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Lolaとは|KAYAK創業者のAI旅行会員サービス、4〜5つ星最大15%割引 — 日本の受け皿881施設・13.8万室

投稿日 : 2026.10.25

指定なし

Lolaとは|KAYAK創業者のAI旅行会員サービス、4〜5つ星最大15%割引 — 日本の受け皿881施設・13.8万室

KAYAKの共同創業者スティーブ・ハフナー氏とポール・イングリッシュ氏が開発し、ブッキング・ホールディングスが支援するAI旅行アシスタント「Lola(ローラ)」が、海外報道では2026年9月29日に米国でサービスを開始した。国内ではトラベルボイスが10月5日に伝えている。会員は無料・Plus(月5ドル)・VIP(月25ドル)の3階層で、有料会員は提携する予約サイト経由の優待料金でホテルを予約でき、VIPは世界の4つ星・5つ星ホテルで最大15%の割引を受けられるとされる。広告枠や有料掲載枠を持たないという方針も、比較サイトを生み出した当人たちの新事業として注目を集めた。日本での提供有無は現時点で公表されていない。本稿では、公表情報からLolaの仕組みを整理し、既存のOTA会員割やメタサーチとの違いを並べたうえで、仮に日本の施設が対象在庫に含まれた場合に「4〜5つ星相当」の受け皿がどこにどれだけあるのかを、メトロエンジンリサーチの施設分類で都道府県別に数える。最後に、宿の側が機会として備えられる点を3つに絞って示す。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
本稿の「4〜5つ星相当」の数え方
メトロエンジンリサーチの施設分類で「デラックスホテル」区分の施設と、「シティホテル」「リゾートホテル」区分のうちグレードが「ラグジュアリー」の施設を合わせ、2026年11月上旬の宿泊日について主要予約サイトで販売価格が確認できた国内881施設(客室138,401室)を対象とした(2026年10月20日取得)。旅館・貸別荘・簡易宿所は含まない。海外物件は含まない。各予約サイトや格付け機関が付与する星の数そのものとは一致せず、Lolaの割引対象施設を示すものでもない。高価格帯の価格水準は、同区分の施設が公開する全プランの平均(掲載価格・2名1室・税込)で示し、本稿ではADR(推定成約単価)とは呼ばない。
Key Takeaways
  • — Lolaは「検索結果を売らない」会員制モデルである。無料会員でも予約まで完結し、Plus(月5ドル・12カ月契約)は4〜5つ星で最大10%、VIP(月25ドル・12カ月契約)は最大15%の優待と公表されている。収益源は広告ではなく会費で、提供は米国の利用者向けに始まった。
  • — 既存のOTA会員割と違うのは「お金を払う会員」である点と、割引対象を4〜5つ星に絞っている点。無料のGeniusが予約実績でレベルを上げる設計なのに対し、Lolaは月額で最初から上位の優待に入れる。
  • — 日本側の受け皿を数えると、4〜5つ星相当は881施設・138,401室。東京・大阪・沖縄の3都県で客室の40.1%、上位7都道府県で67.7%を占め、施設数では沖縄(87施設)と北海道(78施設)がリゾート型で厚い。
  • — 東京のデラックス区分の掲載価格は2026年9月に¥104,100(N=57施設)で、前年同月比+15.0%。高価格帯ほど「会員割引15%」の金額インパクトは大きく、宿の側ではレート設計と施設情報の整備が機会になる。

Lolaとは — 無料・Plus・VIPの3階層と「広告を持たない」方針

まずは公表されている仕組みを押さえたい。Lolaは、利用者がチャットで「来月の京都で、朝食が評判の静かなホテル」といった自由文の希望を伝えると、提携先のリアルタイムの空き状況と価格を参照して候補を提案し、そのまま予約まで完結させるサービスである。トラベルボイスの記事によれば相談範囲はホテルにとどまらず、飲食店、イベント、アクティビティ、旅行全体の計画まで広がる。ハフナー氏は米PCMagの取材で「LLMは自由形式の質問に答えるのが非常に得意だ」と述べ、フィルターとスライダーで絞り込む従来の比較型の画面とは逆の設計思想を強調している。

