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プリンスギャラリー紀尾井町を西武系ファンドが取得へ — 出資271億円・67:33と私募REIT出口

投稿日 : 2026.10.04

東京都

投資・開発

プリンスギャラリー紀尾井町を西武系ファンドが取得へ — 出資271億円・67:33と私募REIT出口

2026年9月30日、東京・紀尾井町の「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」(250室)と「赤坂プリンス クラシックハウス」を信託財産とする受益権が、西武グループのアセットマネジメント会社が組成した特別目的会社に移る予定だ。器は匿名組合で、出資総額は271億円、出資比率は西武不動産67%・東京センチュリー33%。売主は、2025年2月に東京ガーデンテラス紀尾井町を約4,000億円で取得したブラックストーン出資の特定目的会社である。つまり西武グループは、1年7か月前に丸ごと手放した複合施設のうち、ホテル区画だけを自社のファンドで持ち直す。

本稿では、この取引を「事業会社の資産回転」と「スポンサー型私募ファンド」という2つの軸で読み解く。取引の時系列、器の構造、東京センチュリーが都内ラグジュアリーで繰り返している持分設計、千代田区の推定成約ADRと都心デラックス帯の価格分布、そして出口として示された私募REITと上場ホテルREITの保有構成を、一次開示と当社データで順に確認する。

本記事における指標の定義

  • ADR(平均客室単価):各施設がOTA等で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。
  • 掲載価格(全プラン平均・税込):個別施設およびデラックス帯の比較に用いる別指標。2名1室利用時の1室あたり料金(税込)で、素泊まりから食事付きまで公開中の全プランを平均した値。推定成約ADRとは定義も水準も異なるため、両者を直接比較しない。
  • 匿名組合出資:特別目的会社(営業者)に対する出資(エクイティ)。物件の取得価格そのものではない。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(推定成約ADR・掲載価格・J-REIT保有関係データ)、各社の適時開示・プレスリリース、東京都財務局「令和8年地価公示」。
匿名組合出資総額
271億円
2回に分けて出資
出資比率
67 : 33
西武不動産 : 東京センチュリー
客室数
250室
紀尾井町タワー30〜36階
資産譲渡の実行日
9/30
2026年(予定)
千代田区 推定成約ADR
¥16,300
2025/9〜2026/8平均・N=78〜84
出典:西武ホールディングス適時開示(2026年7月29日)、東京センチュリー プレスリリース(同日)、メトロエンジンリサーチ&コンサルティング
Key Takeaways
  • — 271億円は匿名組合出資(エクイティ)の総額で、取得価額は非開示。出資比率は西武不動産67%・東京センチュリー33%(約90億円)、資産譲渡は2026年9月30日の予定。
  • — 西武グループは2025年2月に東京ガーデンテラス紀尾井町を約4,000億円で売却し運営受託に回ったが、ホテル2施設の区画を自社AMのファンドで持ち直す。
  • — スポンサー3分の2・東京センチュリー3分の1の持分設計は、Torch Tower(66.665% : 33.335%)に続く都内ラグジュアリー2件目。
  • — 千代田区の推定成約ADRは2025年9月〜2026年8月平均¥16,300(N=78〜84施設、前年比+6.1%)。紀尾井町の掲載価格¥180,100は3km圏デラックス18施設の中央値¥178,600とほぼ同水準。
  • — 出口は2027年度中(予定)の私募REIT。都内の上場REIT保有56物件の1室単価中央値は2,607万円で、200百万円超はシャングリ・ラ 東京の1物件のみ。

取引の時系列 — 2025年2月の一括売却から、ホテル区画だけの持ち直しへ

起点は2024年12月12日である。西武ホールディングスは同日、東京ガーデンテラス紀尾井町の信託受益権等をブラックストーン出資の「さくら・ホールディング特定目的会社」へ譲渡する契約を締結したと開示した。開示された数字は帳簿価額約1,396億円、譲渡価額約4,000億円、譲渡益約2,604億円で、譲渡実行日は2025年2月28日である。同じ開示のなかで、ホテル区画については運営を西武・プリンスホテルズワールドワイド(以下SPW)が受託し、ホテルに関する契約上の地位は会社分割でブラックストーン出資のホテル経営会社へ承継させる、と定めていた。

