トップ > 投資・開発 > 日本ホテル&レジデンシャル投資法人16ホテル1,991室 — 2024年12月以降の7物件が客室の51%

日本ホテル&レジデンシャル投資法人16ホテル1,991室 — 2024年12月以降の7物件が客室の51%

投稿日 : 2026.10.31

東京都

大阪府

福岡県

神奈川県

愛媛県

岐阜県

香川県

栃木県

福島県

三重県

静岡県

福井県

群馬県

投資・開発

日本ホテル&レジデンシャル投資法人16ホテル1,991室 — 2024年12月以降の7物件が客室の51%

日本ホテル&レジデンシャル投資法人(3472)が保有するホテル16物件・1,991室を取得時期で並べ直すと、ポートフォリオは2016〜17年に組み入れた温泉旅館9物件(967室・取得価格合計¥29,220百万円)と、2024年12月以降に取得した都市型ビジネスホテル7物件(1,024室・¥18,863百万円)の二つの層に分かれる。客室ベースでは新しい層がすでに51.4%を占め、1室あたり取得額は3,022万円から1,842万円へと6割の水準になった。本稿では両群の構成と1室あたり取得額、所在市区町村の推定成約ADRと推定稼働率、REITが開示する鑑定評価額と賃料前提を並べ、スポンサー交代から2年で何が変わり、次の取得余地がどこにあるかを読み解く。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)

※物件名称・取得価格・客室数・取得時期は同投資法人の開示資料(取得に関するお知らせ、2026年5月期決算短信)に基づき、各物件について当社のREIT保有物件データ(2026年10月19日時点、N=16物件)で保有関係を照合した。取得価格は売買契約記載の売買代金(税抜・百万円未満切捨て)。物件別の単純合計¥48,083百万円は、決算短信の合計欄¥48,088百万円と端数処理の関係で一致しない。

Key Takeaways
  • — 51.4% 2024年12月以降に取得した都市型ビジネスホテル7物件(1,024室)が、ホテル16物件1,991室のうち客室の過半を占める
  • — 1室3,022万円と1,842万円 温泉旅館9物件と新規群7物件の1室あたり取得額。新規群は1物件平均146室と大きく、固定賃料比率は91.8%(2026年11月期前提)
  • — 鑑定評価額+9.6% 16物件の2026年5月末鑑定評価額¥52,702百万円は取得価格合計¥48,083百万円を上回り、新規群7物件はすべて取得価格超
  • — 博多区+13.1%、大阪市中央区−34.0% 所在市区町村の推定成約ADR(2026年9月・前年同月比)。大阪の調整は万博会期中だった前年との比較による
  • — 120億〜220億円 資産規模1,000億円時のホテル等比率60〜70%から逆算した積み増し余地(当社試算)。新規群の1室単価で約650〜1,190室に相当

エグゼクティブサマリー — 客室の過半が「2024年12月以降」に入れ替わった

ホテル物件数/客室数
16/1,991
2026年5月末時点・国内
2024年12月以降取得の客室比率
51.4%
7物件・1,024室
1室あたり取得額(既存群)
3,022万円
温泉旅館9物件・967室
1室あたり取得額(新規群)
1,842万円
ビジネスホテル7物件・1,024室
鑑定評価額の取得価格比
+9.6%
16物件合計 ¥52,702百万円(2026年5月末)

結論から述べると、同投資法人のホテルポートフォリオは「1室あたり3,000万円台の温泉旅館」から「1室あたり1,800万円台の駅前ビジネスホテル」へと重心を移しながら、取得価格合計¥48,083百万円に対して鑑定評価額¥52,702百万円(+9.6%)という評価を2026年5月末時点で得ている。新規群7物件は2026年5月末時点で鑑定評価額が取得価格を+11.2%上回り、既存群9物件は帳簿価額に対して¥6,442百万円(+25.5%)の評価差を積み上げた。REIT全体の含み益¥9,573百万円(決算短信)のうち、ホテル16物件が¥8,408百万円を占める計算になる。

その背景にあるのは、2023年12月にアパホールディングス株式会社をスポンサーに迎えて以降の外部成長である。2024年12月、2025年9月、2025年12月の3回の取得で都市型ビジネスホテルが7物件加わり、決算短信が示す大江戸温泉施設の割合は42.4%まで下がった。一方で温泉旅館群は2026年5月期にRevPARを前年同期比+17.6%伸ばし、変動賃料の増加という形でも収益に寄与している。ここから先は、両群を数字で分解していく。

2層構造のポートフォリオ — 16物件の取得時期・客室数・取得価格

まずは16物件を一覧にする。物件番号「H」はビジネス・シティホテル、「S」は温泉・温浴関連施設で、同投資法人が2025年12月に用途呼称を「ホテル等」「賃貸住宅等」に改めた後の区分に従った。H群7物件はすべて2024年12月以降の取得、S群9物件は2016年9月の上場時と2017年12月の取得で、取得時期がそのまま物件タイプの境目になっている。