会員階層は3つで、公式サイトの記載を表1に整理した。無料会員は誰でも登録でき、提案・空き状況の確認・予約まで利用できる。Plusは月5ドル(トラベルボイス換算で約790円)、VIPは月25ドル(約3,950円)で、いずれも12カ月の契約が条件とされる。ホテルの優待はPlusが4つ星・5つ星で最大10%、VIPが最大15%と公式サイトに記され、トラベルボイスは「Plusの対象ホテルは通常10%割引」「VIPは世界中の4つ星・5つ星ホテルで最大15%割引」と伝えている。優待料金はブッキング・ホールディングス傘下の予約サイトやNuiteeを通じたものと説明されており、Lola自身がホテルと直接契約して在庫を持つ形ではない点が読み取れる。

表1 Lolaの会員階層と公表されている特典(2026年10月時点)
項目無料会員PlusVIP
月額無料5ドル(約790円)・12カ月契約25ドル(約3,950円)・12カ月契約
ホテル優待—(通常料金で予約可)4〜5つ星ホテルで最大10%(報道では通常10%)4〜5つ星ホテルで最大15%、Lola内の最安水準
飲食提案・予約ResXで2日前からの先行予約枠(2026年秋提供予定)オープンテーブル「ゴールド」ステータス、ResXプレミアム(5日前から)
移動・体験—GetYourGuideの割引、Aero初回300ドル引きBLADEのNY市内〜空港ヘリ送迎(初回無料または150ドル)、Aero初回400ドル引き
コンシェルジュ—四半期ごとに利用可四半期ごとに複数回の相談
広告「スポンサー結果なし、有料掲載なし、広告なし」を全階層で明記

出典:Lola公式サイト、トラベルボイス(2026年10月5日)、tbreak(2026年9月)よりホテルバンク編集部作成。円換算はトラベルボイス記載(1ドル158円)

ローンチパートナーとして名前が挙がるのは、ブッキング・ホールディングス傘下の予約サイト各社、オープンテーブル、カヤック、FareHarborに加え、SeatGeek、GetYourGuide、ResX、BLADE、Aero、Nuitee、Ten Groupである。ハフナー氏はPCMagに対し、会費を収益源とする点を「高級版のコストコ」になぞらえ、利用者の約95%は当初無料会員にとどまると見込むと語っている。つまり、有料会員の割合は小さくても、無料会員の予約がグループの予約サイトを通る限りグループ全体の収益になる構造だと読める。

提供地域については注意が必要である。PCMagは開始時点の提供を米国の利用者向けと報じ、ハフナー氏自身も「これは変わる必要がある」と述べたとされるが、日本を含む他地域での提供時期は公表されていない。本稿が「日本の受け皿」を数えるのは、割引対象が「世界中の4〜5つ星」と記されている以上、米国の会員が訪日旅行で日本のホテルを予約する導線は制度上あり得るからであって、国内でのサービス提供を前提にしたものではない。

既存のOTA会員割・メタサーチと何が違うか — 公表情報で整理する

Lolaの新しさは、AIで対話することそのものより、「誰が、何に、いくら払うか」を組み替えた点にある。従来の予約サイトの会員プログラムは無料で、予約実績に応じてレベルが上がる。欧州系大手OTAの会員プログラム「Genius」は公式ページで、レベル1がアカウント登録のみで宿泊10%オフ、レベル2が2年間に5件の予約完了で10〜15%オフ、レベル3が15件で10〜20%オフと示し、割引は税・追加料金を除いた料金に適用されると記す。同じページには、レベルが上がっても割引率が必ず高くなるとは限らず、特典を提供する施設は限られるとも記載されている。米国系大手OTAの会員価格は公式ページで「サインインで10%以上」、アジア系大手OTAのVIPプログラムは2025年10月のリリースで最上位のDiamondが「最大25%オフの限定特典」とされる。

これに対してLolaは、月額を払う会員にだけ上位の優待を最初から開く。Geniusのレベル3に相当する水準へ到達するには15件の予約が要るが、LolaのVIPは契約した月から最大15%の対象になる。もう一つの差は対象の絞り込みで、Lolaは割引対象を4つ星・5つ星ホテルに限定していると公表している。会費を払う層が求める宿のグレードに合わせた設計であり、ビジネスホテル中心の国内OTAの会員割とは重なりにくい。

メタサーチとの違いは、創業者自身の言葉で語られている。KAYAKは比較サイトという「カテゴリー」を作った存在で、各サイトの価格を並べて送客し、広告やクリック課金で収益を得るモデルであった。Lolaは比較表を見せず、利用者の意図を聞いて候補を提案し、予約も内側で完結させる。TravelMoleはこれを「KAYAKとは構造的に正反対」と評し、比較型がクリック単価の市場だったのに対し、対話型は提携の規模と独占性、既存の信頼が効く「提携の市場」になると論じている。表2に各方式の公表情報を並べた。

