2026年の12月は、クリスマスイブの12月24日が木曜、クリスマス当日の25日が金曜、26日が土曜という並びになる。大晦日の31日も木曜で、元日は金曜、仕事始めの1月4日は月曜だ。イブと大晦日がどちらも「平日の木曜」に落ちるこの暦は、曜日ごとに料金表を組んでいる宿ほど値決めの判断が分かれやすい。本稿では、調査時点(2026年9月25日)でOTA等に掲載されている12月1日〜1月4日の宿泊価格を、同じ施設の「通常の木曜・金曜・土曜」と突き合わせ、特別日にどれだけ上乗せされているかを東京・大阪・京都・北海道・沖縄と箱根・熱海・草津の8エリア、3,955施設(客室33万481室)で定量化する。
本記事における指標の定義
- ADR(平均客室単価):各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。
- OCC(稼働率):エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値、REIT月次公表値との整合性検証で概ね数pt 程度の精度を確認済)。本稿では数値としては用いていません。
- 掲載価格(最安プラン):各施設が宿泊日ごとに掲載している最も安いプランの価格(2名1室利用時の1室あたり料金・税込)。日別の比較はこの値で行っています。
- 通常木曜・通常金曜・通常土曜:12月10日(木)・17日(木)、11日(金)・18日(金)、12日(土)・19日(土)の各2日の平均。特別日の値をこの基準で割った比率を施設ごとに求め、その中央値をエリア・業態の値としています(同じ施設どうしの比較のため、施設構成の違いに左右されません)。
- LT(リードタイム):チェックイン日までの日数。
- データ出典:メトロエンジンリサーチ
- — イブ12/24は木曜。都市部の掲載価格は通常木曜比で東京都+1.9%、大阪府・京都府・北海道・沖縄県は±0.0%と通常の木曜並み
- — 平日イブを週末並みで出すのは主にシティホテル。通常土曜の95%超で掲載する施設は38.5%(ビジネス22.3%)、東京都のシティは通常木曜比+20.1%
- — 大晦日12/31は通常木曜比で都市部+38.7〜76.9%、箱根町+151.4%・熱海市+170.9%
- — 熱海は花火大会の12/25(金)に指数157.9、箱根は元日が指数267.0で期間最高。地域の催事が曜日並びを上書きする
- — 在庫消化を比べられるのはイブが11/9、大晦日が11/16(LT45到達)から。それまでは競合の掲載価格の配置が先行指標
12月の曜日並び — イブも大晦日も「木曜」に落ちる年
2026年12月の特別日を曜日で並べると、24日(木)・25日(金)・26日(土)、そして31日(木)・1月1日(金)となる。前年の2025年はイブが水曜、クリスマスが木曜だったため、今年は「クリスマスが金曜夜」「その翌日が土曜」という形で週末と連結するのが大きな違いだ。熱海では12月25日(金)が冬の熱海海上花火大会の開催日にも当たっている。
年末年始については、官公庁の休日が12月29日(火)〜1月3日(日)で、1月4日(月)が仕事始めとなる。つまり大晦日と元日はいずれも休暇期間のただ中の平日で、1月2日(土)・3日(日)が休暇の最後の週末になる。曜日別の料金表をそのまま流用すると、31日は「木曜料金」、1日は「金曜料金」が起点になりかねない配置である。
では、各地の宿は現時点でこの並びをどう値決めしているのか。以下では、月次のADR、日別の掲載価格、業態別の上乗せ幅、そして予約の埋まり方を観測できるタイミングの順に見ていく。
月次で見る12月・1月の推定成約ADR — 1月は都市部で下がり、温泉地では横ばい
まず月単位の水準を確認する。メトロエンジンリサーチの推定成約ADRを見ると、2026年12月は東京都が約1万7,500円、京都府が約1万7,400円、大阪府が約1万800円で、いずれも10〜11月より低い。これに対し北海道は12月に約1万2,500円、1月に約1万3,100円と、冬の需要期に向けて水準が上がる。箱根町・熱海市・草津町の温泉地3エリアは12月・1月とも10〜11月と同等かそれ以上を保つ。
図1 2026年12月・2027年1月の推定成約ADR(エリア別)
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