保有ホテル16物件の取得時期・客室数・取得価格・期末鑑定評価額(2026年5月末)
物件番号物件名称所在取得時期客室数取得価格
(百万円)
1室あたり
取得額
期末鑑定評価額
(2026年5月末、百万円)
H-1アパホテル〈浅草橋駅前〉
2024年12月以降
東京都台東区2024年12月180室4,1602,311万円4,800
H-2アパホテル〈なんば南 大国町駅前〉
2024年12月以降
大阪市浪速区2024年12月118室1,5811,340万円1,870
H-3アパホテル〈岐阜羽島駅前〉
2024年12月以降
岐阜県羽島市2025年9月146室920630万円932
H-4アパホテル〈なんば北 心斎橋駅前〉
2024年12月以降
大阪市中央区2025年12月162室4,8502,994万円5,330
H-5アパホテル〈博多駅前4丁目〉
2024年12月以降
福岡市博多区2025年12月109室3,9303,606万円4,170
H-6アパホテル〈松山城西〉
2024年12月以降
愛媛県松山市2025年12月144室1,200833万円1,420
H-7ホテルビスタ厚木
2024年12月以降
神奈川県厚木市2025年12月165室2,2221,347万円2,460
S-1大江戸温泉物語 レオマリゾート
2016〜17年
香川県丸亀市2016年9月241室9,6974,024万円8,700
S-2大江戸温泉物語Premium 伊勢志摩
2016〜17年
三重県志摩市2016年9月83室3,6564,405万円3,830
S-3大江戸温泉物語Premium 伊東ホテルニュー岡部
2016〜17年
静岡県伊東市2016年9月73室2,6573,640万円2,820
S-4大江戸温泉物語Premium あたみ
2016〜17年
静岡県熱海市2016年9月76室3,0003,947万円3,500
S-5大江戸温泉物語 わんわんリゾート 西伊豆
2016〜17年
静岡県伊豆市2016年9月64室1,9102,984万円2,000
S-6大江戸温泉物語 あわら
2016〜17年
福井県あわら市2016年9月95室1,9012,001万円2,020
S-8大江戸温泉物語Premium 伊香保
2016〜17年
群馬県渋川市2016年9月40室1,2993,248万円1,360
S-12大江戸温泉物語Premium 鬼怒川観光ホテル
2016〜17年
栃木県日光市2017年12月172室3,8702,250万円6,070
S-14大江戸温泉物語 東山グランドホテル
2016〜17年
福島県会津若松市2017年12月123室1,2301,000万円1,420
2016〜17年取得 9物件967室29,2203,022万円31,720
2024年12月以降取得 7物件1,024室18,8631,842万円20,982
ホテル16物件 合計1,991室48,0832,415万円52,702
出典:日本ホテル&レジデンシャル投資法人「2026年5月期 決算短信」(2026年7月22日)、各取得・優先交渉権に関する開示資料/保有関係は当社のREIT保有物件データ(2026年10月19日時点)で照合

1室あたり取得額を物件別に見ると、既存群は伊勢志摩の4,405万円、レオマリゾートの4,024万円、あたみの3,947万円と温泉地のリゾート型が上位に並ぶ。新規群では博多駅前4丁目の3,606万円となんば北 心斎橋駅前の2,994万円が3,000万円前後にあり、岐阜羽島駅前の630万円、松山城西の833万円が1,000万円を下回る。同じ「アパホテル」でも立地市場によって1室あたり取得額に5倍以上の幅があり、これが新規群全体の平均を1,842万円に収めている。

物件別 1室あたり取得額(万円)— 濃い青=2024年12月以降取得、薄い青=2016〜17年取得
出典:日本ホテル&レジデンシャル投資法人「2026年5月期 決算短信」(2026年7月22日)、各取得・優先交渉権に関する開示資料よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成(N=16物件)

1室あたり3,022万円と1,842万円 — 差を生むのは客室規模と賃料体系

両群の違いは取得単価だけではない。1物件あたりの平均客室数は既存群が107室、新規群が146室で、新規群の方が1物件の規模は大きく、1室あたり取得額は小さい。温泉旅館は2食付きで1室2名以上の利用が前提になるため1室あたりの売上と鑑定評価が大きく、ビジネスホテルは1名利用の小さな客室を数多く積む構造だからである。取得価格ベースでは既存群が60.8%、新規群が39.2%で、客室数とは逆の比率になる。

取得時期別2群の比較(2026年5月末・2026年11月期賃料前提)
項目2016〜17年取得(温泉旅館9物件)2024年12月以降取得(ビジネスホテル7物件)
物件数9物件7物件
客室数967室(48.6%)1,024室(51.4%)
取得価格合計¥29,220百万円(60.8%)¥18,863百万円(39.2%)
1室あたり取得額3,022万円1,842万円
1物件あたり平均客室数107室146室
期末鑑定評価額合計(2026年5月末)¥31,720百万円(取得価格比+8.6%)¥20,982百万円(取得価格比+11.2%)
鑑定評価額と帳簿価額の差¥6,442百万円(帳簿価額比+25.5%)¥1,966百万円(帳簿価額比+10.3%)
2026年11月期 賃料前提(半期・百万円)固定925+変動141+その他78=1,146固定457+変動37+その他3=498
固定賃料の比率80.7%91.8%
年換算賃料/取得価格(当社試算)7.8%5.3%
賃料体系固定賃料+修正後GOP連動の変動賃料(直近1年間ベース)固定賃料+年額基準売上高の超過分に料率を乗じた変動賃料(アパホテル)
所在香川・三重・静岡×3・福井・群馬・栃木・福島(温泉地)東京・大阪×2・岐阜・福岡・愛媛・神奈川(駅前・市街地)
出典:日本ホテル&レジデンシャル投資法人「2026年5月期 決算短信」(取得価格・期末鑑定評価額・貸借対照表計上額・2026年11月期の営業収益の前提)よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成。年換算賃料/取得価格は半期前提を2倍して取得価格で除した当社試算