表2 Lola・OTA会員プログラム・メタサーチの公表情報の比較
方式利用者の負担優待の決まり方宿泊の割引(公表値)事業者の主な収益予約の成立場所
Lola(会員制AIアシスタント)無料/月5ドル/月25ドル(有料は12カ月契約)会費の階層Plus 最大10%、VIP 最大15%(4〜5つ星)会費。広告・有料掲載は持たないチャット内(提携予約サイトの優待料金)
Genius(欧州系大手OTA)無料2年間の予約完了件数(0/5/15件)10%/10〜15%/10〜20%(施設が提供を選択)宿泊施設からの手数料予約サイト内
会員価格(米国系大手OTA)無料サインイン10%以上(公式ページ記載)宿泊施設からの手数料予約サイト内
VIPプログラム(アジア系大手OTA)無料利用実績に基づくティア最上位Diamondで最大25%の限定特典宿泊施設からの手数料予約サイト内
メタサーチ(カヤック等)無料—(価格比較)—広告・クリック課金による送客遷移先の予約サイト・公式サイト

出典:Lola公式サイト、大手OTA各社の会員プログラム公式ページ・報道資料(2025年10月16日ほか)、TravelMole、トラベルボイスよりホテルバンク編集部作成。割引率は各社の公表上限で、対象施設・プランは限られる

図1 各プログラムが公表する宿泊割引の上限(%)。出典:各社公式ページ・報道資料よりホテルバンク編集部作成

ここで宿の側が押さえるべきは、どの方式でも「割引の原資がどこから出るか」が仕組みごとに異なる点である。Geniusは施設が参加を選び割引を提供する設計だと公式ページから読み取れる。Lolaの優待はグループ傘下の予約サイトなど提携先を通じた優待料金と説明されており、個々の施設との契約条件は公表されていない。したがって本稿では「Lolaの15%を誰が負担するか」を推測しない。確かなのは、グループの予約サイトに在庫を出している4〜5つ星相当の施設が、会費を払う旅行者の候補に上がる土台を持つという点だけである。

日本側の受け皿 — 4〜5つ星相当は881施設・138,401室、東京・大阪・沖縄で40%

それでは、仮に日本の施設が対象在庫に含まれるとした場合、「4〜5つ星相当」の宿はどこにどれだけあるのか。メトロエンジンリサーチの施設分類で数えると、デラックスホテル区分が207施設・38,273室、シティ・リゾート区分でグレードがラグジュアリーの施設が674施設・100,128室で、合計881施設・138,401室になる。1施設あたりの平均は157室で、デラックス区分(平均185室)が大型、ラグジュアリー格のシティ・リゾート(平均149室)がやや小ぶりという構成である。後者の内訳はシティ208施設、リゾート466施設で、リゾート型が7割を占める。

地理的な偏りは大きい。客室数で見ると東京都が27,773室(20.1%)で最大、大阪府14,892室、沖縄県12,810室が続き、3都県で全体の40.1%に達する。千葉県(11,620室)と北海道(11,138室)、京都府(8,128室)、神奈川県(7,268室)を加えた上位7都道府県で67.7%となり、残る39県で3分の1弱を分け合う形になる。一方で施設数の順位は客室数と異なり、沖縄県87施設、北海道78施設、静岡県75施設が東京都(92施設)に続く。リゾート地では客室100室前後のラグジュアリー格の施設が多く点在するためで、都市部の大型デラックスとは在庫の性格が違う。

図2 都道府県別の4〜5つ星相当客室数(上位12・区分別)。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(N=881施設・2026年10月20日取得)