表1 推定成約ADRの月次推移(円、税抜相当・エリア中央値)
| エリア | 2026年10月 | 2026年11月 | 2026年12月 | 2027年1月 | N(12月 / 1月) |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 19,000 | 18,900 | 17,500 | 13,800 | 1,039 / 987 |
| 大阪府 | 11,300 | 11,300 | 10,800 | 10,100 | 622 / 584 |
| 京都府 | 21,400 | 26,100 | 17,400 | 13,600 | 545 / 508 |
| 北海道 | 12,400 | 11,300 | 12,500 | 13,100 | 802 / 703 |
| 沖縄県 | 12,800 | 11,300 | 11,800 | 11,300 | 499 / 471 |
| 箱根町 | 28,200 | 30,300 | 29,400 | 29,000 | 163 / 146 |
| 熱海市 | 21,100 | 22,700 | 26,100 | 26,800 | 98 / 91 |
| 草津町 | 17,500 | 18,100 | 19,800 | 20,200 | 64 / 56 |
※2026年10月〜2027年1月はいずれも調査時点(2026年9月)で未到来の月であり、調査時点の掲載水準に基づく推定値。Nは推定に用いた施設数で、先の月ほど掲載が出揃っていないため少なくなる。前年同月の値は宿泊日を過ぎた月の算出基準で求めており、未来月とは算出基準が異なるため、本稿では前年同月比を示していない。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
月次の値は12月全体を均した平均像であり、12月は上旬と特別日の差が大きい月でもある。京都府で12月が11月より大きく下がるのは、11月の紅葉期の反動が効いているためと考えられる。一方、東京都のシティホテルは12月の約2万8,300円から1月は約2万3,400円へと下がり、ビジネスホテルも約1万7,100円から約1万3,300円へ下がる。都市部では1月の閑散期入りが明確で、12月の特別日でどれだけ単価を積めるかが冬季全体の収益を左右する構図が読み取れる。
表2 業態別の推定成約ADR(2026年12月 → 2027年1月、円)
| 都道府県 | シティ | ビジネス | リゾート | 旅館 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 28,300 → 23,400 | 17,100 → 13,300 | — | 13,600 → 13,600 |
| 大阪府 | 13,400 → 12,600 | 10,300 → 9,700 | — | 17,300 → 17,400 |
| 京都府 | 22,500 → 17,300 | 14,100 → 11,200 | — | 29,800 → 29,300 |
| 北海道 | 14,800 → 15,200 | 11,200 → 11,500 | 18,000 → 20,700 | 12,200 → 13,200 |
| 沖縄県 | — | 9,600 → 9,400 | 14,800 → 14,100 | — |
※Nが20施設未満のセルは「—」とした。調査時点の掲載水準に基づく推定値。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
日別に見る12/1〜1/4 — 都市部のイブは「通常木曜」とほぼ同じ水準
次に日別の動きを見る。図2は、各施設の最安プラン掲載価格を、その施設の通常木曜(12月10日・17日の平均)を100として指数化し、エリアごとの中央値を描いたものである。12月の土曜にあたる5日・12日・19日には、東京都で131〜134、大阪府で139〜143と明確な週末の山ができる。それに対し、12月24日(木)は東京都で101.9、大阪府・北海道・沖縄県・京都府では100.0と、通常木曜の水準にとどまっている。
図2 12/1〜1/4の日別掲載価格指数(都市・広域5エリア、通常木曜=100)