賃料体系の違いも投資家にとっての論点になる。決算短信が示す2026年11月期の営業収益の前提では、新規群7物件の賃料は固定457百万円に変動37百万円とその他3百万円を加えた498百万円(半期)で、固定賃料が91.8%を占める。アパホテルの変動賃料は各物件の年間売上高が契約上の基準売上高を超えた部分に料率を乗じる方式であり、固定部分で安定収益を確保したうえで運営好調時の上振れを取り込む設計といえる。既存群9物件は固定925百万円・変動141百万円・その他78百万円の計1,146百万円で、変動賃料は直近1年間の修正後GOPに料率を乗じて算定される。年換算賃料を取得価格で割ると既存群7.8%、新規群5.3%になり、温泉旅館群が取得価格に対して厚い賃料を生み、都市型ホテル群は取引利回りが締まった都市部の水準で組み入れられたことが読み取れる。

客室数 × 1室あたり取得額(円の大きさ=取得価格)
出典:日本ホテル&レジデンシャル投資法人「2026年5月期 決算短信」(2026年7月22日)、各取得・優先交渉権に関する開示資料よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成(N=16物件)

鑑定評価額の側から見ると、既存群の評価の厚みが際立つ。鬼怒川観光ホテル(172室)は取得価格¥3,870百万円に対して2026年5月末の鑑定評価額が¥6,070百万円(取得価格比+56.8%)、伊勢志摩は¥3,656百万円に対し¥3,830百万円、あたみは¥3,000百万円に対し¥3,500百万円と、9物件中8物件で鑑定評価額が取得価格を上回る。新規群はなんば北 心斎橋駅前が¥4,850百万円に対し¥5,330百万円、浅草橋駅前が¥4,160百万円に対し¥4,800百万円で、2026年5月末時点で7物件すべての鑑定評価額が取得価格を上回り、合計では+11.2%の評価を得た。ホテルREIT全体では鑑定評価額が取得価格の1.25倍に達しており、取得年ごとの倍率や還元利回りの分布はホテルREIT鑑定評価額、取得価格の1.25倍 — 298物件の還元利回り分布で物件単位に整理している。

物件別 取得価格と期末鑑定評価額(2026年5月末、百万円)
出典:日本ホテル&レジデンシャル投資法人「2026年5月期 決算短信」よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成(N=16物件)

立地のシフト — 温泉地の分散ポートフォリオに、三大都市圏と地方中核都市の駅前が加わった

地図に16物件を落とすと、既存群は伊豆(熱海・伊東・西伊豆)、伊勢志摩、あわら、伊香保、鬼怒川、会津東山、香川のレオマリゾートと、本州中部から東日本の温泉地と四国の香川に分散している。新規群は東京・大阪・福岡・名古屋圏(岐阜羽島)の新幹線・地下鉄駅前に、松山と厚木という地方中核都市・首都圏郊外の市街地が加わる構成で、温泉地の季節需要と都市部の平日ビジネス需要が互いに補完する形になった。

保有ホテル16物件の分布 — 青=2024年12月以降取得、白=2016〜17年取得(番号は一覧表の順)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング。座標は各施設の所在地

有価証券報告書(第20期)の投資状況によると、2026年5月末のホテル等の帳簿価額は首都圏¥10,665百万円、東海圏¥10,289百万円、関西圏¥6,457百万円、その他¥16,888百万円で、温泉旅館群を抱える東海圏と「その他」が依然として厚い。ただし次の取得方針として同投資法人は、資産規模1,000億円到達時にホテル等60〜70%・賃貸住宅等30〜40%(取得価格ベース)を目安に、ビジネス・シティホテルと賃貸住宅等をバランスよく組み合わせて大江戸温泉施設の割合の低減を進めると決算短信に記している。地図上の青い点が今後も増えていく前提で読むのが自然だろう。

所在市区町村の推定成約ADR(2026年9月)— 博多区+13.1%、台東区+4.4%、温泉地は高水準で横ばい

次に、各物件が立地する市区町村の宿泊市場をメトロエンジンリサーチのデータで確認する。ここで用いる推定成約ADRは市区町村単位の中央値で、個別物件の成約単価ではない点に留意してほしい。2026年9月の水準と前年同月を並べたのが次の表である。