表3 都道府県別の4〜5つ星相当の施設数・客室数(客室数上位15)
順位都道府県デラックス区分
施設
同
客室
ラグジュアリー格
シティ・リゾート施設
同
客室
合計施設合計客室客室シェア累積
1東京都5514,1233713,6509227,77320.1%20.1%
2大阪府248,493226,3994614,89210.8%30.8%
3沖縄県89667911,8448712,8109.3%40.1%
4千葉県83,862297,7583711,6208.4%48.5%
5北海道141,245649,8937811,1388.0%56.5%
6京都府393,243274,885668,1285.9%62.4%
7神奈川県10476326,792427,2685.3%67.7%
8兵庫県2365424,558444,9233.6%71.2%
9静岡県9266664,289754,5553.3%74.5%
10愛知県51,890101,516153,4062.5%77.0%
11福岡県16143,329153,3352.4%79.4%
12長野県2247382,697402,9442.1%81.5%
13広島県135112,197122,2321.6%83.1%
14三重県184181,636191,7201.2%84.4%
15大分県17181,666191,6731.2%85.6%
—その他31県272,96516717,01919419,98414.4%100.0%
全国計20738,273674100,128881138,401100.0%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年11月上旬の宿泊日に主要予約サイトで販売価格が確認できた国内881施設、2026年10月20日取得)

この分布は、米国からの訪日客の宿泊地と重なりやすい。日本政府観光局(JNTO)の推計では2026年8月の米国からの訪日客は19万7,400人(前年同月比+1.5%)で、訪日客全体が前年同月比−9.6%となる中でも増加を保った。既刊『インバウンドとは|定義と宿泊の5指標』で整理したとおり、米国は2026年5月の人数では韓国・台湾に次ぐ3位でも、延べ宿泊者数では最大の市場である。滞在が長く高価格帯の宿を選ぶ層が厚い市場で、会費を払って4〜5つ星の優待を受ける会員制サービスが始まったことは、国内の高価格帯の宿にとって新しい送客経路が一つ増える可能性を意味する。

高価格帯の掲載価格水準 — 東京のデラックス区分は9月¥104,100、前年同月比+15.0%

割引率が同じ15%でも、金額のインパクトは価格水準で決まる。デラックス区分の施設が公開する全プランの平均(掲載価格・2名1室・税込)を見ると、東京都は2026年9月に¥104,100(N=57施設)で、前年同月の¥90,500(N=50施設)から+15.0%上昇した。月別の推移を2024年・2025年・2026年で重ねると、春の4〜5月と秋の10〜11月に高く、夏の7〜8月に低いという季節性が3年とも共通し、2026年は1〜4月こそ前年を下回ったものの、5月以降は9月まで5カ月連続で前年を上回って推移している。

図3 東京都・デラックス区分の掲載価格(全プラン平均・2名1室・税込、月平均)。2026年は確定した9月まで。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(N=49〜57施設/月)

表4 デラックス区分の掲載価格 — 2025年9月と2026年9月の比較(主要8都道府県)
都道府県2025年9月N2026年9月N前年同月比
東京都¥90,50250¥104,09157 ※+15.0%
大阪府¥54,87123¥51,98624 ※-5.3%
京都府¥100,54828¥111,69239 ※+11.1%
沖縄県¥132,5298¥137,8028+4.0%
北海道¥57,06411¥77,38314 ※+35.6%
神奈川県¥82,9826¥119,81510 ※+44.4%
千葉県¥66,6318¥70,9468+6.5%
静岡県¥103,9395¥157,1929 ※+51.2%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。掲載価格=全プラン平均・2名1室・税込の月平均。※は対象施設数が前年と異なる月で、施設構成の変化を含む

地域差も大きい。沖縄県のデラックス区分は¥137,800(N=8施設)で、施設構成が前年から変わった静岡県(¥157,200、N=9施設)を除けば最も高く、京都府が¥111,700(N=39施設)、大阪府が¥52,000(N=24施設)である。北海道・神奈川・静岡は前年から対象施設が増えており、上昇率には新たに区分へ加わった施設の構成変化が含まれるため、水準の目安として読むのが適切だろう。重要なのは、¥100,000前後の価格帯では15%が1泊あたり¥15,000前後に相当し、ビジネスホテルの会員割とは比べものにならない金額差が会員の選択に働くという点である。高価格帯ほど「どの経路で予約すれば最も有利か」を旅行者が真剣に比べる市場であり、会員制の優待はそこに直接作用する。

宿の側の備え — レート管理・直販会員価格・AIに読まれる施設情報の3つの機会

日本での提供が未発表である以上、いま宿が「加入する」判断を求められているわけではない。既刊『「AIの中で宿の予約が完結」が米国で始動』で述べたとおり、動くべきは加入の判断ではなく「加入できる状態の準備」である。Lolaの事例が示す準備は、次の3点に整理できる。