この時点で西武グループの立ち位置は「持たずに運営する」に切り替わった。オフィス・商業区画のプロパティマネジメント、ホテル区画のビルマネジメント、そしてアセットマネジメント(西武不動産投資顧問、以下SAM。当時は登録準備中)まで、運営側の業務は手元に残している。2022年にもGIC出資の合同会社へホテル・レジャー31施設を約1,500億円で譲渡し、運営受託を続ける形をとっており、紀尾井町はその延長線上にあった。

2026年7月29日の開示で、流れが一段進む。SAMが組成した合同会社エス・エム・エル・Iが、同じ「さくら・ホールディング特定目的会社」からホテル2施設の受益権を取得する契約を結んだ。出資は7月30日と9月30日の2回に分けて実行され、資産譲渡は9月30日の予定だ。SAMは2026年2月までに総合不動産投資顧問業・投資運用業のライセンスを取得しており、本件では単独でアセットマネジメント業務を受託する。

表1 紀尾井町ホテル区画をめぐる取引の時系列(2022年〜2027年度)
時期出来事西武グループの役割
2022年2月ホテル・レジャー31施設をGIC出資の合同会社へ譲渡する基本協定(約1,500億円)運営受託・ビルマネジメント
2024年12月12日東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化に関する基本協定等を締結(譲渡価額約4,000億円)ホテル運営受託・PM・BM・AM(予定)
2025年2月28日同施設の譲渡実行日所有者から運営者へ
2026年2月までSAMが総合不動産投資顧問業・投資運用業のライセンスを取得AM機能の内製
2026年7月29日ホテル2施設の信託受益権譲渡契約・匿名組合契約を締結スポンサー(67%出資)+AM
2026年9月30日(予定)2回目の出資と資産譲渡の実行所有・AM・運営・BMを一体で担う
2026年10月赤坂プリンス クラシックハウスを直営化し運営開始宴会・料飲の取り込み
2027年度中(予定)SAMが私募REIT(仮称「西武REIT」)を組成、本資産の組入れをメインシナリオに想定出口の受け皿
出典:西武ホールディングス適時開示(2024年12月12日・2026年7月29日)、GIC ニュースリリース(2022年2月)よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成

器の構造 — 匿名組合271億円、67:33の持分と「取得価格は非開示」

取得主体は合同会社エス・エム・エル・Iで、営業者の代表社員は一般社団法人(スクエア・ワン一般社団法人)である。一般社団法人を代表社員に置き、投資家は匿名組合員として出資するGK-TKスキームの定型で、出資者の倒産リスクから資産を切り離す設計になっている。取得対象は、東京ガーデンテラス紀尾井町のうちホテル2施設の区画に係る区分所有権と土地共有持分を主たる信託財産とする信託受益権であり、現物不動産ではない。

数字の読み方には注意が要る。271億円は匿名組合出資金の総額、すなわちエクイティ部分であって、物件の取得価格ではない。西武ホールディングスの開示は取得価額を「非開示」とし、借入の有無や金額にも触れていない。したがって、271億円を客室数で割った「1室あたり取得単価」は算出できず、本稿でも示さない。確定しているのは、西武不動産が67%、東京センチュリーが33%(約90億円)を出資し、2回目の出資が完了する9月30日に本匿名組合が西武ホールディングスの特定子会社に該当する見込みだという点である。

東京センチュリーはこの案件を、三菱地所との共同投資による「Dorchester Collection」に続く都内ラグジュアリーホテル投資の第2弾と位置づけている。第1弾は、2021年3月に三菱地所と共同で組成したTOKYO390特定目的会社で、Torch Tower高層部のホテルと大規模ホールを取得する枠組みだった。そちらの出資構成は三菱地所66.665%・東京センチュリー33.335%。事業主体となるスポンサーが3分の2、リース会社が3分の1という持分設計が、2案件で同じ形をとっている。

出典:西武ホールディングス適時開示(2026年7月29日)、東京センチュリー プレスリリース(同日)、三菱地所・東京センチュリー公表資料(2021年3月16日)よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成。金額は出資総額×出資比率による按分(紀尾井町の東京センチュリー分は公表値の約90億円)。TOKYO390の560億円は「今後の事業の進捗に伴い出資が想定される総額」。
表2 紀尾井町とTorch Towerの出資スキーム比較
項目合同会社エス・エム・エル・I(紀尾井町)TOKYO390特定目的会社(Torch Tower)
公表時期2026年7月2021年3月
器合同会社+匿名組合(信託受益権を取得)特定目的会社
出資総額271億円(匿名組合出資)560億円(出資が想定される総額)
スポンサー側の持分西武不動産 67%三菱地所 66.665%
東京センチュリーの持分33%(約90億円)33.335%
対象既存ホテル2施設(250室の客室棟区画ほか)開発中のホテル(110室予定・2028年度開業予定)と大規模ホール
運営SPW(西武・プリンスホテルズワールドワイド)Dorchester Collection(誘致決定)
出典:同上。Torch Towerホテルの客室数・開業時期は2022年11月8日公表時点(三菱地所・東京センチュリー・Dorchester Collection)。