所在市区町村の推定成約ADR(2026年9月・2025年9月)
所在市区町村保有物件推定成約ADR
2026年9月
同 2025年9月前年同月比対象施設数
(2026年9月)
東京都台東区アパホテル〈浅草橋駅前〉 新規群¥13,366¥12,805+4.4%N=176
大阪市浪速区アパホテル〈なんば南 大国町駅前〉 新規群¥10,150¥15,548−34.7%N=56
岐阜県羽島市アパホテル〈岐阜羽島駅前〉 新規群¥5,869¥5,541+5.9%N=9 ※対象施設数が少ないため参考値
大阪市中央区アパホテル〈なんば北 心斎橋駅前〉 新規群¥10,578¥16,018−34.0%N=193
福岡市博多区アパホテル〈博多駅前4丁目〉 新規群¥14,241¥12,592+13.1%N=151
愛媛県松山市アパホテル〈松山城西〉 新規群¥10,122¥9,821+3.1%N=90
神奈川県厚木市ホテルビスタ厚木 新規群¥8,180¥7,428+10.1%N=22
香川県丸亀市大江戸温泉物語 レオマリゾート 既存群¥7,096¥6,544+8.4%N=12 ※対象施設数が少ないため参考値
三重県志摩市大江戸温泉物語Premium 伊勢志摩 既存群¥15,976¥16,912−5.5%N=57
静岡県伊東市大江戸温泉物語Premium 伊東ホテルニュー岡部 既存群¥19,215¥19,018+1.0%N=127
静岡県熱海市大江戸温泉物語Premium あたみ 既存群¥22,713¥21,304+6.6%N=107
静岡県伊豆市大江戸温泉物語 わんわんリゾート 西伊豆 既存群¥18,938¥20,920−9.5%N=64
福井県あわら市大江戸温泉物語 あわら 既存群¥21,552¥20,925+3.0%N=22
群馬県渋川市大江戸温泉物語Premium 伊香保 既存群¥15,368¥15,788−2.7%N=46
栃木県日光市大江戸温泉物語Premium 鬼怒川観光ホテル 既存群¥17,620¥18,297−3.7%N=121
福島県会津若松市大江戸温泉物語 東山グランドホテル 既存群¥10,974¥10,124+8.4%N=38
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(市区町村別の推定成約ADR中央値、2026年9月と2025年9月。N=各月の対象施設数)

新規群の立地では福岡市博多区が¥14,200(前年同月比+13.1%、N=151)と最も伸び、東京都台東区は¥13,400(+4.4%、N=176)、神奈川県厚木市は¥8,200(+10.1%)、愛媛県松山市は¥10,100(+3.1%)と、いずれも前年を上回った。大阪市中央区(¥10,600)と浪速区(¥10,200)は前年同月比で3割強の調整になっているが、比較対象の2025年9月は大阪・関西万博の会期中で市内の宿泊単価が高止まりしていた時期であり、万博前の2024年水準に戻る過程として読むのが妥当だろう。固定賃料が収益の9割超を占める契約形態は、こうした立地市場の振れを受け止める緩衝材になる。

所在市区町村の推定成約ADR — 2025年9月(グレー)と2026年9月(青)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(市区町村別推定成約ADR中央値)

既存群の温泉地は熱海市¥22,700(+6.6%)、あわら市¥21,600(+3.0%)、伊東市¥19,200(+1.0%)が前年を上回り、日光市¥17,600、志摩市¥16,000、伊豆市¥18,900、渋川市¥15,400は1.5万〜1.9万円台の高い水準を保ちながら前年比では小幅な調整局面にある。温泉旅館の推定成約ADRは2名利用の1室料金を税抜相当に補正した水準であり、ビジネスホテル立地の1万円前後と比べて2倍前後の単価帯で動いていることが、1室あたり取得額の差の裏付けになる。

所在県の推定稼働率(2026年9月)— 対象施設数・客室数とあわせて読む

単価に続いて需給を確認する。次の表は各物件の所在県について、同じカテゴリ(ビジネスホテルまたは旅館)の稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)を2026年9月の月間平均で示したものである。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なる。対象N施設/客室M(主要予約サイト掲載ベース)を併記した。

所在県の推定稼働率(2026年9月・カテゴリ別、OTA掲載在庫ベース)
所在県カテゴリ関連物件推定稼働率
(2026年9月)
対象施設/客室全カテゴリ
推定稼働率
東京都ビジネスホテルアパホテル〈浅草橋駅前〉90.3%539施設/78,439室89.8%(805施設/104,583室)
大阪府ビジネスホテルなんば南 大国町駅前/なんば北 心斎橋駅前80.0%285施設/47,820室80.4%(410施設/59,647室)
福岡県ビジネスホテルアパホテル〈博多駅前4丁目〉90.0%175施設/22,893室88.3%(381施設/28,935室)
神奈川県ビジネスホテルホテルビスタ厚木87.0%116施設/15,836室84.2%(385施設/30,855室)
岐阜県ビジネスホテルアパホテル〈岐阜羽島駅前〉88.3%59施設/5,851室88.1%(225施設/10,493室)
愛媛県ビジネスホテルアパホテル〈松山城西〉79.7%50施設/5,232室82.8%(141施設/7,986室)
静岡県旅館あたみ/伊東ホテルニュー岡部/わんわんリゾート 西伊豆81.3%260施設/7,550室83.0%(690施設/29,829室)
栃木県旅館鬼怒川観光ホテル83.6%117施設/5,118室81.2%(315施設/13,513室)
福島県旅館東山グランドホテル87.9%107施設/3,585室85.4%(224施設/11,622室)
三重県旅館伊勢志摩78.8%91施設/2,415室83.1%(223施設/13,089室)
福井県旅館あわら81.8%55施設/1,029室84.5%(125施設/4,379室)
群馬県旅館伊香保84.9%145施設/4,887室81.4%(278施設/12,866室)
香川県旅館レオマリゾート79.3%24施設/1,148室80.1%(128施設/5,506室)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値、2026年9月の月間平均。対象は主要予約サイト掲載施設)