第一に、会員向け料金の設計をレート管理の中に位置づけることである。Lolaの優待は提携する予約サイトの優待料金を通じて提供されると説明されており、各施設が予約サイト側で設定している会員向け・限定会員向けの料金が、そのまま新しい会員層の目に触れる可能性がある。高価格帯の施設では、公式サイトの会員価格、予約サイトの会員向け料金、法人・旅行会社向けの料金が同じ日に並ぶ。それぞれの差を把握し、どの経路の会員にどの水準を見せるかを意図して決めておくことが、優待の対象になったときに単価を守りながら予約を受ける土台になる。既刊『脱OTAの前に在庫配分を見る』で示した在庫配分の整理は、この準備と地続きである。

第二に、直販会員価格との関係を「競合」ではなく「役割分担」で考えることである。無料の会員割が広がった局面では、公式サイトの会員価格は「予約サイトより安い」ことを売りにしてきた。だが月25ドルを払う会員が「どこで予約しても最安を保証される」と期待する局面では、価格だけで直販に引き戻すのは難しくなる。代わって効くのは、直販会員だけに開く客室タイプ、連泊や記念日の特典、滞在中の体験のように価格以外の価値であり、これは高価格帯の施設が本来得意としてきた領域である。手取りの観点では、既刊『ホテル1泊13,600円の手取りは10,000円』で示したように経路ごとの純収入を並べ、どの経路の会員にどこまで優待を出せるかの上限を先に決めておくと判断が速い。

第三に、AIに読まれる施設情報を整えることである。Lolaは比較表を見せず、利用者の「静かな部屋」「朝食が評判」「駅から歩ける」といった言葉に対して候補を返す。候補に挙がるかどうかは、客室名や設備、朝食、立地、眺望が構造化された言葉で予約サイトや公式サイトに記されているかに左右される。写真の中にしかない情報は読まれない。米国の会員が対象であれば英語の説明文の質も問われる。これはLolaに限らず、検索のAIモードやチャット内の予約が広がるすべての局面で効く投資であり、取り組んだ施設から順に候補に上がりやすくなる。口コミで高く評価されている点を施設情報に言葉として反映することは、その近道になる。

まとめ

Lolaは、比較サイトを生み出した創業者たちが「比較表を見せない」「検索結果を売らない」という逆の設計で始めた会員制のAI旅行アシスタントである。無料会員でも予約が完結し、月5ドルのPlusは4〜5つ星で最大10%、月25ドルのVIPは最大15%の優待と公表されている。既存のOTA会員割が予約実績でレベルを上げる無料の仕組みであるのに対し、Lolaは会費で最初から上位の優待に入れ、対象を高価格帯に絞った点が異なる。提供は米国の利用者向けに始まり、日本での提供は未発表である。

国内で「4〜5つ星相当」に当たる在庫は881施設・138,401室で、東京・大阪・沖縄の3都県に客室の40%、上位7都道府県に68%が集まる。東京のデラックス区分の掲載価格は9月に¥104,100と前年同月比+15.0%で推移しており、価格水準が高いほど会員優待の金額差は大きく働く。宿の側にできる備えは、会員向け料金をレート管理の中に位置づけること、直販会員価格を価格以外の価値で役割分担させること、そしてAIに読まれる施設情報を整えることの3つである。いずれも新しい経路が開いたときに候補へ上がるための準備であり、サービスの国内展開を待たずに始められる。

よくある質問

Q. Lolaは日本で使えますか?

2026年10月時点の報道では、提供は米国の利用者向けに始まったとされ、日本を含む他地域での提供時期は公表されていません。本稿の国内在庫の集計は、国内での提供を前提にしたものではなく、米国の会員が訪日時に日本のホテルを予約する可能性を踏まえた参考値です。

Q. 「4〜5つ星相当」はどのように数えていますか?

メトロエンジンリサーチの施設分類で「デラックスホテル」区分の施設と、「シティホテル」「リゾートホテル」区分のうちグレードが「ラグジュアリー」の施設を合わせ、2026年11月上旬の宿泊日に主要予約サイトで販売価格が確認できた国内の施設を数えています。各予約サイトの星評価とは一致せず、Lolaの対象施設を示すものではありません。

Q. 宿がいま準備できることは何ですか?

予約サイト側の会員向け料金と公式サイトの会員価格の関係を整理すること、経路ごとの手取りを把握して優待の上限を決めておくこと、客室・朝食・立地などの施設情報をAIが読み取れる言葉で予約サイトと公式サイトに整えることの3点です。いずれもLolaの国内展開を待たずに始められます。

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参考資料・出典一覧

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