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香川のホテル新規開業2026、686室のうち純増は観音寺・三木の316室 — 高松2棟は既存建物の転換

投稿日 : 2026.10.25

香川県

投資・開発

香川のホテル新規開業2026、686室のうち純増は観音寺・三木の316室 — 高松2棟は既存建物の転換

2026年、香川県では80室以上のホテルが5棟686室開業した。ただし内訳を一つずつ各社の公表資料に当たると、新築として確認できたのは観音寺市と三木町に立地するHOTEL AZの2棟316室で、高松市の2棟(JRクレメントイン高松兵庫町191室、HOTEL RAH 88室)と観音寺市のスマイルホテル観音寺91室は既存建物の運営転換・看板替えである。つまり2026年の純増供給は県都の外側、西讃のロードサイドと東讃の学園通りに集中した。本稿では観音寺駅2km圏の客室が2017年の267室から786室へ増えた経緯、就業人口と地価、推定成約ADR、観光庁の客室稼働率を組み合わせ、県都外に積まれた供給の吸収余地と、100〜160室のロードサイド型を新たに建てる場合の必要単価を試算する。

本記事における指標の定義

  • ADR(平均客室単価):各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。
  • OCC(稼働率):エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値、REIT月次公表値との整合性検証で概ね数pt 程度の精度を確認済)。観光庁「宿泊旅行統計調査」の客室稼働率を引用する箇所は、その旨を明記しています。
  • 掲載価格:掲載価格に言及する箇所は2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
  • LT(リードタイム):チェックイン日までの日数。LT0=当日。在庫の推移はLT45〜1の範囲のみを用います。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(2026年10月17日調査時点。国内約168,000施設を追跡し、うち主要予約サイト上で稼働が確認できる約27,000施設・約126万室を分析対象)。施設数・客室数はメトロエンジンリサーチが把握する範囲であり、主要予約サイトに掲載のない旅館・簡易宿所は含まれません。
2026年 80室以上の開業
5棟 686室
うち新築 2棟316室(観音寺・三木)
観音寺駅2km圏 客室数
267 → 786室
2017年 → 2026年(17施設)
観音寺市 推定成約ADR
¥6,653
2026年9月・前年同月¥7,013(N=12施設)
香川県ビジネスホテル 客室稼働率
66.8%
2026年7月(観光庁・速報)前年同月65.1%
観音寺 商業地 公示地価
¥59,200/㎡
坂本町5丁目・2026年・前年比−0.2%
Key Takeaways
  • — 686室のうち新築は316室:2026年に香川県で開業した80室以上の5棟のうち、新築はHOTEL AZの観音寺・三木の2棟。高松の2棟と観音寺のスマイルホテルは既存建物の転換。
  • — 観音寺駅2km圏は267室→786室:2025年11月のルートインと2026年1月のAZで1年あまりに345室、既存約440室の8割近くが上乗せされた。
  • — 稼働は保ち、単価を譲った:県ビジネスホテルの客室稼働率は2026年1〜7月平均69.1%(前年66.3%)。観音寺市の推定成約ADRは2026年9月6,653円で前年比−5.1%。
  • — 成否を分けるのは建設単価:150室・通年稼働80%・利回り7%の必要ADRは、150万円/坪で約6,700円、2025年の鉄骨造平均240.5万円/坪で約1万300円。
  • — 運営費まで引くと採算線は上がる:FF&E積立と固定資産税等を控除すると、現行6,653円で7%を出せる建設単価は約117万円/坪。余地は三木の小型案件と高松の転換型にある。

2026年の5棟686室 — 新築は観音寺・三木の316室、高松の2棟は既存建物の転換

まずは2026年に香川県で開業した施設の全体像を押さえたい。メトロエンジンリサーチが主要予約サイトでの掲載開始をもとに集計した2026年の開業は、2026年10月17日時点で31件856室にのぼるが、そのうち18件は貸別荘で、1棟1室の物件が大半を占める。80室以上に絞ると5棟686室になり、県の客室供給に実質的な影響を与えるのはこの5棟といってよい。

ただし、この5棟を各社の公表資料で一つずつ確かめると、性格はかなり異なる。アメイズ(大分市)が運営するHOTEL AZ 香川観音寺店(158室)は2026年1月18日に国道沿いの坂本町に新築で開業し、同社の県内3店舗目にあたる。同じアメイズのHOTEL AZ 香川三木店(158室)は3月に三木町鹿伏で開業し、学園通り駅から徒歩約7分、高松東ICから車で約7分の立地である。一方で、観音寺市坂本町のスマイルホテル観音寺(91室)は7月1日に旧ホテルシェトワ観音寺をリブランドしたもので、運営会社のホスピタリティオペレーションズのリリースでも「リブランドオープン」と明記されている。高松市兵庫町のJRクレメントイン高松兵庫町(191室)は、2026年3月に営業を終えた高松東急REIホテルの建物を大規模な内装リニューアルのうえ7月1日に開業したもので、客室数191室は改装前と変わらない。HOTEL RAH(88室、高松市丸の内11-17)は2026年9月に主要予約サイトでの掲載開始を確認できたが、建物の経緯や開業日を示す公表資料は見当たらなかった。