ビジネスホテルの推定稼働率は東京都90.3%(539施設/78,439室)、福岡県90.0%(175施設/22,893室)、岐阜県88.3%、神奈川県87.0%と、新規群の主要立地で85〜90%台にある。大阪府は80.0%(285施設/47,820室)で、単価の調整と並行して在庫の消化ペースも落ち着いた局面にあると読める。旅館カテゴリでは福島県87.9%、群馬県84.9%、栃木県83.6%が高く、静岡県81.3%(260施設/7,550室)も8割台を保つ。既存群9物件の所在県はいずれも旅館カテゴリで78〜88%の推定稼働率にあり、温泉地の分散ポートフォリオとして需要の底堅さを確認できる。

REIT開示の運営実績 — 温泉旅館群のRevPAR+17.6%、変動賃料は144百万円へ

市区町村の市場データから個別物件の開示に目を移す。2026年5月期の決算短信によると、同期の保有施設RevPARは大江戸温泉施設全体で前年同期の26,938円から31,667円(+17.6%)に上昇し、ビジネス・シティホテル全体(開示同意のないホテルビスタ厚木を除く)は9,042円だった。この結果、ホテル等の変動賃料は前期の105百万円から144百万円(+39百万円)に増え、同投資法人は「翌期以降も、ホテル運営実績の推移に応じた変動賃料の発生が期待される」と記している。

新規群の運営水準は、TDnetで開示された月次資料からも確認できる。2025年4月度の月次開示では、アパホテル〈浅草橋駅前〉の2025年5月期累計(2024年12月〜2025年4月)の客室稼働率が99.6%、ADRが12,745円(前年同期比+16.3%)、RevPARが12,688円(同+19.6%)、アパホテル〈なんば南 大国町駅前〉は稼働率89.7%、ADR 9,907円(同+20.9%)、RevPAR 8,883円(同+21.2%)であった。浅草橋駅前は同年4月単月で稼働率100.6%・ADR 16,118円と、インバウンド比率の高い浅草エリアの集客力を示す数字を残している。なお同投資法人は2025年6月度分から、変動賃料を採用する施設のうちテナントの同意を得た物件の月次運営状況を自社ウェブサイトで開示する方式に改めており、以降の物件別月次データは同サイトで確認できる。

こうした運営実績が鑑定評価に反映された結果が、前述の鑑定評価額¥52,702百万円である。同投資法人は2026年5月期に8物件の取得時鑑定評価額と既存23物件の前期末鑑定評価額を比較し、「一部物件の運営収益の見直し等により、合計155百万円増加した」と説明している。温泉旅館群は取得から8〜10年を経て帳簿価額が減価償却で下がる一方、鑑定評価額は取得価格を上回る水準を保ち、含み益の源泉になっている。

スポンサー・パイプライン — 優先交渉権から引渡しまでの実績と、次の取得余地

2024年12月以降の7物件のうち6物件はアパグループからの取得であり、その流れはスポンサーサポート契約に基づく優先交渉権から始まっている。契約上、アパグループが保有または開発するホテルのうち投資基準に適合する物件の譲渡に係る優先交渉権が同投資法人に付与されるほか、第三者物件の売却情報の優先提供と、第三者物件についてアパグループに一時的保有(ブリッジ)を依頼できる仕組みがある。実際の時系列を整理すると次のようになる。

スポンサー交代以降の主な開示(2023年12月〜2026年9月)
時期出来事
2023年12月19日アパホールディングス株式会社とスポンサーサポート契約を締結。資産運用会社の全株式をアパグループが取得
2024年2月27日投資主総会で商号を「日本ホテル&レジデンシャル投資法人」に変更
2024年7月22日アパグループからアパホテル2物件(浅草橋駅前・なんば南 大国町駅前)の優先交渉権を初取得
2024年11月18日8物件(アパホテル2物件+賃貸住宅等6物件)¥13,108百万円の取得を決定、12月3日に引渡し
2025年7月4日アパホテル〈岐阜羽島駅前〉¥920百万円の取得を決定、9月4日に引渡し
2025年8月29日・10月3日なんば北 心斎橋駅前・松山城西・博多駅前4丁目の優先交渉権を取得
2025年11月12日8物件(ホテル等4物件+賃貸住宅等4物件)約197億円の取得と公募増資を決定、12月2日に引渡し。公募・第三者割当で¥8,859百万円を調達
2026年2月日本格付研究所(JCR)から長期発行体格付A−(見通し:安定的)を取得
2026年5月29日アパホールディングスによる借入金の債務保証が終了し、有利子負債の全額が無担保・無保証に
2026年9月11日アパホールディングスが投資口を最大4,000口追加取得する方針を通知(保有割合は最大6.0%へ)
出典:日本ホテル&レジデンシャル投資法人の各開示資料(優先交渉権の取得に関するお知らせ 2024年7月22日・2025年10月3日、国内不動産信託受益権の取得に関するお知らせ 2024年11月18日・2025年7月4日、2026年5月期決算短信、2026年5月29日・9月11日付お知らせ)

