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プロ野球オールスター2026・富山アルペンスタジアム30年ぶり開催 — 7/29水曜のホテル需給を読む

投稿日 : 2026.06.13

富山県

季節・イベント

プロ野球オールスター2026・富山アルペンスタジアム30年ぶり開催 — 7/29水曜のホテル需給を読む

2026年7月29日(水)、富山市民球場(アルペンスタジアム)でマイナビオールスターゲーム2026・第2戦が行われる。富山での開催は1996年以来30年ぶり、能登半島地震の復興支援を掲げた特別な大会だ。本稿では富山市内ホテルの7月28〜30日のADR(公開価格平均)と残室推移、北陸新幹線で結ばれた金沢の連泊シフト、さらに平日水曜開催が重なるビジネス需給の歪みを、メトロエンジンリサーチのデータで定量化する。

本記事における指標の定義

  • ADR(平均客室単価):メトロエンジンリサーチが追跡するOTA上で公開されている販売価格の平均値。実際の成約価格とは異なります(REIT開示データとの照合では、成約ADRより平均+25〜30%高い傾向。売れ残った高価格帯プランがOTA上に残り続けるため、公開価格の平均が成約価格より上振れする構造による)。2名1室利用時の1室あたり料金(税込)・全プラン平均(素泊まり〜食事付きプランを含む)。
  • LT(リードタイム):チェックイン日までの日数。LT0=当日。早期完売LT=OTA残室数が初めて0室に到達したリードタイム(値が大きいほど早く完売)。
  • OCC(稼働率):エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ
Key Takeaways
  • 富山市7/29の日別ADRは¥30,800。前週同曜日(7/22水) ¥22,500、翌週(8/5水) ¥26,200比で明確なスパイク、年内ピーク土曜帯(7/25 ¥32,500)に肉薄する平日水曜。
  • 主要ビジネスホテル3軒がLT49〜58で早期完売。ホテルグランテラス富山(129室)はLT57完売、ホテルリブマックス富山(89室)LT58、スーパーホテルPremier富山LT49。ビジネス出張のLT2-3週とは別タイミングで枠が消化。
  • 金沢市7/29は¥25,600で平常水準。北陸新幹線23分の距離で「金沢前泊→富山日帰り→金沢後泊」の3泊パターンが経済合理的に成立、面の需要分散が機能。
  • 球場5km圏供給は89軒7,217室。富山駅前2km圏は22軒約4,500室。観客動員規模に対し供給は限定的で、高岡(特急18分)・金沢への分散が前提。
  • 石川・新潟への量的波及は限定的。新潟県・石川県の上位完売は宇奈月温泉・夏季リゾート需要が主体で、オールスター起因の異常スパイクは観測されていない。

7/29は富山市の「年内ピーク日」になりつつある

まず富山市の日別ADR推移を見る。7月20日から8月5日までの平日帯を切り出すと、7/29(水)の富山市平均ADRは¥30,800。前週同曜日の7/22(水)が¥22,500、翌週同曜日の8/5(水)が¥26,200であることに比べ、明確なスパイクを描いている。前年同曜日(2025年7月29日(火)¥31,300、7月30日(水)¥21,400)と比較しても、平日水曜の異例な高水準だ。

後背の予備日となる7/30(木)は¥31,700、その翌日7/31(金)は¥33,400まで上昇し、夏休み入りの金曜需要と重なって富山市内は7月最終週で年内屈指の単価帯を形成する。一方、土曜の7/25(¥32,500)や8/1(¥37,600)が示すように、富山市の通常ピークは土曜である。それを平日水曜が肉薄するのは、明確にオールスター開催の影響だ。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

月次推移で見る富山市と金沢市 — 連泊パターンの分岐点

富山市の月次ADR推移を2025年1月から2026年12月まで並べると、夏季(7〜9月)の山と年末年始のオフピークが交互に現れる構造が確認できる。2026年7月の富山市平均は¥27,500(N=80施設、月平均)であり、2025年7月の¥29,500からは前年同月比でやや低水準にとどまる。これは月全体の集計に対し、オールスター需要は7/28〜30に集中するため、日別のスパイクが月平均ではならされてしまうためだ。