表1 2026年に香川県で開業した80室以上の5棟(供給としての性格)
施設所在地客室開業(掲載開始)供給としての性格
HOTEL AZ 香川観音寺店観音寺市坂本町5丁目1582026年1月18日新築 国道11号沿い・大野原ICから約12分
HOTEL AZ 香川三木店木田郡三木町鹿伏1582026年3月新築 学園通り駅徒歩約7分・高松東ICから約7分
スマイルホテル観音寺観音寺市坂本町4丁目912026年7月1日旧ホテルシェトワ観音寺のリブランド(純増ではない)
JRクレメントイン高松兵庫町高松市兵庫町9-91912026年7月1日旧高松東急REIホテルを内装改修のうえ運営転換(客室数は同じ)
HOTEL RAH高松市丸の内11-17882026年9月(掲載開始を確認)建物の経緯は公表資料で確認できず
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(OTA掲載確認ベース、2026年10月17日時点・香川県2026年開業N=31施設)/各社リリース・報道(アメイズ、ホスピタリティオペレーションズ、JR四国グループ)

ここまでを整理すると、2026年に県内で純増した80室以上の客室は、観音寺と三木のHOTEL AZ 2棟316室にほぼ限られる。高松中心部の2棟は既存ストックの入れ替えであり、県都の客室総量を押し上げる性格のものではない。したがって「香川に2026年、686室が積まれた」という見出しの数字よりも、「県都の外側に316室が新築された」という構図のほうが投資判断には重要である。しかも観音寺では2025年11月にホテルルートイン観音寺(187室)が大野原ICから8分の立地に開業しており、西讃の供給増は2年がかりで進んできた。

観音寺駅2km圏は267室から786室へ — 2年で2.4倍、三木は39室から197室

観音寺駅(北緯34.1283度、東経133.6497度)を中心とする半径2km圏の客室数を、開業年と閉館年が確認できる施設で年末時点ごとに積み上げると、2017年から2022年までは7〜9施設・267〜280室で安定していた。2023年にハイパーイン観音寺駅前(41室)などが加わって330室になり、2025年にホテルルートイン観音寺(187室)とHotel O. Setouchi(19室)で536室、2026年にHOTEL AZ 香川観音寺店(158室)と1棟貸しの小規模物件で786室に達した。2024年末から2026年にかけての増加は456室で、既存ストック330室に対して2.4倍に膨らんだ計算になる。

観音寺駅2km圏の客室数推移(各年末時点・開業済かつ閉館前の施設)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(主要予約サイト掲載ベース、2026年10月17日時点、2026年は17施設)。スマイルホテル観音寺91室は旧ホテルシェトワ観音寺のリブランドで、同一建物を2026年の開業として計上している

ただし786室という数字はそのまま純増ではない。スマイルホテル観音寺の91室は旧ホテルシェトワ観音寺の看板替えで、2025年以前から同じ建物で営業していた。これを既存側に戻すと、2025年から2026年にかけての実質的な純増はHOTEL AZの158室と1室の貸別荘1件で、既存627室(536室にスマイルホテル観音寺の91室を戻した値)に対しておよそ+25%となる。それでも2025年11月のルートイン187室を含めれば、西讃の中心都市の客室はわずか1年あまりで345室、ルートイン開業前の既存約440室(旧ホテルシェトワ観音寺の91室を含む)に対して8割近くが上乗せされた。この規模感は、人口約5.4万人(2025年国勢調査速報)の観音寺市にとって小さくない。

表2 観音寺駅2km圏の主な宿泊施設(10室以上)
施設(観音寺駅2km圏・10室以上)客室開業種別
ホテルルートイン観音寺1872025年11月ビジネスホテル(準工業地域)
HOTEL AZ 香川観音寺店1582026年1月ビジネスホテル(第1種住居地域)
観音寺グランドホテル1101973年シティホテル
スマイルホテル観音寺(旧ホテルシェトワ観音寺)912026年7月リブランドビジネスホテル
ホテル サニーイン621989年ビジネスホテル
ハイパーイン観音寺駅前412023年3月ビジネスホテル
パークホテル観音寺382006年ビジネスホテル
琴弾荘221989年観光ホテル
Hotel O. Setouchi192025年2月リゾートホテル
ワカマツヤ/ファミリーロッジ旅籠屋・讃岐観音寺店14/142001年/2013年ビジネスホテル
GLAMPPREMIER Setouchi122022年グランピング
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(観音寺駅2km圏・主要予約サイト掲載ベース)。用途地域は国土交通省 不動産情報ライブラリ。このほか10室未満の施設5件(計18室)が圏内にある

三木町の変化はさらに極端である。HOTEL AZ 香川三木店を中心とする2km圏には、2025年末まで花樹海別館 さぬき トレスタ白山(39室)しか主要予約サイトに掲載された宿泊施設がなく、2026年に158室が加わって2施設197室になった。既存ストック比で5倍、実質的にゼロからの供給創出といえる。対照的に高松市兵庫町のJRクレメントイン高松兵庫町を中心とする2km圏は、2017年の75施設4,912室から2025年に121施設5,952室へ拡大してきたが、2026年は東急REIからJRクレメントインへの転換を同一建物として扱うと127施設6,059室で、純増はHOTEL RAHの88室と小規模物件を合わせた107室にとどまる。県都の中心部は供給が成熟期に入り、増分は県都の外側に移っている。