注目したいのは、優先交渉権の取得から引渡しまでの期間が短縮している点である。2024年は7月22日の優先交渉権取得から12月3日の引渡しまで約4か月半を要したが、2025年は8月29日と10月3日に優先交渉権を取得した3物件を12月2日に引き渡しており、2〜3か月で取得が完了した。2025年10月3日の開示では、アパホテル〈博多駅前4丁目〉(福岡市博多区博多駅前四丁目、2000年9月築、109室)の優先交渉権をアパグループの株式会社ホテルグリーン・ドゥから取得した旨が示され、同じ資料で神奈川県の約160室のホテルも優先交渉権取得済物件として挙げられていた。2か月後の12月2日には博多駅前4丁目を¥3,930百万円で、165室のホテルビスタ厚木を¥2,222百万円で取得しており、優先交渉権の開示がそのまま次の取得の予告になっていることがわかる。

スポンサー側の供給余力も大きい。アパグループは2026年6月11日のプレスリリースで「自社ブランドとして国内347ホテル・84,021室、海外50ホテル5,454室を展開している」と公表し、2026年4月に始動した新中期5ヶ年計画「AIM5-Ⅱ」で2031年3月末までに国内自社ブランド単独10万室を目標に掲げた。同投資法人が保有するアパホテルは6物件・859室で、スポンサーが公表する国内客室数の1%に相当する規模であり、積み増しの余地は大きい。優先交渉権は取得義務を伴わず対価も生じない権利であり、投資基準に合う物件を選びながら積み増せる構造だといえる。他のホテルREIT6社のスポンサーが何を保有し、どの契約で物件情報を流しているかは、ホテルREIT7社のスポンサー比較 — 国内298物件1.8兆円、次の取得はどこから出るかで類型別に比較している。

資本面でもスポンサーとの関係は深まっている。2026年9月11日には、アパホールディングスが同投資法人の投資口を最大4,000口追加取得し、保有割合を5.0%から最大6.0%(25,746口)に高める方針が開示された。同投資法人はこれを「投資主利益とアパグループの利益が一致することで、中長期的な成長に繋がるスポンサーサポートが期待される」と説明している。2026年5月29日にはアパホールディングスによる借入金の債務保証が終了し、有利子負債の全額が無担保・無保証になった。2026年2月にJCRから長期発行体格付A−(安定的)を取得したことと合わせ、スポンサーの信用補完に頼らずに資金調達できる段階へ移行したことを示す出来事である。

取得余地を数字で置いてみる。2026年5月末の取得価格合計は¥68,991百万円で、うちホテル等が¥48,088百万円(69.7%)である。同投資法人が目安とする資産規模1,000億円到達時のホテル等比率60〜70%を当てはめると、ホテル等の取得価格合計は600億〜700億円となり、現状から120億〜220億円の積み増し余地がある計算になる(当社試算)。新規群の1室あたり取得額1,842万円で換算すれば650〜1,200室に相当し、2024年12月以降に取得した1,024室と同程度かそれ以上の都市型ホテルを、スポンサーのパイプラインから組み入れる余地が残っている。

この取得余地を、ホテル等比率と1室あたり取得額の2つの前提で幅を持たせて示したのが次の2表である。中位シナリオ(ホテル等比率65%)でも積み増し余地は¥16,912百万円と、2024年12月以降に取得した新規群7物件の取得価格合計¥18,863百万円に近い規模になる。1室あたり取得額が都市部の高単価物件(なんば北 心斎橋駅前の2,994万円)に寄れば同じ金額で組み入れられる室数は400〜730室に縮み、いちごホテルリート投資法人の平均並みの1,614万円なら中位シナリオでも1,000室を超える。

ホテル等の取得余地 — 3シナリオ(資産規模1,000億円到達時・当社試算)
シナリオホテル等比率
(取得価格ベース)
ホテル等の取得価格合計
(百万円)
積み増し余地
(百万円)
現状比新規群単価(1室1,842万円)
での換算室数
年換算賃料の目安
(百万円・5.3%適用)
悲観(下限)60%60,00011,912+24.8%約647室約631
中位65%65,00016,912+35.2%約918室約896
楽観(上限)70%70,00021,912+45.6%約1,190室約1,161
感度分析 — ホテル等比率 × 1室あたり取得額で見た追加取得室数(当社試算)
ホテル等比率(積み増し余地)1,614万円
(いちごホテルリート平均)
1,842万円
(新規群平均)
2,415万円
(16物件平均)
2,994万円
(なんば北 心斎橋駅前)
60%(余地¥11,912百万円)約738室約647室約493室約398室
62.5%(余地¥14,412百万円)約893室約782室約597室約481室
65%(余地¥16,912百万円)約1,048室約918室約700室約565室
67.5%(余地¥19,412百万円)約1,203室約1,054室約804室約648室
70%(余地¥21,912百万円)約1,358室約1,190室約907室約732室