※各施設の最安プラン掲載価格を、同じ施設の12/10(木)・12/17(木)平均で割った比率の中央値。対象は東京都848施設、大阪府484施設、京都府724施設、北海道679施設、沖縄県617施設(日ごとのNは掲載のある施設数で変動)。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
山が立ち上がるのは25日(金)からで、26日(土)以降は年末休暇に沿って高い水準が続き、31日(木)が最も高くなる。東京都では31日の指数が160.6、大阪府では164.0に達する。京都府は12月上旬の値が120前後と高いが、これは紅葉期の終盤の料金が残っているためとみられ、比較基準に12月10日以降の木曜を用いたのはこの影響を除くためである。
同じ施設どうしで曜日をそろえて比べた結果が表3だ。12月24日(木)を通常木曜と比べた中央値は、東京都で+1.9%、ほかの4エリアは±0.0%である。これに対し12月25日(金)は大阪府で通常金曜比+10.2%、東京都で+5.4%と上乗せが見られる。大晦日は通常木曜比で+38.7%(北海道)〜+76.9%(京都府)、元日は通常金曜比で+16.0%(東京都)〜+61.7%(京都府)となった。年末年始の日別の山の形と業態ごとの商戦幅は、年末年始2026-27のホテル料金、頂点は12/31で詳しく分析している。
表3 特別日の掲載価格を同じ曜日の通常日と比べた比率(施設ごとの比率の中央値)
| エリア | 対象施設 | 客室数 | 12/24(木) 対 通常木曜 | 12/25(金) 対 通常金曜 | 12/26(土) 対 通常土曜 | 12/31(木) 対 通常木曜 | 1/1(金) 対 通常金曜 | 12/24(木) 対 通常土曜 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 876 | 122,740 | +1.9% | +5.4% | ±0.0% | +60.6% | +16.0% | 81.9% |
| 大阪府 | 505 | 67,925 | ±0.0% | +10.2% | ±0.0% | +64.0% | +38.9% | 73.8% |
| 京都府 | 837 | 29,813 | ±0.0% | +2.6% | +7.1% | +76.9% | +61.7% | 90.9% |
| 北海道 | 745 | 63,908 | ±0.0% | ±0.0% | +1.0% | +38.7% | +29.9% | 97.8% |
| 沖縄県 | 677 | 35,166 | ±0.0% | +3.4% | +7.7% | +53.8% | +40.1% | 96.9% |
| 箱根町 | 144 | 4,837 | +8.3% | +11.9% | +14.3% | +151.4% | +162.4% | 88.5% |
| 熱海市 | 100 | 4,242 | ±0.0% | +51.6% | +13.9% | +170.9% | +146.6% | 76.2% |
| 草津町 | 71 | 1,850 | ±0.0% | +2.5% | ±0.0% | +75.0% | +64.8% | 88.6% |
※最安プラン掲載価格(2名1室・税込)。比率は、同じ施設の特別日と通常日(12/10・17の木曜、12/11・18の金曜、12/12・19の土曜の各平均)の掲載がそろう施設で算出。比率ごとのNは東京都の12/24対通常木曜で826施設、12/31対通常木曜で754施設など。右端の列は、12/24(木)の価格を通常土曜の価格で割った比率。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
表3の右端の列は、平日イブを「週末」とみなして値決めしているかどうかを示す。東京都のイブは通常土曜の81.9%、大阪府は73.8%にとどまり、都市部では平日イブが週末価格よりも平日料金に近い位置で掲載されている。北海道(97.8%)と沖縄県(96.9%)は、もともと平日と土曜の差が小さい市場であることもあり、イブが週末並みに近い。水準感をつかむために東京都の実額を見ると、最安プランの掲載価格(中央値、N=714施設)は通常木曜が約1万5,800〜1万6,400円、イブが約1万6,400円、通常土曜が約2万3,000〜2万3,200円、大晦日が約2万7,000円である。平日と週末の価格差が施設ごとにどう分布しているかは、週末プレミアム、東京ビジネス24%・箱根旅館10%も参考になる。