3地点の立地条件 — 地価は観音寺5.9万円・三木3.3万円・高松兵庫町48.6万円

投資の分母を決めるのは土地である。国土交通省 不動産情報ライブラリの2026年公示地価・基準地価を3地点の周辺で拾うと、観音寺市坂本町5丁目の商業地(HOTEL AZ 香川観音寺店から約240m)が59,200円/㎡で前年比−0.2%、観音寺町字白浜の商業地が55,000円/㎡(−0.4%)、栄町1丁目の基準地が58,100円/㎡(−0.9%)と、観音寺の商業地は6万円弱でわずかに軟化している。三木町鹿伏の基準地(AZ三木店から約200m、商業地)は32,800円/㎡で−0.6%、池戸の公示地も32,100円/㎡(−0.3%)と、三木はさらに一段低い。これに対して高松市中心部は磨屋町の商業地が486,000円/㎡(+3.6%)、丸亀町が480,000円/㎡(+3.7%)、西の丸町が268,000円/㎡(+3.1%)と上昇基調にあり、県都と県都外で地価は8〜15倍の開きがある。

2026年開業5棟と3地点の2km圏(円の大きさ=客室数)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング。破線の円は各地点の半径2km
観音寺(HOTEL AZ 香川観音寺店・坂本町)
用途地域第1種住居地域 200%/60%
近傍の公示地価(商業地)¥59,200/㎡(−0.2%)
駅1km圏の事業所・従業者543事業所・4,475人
高速IC大野原ICから約12分
三木(HOTEL AZ 香川三木店・鹿伏)
近傍の基準地価(商業地)¥32,800/㎡(−0.6%)
主要需要施設香川大学医学部附属病院 613床・職員1,614人
アクセス学園通り駅徒歩約7分・高松東IC約7分
高松兵庫町(JRクレメントイン高松兵庫町)
用途地域商業地域 600%/80%
近傍の公示地価(商業地)¥486,000/㎡(+3.6%)
1km圏の事業所・従業者4,075事業所・43,448人
オフィス系従業者比率25.7%
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(地価公示・都道府県地価調査2026年、用途地域)/総務省・経済産業省 経済センサス-活動調査(2021年)

用途地域を重ねると、立地の性格がさらに読める。HOTEL AZ 香川観音寺店の敷地は第1種住居地域(容積率200%・建蔽率60%)、ホテルルートイン観音寺は準工業地域(同200%・60%)に建つ。いずれも駅前の商業地域(400%・80%)ではなく、国道沿いの低層地に平面駐車場を広く取るロードサイド型であり、ルートイン観音寺は無料の平面駐車場137〜140台を備える。一方、JRクレメントイン高松兵庫町は商業地域(600%・80%)、HOTEL RAHも商業地域(400%・80%)に位置し、こちらは高容積の中心市街地にある既存建物を使い回す型である。同じ「2026年開業」でも、県都外は土地を広く使って建てる供給、県都は建物を転換する供給という違いがあり、これは必要単価の試算にも効いてくる。

需要の出どころ — 製造業の出張、大学病院、高松道のIC、八十八カ所

県都外に300室超の宿泊特化型が成り立つと事業者が判断した背景には、観光ではなく業務需要がある。総務省・経済産業省の経済センサス-活動調査(2021年)を観音寺駅1km圏で集計すると、事業所543・従業者4,475人で、そのうちオフィス系従業者の比率は6.9%にすぎない。つまり駅前にオフィス街があるわけではなく、需要は圏外の工場群から来る。METIのRESAS地域経済分析では、観音寺市の主要産業はパルプ・紙・紙加工品製造業と食料品製造業とされ、隣接する三豊市は食料品製造業の労働生産性が大きく向上している地域として紹介されている。紙・衛生用品や食品の工場は設備投資や保全の出張者を継続的に生み、週明けから木曜までの平日需要を支える。

アメイズ自身も、観音寺店の開業発表でビジネス利用者と四国八十八カ所巡りの拠点という二つの目的を挙げている。観音寺市内には第68番神恵院・第69番観音寺が並び、三豊市の第70番本山寺、第71番弥谷寺へと続く区間で、徒歩やバスの巡礼者が宿を必要とする。加えて高松自動車道の大野原ICから約12分、さぬき豊中ICも近く、松山・高知方面と瀬戸大橋をつなぐ移動の中継点として車利用者を拾える。

三木町の需要構造はもっとはっきりしている。町内池戸には香川大学医学部附属病院があり、2025年4月1日時点で613床、職員1,614人(医師・歯科医師・研修医440人、看護師・助産師721人)を抱える。大学病院は患者家族の付き添い、学会・研修、医療機器や製薬の営業といった宿泊需要を年間を通じて生むが、三木町には2025年までトレスタ白山の39室しか主要予約サイトに掲載された宿がなく、その需要は高松市内へ流れていた。AZ三木店の158室はこの流出分を町内で受ける位置にあり、高松東ICから7分という距離は高松市街地へのアクセスも兼ねる。なお同地点の1km圏は経済センサスの小地域集計が疎なため、本稿では就業人口を需要根拠には用いない。

