札幌駅北口から西へ徒歩5分の札幌市北区北6条西6丁目で、アパグループの新築ホテル〈札幌駅前西〉(全168室)の工事が進んでいる。国土交通省「建築物動態統計調査」の届出では地上11階・延べ床2,800.41㎡、2026年3月3日着工・2027年4月30日完成予定とされ、北口の北8条西4丁目では同社の〈札幌駅前〉が500室体制で並行して建設中だ。開業時期は資料によって「2027年春」「2027年7月」「2027年8月」と表記が分かれるため、本稿では2027年開業予定(資料により春〜8月)として扱う。そのうえで、計画地を中心とする半径1km圏の客室ストック、北区・中央区の推定成約ADR、冬と夏の需要の厚み、地価・用途地域・ハザード、周辺の就業と居住から、駅北口に宿泊特化型の客室が加わる意味を読み解き、168室が成り立つADRの水準を試算する。
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
本稿の集計範囲
本記事の客室ストックは、計画地(北6条西6丁目)から半径1,000m圏内にある客室数10室以上の宿泊施設(レジャーホテルを除く)を対象とし、「稼働中」は直近3か月(2026年8月〜2026年10月)に主要予約サイトで販売価格が確認できた施設を指す(2026年10月29日時点、メトロエンジンリサーチ集計)。 年次推移は開業年・閉館年に基づく掲載ストックの推移で、開業年が不明な2施設・31室は含まない。推定OCCとブッキングカーブは、総客室の30%以上を主要予約サイトに掲載する施設で構成した固定コホートによる推定値であり、各図表に対象施設数と客室数を併記した。
- — 計画地1km圏の客室は2017年の9,620室から2026年の12,627室へ9年で+31.3%。〈札幌駅前西〉168室が加わる効果は+1.3%、北口の〈札幌駅前〉500室と合わせて+5.3%で、市場の伸びに沿った規模で加わる。
- — 北区の推定成約ADRは直近12か月(2025年10月〜2026年9月)平均で¥13,200と前の12か月比+8.8%。2月は¥18,200と4月(¥8,200)の2.2倍に達する。
- — 2026年9月の北区は平日(日〜木)の推定OCCが93.6%と週末(金・土)の91.2%を上回り、業務需要が平日を支える駅北口の性格がデータに表れている。
- — 本稿の前提(建築費は全国S造の坪単価に建設期間の上昇を織り込み、稼働76.1%・GOP率38.9%・GOP利回り7%)では、168室の成立ADRは土地を除いて約¥8,300、土地取得を見込んでも約¥10,200〜¥11,200で、北区ビジネスホテルの12か月平均¥13,100を下回る。
- — 計画地は商業地域・容積率600%で、北口の公示地価は2019年から2026年に札幌駅前(北7条西4丁目)が2.0倍、北8条西4丁目が2.2倍。洪水の想定浸水は0.5m未満にとどまり、1km圏には従業者16.1万人(経済センサス2021)の業務集積がある。
計画の概要 — 開業時期は資料によって春〜8月
〈札幌駅前西〉は、アパグループが札幌市内で進める新築ホテルの3棟目にあたる。同社は2025年12月18日、既存ホテルを建て替えたスクラップ&ビルド計画の第1弾として〈札幌大通駅前西〉を開業し、北海道で初めての新築ホテルとした。そこに北口の〈札幌駅前〉と北6条西6丁目の〈札幌駅前西〉が続く構図で、札幌駅の北側に同一ブランドの客室を集めていく狙いが読み取れる。
建物の規模は国の統計で確認できる。建築物動態統計調査の届出によれば、計画地は北区北6条西6丁目3-1、用途はホテル、地上11階・延べ床2,800.41㎡で、建築主はアパホーム株式会社・アパマンション株式会社である。延べ床を客室数で割ると1室あたり約16.7㎡となり、共用部を含めてもコンパクトな客室を積み上げる宿泊特化型の設計といえる。一方で開業時期の表記は資料ごとに異なるため、以下の表に出典別に並べた。
| 資料(公表日) | 〈札幌駅前西〉168室 | 〈札幌駅前〉 |