2つの器を並べると、東京センチュリーの参加方法が見えてくる。開発段階から入った第1弾に対し、第2弾は稼働中の既存ホテルで、しかもスポンサーがアセットマネジメントと運営まで握る案件である。リース会社にとっては、少数持分でも実務の担い手が明確な案件に入れる点が参加しやすさにつながる。器の違いが税負担と買い手の範囲をどう変えるかは、ホテル取得の3つの器 — 現物・信託受益権・SPCで整理している。

「持たずに運営する」から「スポンサーとして持ち直す」へ

西武グループの資産回転は、2024年5月に公表した「西武グループ長期戦略2035」の「不動産事業を核とした成長戦略」に沿っている。2024年12月の開示では、保有する全物件を流動化の検討対象に含め、含み益を顕在化させる方針を明記した。得た資金は都心(高輪・品川・芝公園)と西武鉄道沿線(西武新宿・高田馬場)の再開発、リゾート開発、新規取得に振り向けるという。

今回の開示が示すのは、その回転の次の段階である。売却で運営者の立場に移ったあと、自社のアセットマネジメント会社が組成するファンドのスポンサーとして、エクイティの過半を再び持つ。西武ホールディングスは、ホテルオペレーション、アセットマネジメント、ビルマネジメントに直接関わることで資産価値の向上と出口戦略を含めたリターン獲得を図ると説明し、投資判断については「不動産事業の投資ハードルレートに対する十分なスプレッド」と「株主資本コストを上回る水準の期待収益率」を見込んだとしている。

価値向上の中身も開示に具体的に書かれている。第一に、宿泊の個人顧客比率を戦略的に高めること。第二に、赤坂プリンス クラシックハウスを直営化して2026年10月から運営を始め、婚礼中心の営業に宴会需要を加えること。第三に、赤坂プリンスホテル時代から続く「Bar Napoléon(バー ナポレオン)」の営業強化である。開示は、ブラックストーンとの協業で足元の業績が大きく伸びたとも述べている。所有者が変わっても開業以来の運営者が続投してきた施設で、そのまま運営者がスポンサー側に回る形だ。

保有・運営・資産管理の役割分担が収益の配分をどう変えるかは、ホテルのリーシングとは — 賃貸借・運営委託・FCの違いが参考になる。海外マネーが日本のホテル取引で売り手側に回りつつある流れは、海外投資家の日本ホテル投資2026で集計している。

都心ラグジュアリーの単価水準 — 千代田区ADR ¥16,300、デラックス帯の中央値に位置する250室

まず区全体の水準を確認する。メトロエンジンリサーチのデータによると、千代田区の推定成約ADRは2025年9月〜2026年8月の12か月平均で¥16,300(月次の対象N=78〜84施設)となり、その前の12か月(2024年9月〜2025年8月、平均¥15,400)から+6.1%伸びた。月別に見ると、2025年9〜12月は前年同月比+13〜+25%と伸びが大きい。一方、2026年6〜8月は同-9〜-11%で、夏場は前年同月の水準を下回った。

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(千代田区・推定成約ADR、エリア中央値。月次N=76〜84施設)。2026年9月以降の破線は調査時点(2026年9月25日)の掲載水準に基づく推定。

2026年9月以降は、調査時点の掲載水準に基づく推定である。10月は¥21,600(前年同月比+17.7%)、11月は¥20,500(同+6.1%)と、秋の需要期は前年を上回る水準で推移している。宿泊日が近づくにつれて価格は変わるため確定値ではないが、秋に単価が上がる季節パターンは2年続けて同じ形で表れている。

次に、区全体ではなく都心のデラックス帯に絞る。ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町から半径3km圏にあるデラックスカテゴリーのうち、直近12か月すべてで価格を観測できた18施設(計5,131室)を、客室数と掲載価格(全プラン平均・税込)で並べた。同施設の推定成約ADRは当社データでは算出していないため、ここでは掲載価格という別の指標で位置を示す。区の推定成約ADRとは定義が違うので、両者は比べない。