高松兵庫町は対照的で、1km圏に事業所4,075・従業者43,448人、オフィス系比率25.7%と四国有数の業務集積を持つ。JRクレメントイン高松兵庫町はJR高松駅から徒歩7分、空港リムジンバスの兵庫町停留所に面しており、JR四国グループが四国4県と兵庫県で運営する9ホテルの一つとして、ビジネスとインバウンドの両方を取り込む立地である。

新規供給後の埋まり方 — 県のビジネスホテル稼働率は供給増でも前年を上回る

供給が積まれた後に需要が追いついているかを、まず公的統計で確かめたい。観光庁「宿泊旅行統計調査」の客室稼働率(香川県・ビジネスホテル)は、2024年の年間62.5%から2025年に69.7%へ上がり、2026年は1月60.9%、2月74.6%、3月75.6%、4月71.0%、5月71.3%、6月63.6%、7月66.8%(いずれも速報値)で推移している。2025年の同月はそれぞれ57.6%、67.5%、69.5%、66.5%、72.8%、65.1%、65.1%であったから、1〜7月の単純平均は66.3%から69.1%へ+2.8ポイントとなる。この間に県内では東横INN高松駅前150室(2025年3月)、ルートイン観音寺187室、AZ観音寺店158室、AZ三木店158室が加わっているにもかかわらず、稼働率は前年を上回った。ただし2026年1月から調査の層化基準が従業者数から客室数へ変更されており、前年との比較には幅を持たせて読む必要がある。

香川県 ビジネスホテルの客室稼働率 — 2025年 vs 2026年(観光庁・2026年は速報値)
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」推移表(都道府県別・宿泊施設タイプ別 客室稼働率)。2026年1月以降は層化基準の変更あり

直近3ヶ月の需給は、メトロエンジンリサーチの推定OCC(OTA掲載在庫ベース)で補う。香川県全体(対象128〜133施設/客室5,506〜5,694室、主要予約サイト掲載ベース)の推定OCCは2026年7月77.5%、8月83.9%、9月80.1%で、ビジネスホテル(対象42施設/客室2,995室)に限ると79.3%、82.9%、79.4%である。曜日別に見ると、ビジネスホテルは9月の日〜木曜が79.4%、金・土曜が79.2%とほぼ平らで、旅館(9月:日〜木77.4%、金土84.5%)やリゾート(同78.4%、84.3%)のように週末へ偏らない。平日に業務需要で埋まる構造が県全体のビジネスホテルで確認でき、県都外の宿泊特化型が狙う市場はまさにこの平日である。

表3 香川県・高松市の推定OCC(2026年7〜9月、OTA掲載在庫ベース)
エリア・業態(2026年)対象施設/客室7月8月9月9月 日〜木9月 金・土
香川県 全業態128〜133施設/5,506〜5,694室77.5%83.9%80.1%79.4%81.8%
香川県 ビジネスホテル42施設/2,995室79.3%82.9%79.4%79.4%79.2%
香川県 旅館24〜28施設/1,148〜1,298室72.7%84.3%79.3%77.4%84.5%
高松市 全業態55〜57施設/2,893〜2,895室76.8%80.8%78.4%77.9%79.7%
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(推定OCC=OTA掲載在庫ベース、総客室の30%以上を主要予約サイトに掲載する施設の固定コホート、LT45〜1の観測)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なります

観音寺市単独の推定OCCは、固定コホートの施設数が10に満たないため本稿では算出しない。代わりに施設別の残室推移を見ると、2026年9月7日から18日の平日中心の12日間で、ハイパーイン観音寺駅前(41室、主要予約サイト公開枠は総客室の92.7%)は12日中11日で残室0室に到達し、ファミリーロッジ旅籠屋・讃岐観音寺店(14室、同71.4%)も11日で残室0室を観測した。ホテルルートイン観音寺(187室)も11日で残室0室に達しているが、同施設の主要予約サイト公開枠は総客室の31%にとどまるため、これは公開枠の中での完売であり、施設全体が満室であったことを意味しない。公開枠が小さい理由は、公式サイトや法人契約など他チャネル中心の販売、チェックインが近づくにつれ在庫を小出しにする運用、予約サイトへの割当自体を絞った契約などいくつかの可能性が考えられる。いずれにせよ、開業から1年未満の187室が平日に主要予約サイト上の枠を使い切っている事実は、西讃の平日需要が新規供給を吸収しつつあることを示す(観音寺市の観測対象は38施設中17施設、公開枠30%以上の11施設で判定)。

単価 — 観音寺9月は6,653円で前年比−5.1%、高松は8,620円で+5.9%

稼働が持ちこたえた一方で、単価には供給増の影が見える。観音寺市の推定成約ADRは2026年9月が6,653円(N=12施設)で、前年同月の7,013円(N=9施設)から−5.1%となった。7月は6,463円(前年6,484円、−0.3%)、8月は6,618円(前年6,362円、+4.0%)で、夏場は前年並みを保ち、9月に軟化した形である。三豊市は9月6,784円で前年7,557円から−10.2%(N=5施設)、三木町は6,873円(対象2施設で母数が小さい点に留意)となる。一方、県都の高松市は9月8,620円で前年8,138円から+5.9%、丸亀市は7,096円で前年6,544円から+8.4%と上向いた。高松市の8月は9,014円で前年10,665円から−15.5%に見えるが、前年の8月は瀬戸内国際芸術祭2025の夏会期(8月1日〜31日)にあたり、107日間の会期で延べ108万人が訪れた芸術祭の会期年との比較であることを踏まえる必要がある。