|---|---|---|
| 北海道新聞(2025年5月21日) | 2027年春開業予定 | 318室から500室に増設、2027年春開業予定(北区北8条西4丁目) |
| アパグループ 起工式リリース(2025年11月19日) | 2027年8月開業予定・JR札幌駅北口から徒歩5分 | 2025年7月に起工式 |
| アパグループ〈札幌大通駅前西〉開業リリース(2025年12月18日) | 2027年7月開業予定 | 2027年3月開業予定・全500室 |
| 国土交通省「建築物動態統計調査」 | 着工2026年3月3日・完成予定2027年4月30日(11階・延べ床2,800.41㎡) | — |
建物の完成予定(2027年4月末)と最も遅い開業表記(2027年8月)の間には約3か月の差があり、内装・開業準備の期間を含めて読むのが自然だろう。いずれの資料でも2027年中の開業である点は共通しており、本稿の試算も2027年の通年稼働を前提に置く。
1km圏の客室ストック — 9年で+3,007室、168室は+1.3%
計画地を中心とする半径1km圏には、2026年8〜10月に販売価格を確認できた施設が60軒・12,255室ある。南は大通公園付近までを含み、札幌駅の南北両側にまたがる範囲である。開業年と閉館年から積み上げた年次推移を見ると、2017年の50施設・9,620室から2026年は62施設・12,627室へ増え、9年間の増加は3,007室(+31.3%)にのぼる。
増加のペースには波がある。2019〜2020年に年550〜730室規模の増加が続いた後、2021〜2024年は年300室前後以下に落ち着き、2025年に再び659室が加わった。168室は2026年のストックに対して+1.3%、北口の500室と合わせて+5.3%となる。9年で3割増えた市場に対して、年あたりの増分としては過去の開業期と同程度の規模といえる。
客室の構成はビジネスホテル中心である。稼働中の12,255室のうちビジネスホテルが37施設・6,938室(56.6%)、シティホテルが14施設・4,490室(36.6%)を占める。規模別では201室以上の大型が27施設・8,695室(71.0%)と厚く、101〜200室の中型は19施設・3,016室である。168室はこの中型帯に入り、駅北口の西側という、大型施設が集まる駅直結・駅南側とは一歩離れた位置取りになる。
| 区分 | 稼働中 施設数 | 稼働中 客室数 | 構成比(客室) |
|---|---|---|---|
| ビジネスホテル | 37 | 6,938 | 56.6% |
| シティホテル | 14 | 4,490 | 36.6% |
| リゾートホテル・デラックスホテル | 2 | 510 | 4.2% |
| 旅館 | 2 | 208 | 1.7% |
| ホステル | 5 | 109 | 0.9% |
| 合計 | 60 | 12,255 | 100% |
開業年代で見ると、2020年代に開業した施設が17施設・3,573室と稼働中ストックの約3割を占め、圏内の客室は比較的新しい。開業計画を重ねた分布は次の地図のとおりで、〈札幌駅前西〉は駅北口の西側、北大方面へ向かう通り沿いに位置する。半径500m圏に絞ると稼働中は21施設・3,948室で、1km圏の3分の1弱にとどまる。
単価 — 北区は12か月で+8.8%、2月は4月の2.2倍
北区の推定成約ADRは2026年9月に¥14,900(N=22施設)で、前年同月比+3.2%だった。中央区は¥16,100(N=140施設)で+7.2%である。直近12か月(2025年10月〜2026年9月)の平均では、北区が¥13,200で前の12か月比+8.8%、中央区が¥14,500で+10.2%となり、両区とも1割前後の伸びを示している。