年明けにも曜日並びの影響が出ている。東京都では1月3日(日)の指数が84.0、4日(月)が80.7と、通常木曜を下回る水準で掲載されている。仕事始め前日の日曜と月曜にあたり、Uターン後の都市部の需要が戻る手前の日程であることがうかがえる。
温泉地3エリア — 熱海は花火の12/25、箱根は元日〜1/2に山
リゾート性の強い箱根町・熱海市・草津町では、特別日の上乗せ幅が都市部よりはるかに大きい。大晦日の通常木曜比は箱根町で+151.4%、熱海市で+170.9%、草津町で+75.0%となり、箱根町・熱海市では通常の木曜の2.5〜2.7倍が中央値となる。
図3 12/1〜1/4の日別掲載価格指数(温泉地3エリア、通常木曜=100)
※算出方法は図2と同じ。対象は箱根町131施設、熱海市93施設、草津町45施設(日ごとのNは変動)。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
クリスマスについては、3エリアで様相が分かれる。熱海市は12月25日(金)の指数が157.9と、ほかの金曜よりはるかに高い。熱海市の公式観光サイトによると、2026年の冬の熱海海上花火大会は12月6日(日)と12月25日(金)に開催される予定で、12月6日の指数(146.2)が通常の日曜の水準から跳ねているのも同じ理由と考えられる。花火大会の日程が曜日並びを上書きして値決めの基準になっている例だ。
箱根町はイブの時点から通常木曜比+8.3%と上乗せが始まり、大晦日の指数は251.4、元日は267.0で期間中の最高となり、1月2日(土)も256.7と高い水準が続く。1月2日・3日は東京箱根間往復大学駅伝競走の開催日にあたり、年始の観戦需要と休暇最後の週末が重なる日程だ。草津町はイブ・クリスマスとも通常日並みにとどめ、12月30日から1月2日にかけて指数175〜185の高い水準を平らに続ける形で、年末年始に照準を絞った値付けとなっている。
業態別 — 平日イブを週末並みで出しているのはシティホテル
では、平日イブを週末価格で売ろうとしているのはどの業態か。8エリアを合算し、業態ごとにイブの価格を通常木曜・通常土曜と比べたのが表4である。シティホテルはイブの中央値が通常木曜比+9.6%で、56.7%の施設が通常木曜より5%以上高く掲載している。ビジネスホテル・リゾート・旅館はいずれも中央値が±0.0%で、イブを通常の木曜と同じ価格で掲載する施設が多い。
表4 12/24(木)の掲載価格の位置づけ(業態別・主なエリア)
| 業態 | N | 12/24 対 通常木曜 (中央値) | +5%以上に 設定した施設 | N | 12/24 対 通常土曜 (中央値) | 通常土曜の95%超で 掲載する施設 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| シティ(8エリア計) | 240 | +9.6% | 56.7% | 239 | 89.1% | 38.5% |
| うち東京都 | 77 | +20.1% | 75.3% | 76 | 93.9% | 47.4% |
| うち北海道 | 58 | +21.2% | 60.3% | 58 | 100.0% | 72.4% |
| うち大阪府 | 62 | +2.6% | 48.4% | 62 | 71.7% | 12.9% |
| ビジネス(8エリア計) | 1,321 | ±0.0% | 31.9% | 1,317 | 79.8% | 22.3% |
| うち北海道 | 248 | ±0.0% | 37.1% | 247 | 92.4% | 42.9% |
| リゾート(8エリア計) | 252 | ±0.0% | 40.9% | 259 | 92.9% | 43.2% |
| うち北海道 | 75 | ±0.0% | 40.0% | 75 | 95.5% | 50.7% |
| うち沖縄県 | 136 | ±0.0% | 37.5% | 141 | 93.9% | 48.2% |
| 旅館(8エリア計) | 487 | ±0.0% | 30.8% | 505 | 90.0% | 36.2% |