推定成約ADR 月次推移 — 観音寺市・高松市(2025年 vs 2026年、1室あたり・税抜相当)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(観音寺市N=9〜13施設、高松市N=67〜74施設。2026年は確定した9月までを表示)。本記事のADRは推定値(REIT開示実績との照合で誤差中央値約7%)
表4 香川県主要市町の推定成約ADR(2026年9月と前年同月)
市町2026年9月 推定成約ADR2025年9月前年同月比対象施設
高松市¥8,620¥8,138+5.9%N=74
丸亀市¥7,096¥6,544+8.4%N=12
三木町¥6,873¥6,373(対象2施設・参考値)N=2
三豊市¥6,784¥7,557−10.2%N=5
観音寺市¥6,653¥7,013−5.1%N=12
香川県 ビジネスホテル¥7,511¥7,397+1.5%N=91
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(推定成約ADR、2名1室利用時の1室あたり・税抜相当、各市町の中央値)

西讃で単価が下がり、県都と丸亀で上がった構図は、供給の積まれた場所と需要の強い場所がずれていることを意味する。観音寺の新規2棟はいずれも推定成約ADRで1室1万円未満の価格帯(2026年9月:ホテルルートイン観音寺7,511円、HOTEL AZ 香川観音寺店5,796円)で開業しており、既存の観音寺グランドホテルやサニーインがこれまで取っていた6,000〜7,000円台の中央値に対して、同じ帯に大量の新しい客室が加わった。需要側が平日の業務利用で埋まるぶん、単価を上げる余地は限られ、吸収は「稼働を保って単価を譲る」形で進んでいる。これは短期的には既存宿の収益を圧縮するが、中期的には観音寺の宿泊キャパシティが8割近く増えたことで、これまで高松や丸亀に流れていた西讃の出張・巡礼需要を地元で受け止められるようになったという見方もできる。県内16市町の単価がどの層に分かれ、秋にかけて層ごとにどう立ち上がるかは、香川16市町の単価階層マップ2026 — 県内9.4倍差、秋の立ち上がりは層で5倍違うで整理している。

同じ町に並ぶ二つの運営 — 年間同一価格の宿と、日別に動かす宿

観音寺駅2km圏では、価格の付け方が対照的な二つの運営が同じ価格帯に並んでいる。2026年9月の1ヶ月間、各施設の日別の掲載価格(2名1室・平均プラン)を追うと、HOTEL AZ 香川観音寺店は30日間すべてが9,378円で一定であった。同社は「365日同一価格」を商品の柱に掲げており、年末年始やゴールデンウィークも含めて価格を変えない方針を開業時の報道でも明言している。ハイパーイン観音寺駅前(8,174〜8,890円)とパークホテル観音寺(7,503〜8,240円)も変動幅は1割未満で、予約した時点で支払額が確定する安心感を売る運営といえる。

これに対してホテルルートイン観音寺は10,584〜21,132円、スマイルホテル観音寺は9,099〜22,457円、琴弾荘は11,468〜24,114円と、需要の強い日には平日の2倍前後まで価格を動かしている。観音寺グランドホテル(10,598〜15,658円)とホテル サニーイン(8,767〜12,444円)はその中間で、週末や連休に緩やかな上乗せをする型である。どちらが優れているという話ではなく、役割が違う。同一価格の宿は法人契約や巡礼者のように予算を先に決める客層に強く、需要の読みにくい地方都市で安定した稼働を作る。日別に動かす宿は、花火大会や芸術祭、工場の定期修繕期といった需要の山で単価を確保し、年間の収益を上積みする。新規参入を検討する側にとっては、この二層が既に揃っている市場に第三の軸(たとえば朝食や駐車場、連泊割引の商品設計)で入る必要があるということである。

観音寺駅2km圏 主要8施設の掲載価格レンジ(2026年9月1〜30日、2名1室・税込、横棒=最安日〜最高日)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(各日の平均プラン価格、N=30日×8施設)。掲載価格であり成約価格ではない

100〜160室ロードサイドの必要ADR — 建設費150万円/坪なら6,700円、240万円なら1万円超

ここからは、観音寺・三木と同じ条件で150室のロードサイド型宿泊特化ホテルを新たに建てる場合に、どの単価が必要になるかを試算する。前提は次のとおりである。敷地4,000㎡(平面駐車場を含む)、延床面積約1,000坪(3,300㎡、1室あたり22㎡)、鉄骨造。土地は観音寺が坂本町5丁目の公示地価59,200円/㎡、三木が鹿伏の基準地価32,800円/㎡を適用する。建設費は国土交通省 建築着工統計に基づく2025年の鉄骨造全国平均240.5万円/坪をケースB、宿泊特化型の下限として業界資料で示される150万円/坪をケースAとし、2028年開業を想定して2026年+5.3%、2027年+5.0%の建設費上昇(Turner & Townsendの日本市場予測)を織り込む。GOP率は45%(インヴィンシブル投資法人が開示する運営91物件の38.9%と、宿泊特化型の目安50〜60%の中間)、稼働率は通年80%(モデル上の仮定。観光庁統計の2025年県ビジネスホテル69.7%より高く、当社推定OCCの直近3ヶ月79〜83%に相当)を置く。なお表中の「NOI利回り」はGOP(客室売上×45%)を総投資額で割った簡易形で、FF&E積立や固定資産税は差し引いていない(差し引いた場合は後掲の表6右列)。