月別の形には札幌らしい季節性がはっきり出る。2026年2月は¥18,200と前年同月比+14.4%で年間の山をつくり、4月の¥8,200に比べて2.2倍の水準だった。例年2月上旬に開かれるさっぽろ雪まつりに国内外の観光需要が集中するためで、7〜9月の夏場も¥15,000前後の高い水準が続く。一方で2026年8月は¥15,600と前年同月比−8.4%となり、夏の単価は前年の伸びをいったん織り込んだ形である。北海道全体でシティとビジネスの夏の推定成約ADRがどう分かれたかは、北海道のシティは8月確定−11.3%、ビジネスは+2.5%で詳しく分析している。
調査時点の掲載水準では、2027年2月の北区は¥23,000台と、2026年2月を上回る水準で販売されている。ただし未来月は確定月と算出の基準が異なり、チェックインが近づくにつれて変動する。比較の目安としては「冬の山は2026年並み以上の水準で販売が始まっている」と読むのが妥当だろう。
1km圏の施設を直近12か月の推定成約ADRで帯に分けると、1万〜1.5万円の帯が21施設・3,772室で最も厚く、1.5万〜2万円の帯が13施設・2,982室で続く(12か月中9か月以上の推定値がある53施設)。圏内のビジネスホテル36施設の中央値は¥14,400で、北区ビジネスホテルの12か月平均¥13,100よりやや高い。駅南側の大型施設を含む1km圏全体と比べ、北区側は1万円台前半を中心とした価格帯にある。
需要の厚み — 冬は2月、夏は7〜9月に山、駅北口は平日が強い
通年の稼働は観光庁の統計で確認できる。北海道のビジネスホテルの客室稼働率は2025年に月次単純平均で76.1%、2月が80.7%、7月が84.8%、9月が83.8%と高く、4月の62.6%が谷になる。2026年は1〜7月の速報で2月が78.6%、7月が83.0%と、前年に近い山の形を保っている。
直近の夏から秋の需給は、主要予約サイトの在庫消化から推定したOCCで追える。北区は7月が95.3%、8月が93.0%、9月が92.9%と高水準で推移した(対象11〜13施設/客室1,668〜1,680室、主要予約サイト掲載ベース)。注目したいのは曜日の形で、9月の北区は平日(日〜木)が93.6%と週末(金・土)の91.2%を上回った。中央区でも9月は平日93.1%・週末91.6%と同じ向きで、観光の週末需要に加えて出張・業務の平日需要が駅周辺の稼働を支えている。
| 月 | 北区 推定OCC | 北区 平日/週末 | 中央区 推定OCC | 中央区 平日/週末 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年6月(10日〜) | 93.4% | 92.8%/94.7% | 92.5% | 91.6%/94.8% |
| 2026年7月 | 95.3% | 94.8%/96.5% | 94.0% | 93.3%/95.6% |
| 2026年8月 | 93.0% | 92.5%/94.2% | 92.9% | 92.4%/94.0% |
| 2026年9月 | 92.9% | 93.6%/91.2% | 92.7% | 93.1%/91.6% |
| 2026年10月(1〜28日) | 89.2% | 89.0%/89.8% | 90.3% | 89.7%/91.8% |
ブッキングカーブを宿泊日の45日前から並べると、季節ごとの予約の入り方の違いが見える。北区の7月は45日前の時点で76.3%まで埋まり前日に95.3%へ届く「早く埋まる月」だった。対して8月は45日前が65.9%と低く、そこから前日の93.0%まで27.1pt積み上がる。8月は直前に予約が入る観光需要が中心で、販売の後半に価格を動かせる余地が大きい月といえる。9月は45日前が77.8%と3か月で最も高く、早めに予約が入る業務需要の比重がうかがえる。
2月の冬の山については、推定OCCの観測を始めた時期の関係で同じ物差しの比較がまだできない。観光庁の統計で2月の稼働が80%前後、推定成約ADRで年間最高の単価がつく月であることを踏まえると、駅北口の新しい客室にとって2月は単価、7〜9月は稼働で稼ぐ月という分担になるだろう。
立地評価 — 商業地域・容積率600%、北口の地価は7年で2倍超