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(半径3km圏・デラックスカテゴリー、2025年9月〜2026年8月の掲載価格(全プラン平均・2名1室・税込)の12か月平均、N=18施設)。個別施設名は対象2施設を除き非表示。破線は18施設の中央値。

ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町の12か月平均の掲載価格は¥180,100で、18施設の中央値(¥178,600)とほぼ一致した。客室数も250室で、18施設の中央値(250.5室)と重なる。価格でも規模でも都心デラックス帯の真ん中に位置する施設であり、ファンドやREITが同じ価格帯の資産と比較するときの基準にしやすい。同じ図の中で、上場REITが保有するシャングリ・ラ 東京(200室)は¥186,700である。

紀尾井町と半径3km圏のデラックス帯・千代田区のREIT保有ホテル
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(位置・客室数、J-REIT保有関係データ 2026年9月21日時点)。灰色の円はデラックス帯16施設(施設名非表示、円の大きさ=客室数)。

土地の側では、東京都財務局が公表した令和8年地価公示で、千代田区の対前年変動率は商業地+13.1%、住宅地+10.7%、全用途+12.8%となった。都心5区平均(全用途+13.4%)と同程度の上昇が続いている。地価の上昇局面で既存の都心ホテルを信託受益権で取得すれば、建物を新しく建てずに都心の土地持分を持つことになる。スポンサーが資産の中身を知り尽くしていることと合わせ、ファンドにとっての投資機会はこの点にある。

出口候補としてのREIT — 都内REIT保有56物件の1室単価中央値は2,607万円

西武ホールディングスは出口戦略について、SAMが2027年度中(予定)に組成する私募REIT(仮称「西武REIT」)への組入れをメインシナリオに想定し、本資産は「その旗艦物件にもなり得る」と述べている。私募REITの組成には許認可が必要で、SAMは取得に向けて準備中とされる。

上場ホテルREITの保有構成と比べると、この出口の意味がはっきりする。メトロエンジンリサーチ&コンサルティングのJ-REIT保有関係データ(2026年9月21日時点、7投資法人)で東京都内のホテルを抽出すると56物件あり、取得価格を客室数で割った1室あたり取得単価の中央値は26.1百万円(2,607万円)だった。56物件のうち39物件が40百万円未満に収まり、100百万円以上は6物件、200百万円を超えるのは森トラストリート投資法人(8961)が保有するシャングリ・ラ 東京(取得価格49,200百万円・200室、1室あたり246.0百万円)の1物件だけである。

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(J-REIT保有関係データ 2026年9月21日時点、東京都内N=56物件)。1室あたり取得単価=取得価格÷客室数。取得時期は物件ごとに異なり、取得時点の市況を反映する。

千代田区に限ると、上場REITが保有するホテルはシャングリ・ラ 東京と、インヴィンシブル投資法人(8963)のホテルマイステイズ神田(取得価格2,851百万円・126室)の2物件である。都内の上場REITの保有は宿泊特化型が中心で、都心ラグジュアリーはごく一部にとどまる。私募REITは主に機関投資家を投資家とする非上場の器で、上場REITより大口・長期の資産を組み入れやすい。スポンサーが自前の私募REITを受け皿として用意する設計は、上場市場の保有構成に空いている価格帯を埋める選択肢ともいえる。

表3 千代田区の上場REIT保有ホテルと紀尾井町(1室あたり取得単価)
物件(千代田区)保有REIT取得価格客室数1室あたり
シャングリ・ラ 東京森トラストリート投資法人(8961)49,200百万円200室246.0百万円
ホテルマイステイズ神田インヴィンシブル投資法人(8963)2,851百万円126室22.6百万円
ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町(参考)— (私募ファンドが取得予定)非開示250室算出しない
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(J-REIT保有関係データ 2026年9月21日時点)、森トラストリート投資法人 ポートフォリオ一覧、西武ホールディングス適時開示(2026年7月29日)。

REIT保有物件の1室単価を業態別に比べた集計はREITの1室あたり取得額 — 業態別の再集計、開発段階から出口までを見据えた器の設計は作って売るホテル開発 — 開発型REITと優先出資の出口設計で扱っている。

