はどの予算を見ればよいですか?

当初予算に加えて、秋に編成される補正予算を必ず確認してください。令和5・6年度補正では高付加価値化事業に200億〜300億円、令和7年度補正ではバリアフリー化・省力化・観光DXの3事業に計77.5億円が措置されており、いずれも当初予算の一般財源と同等以上の規模でした。

まとめ

令和9年度の観光庁概算要求は、一般会計1,899億7,600万円(復興特別会計を含め1,905億4,200万円)と過去最大になった。膨らんだ主因は、2026年7月に国際観光旅客税が1,000円から3,000円へ引き上げられ、旅客税財源が1,800億円まで増えたことにある。ただし、これは要求段階の数字であり、確定額ではない。過去5年の実績から読むと、一般財源の要求は4〜8割の水準で着地してきたため、99億7,600万円は約41億〜80億円の幅で置いておくのが堅実だろう。旅客税財源は引き上げ後の税率が前提のため、令和8年度のような大幅な上振れは想定しにくい。

宿泊事業者にとっての実務上の示唆は3つある。第一に、設備補助は補正予算で厚く積まれてきたため、秋の経済対策と補正予算の動向を概算要求と同じ重みで追うこと。第二に、公募が始まる前に、省人化・DX・バリアフリー・多言語・省エネの各領域で計画と見積を揃えておくこと。第三に、国内交流・アウトバウンド枠の2.44倍に表れた政策の広がりを、日本人客の平日・閑散期需要を取り込む機会として販売計画に織り込むことである。12月下旬の政府予算案で旅客税財源の配分が明らかになった段階で、あらためて数字を更新したい。

※本稿は2026年9月26日の調査時点で観光庁が公表している資料に基づきます。概算要求は要求段階の金額であり、予算編成の過程で減額・組み替え・事業の新設が行われます。着地率による試算は過去実績にもとづく目安であり、令和9年度予算の見通しを示すものではありません。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

観光庁「観光庁関係予算概算要求概要」(令和4〜9年度)と「観光庁関係予算決定概要」(令和4〜8年度)の総括表、観光庁「宿泊旅行統計調査」(2025年・年間値(確定値)、2026年6月・第2次速報、2026年7月・第1次速報)。旅客税財源・税率引き上げの経緯は報道(トラベルボイス、やまとごころ.jp、日本経済新聞)で補った。

■ 試算前提

着地率は、当初予算の決定額を概算要求額で割った値で、一般財源と国際観光旅客税財源(観光庁計上分)を分けて算出した。令和9年度の一般財源の着地の目安(約41億〜80億円)は、要求額99億7,600万円に令和4〜8年度の着地率の最小値41.6%と最大値79.8%を掛けた幅であり、予測値ではない。補正予算は当初予算とは別に集計している。

■ 限界・留意点

決定額は当初予算ベースで、年度途中の補正予算を含まない。令和8年度の旅客税財源(着地率177.5%)は、税率引き上げが予算編成の途中で決まった特殊な年で、令和9年度に同じ上振れは想定しにくい。事業の柱は年度ごとに組み替えられるため、柱別の倍率は概算要求概要の前年度比較に拠った。2026年1月分以降の宿泊旅行統計調査は層化基準の変更の影響を含みうる。

■ 観光庁 予算資料

■ 政府統計

■ ニュース

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