出典:日本ホテル&レジデンシャル投資法人「2026年5月期 決算短信」(取得価格合計、資産規模1,000億円時の資産配分の目安)よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング試算。積み増し余地=資産規模¥100,000百万円×ホテル等比率−2026年5月末のホテル等取得価格¥48,088百万円。年換算賃料の目安は新規群の年換算賃料/取得価格5.3%(2026年11月期前提の2倍÷取得価格)を一律に適用した参考値で、取得時期・価格・利回りの予測ではない。

他のホテルREITとの比較 — 1室あたり取得額と平均客室数

個社の深掘りを他のホテルREITと並べて位置づける。比較軸は1室あたり取得額と1物件あたりの平均客室数の2つに絞り、資産規模の順位は付けない。対象はホテル特化型・複合型7投資法人の国内ホテル物件で、取得価格と客室数の双方が公表されている物件を集計した。

ホテルREIT7法人の1室あたり取得額と1物件あたり平均客室数
投資法人集計物件数客室数合計取得価格合計
(百万円)
1室あたり取得額1物件あたり平均客室数
いちごホテルリート投資法人(3463)284,370室70,5431,614万円156室
日本ホテル&レジデンシャル投資法人(3472)161,991室48,0832,415万円124室
星野リゾート・リート投資法人(3287)718,667室233,9062,699万円122室
インヴィンシブル投資法人(8963)11019,260室603,1343,132万円175室
ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)5215,058室648,0984,304万円290室
霞ヶ関ホテルリート投資法人(401A)15726室49,2106,778万円48室
森トラストリート投資法人(8961)61,937室142,2177,342万円323室
出典:各投資法人のIR開示(ポートフォリオ一覧)を当社のREIT保有物件データに収録したもの(いちごホテルリート投資法人は2026年9月14日時点、その他6法人は2026年10月19日時点)よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成。1室あたり取得額は取得価格合計÷客室数合計。1室あたり取得額の昇順

日本ホテル&レジデンシャル投資法人の1室あたり取得額2,415万円は、いちごホテルリート投資法人の1,614万円と星野リゾート・リート投資法人の2,699万円の間に位置し、1物件あたり平均124室は7法人の中で小規模な部類に入る。既存群だけを取り出せば3,022万円でインヴィンシブル投資法人の3,132万円に近く、新規群だけなら1,842万円でいちごホテルリート投資法人に近い。2つの層を持つことで、温泉旅館の高単価ポートフォリオと都市型ビジネスホテルの効率的なポートフォリオの両方の性格を1銘柄で併せ持っている、というのがこの投資法人の現在地である。REIT個社ではなく旅館・ビジネスホテルといった業態別に1室あたり取得額を並べ直した水準は、REITの1室あたり取得額はデラックスホテルが最高6,350万円、旅館4,960万円 — 業態別298物件の再集計が参照になる。

ホテルREIT7法人 — 1室あたり取得額(棒・左軸)と1物件あたり平均客室数(線・右軸)
出典:各投資法人のIR開示よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成(国内ホテル物件、2026年10月19日時点。いちごホテルリート投資法人は9月14日時点)

投資判断の視点 — J-REIT投資家と売却検討オーナーへの示唆

J-REIT投資家

固定賃料比率は新規群91.8%・既存群80.7%で、分配金の基盤は固定賃料にある。上振れ要因は温泉旅館群のGOP連動変動賃料(2026年5月期+39百万円)とアパホテルの基準売上高超過分で、RevPARの改善が1年遅れで賃料に反映される構造を踏まえて決算を読みたい。

ホテル売却を検討するオーナー

2024年12月以降の取得実績は1室630万〜3,606万円、109〜180室の駅前ビジネスホテルが中心で、取得先はスポンサー以外(ホテルビスタ厚木・賃貸住宅等)にも広がる。資産運用会社独自のネットワークとアパグループのブリッジ機能を組み合わせた取得スキームが、第三者物件の受け皿として機能している。

今後の注目点

資産規模1,000億円時にホテル等60〜70%という目安に対し、ホテル等の取得価格合計は¥48,088百万円。次の優先交渉権の開示が出れば、過去2回の実績では2〜5か月後の引渡しが目安になる。2026年11月期決算(2027年1月公表見込み)では新規群7物件の通期寄与と変動賃料の推移が確認できる。

最後に、投資家が決算資料とあわせて確認したい留意点を整理しておく。いずれも同投資法人の開示資料に根拠があり、否定的な材料というより「どの数字を見ればよいか」の整理として読んでほしい。