| うち北海道 | 154 | ±0.0% | 21.4% | 155 | 95.9% | 51.0% |
| うち箱根町 | 87 | +6.7% | 56.3% | 93 | 86.4% | 32.3% |
※8エリア=東京都・大阪府・京都府・北海道・沖縄県・箱根町・熱海市・草津町。業態区分はメトロエンジンリサーチの施設分類による。主なエリアの内訳はNが50施設以上のものを掲載。最安プラン掲載価格(2名1室・税込)ベース。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
業態ごとの傾向をもう一段細かく見ると、東京都のシティホテルはイブの通常木曜比が+20.1%で、75.3%の施設が5%以上の上乗せをしている。北海道のシティホテルは同じく+21.2%で、通常土曜比の中央値は100.0%、72.4%の施設が通常土曜の95%を超える価格で掲載しており、平日イブを実質的に週末として扱っている。北海道・沖縄県のリゾートでも、通常土曜の95%超で掲載する施設が約半数に上る。
図4 12/24(木)の掲載価格を通常土曜と比べた施設の分布(業態別、8エリア計)
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
一方、ビジネスホテルは通常土曜の95%超で掲載する施設が22.3%にとどまる。東京都(通常土曜比77.6%)や大阪府(同69.0%)のビジネスホテルでは、イブは平日料金の延長で掲載されているのが標準形で、需要がどこまで週末型に振れるかを見極めてから動く運用が主流とみられる。ここで注意したいのは、本稿のデータは掲載価格であり、その価格で実際にどれだけ予約が入ったかは示していない点だ。「週末並みで出している」ことと「週末並みで売れた」ことは別であり、後者は宿泊日の45日前を過ぎてからの在庫消化で確かめる必要がある。
図5 特別日の上乗せ幅(業態別、施設ごとの比率の中央値、8エリア計)
※12/24は通常木曜比、12/25は通常金曜比、12/31は通常土曜比。N:シティ236〜240施設、ビジネス1,226〜1,321施設、リゾート231〜259施設、旅館335〜505施設(比較日によって変動)。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
図5のとおり、業態ごとに「どの日に上乗せを集中させるか」ははっきり分かれる。シティホテルはイブ(+9.6%)・クリスマス(+13.9%)・大晦日(通常土曜比+24.8%)と、3つの特別日に分散して上乗せしている。リゾートはクリスマス(+14.3%)と大晦日(+76.9%)、旅館は大晦日(+48.1%)に集中させ、イブとクリスマスは通常日並みで掲載する施設が中心だ。ビジネスホテルは大晦日でも通常土曜比+11.7%と上乗せが控えめで、年末年始の水準を平日と週末の中間に置く運用が多い。
ブッキングカーブ — 「先に埋まる日」を判定できるのは11月9日以降
値決めの判断材料として、価格と並んで重要なのが在庫の消化ペースである。ただし、12月24日・31日の宿泊日は調査時点でチェックインまでのリードタイムが約90日あり、この段階の残室データは判断材料として使わない。宿泊日の45日超前の観測は掲載枠が積まれる前の状態を含み、予約進捗を表さない場合があるためだ。実際、メトロエンジンリサーチのブッキングカーブは、総客室の30%以上をOTA等に掲載する施設の固定コホートで、LT45以内の点のみを集計している。
各特別日と比較基準日がLT45に入る日は表5のとおりである。通常木曜(12月10日)の比較データは10月26日から、イブ(12月24日)は11月9日から、大晦日は11月16日から揃い始める。つまり、「イブは通常の木曜より早く埋まるのか」「大晦日と元日のどちらが先に埋まるのか」は、11月中旬以降に同じ施設集合で比べることで初めて判定できる。冬の宿泊日の掲載がいつ出揃うかについては、12月の掲載施設数は8月比56〜83%が13県の販売開始タイミングを測っている。
表5 特別日の在庫消化を比較できるようになる日(LT45到達日)
| 宿泊日 | 位置づけ | LT45に到達する日(2026年) |
|---|---|---|
| 12/10(木)・12/17(木) | 通常木曜(比較基準) | 10/26・11/2 |