対して金沢市は2026年7月¥27,000と落ち着いた水準にあるが、7月最終週の日別データを見ると7/29(水)は¥25,600で、前後の水曜と比べてほぼ変化なし。金沢市ではオールスター当日の極端な価格スパイクは観測されていない。これは北陸新幹線開通後、富山〜金沢間の在来線特急で約40分、新幹線で約23分という距離感の中で、観戦当日は富山市内に集中泊し、金沢は前泊・後泊として「平常価格」で確保する旅程パターンが成立していることを示唆する。北陸新幹線が結ぶ各都市のADR構造については、北陸新幹線敦賀延伸3年目の福井・敦賀・小松・金沢4都市ADR徹底比較でより広域に分析している。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(富山市N=80施設、金沢市N=278施設、2026年7月時点)

球場5km圏のホテル供給は約7,200室 — そのうちOTA可視枠は約2,300室

富山市民球場(アルペンスタジアム)から半径5km圏内のホテル供給を集計すると、宿泊施設89軒・総客室数7,217室。このうち50室以上の中規模以上は34軒・6,137室を占める。さらに範囲を富山駅前2km圏に絞ると、80室以上の主要ホテルは22軒・約4,500室の供給がある。観客動員数を考えれば、富山市内だけで需要を吸収しきれず、高岡(特急で18分)・新潟駅前・金沢駅前への連泊分散が前提となる。同じスタジアム5km圏の予約進度を分析したケースとして、横浜・日産スタジアムback number 2デー公演の26施設予約検証も参考になる。

北陸新幹線の利便性を活かした「金沢前泊→富山日帰り→金沢後泊」の3泊パターンの場合、金沢市内の7/28(火)・7/30(木)も連動して動くはずだが、現時点の金沢7/28-30は¥25,400〜¥25,600で平日通常水準。連泊組はピンポイントで7/29の富山泊を取れたユーザーで、金沢前後泊は通常価格で取得できる状況にあるといえる。これは観戦の旅程としては最もコスト効率の良い組み合わせだ。

早期完売は3軒で発生 — LT60で残室1桁台に突入

富山市内ホテル(OTA公開枠が総客室の30%以上の施設に限定)について、7/29チェックインの残室推移を集計した。OTA上で残室シグナルが取れた施設51軒のうち、フィルタ後の集計対象は22軒。早期完売LT(残室が初めて0室に到達したリードタイム)の上位は次の3軒である。

順位 施設名 客室数 早期完売LT 完売観測日数 現在の残室率
1位ホテルリブマックス富山89室LT584日3.4%
2位ホテルグランテラス富山129室LT579日0.0%
3位スーパーホテルPremier富山・城址公園前124室LT491日0.0%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(富山市、N=51施設のうちOTA公開枠30%以上の22施設を集計、調査時点2026年6月10日)

ホテルリブマックス富山(89室)はLT80時点で残室41/89室と半分弱しか出ていなかったが、LT70で残19室、LT65で残6室、LT60で残2室と急速に消化し、LT58で残0室到達。観測4日間の完売を経て、LT54以降は数室の在庫戻りが見られるものの、現在残室率3.4%と直前枠もほぼ尽きている。ホテルグランテラス富山(129室)はさらに極端で、LT57で完売、9日間の完売観測。現在残室率0.0%と、OTAでの新規予約は事実上閉じている。

スーパーホテルPremier富山・城址公園前(124室)はLT49で初完売を観測したものの、その後新たに43室が在庫として戻ったタイミングがある(LT58で残43室)。これはホテル側が直販・団体客枠を見直してOTAに再放出したホテル側のリリース動きと推定される。直前キャンセル待ちの動きと区別すべきパターンで、本稿の「在庫戻り検出ルール(戻り量5室以上かつ3日以上継続)」に該当する。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

平日水曜開催 — ビジネス需給との重なりを考える

富山市内のビジネスホテルは、平常時の水曜・木曜が出張客で底堅い稼働を示すエリアだ。富山県は医薬品・素材・電力など大手製造業の本社・工場・営業拠点が多く、平日のビジネス需要が堅実である。富山駅前2km圏に並ぶ22軒のうち、アパホテル〈富山駅前〉347室、東横INN富山駅新幹線口1(304室)・東横INN富山駅新幹線口2(313室)、アパホテルステイ〈富山〉274室、富山マンテンホテル295室、ホテル・アルファ-ワン富山駅前253室と、大型のビジネスホテルが集積する。