計画地は用途地域の商業地域にあり、指定容積率は600%、建蔽率は80%である。延べ床2,800.41㎡は、敷地いっぱいの容積を使えば約470㎡の敷地に相当する規模で、駅北口の中規模な街区に収まる。北口の公示地価は上昇が続き、札幌駅前の北7条西4丁目は2019年の184万円/㎡から2026年は370万円/㎡へ2.0倍、計画地に近い北8条西4丁目は73万円/㎡から160万円/㎡へ2.2倍になった。2026年の前年比もそれぞれ+7.2%、+11.1%と伸びが続いている。
| 用途地域 | 商業地域 |
| 容積率/建蔽率 | 600%/80% |
| 北8条西4丁目(2026年) | 160万円/㎡・容積率700% |
| 洪水(想定最大規模) | 0.5m未満(創成川・豊平川) |
| 液状化傾向 | やや液状化しやすい(扇状地) |
| 津波・高潮・土砂災害 | 区域の指定なし |
災害面では、創成川と豊平川の想定最大規模の洪水で0.5m未満の浸水想定区域にかかり、地形区分は扇状地で「やや液状化しやすい」とされる。津波・高潮・土砂災害の区域指定はない。浸水深は浅い区分にとどまるため、電気設備の上階配置など設計段階の備えで対応しやすい水準といえる。
周辺の業務集積も厚い。計画地から1km圏には7,324事業所・従業者16.1万人が集まり、うちオフィス系業種の従業者が29.5%を占める。札幌駅周辺はオフィスと官公庁が集まる業務地で、9月の平日稼働の強さはこの就業人口の厚みと整合する。居住人口も1.5km圏で2020年の62,265人から2040年には65,972人(+6.0%)へ増える推計で、都心居住の流れが続くエリアでもある。
中長期の需要材料としては北海道新幹線の札幌延伸がある。国の有識者会議は2025年3月、札幌開業の見通しを当初の2030年度末から2038年度末ごろへ見直す報告書を国土交通大臣に提出した。延伸時期の見直しが沿線のホテル投資に与える影響は、北海道新幹線2038年度末へ — 沿線4駅の客室実測が掘り下げている。2027年に開業する〈札幌駅前西〉にとっては10年以上先の材料で、当面の稼働は業務需要と冬・夏の観光需要が支えることになる。駅南口の再開発でホテル床の完成が2034年度へ後ろ倒しになったこととあわせ、2027〜2030年代前半の駅周辺で開く客室は、既存の業務・観光需要を受け止める役割を担う。
開発シナリオ試算 — 168室が成り立つADRは約1.0万〜1.1万円
最後に、168室・延べ床2,800.41㎡の宿泊特化型が成り立つADRを逆算する。前提はすべて本稿の仮定で、事業者の計画値ではない。建築費は延べ床を847.1坪に換算し、全国のS造の坪単価240.5万円(2025年)に、建設期間の上昇として+5.3%(Turner & Townsendが2026年の建設インフレ率を「5%超」と見込むことを踏まえた本稿の仮定)を織り込んで約21.5億円とした。1室あたりでは約1,280万円である。稼働は観光庁統計の北海道ビジネスホテル2025年月次単純平均76.1%、GOP率はインヴィンシブル投資法人(8963)がMHM運営ホテルについて開示した38.9%(2024年12月期)を置いた。
土地は取得額が公表されていないため、3つのケースに分けた。建物投資のみのケースに加え、延べ床÷階数から逆算した建築面積約255㎡と建蔽率80%・容積率600%から敷地を約320〜470㎡と仮置きし、北8条西4丁目の公示地価160万円/㎡を掛けて5.1億円・7.5億円の土地費を加えた。札幌でホテルが負担できる用地費の水準については、ホテルが払える用地費、札幌は住宅の3.7倍も参考になる。
| 項目 | A. 建物のみ | B. 土地320㎡ 基準 | C. 土地470㎡ |
|---|---|---|---|
| 建築費(上昇織込み後) | 21.5億円 | 21.5億円 | 21.5億円 |
| 土地費(仮定) | — | 5.1億円 | 7.5億円 |
| 総投資額 | 21.5億円 | 26.6億円 | 29.0億円 |