読者への示唆 — 資産回転の「戻り道」をどう設計するか

鉄道・不動産系のホテル保有会社の財務担当にとって、本件は「売却して運営を続ける」で終わらない選択肢を具体的に示した。売却時に運営受託とアセットマネジメントの受託枠を残しておけば、自社のAM会社がライセンスを取った段階で、同じ資産をファンドのスポンサーとして持ち直す道が開ける。売却と再取得の間で、運営実績とAMの体制が整っていたことが前提になる。

リース会社・私募ファンドにとっては、スポンサーが過半を持ち、AMと運営をスポンサー側が担う案件に3分の1で参加する形が、都内ラグジュアリーで2件続いた。少数持分でも実務の担い手が明確で、出口の受け皿まで示された案件は、共同投資の入り口として検討しやすい。

REITのアクイジション担当にとっては、2027年度の私募REIT組成が予定どおり進めば、スポンサー系のパイプラインから都心デラックス帯の資産が出てくることになる。紀尾井町の施設は価格・規模とも3km圏デラックス帯の中央値に位置しており、同じ価格帯の資産を評価するときのベンチマークとして使いやすい。取得価額が非開示である以上、市場価格の手がかりは今後の組入れ時の開示が最初になる。

集計方法と出典

推定成約ADRは千代田区(市区町村単位)のエリア中央値で、確定月(2024年9月〜2026年8月)と調査時点の掲載水準に基づく推定月(2026年9月〜2027年1月)を分けて表示した。デラックス帯の比較は、ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町から半径3km圏のデラックスカテゴリー23施設のうち、2025年9月〜2026年8月の12か月すべてで掲載価格を観測できた18施設を対象とした。J-REIT保有関係データは、いちごホテルリート投資法人(3463)、インヴィンシブル投資法人(8963)、日本ホテル&レジデンシャル投資法人(3472)、ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)、星野リゾート・リート投資法人(3287)、森トラストリート投資法人(8961)、霞ヶ関ホテルリート投資法人(401A)の7投資法人の国内保有物件から、東京都内の56物件を抽出した。取引の事実関係は、西武ホールディングスの適時開示(2024年12月12日・2026年7月29日)と東京センチュリーのプレスリリース(2026年7月29日)を一次情報とした。

将来日程のADRに関する注意:2026年9月以降の推定成約ADRは、調査時点(2026年9月25日)でOTA等に公開されている販売価格に基づく推定値であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。現時点の価格が直前の価格調整で変わる可能性がある点にご留意ください。

※本記事は公表資料と当社データに基づく市場分析であり、特定の有価証券・投資商品の取得を勧めるものではありません。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

取引の事実関係は西武ホールディングスの適時開示(2024年12月12日・2026年7月29日)と東京センチュリーのプレスリリース(2026年7月29日)を一次情報とした。価格はメトロエンジンリサーチ&コンサルティングの推定成約ADR(千代田区のエリア中央値)と掲載価格(全プラン平均・2名1室・税込)、REIT保有物件は上場ホテルREIT 7投資法人の公表ポートフォリオを集約したJ-REIT保有関係データ(2026年9月21日時点・国内302物件)による。

■ 試算前提

本稿は利回り・IRRの試算を置かない。取得価額と借入条件が非開示のため、271億円(匿名組合出資)を客室数で割った1室単価も算出していない。按分額は出資総額×出資比率(紀尾井町の東京センチュリー分のみ公表値の約90億円)、REITの1室あたり取得単価は取得価格÷客室数、千代田区ADRの12か月平均は月次値の単純平均。

■ 限界・留意点

推定成約ADRは最安プラン水準に業態別係数を掛けた推定値で、個別施設の成約価格とは異なる。2026年9月以降の値は調査時点(2026年9月25日)の掲載水準に基づき、今後変動する。デラックス帯比較は12か月すべてで価格を観測できた18施設に限る。REITの取得単価は取得時点の市況を反映し、現在の評価額ではない。私募REITの組成時期・組入れは西武ホールディングスの想定であり確定していない。

■ 市場データ

  • メトロエンジンリサーチ&コンサルティング
  • メトロエンジンリサーチ&コンサルティング — 千代田区の推定成約ADR(2024年9月〜2027年1月の月次N=76〜84施設、うち2025年9月〜2026年8月はN=78〜84施設)、半径3km圏デラックス帯の掲載価格(N=18施設)、J-REIT保有関係データ(2026年9月21日時点、東京都内N=56物件)

■ 一次開示・プレスリリース

■ 政府統計・公的データ/REIT

■ ニュース

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