| 12/24(木) | 平日イブ | 11/9 |
| 12/25(金) | クリスマス当日(熱海は冬の花火大会) | 11/10 |
| 12/26(土) | 年末休暇入り直前の土曜 | 11/11 |
| 12/31(木) | 大晦日 | 11/16 |
| 2027/1/1(金) | 元日 | 11/17 |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
それまでの期間に先行指標として使えるのは、本稿で示した掲載価格の配置である。同一エリアの競合が特別日をどの程度上乗せしているかは、在庫の動きよりも早く観測できる。たとえば東京都のシティホテルでは、イブの時点で4分の3の施設が通常木曜より5%以上高い価格を掲げており、自施設がイブを通常木曜の料金で出している場合、その差が11月以降の予約の入り方にどう表れるかを見るのが次の確認点になる。
値決め側への示唆 — 曜日の料金表を「特別日」で上書きする3つの論点
以上の結果から、運営者・投資家が12月の値決めを考えるうえでの論点を3つ整理する。
1つ目は、平日イブの位置づけである。都市部のビジネスホテル・旅館では、イブを通常の木曜と同じ価格で掲載する施設が中心だが、東京都と北海道のシティホテルは中央値で約2割(+20.1%・+21.2%)上乗せしている(大阪府のシティホテルは+2.6%)。イブの需要を宿泊単価に反映させる余地は、業態・エリアによってまだ残されているといえる。11月9日以降に在庫の消化が通常木曜を上回ってくれば、段階的に週末水準へ近づけていく判断材料がそろう。
2つ目は、クリスマスが金曜に来ることの扱いだ。25日(金)は通常金曜比でシティ・リゾートとも+14%前後の上乗せが中央値で、26日(土)からの年末休暇と接続する。25日・26日を連泊で押さえる需要をどう設計するかは、単日価格とは別の論点になる。熱海のように地域イベントが重なる日は、曜日並びより地域の催事カレンダーが値決めの起点となる。
3つ目は、年始の出口である。東京都では1月3日(日)・4日(月)が通常木曜を下回る水準で掲載されており、箱根では元日から1月2日(土)にかけて期間中で最も高い水準が続く。年末年始の山の「どこで終わるか」は、仕事始めの曜日と地域の催事によって変わる。1月4日が月曜という今回の並びでは、休暇最終日前後の価格設定にも、需要の戻りを見ながら調整できるアップサイドがある。
まとめ
2026年12月は、イブと大晦日がともに木曜に落ちる曜日並びとなる。調査時点の掲載価格では、都市部のイブは通常木曜とほぼ同じ水準(東京都+1.9%、大阪府・京都府・北海道・沖縄県±0.0%)で、平日イブを週末並みで掲載しているのは主にシティホテル(8エリア計で通常木曜比+9.6%、東京都+20.1%、北海道+21.2%)である。クリスマスの25日(金)からは上乗せが始まり、大晦日は都市部で通常木曜比+39〜77%、箱根・熱海では通常木曜の2.5〜2.7倍に達する。熱海の花火大会(12月25日)や箱根の元日〜1月2日のように、地域の催事が曜日並びを上書きする日もある。
月次の推定成約ADRでは、都市部は12月から1月にかけて水準が下がり、北海道と温泉地は横ばいから上昇となる。在庫の消化ペースを比べられるのはイブが11月9日、大晦日が11月16日からで、それまでは競合の掲載価格の配置が最も早い判断材料となる。
⚠ 将来日程のADR・掲載価格に関する注意:本記事の2026年12月・2027年1月の値は、いずれも調査時点(2026年9月25日)で未到来の月・宿泊日について、OTA等に公開されている販売価格にもとづく推定・集計であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。現時点で高く設定されている価格が直前に見直される可能性や、今後追加されるプランによって水準が変わる可能性がある点にご留意ください。
集計方法
- 対象:メトロエンジンリサーチが追跡するうち、稼働が確認できる約27,000施設のなかで、2026年12月1日〜2027年1月4日の宿泊日に掲載価格がある東京都876施設・大阪府505施設・京都府837施設・北海道745施設・沖縄県677施設・箱根町144施設・熱海市100施設・草津町71施設(計3,955施設、客室33万481室)。