| 成立ADR(GOP利回り6%) | ¥7,100 | ¥8,800 | ¥9,600 |
| 成立ADR(GOP利回り7%) | ¥8,300 | ¥10,200 | ¥11,200 |
| 成立ADR(GOP利回り8%) | ¥9,500 | ¥11,700 | ¥12,800 |
基準のケースBで必要なADRは約¥10,200で、北区ビジネスホテルの直近12か月平均¥13,100を約2割下回る。比較のため北区ビジネスホテルの12か月平均ADRがそのまま実現した場合のGOP利回りを見ると、ケースBで9.0%、ADRが10%下がっても8.1%、稼働が5pt下がっても8.4%となり、両方が同時に起きた場合でも7.5%を保つ。
| ケースBのGOP利回り | ベース | ADR −10% | 稼働 −5pt | 両方 |
|---|---|---|---|---|
| 前提ADR | ¥13,100 | ¥11,800 | ¥13,100 | ¥11,800 |
| 前提稼働 | 76.1% | 76.1% | 71.1% | 71.1% |
| 客室売上(年間) | 6.13億円 | 5.52億円 | 5.73億円 | 5.16億円 |
| GOP利回り | 9.0% | 8.1% | 8.4% | 7.5% |
この余裕を生む要因は、1室あたりの建築費を抑えるコンパクトな客室設計と、駅北口という業務需要の厚い立地の組み合わせにある。全国平均の坪単価を当てはめた試算であり、寒冷地仕様や杭工事などで建築費が上振れする余地は残るものの、ADR水準との差は大きい。2月の高単価期と7〜9月の高稼働期をどう取り込むかで、上振れの幅はさらに広がるだろう。
まとめ — 駅北口の業務需要に合わせた中型の上乗せ
〈札幌駅前西〉168室は、9年で3割増えた札幌駅1km圏のストックに+1.3%を加える計画である。北口の〈札幌駅前〉500室と合わせて+5.3%で、2019〜2020年の開業期と同程度の増分として市場に加わる。北区の推定成約ADRは直近12か月で+8.8%と伸び、2月の冬の山と7〜9月の夏の山がはっきりしている。9月に平日の推定OCCが週末を上回ったことは、16万人の就業人口を背景にした駅北口の業務需要の厚みを示す材料といえる。
本稿の前提では168室の成立ADRは約¥10,200で、北区の実勢との間に2割程度の幅がある。駅北口に同一ブランドの客室を集める同社の戦略は、平日の業務需要と冬・夏の観光需要の双方を取り込める立地選択であり、2027年以降の駅北口の客室供給を考えるうえで一つの基準になるだろう。開業時期は資料によって春〜8月と幅があるため、正式な開業日の発表を待って改めて確認したい。
⚠ 将来日程のADRに関する注意:本記事の2026年10月以降・2027年1〜3月の推定成約ADRは、調査時点で主要予約サイトに公開されている販売価格に基づく推定であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。現時点で高く設定されている価格が直前値下げで下落する可能性がある点にご留意ください。開業時期・客室数は各社の公表資料に基づき、今後変更される場合があります。
よくある質問
Q. アパホテル〈札幌駅前西〉はいつ開業しますか。
開業時期は資料により異なり、北海道新聞(2025年5月21日)は2027年春、同社の起工式リリース(2025年11月19日)は2027年8月、2025年12月18日のリリースは2027年7月と記載している。建築物動態統計調査の届出では建物の完成予定が2027年4月30日である。本稿では2027年開業予定(資料により春〜8月)として扱った。
Q. 札幌駅周辺のホテルの客室はどれくらい増えていますか。
計画地から半径1km圏の客室は、開業年・閉館年に基づく推移で2017年の9,620室から2026年の12,627室へ9年で+31.3%増えた。2026年8〜10月に販売を確認できた稼働中の施設は60軒・12,255室である。