表5 150室ロードサイド型の総投資額と必要ADR(観音寺・三木、建設費2ケース)
項目観音寺 A(150万円/坪)観音寺 B(240.5万円/坪) 2025年S造平均三木 A三木 B
土地(4,000㎡)¥2.4億¥2.4億¥1.3億¥1.3億
建設費(2025年水準)¥15.0億¥24.1億¥15.0億¥24.1億
建設費(2027年着工・インフレ織込み)¥16.6億¥26.6億¥16.6億¥26.6億
総投資額¥19.0億¥29.0億¥17.9億¥27.9億
必要ADR(NOI利回り6%)¥5,800¥8,800¥5,400¥8,500
必要ADR(NOI利回り7%)¥6,700¥10,300¥6,400¥9,900
必要ADR(NOI利回り8%)¥7,700¥11,800¥7,300¥11,300
参考:2026年9月 推定成約ADR¥6,653¥6,653¥6,873(N=2)¥6,873(N=2)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング試算。地価は国土交通省 不動産情報ライブラリ(2026年)、建設費は国土交通省 建築着工統計(2025年・鉄骨造)とHOTELISM掲載の業態別目安、建設費上昇率はTurner & Townsend、GOP率はインヴィンシブル投資法人IR。簡易試算であり、実際の投資判断には詳細なフィージビリティ・スタディが必要です

結果は明快である。建設費を150万円/坪に抑えられれば、観音寺で必要なADRは利回り7%で6,700円、三木で6,400円となり、2026年9月の推定成約ADR(観音寺6,653円)とほぼ重なる。つまり低コスト工法と同一価格・無料朝食のような簡素な商品で平日稼働80%を作れる運営であれば、現在の単価水準でも成立しうる。逆に2025年の鉄骨造全国平均240.5万円/坪で建てると、必要ADRは観音寺で1万円超、三木で9,900円となり、現状の単価より5割高い水準を通年で取らなければならない。地価が安いぶん土地の寄与は小さく(総投資額の5〜13%)、成否を分けるのは建設単価とGOP率である。この構図は、2026年に県都外へ入ったのがローコスト運営に強みを持つチェーンであったことと整合する。

感応度も押さえておきたい。ケースA・利回り7%の観音寺を基準に、ADRが−10%なら必要稼働率は通年89%、稼働率が−5ポイント(75%)なら必要ADRは7,200円になる。両方が同時に起きると利回りは7%から5.9%前後へ下がる。開業初年度は稼働の立ち上がりに時間がかかるため、初年度の通年稼働率を65〜70%で見た場合の資金繰りを別途確認しておくべきである。

建設単価と稼働率を同時に動かすと、成立条件の幅がはっきりする。下表は観音寺の150室型について、上の試算と同じ前提(土地2.4億円、2026〜2027年の建設費上昇を織り込み、GOP率45%、利回り7%)のまま、建設単価を4段階、通年稼働率を5段階に振った必要ADRである。右端の列は、本稿の簡易形ではGOPをそのままNOIとして扱っている点を補うため、FF&E積立(客室売上の4%)と固定資産税・保険料等(総投資額の0.8%と仮置き)を差し引いた場合の値を示した。

表6 観音寺・150室型の必要ADR(利回り7%)— 建設単価×通年稼働率(仮定値)
建設単価(2025年水準)総投資額65%70%75%80%85%80%・FF&E等控除後
150万円/坪¥19.0億¥8,300¥7,700¥7,200¥6,700¥6,300¥8,200
180万円/坪¥22.3億¥9,700¥9,000¥8,400¥7,900¥7,400¥9,700
210万円/坪¥25.6億¥11,200¥10,400¥9,700¥9,100¥8,600¥11,100
240.5万円/坪¥29.0億¥12,700¥11,800¥11,000¥10,300¥9,700¥12,600
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング試算(表5と同一前提。列見出しは通年稼働率の仮定値、必要ADRは100円単位で四捨五入)。参考:観音寺市の推定成約ADRは2026年9月6,653円

2026年9月の推定成約ADR 6,653円で利回り7%を確保できるのは、通年稼働率80%なら建設単価がおよそ148万円/坪以下、つまり表の最上段とほぼ同じ水準までに限られる。稼働率が70%にとどまれば150万円/坪でも7,700円が必要になり、現状の単価では届かない。さらにFF&E積立と固定資産税等を差し引くと、同じ6,653円で7%を出せる建設単価はおよそ117万円/坪まで下がる。三木は土地が1.1億円安いぶん同条件で約158万円/坪までが目安となるが、ADRの母数が2施設と小さい。上の本文で「現在の単価水準でも成立しうる」としたのは、建設単価を宿泊特化型の下限まで抑え、かつ平日稼働で通年80%を作れる運営に限った話であり、表6の右列が示すとおり、運営費の控除まで含めると新築の採算線は現行単価より一段上にある。三木の小型案件や高松の転換型が新築より現実的とする後段の判断は、この幅を踏まえたものである。