- 価格:2名1室利用時の1室あたり料金(税込)の最安プラン。調査時点は2026年9月25日。
- 比率:同じ施設の特別日の価格を、通常日(12/10・17、12/11・18、12/12・19の同曜日平均)の価格で割り、エリア・業態ごとに中央値をとった。
- 月次ADR:推定成約ADR(エリア中央値)。2026年10月〜2027年1月は未来月(調査時点の掲載水準に基づく推定)。
よくある質問
Q. 2026年のクリスマスイブは何曜日で、宿の掲載価格はどうなっていますか?
A. 12月24日は木曜です。調査時点(2026年9月25日)の最安プラン掲載価格は、同じ施設の通常木曜と比べて東京都で+1.9%、大阪府・京都府・北海道・沖縄県は±0.0%(施設ごとの比率の中央値)で、通常の木曜とほぼ同じ水準です。
Q. 平日のイブを週末並みの価格で出しているのはどの業態ですか?
A. 主にシティホテルです。8エリア計でイブの価格は通常木曜比+9.6%(中央値、N=240施設)、通常土曜の95%超で掲載する施設は38.5%でした。ビジネスホテルでは同じ割合が22.3%にとどまります。
Q. 大晦日の掲載価格は通常の日と比べてどのくらい高いですか?
A. 通常木曜比で、都市・広域5エリアは+38.7%(北海道)〜+76.9%(京都府)、温泉地では箱根町+151.4%、熱海市+170.9%、草津町+75.0%です(2026年9月25日時点の掲載価格)。
Q. イブや大晦日が通常日より早く埋まるかは、いつから判断できますか?
A. ブッキングカーブを比べられるのは宿泊日の45日前(LT45)からで、イブは11月9日、大晦日は11月16日、比較基準の通常木曜(12月10日)は10月26日に到達します。それまでは競合の掲載価格の配置が先行指標になります。
Q. 熱海で12月25日の価格が高いのはなぜですか?
A. 2026年の冬の熱海海上花火大会が12月6日(日)と12月25日(金)に開催予定のためと考えられます(熱海市観光協会)。熱海市の12月25日の指数は157.9(通常木曜=100)で、ほかの金曜よりはるかに高い水準です。
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参考資料・出典一覧
■ データソース
メトロエンジンリサーチが追跡する約27,000施設のうち、2026年12月1日〜2027年1月4日の宿泊日に掲載価格がある8エリア3,955施設(客室33万481室)の日別の最安プラン掲載価格(2名1室・税込)と、エリア別の推定成約ADR(月次・エリア中央値)。調査時点は2026年9月25日。
■ 試算前提
特別日の比率は、同じ施設の特別日の掲載価格を通常日(12/10・17の木曜、12/11・18の金曜、12/12・19の土曜の各2日平均)で割り、エリア・業態ごとに中央値をとった。推定成約ADRは最安プラン水準に業態別の補正係数を適用した税抜相当の推定値。
■ 限界・留意点
掲載価格は販売価格であり、その価格で成約した件数は示さない。いずれも未到来の宿泊日のため、チェックイン日に近づくにつれて価格と掲載施設数は変動する。ブッキングカーブはLT45以内の点のみを用いるため、本稿では在庫消化の数値は示していない。
- メトロエンジンリサーチ — 日別の掲載価格(最安プラン、2名1室・税込、N=3,955施設)、推定成約ADR、ブッキングカーブ(LT45以内のコホート集計)
- 熱海市観光協会「熱海海上花火大会」(あたみニュース、2026年開催日程)
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」
- 観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年4月・第2次速報、2026年5月・第1次速報及び2025年年間値(確定値))」
- e-Gov法令検索「行政機関の休日に関する法律」(年末年始の休日:12月29日〜1月3日)