そこへオールスター需要(球場観戦客+関係者+メディア)が重なる構造である。中規模ビジネスホテルの早期完売LTがLT49〜58と1か月半〜2か月前まで前倒しになっていることは、平日水曜にしては通常見られない動きで、ビジネス出張客の予約タイミング(典型的にはLT14〜30)と全く重ならない位置で枠が消化されている。逆に言えば、ビジネス出張で7/29前後の富山行きが必要な場合、平常通りのLT2〜3週間で予約を入れると主要ビジネスホテルがほぼ取れない懸念がある。早めの確保か、近隣の高岡(あいの風とやま鉄道で15分)への分散が現実解となる。

石川・新潟との比較 — 周辺県への波及はあるか

富山県全県の7/29ランキング(n=92施設)を見ると、上位は宇奈月温泉のリゾート系(大江戸温泉物語 宇奈月グランドホテル:118室、早期完売LT90、完売観測26日)が独走する。これはオールスター需要というより、夏の温泉地リゾート需要であり、別系統の動きだ。石川県全県の7/29前日(7/28(火))ランキングを見ると、上位は白山市の山岳リゾート(一里野高原ホテル ろあん、29室)や金沢市の小規模特化型ホテル(群青の月3室・マイグレ兼六園2室)。これも夏季リゾート・観光需要が主であり、オールスター連泊シフトの量的痕跡は現時点では限定的だ。

新潟県全県の7/29も上位は岩室温泉や赤倉などのリゾート系であり、富山アクセスの拠点として上越妙高や糸魚川駅前といったエリアでの異常スパイクは観測されていない。つまり、現時点のデータでは、観戦需要は富山市内の駅前ビジネスホテル群に集中的に吸収されている構図が読み取れる。北陸新幹線で結ばれた金沢が前後泊に使われる旅程パターンは成立しているが、金沢市内の平日価格を押し上げるほどの規模には至っていない。隣県の新潟で行われる長岡花火大会2026の需給波及分析では、長岡市内は3月時点で完売しても周辺エリアへの波及が限定的だったことが定量化されており、本稿の富山〜金沢構造とも対比的に読める。

7/29の予約戦略 — 残りの取得チャンス

本稿の調査時点(2026年6月10日)でLT49。観戦客にとって、富山駅前の主力ビジネスホテルでの新規予約は限定的だ。ただし以下の3つの取得チャンスはまだ存在する。

第一に、スーパーホテルPremier富山・城址公園前のような「ホテル側リリース」型の在庫戻り。LT58で43室が一度に戻った例があるため、宿泊予約サイトのリマインダー登録で動向を追うのが現実解となる。第二に、富山駅から1〜2km離れた中規模ホテル(コンフォートホテル富山駅前150室、現在残室率5.3%、最大観測85.3%)など、OTA枠の出し方が後ろ倒しのホテル。これらは直前キャンセルや追加放出を待つ手がある。第三に、高岡駅前(特急で18分、北陸新幹線で12分)への分散。高岡市内ホテルは22軒あり、現時点でADR・残室とも余裕がある。

後泊については、金沢市内は7/30(木)¥25,400と平常水準で十分選択肢があり、3泊パターン(金沢前泊→富山観戦→金沢後泊)はコスト効率の高い旅程として依然成立している。北陸新幹線がもたらした「面の需要分散」が、30年ぶりのプロ野球大型イベントを地域全体で受け止める設計として機能している点は、観光地としての富山・石川連携の成果ともいえる。

⚠ 将来日程のADRに関する注意:本記事のADRは調査時点(2026年6月10日)でOTAに公開されている販売価格の平均であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。現時点で残室の戻り・追加放出が継続するホテルもあり、本稿の数値は7/29時点のスナップショットである点にご留意ください。

まとめ — 30年ぶりの大型イベントが平日水曜の景色を変える

マイナビオールスターゲーム2026・第2戦は、富山市にとって1996年以来30年ぶりのプロ野球大型イベントだ。本稿のデータが示すのは、(1) 富山市内の主要ビジネスホテル3軒がLT49〜58で早期完売を観測し平日水曜にしては異例の予約タイミング、(2) 月平均では希釈されるが7/29(水)の日別ADRは¥30,800と前週・翌週水曜より明確にスパイク、(3) 金沢市内は連動した価格上昇を示さず、3泊パターンの旅程が経済合理的に成立しているという3点である。北陸新幹線がもたらす広域分散と、夏季リゾート需要との重畳のなかで、富山市の7月最終週はビジネス出張・観戦・夏休み初期の三層需要が同時に動く局面となる。能登半島地震復興支援を掲げたこの大会は、北陸全体のホテル需給を再度可視化する好機ともいえる。

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