投資家が確認したい留意点
留意点現状(出典:決算短信・開示資料)読み方
金利・財務2026年5月末の有利子負債は¥32,956百万円、LTVは46.8%。借入は全額が無担保・無保証となり、JCRの長期発行体格付はA−(安定的)資産規模1,000億円に向けた取得余力をどう確保するかが次の論点
大阪2物件の立地市場大阪市中央区・浪速区の推定成約ADRは、万博会期中だった前年同月との比較で3割強の調整局面(2026年9月)固定賃料が収益の9割超を占める契約形態が運営変動の緩衝材になる
変動賃料の計算期間大江戸温泉施設の変動賃料は直近1年間の修正後GOPを基準に算定されるため、運営実績の反映には時間差があるRevPARの上昇(2026年5月期+17.6%)が翌期以降の変動賃料に段階的に反映される構造
ポートフォリオ比率の目標資産規模1,000億円到達時にホテル等60〜70%、賃貸住宅等30〜40%を目安とする方針ビジネス・シティホテルの積み増しと温泉旅館群の比率低減が同時に進む見込み
出典:日本ホテル&レジデンシャル投資法人「2026年5月期 決算短信」ほか開示資料、メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(大阪市中央区・浪速区の推定成約ADR)

ここまでを整理すると、日本ホテル&レジデンシャル投資法人のホテルポートフォリオは、温泉旅館9物件が鑑定評価と変動賃料で収益の厚みを支え、2024年12月以降の都市型7物件が客室数の51.4%を占めて立地の分散と固定賃料の安定性を加える構成に変わった。スポンサーが公表する国内84,021室のうちREITが保有するのは859室であり、優先交渉権から2〜5か月で取得に至る実績が積み上がった今、次の取得が「どこから」出るかはすでに見えている。残る論点は「いつ・いくらで」であり、それを測る物差しが1室あたり取得額である。

よくある質問

Q. 日本ホテル&レジデンシャル投資法人のホテルは何物件・何室ですか?

A. 2026年5月末時点でホテル等16物件(ビジネス・シティホテル7物件、温泉・温浴関連施設9物件)、合計1,991室です。取得価格の合計は決算短信ベースで¥48,088百万円、物件別取得価格の単純合計は¥48,083百万円で、ポートフォリオ全体(31物件・¥68,991百万円)の69.7%を占めます。

Q. 1室あたりの取得額はいくらですか?

A. ホテル16物件全体では1室2,415万円です。2016〜17年に取得した温泉旅館9物件は1室3,022万円、2024年12月以降に取得した都市型ビジネスホテル7物件は1室1,842万円で、取得時期によって水準が異なります。

Q. スポンサーのアパグループからの取得はどのように進んでいますか?

A. 2023年12月のスポンサーサポート契約に基づき、アパグループが保有・開発するホテルのうち投資基準に適合する物件の優先交渉権が付与されます。2024年7月の優先交渉権取得から2024年12月の引渡しまで約4か月半、2025年8〜10月の優先交渉権取得から2025年12月の引渡しまで2〜3か月で、これまでにアパホテル6物件を取得しました。

Q. 温泉旅館9物件の運営はどう推移していますか?

A. 2026年5月期の決算短信では、大江戸温泉施設全体のRevPARが前年同期の26,938円から31,667円(+17.6%)に上昇し、ホテル等の変動賃料は105百万円から144百万円に増えました。9物件の期末鑑定評価額合計は¥31,720百万円で、帳簿価額を¥6,442百万円上回っています。

あわせて読みたい

参考資料・出典一覧

■ データソース

物件別の取得価格・客室数・鑑定評価額・帳簿価額・賃料前提・RevPARは日本ホテル&レジデンシャル投資法人の開示資料(2026年5月期決算短信、第20期有価証券報告書、取得・優先交渉権・月次開示に関するお知らせ)。所在市区町村の推定成約ADR(2026年9月・2025年9月)と所在県の推定稼働率(2026年9月、OTA掲載在庫ベース)はメトロエンジンリサーチの集計。他REITの1室あたり取得額は各投資法人のIR開示を当社のREIT保有物件データ(2026年10月19日時点、いちごホテルリート投資法人は2026年9月14日時点)に収録したもの。

■ 試算前提

年換算賃料/取得価格は2026年11月期(半期)の営業収益の前提を2倍し取得価格で除した当社試算。取得余地は資産規模¥100,000百万円(取得価格ベース)×ホテル等比率60〜70%から2026年5月末のホテル等取得価格¥48,088百万円を差し引いた額で、室数換算には新規群平均1,842万円ほか本文中の1室あたり取得額を、年換算賃料の目安には新規群の5.3%を用いた。

■ 限界・留意点

推定成約ADR・推定稼働率は市区町村・県単位の市場水準(中央値・推定値)であり、保有物件個別の成約単価・稼働率ではない。対象施設数が少ない市区町村は表中で参考値と注記した。取得余地の試算は同投資法人が示す資産配分の目安を機械的に当てはめたもので、取得の時期・価格・利回りを予測するものではない。物件別取得価格の単純合計¥48,083百万円と決算短信の合計¥48,088百万円は端数処理により一致しない。

■ 市場データ

■ REIT開示資料(日本ホテル&レジデンシャル投資法人)

■ ニュース・プレスリリース

関連記事