2027年以降のパイプライン — 確認できたのは高松92室・直島22室、着工統計は2024年に急増

今後の供給は、公表資料で確認できたものに限って書く。2027年の開業予定として香川県で確認できるのは、高松市サンポート地区のマンダリン オリエンタル 瀬戸内-高松(92室、地上13階・地下1階、2027年夏予定)と、直島町本村のマンダリン オリエンタル 瀬戸内-直島(22室、同時期予定)の2件114室である。高松の案件は当初2025年9月開業の計画が建設資材高騰による設計見直しで2年ほど遅れ、階数も19階から13階へ変更された経緯があり、2024年7月の報道時点で2027年夏の開業と1泊8万円以上の価格帯が示されている。観音寺市、三豊市、三木町、丸亀市で2027年以降の開業を示す公表資料は、本稿執筆時点で見当たらなかった。国土交通省「建築物動態統計調査」に基づく当社の計画データにも香川県の該当案件はなく、これは確認申請が未提出の計画が今後追加される可能性を否定するものではない。マンダリン オリエンタルの2件が瀬戸内のラグジュアリー市場に与える影響については、マンダリン オリエンタル瀬戸内が変える地方ラグジュアリー市場|香川ADR+17%の背景と開業インパクト試算が別途試算している。

香川県 宿泊業用建築物の着工床面積と棟数(2017〜2024年)
出典:e-Stat「建築着工統計調査」(統計ID: 0003114490、用途:宿泊業用、建築主計)。2024年の71棟には小規模な貸別荘・簡易宿所を含む

先行指標としての建築着工統計を見ると、香川県の宿泊業用建築物は2023年の12棟・6,638㎡・工事費予定額15.6億円から、2024年に71棟・26,610㎡・236.1億円へ急増した。棟数の多くは小規模な貸別荘や簡易宿所と見られるが、床面積2.66万㎡は2017年(15棟・1.93万㎡)、2020年(20棟・2.16万㎡)を上回る過去最大級で、2025〜2026年に観音寺・三木の2棟とルートイン観音寺が立ち上がった時期と符合する。2025年の年次集計(用途区分が「ホテル又は旅館」に変わったため2024年以前とは系列が異なる)では、香川県は38棟・22,188㎡・工事費予定額154.3億円で、床面積は2024年に次ぐ水準を保った。2027〜2028年に向けた次の波があるかは、この水準が続くかで判断することになる。都道府県別の着工床面積を客室数に換算し、既存ストック比で供給の厚みを並べた分析はホテル着工は2024年に倍増しピークの57% — 今後9.7万室、京都12%・群馬380%の供給地図で扱っている。

需要側のイベントとしては、瀬戸内国際芸術祭の次回会期が2028年に予定されている。2025年は春・夏・秋の107日間で延べ108万人が来場し、前回の1.5倍、経済波及効果は195億円と報じられた。会期年の高松市の推定成約ADRは8月に10,665円へ跳ね上がっており、2028年に向けて県都の客室が逼迫する局面では、高松から電車で30〜40分の観音寺・三木の客室が受け皿になりうる。県都外の供給は平日の業務需要で基礎を作り、3年に一度の会期年に上積みを取るという設計が、2026年の2棟316室を吸収する現実的なシナリオだろう。

投資判断サマリー — 三つの入り方と主なリスク

充足 観音寺 6,000〜1万円帯・ロードサイド

ルートイン187室とAZ158室で2年間に345室が加わり、同一価格型と日別変動型の両方が揃った。同じ帯での新築追加は、建設費150万円/坪級と平日稼働80%が同時に成り立つ運営に限られる。

機会① 三木・大学病院需要の第2の受け皿

613床・職員1,614人の大学病院に対して町内の客室は197室。地価3.3万円/㎡と県都の15分の1で、付き添い・研修・医療営業向けに連泊と朝食を設計した60〜100室の小型案件に余地がある。

機会② 高松中心部の既存建物リポジショニング

兵庫町2km圏は127施設6,059室で新築の純増が止まり、2026年の2棟は転換型。地価48.6万円/㎡の商業地では、築古建物の取得・改修で2028年の芸術祭会期年に単価を取る戦略が新築より現実的である。

表7 投資判断上の主なリスク要因
リスク要因評価内容
単価の下押し(西讃)中観音寺市の9月ADRは前年比−5.1%、三豊市−10.2%。2年間で既存比8割近い供給が入り、単価回復には平日以外の需要源(巡礼・会期年)が要る
建設費高2025年の鉄骨造全国平均240.5万円/坪で建てると必要ADRは1万円超。2026〜2027年も年5%前後の上昇予測。一方で建設費高騰は追随する新規供給を抑える要因でもある
追加供給低観音寺・三木・丸亀で2027年以降の公表計画は確認できず。確認申請ベースの計画データも現時点ではゼロ(今後の申請追加で増える可能性はある)
需要の単一性中三木は大学病院、観音寺は製造業に需要が集中。設備投資サイクルや病院の再編が稼働に直結する
地価低観音寺・三木の商業地はいずれも前年比−0.2〜−0.9%で、用地取得コストは総投資額の5〜13%にとどまる
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング

まとめ

2026年に香川県で開業した80室以上の5棟686室は、公表資料で分解すると新築2棟316室と既存建物の転換3棟370室に分かれ、純増は県都の外側、観音寺と三木に集中した。観音寺駅2km圏の客室は2017年の267室から786室へ、三木は39室から197室へ増えたが、県のビジネスホテル客室稼働率(観光庁)は2026年1〜7月平均で前年比+2.8ポイントと持ちこたえ、推定OCCでも直近3ヶ月は79〜83%で平日と週末の差がほとんどない。吸収は進んでいるが、その代償として観音寺市の推定成約ADRは9月に6,653円(前年比−5.1%)へ下がり、県都の高松市(8,620円、+5.9%)との差が広がった。同じ条件で150室を新築する場合、建設費150万円/坪なら必要ADRは現状水準と重なるが、2025年の鉄骨造平均240.5万円/坪では1万円超が必要になる。県都外の供給を次に積むなら、地価の安さではなく建設単価と平日需要の確度で判断すべきであり、三木の大学病院需要と、2028年の芸術祭会期年に県都から溢れる需要が、その確度を支える材料になる。

よくある質問

Q. 2026年に香川県で新築開業した大型ホテルはどこですか。
A. 各社の公表資料で新築として確認できたのは、HOTEL AZ 香川観音寺店(158室、1月18日開業)とHOTEL AZ 香川三木店(158室、3月開業)の2棟です。JRクレメントイン高松兵庫町(191室)は旧高松東急REIホテルの内装改修による運営転換、スマイルホテル観音寺(91室)は旧ホテルシェトワ観音寺のリブランドです。

Q. 観音寺市のホテル単価はいくらですか。
A. メトロエンジンリサーチの推定成約ADR(2名1室利用時の1室あたり・税抜相当)は2026年9月で6,653円、前年同月は7,013円でした。高松市は同月8,620円です。

Q. 観音寺で150室のビジネスホテルを建てる場合、どれくらいの単価が必要ですか。
A. 本稿の簡易試算では、建設費150万円/坪・通年稼働率80%・NOI利回り7%の前提で必要ADRは約6,700円、建設費を2025年の鉄骨造全国平均240.5万円/坪とすると約1万300円です。実際の判断には詳細なフィージビリティ・スタディが必要です。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチ&コンサルティングの新規開業データ(主要予約サイトでの掲載確認ベース、2026年10月17日時点)、半径2km圏の客室供給時系列(各年末時点で開業済かつ閉館前の施設、同一建物の運営転換は1施設として計上)、市町別の推定成約ADR(2024年7月〜2026年9月)、推定OCC(固定コホート・LT45〜1)、施設別の掲載価格と残室推移。公的データは観光庁「宿泊旅行統計調査」、国土交通省 不動産情報ライブラリ(地価公示・都道府県地価調査・用途地域)、建築着工統計調査、経済センサス-活動調査(2021年)。

■ 試算前提

150室・延床約1,000坪(3,300㎡)・敷地4,000㎡・鉄骨造。総投資額=土地(公示地価・基準地価×4,000㎡)+建設費(坪単価×1,000坪×1.053×1.050)で、設計費・FF&E初期投資・開業費・金利は含まない。必要ADR=総投資額×目標利回り÷(GOP率45%×150室×365日×通年稼働率)。表5の「NOI利回り」はGOPをそのまま用いた簡易形で、FF&E積立(客室売上の4%)と固定資産税・保険料等(総投資額の0.8%と仮置き)を控除した値は表6右列に示した。

■ 限界・留意点

推定成約ADR・推定OCCはOTA掲載在庫に基づく推定値で、施設の実績値とは異なる。三木町(N=2)・三豊市(N=5)は母数が小さく参考値。観光庁の2026年値は速報値で、2026年1月から層化基準が変更されている。建築着工統計は2025年から用途区分が「ホテル又は旅館」に変わり、2024年以前の「宿泊業用」とは系列が異なる。開業一覧は80室以上に限っており、リブマックスリゾート観音寺(55室、2026年6月、観音寺駅から約4km)など80室未満の開業は5棟に含めていない。必要ADRは土地・建設費のみを分母とする簡易試算で、実際の投資判断には詳細なフィージビリティ・スタディが必要である。

■ 市場データ

  • メトロエンジンリサーチ&コンサルティング — 新規開業データ(OTA掲載確認ベース、香川県2026年N=31施設)、エリア客室供給時系列(観音寺駅・三木・高松兵庫町 各2km圏)、推定成約ADR(市町別・2024年7月〜2026年9月)、推定OCC(香川県128〜133施設/高松市55〜57施設、2026年7〜9月)、施設別残室推移(観音寺市、2026年9月7〜18日)、掲載価格(観音寺駅2km圏8施設、2026年9月)

■ 政府統計・公的データ

■ REIT・業界レポート

■ ニュース・プレスリリース

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