Q. 札幌市北区のホテルの単価はどのくらいですか。
推定成約ADRは2026年9月に¥14,900(N=22施設、前年同月比+3.2%)、直近12か月平均で約¥13,200(前の12か月比+8.8%)だった。2026年2月は¥18,200で、4月の¥8,200の2.2倍に達する。
Q. 168室のホテルが成り立つADRの目安は。
本稿の仮定(建築費約21.5億円、土地費5.1億円、稼働76.1%、GOP率38.9%、GOP利回り7%)では約¥10,200である。北区ビジネスホテルの直近12か月平均¥13,100を下回る水準にある。
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参考資料・出典一覧
■ データソース
客室ストック・推定成約ADR・推定OCC・ブッキングカーブはメトロエンジンリサーチ&コンサルティングの集計(計画地から半径1,000m・客室数10室以上・レジャーホテル除く、2026年10月29日時点)。北区の推定成約ADRは2024年7月〜2026年9月の確定月(N=18〜22施設)、ADR帯別分布は2025年10月〜2026年9月のうち9か月以上の推定値がある53施設・11,755室。稼働率は観光庁「宿泊旅行統計調査」(北海道ビジネスホテル、2025年確定・2026年1〜7月速報)、地価・用途地域・ハザードは国土交通省 不動産情報ライブラリ、就業は経済センサス-活動調査(2021年)、計画諸元は建築物動態統計調査の届出値。
■ 試算前提
成立ADR=総投資額×GOP利回り÷(GOP率38.9%×168室×稼働76.1%×365日)。建築費は延べ床847.1坪×全国S造坪単価240.5万円(2025年)×建設期間の上昇+5.3%(本稿の仮定)で約21.5億円。土地は取得額非公表のため建物のみ・敷地320㎡・470㎡の3ケース(公示地価160万円/㎡)を置き、GOP利回りは6〜8%の3水準。稼働76.1%は北海道ビジネスホテルの2025年月次単純平均、GOP率38.9%はインヴィンシブル投資法人のMHM運営ホテル開示値(2024年12月期)。いずれも事業者の計画値ではない。
■ 限界・留意点
推定成約ADR・推定OCCはOTA公開価格・販売在庫からの推定値で、各施設の実際の成約価格・実稼働率とは異なる(推定OCCは掲載外の客室を消化済み側に数えるため高めに出る)。2026年10月以降の月は調査時点の掲載水準による推定。試算は客室売上のみで料飲・その他収入、寒冷地仕様や杭工事による建築費の上振れ、開業初年度の立ち上がりを含まない。開業時期は資料により2027年春〜8月と分かれ、今後変更される場合がある。
■ 市場データ
- メトロエンジンリサーチ&コンサルティング — 計画地1km圏の客室ストック(稼働中60施設・12,255室)、北区・中央区の推定成約ADR、推定OCC、ブッキングカーブ
■ 政府統計・公的データ
- 国土交通省「建築物動態統計調査」— 北区北6条西6-3-1 ホテル計画(168室・11階・延べ床2,800.41㎡)
- 国土交通省 不動産情報ライブラリ — 地価公示、用途地域、洪水浸水想定区域、液状化傾向、津波・高潮・土砂災害
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」推移表 — 北海道 ビジネスホテル客室稼働率
- 総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」(2021年)— 1km圏の事業所数・従業者数
- 国土交通省 国土数値情報(250mメッシュ別将来推計人口)— 1.5km圏の居住人口
- 国土交通省「建築着工統計調査」 — 構造別の建築単価
■ REIT・業界レポート
- インヴィンシブル投資法人 ホテルポートフォリオ(MHM運営ホテルのGOP比率)
- Turner & Townsend「Japan market insight」(2026年3月)— 建設費上昇率の見通し
■ ニュース・プレスリリース
